説明

重症の鬱病および睡眠覚醒サイクル障害の治療および/または予防のための14,15−ジヒドロ−20,21−ジノルエブルナメニン−14−オールの使用

本発明は、ヒトにおける重症の鬱病の治療、特に従来の抗鬱薬治療に対して抵抗性がある患者の治療および睡眠覚醒サイクル障害の治療、のための、14,15−ジヒドロ−20,21−ジノルエブルナメニン−14−オールの新規な治療的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明の目的は、ヒトにおける大鬱病(major depression)の治療、特に、従来の抗鬱薬による治療に対して抵抗性がある患者の治療、または睡眠覚醒サイクル障害(wakening-sleep cycle disorders)の治療のための、14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールの新規治療用途である。
【0002】
鬱病は、最も多い心理学的問題の1つである。フランスでは、鬱病の人の割合は14.9%であり、そのうちの3分の1の人が医学的な治療を受けていない。女性の5人に1人が罹患している。
【0003】
公表されている鬱病の有病率は、1970年から6倍に高まっている。1992〜1997年の間では、鬱病に罹患している人の割合が20歳〜29歳の若者層で特に増加した(+65%)(この期間においてこの若者層での失業率も20%増加した)。
【0004】
生涯の間に大鬱病を患う危険性は、調査によって異なり、女性では10〜25%、男性では5〜12%である。
【0005】
大鬱病は、DSM IV(米国の精神疾患の分類)に記載されている鬱病のカテゴリーの1つであり、鬱病の症状によって特徴付けられる。特に、大鬱病(以前はメランコリー型鬱病と呼ばれていた)は、他の臨床分類群(反応性抑鬱状態、極度の疲労が原因での鬱病、フィールドに関連した鬱病(子供、妊婦、高齢者の鬱病)または季節性鬱病など)とは区別する必要がある。
【0006】
従って、特に、一部の患者が従来の抗鬱薬に応答しないことから、このタイプの鬱病に適する治療を見つけることが特に重要である。
【0007】
20,21−ジノルエブルナメニン誘導体(dinoreburnameine)(14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールを含む)は、それらの血管拡張作用(特に、脳)や青斑核でのチロシンヒドロキシラーゼの調節におけるそれらの活性ですでに知られている(Bourde et al., Neurochem. Int., 23 (6), 567-574, 1993)。それらは、脳血管障害や循環の変化が原因で起こる総ての症候群に使用される。
【0008】
これらの誘導体と初めて明らかになったそれらの治療用途が、1978年9月15日に公開された特許出願FR2381048において記載された。この特許出願は、1980年3月14日に公開された追加特許出願FR2433528の対象であった。
【0009】
さらに詳しく言えば、出願FR2381048には、20,21−ジノルエブルナメニンの誘導体とそれらの調製方法が記載されている。これらの化合物の薬理学的特性も記載されている。これらの化合物は、脳微小循環における脳血流を特に増加させる有用な脳酸素供給因子因子および血圧調節因子である。
【0010】
また、出願FR2433528には、20,21−ジノルエブルナメニンから得られる特定の異性体の調製のための方法と、その方法によって得られる異性体も記載されている。
【0011】
1989年6月1日に公開された出願WO89/04830には、20,21−ジノルエブルナメニンの新規置換誘導体、それらの製造のための方法および医薬、特に抗鬱薬としてのそれらの用途が記載されている。
【0012】
鬱病は、ストレスの多い情緒の変化と知的活動およびモトリシティ(motricity)の低下を併せ持つ病的精神状態である。鬱病は、事実上長期の病的状態であり、ある種の悲哀と気力の減退によって特徴付けられる。
【0013】
ヒトにおいて鬱病を診断するために使用される主な症状は:
抑鬱気分、
興味または喜びの著しい減退、
摂食における問題、
睡眠問題、
焦燥またはサイコモトリシティ(psychomotricity)の低下、
疲労感または気力の喪失、
自尊心の欠如または過剰な罪責感、
思考力または集中力の低下、あるいは決断困難、
病的思考(症例の60%)、
自殺念慮(症例の15%において)
である。
【0014】
鬱病の原因としては、以下のものが挙げられる:
1)遺伝要因
近親者が鬱病に罹患しているか、または鬱病に罹患したことがある人は、罹患する可能性が最も高い。近親者が鬱病ではない人が鬱病を発症する危険性がわずか2〜3%である一方で、このような人が鬱病を発症する危険性は15%である。
2)生化学的要因
鬱病についての現在の研究は、神経伝達物質を対象としている。このことによって、セロトニンの欠乏またはアンバランスが睡眠不足や食欲減退を引き起こすこと、さらにノルアドレナリンの減少が気力の喪失、喜びの喪失に影響を及ばしていることも分かった。
3)環境要因
愛する人(親などの)を失うという経験をした子供は、以後の人生において鬱病を発症する可能性がより高い。関係、コミュニケーションの問題および家庭での衝突、職業上の衝突またはその他の衝突で起こる困難もまた、孤独、疎外感の一因となり、鬱病につながることもある。経済的困難や他の緊張状態もまた、重大な影響を及ぼし得る。
【0015】
