説明

重心動揺検査システム及び重心動揺検査プログラム

【課題】圧力分布センサに対する被測定者の位置にかかわらず、被測定者の重心動揺を精度良く測定する。
【解決手段】重心動揺検査システムのモード(2)では、圧力分布センサからの圧力分布データに基づいて、被測定者の立位中心位置が算出されて、この立位中心位置に対する複数の重心位置の相対位置がそれぞれ重心変位として算出される。そして、重心変位の時間的な変化の様子が重心変位ウィンドウ52内にグラフとして表示される。また、X軸方向の基準位置Cpx及びY軸方向の基準位置Cpyが算出される場合には、複数の感圧センサ11aの出力値が1以上である場合には1に変換されると共に、その出力値が0である場合には0のままで、出力値1に対応した大きさの圧力が、被測定者の両足が接触している感圧センサ11aに対して、それぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置として算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の重心位置の時間的な変化の様子を検査する重心動揺検査システム及び重心動揺検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
けがや病気による四肢の不全を改善するための予備検査として、被測定者の立位時の重心動揺が測定される。ここで、重心動揺を測定する装置としては、被測定者の両足が載せられる四角形状の検出板と、検出板の各隅部に配置された4個のロードセルと、マトリックス状に配置された多数の感圧センサとを備えた重心動揺計がある(例えば、特許文献1参照)。多数の感圧センサは、一定以上の圧力を受けた場合にON、圧力を受けなかった場合にOFFとなるものである。この重心動揺計では、被測定者が検出板上に立った状態において、ONである感圧センサのうちで最も大きいX座標とY座標、及び、最も小さいX座標とY座標が検出される。そして、最大最小のX座標及び最大最小のY座標のそれぞれの平均値に基づいて、見かけの中心点(真の重心位置)が算出される。また、これとは別に、検出板が受ける荷重が4つのロードセルによって検出されることによって、被測定者の重心動揺が測定される。従って、被測定者の重心動揺の軌跡が見かけの中心位置に対して、どのような位置関係にあるかを知ることができる。
【特許文献1】特開平7−250823号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる重心動揺計では、見かけの中心点が、最大最小のX座標及び最大最小のY座標のそれぞれの平均値に基づいて算出されるので、例えば、実際には圧力を受けていない感圧センサがノイズなどの何らかの原因でONになった場合であって、その感圧センサの位置が最大最小のX座標及び最大最小のY座標のいずれかである場合には、見かけの中心点が本来の位置から大きくずれて算出されてしまう。また、かかる重心動揺計では、見かけの中心点を算出するための圧力データは多数の感圧センサによって測定され、重心位置を算出するための圧力データは4つのロードセルによって測定される。つまり、かかる重心動揺計では、見かけの中心点を算出するための圧力データを検出する検出装置と、重心位置を算出するための圧力データを検出する検出装置とが、それぞれ別々に設けられている。従って、重心動揺計の製造コストが著しく増大する。また、ある検知時刻における見かけの中心点及び重心位置は、それぞれ異なる検出装置からの圧力データに基づいて算出されるので、これらの2つの位置を完全に同期させることが困難である。また、検出板の各隅部に4個のロードセルが配置されている重心動揺計では、検出板には十分な剛性が必要となるので、重心動揺計が大型化すると共に、その重量が重くなってしまうので、持ち運びが困難である。
【0004】
そこで、本発明の主な目的は、ノイズなどの影響を受けにくい重心動揺検査システム及び重心動揺検査プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
本発明の重心動揺検査システムは、被測定者から加えられる圧力を連続的に又は単位時間おきにそれぞれ検知する複数の圧力検知領域を有するシート状の圧力分布センサと、前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置を連続的に又は単位時間おきに算出する重心位置算出手段と、前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値と閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値以上であるという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を第1所定値に変換する第1の変換手段と、前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値より小さいという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を前記第1所定値とは異なる第2所定値に変換する第2の変換手段と、被測定者から前記第1の変換手段によって前記第1所定値に変換された出力値及び前記第2の変換手段によって前記第2所定値に変換された出力値に対応した圧力が前記複数の圧力検知領域に対してそれぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置の基準となる基準位置を算出する基準位置算出手段と、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の前記基準位置算出手段が算出した基準位置に対する相対位置をそれぞれ算出する相対位置算出手段とを備えていることを特徴としている。
