説明

重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出する試薬および方法

本発明は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS CoV)を検出する試薬および方法を提供する。本発明は、関連した組成物、キット、システムおよびコンピューターも提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、あらゆる目的において参照により完全に組み込まれている2003年4月21日出願の米国仮出願60/464,115;2003年4月22日出願の60/464,345;2003年4月23日出願の60/464,643;2003年4月24日出願の60/464,965;および2003年8月19日出願の60/496,016の権益を主張する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、分子生物学および核酸化学の分野に関するものである。本発明は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS CoV)を検出するための方法および試薬を提供し、したがって、医学的診断および予後診断の分野にも関する。
【0003】
発明の背景
[0003] 重症急性呼吸器症候群(SARS)は、2002年11月の遅くに中国広東省で最初に確認された。続く数ヶ月の間に、中国の他の地域、ベトナム、カナダ、シンガポール、台湾および他の国で大流行が報告された。この疾患は、感染した個人の近くで接触した医療従事者および家族の間で示された高い感染性を有する点で普通ではない。さらに、感染した患者は急性の地域感染型定型的または非定型的肺炎のための経験的な抗微生物療法に反応しないことも報告されている(参照により組み込まれているPeirisら(2003)「Coronavirus as a possible cause of severe acute respiratory syndrome」、Lancet 361:1319〜1325頁)。
【0004】
[0004] SARS感染患者からの臨床検査材料により王冠型のCoV粒子の存在が明らかになったので、SARSの原因は新規コロナウイルス(CoV)と特定された(参照によって組み込まれているDrostenら(2003)「Identification of a novel coronavirus in patients with severe acute respiratory syndrome」、N.Engl.J.Med.348:1967〜1976頁)。この新しいCoVは、したがってSARS CoVと称された。SARS CoVの完全長ゲノム配列は異なる分離株から報告され、SARS CoVのゲノム構成は他のCoVのそれと類似していることが明らかとなった(参照により組み込まれているMarraら(2003)「The genome sequence of the SARS−associated coronavirus」、Science 300:1399〜1404頁およびRuanら(2003)「Comparative full−length genome sequence analysis of 14 SARS coronavirus isolates and common mutations associated with putative origins of infection」、Lancet 361:1779〜1785頁)。
【0005】
[0005] CoVはコロナウイルス科(Coronaviridae)と呼ばれるプラス(+)鎖RNAのエンベロープを有するウイルスの一科であり、現在は新しく樹立されたNidovirales目に分類されている。この目は、コロナウイルス科およびアルテリウイルス科(Arteriviridae)を含む。Nidoviralesという名称は、ラテン語の巣を意味するnidusに由来し、ウイルス感染の間に生じる亜ゲノムmRNAの3’共末端の「入れ子」セットを指している(参照により組み込まれているCavanagh(2003)「Nidovirales:a new order comprising Coronaviridae and Arteriviridae」、Arch.Virol.14:629〜633頁)。SARS CoVゲノムは非常に大きく、29.7kbあり(参照により組み込まれている上記Marraら(2003)および上記Ruanら(2003))、推定上の23のタンパク質をコードする。主要な構造タンパク質としては、ヌクレオカプシド(Nucleocapsid)、スパイク、膜および小さなエンベロープがある。非構造タンパク質としては、パパイン様プロティナーゼ、3C様プロティナーゼ、RNA依存RNAポリメラーゼ(RdRp)、ヘリカーゼならびにウイルスの複製および転写に関係する他の多くのタンパク質がある(参照により組み込まれている上記Cavanagh(2003)、およびNgら(2002)「Membrane association and dimerization of a cysteine−rich,16−kilodalton polypeptide released from the C−terminal region of the coronavirus infectious bronchitis virus 1a polyprotein」、J.Virol.76:6257〜6267頁)。他のCoVでは、非構造タンパク質の多くはウイルスの配列で僅かに保存されるだけであるが、RdRpは例外であり、多くのCoVで高度に保存されている。
【0006】
[0006] 感染性病原体の認識のためのプライマーおよび/またはプローブとしてのオリゴヌクレオチド配列の使用は、問題を含む免疫学的識別アッセイおよび他の既存の方法の1つの代替手段である。例えば、標的核酸配列を検出するために、標的核酸配列に相補性の核酸プローブがハイブリダイゼーション方法、例えばサザンブロットおよびドットブロットで使われている。これらのハイブリダイゼーション方法の多くは生物の培養および/または濃縮に依存しているので、通常、迅速な診断には不適当である。中でもPCR法などの特定の核酸配列を迅速に増幅する手法の出現により、プライマーおよびプローブ核酸を臨床検査材料に対して直接使用する機構が提供され、それによりハイブリダイゼーションアッセイを実施する前に病原体を濃縮してin vitroで培養する必要がなくなった。したがって、増幅に基づくハイブリダイゼーションアッセイは、臨床試料中の病原体、例えばSARS CoVの検出のための簡易で迅速な診断手法を提供できる。
【0007】
発明の概要
[0007] 本発明は、コロナウイルス属の他の種または他属の種を実質的に検出せず、またそれらとの交差反応なしの、重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの迅速で信頼でき、かつ感度の高い検出のための方法および試薬を提供する。さらに、本発明の方法および試薬を利用して特定のSARS CoVウイルス型とは無関係にそのウイルスを検出することができる。オリゴヌクレオチド、組成物および反応混合物に加えて、本発明はこれらの病原体を検出するためのキットおよびシステム、ならびに関連したコンピューターおよびコンピューター読取り媒体にも関する。
【0008】
[0008] 一態様では、本発明は配列番号1〜12および15〜24またはその相補体からなる群から選択される配列を有する核酸からなるオリゴヌクレオチドを提供する。他の態様では、本発明は配列番号1〜12および15〜24ならびにその相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供し、このオリゴヌクレオチドは100以下のヌクレオチドを有する。他の態様では、本発明は配列番号1〜12および15〜24またはその相補体の1つと少なくとも90%(例えば少なくとも95%)の配列同一性を有する核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供し、このオリゴヌクレオチドは100以下のヌクレオチドを有する。一般的に、これらの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドはプライマー核酸、プローブ核酸またはその他である。ある実施形態において、本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドは、長さが約12から約50のヌクレオチドの配列を有する。例えば、一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは40以下のヌクレオチド(例えば35以下のヌクレオチド、30以下のヌクレオチド、など)を有する。さらに実例を示すと、一部の実施形態ではこのようなオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む。ある実施形態において、例えば本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、修飾されていないヌクレオチドと比較して核酸ハイブリダイゼーション安定性を変更するために変更される。一部の実施形態において、本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー分子を含む。ある実施形態において、これらのオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの保存的に修飾された変異を含む。
【0009】
[0009] 他の態様において、本発明は試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出する方法に関する。この方法は、(a)試料からの核酸と、配列番号1〜12および15〜24およびその相補体からなる群から選択される少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つのプライマー核酸とを、少なくとも1つの核酸増幅反応(例えばnestedPCR法など)で接触させる工程を含む。さらに、この方法は(b)工程(a)の間あるいは後の核酸増幅反応からの核酸および/またはその1つまたは複数のアンプリコンを検出する工程も含み、これにより試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出する。試料は、一般的には哺乳類の対象、例えばヒト対象に由来する。ある種の実施形態では、アンプリコンの少なくとも1つは、長さが約440のヌクレオチドである。一部の実施形態では、少なくとも1回の核酸増幅反応は、配列番号11または22および配列番号12または20から選択される配列を含むプライマー核酸を使用して実施される。ある実施形態では、少なくとも1回の核酸増幅反応は、配列番号15または18および配列番号16または19から選択される配列を含むプライマー核酸を使用して実施される。任意選択的に、少なくとも1つのプライマー核酸は、修飾されたプライマー核酸を含み、かつ/または少なくとも1つの標識を含む。いくつかの実施形態では、例えば、修飾されたプライマー核酸は核酸増幅特異性を変化させる修飾、および/または制限部位リンカー修飾を含む。ある種の実施形態では、工程(b)はアンプリコンと、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることを含む。一般的に、前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの標識、および/または少なくとも1つのクエンチャー分子を含む。ある種の実施形態では、例えば、前記オリゴヌクレオチドは配列番号27または配列番号28から選択される配列を有する5’−ヌクレアーゼプローブを含む。これらの実施例では、任意選択的に工程(b)は標識によって生じる検出可能なシグナルを検出すること、または、標識によって生じる検出可能なシグナルを増幅して増幅シグナルを生成し、この増幅シグナルを検出することを含む。
【0010】
[0010] 他の態様では、本発明は試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を判断する方法を提供し、この方法は(a)試料からの核酸および/またはそのアンプリコンと、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する少なくとも1つの核酸を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドとを接触させる工程を含む。前記方法は、(b)前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の結合をモニター(例えば、単一時点、複数の異なる時点、選択された期間内に連続的に、など)する工程も含み、前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の検出可能な結合は、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を判定する。試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在は、通常工程(a)の前には未知であるか、または未確認である。ある実施形態において、工程(a)は前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとを少なくとも42℃の温度の溶液中で少なくとも15分間接触させることを含み、前記溶液の総重量は約50%のホルマリンを含み、また約1mg/mlの濃度のヘパリンを含む。さらに、前記方法は一般的にシークエンシング反応以外の反応を含む。試料は、一般的には哺乳類の対象、例えばヒト対象に由来する。ある実施形態において、前記核酸および/またはそのアンプリコンならびにオリゴヌクレオチドは、溶液内で接触させられる。任意選択的に、固体支持体が前記核酸および/またはアンプリコン(例えば、固体支持体上に配列される)を含む。他のオプションとして、固体支持体が前記オリゴヌクレオチドを含む。
【0011】
[0011] 一部の実施形態において、核酸の少なくとも1つのセグメントは、工程(a)に先行してまたはその間に、アンプリコンを生成する少なくとも1つの核酸増幅手法を用いて増幅され、また工程(b)は、増幅の間か後に核酸および/またはそのアンプリコンとオリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることを含む。例えば、前記核酸増幅手法は、一般的にPCR法(例えばnestedPCR法など)、リガーゼ連鎖反応および/またはその他を含む。これらの実施形態では、前記セグメントは配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含む少なくとも1つのプライマー核酸を用いて任意選択に増幅される。これらの実施形態の一部において、前記プライマー核酸は本明細書で記載されているかさもなければ当技術分野で公知の少なくとも1つの標識を含む。任意選択的に、前記プライマー核酸は修飾されたプライマー核酸(例えば、核酸増幅特異性を変化させる修飾、制限部位リンカーおよび/またはその他)を含む。
【0012】
[0012] 他の態様では、本発明は対象に由来する試料と、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとを含む組成物に関し、前記オリゴヌクレオチドは100以下のヌクレオチドからなる。試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在は、通常未知であるかまたは未確認である。一般的に、前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの化学的に合成された核酸を含む。ある実施形態において、任意のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは修飾される(例えば、修飾されていないヌクレオチドと比較して核酸ハイブリダイゼーション安定性を変更するために修飾される)。
【0013】
[0013] 一般的には、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー分子を含む。実例を示すと、前記標識は任意選択的に蛍光色素、弱蛍光性標識、非蛍光性標識、比色標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素、その他を含む。
【0014】
[0014] 本発明の組成物のオリゴヌクレオチドは、様々な形態で提供される。一部の実施形態において、例えば少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは溶液形態である。他の実施形態では、固体支持体が少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。このような実施形態では、オリゴヌクレオチドは非共有結合あるいは共有結合で固体支持体と結合している。これらの実施形態で利用される固体支持体の例は、例えばプレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、ミクロビーズ(例えば磁気ミクロビーズ、その他)、チューブ(例えばマイクロチューブ、その他)、線維、ホイスカー、コーム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単層、などから任意選択的に選択される。
