説明

重ね葺き用屋根材

【課題】既設の屋根材の上に防水シートを介して重ね葺きしても、防水シートが傷つくおそれのない重ね葺き用屋根材を提供する。
【解決手段】既設の屋根材1の表面には、上方から下方に向けて降下した段差部1aが形成されており、重ね葺き用屋根材本体10は、表面の段差部1aに対応した部位に段部12が形成されている一方、裏面には、防水シート3を介して段差部1aに相対する部位に面取り段部16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の屋根材の上に重ね葺きする重ね葺き用屋根材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根材として、既設の屋根材を取り除くことなく重ね葺きできる重ね葺き用屋根材が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような重ね葺き用屋根材によれば、既設屋根材の除去作業が不要であり、廃材処理も不要となるため、屋根のリフォームの効率化に寄与でき、葺き替えコストを低減化できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−139888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、既設の屋根材の表面には上方から下方へ向けて降下した段差部が棟から軒にかけて所定の間隔で形成されており、表面が階段状となっていることが通例であり、そのような既設の屋根材と同様の模様が呈されるように、また既設の屋根材の上にずれなく重ね葺きできるように、重ね葺き用屋根材の表裏には、既設の屋根材の段差部に合致する位置に段部が形成されている。つまり、重ね葺き用屋根材は表裏ともに階段形状となっている。
【0006】
この重ね葺き用屋根材は、確実な防水対策を図るために、既設の屋根材の全表面に敷かれた柔軟な防水シートの上に葺設される取り付け態様となっている。
【0007】
この防水シートは柔軟材で形成されており、既設の屋根材の表面に隙間なく敷きつめることは可能であるが、効率よく作業を行うために、既設の屋根材の段差部とその下段側の屋根面部との間の隅部に対して密着するように取り付けることはなく、段差部の角から下段側の屋根面部にかけて表面から浮いた状態に張設される。
【0008】
しかしながら、このように防水シートを既設の屋根材の上に敷きつめて、その上に重ね葺き用屋根材を取り付けると、防水シートが既設の屋根材よりも浮いた状態となった部位では、その部位を重ね葺き用屋根材の裏面の段部、特にその角が押圧するため、防水シートが破れてしまうおそれがあった。また、作業中に破れなかったとしても、重ね葺き用屋根材の取り付け後に、段部の押圧によりその部位が破れることもあり得る。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、既設の屋根材の上に防水シートを介して重ね葺きしても、防水シートが傷つくおそれのない重ね葺き用屋根材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の重ね葺き用屋根材は、既設の屋根材の上に防水シートを介して重ね葺きする重ね葺き用屋根材であって、既設の屋根材の表面には、上方から下方に向けて降下した段差部が形成されており、重ね葺き用屋根材本体は、表面の上記段差部に対応した部位に段部が形成されている一方、裏面には、防水シートを介して段差部に相対する部位に面取り段部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果がある。
【0012】
請求項1に記載の重ね葺き用屋根材によれば、裏面の段部が面取り段部となっているので、防水シートを介して既設の屋根材の上に取り付けた場合に、その面取り段部は防水シートに接触することがなく、または接触したとしても防水シートを鋭角的な角で押圧することはなく、そのため防水シートが傷ついたり破れたりするおそれがなく、防水性を長期間維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の重ね葺き用屋根材の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した重ね葺き用屋根材の斜視図および要部拡大斜視図である。
【図3】重ね葺き用屋根材の裏面側の斜視図である。