【0006】
本発明の重心動揺検査プログラムは、コンピュータを、被測定者から加えられる圧力を連続的に又は単位時間おきにそれぞれ検知する複数の圧力検知領域を有するシート状の圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置を連続的に又は単位時間おきに算出する重心位置算出手段と、前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値と閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値以上であるという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を第1所定値に変換する第1の変換手段と、前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値より小さいという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を前記第1所定値とは異なる第2所定値に変換する第2の変換手段と、被測定者から前記第1の変換手段によって前記第1所定値に変換された出力値及び前記第2の変換手段によって前記第2所定値に変換された出力値に対応した圧力が前記複数の圧力検知領域に対してそれぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置の基準となる基準位置を算出する基準位置算出手段と、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の前記基準位置算出手段が算出した基準位置に対する相対位置をそれぞれ算出する相対位置算出手段として機能させることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、圧力分布センサからの圧力分布データに基づいて、被測定者の圧力分布センサ上における重心位置(被測定者の重心位置)の基準となる基準位置が算出されて、この基準位置に対する複数の重心位置の相対位置がそれぞれ算出される。ここで、基準位置は、複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値以上である場合には第1所定値に変換されると共に、閾値より小さい場合には第2所定値に変換された後で、被測定者から第1所定値に変換された出力値及び第2所定値に変換された出力値に対応した圧力が複数の圧力検知領域に対してそれぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置に基づいて算出される。つまり、基準位置は、複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した圧力分布出力値を2値化した結果に基づいて算出される。
【0008】
従って、被測定者の立位中心位置(被測定者と圧力分布センサとの接触領域の中心位置と一致しており、被測定者の両足の中心位置を意味する)と一致する基準位置は、被測定者から圧力が加えられる多数の圧力検知領域に対応した出力値に基づいて算出されるので、複数の圧力検知領域のなかで出力がある圧力検知領域の最大位置及び最小位置に基づいて基準位置が算出される場合と比較して、ノイズなどに起因して基準位置に誤差が生じにくくなる。従って、被測定者の圧力分布センサ上における重心位置の基準位置に対する相対位置の時間的な変化(被測定者の重心動揺)をより精度良く測定することができる。また、被測定者の重心位置及び基準位置の両方が圧力分布センサからの圧力分データに基づいて算出されるので、これらを算出するのに必要なデータを別々に検出するためのセンサ(検出装置)が設けられる場合と比較して、重心動揺検査システムの製造コストを低減することができる。また、ある検知時刻における基準位置及び重心位置は、1つの圧力分布センサからの圧力データに基づいて算出されるので、これらの2つの位置を完全に同期させることができる。また、シート状の圧力分布センサは、薄型化且つ軽量化できるので、重量動揺検査システムの持ち運びが容易である。
【0009】
本発明の重心動揺検査システムにおいて、前記閾値は正の数であると共に、前記第1所定値は正の数であり且つ前記第2所定値は0であってもよい。
【0010】
本発明の重心動揺検査プログラムにおいて、前記閾値は正の数であると共に、前記第1所定値は正の数であり且つ前記第2所定値は0であってもよい。
【0011】
この構成によると、複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が、第1所定値に変換された場合には、その圧力検知領域に力が加えられたと検知され、第2所定値に変換された場合には、その圧力検知領域に力が加えられていないと検知される。従って、被測定者の立位中心位置を精度良く算出することができる。
【0012】
本発明の重心動揺検査システムにおいて、前記基準位置算出手段は、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値に基づいて、その検知時刻における基準位置を算出してもよい。