【0015】
[0015] さらに実例を示すと、前記オリゴヌクレオチドはビオチンまたはビオチン誘導体と任意選択的にコンジュゲートされ、固体支持体はアビジンまたはアビジン誘導体、あるいはストレプトアビジンまたはストレプトアビジン誘導体と任意選択的にコンジュゲートされる。一部の実施形態において、リンカーはオリゴヌクレオチドを固体支持体に結合させる。このリンカーは、一般的には例えばオリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴエチレングリセロール、オリゴアクリルアミド、アルキル鎖、などから選択される。任意選択的に、切断可能なアタッチメントがオリゴヌクレオチドを固体支持体に連結する。前記切断可能なアタッチメントは、通常、例えば熱、酵素、化学薬剤、電磁放射線、その他によって切断が可能である。
【0016】
[0016] 他の態様では、本発明はキットを提供し、このキットは(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドであって、100以下のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド;および下記の1つまたは複数、すなわち(b)試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在が未知であるか未確認の状態で、試料からの核酸および/またはそのアンプリコンとオリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることによって前記試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を判定するための説明書、あるいは(c)少なくとも前記オリゴヌクレオチドを包装するための少なくとも1つの容器を含む。一部の実施形態において、前記キットは少なくとも1つの酵素(例えばポリメラーゼ、その他)および/または1つまたは複数のヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチド、その他)をさらに含む。
【0017】
[0017] 一部の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドは溶液形態であり、他においては固体支持体がオリゴヌクレオチドを含む。この固体支持体は、例えばプレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、ミクロビーズ、チューブ、線維、ホイスカー、コーム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単層、などから任意選択的に選択される。
【0018】
[0018] 一般的に、前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの標識、および/または少なくとも1つのクエンチャー分子を含む。標識の例としては、例えば蛍光色素、弱蛍光性標識、非蛍光性標識、比色標識、化学発光標識、生物発光標識、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、質量修飾基、放射性同位体、酵素、その他がある。
【0019】
[0019] 他の態様において、本発明は試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出するシステム(例えば自動化システム)を提供する。このシステムは(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドは100以下のヌクレオチドからなる。このシステムは、(b)試料からの核酸および/またはそのアンプリコンとオリゴヌクレオチドとの間の結合を検出する少なくとも1つの検出器、および(c)前記検出器と作動可能に連結した少なくとも1つのコントローラーも含み、前記コントローラーは前記検出器で検出された結合を試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在と関連付ける1組または複数組の命令を含む。さらに、一般的に、前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの標識、および/または少なくとも1つのクエンチャー分子を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの容器または固体支持体がオリゴヌクレオチドを含む。これらの実施形態では、前記システムは任意選択的に(d)容器内または支持体上の温度を調整するために容器または固体支持体に作動可能に接続している少なくとも1つの温度調整器、および/または(e)例えば容器内または支持体上などで1つまたは複数の核酸増幅手法を実施するために、流動体を容器または固体支持体へ、かつ/またはそこから移す少なくとも1つの流動体輸送要素をさらに含む。
【0020】
[0020] 他の態様では、本発明は(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体の1つまたは複数に対応する複数の配列に対応する複数の文字列を含むデータセットを含むコンピューターまたはコンピューター可読媒体を含むシステムを提供する。前記システムは、(b)前記コンピューターまたはコンピューター可読媒体の出力に連結した自動シンセサイザーも含み、前記自動シンセサイザーは前記コンピューターまたはコンピューター可読媒体から命令を受け、前記命令はデータセット内の1つまたは複数の文字列と対応する1つまたは複数の核酸の合成を命令する。
【0021】
付録
[0021] 本出願は、合計22頁の付属書とともに申請されている。この付録は、本発明の特定の態様をさらに説明するものであり、参照により組み込まれている。
【0022】
詳細な説明
I.定義
[0028] 本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定のオリゴヌクレオチド(例えばプライマー核酸、プローブ核酸、その他)、方法、組成物、反応混合物、キット、システム、コンピューターまたはコンピューター可読媒体に限られていないこと、それらは当然変化し得ることを理解するべきである。本明細書で使われる専門用語は特定の実施形態を記載することだけが目的であり、限定するものではないことも理解されたい。さらに、別に定義されていなければ、本明細書で使われる技術用語および科学用語の全ては、本発明が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明を記載しかつ/または請求する際に、以下の専門用語および文法上の変種が、下で述べられる定義に従って使われる。
【0023】
[0029] 「5’−ヌクレアーゼプローブ」は、少なくとも2つの標識を含み、2つの標識の1つが切断されるかさもなければプローブから切り離された後に強度の増加した放射光を発するオリゴヌクレオチドを指す。ある種の実施形態では、例えば、5’−ヌクレアーゼプローブは2つの異なる蛍光色素、例えば5’末端レポーター色素および3’末端クエンチャー色素または分子で標識される。プローブが無傷のとき、エネルギー転移が一般的にこの2つの蛍光団の間で起こり、レポーター色素からの蛍光発光が消光する。PCR法の伸張段階の間、例えば、テンプレート核酸と結合した5’−ヌクレアーゼプローブは、例えばTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断され、レポーター色素の蛍光発光はもはや消光しない。例示的な5’−ヌクレアーゼプローブは、例えば参照により組み込まれている、1993年5月11日にGelfandらに発行された米国特許第5,210,015号「HOMOGENEOUS ASSAY SYSTEM USING THE NUCLEASE ACTIVITY OF A NUCLEIC ACID POLYMERASE」、1999年11月30日にHiguchiに発行された米国特許第5,994,056号「HOMOGENEOUS METHODS FOR NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTION」、および2001年1月9日にHiguchiに発行された米国特許第6,171,785号「METHODS AND DEVICES FOR HEMOGENEOUS NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTOR」で記載されている。
【0024】
[0030] 用語「変化」は、核酸配列の変化を指し、これには、それには限定されないが置換、挿入および/または欠失が含まれる。
【0025】
[0031] 「増幅反応」は、1つまたは複数の標的核酸配列またはその相補体の、プライマーによって開始される複製を指す。
【0026】
[0032] 「アンプリコン」は、別の分子の複製または転写によって生成する分子、例えば転写、クローニングおよび/またはポリメラーゼ増幅反応(「PCR」)(例えばnestedPCR、鎖置換PCR増幅(SDA)、複式PCR増幅、その他)あるいは他の核酸増幅手法で生成する分子を指す。一般的に、アンプリコンは選択された核酸(例えばテンプレートまたは標的核酸)の複製であるか、またはそれに相補的である。
【0027】
[0033] 「増幅シグナル」は、増幅反応の不在下または共存下で生じる増加した検出可能なシグナルを指す。シグナル増幅手法の例は、例えば参照により組み込まれているCaoら(1995)「Clinical evaluaiton of branched DNA signal amplification for qunatifying HIV type 1 in human plasma」、AIDS Res Hum Retroviruses 11(3):353〜361頁、ならびにSegevへの米国特許第5,437,977号、Delairらへの米国特許第6,033,853号、およびHornへの米国特許第6,180,777号で記載されている。
【0028】
[0034] 「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子または少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされ、リガンドとの検出可能な結合に関わることができるポリペプチドを指す。この用語は、天然に生じる形態ならびに断片および誘導体を含む。本明細書で使われる用語の範囲内の断片としては、様々なペプチダーゼによる消化で生成するもの、例えばFab、Fab’およびF(ab)’2断片、化学的解離および化学開裂によって生成するものがあるが、その断片は標的分子、例えば疾患を示す抗原との検出可能な結合をする能力を維持するものとする。
【0029】
[0035] 「アレイ」は、要素の集合を指す。この集合は空間的に整列している(「パターン化アレイ」)か、または乱雑(「ランダムパターン化」アレイ)である。このアレイは1つまたは複数の官能要素(例えばマイクロアレイ上のプローブ部位)を形成するかまたは含むことができ、あるいは、非官能的でもよい。
【0030】
[0036] 用語「結合した」または「コンジュゲートした」は、物質または化合物が互いに連結しているかさもなければ結合している相互作用関係および/または状態を指す。これらの相互作用および/または状態は、一般的には例えば、共有結合、イオン結合、化学吸着、物理吸着およびその組み合わせによって生じる。ある種の実施形態では、例えば、オリゴヌクレオチドは固体支持体に結合する。これらの実施形態の一部では、オリゴヌクレオチドはビオチンとコンジュゲートされ(即ち、ビオチン化され)、固体支持体はアビジンとコンジュゲートされ、その結果前記オリゴヌクレオチドは例えばビオチンとアビジンとの結合相互作用を通して前記固体支持体に結合する。
【0031】
[0037] 分子種は、それらが共有結合的および/または非共有結合的相互作用を通して互いに結ばれるときに「結合する」。例えば、2つの相補的一本鎖核酸は、互いにハイブリダイズして少なくとも1つの二本鎖領域を有する核酸を形成することができる。さらに実例を示すと、抗体および対応する抗原も、非共有結合的に互いに結びつくことができる。
【0032】
[0038] 用語「切断」は、物質または化合物をアタッチメントから他の物質または化合物を放出する過程を指す。ある種の実施形態では、例えば、オリゴヌクレオチドは、例えば固体支持体から切断されて溶液相の方法による前記オリゴヌクレオチドの分析を可能にする。例えば、参照により組み込まれているWellsら(1998)「Cleavage and Analysis of Material from Single Resin Beads」、J.Org.Chem.63:6430頁を参照。
【0033】
[0039] 文字列の文字に関して使用される「文字」は、前記文字列のサブユニットを指す。一実施形態では、文字列の文字は、コードされた生体分子の1つのサブユニットをコードする。したがって、例えばコードされた生体分子がポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドである場合、文字列の一文字は単一のヌクレオチドをコードする。
【0034】
[0040] 「文字列」は、配列情報(例えば生体分子のサブユニット構造、例えば核酸のヌクレオチド配列など)を保存することができるいかなる実体である。一実施形態では、文字列は文字(文字、数字または他の記号)の単純な配列でよく、あるいは、そのような情報を有形または無形(例えば電子、磁気、その他)の形態で表した数字またはコードでもよい。文字列は「線形」である必要はなく、いくつかの他の形態、例えば、リンクリストまたは他の非線形アレイ(例えば、文字の線形アレイを生成するためのコードとして使われる)、またはその他の形態でも存在することができる。文字列は一般的に、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖を直接的にまたは間接的にコードするものであり、例えばいかなる暗号化された文字列、または画像またはオブジェクトの配列などであり、これらはポリヌクレオチドの単量体または多量体、またはその他のもの(天然または人工の単量体でできているにせよ)の配列を表わしている文字列に明白に転換することができる。
【0035】
[0041] 用語「その相補体」は、ある核酸と同じ長さであり正確に相補性の核酸を指す。
【0036】
[0042] 「組成物」は、2つ以上の異なる成分の組み合わせを指す。ある種の実施形態では、例えば、組成物は1つまたは複数の、例えば、支持体の表面に共有結合または非共有結合で結合したオリゴヌクレオチドを含む固体支持体を含む。他の実施形態では、組成物は1つまたは複数の溶液状のオリゴヌクレオチドを含む。
【0037】
[0043] 核酸配列との関連で用語「欠失」は、少なくとも1つのヌクレオチドが核酸配列から、例えば核酸配列の5’末端から、3’末端から、および/または内部の位置から取り出される変化を指す。
【0038】
[0044] 用語「誘導体」は、他の物質と構造的に関連した化学物質、または、例えば化学的または酵素的修飾を通して他の物質(すなわち、それが由来する物質)から作ることができる化学物質を指す。実例を示すと、オリゴヌクレオチドはビオチンまたはビオチン誘導体と任意選択的にコンジュゲートされる。さらに実例を示すと、1つの核酸は、例えば、他の核酸の配列に関する知識に基づく化学合成、他の核酸の増幅、またはその他の過程を通して他の核酸から「誘導する」ことができる。
【0039】
[0045] 用語「検出可能に結合する」は、1つまたは複数の検出方法を使用してバックグラウンドシグナル(例えばノイズ)より多く検出することが可能な少なくとも2つの分子種(例えばプローブ核酸と標的核酸、配列特異抗体と標的核酸、など)の間の結合を指す。
【0040】
[0046] 核酸は、更なるヌクレオチド(あるいは、他の類似分子)が核酸に取り込まれるときに「伸展」または「伸長」する。例えば、核酸は、一般的に核酸の3’末端にヌクレオチドを加えるポリメラーゼなどの生体触媒を取り込んでいるヌクレオチドによって、任意選択的に伸展させられる。
【0041】
[0047] 「伸展したプライマー核酸」は、1つまたは複数の更なるヌクレオチドが加えられるかまたはさもなければ取り込まれた(例えば、共有結合でそれに結合した)プライマー核酸を指す。
【0042】