季節的要因も軽視してはならない。鬱病の割合は日照が最も少ない月に高くなっている。
先行技術には、鬱病についての2つの主要なタイプの治療が記載されている。
【0016】
まず第1に、あらゆる種類の鬱病に適する、抗鬱薬を用いる医薬による治療。これらの薬剤は神経伝達物質の平衡に作用する。
抗鬱薬は、重症の鬱病を患っている人の75%において効果的である。
第2に、精神療法−単独療法としては使用できないが患者を助ける。
【0017】
行動療法または認知療法(cognitic therapies)(特に、神経症性鬱病に適用できる)、シスモセラピー(sismotherapy)および電気ショック(最終手段として使用)のような他の種類の治療もある。
【0018】
鬱病の発症は、極めて様々であり、多くのパラメーターに依存する:病因、患者の人格など。
治療を受けていないと、鬱病が6ヶ月以上続き、時には、自殺という極端な結果に終わるということが多く起こる。重症の鬱病性障害(depression disorder)を有する患者の15%までが自殺をする。
【0019】
鬱病は、DSM IV判定基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, American Psychiatric Association Publisher; Washington DC)を用いて診断される。このDSM IVは、American Psychiatry Associationによって作成された、精神疾患の診断と統計の基準である。
【0020】
DSM IV判定基準によれば、大鬱病(「大鬱病」(Major Depressive Disorder)はMDDとも呼ばれる)は、特に気分変調性障害(dysthymic disorders)(小鬱病)とは異なっている。この気分変調性障害の特徴は、慢性的な鬱病であり、大鬱病よりも重症度は低いが、そのエピソードは少なくとも2年続くこともあり、総ての症例の3分の2を超える症例では大鬱病へと移行する。
【0021】
DSM IV判定基準によれば、重症の鬱病は、重度の、最も一般的な臨床型の鬱病であり、この鬱病に関しては患者のほんの10〜25%しか治療を模索していない。この鬱病の特徴は、少なくとも2週間の情緒の変化または興味の喪失という1つまたはいくつかのエピソードであり、少なくとも4つのさらなる鬱病症状を伴う;これらの症状は、例えば、食欲、体重、睡眠もしくはサイコモトリシティ活性(psychomotricity activity)の変化;気力の減退、自尊心の低下感もしくは罪責感、思考困難、集中困難、決断困難、または死についての反復思考、あるいは自殺計画もしくは自殺企図の思考過程であり得る。
【0022】
大鬱病エピソードを特徴付けるためには、以前は現れていなかった新たな症状、またはこれまでのエピソード中の人の状態と比べて悪化した新たな症状が現れていなければならない。症状は、少なくとも2週間連続で、ほぼ毎日、一日中続かなければならない。このエピソードは、重大な臨床的困難または社会的行動および職業的行動の低下を伴っていなければならない。より良性のエピソードを有する一部の人では、行動が正常に見えるが、極めて大きな努力が必要である。
【0023】
定義によれば、大鬱病エピソードは、薬物乱用による直接の生理学的影響(例えば、アルコールまたはコカイン中毒による禁断症状/依存に関して)によって起こるものではなく、医薬または治療(例えば、ステロイド)を受けた場合の二次的影響によって起こるものでもなく、毒素への曝露によって起こるものでもない。同様に、このエピソードは、一般に医学的状態(例えば、甲状腺機能亢進症)の直接の生理学的影響によって起こるものでもない。
【0024】
大鬱病は、従来の抗鬱薬による治療に抵抗する鬱病(「治療抵抗性鬱病」(Treatment Resistant Depression)はTRDと呼ばれる)を包含する。鬱病に罹患している患者の30〜46%は、抗鬱薬に対して部分的に反応するか、または全く反応しない(Fava et al., Psychiatric Clin. North Am., 19, 2, 179-200, 1996)。
【0025】
現在、よく販売されている従来の抗鬱薬は、以下の主な種類に属する:
三環系抗鬱薬(TCA)、
モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAO)(MAOI)、
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNDRI)、
ノルアドレナリンおよび選択的セロトニン抗鬱薬(NASSA)、
およびセロトニン受容体モジュレーター。
【0026】
治療抵抗性鬱病(TRD)は、より不利な状況にある慢性型のMDDである(Kornstein et al., J. Clin. Psychiatry, 62, suppl. 16, 18-25, 2001)。Thase et al.(Thase et al., J. Clin. Psychiatry, 58, suppl. 13, 23-29, 1997)によって提案されたモデルによれば、TRDの病期は以下のように評価される:
I期:主な種類の抗鬱薬についての少なくとも1種類の適当な試験の失敗;
II期:I期での失敗に加えて、I期で使用したものと異なる種類の抗鬱薬についての適当な試験の失敗;
III期:II期での失敗に加えて、三環系抗鬱薬についての適当な試験の失敗;
IV期:III期での失敗に加えて、MAO阻害薬についての適当な試験の失敗;および