【0013】
本発明の重心動揺検査プログラムにおいて、前記基準位置算出手段は、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値に基づいて、その検知時刻における基準位置を算出してもよい。
【0014】
この構成によると、各検知時刻における基準位置と重心位置とを完全に同期させることができる。
【0015】
本発明の重心動揺検査システムにおいて、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値を検知時刻毎に記憶する記憶手段をさらに備えており、前記基準位置算出手段は、前記記憶手段に記憶された複数の検知時刻における所定圧力検知領域の出力値の全てが前記第2所定値である場合にだけ、その所定圧力検知領域の出力値が前記第2所定値であるとして、各検知時刻における基準位置を算出してもよい。
【0016】
本発明の重心動揺検査プログラムにおいて、コンピュータを、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値を検知時刻毎に記憶する記憶手段としてさらに機能させるものであって、前記基準位置算出手段は、前記記憶手段に記憶された複数の検知時刻における所定圧力検知領域の出力値の全てが前記第2所定値である場合にだけ、その所定圧力検知領域の出力値が前記第2所定値であるとして、各検知時刻における基準位置を算出してもよい。
【0017】
この構成によると、各検知時刻における基準位置と重心位置とを完全に同期させることができる。また、ノイズなどに起因して基準位置に誤差が生じるのが抑制される。
【0018】
本発明の重心動揺検査システムにおいて、前記相対位置算出手段が算出した複数の重心位置の相対位置の時間的な変化の様子をディスプレイに表示させる制御手段をさらに備えていてもよい。
【0019】
本発明の重心動揺検査プログラムは、コンピュータを、前記相対位置算出手段が算出した複数の重心位置の相対位置の時間的な変化の様子をディスプレイに表示させる制御手段としてさらに機能させるものであってもよい。
【0020】
この構成によると、複数の重心位置の相対位置の時間的な変化の様子がディスプレイに表示されるので、被測定者の重心動揺の様子を容易に把握することができる。
【0021】
本発明の重心動揺検査システムにおいて、前記制御手段は、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の時間的な変化の様子及び前記圧力分布センサからの圧力分布データに基づく圧力分布をディスプレイに表示させてもよい。
【0022】
本発明の重心動揺検査プログラムにおいて、前記制御手段は、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の時間的な変化の様子及び前記圧力分布センサからの圧力分布データに基づく圧力分布をディスプレイに表示させるものであってもよい。
【0023】
この構成によると、ディスプレイを見ることによって、被測定者の重心動揺の様子を把握することができると共に、被測定者の重心位置の軌跡及び圧力分布センサ上における圧力分布を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る重心動揺検査システムの概略構成を示す外観図である。図2は、図1の重心動揺検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示す重心動揺検査システム1は、シート状の圧力分布センサ11と、圧力分布センサ11に接続された圧力検出部12と、パーソナルコンピュータ(パソコン)20と、圧力検出部12とパソコン20とを接続する接続ユニット40とを備えている。接続ユニット40は、インターフェースボックス45及びインターフェースケーブル46を含んでおり、その両端が圧力検出部12及びパソコン20の各入出力インターフェース(図示しない)に接続されている。
【0026】
圧力分布センサ11は、被測定者がその上に立つ場合に、被測定者の両足から加えられる圧力を検知する圧力検知領域となる多数の感圧センサ11aが格子状に配置されたものである。圧力検出部12は、多数の感圧センサ11aのそれぞれに接続されており、各感圧センサ11aの状態を検出する。本実施の形態では、圧力分布センサ11の厚さは、約0.1〜0.2mmである。ここで、本実施の形態では、各感圧センサ11aの状態は、それらに加えられる圧力に対応した0〜255のデジタル出力値によって表され、その出力値がパソコン20に対して出力される。
【0027】
このように、本実施の形態では、被測定者がその上に立つための十分な剛性を有する検出板は必要ではなく、被測定者の両足は圧力分布センサ11上に載せられる。なお、圧力分布センサ11は、本実施の形態のように、シート単体での使用も可能であるが、シートの保護の観点から、ゴムシートを緩衝用に積層してもよい。また、床上へのセッティングを容易にする目的でセンサを保持するアルミなどの金属製や樹脂製の板の上に積層してもよい。
【0028】
パソコン20は、ディスプレイ21と、キーボード25と、マウス26と、制御部30(図2参照)とを有している。ここで、制御部30には、重心動揺検査システム1に係る各種動作を制御する重心動揺検査プログラムやデータなどが格納されたハードディスク、重心動揺検査システム1の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、CPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。