[0048] 核酸は、一般的に溶液内でお互いに結びつくとき、「ハイブリダイズ」または「結合」する。核酸は、特性の明確な様々な物理化学的力、例えば水素結合、溶媒排除、塩基スタッキングなどによりハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関しての広範なガイドは、Tijssen(1993)によるLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid ProbesパートI第2章、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」、(Elsevier(ニューヨーク)、ならびに参照により組み込まれているAusubel(編)によるCurrent Protocols in Molecular Biology、I、IIおよびIII巻、1997で見られる。HamesおよびHiggins(1995)Gene Probes 1 IRL Press、Oxford University Press、オックスフォード、イングランド(HamesおよびHiggins 1)、ならびにHamesおよびHiggins(1995)Gene Probes 2 IRL Press、Oxford University Press、オックスフォード、イングランド(HamesおよびHiggins 2)は、オリゴヌクレオチドを含むDNAおよびRNAの合成、標識化、検出および定量化に関する詳細を提供する。HamesおよびHiggins 1および2は、両方とも参照により組み込まれている。
【0043】
[0049] 核酸ハイブリダイゼーションアッセイまたは実験、例えば核酸増幅反応、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーション、その他との関連で、「厳密なハイブリダイゼーション洗浄条件」は配列依存的であり、異なる環境パラメータ下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範囲なガイドは、上記Tijssen(1993)、およびHamesおよびHiggins、1および2で見られる。
【0044】
[0050] 本発明の目的において、「非常に厳密な」ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、既定のイオン強度およびpHにおける特定の配列の熱融点(T)よりも少なくとも約5℃低くなるように選択される。Tは、完全に一致するオリゴヌクレオチドに対し試験配列の50%がハイブリダイズする温度(既定のイオン強度およびpHの下で)である。非常に厳密な状態は、特定のオリゴヌクレオチドのTと等しくなるように選択される。
【0045】
[0051] サザンブロットまたはノーザンブロットにおけるフィルター上の相補性核酸のハイブリダイゼーションのための厳密なハイブリダイゼーション条件の例は、1mgのヘパリンを含む42℃の50%ホルマリンを使用し、ハイブリダイゼーションは一晩実施される。厳密な洗浄条件の例は、65℃での0.2×SSCによる15分間の洗浄である(SSC緩衝液の説明に関しては、参照により組み込まれているSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001)を参照)。しばしば、バックグラウンドのプローブシグナルを取り除くために、厳密性の高い洗浄には、厳密性の低い洗浄が先行する。厳密性の低い洗浄の例は、40℃での2×SSCによる15分間の洗浄である。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて無関係なプローブで観察されるものの5倍(あるいはより高い)SN比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0046】
[0052] 本発明の核酸を同定するために、比較ハイブリダイゼーションを用いることができる。
【0047】
[0053] 特に、本発明との関連で厳密なハイブリダイゼーションが検出されることは、例えば、本明細書内の配列リストで示した核酸との構造上の高い類似性を示す。例えば、厳密条件下において本明細書内の例示核酸にハイブリダイズする試験核酸を同定することが望まれる。厳密なハイブリダイゼーションの測定手段の1つは、厳密条件下でリストされた核酸(例えば、配列番号1〜12および15〜24およびその相補体から選択される配列を有する核酸)の1つと検出可能にハイブリダイズする能力である。厳密なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、いかなる試験核酸に対しても経験的に簡単に決定することができる。
【0048】
[0054] 例えば、非常に厳密なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を決定する際には、一組の選択された基準が満たされるまでハイブリダイゼーションの厳密性および洗浄条件を徐々に高くする(例えば、ハイブリダイゼーションまたは洗浄において温度を上げることにより、塩濃度を低くすることにより、界面活性剤の濃度を高めることにより、および/またはホルマリンなどの有機溶媒の濃度を高めることにより)。例えば、ハイブリダイゼーションの厳密性および洗浄条件は、配列番号1〜12および15〜24およびその相補性のポリヌクレオチド配列から選択される1つまたは複数の核酸配列からなるかまたはそれらを含むオリゴヌクレオチドが、完全に一致する相補性の標的(同じく、配列番号1〜12および15〜24およびその相補性のポリヌクレオチド配列から選択される1つまたは複数の核酸配列を含む核酸)と結合してオリゴヌクレオチドと試料中に存在する非標的核酸(例えばSARS−CoV以外の生物からの核酸)とのハイブリダイゼーションで観察されるものよりも少なくとも5倍高いSN比になるまで徐々に高くする。
【0049】
[0055] 非常に厳密な条件下において配列番号1〜12および15〜24で表される核酸にハイブリダイズする標的核酸が検出されることは、本発明の特徴である。そのような核酸の例には、与えられた核酸配列と比較して1つまたは2、3のサイレントまたは保存的な核酸置換を有するものが含まれる。
【0050】
[0056] 2つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連で用語「同一の」または「同一性」パーセントは、例えば当業者に利用可能な配列比較アルゴリズムの1つを用いて測定することによりまたは目視検査により最大の対応関係を並べて比較したときに、同じであるかまたは特定割合の同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。配列同一性割合および配列類似性パーセントを決めるのに適当なアルゴリズムの例はBLASTプログラムであり、これらは例えば参照により組み込まれているAltschulら(1990)「Basic local alignment search tool」、J.Mol.Biol.215:403〜410頁、Gishら(1993)「Identification of protein coding regions by database similarity search」、Nature Genet.3:266〜272頁、Maddenら(1996)「Applications of network BLAST server」、Meth.Enzymol.266:131〜141頁、Altschulら(1997)「Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res.25:3389〜3402頁、およびZhangら(1997)「PowerBLAST:A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation」、Genome Res.7:649〜656頁に記載されている。他の多くの最適アラインメントアルゴリズムも当技術分野で公知であり、配列同一性パーセントを決定するために任意に利用される。
【0051】
[0057] 用語「溶液中」は、アッセイまたは反応のある条件を指し、そこではアッセイまたは反応の成分は固体支持体に結合していなく、液体媒体中に存在する。液体媒体の例は、水性および有機の液体である。例えば、本発明のあるアッセイは、ハイブリダイゼーションを起こさせるためにオリゴヌクレオチドをSARS−CoV核酸およびSARS−CoV核酸アンプリコンと共に溶液中でインキュベートすることを含む。
【0052】
[0058] 核酸配列との関連で用語「挿入」は、少なくとも1つのヌクレオチドが核酸配列の例えば核酸配列の5’末端、3’末端および/または内部の位置に加えられる変化を指す。
【0053】
[0059] 「標識」は、分子と結合(共有結合または非共有結合で)しているかまたは結合することができる部分を指し、この部分はその分子に関する情報(例えば、その分子に関する記述的情報、識別情報、その他)または標識分子が相互に作用(例えば、ハイブリダイゼーションなど)する他の分子に関する情報を提供するあるいは提供することができる。標識の例としては、蛍光標識(例えばクエンチャーまたは吸収剤)、弱蛍光性標識、非蛍光性標識、比色標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、質量修飾基、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、酵素(例えばペルオキシダーゼ、ホスファターゼなど)、その他がある。
【0054】
[0060] 「リンカー」は、共有結合によりまたは非共有結合により化合物または置換基を他の部分、例えばプローブ核酸、プライマー核酸、アンプリコン、固体支持体、その他と結合させる化学分子を指す。例えば、リンカーはオリゴヌクレオチドを固体支持体(例えば、線状または他のロジックプローブアレイ)と結合させるために任意に用いられる。さらに実例を示すと、リンカーは任意選択的に標識(例えば蛍光色素、放射性同位体、その他)をプローブ核酸、プライマー核酸、その他と結合させる。リンカーは、一般的に少なくとも二機能性化学分子であり、ある実施形態において、それらは切断可能なアタッチメントを含み、これらは例えば熱、酵素、化学薬剤、電磁放射線、その他によって切断して、例えば固体支持体から物質または化合物を放出することができる。リンカーを慎重に選択することで、化合物およびアッセイ方法の安定性と適合する適当な条件下において切断することができる。通常、リンカーは化学種を互いに結合させるかそのような化学種の間の最短距離または他の空間関係を保つこと以外には、特定の生物的活性を有しない。しかし、リンカーの成分は、結合される化学種のある特性、例えば三次元構造、実効電荷、疎水性、その他に影響を及ぼすように選択することができる。リンカーの例としては、例えばオリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴエチレングリセロール、オリゴアクリルアミド、アルキル鎖などがある。リンカー分子に関しては、例えば参照により組み込まれているHermanson、Bioconjugate Techniques、Elsevier Science(1996)、Lyttleら(1996)Nucleic Acids Res.24(14):2793頁、Shchepinoら(2001)Nucleosides,Nucleotides & Nucleic Acids 20:369頁、Doroninaら(2001)Nucleosides,Nucleotides & Nncleic Acids 20:1007頁、Trawickら(2001)Bioconjugate Chem.12:900頁、Olejnikら(1998)Methods in Enzymology 291:135頁、およびPljevaljcicら(2003)J.Am.Chem.Soc.125(12):3486頁でさらに説明されている。
【0055】
[0061] 「質量修飾」基は、一般的にはダルトン単位の分子量で測定されるその基を含む分子の質量を変更する。例えば、塩基1つ分大きさまたは配列が異なる少なくとも2つの核酸間の相違を増加させる質量修飾基は、例えば分子量測定を用いて配列決定を容易にするために使用することができる。
【0056】
[0062] 「混合物」は、2つ以上の異なる成分の組み合わせを指す。「反応混合物」は、与えられた反応に関わることおよび/またはそれを容易にすることができる分子を含む混合物を指す。「増幅反応混合物」は、増幅反応を実施するのに必要な試薬を含む溶液を指し、一般的に適当な緩衝液中にプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ、dNTP、および二価金属カチオンを含む。反応混合物は、反応を実施するのに必要な全ての試薬を含む場合は完全であると称され、それが必要な試薬の部分集合だけを含むならば不完全であると称される。反応成分は、便宜上、貯蔵安定性のため、または成分濃度の用途依存的な調整を可能にするために、各々が全成分の部分集合を含む別々の溶液として日常的に保存されること、また反応成分は反応前に合わされて完全な反応混合物が作製されることは当業者には理解されよう。さらに、反応成分は商品化のために別々に包装され、役に立つ市販のキットは、本発明の修飾されたプライマーを含めて反応成分のいかなる部分集合も含むことができることは当業者によって理解されよう。
【0057】
[0063] 「修飾されたプライマー核酸」は、そのプライマー核酸に所望の特性を提供するヌクレオチド部分または配列を含むプライマー核酸を指す。ある種の実施形態では、例えば、修飾されたプライマー核酸は、例えば非特異的核酸増幅を減らし(例えば、プライマー二量体形成その他を最小にする)、意図した標的アンプリコンの収率を増やし、かつ/またはその他の働きをする「核酸増幅特異性を変更する修飾」を含む。核酸増幅特異性変更修飾の例は、例えば参照により組み込まれている、1999年12月14日Willに発行された米国特許第6,001,611号「MODIFIED NUCLEIC ACID AMPLIFICATION PRIMERS」で記載されている。他のプライマー核酸修飾の例としては、選択された制限部位を含むヌクレオチド配列が、例えばプライマー核酸の5’末端に結合している「制限部位リンカー修飾」がある。制限部位リンカーは、一般的に以降のアンプリコンクローニングなどを容易にするために、プライマー核酸と結合される。
【0058】
[0064] 「部分」または「基」は、分子などのあるものが分割されて生成した部分の1つ(例えば官能基、置換基など)を指す。例えば、オリゴヌクレオチドは任意選択的にクエンチャー部分、標識化部分、またはその他を含む。
【0059】
[0065] 用語「核酸」は、ヌクレオチド(例えばリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、その他)および直鎖または分岐状に共有結合で互いに結ばれたそのようなヌクレオチドを含むポリマーを指す。核酸の例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、DNA−RNAハイブリッド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、遺伝子、cDNA、アプタマー、アンチセンス核酸、干渉RNA(RNAi)、分子ビーコン、核酸プローブ、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA(商標))、PNA−DNA複合体、PNA−RNA複合体、LNA(商標)−DNA複合体、LNA(商標)−RNA複合体、その他がある。
【0060】
[0066] 核酸は一般的に一本鎖または二本鎖であり通常はホスホジエステル結合を含むが、本明細書で概説されているように一部のケースでは代わりの骨格を有する核酸類似体、例えばそれには限定されないが、リンアミド(参照により組み込まれているBeaucageら(1993)Tetrahedron 49(10):1925頁およびその参考文献;Letsinger(1970)J.Org.Chem.35:3800頁;Sprinzlら(1977)Eur.J.Biochem.81:579頁;Letsingerら(1986)Nucl.Acids Res.14:3487頁;Sawaiら(1984)Chem.Lett.805;Letsingerら(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470頁;ならびにPauwelsら(1986)Chemica Scripta 26:1419頁)、ホスホロチオエート(参照により組み込まれているMagら(1991)Nucleic Acids Res.19:1437頁;および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(参照により組み込まれているBriuら(1989)J.Am.Chem.Soc.111:2321頁)O−メチルホスホロアミダイト結合(参照により組み込まれているEckstein、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、Oxford University Press(1992)を参照)、ならびにペプチド核酸骨格および結合(参照により組み込まれているEgholm(1992)J.Am.Chem.Soc.114:1895頁;Meierら(1992)Chem.Int.Ed.Engl.31:1008頁;Nielsen(1993)Nature 365:566頁;および、Carlssonら(1996)Nature 380:207頁を参照)が含まれる。他の類似核酸としては、正に荷電した骨格を有するもの(参照により組み込まれているDenpcyら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097頁);非イオン性骨格を有するもの(参照により組み込まれている米国特許第5,386,023号、5,637,684号、5,602,240号;5,216,141号および4,469,863号;Angew(1991)Chem.Intl.Ed.English 30:423頁;Letsingerら(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470頁;Letsingerら(1994)Nucleoside & Nucleotide 13:1597頁;第2章および3章、ASC Symposium Series 580、「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」、Y.S.SanghviおよびP.Dan Cook編;Mesmaekerら(1994)Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395頁;Jeffsら(1994)J.Biomolecular NMR 34:17頁;およびTetrahedron Lett.37:743頁(1996)、ならびに非リボース骨格を有するもの、例えば参照により組み込まれている米国特許第5,235,033号および5,034,506号、および第6章および7章、ASC Symposium Series 580、Carbohydrate Modifications in Antisense Research、Y.S.SanghviおよびP.Dan Cook編で記載されているものがある。1つまたは複数の炭素環糖類を含む核酸も、核酸の定義の範囲に含まれる(参照により組み込まれているJenkinsら(1995)Chem.Soc.Rev.169〜176頁を参照)。いくつかの核酸類似体が、例えば、参照により組み込まれている1997年6月2日Rawls,C & E News35頁でも記載されている。リボース−リン酸骨格のこれらの修飾は、標識などの別の部分の追加を容易にするため、または生理的環境でのそのような分子の安定性および半減期を変更するために加えることができる。