V期:IV期での失敗に加えて、両側性電気ショック療法(ECT)による治療の失敗。
【0027】
Massachusetts General Hospital (MGH) Bostonは、以下の項目からTRD過程を分類する方法を見つけ出した:
項目1:グローバルな抵抗性スコアを与える市販の抗鬱薬についての各試験に対して反応なし(各試験につき1ポイント)(抗鬱薬の適切な用量で少なくとも6週間);
項目2:配分の最適化、各試験の期間および増加/組合せの最適化(MGHまたは抗鬱薬治療質問事項への回答に基づく)(各試験につきおよび各最適化/戦略につき0.5ポイント);および
項目3:ECTは合計を3ポイント増やす。
【0028】
TRDが臨床実践において比較的一般的な事象であるという事実は注目すべきであり、患者の50〜60%を超える人が抗鬱薬治療に反応しない。
これらの大鬱病は、軽躁病エピソードを伴う「反復性大鬱病性障害」(Major Recurrent Depressive Disorder)(MRDD)を包含する。
【0029】
これらの鬱病性障害の重篤度(軽症型〜重症型)は、古典的で、有効な数値的評価尺度(HAMD(「ハミルトン鬱病評価尺度」(Hamilton Depression Scale))評価尺度または最も多く用いられているMADRS(モンゴメリー−アズバーグ鬱病評価尺度(Montgomery and Asberg Depression Rating Scale))評価尺度など)を用いて評価され得る。これらの評価尺度に従って、鬱病の症状が、HAMD評価尺度では26より高いスコアとなり、またはMADRS評価尺度では35より高いスコアとなる場合にその鬱病は重症と考えられる。
【0030】
睡眠障害は、増加している人口の比率に影響を与える。ヨーロッパ、アメリカおよびオーストラリアにおいて睡眠障害を患っている人口の比率は、少なくとも20%であると推定される。フランスの人口の大標本を扱う2つの調査から有病率が22%であることが分かる。フランス人の6人に1人が睡眠障害を訴えている(9百万人を超える)。
【0031】
睡眠障害の重篤度および慢性化は年齢とともに高まり、催眠薬および精神安定薬常用者の60〜70%が40歳を超えている。しかしながら、子供の不眠症の重篤度については、調査が通常、障害を軽く見る親の評価に基づいているために、まだ理解が遅れている。16歳〜19歳のティーンエージャーに対して行った睡眠についての質問事項から、ティーンエージャーの14%が入眠困難を経験し、8%が夜間目覚めることが多く、6%が朝非常に早く目覚めることが示され得る。
【0032】
従って、患者において大鬱病性障害を治療することが可能である化合物を有すること、または上記のような従来の抗鬱薬を用いた治療に対して抵抗性がある、鬱病、特に、大鬱病に罹患している「TRD」患者を治療することおよび/もしくは睡眠覚醒サイクル障害の治療に先だって処置することが重要である。
【発明の概要】
【0033】
これが、以下に記載され、特許請求する本発明の目的である。
驚くべきことに、14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール(本書ではBC19と呼ばれる)は、ラセミ混合物形態である場合には、大鬱病および/もしくはTRDに罹患している患者を治療するため、ならびに/または睡眠覚醒サイクル障害の治療に先だって処置するために使用することができるということが判明した。
【0034】
驚くべきことに、14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールは、従来の抗鬱薬治療に対して抵抗性がある、大鬱病に罹患している患者に使用することができ、その患者をこれらの治療に対して感受性にすることも証明された。
【0035】
従って、本発明の目的は、大鬱病(MDD)の治療もしくは予防用、および/または睡眠覚醒サイクル障害の治療用の医薬組成物の調製のための、下記式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用である。
【化1】

【0036】
好ましくは、前記睡眠覚醒サイクル障害は、睡眠発作(narcolepsy)、過剰睡眠(hypersomnia)および慢性的低覚醒状態(chronic hypo-arousal conditions)の中から選択される。
【0037】
もう1つの態様によれば、本発明の目的は、従来の抗鬱薬(三環系抗鬱薬(TCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNDRI)、ノルアドレナリンおよび選択的セロトニン抗鬱薬(NASSA)もしくはセロトニン受容体モジュレーターからなる種類に属する抗鬱薬など)による治療に対して部分的または完全に抵抗性がある、鬱病に罹患している患者(TRDに罹患している患者)の治療または予防用の医薬組成物の調製のための式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用である。
【0038】
好ましい一態様によれば、本発明は、従来の抗鬱薬による治療に対して部分的または完全に抵抗性がある、大鬱病に罹患している患者(MDDおよびTRDに罹患している患者)の治療用または予防用の医薬組成物の製造のための、式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用に関する。
【0039】