【0029】
制御部30は、図2に示すように、モード設定部131と、圧力分布データ記憶部132と、重心算出部133と、比較部134と、変換部135と、基準位置算出部136と、相対位置算出部137と、重心位置記憶部138と、相対位置記憶部139と、パラメータ算出部140と、表示制御部141とを有している。また、制御部30には、ディスプレイ21と、キーボード25と、マウス26とがそれぞれ接続されている。
【0030】
モード設定部131は、被測定者の重心位置の基準点に対する相対位置(重心変位)の時間的な変化の様子を示すグラフを作成する際の基準点のモードの設定が行われる。本実施の形態では、モード設定部131には、装置中心基準であるモード(1)、接触面中心基準であるモード(2)及び重心動揺平均基準であるモード(3)の3つのモードのいずれか1つが選択可能となっている(図5〜図7参照)。従って、オペレータは、マウス26等を操作することによって、モード(1)〜(3)のいずれかを設定することができる。
【0031】
ここで、各モードにおける重心変位の基準点について、図3を参照して説明する。図3には、被測定者が圧力分布センサ11に立つ場合の両足の位置の一例が図示されている。このような場合には、被測定者の両足と圧力分布センサ11との接触領域の中心位置と一致する立位中心位置A及び被測定者の所定時間内における複数の重心位置の平均位置Bは、いずれも圧力分布センサ11の中心位置Oと一致していない。モード(1)では、立位中心位置Aの位置にかかわらず、圧力分布センサ11の中心位置Oを基準点として重心変位が算出される。モード(2)では、立位中心位置Aを基準点として重心変位が算出される。モード(3)では、平均位置Bを基準点として重心変位が算出される。
【0032】
圧力分布データ記憶部132は、圧力検出部12から接続ユニット40を介してパソコン20に送信された圧力分布データを記憶する。ここで、圧力分布データ記憶部132では、圧力分布センサ11に格子状に配置された多数の感圧センサ11aごとに、単位時間おきの圧力分布データが記憶されている。つまり、1つの検知時刻における多数の感圧センサ11aの圧力分布データ(1つのフレーム)が、検知時刻の数量だけ記憶されている。従って、この圧力分布データに基づいて、各感圧センサ11aで検知される圧力の時間的な変化が分かるので、圧力分布センサ11で検出される圧力分布の時間的な変化を検知することができる。
【0033】
重心算出部133は、圧力分布データ記憶部132に記憶された圧力分布データに基づいて、各時間における被測定者の圧力分布センサ11上における重心位置(被測定者の重心位置)を算出する。なお、各時間における被測定者の圧力分布センサ11上における重心位置とは、圧力分布センサ11上の被測定者の重心を鉛直方向に射影したときの圧力分布センサ11上の位置である。
【0034】
ここで、重心算出部133において重心位置が算出される場合の算出方法について、図4を参照して説明する。図4は、所定時間において多数の感圧センサ11aで検知される圧力分布データを示している。本実施の形態の圧力分布センサ11では、多数の感圧センサ11aが、X軸方向(左右方向)にm+1列に配置されていると共に、Y軸方向(上下方向)にn+1列に配置されている。従って、多数の感圧センサ11aは、(m+1)×(n+1)の格子状に配置されている。
【0035】
また、図4では、各感圧センサ11aで検知された圧力データが記号で示されている。例えば、X軸方向にはu列目であって且つY軸方向にはv列目に対応する感圧センサ11aによって検知される圧力データは、a(u、v)(但し、uは0以上m以下の整数、vは0以上n以下の整数)と表されている。
【0036】
この場合のX軸方向の重心位置Cfxは、次式で算出される。
【式1】
【0037】

【0038】
また、Y軸方向の重心位置Cfyは、次式で算出される。
【式2】
【0039】

【0040】
比較部134は、各感圧センサ11aで検知された出力値と、閾値1とを比較する。ここで、上述したように、各感圧センサ11aで検知された出力値は、0〜255のデジタル出力値によって表されるので、各感圧センサ11aにおける出力がある場合には、その出力値は閾値1以上になる。
【0041】
変換部135は、比較部134において、各感圧センサ11aで検知された出力値が閾値1以上であるという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を1(第1所定値)に変換する。また、変換部135は、比較部134において、各感圧センサ11aで検知された出力値が閾値1よりも小さいという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を0(第2所定値)に変換する。従って、変換部135では、各感圧センサ11aにおける出力値が閾値1以上になる場合には、その出力値は1に変換され、各感圧センサ11aにおける出力がない(0である)場合には、その出力値は0のままである。このように、本実施の形態では、各感圧センサ11aの出力値は、0または1のいずれかに変換される(2値化される。
【0042】
基準位置算出部136は、被測定者の重心動揺の基準となる基準点を、各モード毎に異なる方法で算出する。なお、モード(1)では、圧力分布センサ11の中心位置(装置中心)が基準点となるので、基準点の算出は行われない。
【0043】