【0061】
[0067] 核酸で一般的に見られるこれらの天然の複素環塩基(例えばアデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)に加えて、核酸類似体には非天然の複素環式または修飾された塩基を有するものも含まれ、その多くは本明細書で記載されているか、さもなければ引用されている。特に、多くの非天然の塩基は、参照により組み込まれているSeelaら(1991)Helv.Chim.Acta 74:1790頁、Greinら(1994)Bioorg.Med.Chem.Lett.4:971〜976頁およびSeelaら(1999)Helv.Chim.Acta 82:1640頁でさらに記載されている。さらに実例を示すと、融点(T)修飾因子として作用するヌクレオチドで使われるある塩基が、任意選択的に含まれる。例えば、これらのいくつかを例示すると、7−デアザプリン(例えば7−デアザグアニン、7−デアザアデニンなど)、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、プロピニル−dN(例えばプロピニル−dU、プロピニル−dCなど)、その他がある。例えば、参照により組み込まれている、1999年11月23日にSeelaに発行された米国特許第5,990,303号「SYNTHESIS OF 7−DEAZA−2’−DEOXYGUANOSINE NUCLEOTIDES」を参照。他の代表的な複素環塩基としては、例えばヒポキサンチン、イノシン、キサンチン;2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシンおよびキサンチンの8−アザ誘導体;アデニン、グアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシンおよびキサンチンの7−デアザ8−アザ誘導体;6−アザシトシン;5−フルオロシトシン;5−クロロシトシン;5−ヨードシトシン;5−ブロモシトシン;5−メチルシトシン;5−プロピニルシトシン;5−ブロモビニルウラシル;5−フルオロウラシル;5−クロロウラシル;5−ヨードウラシル;5−ブロモウラシル;5−トリフルオロメチルウラシル;5−メトキシメチルウラシル;5−エチニルウラシル;5−プロピニルウラシル、その他がある。
【0062】
[0068] 修飾された塩基およびヌクレオチドの例は、例えば参照により組み込まれている、1996年1月16日にFroehlerらに発行された米国特許第5,484,908号「OLIGONUCLEOTIDES CONTAINING 5−PROPYNYL PYRIMIDINES」、1997年7月8日にFroehlerらに発行された米国特許第5,645,985号「ENHANCED TRIPLE−HELIX AND DOUBLE−HELIX FORMATION WITH OLIGOMERS CONTAINING MODIFIED PYRIMIDINES」、1998年11月3日にFroehlerらに発行された米国特許第5,830,653号「METHODS OF USING OLIGOMERS CONTAINING MODIFIED PYRIMIDINES」、2003年10月28日にKochkineらに発行された米国特許第6,639,059号「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」、2001年10月16日にSkouvに発行された米国特許第6,303,315号「ONE STEP SAMPLE PREPARATION AND DETECTION OF NUCLEIC ACIDS IN COMPLEX BIOLOGICAL SAMPLES」、および2003年5月15日に公開されたKochkineらによる米国特許出願2003/0092905「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」でも記載されている。
【0063】
[0069] 用語「核酸検出試薬」は、検出可能にSARS−CoV核酸と結合(例えば、核酸ハイブリダイゼーション、抗体抗原認識、その他における水素結合、または他の種類の結合相互作用)する試薬を指す。例えば、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体から選択される配列を含む核酸(例えば、プローブ核酸、プライマー核酸など)は、SARS−CoV核酸と結合する。他の例示的な核酸検出試薬としては、特異的にSARS−CoV核酸と結合する配列特異抗体がある。
【0064】
[0070] 「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドのエステル、例えばヌクレオシドのリン酸エステルを指す。例えば、ヌクレオチドはヌクレオシドの糖残基の5’位置で共有結合する1つ、2つ、3つまたはより多くのリン酸基を含むことができる。
【0065】
[0071] 「ヌクレオチドを取り込む生体触媒」は、核酸へのヌクレオチドの取り込みを触媒する触媒を指す。ヌクレオチドを取り込む生体触媒は、一般的に酵素である。「酵素」は、他の化合物または「基質」が関係する化学反応の活性化エネルギーを減らす作用をする、タンパク質ベースおよび/または核酸ベースの触媒である。「ヌクレオチドを取り込む酵素」は、例えば核酸増幅などの間に、核酸へのヌクレオチドの取り込みを触媒する酵素を指す。ヌクレオチドを取り込む酵素の例としては、例えばポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、逆転写酵素、テロメラーゼ、ポリヌクレオチドホスホリラーゼなどがある。
【0066】
[0072] 「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えばヌクレオチド)、一般的には3つを超えるモノマー単位、より一般的には10を超えるモノマー単位を含む核酸を指す。オリゴヌクレオチドの正確な大きさは、通常、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または使用などの様々な因子によって決まる。オリゴヌクレオチドは、任意選択的にいかなる適当な方法、例えば、それには限定されないが、既存または天然の配列の単離、DNAの複製または増幅、逆転写、適当な配列のクローニングおよび制限消化、またはNarangら(1979)Meth.Enzymol.68:90〜99頁のホスホトリエステル法;Brownら(1979)Meth.Enzymol.68:109〜151頁のホスホジエステル法;Beaucageら(1981)Tetrahedron Lett.22:1859〜1862頁のジエチルホスホルアミダイト法;Matteucciら(1981)J.Am.Chem.Soc.103:3185〜3191頁のトリエステル法;自動合成法;または米国特許第4,458,066号の固体支持体法または当技術分野で公知の他の方法などの方法による直接的化学合成で調製される。これらの参考文献の全ては、参照により組み込まれている。
【0067】
[0073] 用語「プローブ核酸」または「プローブ」は、適当な条件下で標的核酸と選択的にハイブリダイズすることができる、標識化または非標識のオリゴヌクレオチドを指す。一般的に、プローブはSARS−CoV核酸試料中の特定の標的配列と、選択されたハイブリダイゼーション条件下、例えばそれには限定されないが厳密なハイブリダイゼーション条件下において前記標的配列と安定したハイブリダイゼーション二重鎖を形成するのに十分に相補的である。プローブを使用して十分に厳密なハイブリダイゼーション条件下において実施されるハイブリダイゼーションアッセイは、特異的な標的配列の選択的な検出を可能にする。用語「ハイブリダイゼーション部位」は、標的配列と正確にまたは実質的に相補的であり、したがってそれとハイブリダイズする核酸の部位を指す。配列内の単一のヌクレオチドの相違を識別するためのハイブリダイゼーションアッセイで使用するには、ハイブリダイゼーション部位は、一般的にヌクレオチド数が約8から約100の長さである。ハイブリダイゼーション部位は通常、オリゴヌクレオチド全体を指すが、プローブは、例えばプローブ配列を固体支持体などと結合するための部位を提供するリンカー結合部位として機能する更なるヌクレオチド配列を含むことができる。ある実施形態において、本発明のプローブは1つまたは複数の標識(例えばレポーター色素、クエンチャー部分、その他)、例えば5’−ヌクレアーゼプローブ、FRETプローブ、分子ビーコンその他を含み、これらは試料中のプローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションを検出するためにも利用することができる。一部の実施形態において、プローブのハイブリダイゼーション部位は、標的配列と完全に相補的である。しかし、一般に、完全な相補性は必要ではなく、安定した二重鎖はミスマッチの塩基またはマッチしていない塩基を含むことができる。1つまたは複数の塩基対とミスマッチまたはマッチしない塩基との安定したハイブリダイゼーション二重鎖の形成を可能にするために、厳密な条件の修正が必要かもしれない。参照により組み込まれているSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001)は、適当な修正の手引きとなる。標的/プローブ二重鎖の安定性は、様々な変数、例えばオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、温度ならびにイオン条件によって決まる。当業者ならば、一般に、与えられたプローブの正確な相補体も同様にプローブとして有用なことを理解しよう。SARS−CoV核酸と結合する本発明のプローブの例としては、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含むオリゴヌクレオチドがある。当業者ならば、ある実施形態において、プローブ核酸はプライマー核酸としても使うことができることを理解しよう。
【0068】
[0074] 「プライマー核酸」または「プライマー」は、テンプレート核酸(例えばSARS−CoV核酸)とハイブリダイズすることができ、例えばヌクレオチドを取り込む生体触媒、例えばポリメラーゼを使用して適当な反応条件下で鎖の伸展または伸長を可能にする核酸である。プライマー核酸は、一般的に天然または合成のオリゴヌクレオチド(例えば一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドなど)である。他のプライマー核酸の長さも任意選択的に利用されるが、それらは一般的にヌクレオチド数が約8から約100の長さのハイブリダイゼーション部位を含む。短いプライマー核酸は、通常、テンプレートSARS−CoV核酸と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためにより低い温度を利用する。テンプレートSARS−CoV核酸の部分配列と少なくとも部分的に相補的なプライマー核酸は、一般的にテンプレートとハイブリダイズして伸張が起こるのに十分である。所望によりプライマー核酸は、例えば分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的または他の手法により検出可能な標識を取り込むことによって標識することができる。実例を示すと、有用な標識としては、放射性同位体、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(一般にELISAで使われるように)、ビオチン、または抗血清またはモノクローナル抗体が利用できるハプテンおよびタンパク質がある。これらの標識および他の標識の多くは本明細書でさらに記載され、かつ/またはさもなければ当技術分野で公知である。SARS−CoV核酸と結合する本発明のプライマー核酸の例としては、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含むオリゴヌクレオチドがある。当業者ならば、ある実施形態において、プライマー核酸はプローブ核酸としても使うことができることを理解しよう。
【0069】
[0075] 「クエンチャー部分」または「クエンチャー」は例えば蛍光または発光放射などの、さもなければその放射を発した供給源からの、放射の検出可能な発光を削減しかつ/または削減することができる部分を指す。クエンチャーは、一般的に、供給源から放出された検出可能な発光を少なくとも50%、一般的には少なくとも80%、より一般的には少なくとも90%削減する。クエンチャーの例は、例えば参照により組み込まれている、2002年10月15日にHornらに発行された米国特許第6,465,175号「OLIGONUCLEOTIDE PROBES BEARING QUENCHABLE FLUORESCENT LABELS,AND METHODS OF USE THEREOF」で提供されている。
【0070】
[0076] 用語「試料」は、1つまたは複数のSARS−CoV核酸を含むか含むと推定されるいかなる物質をも指し、例としては、それには限定されないが、臨床試料(例えば、1つまたは複数の対象または個体から分離された組織または液体)、in vitro細胞培養成分、環境試料などがある。試料の例としては、血液、血漿、血清、大便、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭の拭き取りおよび組織、尿、滑液、精液、精漿、前立腺液、膣液、子宮頸部液、子宮液、子宮頸管掻き取り物、羊水、肛門掻き取り物、粘液、痰、組織などがある。
【0071】
[0077] 用語「対象に由来する試料」は対象から得られた試料を指し、その試料は分析の前に1つまたは複数のプロセシング段階(例えば溶菌、デブリ除去、安定化、その他)を経ていようがいまいが関係ない。実例を示すと、試料は掻き取り、静脈穿刺、拭き取り、生検または当技術分野で公知の他の手法により対象から得ることができる。
【0072】
