説明

重ね合わせ食品製造方法および重ね合わせ食品製造装置

【課題】例えば最中やサンド菓子のように、上下の外皮の間にあん等の内材を重ね合わせて重ね合わせ食品を製造するための重ね合わせ食品製造方法および重ね合わせ食品製造装置に関する。
【解決手段】下外皮上に内材を載置して半製品を製造する工程、前記半製品上に上外皮を載置する工程、前記下外皮に対し前記上外皮を押圧する工程を含み、前記押圧工程において、その押圧の分力によって水平方向へ微動するための整合凹部を備えた整合部材によって前記上外皮を押圧し、前記下外皮と前記上外皮とを整合して重ね合わせ食品を仕上げる工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば最中やサンド菓子のように、上下の外皮の間にあん等の内材を重ね合わせて重ね合わせ食品を製造するための重ね合わせ食品製造方法および重ね合わせ食品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最中のように、最中皮の外皮によってあん等の内材を包むように重ね合わせた重ね合わせ食品を製造する重ね合わせ食品製造装置は、エンドレス状のコンベアチエーンに、当該コンベアチエーンの走行方向に対して直交する方向に長い複数のパレットを備え、このパレットの長手方向の一端側に、内材を収容するよう載置するための下外皮としての下最中皮を係合支持する下外皮係合凹部を備え、前記パレットの他端側に、前記下最中皮に蓋をする上外皮としての上最中皮を係合支持する上外皮係合凹部を備えている。そして、前記コンベアチエーンによって搬送される搬送経路の途中に、前記下最中皮に対して内材を供給するための内材供給装置を備えると共に、前記下最中皮に内材を載置した半製品上に上外皮係合凹部内の上最中皮を移載する上外皮移載装置を備えている。さらに、前記半製品上に載置された上最中皮を下最中皮に対して押圧する押圧部材を備えている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭50−15874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば最中などの重ね合わせ食品を製造する装置においては、あん等の内材を載置した下最中皮に対し上最中皮を押圧して接合した際に、その接合面上において上最中皮と下最中皮とが横ずれや捩れなどの位置ずれをする場合があり、重ね合わせ食品の外観が損なわれ商品価値を低下させるという問題がある。また、人手により前記位置ずれを修正する場合には、作業効率を低下させるなどの問題がある。
【0004】
また、クッキーなどの菓子片にてバタークリームなど内材をはさむ、いわゆるサンド菓子などに関しても前記同様の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述したごとき問題に鑑みてなされたもので、下外皮上に内材を載置して半製品を製造する工程、前記半製品上に上外皮を載置する工程、前記下外皮に対し前記上外皮を押圧する工程を含み、前記押圧工程において、その押圧の分力によって水平方向へ微動するための整合凹部を備えた整合部材によって前記上外皮を押圧し、前記下外皮と前記上外皮とを整合して重ね合わせ食品を仕上げる工程を含むことを特徴とする重ね合わせ食品製造方法である。
【0006】
また、下外皮上に内材を載置した半製品を載置支持する下外皮係合凹部を備えたパレットと、前記半製品上に上外皮を載置する上外皮移載装置と、前記下外皮に対し相対的に前記上外皮を押圧しながら整合する整合装置とを備え、前記整合装置は、前記上外皮を押圧する整合凹部を備えた整合部材と、前記整合部材を前記パレットに相対的に接近離反するアクチュエータとを備え、前記整合部材は、該整合部材を支持する支持部材に対し水平方向へ遊動可能に備えられていると共に、前記パレットに対し係合離脱自在な係合部を備え、前記整合部材の前記整合凹部が前記上外皮を前記下外皮に対し押圧する際にその押圧の分力によって前記上外皮を水平方向へ微動する構成であることを特徴とする重ね合わせ食品製造装置である。
【0007】
また、前記重ね合わせ食品製造装置において、前記整合装置は、前記整合部材とは別個に前記上外皮を押圧する弾性押圧部材を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、整合凹部を備えた整合部材によって上外皮を下外皮に対して相対的に押圧し、前記整合凹部が前記上外皮を押圧する分力によって前記上外皮を水平方向へ微動するため、内材を載置した前記下外皮と前記上外皮との整合を図ることができるものである。