【図4】重ね葺き用屋根材の平面図である。
【図5】重ね葺き用屋根材の図4におけるX−X線の断面図である。
【図6】重ね葺き用屋根材の取付態様(載置前)を示した側面図である。
【図7】重ね葺き用屋根材の取付態様(載置後)を示した側面図である。
【図8】(a)、(b)は重ね葺き用屋根材同士の連結固定手順を示した、図5のY部の部分拡大断面図である。
【図9】(c)、(d)は重ね葺き用屋根材同士の連結固定手順を示した、図5のY部の部分拡大断面図である。
【図10】重ね葺き用屋根材の取付状態を示した要部拡大縦断面図である。
【図11】重ね葺き用屋根材の縦方向への連設態様を示した概略平面図である。
【図12】重ね葺き用屋根材の縦方向への連設態様を示した概略平面図である。
【図13】(a)、(b)は重ね葺き用屋根材の横方向への連設態様を示した概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示した重ね葺き用屋根材A(以下、屋根材Aという)は、既設の屋根材1の上に重ね葺きする重ね葺き用の屋根材である。なお、本図は屋根材A(重ね葺き用屋根材本体10)の主たる外形を示しており、詳細な部位については図示を省略している。
【0016】
この屋根材Aは、重ね葺き用屋根材本体10(以下、屋根材本体10という)の全体形状を矩形板状とし、既設の屋根材1の階段形状に対応して、同様の階段形状をなしている。つまり、屋根材本体10の表面には、既設の屋根材1の上方から下方に向けて降下した段差部1aに対応した位置に、一方の端縁から他方の端縁にわたって、同様に降下した段部12が形成されている。図1の例では、既設の屋根材1の階段形状に対応して縦方向に連なる3面の屋根面部11、11、11が階段状に形成されたものを示したが、これには限定されない。
【0017】
また、屋根材本体10の上段の屋根面部11のさらに棟側の上端縁部10aには、縦方向に隣設される屋根材本体10の下端縁部10bを重ねて重ね部4(後述する図9参照)を形成するための重合面部(縦)13が段部12を介して形成されている。一方、屋根材本体10の右側端部10dには、横方向に隣設される屋根材本体10の左側端部10cを重ねて重ね部(横)5(後述する図13参照)を形成するための重合面部(横)14が形成されている。
【0018】
ここで、本明細書において、上端縁部10aとは棟側(上流側)の端縁部のことを指し、下端縁部10bとは軒側(下流側)の端縁部のことを指す。また、縦方向とは軒と棟を結ぶ方向であり、横方向とは軒・棟に略平行な方向である。
【0019】
ついで、図2〜図5を参照しながら、屋根材Aの詳細な構造、形状について説明する。
【0020】
屋根材本体10の表面において、左側端部10cにおける3枚の屋根面部11のそれぞれには、屋根材本体10の縦辺縁に沿ってリブ15が形成され、中央における屋根面部11のそれぞれにも同様のリブ15が形成され、右側端部10dにおける屋根面部11のそれぞれにも同様のリブ15が形成されている。これらのリブ15の屋根面部11の表面からの高さは略同一であり、屋根面部11の表面に形成したものであるから、縦方向に連なる屋根面部11と同様の階段形状をなしている(図2、図4、図5参照)。
【0021】
これらのリブ15のうち最上段の屋根面部11に設けた3つのリブ15は、重合面部(縦)13の段部12に接するようには形成されておらず、一部が切り欠かれたように隙間が形成されている。これらのリブ15ごとの3箇所の隙間は、縦方向に隣設される屋根材本体10の凸条(後述する位置決め用凸部(縦)32)と嵌合する位置決め用凹部(縦)31を構成している。
【0022】
また、中段の屋根面部11の左のリブ15の外側面(左の側端面部15a)には切欠き状の凹部が形成され、右のリブ15の外側面(右の側端面部15b)の上記凹部と同位置には凸部が形成されている。これらの凹部および凸部は相互嵌合可能な形状となっており、それぞれは横方向に隣設される屋根材本体10を位置決めする位置決め用凹部(横)33、位置決め用凸部(横)34を構成している。
【0023】
右側端部10dに形成したリブ15のさらに右側には、重合面部(横)14が配されている。この重合面部(横)14は、その表面がリブ15よりも低く形成されており、その表面には縦方向に連通する3本の雨水排出用の水切り溝14aが形成されている。
【0024】
また、屋根材本体10の下端縁部10bには、裏面側に突出した凸条が形成されている。この凸条は、上述したように、軒側に設置された屋根材本体10の上端縁部10aと係合するための位置決め用凸部(縦)32を構成している。