[0078] 用語「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス」または「SARS−CoV」は、Nidovirales目コロナウイルス科に属する正鎖RNAのエンベロープを有するウイルスを指し、このウイルスに感染した対象で重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こす。例えば、参照により組み込まれているKiazekら(2003)「A novel coronavirus associated with severe acute respiratory syndrome」、N.Engl.J.Med.348:1953〜1966頁、Drostenら(2003)「Identification of a novel coronavirus in patients with severe acute respiratory syndrome」、N.Engl.J.Med.348:1967〜1976頁、Marraら(2003)「The genome sequence of the SARS−associated coronavirus」、Science 300:1399〜1404頁、Ruanら(2003)「Comparative full−length genome sequence analysis of 14 SARS coronavirus isolates and common mutaions associated with putative origins of infection」、Lancet 361:1779〜1785頁、およびCavanagh(2003)「Nidovirales:a new order comprising Coronaviridae and Arteriviridae」、Arch.Virol.14:629〜633頁を参照。SARS−CoVゲノムの完全な配列のGenBank(登録商標)登録番号の例は、NC_004718、AY283794、AY278489、AY278741、AY559097、AY559096、AY559095、AY559094、AY559093、AY559092、AY559091、AY559090、AY559089、AY559088、AY559087、AY559086、AY559085、AY559084、AY559083、AY559082、AY559081、AY274119、AY323977、AY291315などである。さらに実例を示すと、図1はCenters for Disease Controlで決定されたSARS−CoVゲノム(Urbani系統)のヌクレオチド配列を提供する。
【0073】
[0079] 用語「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス核酸」または「SARS−CoV核酸」は、SARS−CoVおよび/またはそのアンプリコンに由来するかそれから単離された核酸を指す。
【0074】
[0080] 核酸検出試薬との関連で用語「選択的に結合する」または「選択的な結合」は、同じハイブリダイゼーション条件下において対象外の核酸と結合するよりも強くSARS−CoV核酸と結合する核酸検出試薬を指す。
【0075】
[0081] 用語「選択的に検出する」は、他の生物からの核酸よりも強くSARS−CoV核酸を検出する能力を指す。
【0076】
[0082] 「選択的にハイブリダイズすること」または「選択的なハイブリダイゼーション」は、対象外の核酸配列とのハイブリダイゼーションと比べて、核酸配列が特定の核酸標的配列と検出可能により強くハイブリダイズするときに起こる。選択的にハイブリダイズする配列は、互いに少なくとも50%、または60%、または70%、または80%、または90%以上の配列同一性、例えば一般的には95〜100%の配列同一性(すなわち相補性)を有する。
【0077】
[0083] 核酸の「配列」は、核酸中のヌクレオチドの順序および識別を指す。配列は一般的に5’から3’の方向に読まれる。
【0078】
[0084] 「配列特異抗体」は、SARS−CoV核酸と検出可能に結合する抗体を指す。
【0079】
[0085] 「配列決定反応」は、例えばターミネーターヌクレオチドの使用を含み、与えられた核酸中のヌクレオチドの配列を解明するように設計されている反応を指す。
【0080】
[0086] 「セット」は、少なくとも2つのものの集合を指す。例えば、セットは2、3、4、5、10、20、50、100、1,000または他の数の分子または配列型を含むことができる。例えば、本発明のある態様は、アンプリコンのセットを有する反応混合物を含む。「サブセット」は、セットのいかなる部分をも指す。
【0081】
[0087] 「固体支持体」は、化学物質部分、例えばオリゴヌクレオチドなどで誘導体化されるかまたはさもなければそれと結合することができる固体物質を指す。固体支持体の例としては、プレート、ビーズ、ミクロビーズ、チューブ、線維、ホイスカー、コーム、ハイブリダイゼーションチップ(マイクロアレイ基質、例えばGeneChip(登録商標)プローブアレイ(Affymetrix,Inc.、サンタクララ、CA、USA)その他)、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単層などを含む。
【0082】
[0088] オリゴヌクレオチドと標的配列との間に存在するミスマッチの数が、オリゴヌクレオチドと試料中に存在するかもしれない非標的配列との間に存在するミスマッチの数より少ないならば、このオリゴヌクレオチドは標的配列に「特異的」である。存在するミスマッチの数がオリゴヌクレオチドと標的配列との間に存在するミスマッチの数以下の場合だけ安定した二重鎖が形成されるような、ハイブリダイゼーション条件を選択することができる。そのような条件において、標的特異的なオリゴヌクレオチドは、標的配列だけと安定した二重鎖を形成することができる。したがって、標的特異的なプライマーを十分に厳密な増幅条件下で使用することにより、標的プライマー結合部位を含むそれらの配列の特異的な増幅が可能になる。同様に、標的特異的プローブを適切に厳密なハイブリダイゼーション条件下で使用することにより、特異的な標的配列の検出が可能になる。
【0083】
[0089] 試験核酸は、完全にマッチした相補性標的とのハイブリダイゼーションに比べて少なくとも半分よくオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするとき、すなわち、完全にマッチしたオリゴヌクレオチドが完全にマッチした相補性標的と結合してSN比が試料中の対象外の核酸とのハイブリダイゼーションで観察されるものの少なくとも約5〜10倍高くなる条件下において、SN比が標的とオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの少なくとも半分の高さのときに、そのオリゴヌクレオチドに「特異的にハイブリダイズする」と言われる。
【0084】
[0090] 「対象」は、生物を指す。一般的に、この生物は哺乳動物、特にヒトである。ある実施形態では、例えば、対象はSARS−CoV感染症を有することが疑われている患者である。
【0085】
[0091] 「部分配列」または「セグメント」は、核酸配列全体のいずれかの部分を指す。
【0086】
[0092] 核酸またはポリペプチドとの関連で「実質的に同一の変異体」は、例えば配列比較アルゴリズムまたは目視検査により測定し、最大の対応を比較し並べたときに、互いに少なくとも85%、一般的には少なくとも90%、より一般的には95%のヌクレオチドあるいは配列の同一性を有する2つ以上の配列を指す。実質的同一性は通常、長さが少なくとも約15のヌクレオチドまたはアミノ酸である配列領域、より一般的には長さが少なくとも約20のヌクレオチドまたはアミノ酸である領域に渡って存在し、より一般的には配列は長さが少なくとも約25のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って実質的に同一である。いくつかの実施形態では、例えば、配列は比較している核酸またはポリペプチドの全長に渡って実質的に同一である。
【0087】
[0093] 核酸配列との関連で用語「置換」は、核酸配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、異なるヌクレオチドで置換される変更を指す。
【0088】
[0094] 用語「標的配列」、「標的領域」および「標的核酸」は、増幅、検出、さもなければ分析する核酸領域を指す。
【0089】
[0095] 「ターミネーターヌクレオチド」は、核酸へ取り込まれると、例えば少なくとも1つのヌクレオチド取込み生体触媒による、更なる核酸の伸張を阻止するヌクレオチドを指す。
【0090】
[0096] 「熱安定酵素」は、熱に安定で、耐熱性があり、選択された時間温度を上昇させても十分な触媒活性を保持する酵素を指す。例えば、熱安定ポリメラーゼは、二本鎖核酸の変性に必要な時間温度を上昇させても、以降のプライマー伸張反応に十分な活性を保持する。核酸の変性に必要な加熱条件は当技術分野で公知であり、参照により組み込まれている米国特許第4,683,202号および4,683,195号で例示されている。本明細書で使われるように、耐熱性ポリメラーゼは一般的にポリメラーゼ連鎖反応法(「PCR」)などの温度サイクリング反応での使用に適当である。耐熱性ポリメラーゼに関しては、酵素活性はテンプレート核酸(例えばSARS−CoV核酸)に相補性のプライマー伸張産物を形成するための適当な方法によるヌクレオチドの複合化の触媒作用を指す。
【0091】
II.概要
[0097] Centers for Disease Control and Prevention(疾病予防管理センター、CDC)は、重症急性呼吸器症候群、すなわちSARSの世界的流行の原因と考えられているコロナウイルスのゲノム配列を決定した。図1は、このSARS−CoVゲノムのヌクレオチド配列を示し、それはGenBank(登録商標)登録番号AY278741に相当する。また、参照により組み込まれているRotaら(2003)「Characterization of a novel coronavirus associated with severe acute respiratory syndrome」、Science 300(5624)):1394〜1399頁を参照。この配列データから、SARSコロナウイルスは以前には認められていないコロナウイルスであることが確認される。リーダー配列を除いて、全ての配列はウイルスRNAに直接由来した。CDCによって配列決定されたSARSコロナウイルスのゲノムは、長さ29,727のヌクレオチドであり、ゲノム構造は他のコロナウイルスのそれと類似している。例えば、参照によって組み込まれているDrostenら(2003)「Identification of a novel coronavirus in patients with severe acute respiratory syndrome」、N.Engl.J.Med.348:1967〜1976頁を参照。ポリメラーゼタンパク質(ポリメラーゼ1a、1b)、スパイクタンパク質(S)、小膜タンパク質(E)、膜タンパク質(M)およびヌクレオカプシドタンパク質(N)に対応するオープンリーディングフレーム(ORF)が特定された。
【0092】
[0098] 本発明は、SARS−CoVの選択的な検出に関するものである。特に、SARS−CoVゲノムの選択された標的領域を利用した新しい検出戦略に基づき、本明細書で記載されている方法および試薬を使用して、SARS−CoV感染症を診断することができる。ある実施形態では、例えば、本明細書で記載されているある核酸検出試薬は、RNA依存RNAポリメラーゼ(RdRp)をコードし、SARS−CoVゲノムの他の領域と比較して突然変異に対して安定なことが判明したSARS−CoVゲノムの領域を標的にする。本明細書で記載されている核酸検出試薬は、通常、選択されたアッセイ条件下において、SARS−CoVに存在するが他の生物種には存在しないヌクレオチド配列と検出可能に結合し、したがって例えば偽陽性の発生を最小にする。本発明のある核酸検出試薬によるSARS−CoV核酸の検出例は、例えば下記実施例で示されている。本発明の他の多くの特徴も本明細書で記載されている。
【0093】
[0099] さらに実例を示すと、本発明のある方法は、核酸検出試薬を対象(例えば、SARS−CoV感染症が疑われるヒト患者、その他)に由来する試料中のまたは試料からの核酸と接触させるか、またはインキュベートすることを含む。ある実施形態において、試料中の核酸の標的領域は、核酸検出試薬との接触の前または同時に増幅される。これらの方法は、核酸および/またはアンプリコンと核酸検出試薬との間の結合をモニター(例えば、1時点で、複数の異なる時点で、選択された期間連続的に、その他)して、例えば試料を採取した患者の診断のため、SARS感染症と診断された患者の治療経過をモニターするため、および/またはその他のためにSARS−CoVが試料中に存在するか判断することも含む。
【0094】
[0100] 本発明の他の方法は、試料からの核酸を、核酸増幅反応において配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1対のプライマー核酸と接触させるかまたはインキュベートすることを含む。さらに、これらの方法は試料中にSARS−CoVが存在するかどうかを検出するために、増幅反応の間またはその後にアンプリコンを検出することも含む。また、これらの方法は、選択された時点で任意選択的に繰り返される。
【0095】
[0101] 組成物および反応混合物に加えて、本発明はSARS−CoVを検出するためのキットおよびシステム、ならびに関連したコンピューターおよびコンピューター読取り媒体にも関する。
【0096】
III.核酸検出試薬
[0102] 本発明の核酸検出試薬としては、プローブ核酸、プライマー核酸および配列特異抗体を含む様々な実施形態がある。一部の実施形態では、例えば、本明細書で記載されているある核酸検出試薬は、RdRpをエンコードするSARS−CoVゲノムのセグメントを標的にする。SARS−CoVゲノムのこの領域は、参照により組み込まれているNgら(2004)「Detection of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus in Blood of Infected Patients」、J.Clin.Microbiol.42:347〜350頁でも参照されている。
【0097】
[0103] SARS−CoV核酸を標的とする核酸検出試薬の例としては、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体から選択される配列を含むオリゴヌクレオチドがある。配列番号1〜12および15〜24を表1で示す。
【0098】
【表1】

【0099】
[0104] さらに実例を示すと、図2は様々なSARS−CoV分離株およびお互いに関係のある特定の非標的の生物からのヌクレオチド配列のアラインメントを示す。図示の如く、第1群はヒトコロナウイルス(HCoV)229E(登録番号NC_002645)およびブタ流行性下痢症ウイルス(PEDV)(登録番号NC_003436)からの非標的のヌクレオチド配列のアラインメントを、標的ヌクレオチド配列である3つの異なるSARS−CoV分離株、すなわち、トロント(登録番号NC_004718)、シンガポール(登録番号AY283794)および広州(登録番号AY278489)からのものと共に示している。図示の如く、配列番号23および24と対応する配列を有するオリゴヌクレオチドの位置には下線で示している。第2群はウシコロナウイルス(BCoV)(登録番号NC_003045)およびマウス肝炎ウイルス(MHV)(登録番号NC_001846)からの非標的のヌクレオチド配列のアラインメントを、標的ヌクレオチド配列は第1群で示した異なるSARS−CoV分離株からのものと共に示している。配列番号23および24と対応する配列を有するオリゴヌクレオチドの位置も、第2群のアラインメント内における下線で示している。第3群はニワトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)(登録番号NC_001451)からの非標的のヌクレオチド配列のアラインメントを、標的ヌクレオチド配列は第1群で示した異なるSARS−CoV分離株からのものと共に示している。配列番号23および24と対応する配列を有するオリゴヌクレオチドの位置にも、第3群のアラインメント内における下線で示している。
【0100】
[0105] 上記のように、本発明のある実施形態において、核酸検出試薬はオリゴヌクレオチド(例えば、プローブ核酸、プライマー核酸、その他)を含む。他の長さも任意選択的に利用されるが、オリゴヌクレオチドは通常、長さが一般的に約8〜約100のヌクレオチド、より一般的には約10〜約75のヌクレオチド、より一般的には約12〜約50のヌクレオチド、より一般的には約15〜約35のヌクレオチド(例えば約20、約25または約30のヌクレオチド)の配列を含む。オリゴヌクレオチドを調製する方法、例えば核酸合成はさらに下で記載されている。
【0101】
[0106] SARS−CoV核酸と選択的に結合するオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体から選択される配列を有する核酸の実質的に同一な変異体)を設計するために、当業者は様々な方法を利用することができる。実例を示すと、DNASTAR,Inc.(マディソン、WI、USA)から入手可能なDNAstarソフトウェアパッケージが、配列アラインメントのために使うことができる。例えば、SARS−CoVゲノムおよび非標的配列の核酸配列は、個々のファイルとしてDNAstar EditSeqプログラムにアップロードすることができる。さらに実例を示すと、配列ファイルの組はDNAstar MegAlign配列アラインメントプログラムで開くことができ、また、Clustal Wのアラインメント法を適用することができる。Clustal Wアラインメントで使われるパラメータは、任意選択的にソフトウェアのデフォルト設定である。MegAlignは、一般的に2つの配列間の同一性パーセントの概要を提供しない。これは通常、手動で計算する。アラインメントからは、例えばお互いに85%未満の同一性を有する領域が一般的に特定され、これらの領域のオリゴヌクレオチド配列を選択することができる。多くの他の配列アラインメントアルゴリズムおよびソフトウェアパッケージも、任意選択的に利用される。配列アラインメントアルゴリズムは、例えば参照により組み込まれているMount、Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis、Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)、およびDurbinら、Biological Sequence Analysis:Probabilistic Models of Proteins and Nucleic Acids、Cambridge University Press(1998)でも記載されている。