特定の一態様によれば、本発明は、大鬱病がDSM IVの分類による双極性型鬱病、詳しくは、反復性大鬱病性障害(major recurrent depressive disorder)(MRDD)であることを特徴とする、本発明の式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用に関する。
【0040】
特定の一態様によれば、本発明は、鬱病の重篤度が、HAMD(「ハミルトン鬱病」(Hamilton Depression))評価尺度を用いて評価した場合に26より高いスコアを有し、またはMADRS(モンゴメリー−アズバーグ鬱病評価尺度(Montgomery and Asberg Depression Rating Scale))評価尺度を用いて評価した場合に35より高いスコアを有することを特徴とする、本発明の式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用に関する。
【0041】
さらにもう1つの態様によれば、本発明の目的は、従来の抗鬱薬治療に対して抵抗性がある、大鬱病に罹患している患者を治療して、その患者をこれらの治療に対して感受性にする医薬組成物の製造のための、式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用である。
【0042】
医薬上許容される付加塩としては、例えば、無機酸または有機酸を含む付加塩、詳しくは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、アルキルモノスルホン酸(alkoylmonosulfonic acids)(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸など)、アルキルジスルホン酸(alkoyldisulfonic acids)(メタンジスルホン酸、α,β−エタンジスルホン酸など)ならびにアリールモノスルホン酸(ベンゼンスルホン酸など)およびアリールジスルホン酸を用いて生成される塩(これらの塩は例示を目的としてのみ記載されており、限定するものではない)が挙げられる。
【0043】
式(I)を有する化合物は2種類のエナンチオマー3αおよび16αを特徴とし、これらのエナンチオマーは、各々、炭素14の配置に応じたジアステレオ異性体対によって特徴付けられる:
−(3α,14α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールと(3α,14β)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールの対;および
−(14α,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールと(−)(14β,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールの対。
【0044】
回転性を測定して、各異性体に(+)および(−)記号を付けた。
【0045】
種々の化合物が、Bourde et al. (Neurochem Int., 1993, 23, 567-574)によって公開された論文の図1に記載されている。
【0046】
従って、本発明の特定の一態様の目的は、ラセミ混合物または光学活性混合物形態である式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つである。
【0047】
本発明のもう1つの目的は、式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが、式(I)を有する以下の化合物:
a)(3α)(±)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール、および
b)(16α)(±)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール
(ここで、これらの化合物a)およびb)において存在する2種類の(+)ジアステレオ異性体と(−)ジアステレオ異性体の混合物は等モル比であるか、または等モル比でない)
の中から選択されることを特徴とする本発明の使用である。
【0048】
本発明のもう1つの目的は、式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが、式(I)を有する以下の化合物:
a)(3α,14α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール、
b)(3α,14β)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール、
c)(14α,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール、および
d)(14β,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール
の中から選択されることを特徴とする本発明の使用である。
【0049】
さらに詳しく言えば、本発明の目的は、経口投与され得るか、静脈投与され得るか、または腹膜内もしくは筋肉内投与され得るか、あるいは他の任意の方法によって投与され得る、本発明の抗鬱作用を得るか、または従来の抗鬱薬治療に対して抵抗性がある、大鬱病に罹患している患者を、これらの治療に対して感受性にすることを目的とした医薬組成物の製造のための、本発明の式(I)を有する化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用である。