【0009】
また、前記整合装置は、前記上外皮を押圧する整合凹部を備えた整合部材と、前記整合部材を昇降するアクチュエータとを備え、前記整合部材は、該整合部材を支持する支持部材に対し水平方向へ遊動可能に備えられているので、前記パレットにより搬送され一時的に停止した半製品に載置された上外皮に前記整合部材を従動することができる。
【0010】
また、前記整合部材には、前記パレットに備えた対応係合部に対し係合離脱自在な係合部を備え、前記整合部材の前記整合凹部が前記各パレットに備えられた下外皮係合凹部に対し同心に係合することができる。また、前記整合部材の整合凹部が前記上外皮を前記下外皮に対し押圧する際にその押圧の分力によって前記上外皮を水平方向へ微動することができるので、下外皮に対し横ずれや捩れなどの位置ずれをして載置された上外皮を下外皮と整合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について重ね合わせ食品の一例として最中を製造する場合について説明する。図1,図2に概念的、概略的に示したように、本実施形態に係る重ね合わせ製造装置1は、左右方向(搬送方向)に長い箱状の本体フレーム3を備えており、この本体フレーム3に装着したモータM(図示省略)に連動連結されたエンドレス状の搬送体の一例としてのエンドレスチエーン9が本体フレーム3内に回転自在に設けられたスプロケット(図示省略)に掛回してある。
【0012】
前記エンドレスチエーン9に所定間隔に備えたリンクプレート9Aの外側にはプレート9Bが一体的に取付けてあり、このプレート9Bには、外方向へ突出したガイド部材が取付けてある。前記ガイド部材として、本例においてはエンドレスチエーン9の長手方向に離隔した複数のガイドピン11が設けられている。このようにすることにより、パレット13の方向性を常に正しく保持してパレット本体15とガイド部材11を係合することができるものである。
【0013】
前記パレット13は、前記エンドレスチエーン9の長手方向(搬送方向)に対して直交する方向に長いパレット本体15(図2参照)を備えており、このパレット本体15の長手方向の中央部には、前記ガイドピン11に係合離脱自在な係合孔17が備えられている。したがって、前記パレット本体15は、前記ガイドピン11の軸方向(図1における上下方向)に上下動自在に設けられている。
【0014】
前記パレット本体15の一端側(図2において右側)には、下外皮としての容器状の下最中皮5Cを係合支持する下外皮係合凹部19が備えられている。また、当該パレット本体15の他端側(図2において左側)には、前記下最中皮5Cに対応した上外皮としての上最中皮5Aを係合支持する上外皮係合凹部21が備えられている。
【0015】
下最中皮5Cは、例えばあん等の内材を受容するように、上側が開口した状態でもって前記下外皮係合凹部19内にセットされ係合支持されるものである。また、前記上最中皮5Aは、前記下最中皮5Cに対応した形状であり、本実施の形態においては、前記下最中皮5Cと同一形状の最中皮であって、下側が開口した状態でもって前記上外皮係合凹部21内にセットされ係合支持されるものである。
【0016】
前記下外皮係合凹部19及び上外皮係合凹部21の輪郭形状は、例えば4角形状の最中皮及び丸形状の最中皮を係合支持することができるように、4角形状の外形と丸形状の外形とを重ね合わせた輪郭の形状に形成してある。換言すれば、下外皮係合凹部19,上外皮係合凹部21の形状は、4角形状,丸形状,三角形状,楕円形状,長円形状など外形形状の異なる複数の下外皮の外形を重ね合わせた輪郭の形状に形成してある。したがって、下外皮係合凹部19、上外皮係合凹部21には外形形状の異なる複数種の上外皮5A,下外皮5Cを係合支持することができるものである。よって内材が同一であって外形形状が異なる重ね合わせ食品に切替えて製造する場合、迅速に対応し得るものである。
【0017】
前記エンドレスチエーン9に備えた前記ガイドピン11に係合孔17を係合した状態において移動されるパレット本体15を移動自在に支持するために、前記本体フレーム3の上面には、左右方向(搬送方向)に長いレール状のパレットガイド29が係合離脱自在、すなわち本体フレーム3に対して着脱自在に備えられている(図2参照)。
【0018】