【0102】
[0107] さらに実例を示すと、比較のために最適な配列アラインメントは、例えば参照により組み込まれているSmithとWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482頁のローカルホモロジーアルゴリズム、NeedlemanとWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443頁のホモロジーアラインメントアルゴリズム、PearsonとLipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444頁の類似性検索法、およびこれらのアルゴリズムのコンピューター上での実施(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(マディソン、WI)内のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査によっても行うことができる。
【0103】
[0108] 配列同一性パーセントを決定するのに適当な他のアルゴリズムの例は、参照により組み込まれているAltschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410頁で記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST分析のバージョンを実施するためのソフトウェアは、2004年4月20日現在、National Center for Biotechnology Information(国立バイオテクノロジー情報センター、NCBI)を通してウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/から公的に入手することができる。このアルゴリズムは、第1に、データベース配列内の同じ長さのワードと並べたときに正の値の閾値スコアTにマッチするかそれを満たす、クエリー配列内の長さWのショートワードを特定することによって、高いスコアの配列の組(high scoring sequence pair、HSP)を特定することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値と称される(Altschulら、上記)。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPの検索を開始するためのシードとして機能する。ワードヒットは、次に累積アラインメントスコアが増加するまで、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列のためにはパラメータM(一組のマッチング残基のリワードスコア;常に>0)およびパラメータN(ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列については、累積スコアの計算のためにはスコアリングマトリックスが用いられる。各方向へのワードヒットの拡張は、以下の場合停止される:累積アラインメントスコアが量Xによってその最大の達成値から下落する場合;累積スコアが、1つまたは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積によってゼロ以下になる場合;または、いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のための)は、デフォルトとしてワード長(W) 11、期待値(E) 10、カットオフ値 100、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムはデフォルトとしてワード長(W) 3、期待値(E) 10およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いる(参照により組み込まれているHenikoffとHenikoff(1989の)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915頁を参照)。
【0104】
[0109] 配列同一性パーセントを計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計解析も実施する(参照により組み込まれているKarlinとAltschul(1993)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787頁を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性測定手段の1つは、最小合計確率(P(N))であり、それは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標となる。例えば、試験核酸と参照核酸との比較において最小合計確率が約0.1未満、または約0.01未満、または約0.001未満のとき、核酸は参照配列と類似している(したがって、相同)とみなされる。
【0105】
[0110] 有用な配列アラインメントアルゴリズムの更なる例は、PILEUPである。PILEUPは、累進的なペアワイズアラインメントを使用して一群の関連した配列から複数の配列アラインメントを形成する。それは、アラインメントを作成するのに使用される、クラスタリング関係を示すツリーを図示することもできる。PILEUPは、参照により組み込まれているFengとDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351〜360頁の累進的アラインメント法の簡略法を用いる。使用される方法は、参照により組み込まれているHigginsとSharp(1989)CABIOS 5:151〜153頁によって記載されている方法と類似している。このプログラムは、例えば最大長5,000文字の最高300の配列を一列に並べることができる。複数のアライメント方法では2つの最も類似した配列のペアワイズアラインメントから開始され、2つのアラインメントされた配列のクラスターを生じる。次に、このクラスターは、次の最も関連した配列またはアラインメントされた配列のクラスターと一列に並べることができる。2つの配列クラスターは、個々の2つの配列のペアワイズアラインメントを単純に拡張することによって並べることができる。最終的なアラインメントは、一連の累進的ペアワイズアラインメントによって達成される。このプログラムは、クラスタリング関係のデンドログラムまたはツリーを表示するのにも用いることができる。このプログラムは、特定の配列およびそれらの配列比較領域のアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することにより実施される。
【0106】
[0111] 本発明のプローブおよびプライマーは任意選択的に1つまたは複数の標識を含み、これについては下でさらに記載される。さらに、プローブおよびプライマーは、任意選択的に様々な他の修飾、例えばハイブリダイゼーション融点を変える修飾されたヌクレオチド、アンプリコンクローニングを容易にする制限部位リンカー、核酸増幅反応の特異性を高めるモディファイヤー基、および/またはその他を含む。例えば、より小さなプローブおよびプライマー、例えば、約8〜約14のヌクレオチドを含むものが使用できるように、核酸ハイブリダイゼーション融点を高くするある修飾されたヌクレオチドが任意選択的に含まれる。これらの修飾されたオリゴヌクレオチドの例としては、1つまたは複数のLNA(商標)モノマーを有するものがある。このようなヌクレオチド類似体は、例えば参照により組み込まれている、2003年10月28日にKochkineらに発行された米国特許第6,639,059号「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」、2001年10月16日にSkouvに発行された米国特許第6,303,315号「ONE STEP SAMPLE PREPARATION AND DETECTION OF NUCLEIC ACIDS IN COMPLEX BIOLOGICAL SAMPLES」、および2003年5月15日に公開されたKochkineらによる米国特許出願2003/0092905「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO NUCLEOSIDES」でさらに記載されている。LNA(商標)モノマーを含むオリゴヌクレオチドは、例えばExiqon A/S(VedbaeK(DK))を通して購入することができる。更なるプローブおよびプライマー修飾は、上で提供されている定義を含め本明細書で参照されている。
【0107】
[0112] ある実施形態では、本明細書で記載されているように利用される核酸検出試薬は、SARS−CoV核酸を標的とする配列特異抗体である。本発明のこれらの実施形態での使用に適した抗体は、従来の方法および/または遺伝子操作によって調製することができる。抗体断片は遺伝子操作により、例えば軽鎖および/または重鎖の超可変部を含む可変部(VおよびV)から、またはVおよびV部の両方から調製することができる。例えば、本明細書で使用される用語「抗体」としてはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体およびその生物学的活性断片があり、例えば中でも「一価」抗体(Glennieら(1982)Nature 295:712頁);共有結合または非共有結合で凝集したFab’およびF(ab’)断片を含むFabタンパク質;軽鎖または重鎖単独、一般的には重鎖可変部および軽鎖可変部(VおよびV部)、より一般的には超可変部(別名VおよびV部の相補性決定部(CDR))を含む;Fcタンパク質;1つより多くの抗原を結合させることができる「ハイブリッド」抗体;定常−可変部キメラ;異なる起源の重鎖および軽鎖を有する「複合」免疫グロブリン;標準の組換え手法、突然変異誘発手法、または当技術分野で公知の他の定方向進化手法によって調製され、改善された特異性および他の特性を有する「変更された」抗体などが含まれる。
【0108】
[0113] 本明細書で記載されているように利用される配列特異抗体は、標識されていても非標識であってもよい。適当な標識としては、例えば放射性核種、酵素、補酵素、蛍光色素、化学発光色素、色原体、酵素基質またはコファクター、酵素阻害剤、フリーラジカルなどがある。そのような標識化試薬は様々な公知のアッセイ、例えばラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、例えばELISA、蛍光免疫法、などで使用することができる。例えば、参照により組み込まれている米国特許第3,766,162号;3,791,932号;3,817,837号;および4,233,402号を参照。他の標識がさらに本明細書で記載されている。
【0109】
[0114] 一部の実施形態において、上で参照されたRdRpのようなポリペプチドが検出の対象である。タンパク質を検出するための多くの手法は、当技術分野で公知である。例えば、様々な電気泳動アッセイ(例えばSDS−PAGEなど)、イムノアッセイ、質量分析アッセイ(例えば、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)に基づく分析、表面増強レーザ脱離/イオン化(SELDI)に基づくアッセイなど)および/または他の方法を用いてSARS−CoV核酸によってコードされるタンパク質を検出することができる。これらの方法および他の適当なタンパク質検出法の多くは、本明細書の引用文献で記載されている。
【0110】
[0115] 本発明を実践する際に、分子生物学および組換えDNAの従来の多くの手法が任意選択的に使われる。これらの手法は公知であり、例えば参照により組み込まれているCurrent Protocols in Molecular Biology、第I、IIおよびIII巻、1997(F.M.Ausubel編);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、N.Y.(2001);BergerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning TechniquesMethods in Enzymology 152巻、Academic Press,Inc.、サンディエゴ、CA(Berger)、DNA Cloning:A Practical Approach、第IおよびII巻、1985年(D.N.Glover編);Oligonucleotide Synthesis、1984年(M.L.Gait編);Nucleic Acid Hybridization、1985年(HamesおよびHiggins);Transcription and Translation、1984年(HamesおよびHiggins編);Animal Cell Culture、1986年(Freshney編);Immobilized Cells and Enzymes、1986年(IRL Press);Perbal、1984年、A Practical Guide to Molecular Cloning;シリーズMethods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells、1987年(J.H.MillerおよびM.P.Calos編、Cold Spring Harbor Laboratory);Methods in Enzymology第154巻および第155巻(それぞれWuおよびGrossman編、Wu編)で説明されている。
【0111】
IV.配列変異
[0116] 標的配列またはそれらの標的配列を検出する剤であるかどうかに関係なく、多数の核酸およびポリペプチド配列が本発明の範囲内である。
【0112】
サイレント変異
[0117] 遺伝子コードの縮重によりポリペプチドをコードしている多数のSARS−CoV核酸配列が生じ、そのいくつかは本明細書で明確に開示されている核酸配列と最小限の配列相同性を有しているかもしれないことは当業者によって認められよう。例えば、コドン表(表II)を見ると、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGGおよびCGUは全てアミノ酸アルギニンをコードすることが分かる。したがって、アルギニンがコドンによって特定されている本発明の核酸のあらゆる位置で、コドンはコードされるポリペプチドを変えることなく、上述の対応するコドンのいずれにも変更することができる。RNA配列内のUはDNA配列内のTに対応することが理解されている。
【0113】
【表2】

【0114】
[0118] そのような「サイレント変異」は、以下に記す「保存的に修飾された変異」の1種である。当業者は、核酸の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUGを除いて)は、標準の手法により機能的に同一のポリペプチドをコードするように修飾することができることは理解しよう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された配列のいずれにおいても明示的ではない。例えば、本発明は可能なコドンの選択に基づいて組み合わせを選択することによって作ることができる、SARS−CoVのRdRpをコードしている核酸配列の各々のおよびあらゆる可能な変異を提供する。これらの組み合わせは、例えばSARS−CoVのRdRpをコードしている核酸配列に適用される標準のトリプレット遺伝子コード(例えば、表IIで示したような)に従って作られる。本明細書のあらゆる核酸のそのような変異の全ては具体的に提供されており、遺伝子コードと組み合わせた配列を考慮して記載されている。
【0115】
保存的な変異
[0119] 特定の核酸配列の「保存的に修飾された変異」、または単に「保存的な変異」は、同一のまたは基本的に同一のアミノ酸配列をエンコードする核酸、またはその核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には基本的に同一の配列を指す。コードされる配列で単一のアミノ酸または低い割合(一般的に5%未満、より一般的に4%未満、2%未満または1%未満)のアミノ酸を変更するか、加えるか、または削除する個々の置換、欠失または付加は「保存的に修飾される変異」であり、その変化の結果として、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加または化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換が起こることは、当業者ならば認めるであろう。