【0025】
また、上端縁部10aに配された重合面部(縦)13には、四角錐台形状(平面視が矩形、側面視が台形)のねじ釘ねじ込み用凸部21が複数形成されており、その本体21aの表面21bの各角部近傍には小突起21cが形成されている(図2〜図5参照)。
【0026】
さらに重合面部(縦)13には、ねじ釘ねじ込み用凸部21と段部12との間に複数の角棒状の雨水ガイド部23が間隔をあけて形成されている。この雨水ガイド部23は左右のいずれかが下流側に傾斜しており、重合面部(縦)13の上に溜まった雨水を誘導して下流側へと排出する機能を有しているとともに、最上段の段部12より風等により流入しようとする雨水をせき止める堰としても作用する。
【0027】
また、屋根材本体10の下端縁部10bの表面には、下流側の屋根材本体10と連結するねじ釘のねじ込み用の小凹みよりなる目印部18が形成されている。
【0028】
一方、屋根材本体10の裏面には、図3に示したように、複数の円錐台形状の突部17が略全面にわたって規則的な配列で形成されている。これらの突部17は、図4に示したように、突部17間隔が足裏F寸法以下となるように散在させることが望ましい。
【0029】
また、屋根材本体10の裏面には、屋根材本体10の重合面部(縦)13に形成したねじ釘ねじ込み用凸部21と表裏同位置に、ねじ釘ねじ込み用凸部21の本体21aと略同形状の凸部が形成されている。この凸部は、既設の屋根材1との間を所定間隔で保持するためのスペーサ用凸部22を構成している。
【0030】
裏面側の突部17およびスペーサ用凸部22はともにスペーサとして作用するものであり、それら全てが既設の屋根材1の表面に防水シート3(図6等参照)を介して支持されるように、同一高さに形成されている。
【0031】
また、表面側の段部12の裏面側に位置する段部は、その角部が棟側から軒側への傾斜と同様の方向へ傾斜した面取り段部16として形成されている。なお、図例では面取り段部16を傾斜平面としたが、傾斜湾曲面としてもよい。
【0032】
つぎに、図6〜図10をさらに参照しながら、屋根材Aの取付態様および縦方向における屋根材同士の連結固定構造を説明する。
【0033】
まず、屋根材本体10を取り付ける前に、既設の屋根材1の上に防水シート3を配設する。
【0034】
つぎに、段部12が既設の屋根材1の段差部1aに合致するように屋根材本体10を載せ置く。その際、防水シート3は柔軟であるから屋根材本体10の裏面側の突部17によって押圧され、防水シート3は、既設の屋根材1の表面と、突部17の表面との間にしっかりと挟みこまれる(図6、図7参照)。
【0035】
屋根材本体10を既設の屋根材1に載置した状態では、防水シート3が既設の屋根材1の表面にほぼ密着した状態となるが、既設の屋根材1の段差部1aの角から、屋根材本体10の下段側の屋根面部11の最上流側に配されたスペーサ用凸部22までは、既設の屋根材1の表面に密着せず、ある程度張った状態となる。
【0036】
屋根材本体10の裏面側では、屋根面部11間の段部は傾斜状に面取り形成されて角を有していないため、この面取り段部16は傾斜状に張られた防水シート3と接触することはなく、かりに接触しても、直角あるいは鋭角的に尖った角がないため防水シート3を傷つけることはなく、そのため取り付ける際にあるいは取り付けた後に防水シート3が破れたり傷ついたりすることを回避できる(図7参照)。
【0037】
また、屋根材本体10の裏面には配列された突部17が略全面に形成されているので、屋根材本体10は既設の屋根材1の表面に対して所定の空隙6を介して固定される(図7参照)。
【0038】
この空隙6は、空気流通路を構成し、空気層による断熱効果および空気流通による結露防止効果が奏せられる。
【0039】
また図4に示したように、これらの突部17の間隔は足裏F寸法以下であるため、葺設された屋根材本体10の上を人が歩いても、屋根材本体10が割れたり、塑性変形したりすることがない。なお、突部17の間隔は足裏F寸法以下とすることが望ましいが、屋根材本体10の強度が十分に高く上方からの押圧に耐えられれば、突部17間隔は足裏F寸法より大きくてもよい。
【0040】
図8(a)、(b)および図9(c)、(d)は、図5のY部に対応する、縦方向に連設される屋根材A同士の連結固定手順を示した部分拡大断面図である。
【0041】