モード(2)では、被測定者と圧力分布センサ11との接触領域の中心位置が基準点となるので、X軸方向の基準位置Cpxは、次式で算出される。
【式3】
【0044】

【0045】
また、Y軸方向の基準位置Cpyは、次式で算出される。
【式4】
【0046】

【0047】
ここで、式3及び式4においては、圧力データa(u、v)としては、変換部135によって変換された後の出力値が用いられる。つまり、各感圧センサ11aで検知された出力値が閾値1以上である場合には、それらの出力値は全て1として、一方、その出力値が閾値1より小さい場合には、それらの出力値は全て0として、式3及び式4によって基準位置が算出される。つまり、モード(2)では、基準点は、複数の感圧センサ11aのそれぞれで検知される圧力に対応した圧力分布出力値を2値化した結果に基づいて算出される。
【0048】
このように、多数の感圧センサ11aのなかで、被測定者の両足が接触している感圧センサ11aの出力値は1となり、被測定者の両足が接触していない感圧センサ11aの出力値は0となる。この場合には、X軸方向の基準位置Cpx及びY軸方向の基準位置Cpyは、出力値1に対応した大きさの圧力が、被測定者の両足が接触している感圧センサ11aに対して、それぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置として算出される。ここで、X軸方向の基準位置Cpx及びY軸方向の基準位置Cpyが、式3及び式4によって算出される場合には、被測定者の両足が接触している多数(200点以上:例えば成人男性では290点)の感圧センサ11aの出力値に基づいて算出されるので、基準位置に誤差が生じるのが抑制される。
【0049】
モード(3)では、被測定者の所定時間内における複数の重心位置の平均位置が基準点となるので、X軸方向の基準位置Cpxは、次式で算出される。
【式5】
【0050】

【0051】
また、Y軸方向の基準位置Cpyは、次式で算出される。
【式6】
【0052】

【0053】
相対位置算出部137は、各時間において計測された各重心位置に関して、各モードにおける基準点に対する相対位置を算出する。なお、後述する被測定者の重心変位のグラフは、相対位置算出部137で算出された相対位置に基づいて表示される。
【0054】
重心位置記憶部138は、重心算出部133で算出された重心位置を記憶する。
【0055】
相対位置記憶部139は、相対位置算出部137で算出された相対位置を記憶する。
【0056】
パラメータ算出部140は、圧力分布データ記憶部132に記憶された圧力分布データに基づいて、検査結果として、種々の項目に関する数値を算出する。本実施の形態では、下記のような項目に関する数値が算出される。
【0057】
まず、下肢荷重検査結果として、「左右比」、「出現回数」、「出現割合」が算出される。「左右比」は、現在表示されているフレームにおける左右の荷重バランスである。「出現回数」は、左右の荷重バランスの差が7ポイント以上となる回数である。「出現割合」は、全フレームに対する左右のバランスの差が7ポイント以上となった時間の割合である。
【0058】
また、重心動揺検査結果として、「総軌跡長」、「単位時間軌跡長」、「単位面積軌跡長」、「外周面積」、「矩形面積」、「実効値面積」、「X平均中心変位」、「Y平均中心変位」が算出される。「総軌跡長」は、全フレームにおける荷重中心の移動距離である。「単位時間軌跡長」は、総軌跡長を測定時間で割った値である。「単位面積軌跡長」は、総軌跡長を外周面積で割った値である。「外周面積」は、全フレームにおける荷重中心の軌跡で囲まれた範囲の面積である。「矩形面積」は、全フレームの荷重中心の座標で、X、Y軸のそれぞれの最大・最小値からなる矩形の面積である。「実効値面積」は、全フレームの荷重中心の座標で、X、Y軸のそれぞれに対して実効値を算出し、これらより求めた面積である。「X平均中心変位」は、中心基準点から、荷重中心の平均位置のX軸に対する変位量である。「Y平均中心変位」は、中心基準点から、荷重中心の平均位置のY軸に対する変位量である。
【0059】
表示制御部141は、重心動揺検査システム1における測定結果をディスプレイ21に表示する。図5〜図7には、ディスプレイ21に表示される表示画面の一例が図示されている。ここで、図5は、モード(1)における表示画面であり、図6は、モード(2)における表示画面であり、図7は、モード(3)における表示画面である。
【0060】
表示制御部141は、図5〜図7に示すように、圧力分布ウィンドウ51、重心変位ウィンドウ52及びスケールウィンドウ53を含む重心動揺ウィンドウ50を、ディスプレイ21に表示する。
【0061】
圧力分布ウィンドウ51には、被測定者の両足から圧力分布センサ11上に加えられる圧力分布61が、圧力分布データに基づいて表示されている。ここで、圧力分布61は、等圧線状に表示されており、圧力値の大きさが変化するのに伴って、スケールウィンドウ53に表示されるように段階的に変化する色のスケールにしたがって表示されている。また、圧力分布ウィンドウ51には、被測定者の重心が移動するときの軌跡62が太線で表示されている。従って、オペレータは、圧力分布ウィンドウ51を見ることによって、被測定者の両足の圧力分布61及び重心位置の軌跡62を把握することができる。
【0062】
重心変位ウィンドウ52内の上方の領域には、パラメータ算出部140で算出された各項目の数値が表示される。また、重心変位ウィンドウ52内の下方の領域には、左右方向(X軸方向)の重心変位を示すグラフ65a〜65c及び上下方向(Y軸方向)の重心変位を示すグラフ66a〜66cが表示される。