【0050】
本発明の医薬組成物の有効物質は、錠剤、カプセル剤および液体製剤(種々の色、風味および安定マスキング物質を含有するエリキシル剤および懸濁剤など)をはじめとする通常使用される経口剤形のいずれであってもよい。
【0051】
本発明の経口剤形を製造するために、有効物質を種々の従来の物質(デンプン、炭酸カルシウム、ラクトース、スクロースおよび第二リン酸カルシウムなど)と混合して、カプセル封入工程を容易にしてもよい。必要に応じて、ステアリン酸マグネシウム(添加剤として)により、有用な潤滑機能を提供する。
【0052】
本発明の医薬組成物の有効物質は、医薬上許容される滅菌液(滅菌水、滅菌有機溶媒またはこれらの2種類の液体の混合物など)中に溶解していてもよいし、その滅菌液中の懸濁液として存在していてもよい。そのような液体は非経口注入に適していることが好ましい。
【0053】
有効物質が十分に溶解する場合には、その有効物質を生理食塩水(医薬上許容される滅菌液など)に溶かし、有効物質が十分に溶解しない場合には、好適な有機溶媒(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)の水溶液に溶かす。10〜75重量%のグリコールを含有するプロピレングリコール水溶液が通常好適である。他の例では、有効物質を極めて純度の高い濃縮物として、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースもしくはカルボキシメチルナトリウムの水溶液中または好適な油(例えば、落花生油)中に分散させることによって、他の組成物を得ることができる。
【0054】
液体医薬組成物(滅菌溶液または懸濁液など)は、筋肉内注射、腹腔内(intraperitonal)注射または皮下注射用に使用され得る。
【0055】
好ましくは、医薬組成物は単位用量形(例えば、錠剤またはカプセル剤など)である。この形式では、組成物が好適な量の有効物質を含有する単位用量に細分される。この単位用量はパッケージングされた組成物(例えば、散剤、フラスコ入りまたは薬瓶入り)であり得る。組成物の単位用量中の有効物質の量は、有効物質の特定の必要性および活性に応じて、2mg以下または50mg以上変更または調整し得る。
【0056】
ヒトに対する14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オールの推奨経口用量は20〜60mg/日であってよく、この用量は2分割または3分割した用量で、好ましくは、食事中に投与され得る。最も抵抗性があるメランコリー患者は用量20mg/日に対して反応するが、40mgまたは60mgは必要であり得る。
【0057】
当業者はまた、本発明の化合物の投与方法が大きく変化してもよいことも分かっている。他の経口投与とは異なり、徐放性組成物が好ましいであろう。他の投与方法としては、限定されるものではないが、静脈注射、筋肉内注射および腹膜内注射、皮下埋め込み、ならびに口腔投与、舌下投与、経皮投与、局所投与、直腸投与および経鼻投与が挙げられ得る。
【0058】
特定の一実施形態によれば、本発明の目的は、成人の1日用量が20〜60mgであることを特徴とする、本発明の式(I)を有する化合物またはその医薬上許容される塩の使用である。
【0059】
専門医ならば、各患者に対して好適な用量を決定することができる。この用量は、患者の年齢、体重および治療に対する反応の関数として変動し得る。上記の用量例は平均値である。しかしながら、この平均値よりも低用量または高用量を投与してもよい。
【0060】
式(I)を有する化合物の製造方法
本発明によれば、式(I)により定義される化合物と類似した化合物は、以下の方法を用いて、式(II)
【化2】

を有する光学活性化合物の還元剤による処理から出発して、製造し得る。その結果として、式(I)を有する2種類のジアステレオ異性体対[(3α,14α)、(3α,14β)]および[(14α,16α)、(14β,16α)]、またはそれらの混合物を得、さらに必要に応じて、その反応生成物を無機酸または有機酸により処理して、塩を形成する。
【0061】
式(II)および(II’)を有する生成物は、例えば、仏国特許出願番号FR2190113に記載のとおり製造し得る。
式(II)を有する化合物のラセミ混合物は、スプリッティングにより分割し得る。
【0062】
式(I)を有するジアステレオ異性体対(±)またはその2種類のジアステレオ異性体の混合物(極めて種々の割合で含む)は、式(II)を有する2種類のエナンチオマーの一方の種類を還元することによって得られ得る。仏国特許出願番号FR2623503に記載されている試験では、実際には、2種類のジアステレオ異性体のうちの一方の種類だけが得られることを示している(実施例B参照)。
【0063】
使用される式(II)の化合物は、ラセミ体または光学活性体であり得る。
式(II)を有する生成物から得られた式(I)を有する還元化合物は、明らかにその対応する立体化学形態である。
【0064】
式(II)を有する化合物は、無機酸または有機酸を含むそれらの付加塩のうちの1つの形態で使用され得る。この場合には、式(I)を有する生成物は、選択される作業条件に応じて、加塩化または非加塩化形態で得られ得る。
【0065】
一般式(I)を有する化合物のラセミ混合物または光学活性混合物はまた、第FR2381048号として公開された仏国特許出願および第FR2433528号として公開された仏国追加特許出願に記載のとおり製造され得る。