縦方向の上流側に隣設される屋根材本体10は、その下端縁部10bを重合面部(縦)13を覆うように配設される。
【0042】
具体的には、屋根材本体10を図6、図7に示した手順で既設の屋根材1に載せ置き(図8(a)、(b)参照)、さらに上流側に隣設される屋根材本体10を、その下端縁部10bに形成した位置決め用凸部(縦)32を載置済みの屋根材本体10の位置決め用凹部(縦)31に嵌合するようにして取り付ける(図8(b)、図9(c)参照)。
【0043】
このようにして、両屋根材本体10、10の一部の重ね合わせによって重ね部4が形成される(図9(c)、(d)参照)。
【0044】
こうして重ね部4が形成されたとき、ねじ釘ねじ込み用凸部21の小突起21cの上端は、上流側に隣設される屋根材本体10の裏面に接する一方、ねじ釘ねじ込み用凸部21の裏側に形成されたスペーサ用凸部22の下面は、既設の屋根材1の表面に防水シート3を介して密着する(図9(c)、(d)参照)。
【0045】
そして、上流側に隣設される屋根材本体10の下端縁部10bの表面に形成した目印部18よりねじ釘2を打ち込み、ねじ釘ねじ込み用凸部21、重合面部(縦)13の本体、スペーサ用凸部22を貫通して、既設の屋根材1を介して、下地(不図示)に固定する。
【0046】
このように、重合面部(縦)13にねじ釘ねじ込み用凸部21が形成されているため、つまり重ね部4の空間に配された重合面部(縦)13のねじ孔13aの入口が重合面部(縦)13の表面よりも高い位置に形成されているため、このねじ釘ねじ込み用凸部21が堰となって、重ね部4内に浸入してきた雨水がねじ孔13aを通じてさらに下方へ流れ込むことを防止できる。
【0047】
また、重合面部(縦)13には雨水ガイド部23(図2参照)が形成されているので、重ね部4内に浸入してきた雨水は雨水ガイド部23に沿って下流へと排出される。この雨水ガイド部23は、下流側から風等により逆流してくる雨水の浸入をせき止める機能も有しているので、重ね部4内への雨水浸入防止にも寄与している。
【0048】
このように重ね部4内の空間には雨水が溜まりにくい構造となっているため、溜まり水や湿気による屋根材本体10の劣化を防止することもできる。
【0049】
また、ねじ釘ねじ込み用凸部21の裏面側にはスペーサ用凸部22が形成してあるため、重合面部(縦)13が既設の屋根材1の上でしっかりと支持され、ねじ釘2を打ち込んだときに重合面部(縦)13が撓んだり割れたりすることを防止できる。
【0050】
また上述したように、屋根材本体10の裏面側では、屋根面部11間に面取り段部16が形成されているため防水シート3と接触することはなく、防水シート3が破れたり傷ついたりすることを防止できる。
【0051】
図10はさらに要部を拡大した縦断面図であり、この図を用いて、さらなる防水構造について説明する。
【0052】
ねじ釘2は、頭部2aの下方に、パッキン2bを内装した座金2cを有しており、ねじ釘2を、上流側に隣設される屋根材本体10の表面よりねじ込んでしっかりと固定すると、そのパッキン2bが座金2cに押圧されて、雨水の浸入を防止する構造になっている。
【0053】
このように、雨水が表面側から、上流側に隣設される屋根材本体10のねじ孔19を伝って浸入することを防止した構造にもかかわらず、毛細管現象等により雨水がねじ孔19にたどり着き、毛細管現象により重ね部4内へ浸入してねじ釘2を伝って下方に向かうおそれがある。
【0054】
しかし、ねじ釘ねじ込み用凸部21の小突起21cにより、ねじ釘ねじ込み用凸部21の本体21aの表面21bと、上流側に隣設される屋根材本体10の裏面との間に隙間空間21dが形成されているので、ねじ釘2を伝って落ちてきた雨水は、ねじ釘2を伝ってさらに下方へ浸入することなく、隙間空間21dへと流れ出し、ねじ釘ねじ込み用凸部21の本体21aの表面21bより重合面部(縦)13の表面へと落ちていく。
【0055】
このように、小突起21cがねじ釘ねじ込み用凸部21の表面に形成されているので、それによって形成された隙間空間21dに雨水を誘導して重合面部(縦)13の表面へ流し落とすことができ、雨水がねじ孔13aを通じてさらに下方へ浸入していくことを防止できる。
【0056】
また、ねじ釘ねじ込み用凸部21の裏側に形成したねじ釘ねじ込みの際の割れ防止用のスペーサ用凸部22は、屋根面部11の裏面側に形成した突部17と同様の作用も有している。つまり、このスペーサ用凸部22は、重合面部(縦)13の裏面側に形成した突部17とともに、既設の屋根材1との間に所定の空隙6による空気流通路を形成している。なお、この空気流通路が段差部1aを通じて上下段側の空気流通路と相互に空気流通できるように、面取り段部16を防水シート3に接触させないように形成しておくことが望ましい。