【0063】
また、重心変位ウィンドウ52には、モード(1)〜(3)のいずれかの基準点を設定するボックス68が設けられている。従って、オペレータは、マウス26によってボックス68を操作することによって、重心変位の時間的な変化を示すグラフ65a〜65c、66a〜66cを表示するときの基準点を変更することができる。
【0064】
各モードにおける測定結果からは、以下のようなことが分かる。ここで、図5〜図7では、圧力分布ウィンドウ51から分かるように、被測定者の立位中心位置が、圧力分布センサ11の中心位置から左下方向にずれている。そして、その立位中心位置近傍において重心位置の軌跡62が表示されている。
【0065】
モード(1)では、重心変位が、圧力分布センサ11の中心位置を基準点として算出されるので、重心変位ウィンドウ52に示すグラフ65aでは、重心のX平均中心変位が大きく左方向(縦軸の下方向)にずれていると共に、グラフ66aでは、重心のY平均中心変位が大きく下方向(縦軸の下方向)にずれている。
【0066】
一方、モード(2)の測定結果である図6では、重心変位が、被測定者の立位中心位置(接触面中心位置)を基準点として算出されるので、重心変位ウィンドウ52に示すグラフ65bでは、重心のX平均中心変位が少しだけ右方向(縦軸の上方向)にずれていると共に、グラフ66bでは、重心のY平均中心変位が少しだけ下方向(縦軸の下方向)にずれている。
【0067】
また、モード(3)の測定結果である図7では、重心変位が、所定時間内における複数の重心位置の平均位置を基準点として算出されるので、重心変位ウィンドウ52に示すグラフ65cでは、重心のX平均中心変位が左右方向にずれていないと共に、グラフ66cでは、重心のY平均中心変位が上下方向にずれていない。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態の重心動揺検査システム1においては、圧力分布センサ11からの圧力分布データに基づいて、被測定者の重心位置の基準となる基準点が算出されて、この基準点に対する複数の重心位置の相対位置がそれぞれ重心変位として算出される。ここで、各感圧センサ11aで検知された圧力データは、0でない場合(出力値が1〜255である場合)は1に変換され、0の場合は0のままである。このように、X軸方向の基準位置Cpx及びY軸方向の基準位置Cpyが、2値化された各感圧センサ11aの出力値が用いられ、式3及び式4によって算出される場合には、被測定者の両足が接触している多数(200点以上:例えば成人男性では290点)の感圧センサ11aの出力値に基づいて算出されるので、基準位置に誤差が生じるのが抑制される。従って、基準位置に対する被測定者の重心動揺をより精度良く測定することができる。また、被測定者の重心位置及びその基準となる基準点の両方が圧力分布センサ11からの圧力分布データによって算出されるので、これらを別々に測定するためのセンサが設けられる場合と比較して、製造コストを低減することができる。また、検知時刻Lにおける重心位置及び基準位置は、いずれも1つの圧力分布センサ11によって検知された圧力分布データに基づいて算出されるので、これらの2つの位置を完全に同期させることができる。また、シート状の圧力分布センサ11は、薄型化且つ軽量化できるので、重量動揺検査システム1の持ち運びが容易である。
【0069】
また、重心変位の時間的な変化の様子がディスプレイ21の重心変位ウィンドウ52内にグラフとして表示されるので、被測定者の重心動揺の様子を容易に把握することができる。
【0070】
また、モード(2)では、重心変位が、立位中心位置(接触面中心位置)を基準点として算出されるので、被測定者の立位中心位置と圧力分布センサ11の中心位置とが一致していない場合でも、被測定者の立位中心位置と圧力分布センサ11の中心位置とのずれが補正される。
【0071】
また、モード(3)では、重心変位が、所定時間内における複数の重心位置の平均値を基準点として算出されるので、被測定者の立位中心位置と圧力分布センサ11の中心位置とが一致していない場合でも、被測定者の立位中心位置と圧力分布センサ11の中心位置とのずれが補正されると共に、被測定者の重心位置の振れ幅(左右方向及び上下方向)を直感的に把握することができる。
【0072】
また、重心動揺ウィンドウ50の圧力分布ウィンドウ51には、被測定者の重心位置の軌跡及び圧力分布センサ11上における圧力分布が表示される。従って、オペレータは、ディスプレイ21を見ることによって、重心動揺の様子を把握することができると共に、被測定者の重心位置の軌跡及び圧力分布センサ上における圧力分布を把握することができる。
【0073】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、各感圧センサ11aで検知された出力値が、閾値1以上である場合には、1(第1所定値)に変換され、閾値1より小さい場合には、0(第2所定値)に変換されているが、閾値は1に限られない。従って、出力値がデジタル出力値である場合には、閾値は2以上の整数であってもよい。また、出力値がアナログ出力値である場合には、閾値は0より大きく1より小さい数であってもよいし、1より大きい正の数であってもよい。また、出力値が閾値以上である場合に変換される第1所定値は、1に限られないで、その他の正の数であってもよい。同様に、出力値が閾値より小さい場合に変換される第2所定値は、0に限られないで、その他の数であってもよい。