【0116】
[0120] 機能的に類似したアミノ酸を提供している保存的置換表は、当技術分野で公知である。表IIIは、お互いに「保存的な置換」であるアミノ酸を含む6群を示す。
【0117】
【表3】

【0118】
[0121] したがって、例えばSARS−CoVのRdRpの「保存的に置換された変異」は、低い割合、一般的に5%未満、より一般的に2%未満または1%未満において、ポリペプチド配列のアミノ酸の、同じ保存的置換群の保存的に選択されたアミノ酸による置換を含む。
【0119】
[0122] 核酸分子によりコードされたものの活性を変更しない配列の付加、例えば機能を持たない配列の付加は、基本的な核酸の保存的な変異である。
【0120】
[0123] 当業者は、本明細書で記載されている核酸の多くの保存的変異は、機能的に同一な核酸を与えることを認めるであろう。例えば、上で示したように、遺伝子コードの縮重のために、「サイレント置換」(すなわち、コードされるポリペプチドの変化をもたらさない核酸配列の置換)はアミノ酸をコードするあらゆる核酸配列の暗示的特徴である。同様に、アミノ酸配列の1つまたは2、3のアミノ酸における「保存的なアミノ酸置換」は、非常に類似した特性を有する異なるアミノ酸で置換され、また、開示されている構築物と非常に類似しているとして容易に特定される。開示されている各配列のそのような保存的変異は、本発明の特徴である。
【0121】
V.オリゴヌクレオチド合成
[0124] 本発明のオリゴヌクレオチドは、基本的に当技術分野で公知のいかなる手法を用いても任意選択的に調製される。ある種の実施形態では、例えば、本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドは、基本的にいかなる核酸合成法、例えば参照により組み込まれているBeaucageおよびCaruthers(1981)Tetrahedron Letts.22(20):1859〜1862頁で記載されている固相ホスホラミダイトトリエステル法、または当技術分野で公知の他の合成手法、例えば参照により組み込まれているNeedham−VanDevanterら(1984)Nucleic Acids Res.12:6159〜6168頁で記載されている自動シンセサイザーを用いた手法で化学的に合成される。自動化されたオリゴヌクレオチド合成のために、多種多様な装置が市販されている。マルチヌクレオチド合成方法(例えばトリヌクレオチド合成など)も任意選択的に利用される。さらに、本明細書で記載されているプライマー核酸は、任意選択的に様々な修飾を含む。例えばある種の実施形態では、例えば以降のアンプリコンクローニングその他を容易にするために、プライマーは制限部位リンカーを含む。さらに実例を示すと、参照により組み込まれている1999年12月14日Willに発行された米国特許第6,001,611号「MODIFIED NUCLEIC ACID AMPLIFICATION PRIMERS」で記載されているように、増幅反応の特異性を改善するためにプライマーはまた任意選択的に修飾される。プライマーおよびプローブは、本明細書で記載されているように、さもなければ当技術分野で公知のように、他の様々な修飾を用いて合成することができる。
【0122】
[0125] 基本的に、本発明の核酸検出試薬を標識するためにいかなる標識でも任意選択的に利用される。例えばいくつかの実施形態では、標識は蛍光色素(例えばローダミン色素(例えばR6G、R110、TAMRA、ROX、その他)、フルオレセイン色素(例えば、JOE、VIC、TET、HEX、FAM、その他)、ハロフルオロセイン色素、シアニン色素(例えばCY3、CY3.5、CY5、CY5.5、その他)、BODIPY(登録商標)色素(例えばFL、530/550、TR、TMR、その他)、ALEXA FLUOR(登録商標)色素(例えば488、532、546、568、594、555、653、647、660、680、その他)、ジクロロローダミン色素、エネルギー転移色素(例えば、BIGDYE(商標)v 1色素、BIGDYE(商標)v 2色素、BIGDYE(商標)v 3色素、その他)、ルシファー色素(例えばルシファーイエロー、その他)、CASCADE BLUE(登録商標)、オレゴングリーンなどを含む。蛍光色素の更なる例は、例えば参照により組み込まれているHaugland、Molecular Probes Handbook of Fluuorescent Probes and Research Products、第9版(2003)およびその最新版で提供されている。蛍光色素は、通常、例えばMolecular Probe,Inc.(ユージン、OR)、Amersham Biosciences Corp.(Piscataway、NJ)、Applied Biosystems(フォスターシティー、CA)などの様々な供給元から容易に入手可能である。他の標識としては、例えばビオチン、弱蛍光性標識(Yinら(2003)Appl.Environ.Microbiol.69(7):3938頁、Babendureら(2003)Anal.Biochem.317(1);1頁、およびJankowiakら(2003)Chem Res Toxicol.16(3):304頁)、非蛍光性標識、比色標識、化学発光標識(Wilsonら(2003)Analyst.128(5):480頁およびRodaほか(2003)Luminescence 18(2):72頁)、ラマン標識、電気化学的標識、生物発光標識(Kitayamaら(2003)Photochem.Photobiol.77(3):333頁、Arakawaら(2003)Anal.Biochem.314(2):206頁およびMaeda(2003)J.Pharm.Biomed.Anal.30(6):1725頁)ならびに例えば2002年11月22日に出願された米国特許仮出願60/428484で記載されているαメチルPEG標識試薬があり、これらの参考文献は参照により組み込まれている。核酸標識は、さらに下で記載されている。
【0123】
[0126] さらに、基本的にいかなる核酸(また、標準または非標準を問わず実質的にいかなる標識化核酸)も、様々な供給業者、例えばThe Midland Certified Reagent Company、The Great American Gene Company、ExpressGen Inc.、Operon Technologies Inc.、Proligo LLC、その他多くの会社のいずれかから、注文生産によりまたは規格品を入手することもできる。
【0124】
VI.試料調製および核酸増幅
[0127] 試料は通常、SARS−CoV感染が疑われる対象、一般的には哺乳類の対象、より一般的にはヒト対象に由来するか単離される。試料または検体の例としては、血液、血漿、血清、大便、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭の拭き取り物および組織、尿、滑液、精液、精漿、前立腺液、膣液、子宮頸部液、子宮液、子宮頸管掻き取り物、羊水、肛門掻き取り物、粘液、痰、組織などがある。基本的に、これらの試料を得るためのいかなる手法、例えば掻き取り、静脈穿刺、拭き取り、生検または当技術分野で公知の他の手法でも任意選択的に利用される。検体を保存する方法、細胞を培養する方法、これらの採取源から核酸を単離して調製する方法は、一般に当技術分野で公知であり、これらの多くは本明細書で提供されている参考文献および/または実施例でさらに記載されている。様々な実験生物学的安全性レベル(BSL)のための推奨されている設備、実際および保護具も、CDC/NIH Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratoriesマニュアル(BMBL)で見ることができ、これは2004年4月20日現在、ウェブサイトcdc.gov/od/ohs/biosfty/bmbl4/bmbl4toc.htmで利用可能である。
【0125】
[0128] 実例を示すと、血液および尿検体は、BSL−2実験室でStandard Precautions(元Universal Precautions)を使用して扱うことができる。実験室作業者は、粘膜表面の露出を防止するために、ディスポーザブル手袋、実験室上衣、眼保護具および手術用マスクまたは防災面を含む保護具を着用しなければならない。手袋の除去後、特に眼または粘膜表面に触れる前には手の衛生に注意が必要である。
【0126】
[0129] 微粒状のエアゾールを発生させる可能性のある方法(例えば開放管内の検体の撹拌または音波破砕)は、いずれも生物学的に安全なキャビネット(BSC)内で実施しなければならない。利用できるならば、密封された遠心分離ローターまたは試料カップを遠心で使用しなければならない。理想的には、これらのローターまたはカップの取り出しはBSC内で行う必要がある。
【0127】
[0130] BSCの外で実施される方法は、偶発的な試料放出による露出の危険性を最小にするように実施しなければならない。
【0128】
[0131] 作業台および設備は、検体を処理した後に除染しなければならない。脂質のエンベロープを有するウイルスに対して有効な標準の除染剤は、十分でなければならない。
【0129】
[0132] 上述の安全設備が利用できないならば、リスク削減のために管理措置および/または更なる個人的な保護具を使用することができる。このことは、実験室安全管理者による慎重なリスクアセスメントとの関連で実施しなければならない。例えば、遠心分離の間は最小限の数の労働者が存在するように、実験室の仕事の流れを調節することができる。
【0130】
[0133] 偶発的な試料放出の可能性が高まる遠心分離または他の処置の間に作業者が使用するように、呼吸保護手段の準備を考慮してもよい。許容できる呼吸保護手段としては、着用状態が適切に検査されたNIOSH承認のフィルター呼吸保護具(N−95、または、より高性能);または、高性能微粒子(HEPA)フィルターを備えている電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)がある。正確な着用状態の試験は、呼吸用保護具の有効な使用の重要な要素である。顔の毛または他の着用制限のために適合する呼吸用保護具を着ることができない者は、やや大きめのフード付きまたはヘルメット付きのPAPRを着用するべきである。
【0131】
[0134] また、設備の十分な参照実験室への検体の委託も考慮することができる。
【0132】
[0135] さらに例示すると、本明細書で記載されている標的核酸を分析する前に、それらの核酸を一般的に異なる成分の複合混合物を含む試料から精製または単離することができる。収集した試料中の細胞は、一般的には細胞含有物を放出させるために溶解する。例えば、特定の試料中のSARS−CoV感染が疑われる細胞は、様々な酵素、化学物質と接触させることによって溶解することができ、かつ/または当技術分野で公知の他の方法で溶解することができる。一部の実施形態において、核酸は細胞溶解物中で直接分析される。他の実施形態では、核酸は検出の前に細胞溶解物からさらに精製または抽出される。基本的に、試料中の核酸を精製するのに本発明の方法で利用されるいかなる核酸抽出法でも用いることができる。核酸の精製に使うことができる手法の例としては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、固体支持体上で固定したプローブへのハイブリダイゼーション、液液抽出(例えばフェノール−クロロホルム抽出、その他)、沈殿(例えば、エタノール、その他を使用して)、濾紙による抽出、ミセル形成試薬(例えばセチル−トリメチルアンモニウムブロミド、その他)による抽出、固定化挿入色素(例えばエチジウムブロミド、アクリジン、その他)への結合、シリカゲルまたは珪藻土への吸着、カオトロピック条件下での磁性ガラス粒子または有機金属シラン粒子への吸着、および/またはその他がある。試料の処理は、例えば参照により組み込まれている米国特許第5,155,018号、6,383,393号および5,234,809号でも記載されている。
【0133】
[0136] さらに例示すると、修飾されていない核酸は、シリカ表面を有す物質と結合することができる。本発明の方法を実施するときに使用されるように任意選択的に適合化されたこれらの方法の多くは、当技術分野で記載されている。例示すると、参照により組み込まれているVogelsteinら(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:615〜619頁は、ヨウ化ナトリウムの存在下でフリント擦りガラスを使ったアガロースゲルからの核酸の精製を記載している。参照により組み込まれているMarkoら(1982)Anal.Biochem.121:382〜387頁は、過塩素酸ナトリウムの存在下での、ガラス粉上での細菌からの核酸の精製を記載している。参照により組み込まれているDE−A 3734442では、ガラス繊維フィルター上で核酸が単離されている。これらのガラス繊維フィルターと結合した核酸は、洗浄されてからメタノール含有トリス/EDTA緩衝液で溶出される。類似した方法が、参照により組み込まれているJakobiら(1988)Anal.Biochem.175:196〜201頁で記載されている。特に、Jakobiらは、カオトロピック塩溶液中でのガラス表面への核酸の選択的な結合、および汚染物質、例えばアガロース、タンパク質および細胞残渣からの核酸の分離を記載している。ガラス粒子を汚染物質から分離するために、粒子を遠心分離するか、または、ガラス繊維フィルターを通して液体を抜き取ることができる。さらに、塩およびエタノールを加えて沈殿後に磁性粒子を使用して核酸を固定することが、例えば参照により組み込まれているAldertonら(1992)Anal.Biochem.201:166〜169頁およびPCT/GB91/00212で記載されている。この方法において、核酸は磁性粒子と共に凝集する。凝集物は、磁場を与え、1つまたは複数の洗浄ステップを実施することによって元の溶媒から分離される。少なくとも1つの洗浄ステップの後、核酸は一般的にトリス緩衝液で溶解する。
【0134】
[0137] 例えばストレプトアビジンを含む層で被覆されている多孔性ガラスマトリックス内の磁性粒子は、本発明のある実施形態でも利用することができる。これらの粒子は、例えばビオチン結合化核酸およびタンパク質の単離に使うことができる。フェリ磁性、強磁性体および超常磁性粒子も、任意選択的に利用される。本明細書で記載されている方法を実施する際の使用に適合させることのできる磁性ガラス粒子および関連した方法は、例えば参照により組み込まれている国際公開01/37291でも記載されている。
【0135】
[0138] 核酸を引き出し検出するための最も強力な基本的技術の1つは、核酸増幅である。本発明において、興味の対象となる核酸の増幅は、一般的にそのDNAの検出に先立つかまたは同時である。さらに、本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドは、例えば化学合成その他の後に任意選択的に増幅もされる。一部の実施形態において、例えば当技術分野で公知の分岐核酸または他のシグナル増幅フォーマットを用いて、検出可能なシグナルが増幅される。
【0136】
[0139] 本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドおよび方法で任意選択的に利用される、またはそれらの使用に適合された増幅方法としては、例えば様々なポリメラーゼまたはリガーゼ媒介増幅方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅(RCA)および/またはその他がある。これらおよび他の増幅方法の使用に関する詳細は、参照により組み込まれているBerger、Sambrook、Ausubel、PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innisら編)Academic Press,Inc.、サンディエゴ、CA(1990)(Innis)、Schweitzerら(2001)「Combining nucleic acid amplification and detection」、Curr Opin Biotechnol.12(1):21〜27頁を含む様々な記事および/または様々な標準テキストのいずれかで見られる。多くの利用できる生物学テキストも、PCRおよび関連した増幅方法に関して広範な考察を含む。核酸増幅は、例えば参照により組み込まれているMullisら、(1987)米国特許第4,683,202号およびSooknananおよびMalek(1995)Biotechnology 13:563頁でも記載されている。PCRにより大きな核酸を増幅する改善方法は、参照により組み込まれているChengら(1994)Nature 369:684頁で総括されている。ある実施形態において、標的核酸を増幅するために二重PCRが利用されている。二重PCR増幅は、例えば参照により組み込まれているGabrielら(2003)「Identification of human remains by immobilized sequence−specific oligonucleotide analysis of mtDNA hypervariable regions I and II」、Croat.Med.J.44(3)293、およびLaら(2003)「Development of a duplex PCR assay for detection of Brachyspira hyodysenteriae and Brachyspira pilosicoli in pig feces」J.Clin.Microbiol.41(7):3372頁でさらに記載されている。任意選択的に、例えばアンプリコンなどの検出を容易にするために、試料中の核酸を増幅するために標識化プライマー(例えばビオチン化プライマー、Scorpionプライマー、その他)が利用される。Scorpionプライマーは、例えば参照により組み込まれているWhitcombeら(1999)「Detection of PCR products using self−probing amplicons and fluorescence」 Nat Biotechnol.17(8):804〜807頁でも記載されている。標識はさらに本明細書で記載されている。