前記エンドレスチエーン9によって移送されるパレット本体15の上流側(図1において右側)の位置には、前記パレット本体15の前記下外皮係合凹部19内に係合支持されている下最中皮5Cに対して、例えばあん等の内材5Bを供給するための内材供給装置(図示省略)が備えられている。この内材供給装置の構成は公知であり、例えば前記特許文献1に記載の内材供給手段を採用可能であるので、内材供給装置についての詳細な説明は省略する。なお、下最中皮5C内に内材5Bを載置収容した製品を半製品5Hと称す。
【0019】
前記内材供給装置の下流側には、上外皮移載装置53を備えている。この上外皮移載装置53は、この上外皮移載装置53の下方位置に停止したパレット本体15における上外皮係合凹部21内の上最中皮5Aを下外皮係合凹部19内の下最中皮5Cの上方位置へ移動し、前記下最中皮5Cに対応した位置において下降して前記上最中皮5Aを下最中皮5C内に収容された内材5B上に載置するものである。上最中皮5Aを保持する手段として、例えば、ブロア(図示省略)に連通された吸着パッド54で吸着して持上げ、所要位置にて前記上最中皮5Aの吸着を解除することにより前記吸着パッド54から前記上最中皮5Aを離すものである。この載置工程が終了した際には、上最中皮5Aの下側に位置する開口縁7Aと下最中皮5Cの上側に位置する開口縁7Cが接合することなく大きく離間した状態である。
【0020】
上最中皮5Aは、前記内材5Bに対し軽く押圧されるが、その押圧の際に前記内材5Bからの反力を受けるため前記下外皮5Cに対し位置ずれした状態で載置される場合がある。例えば、上最中皮5Aが下最中皮5Cに対し正面視において(対向する方向において)傾斜した状態で内材5B上に載置される場合がある(図1参照)。また、平面視において多角形状(例えば略正方形)の輪郭を有する最中皮においては、下最中皮5Cの輪郭に対し上最中皮5Aの輪郭が捩れたように位置ずれして載置される場合がある。
【0021】
なお、前記上外皮移載装置53としては、パレット本体15の上外皮係合凹部21内の上外皮5Aを保持して下外皮係合凹部19内の下外皮5C上に移載する機能を備えていればよいものであって、例えば前記特許文献1に記載の上外皮移載装置の構成を採用することも可能である。また、例えばロボットハンドのごとき把持手段によって上外皮を把持する構成や、粘着手段によって上外皮を粘着し、突棒などのごとき突き落とし手段によって粘着した上外皮を突き落とす構成とすることも可能である。すなわち、上外皮移載装置の構成としては種々の構成が採用可能なものである。
【0022】
前記上外皮移載装置53の下流側には、上外皮押圧装置55が備えられている。前記上外皮押圧手段55は、後述する整合装置61に備えられたアクチュエータ63によって上下動される上下作動杆65の下端部に連結された取付ブラケット67に取り付けられている。前記上外皮押圧手段55は、前記取付ブラケット67に対し上下位置調整自在の押圧パッド57を備えている。
【0023】
前記押圧パッド57は、その下面に押圧凹部59を備えている。この押圧凹部59は、押圧する上最中皮5Aの輪郭形状より大きく、相似形状の開口縁59Aと、この開口縁59Aから上方に沿って内側に相似的に傾斜した傾斜当接部としての傾斜面59Bと、この傾斜面59Bに連続した底面59Cを備えている。この傾斜面59Bの中間部は、上最中皮5Aの上部当接部としての上部角部8Aに当接する大きさである。なお、傾斜面59Bの中間部とは、前記開口縁59Aと底面59Cとの中心位置に限定されるものではなく、前記開口縁59Aから底面59Cまでの間のいずれか適宜の位置である。
【0024】
この押圧パッド57は、前記上下作動杆65の上下動に伴って上下動し、降下する際に前記上最中皮5Aの上部角部8A(上部当接部)を前記押圧凹部59の傾斜部59B(傾斜当接部)に当接させて押圧するものである。この押圧工程が終了した際には、下最中皮5Cに対し上最中皮5Aが前記載置工程時より接近するものの上最中皮5Aの下側に位置する開口縁7Aと下最中皮5Cの上側に位置する開口縁7Cはまだ接合することなく離間した状態である。また、前記傾斜部59Bが前記上部角部8Aを押圧する際には、前記上部角部8Aが傾斜部59Bに均等に当接するよう移動するため、最中皮が対向する方向における上最中皮5Aの下最中皮5Cに対する前記傾斜を軽減することができる。また、上下の最中皮の開口縁の輪郭が合致するように前記捩れを軽減することができる(図1乃至3参照)。
【0025】
前記上外皮押圧装置55の下流側には、整合装置61が備えられている。この整合装置61は、前記本体フレーム3の上面に取り付けられた架台31に備えられている。整合装置61は、前記架台31に水平に備えられた天板33にブラケット35を介して取り付けられたエアーシリンダ等のごときアクチュエータ63と、アクチュエータ63のピストンロッド等のごとき上下作動杆65の下端部に連結された取付ブラケット67と、この取付ブラケット67に取り付けられた支持部材69と、この支持部材69に支持された整合部材71を備えている。