【0074】
また、上述の実施の形態では、検知時刻Lにおける基準位置は、検知時刻Lにおける各感圧センサ11aの変換後の出力値に基づいて算出されているが、検知時刻Lにおける基準位置は、複数の検知時刻L1、L2、…、Ln(nは整数)における各感圧センサ11aの変換後の出力値に対してOR演算を行うことによって、複数の検知時刻L1、L2、…、Lnにおける変換後の出力値に基づいて算出されてもよい。つまり、複数の検知時刻L1、L2、…、Lnにおける所定感圧センサ11aの変換後の出力値の全てが0である場合にだけ、その所定感圧センサ11aの出力値が0であるとして、基準位置が算出されてもよい。
【0075】
また、上述の実施の形態では、重心変位の時間的な変化の様子がディスプレイ21に表示されているが、重心変位の時間的な変化の様子は表示されなくてもよい。また、重心変位の時間的な変化の様子がディスプレイ21に表示される場合でも、本実施の形態のグラフ以外の方法で表示されてもよい。
【0076】
また、上述の実施の形態では、基準点が、モード(2)では立位中心位置と一致しており、モード(3)では所定時間内における複数の重心位置の平均位置と一致しているが、基準点は、圧力分布センサ11からの圧力分布データに基づいて算出される位置であれば、その他の位置であってもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、重心変位の時間的な変化の様子がディスプレイ21に表示されると共に、被測定者の重心位置の軌跡及び圧力分布センサ11上における圧力分布がディスプレイ21に表示されているが、重心変位の時間的な変化の様子だけがディスプレイ21に表示されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る重心動揺検査システムの概略構成を示す外観図である。
【図2】図1の重心動揺検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】被測定者が圧力分布センサに立つ場合の両足の位置の一例を示す図である。
【図4】所定時間において多数の感圧センサで検知される圧力分布データを示す図である。
【図5】モード(1)における表示画面の一例を示す図である。
【図6】モード(2)における表示画面の一例を示す図である。
【図7】モード(3)における表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 重心動揺検査システム
11 圧力分布センサ
11a 感圧センサ(圧力検知領域)
20 パーソナルコンピュータ
21 ディスプレイ
30 制御部
131 モード設定部
132 圧力分布データ記憶部
133 重心算出部(重心位置算出手段)
134 比較部(比較手段)
135 変換部(第1の変換手段;第2の変換手段)
136 基準位置算出部(基準位置算出手段)
137 相対位置算出部(相対位置算出手段)
138 重心位置記憶部
139 相対位置記憶部
140 パラメータ算出部
141 表示制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者から加えられる圧力を連続的に又は単位時間おきにそれぞれ検知する複数の圧力検知領域を有するシート状の圧力分布センサと、
前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置を連続的に又は単位時間おきに算出する重心位置算出手段と、
前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値と閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値以上であるという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を第1所定値に変換する第1の変換手段と、
前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値より小さいという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を前記第1所定値とは異なる第2所定値に変換する第2の変換手段と、
被測定者から前記第1の変換手段によって前記第1所定値に変換された出力値及び前記第2の変換手段によって前記第2所定値に変換された出力値に対応した圧力が前記複数の圧力検知領域に対してそれぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置の基準となる基準位置を算出する基準位置算出手段と、
前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の前記基準位置算出手段が算出した基準位置に対する相対位置をそれぞれ算出する相対位置算出手段とを備えていることを特徴とする重心動揺検査システム。
【請求項2】
前記閾値は正の数であると共に、前記第1所定値は正の数であり且つ前記第2所定値は0であることを特徴とする請求項1に記載の重心動揺検査システム。
【請求項3】
前記基準位置算出手段は、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値に基づいて、その検知時刻における基準位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の重心動揺検査システム。
【請求項4】
