説明

重合反応の緊急停止システム

【課題】比較的簡単な設備により、確実かつ迅速に重合反応を緊急停止することができるという優れた特徴を有する重合反応の緊急停止システムを提供する。
【解決手段】下記(A)及び(B)の設備を有する重合反応の緊急停止システム。
(A):重合失活剤を重合槽に供給する配管であって、その途中に少なくとも一の開閉弁を有する配管
(B):上記(A)の配管から分岐されパージ設備に連結された配管であって、その途中に開閉弁及び流量制限用のオリフィスを有する配管
本発明が対象とする重合反応の例としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン(共)重合反応をあげることができ、更に具体的にはオレフィンの気相重合反応をあげることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合反応の緊急停止システムに関するものである。更に詳しくは、本発明は、比較的簡単な設備により、確実かつ迅速に重合反応を緊急停止することができるという優れた特徴を有する重合反応の緊急停止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン等はエチレン、プロピレン等のモノマーを重合反応に付して得られる。ところで、重合反応系に異常が発生した場合、緊急に重合反応を停止する必要がある。それは、異常反応により温度や圧力が異常に上昇し、設備を破壊して危険であるとともに、モノマーを無駄に消費するという問題があるからである。ところで、重合反応の緊急停止方法としては、重合反応槽へ直接重合失活剤を投入する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところが、従来の方法は、比較的簡単な設備により、確実かつ迅速に重合反応を緊急停止することができるという観点からは、必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−95504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、比較的簡単な設備により、確実かつ迅速に重合反応を緊急停止することができるという優れた特徴を有する重合反応の緊急停止システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記(A)及び(B)の設備を有する重合反応の緊急停止システムに係るものである。
(A):重合失活剤を重合槽に供給する配管であって、その途中に少なくとも一の開閉弁を有する配管
(B):上記(A)の配管から分岐されパージ設備に連結された配管であって、その途中に開閉弁及び流量制限用のオリフィスを有する配管
【発明の効果】
【0007】
本発明により、比較的簡単な設備により、確実かつ迅速に重合反応を緊急停止することができるという優れた特徴を有する重合反応の緊急停止システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明が対象とする重合反応の例としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン(共)重合反応をあげることができ、更に具体的にはオレフィンの気相重合反応をあげることができる。
【0009】
本発明で用いられる重合失活剤の具体例としては、一酸化炭素をあげることができる。
【0010】
重合反応の緊急停止を要する場合の例としては、異常反応により反応系の温度や圧力が異常上昇した場合をあげることができる。このような場合は、安全確保及び設備保護の観点から、速やかに、かつ確実に重合反応を停止させる必要がある。
【0011】
本発明を従来の例と比較しつつ、以下に説明する。
【0012】
図1は本発明の例を示し、重合失活剤を重合槽に供給する配管であって、その途中に少なくとも一の開閉弁を有する配管を有するとともに該配管から分岐されパージ設備に連結された配管であって、その途中に開閉弁及び流量制限用のオリフィスを有する配管を有する。
【0013】
一方、図2は従来の例を示す。
【0014】
従来の例においては、緊急停止を行う場合、重合失活剤投入条件成立による投入シーケンス作動又は手動投入ボタンにより重合槽への重合失活剤投入動作が開始される。投入動作とは内通パージ遠隔弁である弁6が開から閉に切替り、弁6の閉止信号にて閉止が確認された後、重合失活剤遠隔投入弁2及び3が閉から開となり重合槽へ重合失活剤が投入され重合反応を停止させる。この場合、弁6の閉止不良などの異状の際には、弁2及び3の閉から開への切替る条件に弁6の閉止信号が組まれているため弁2及び3が閉止状態のままとなり、重合失活剤が重合槽へ投入されないという問題を伴う。
【0015】
一方、本発明において緊急停止を行う場合、従来同様、重合失活剤投入動作に変わりなく弁6が開から閉止に切替り、弁2及び3が閉から開となり重合槽へ重合失活剤が投入され重合反応を停止させるが、この場合、パージ配管中にオリフィスを設け流量制限を行うことにより弁6の閉止いかんに関わらず弁2及び3を閉から開に切替え、重合槽への確実かつ迅速な重合失活剤投入が可能であり、上記の問題を伴わない。なお、本発明においては、緊急停止時に系外へパージすべき気体のパージ設備としては、燃焼設備を用いることができる。
【実施例】
【0016】
次に本発明を実施例により説明する。
実施例1
重合失活剤投入条件成立による投入シーケンス作動又は手動投入ボタンにより重合槽への重合失活剤投入動作が開始され、内通パージ遠隔弁である弁6が開から閉に切替り、重合失活剤遠隔投入弁2及び3が閉から開となり重合槽へ重合失活剤が投入され重合反応を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるシステムの例である。
【図2】従来のシステムの例である。
【符号の説明】
【0018】
1 :重合槽
2,3:失活剤投入遠隔弁
4 :重合失活剤
5 :オリフィス
6 :弁3の内通パージ用遠隔弁
7 :パージ設備行き
8 :安全弁
9 :安全弁バイパス弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)の設備を有する重合反応の緊急停止システム。
(A):重合失活剤を重合槽に供給する配管であって、その途中に少なくとも一の開閉弁を有する配管
(B):上記(A)の配管から分岐されパージ設備に連結された配管であって、その途中に開閉弁及び流量制限用のオリフィスを有する配管
【請求項2】
重合反応がオレフィンの重合反応である請求項1記載のシステム。
【請求項3】
重合反応がオレフィンの気相重合反応である請求項1記載のシステム。
【請求項4】
重合反応がエチレン及び/又はプロピレンの(共)重合反応である請求項1記載のシステム。
【請求項5】
重合失活剤が一酸化炭素である請求項1記載のシステム。
【請求項6】
パージ設備が燃焼設備である請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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