【0026】
前記整合部材71は、平板形状の板部材75と、この板部材75の上面に立設された複数の上部ピン77と、前記板部材75の下面に立設された係合部材として嵌合部材79を2本備えている。前記板部材75は、その下面に上最中皮5Aを押圧する整合凹部73が形成されている。この整合凹部73は、前記押圧凹部59と同様に、上最中皮5Aの輪郭形状より大きく相似形状の開口縁73Aと、この開口縁73Aから上方に沿って内側に相似に傾斜した傾斜当接部としての傾斜面73Bと、この傾斜面73Bに連続した底面73Cを備えている。この傾斜面59Bの中間部は、上最中皮5Aの上部角部8Aに当接する大きさである。なお、傾斜面73Bの縦断面形状(各図面に図示された形状)は、直線的に限定されることはなく、上部当接部としての上部角部8Aを押圧する際に、その押圧による水平分圧が上最中皮5Aに作用する形状であればよい。また、傾斜当接部は、平面形状に限ることなく前記上部当接部に接する複数の突状形状であってもよい。
【0027】
また、前記上部ピン77は、前記支持部材69の下面に設けられた貫通孔81に遊嵌されていると共に、上部ピン77の上端面に取り付けられた座金83により前記支持部材69に吊設されている。したがって、前記整合部材71は、前記支持部材69対し水平方向へ遊動可能に支持されている。また、前記嵌合部材79は、最下端部を最も細い径に形成されたテーパ状の円錐台部79Aとその上部に係合部としての円柱状の嵌合軸部79Bを備えている。
【0028】
また、前記パレット本体15には、前記下外皮係合凹部19の周囲に前記嵌合部材79が嵌入される対応係合部としての嵌合孔85が備えられている。そして、前記整合部材71の下方で一時的に搬送が停止されたパレット本体15に対し前記整合部材71が降下すると、前記嵌合部材79の先端部である円錐台部79Aが前記嵌合孔85へ嵌入し、さらに、前記整合部材71が降下すると前記嵌合部材79の嵌合軸部79Bが前記嵌合孔85に嵌合する。
【0029】
前記嵌合軸部79Bと前記嵌合孔85が嵌合した状態では、前記整合部材71とパレット本体15は相対的に水平移動することができない。そして、前記整合部材71に備えた整合凹部73の開口縁73Aの鉛直方向に沿った中心と前記パレット本体15に備えた下外皮係合凹部19の開口縁19Aの鉛直方向に沿った中心がほぼ一致するよう前記整合凹部73と前記下外皮係合凹部19とが各々整合部材71とパレット本体15に配設されている。
【0030】
したがって、整合部材71が相対的にパレット本体15に接近するよう降下する際に、整合部材71に設けられた整合凹部73の傾斜部73Bが下最中皮5Cに対し横ずれして載置された上最中皮5Aの上部角部8Aに当接する(図4参照)。そして、前記整合部材71の上部ピン77が前記支持部材69の貫通孔81に遊嵌されているので、前記整合部材71が前記上最中皮5Aの停止位置に対応するよう水平方向に移動する(図5参照)。さらに、前記整合部材71が前記上最中皮5Aを押圧する際に、前記嵌合部材79の円錐台部79Aの傾斜した周面が前記パレット本体15の嵌合孔85に摺動しながら降下することにより整合部材71がパレット本体15に対し水平方向に移動され、その移動に伴い前記整合凹部73の傾斜部73Bが前記上最中皮5Aの上部角部8Aを押圧して前記上最中皮5Aを水平方向に移動する(図6参照)。そして、前記上最中皮5Aの外周と前記した外皮5Cの外周が合致した状態に整合されて前記上最中皮5Aと前記下最中皮5Cが当接し、整合工程が終了する(図7参照)。この整合工程に際し、前記上部角部8Aが前記傾斜部73Bに均等に当接するよう作用する。前記上最中皮5Aは、前記傾斜部73Bが前記上部角部8Aを押圧する圧力の水平分力により水平方向に微動する。この水平方向への微動作において対向する前記上最中皮5Aと前記下最中皮5Cの捩れも解消される。
【0031】
また、前記整合部材71の板部材75には、前記整合凹部73の底面73Cに貫通する貫通孔76が設けられている。該貫通孔76の内側には、前記上最中皮5Aの上面の略中央部を押圧する弾性押圧部材87が配設されている。弾性押圧部材87は、前記支持部材69から下方に向かって立設されている。弾性押圧部材87は、例えばシリコンゴムや発泡ウレタンなどの弾性体からなり、上最中皮5Aを押圧する際に弾性圧縮するものである。