前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値を検知時刻毎に記憶する記憶手段をさらに備えており、
前記基準位置算出手段は、前記記憶手段に記憶された複数の検知時刻における所定圧力検知領域の出力値の全てが前記第2所定値である場合にだけ、その所定圧力検知領域の出力値が前記第2所定値であるとして各検知時刻における基準位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の重心動揺検査システム。
【請求項5】
前記相対位置算出手段が算出した複数の重心位置の相対位置の時間的な変化の様子をディスプレイに表示させる制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重心動揺検査システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の時間的な変化の様子及び前記圧力分布センサからの圧力分布データに基づく圧力分布をディスプレイに表示させることを特徴とする請求項5に記載の重心動揺検査システム。
【請求項7】
コンピュータを、
被測定者から加えられる圧力を連続的に又は単位時間おきにそれぞれ検知する複数の圧力検知領域を有するシート状の圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置を連続的に又は単位時間おきに算出する重心位置算出手段と、
前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値と閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値以上であるという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を第1所定値に変換する第1の変換手段と、
前記比較手段によって前記圧力分布センサからの圧力分布データに含まれる前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した出力値が閾値より小さいという比較結果が得られた場合に、それらの出力値を前記第1所定値とは異なる第2所定値に変換する第2の変換手段と、
被測定者から前記第1の変換手段によって前記第1所定値に変換された出力値及び前記第2の変換手段によって前記第2所定値に変換された出力値に対応した圧力が前記複数の圧力検知領域に対してそれぞれ加えられた場合の被測定者の重心位置に基づいて、前記圧力分布センサ上における被測定者の重心位置の基準となる基準位置を算出する基準位置算出手段と、
前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の前記基準位置算出手段が算出した基準位置に対する相対位置をそれぞれ算出する相対位置算出手段として機能させることを特徴とする重心動揺検査プログラム。
【請求項8】
前記閾値は正の数であると共に、前記第1所定値は正の数であり且つ前記第2所定値は0であることを特徴とする請求項7に記載の重心動揺検査プログラム。
【請求項9】
前記基準位置算出手段は、前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値に基づいて、その検知時刻における基準位置を算出することを特徴とする請求項7または8に記載の重心動揺検査プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
前記圧力分布センサの前記複数の圧力検知領域のそれぞれで検知される圧力に対応した各検知時刻における前記第1の変換手段及び前記第2の変換手段のいずれかによって変換された出力値を検知時刻毎に記憶する記憶手段としてさらに機能させるものであって、
前記基準位置算出手段は、前記記憶手段に記憶された複数の検知時刻における所定圧力検知領域の出力値の全てが前記第2所定値である場合にだけ、その所定圧力検知領域の出力値が前記第2所定値であるとして、各検知時刻における基準位置を算出することを特徴とする請求項7または8に記載の重心動揺検査プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
前記相対位置算出手段が算出した複数の重心位置の相対位置の時間的な変化の様子をディスプレイに表示させる制御手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の重心動揺検査プログラム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記重心位置算出手段が算出した複数の重心位置の時間的な変化の様子及び前記圧力分布センサからの圧力分布データに基づく圧力分布をディスプレイに表示させることを特徴とする請求項11に記載の重心動揺検査プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−614(P2006−614A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307364(P2004−307364)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【特許番号】特許第3621091号(P3621091)
【特許公報発行日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】