【0066】
上記の方法は、本発明の実施形態の好ましい条件下において、以下のように実施される。
使用される還元剤は、水素化物、特に、混合水素化物(例えば、リチウムとアルミニウムの混合水素化物)、ナトリウムおよびアルミニウムの水素化ジエチルなど)、水素化ホウ素ナトリウム(sodium hydroboride)、水素化ホウ素リチウム(lithium hydroboride)、水素化ジイソブチルアルミニウムであり得る。
【0067】
還元反応は、有機溶媒または溶媒混合物(例えば、エーテル様エチル性エーテル、テトラヒドロフランまたは芳香族炭化水素(トルエン、ベンゼン、キシレンなど)を用いて行われる。
【0068】
還元反応は、−20℃〜反応媒質の還流温度までの種々の温度において行われ得る。有利には、この反応は周囲温度において行われる。
【0069】
還元剤として金属水素化物を使用する場合、式(I)を有する化合物は、アルカリ性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム溶液など)の添加により、現行の実施によって水素化物とともに形成された中間体複合体から放出される。
【0070】
トランス 3α化合物(II)を還元することにより、(+)(3α,14α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール化合物がもたらされ得る。
【0071】
トランス16α化合物(II’)を還元することにより、(−)(14β,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール化合物がもたらされ得る。
【0072】
これらの化合物を、酸(例えば、塩酸)によって処理して、それぞれ、最も一般的な(−)(3α,14β)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール形態および(+)(14α,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール形態を得ることができる(下記ダイアグラムおよび図2を参照)。
【0073】
式(II)を有する化合物(第BE764166号として公開されたベルギー特許出願に記載されている式(II)を有する化合物)から式(I)を有する化合物の光学活性異性体を合成するための一般的な方法を示すダイアグラム
【化3】

ジアステレオ異性体(disatereoisomers)の1つ、またはジアステレオ異性体(disatereoisomer)の混合物は、通常の方法によって単離され得る:クロマトグラフィー、直接結晶化、可溶化分画(例えば、熱トルエンでの可溶化分画など)。
図面および以下の実施例の説明は、本発明を例示するものであって、その範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1:本発明の化合物の製造のための方法
実施例A:本発明のラセミ混合物(BC19など)または光学活性混合物の製造のための方法
一般式(I)を有する化合物のラセミ混合物または光学活性混合物は、特に、仏国特許出願番号FR2381048またはFR2433528として公開された仏国追加特許出願に記載のとおり製造され得る。
【0075】
実施例B:本発明のジアステレオ異性体の製造のための方法
本発明の式(I)を有する(3α,14α)、(3α,14β)、(14α,16α)および(14β,16α)ジアステレオ異性体は、仏国特許出願番号FR2623503に記載のとおり得られ得る。これらの方法は、以下で簡単に記載する。
【0076】
実施例B1:(14β,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オール(I’
(16α)(+)20,21−ジノルエブルナメニン−14(15H)10.8gを無水トルエン110mlに溶かし、トルエン中、不活性雰囲気下で10分間、25%アルミニウム−ナトリウムジエチルジヒドリド18.9mlを加え、この溶液を周囲温度にて1時間攪拌する。5Nソーダ20mlを加え、90℃で2時間加熱することにより、加水分解を行う。トルエンを蒸留し、同時に水100mlを加える。温度を周囲温度にし、得られた生成物を脱水し、水で洗浄し、低圧にて乾燥させ、予測された生成物10.7gを回収する。この予測生成物をメタノールで再結晶させる。この予測生成物は254℃で融解する。[α]=−36°±1°(c=0.6%DMF)。
【0077】
円偏光二色性(ジオキサン):最大225nm Δε=−8
最大237nm Δε=+9,5
最大280nm Δε=−2
NMRスペクトル H(ピリジン) 250MHz δ(ppm):5.78(C14が有するH)。赤道結合のOHを有する予測構造(軸結合のOHは検出されず)。
【0078】
【化4】

1720
M=268.36g/mol
F=254℃
【0079】
実施例B2:(3α,14α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オール(I
手順は実施例1での手順と同じであり、(3α)(−)(20,21−ジノルエブルナメニン−14(15H)−オン15gから出発し、および予測生成物15g(微量の軸結合のOHを有する生成物を含む)を得る。メタノールで再結晶させた後、254℃で融解する生成物を得る。
[α]=+32.5°±1°(c=1%DMF)
円偏光二色性(ジオキサン):