【0032】
前記整合部材71が相対的にパレット本体15に接近するよう降下する際に、前記弾性押圧部材87は、前記整合部材71と共に降下し、前記整合部材71と共に前記上最中皮5Aを押圧する。前記弾性押圧部材87は、前記上最中皮5Aを水平方向に移動自在に当接しているので、前記整合部材71が前記上最中皮5Aを水平方向に移動(微動を含む)することを阻害するものではない。
【0033】
以上のごとき構成において、図1において右側から左方向へ(搬送方向へ)間欠的に移送されるパレット本体15における下外皮係合凹部19に下外皮としての下最中皮5Cをセットすると共に上外皮係合凹部21に上外皮としての上最中皮5Aをセットすると、下最中皮5C及び上最中皮5Aを備えたパレット本体15が次第に左方向へ移送される。そして、内材供給装置に対応する位置へ移送され停止した当該パレット本体15は、エアーシリンダ等のごときアクチュエータ(図省略)により上昇され、下最中皮5Cが前記内材供給装置の吐出口に接近し該下最中皮5C内に内材5Bの供給が行われる。その後、半製品5Hがパレット本体15と共に降下する。この昇降動作により下最中皮5C内に内材5Bが安定して供給される。
【0034】
上述のように下最中皮5C内に内材5Bを供給し半製品Hを製造する工程の後、当該パレット本体15は次第に左方向へ間欠的に移送される。そして、当該パレット本体15が上外皮移載装置53に対応した位置に移送され停止されると、上外皮移載装置53によって上最中皮5Aが半製品5Hである下最中皮5Cに載置された内材5B上に移載される。この載置工程(移載工程)の後、上外皮押圧装置55に対応する位置へ移送され停止されると、押圧パッド57が降下し上最中皮5Aを押圧する。工程が終了した段階においては、上最中皮5Aは、下最中皮5Cに対し離間した状態に押圧される(図1参照)。
【0035】
そして、当該パレット本体15が整合装置71に対応した位置に移送され停止されると、整合装置71によって上最中皮5Aが下最中皮5Cに対し当接するよう押圧され、重ね合わせ食品である最中5が製造される。この押圧に際し、上最中皮5Aが整合部材71の水平移動に伴い水平移動し、また、整合凹部73からの押圧の分力により水平方向に微動して前記上最中皮5Aの外周と前記した外皮5Cの輪郭(外周)が合致した状態に整合され、整合工程が終了する。
【0036】
以上のごとき説明より明らかなように、整合凹部73を備えた整合部材71によって上外皮5Aを下外皮5Cに対して押圧し、前記整合凹部73が前記上外皮5Aを押圧する分力によって前記上外皮5Aを水平方向へ微動するため、内材5Bを載置した前記下外皮5Cと前記上外皮5Aとの重ね合わせるそれぞれの輪郭(外周)を位置ずれすることなく整合することができるものである。
【0037】
また、前記整合装置61は、前記上外皮5Aを押圧する整合凹部73を備えた整合部材71と、前記整合部材71を昇降するアクチュエータ63とを備え、前記整合部材71は、前記アクチュエータ63に対し水平方向へ遊動可能に備えられているので、前記パレット本体15により搬送され一時的に停止した半製品Hに載置された上外皮5Aの停止位置に前記整合部材71を従動することができる。
【0038】
また、前記整合部材71には、前記パレット本体15に備えた対応係合部としての嵌合孔85に対し係合離脱自在な係合部としての嵌合部材79を備え、前記整合部材71の前記整合凹部73が前記各パレットに備えられた下外皮係合凹部19に対し同心に係合することができる。また、前記整合部材71の整合凹部73が前記上外皮5Aを前記下外皮5Cに対し押圧する際にその押圧の分力によって前記上外皮5Aを水平方向へ移動(微動も含む)することができるので、下外皮5Cに対し横ずれや捩れなどの位置ずれして載置された上外皮5Aを下外皮5Cと整合することができる。

【0039】
したがって、最中などの重ね合わせ食品5を製造するに当たり、上最中皮5Aと下最中皮5Cとが位置ずれすることなく重ね合わせが行われるので、重ね合わせ食品5の外観が損なうことなく高品質の商品が製造できる。また、人手により前記位置ずれを修正することがないので、作業効率を向上させることができる。
【0040】
本発明の実施の形態に係る重ね合わせ食品製造装置1は、概ね上記の通りであるが、これに限定されることなく特許請求の範囲において種々の変更が可能である。例えば、前記整合部材71とパレット本体15を相対的に接近離反する手段として、前記パレット本体15をエアーシリンダ等のごときアクチュエータにより昇降可能に設け、前記支持部材69を前記架台31の天板33に取り付けてもよい。