【0057】
つぎに、図11および図12の概略平面図を参照しながら、屋根材本体10の縦方向への連設における位置決めについて説明する。
【0058】
上述したように、屋根材本体10の上端縁部10aには、重合面部(縦)13とリブ15との間隙によって構成された位置決め用凹部(縦)31が3箇所に形成されている。この位置決め用凹部(縦)31は屋根材本体10の下端縁部10bに形成した位置決め用凸部(縦)32を嵌合(遊嵌でもよい)できる寸法、形状となっており、縦方向に隣設される屋根材本体10を上方から載せ置く際に、位置決め用凸部(縦)32を位置決め用凹部(縦)31に嵌め入れて位置決めできるようになっている。
【0059】
上方から屋根材本体10を載せ置く際には、図9(c)に示したように、ねじ釘打ち込み用の目印部18をねじ釘ねじ込み用凸部21の真上に載せ置く必要があるが、位置決め用凸部(縦)32を位置決め用凹部(縦)31に嵌め入れるだけで縦方向の位置が確定するので、縦方向の位置決めが簡易に行える。なお、横方向の位置決めは、いったん嵌合位置決めした後に、上流側の屋根材本体10を横方向にスライドしながら2つの屋根材本体10、10の側端面を合わせることで容易に行える。
【0060】
このように、屋根材本体10の上端縁部10aに位置決め用凹部(縦)31が形成され、下端縁部10bに位置決め用凸部(縦)32が形成されているので、縦方向への屋根材本体10の連設の際の位置決めを迅速に行うことができ、取付作業を効率よく行える。位置決め用凹部(縦)31は、リブ15の上流側端面と重合面部(縦)13の下流側端面との間隙で構成されているため、位置決め用凹部(縦)31のために溝を形成する必要がなく屋根材本体10の製造も容易となる。
【0061】
さらに、図13(a)、(b)を参照しながら、屋根材本体10の横方向への連設における位置決めについて説明する。
【0062】
上述したように、屋根材本体10の左の側端面部15a(左のリブ15の外側面)に位置決め用凹部(横)33が形成され、右の側端面部15b(右のリブ15の外側面)に位置決め用凹部(横)33と縦方向の同位置に位置決め用凸部(横)34が形成されている。
【0063】
すでに屋根上に取り付けられた屋根材本体10に対して、その横方向に屋根材本体10を隣設する場合、既取付の屋根材本体10の位置決め用凸部(横)34に位置決め用凹部(横)33を嵌合させることで、縦横両方向の位置決めが行える。
【0064】
このように、屋根材本体10の一方の側端面部に位置決め用凹部(横)33が形成され、他方の側端面部に位置決め用凸部(横)34が形成されているので、横方向への屋根材本体10の連設の際の位置決めを迅速に行うことができ、取付作業を効率よく行える。
【0065】
以上の実施形態では、平板形状の屋根材Aを例示したが、波形状の屋根材に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
A 重ね葺き用屋根材
10 重ね葺き用屋根材本体
11 屋根面部
12 段部
13 重合面部(縦)
14 重合面部(横)
16 面取り段部
1 既設の屋根材
1a 段差部
3 防水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の屋根材の上に防水シートを介して重ね葺きする重ね葺き用屋根材であって、
上記既設の屋根材の表面には、上方から下方に向けて降下した段差部が形成されており、
重ね葺き用屋根材本体は、表面の上記段差部に対応した部位に段部が形成されている一方、裏面には、上記防水シートを介して上記段差部に相対する部位に面取り段部が形成されていることを特徴とする重ね葺き用屋根材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−207426(P2012−207426A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73142(P2011−73142)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(593178409)株式会社オーティス (224)
【Fターム(参考)】