最大227nm Δε=+10
最大238nm Δε=−10
最大288nm Δε=+2
NMRスペクトル H(ピリジン) 250MHz δ(ppm):5.79C14が有するH)。赤道結合のOHを有する予測構造(軸結合のOHは検出されず)。
【0080】
【化5】

1720
M=268.36g/mol
F=254℃
【0081】
実施例B3:(14α,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オール(I’A1
実施例1により得られた生成物2.75gを2N塩酸55ml中懸濁液に入れ、50℃で1時間、さらに30分間加熱する。得られた溶液に冷水55mlを加え、22Beのアンモニア10mlを加えてアルカリ性pHとし、この溶液を周囲温度にて15分間攪拌する。沈殿物を脱水し、水で洗浄し、50℃にて低圧乾燥させ、2.75gの生成物(軸結合のOHと赤道結合のOHの混合)を得る。この生成物を加圧下で、シリカでのクロマトグラフに付し、酢酸エチル−メタノール−アンモニア混合物(97−3−0.3)により溶出する。結果として、生成物(軸結合のOH).1.70gを得る。
F=234℃。
[α]=+150°±2°(c=1%DMF)。
円偏光二色性(ジオキサン):
最大:230nm Δε=+19
最大:290nm Δε=−1,75
NMRスペクトル H(ピリジン) 250MHz δ(ppm):6.26(C14が有するH)。赤道結合のOHを有する予測構造(軸結合のOHは検出されず)。
【0082】
【化6】

1720
M=268.36g/mol
F=234℃
【0083】
実施例B4:(3α,14β)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オール(I’
実施例3で記載される手順に従い、実施例2により得られた生成物13.3gから出発し、生成物(軸結合のOH)7.7gを得る。F=234℃ [α]=−152.5°±2.5°(c=1%DMF)
円偏光二色性(ジオキサン):
最大:228nm Δε=−20
最大:290nm Δε=+1.5
NMRスペクトル H(ピリジン) 250MHz δ(ppm):6.23(C14が有するH)。赤道結合のOHを有する予測構造(軸結合のOHは検出されず)。
【化7】

1720
M=268.36g/mol
F=234℃
【0084】
実施例2:医薬剤形
a)錠剤:錠剤は以下の処方により製造される:
14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール(BC19):30mg
錠剤用賦形剤適量(賦形剤の詳細:ラクトース、コムギデンプン、処理デンプン、コメデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク)
【0085】
b)カプセル剤:錠剤は以下の処方により製造される:
14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール(BC19):30mg
賦形剤:サッカロース(115mg/カプセル剤)、デンプン、ステアリン酸、ラクトース、タルク、セラック、ポビドン、メタクリルポリマー。
【0086】
実施例3:薬理学的研究;BC19、すなわち、14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オールの急性毒性の判定
前日の晩から絶食状態の10匹の雄および雌マウス(体重20〜22g)のバッチにおいて、急性毒性を判定する。
生理食塩水に溶かした生成物(この溶液には数滴の塩酸が添加されている(よって、試験すべき生成物は塩酸溶液としてある))を静脈内投与する。
【0087】
1週間、毎日、死亡数を記録する。Lichfield J. T. and Wilcoxon F. (J. Pharm. Exp. Therap.96:99, 1949)によって提供された方法を用いて、50%致死量(LD50)値を求めた。得られた結果からは、BC19化合物の有効量において毒性は示されなかった。
【0088】
実施例4:BC19、すなわち、14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン−14−オールの睡眠覚醒サイクル障害の治療への適用
以下の表1に示される解剖学的データは、単回注射の3日後または5回の注射による連続処置(3日おきに注射を実施)の3日後に得たものである。試験した脳領域において、免疫細胞化学によりチロシンヒドロキシラーゼ(TH)に対する免疫陽性細胞およびノルアドレナリンを含有する繊維が確認された。10匹のBalb/cマウス群において睡眠記録を行った。睡眠覚醒サイクルについての基礎データを獲得するために、各動物の脳波を5日間連続して記録した。その後、5匹の動物を、試験5日目から17日目まで3日おきに5回のIP注射により処置した。
【0089】
同時に、別の5匹の動物には賦形剤を注射した。最後の注射後、総てのマウスを6時間断眠させ、さらに2日間連続して記録を続けて、完全REM睡眠覚醒を測定した。これら総ての試験において、与えたBC19用量は1回の注射につき20mg/kgである。
【0090】
【表1】

【0091】
これらの結果は、Balb/cマウスに注射した場合に、BC19化合物は、
かなりの数の青斑核においてノルアドレナリン作動性表現型を回復させること、
前前頭皮質においてノルアドレナリン作動性神経支配を回復させること、
視床下部のニューロン亜集団においてヒポクレチン(hypocretine)表現型を回復させること、および