【0041】
また、整合部材71及びパレット本体15に備えられた係合部は、ピン形状の嵌合部材79及び孔形状の嵌合孔85に限らず、例えば、縦断面形状が凸状の三角形である環状の係合部とその係合部に対応する縦断面形状が凹状の三角形である環状の対応係合部であってもよい。このような環状の係合部であっても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置を概念的,概略的に示した正面説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置を概念的,概略的に示した側面説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置による最中の製造工程を概念的,概略的に示した正面説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置による最中の製造工程を概念的,概略的に示した説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置による最中の製造工程を概念的,概略的に示した正面説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置による最中の製造工程を概念的,概略的に示した説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る重ね合わせ食品製造装置による最中の製造工程を概念的,概略的に示した正面説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 重ね合わせ食品製造装置
3 本体フレーム
5 重ね合わせ食品,最中
5A 上外皮,上最中皮
5B 内材
5C 下外皮,下最中皮
8A 上部角部
9 エンドレスチエーン
13 パレット
15 パレット本体
17 係合孔
19 下外皮係合凹部
21 上外皮係合凹部
53 上外皮移載装置
55 上外皮押圧装置
61 整合装置
69 支持部材
71 整合部材
73A 開口縁
73B 傾斜当接部,傾斜面
73C 底面
75 板部材
77 上部ピン
79 嵌合部材
81 貫通孔
85 嵌合孔
87 弾性押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下外皮上に内材を載置した半製品上に上外皮を載置した重ね合わせ食品を製造する方法であって、
下外皮上に内材を載置して半製品を製造する工程、
前記半製品上に上外皮を載置する工程、
前記下外皮に対し前記上外皮を押圧する工程を含み、
前記押圧工程において、その押圧の分力によって水平方向へ微動するための整合凹部を備えた整合部材によって前記上外皮を押圧し、前記下外皮と前記上外皮とを整合して重ね合わせ食品を仕上げる工程、
を含むことを特徴とする重ね合わせ食品製造方法。
【請求項2】
下外皮上に内材を載置した半製品上に上外皮を載置した重ね合わせ食品を製造する装置であって、
下外皮上に内材を載置した半製品を載置支持する下外皮係合凹部を備えたパレットと、
前記半製品上に上外皮を載置する上外皮移載装置と、
前記下外皮に対し相対的に前記上外皮を押圧しながら整合する整合装置とを備え、
前記整合装置は、前記上外皮を押圧する整合凹部を備えた整合部材と、
前記整合部材を前記パレットに相対的に接近離反するアクチュエータとを備え、
前記整合部材は、該整合部材を支持する支持部材に対し水平方向へ遊動可能に備えられていると共に、前記パレットに対し係合離脱自在な係合部を備え、
前記整合部材の前記整合凹部が前記上外皮を前記下外皮に対し押圧する際にその押圧の分力によって前記上外皮を水平方向へ微動する構成である
ことを特徴とする重ね合わせ食品製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の重ね合わせ食品製造装置において、
前記整合装置は、前記整合部材とは別個に前記上外皮を押圧する弾性押圧部材を備えている
ことを特徴とする重ね合わせ食品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−81810(P2010−81810A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251516(P2008−251516)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】