これら血族マウスの睡眠欠乏後のREM(「急速眼球運動」(Rapid Eye Movement))睡眠覚醒能力の低下を回復させること(REM睡眠は逆説睡眠(paradoxical sleep)とも呼ばれている)
が可能であることを示している。
【0092】
従って、この化合物は、睡眠覚醒サイクル障害(特に、睡眠発作、過剰睡眠および慢性的低覚醒状態を含む)の治療において有効であることが関心深い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】酸性溶液中ラセミ混合物 BC19に存在する4種類の形態を示す図である。図のように、これらの4種類の形態は、16α配置または3α配置のいずれかである2種類のジアステレオ異性体対に相当する。配置3α(左)から配置16α(右)への自然転換は起こり得ない。
【図2】酸の作用によって、ジアステレオ異性体(3α,14α)からジアステレオ異性体(3α,14β)を得る反応とジアステレオ異性体(14β,16α)からジアステレオ異性体(14α,16α)を得る反応を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大鬱病の治療(major depression)もしくは予防用、および/または睡眠覚醒サイクル障害の治療用の医薬組成物の製造のための、下記一般式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つの使用:
【化1】

[式中、3位の水素原子と16位の水素原子はトランスであり、14位のヒドロキシル基がおそらくαまたはβ配置である]。
【請求項2】
治療または予防しようとする、大鬱病に罹患している患者が、従来の抗鬱薬による治療に対して部分的または完全に抵抗性がある、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
鬱病がDSM IVの分類による双極性型鬱病である、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
双極性型鬱病が反復性大鬱病性障害(MRDD)である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
従来の抗鬱薬治療に対して抵抗性がある、大鬱病に罹患している患者を治療して、その患者をこれらの治療に対して感受性にする医薬組成物の製造のための、請求項1に記載のような化合物の使用。
【請求項6】
前記睡眠覚醒サイクル障害が、睡眠発作、過剰睡眠および慢性的低覚醒状態の中から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが、ラセミ混合物または光学活性混合物形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが、下記式(I)を有する以下の化合物の中から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用:
a)(3α)(±)14,15−ジヒドロ 20,21−ジノルエブルナメニン 14−オール、および
b)(16α)(±)14,15−ジヒドロ 20,21−ジノルエブルナメニン14−オール
[ここで、これらの化合物a)およびb)において存在する2種類の(+)ジアステレオ異性体と(−)ジアステレオ異性体の混合物は等モル比であるか、または等モル比ではない]。
【請求項9】
式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが、下記式(I)を有する以下の化合物の中から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用:
a)(3α,14α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール、
b)(3α,14β)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール、
c)(14α,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール、および
d)(14β,16α)14,15−ジヒドロ20,21−ジノルエブルナメニン14−オール。
【請求項10】
医薬組成物が、経口投与されるか、静脈投与されるか、または腹膜内もしくは筋肉内投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
治療しようと患者において、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩のうちの1つが毎日20〜60mg投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519690(P2007−519690A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550246(P2006−550246)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000178
【国際公開番号】WO2005/082365
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(505031783)
【氏名又は名称原語表記】BIOCORTECH
【Fターム(参考)】