【0137】
[0140] アンプリコンは、当技術分野で公知のいくつかの方法、例えば電気泳動法、クロマトグラフィー、沈殿、透析、濾過および/または遠心分離のいずれかにより、他の反応成分から任意選択的に回収されて精製される。核酸精製の態様は、例えば参照により組み込まれているDouglasら、DNA Chromatography、Wiley,John & Sons,Inc.(2002)、およびSchott、Affinity Chromatography:Template Chromatography of Nucleic Acids and Proteins、Chromatographic Science Series、#27、Marcel Dekker(1984)で記載されている。ある実施形態において、アンプリコンは検出の前に精製されない。アンプリコンの検出は、さらに下で記載される。
【0138】
NESTED PCR
[0141] 本発明は、試料中のSARS−CoVを検出する方法、およびコロナウイルスをタイピングする方法を提供する。例示的な方法は、次の通りである:
(a)2組みの増幅プライマーを使ったNestedPCR。1組のプライマー(「内部」プライマーと呼ばれる)の標的DNA配列の位置を、第2の組のプライマー(「外部」プライマーと呼ばれる)の標的配列内で決める。実際には、「外部プライマー」を使用して患者試料で先ず標準のPCR反応を実施する。その後、第1の反応の生成物を増幅標的として使用して第2のPCR反応を「内部プライマー」で実施する。この方法では、第2の反応で第1の反応の生成物を再増幅することにより、アッセイの感度が高くなる。内部プライマーは第1のPCR反応が特異的な生成物を生んだときだけ増幅するので、アッセイの特異性は高くなる。NestedPCR法の概略図を、図3で示す。
(b)試料を、ハイブリダイズする条件下で、コンセンサスSARSウイルスプライマー核酸、重合のための薬剤およびデオキシヌクレオシド5’−三リン酸で処理する。コンセンサスSARSウイルスプライマーは、SARS−CoVゲノムの標的領域とハイブリダイズするのに十分に相補性の少なくとも1組のプライマーを含み、伸張生成物またはアンプリコンがその組の少なくとも1つの構成メンバーから合成されるようなオリゴヌクレオチドの混合物である。相補鎖から分離すると、アンプリコンは1組のプライマー核酸の他の構成メンバーの伸張生成物またはアンプリコンの合成のための、テンプレートの役目を果たすことができる。
(c)プライマー伸張生成物またはアンプリコンをそれらのテンプレートから分離して一本鎖分子にするために、変性条件下で試料を処理する。
(d)ステップ(c)で生成した一本鎖分子をテンプレートとして使用して更なるプライマー伸張生成物が合成されるような条件でステップ(b)の生成物をステップ(a)のコンセンサスプライマーで処理する。
(e)ステップ(b)〜(d)を繰り返すことにより検出可能な量の標的SARS−CoVアンプリコンを合成して増幅されたSARS−CoV配列を提供する。
(f)ステップ(d)で調製された反応混合物をハイブリダイズ条件で一般のプローブで処理することによって増幅が起こったか、またハイブリダイゼーションおよび増幅が起こったかどうかを決定する。
(g)増幅されたDNAに型特異的なDNAプローブをハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが起こったかどうかを決定する。
【0139】
[0142] PCR法による核酸の増幅は、参照により組み込まれている米国特許第4,683,202号および4,683,195号でも記載されている。一般に、核酸のPCR増幅は、核酸の熱変性、増幅する核酸セグメントに連なる配列へのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールされたプライマーのポリメラーゼによる伸長のサイクルの繰り返しを含む。プライマーは標的配列の反対側の鎖にハイブリダイズし、その位置はポリメラーゼによる核酸合成がプライマー間の領域全体で進行し、前のサイクルで合成された標的核酸の量が効率的に倍増するようになっている。この結果、標的核酸の指数関数的な蓄積が起こる。
【0140】
[0143] 一般に、PCRに用いられるプライマーの選択によって増幅反応の特異性が決定する。本発明の方法の増幅ステップにおいて、型に関係なく試料中に存在するSARS−CoV配列を増幅する「コンセンサス」プライマーが使われる。本発明のコンセンサスプライマーとしては、縮重プライマー、いくつかのヌクレオチドのいずれか1つがプライマーに取り込まれるように合成されたオリゴヌクレオチドの混合物があり、試料に存在するいかなるSARS−CoVの核酸配列を増幅することができるように全ての種類のSARS−CoVに十分に相補的である。
【0141】
[0144] 本発明は、それまで未知のSARS−CoVの系統または型の発見をもたらすこともできる。
【0142】
5’−ヌクレアーゼ反応
[0145] 本発明のオリゴヌクレオチドは、5’−ヌクレアーゼPCR反応でSARS−CoVをリアルタイムで検出するために、5’−ヌクレアーゼプローブとして利用することもできる。
【0143】
[0146] 5’−ヌクレアーゼ反応は、一般的に5’−ヌクレアーゼプローブを使用して、例えばTaq DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を使用することによって特異的なPCR生成物を検出する。ある実施形態において、5’−ヌクレアーゼプローブは、その3’末端の伸張を阻止するためにブロックされる。5’−ヌクレアーゼプローブは一般的に部位特異的配列を含み、蛍光レポーター色素および蛍光クエンチャー色素で標識化される。一般的に、5’−ヌクレアーゼプローブは、PCR反応で使われるプライマー配列の3’末端から下流の標的配列とハイブリダイズする。PCRの過程で、5’−ヌクレアーゼプローブは、標的領域内のその相補的な一本鎖核酸配列とハイブリダイズする。増幅が起こるとき、5’−ヌクレアーゼプローブは、例えばTaq DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のために分解し、それにより伸張の過程でクエンチャーはレポーターから分離される。レポーターに対する消光効果の解放のために、レポーター色素の検出可能な蛍光強度は増加する。増幅過程の間、この発光は通常指数的に増加する。レポーター色素からの発光は、一般的に分光測光法でモニターされる。レポーター色素の蛍光強度の増加は標的配列のプローブハイブリダイゼーションおよび増幅が起こったときだけ達成されるので、5’−ヌクレアーゼアッセイは特異配列の有無を決定するための感度の高い方法(わずか2、3cfu/mlの濃度のウイルス核酸が検出される)を提供する。したがって、この手法は特に診断用途、例えば臨床試料中のSARS−CoVの検出のための試料のスクリーニングなどで有用である。
【0144】
[0147] 5’−ヌクレアーゼ反応における試料中SARS−CoVの検出に有用なプローブの例としては、例えば配列番号17および21と対応する配列を有するオリゴヌクレオチドがある。実例を示すと、5’−ヌクレアーゼプローブは、5’末端でFAM蛍光団を取り込むことができ、3’末端でTAMRAクエンチャーを取り込むことができる。さらに実例を示すと、本発明のある実施形態で、配列番号21に対応する配列を有する5’−ヌクレアーゼプローブが、配列番号11および配列番号20と対応する配列を有するプライマー核酸と、リアルタイムPCR反応で任意選択的に使われる。
【0145】
[0148] 試料中のSARS−CoVを検出するために5’−ヌクレアーゼ反応で任意選択的に使われる条件の例を、下で示す。標的核酸が比較的高い比率で存在することが予想されるならば、反応条件IIは通常より有用である。反応条件の最適化は、当業者の裁量で考慮される。
【0146】
反応条件I
2.5μl 10× TaqMan(登録商標) Aバッファ 1×
3.0μl 25mM MgCl 3mM
0.75μl 10mM dATP 300μM
0.75μl 10mM dCTP 300μM
0.75μl 10mM dGTP 300μM
0.75μl 10mM dUTP 600μM
0.075μl 100μM順方向プライマー 300nM
0.225μl 100μM逆方向プライマー 900nM
0.25μl 10μMプローブ(配列番号17または21) 100nM
0.125μl Amplitaq Gold(登録商標)(5U/μl) 0.025U/μl
0.25μl AmpErase(登録商標) UNG(1U/μl) 0.01U/μl
13.575μl ヌクレアーゼフリーの水
2.0μl DNA標準/試料
総容積=25μl
サイクル条件
50℃で2分間
60℃で30分間
95℃で5分間
95℃15秒および60℃1分を40サイクル
25℃で2分間
【0147】
反応条件II
5μl 10× TaqMan(登録商標)バッファ A 1×
11μl 25mM MgCl 5.5mM
1μl 10mM dATP 200μM
1μl 10mM dCTP 200μM
1μl 10mM dGTP 200μM
1μl 20mM dUTP 400μM
1μl 10μM順方向プライマー 200nM
1μl 10μM逆方向プライマー 200nM
1μl 10μMプローブ(配列番号17または21) 100nM
0.5 AmpliTaq Gold(登録商標)(5U/μl) 0.05 U/μl
0.5μl AmpErase(登録商標)UNG(1U/μl) 0.01U/μl
1.25μl 2%グリセリン 0.05%
23.08μl RNA分解酵素フリーの水
1.67μl DNA標準/試料
総容積=50μl
サイクル条件
50℃で2分間
95℃で5分間
95℃15秒および60℃1分を40サイクル
25℃で2分間
【0148】
[0149] 5’−ヌクレアーゼ反応を用いたRT−PCRを行うための網羅的なマニュアルは、本明細書で完全に組み込まれている2002年4月に印刷されたApplied Biosystems、「TaqMan(登録商標)One−Step RT−PCR Master Mix Reagents Kit Protocol」パートNo.4310299 Rev.Cから利用できる。この刊行物は、2004年4月20日現在、ウェブサイトucl.ac.uk/wibr/2/services/reldocs/1steppcr.pdfで利用可能であった。
VII.オリゴヌクレオチドアレイ
【0149】
[0150] 本発明のある実施形態において、本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドは共有結合または非共有結合により固体支持体に結合し、固体支持体は次に対象からの、増幅され標識された核酸を含む試料と接触させる。他の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは溶液内で遊離の状態で提供される。基本的に、いかなる基質材も本発明のこれらの態様での使用のために任意選択的に応用される。例えばある種の実施形態では、基質はシリコン、ガラスまたはポリマー材(例えばガラスまたはポリマーの顕微鏡スライド、シリコンウエハース、その他)から作られる。顕微鏡スライドを含めて適当なガラスまたはポリマーの基質は、様々な供給元、例えばFisher Scientific(ピッツバーグ、PA)その他から入手可能である。一部の実施形態において、本発明で利用される固体支持体は膜である。適当な膜材は、例えばポリアラミド膜、ポリカーボネート膜、多孔性のプラスチックマトリックス膜(例えばPOREX(登録商標)Porous Plastic、その他)、多孔性の金属マトリックス膜、ポリエチレン膜、ポリ(二フッ化ビニリデン)膜、ポリアミド膜、ナイロン膜、セラミック膜、ポリエステル膜、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))膜、編メッシュ膜、精密濾過膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜、透析膜、複合膜、親水性の膜、疎水性膜、ポリマーベースの膜、非ポリマーベースの膜、粉末活性炭膜、ポリプロピレン膜、ガラス線維膜、ガラス膜、ニトロセルロース膜、セルロース膜、硝酸セルロース膜、セルロースアセテート膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ポリオレフィン膜、その他から任意選択的に選択される。これらの膜材の多くは、広く様々な供給元、例えばP.J.Cobert Associates,Inc.(セントルイス、MO)、Millipore Corporation(ベッドフォード、MA)、その他から入手可能である。任意選択的に利用される他の固体支持体の例としては、例えばセラミックス、金属、樹脂、ゲル、プレート、ビーズ、ミクロビーズ(例えば磁気ミクロビーズなど)、チューブ(例えばマイクロチューブなど)、ホイスカー、線維、コーム、単結晶および自己集合単層がある。
【0150】
[0151] 本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば利用できるいかなる化学的または物理的方法によって、直接または間接的に(例えばリンカー、例えばウシ血清アルブミン(BSA)などを通して)支持体と結合される。分子を多種多様な固体支持体へ結合するために多種多様な結合化学の手法が利用できる。より具体的には、核酸は共有結合により、例えばカップリング剤による結合により、または静電的相互作用、水素結合もしくは抗体抗原結合のような非共有結合により、またはその組み合わせにより固体支持体に結合させることができる。典型的なカップリング剤としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、黄色ブドウ球菌プロテインA/IgG抗体Fc断片およびストレプトアビジン/プロテインAキメラ(参照により組み込まれているSanoら(1991)Bio/Technology 9:1378頁)、またはこれらの薬剤の誘導体もしくは組み合わせがある。核酸は、光切断可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合またはこれらの結合の組み合わせによって固体支持体に結合することができる。核酸は、選択的に解放可能な結合、例えば4,4’−ジメトキシトリチルまたはその誘導体によっても、任意選択的に固体支持体に結合される。有用であることを認めた誘導体としては、3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−ヒドロキシメチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−クロロメチル−安息香酸、およびこれらの酸の塩がある。
【0151】
[0152] 上で言及したように、オリゴヌクレオチドは核酸および固体支持体間のリンカーを通して固体支持体に任意選択的に結合される。有用なリンカーとしては、先に述べたように他のまたは更なる結合パートナーへ結合するための、あるいは固体支持体との結合を切断可能にするための結合剤がある。
【0152】
[0153] 切断可能な結合は、オリゴヌクレオチドと固体支持体との間に切断が可能な化学部分、例えばオリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴポリアミド、オリゴアクリルアミド、オリゴエチレングリセロール、炭素原子数約6〜20のアルキル鎖およびその組み合わせを結合することにより作製することができる。これらの部分は、例えば化学薬剤の添加、電磁放射線または酵素によって切断することができる。酵素によって切断が可能な結合の例としては、プロテアーゼで切断が可能なペプチド結合、およびヌクレアーゼで切断が可能なホスホジエステル結合がある。
【0153】
[0154] β−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)および他の還元剤のような化学薬剤は、ジスルフィド結合を切断する。有用な他の薬剤としては、酸化剤、水和剤および他の選択的活性化合物がある。紫外線のような電磁放射線、赤外線および可視光は光切断性結合を切断する。結合は、例えば熱または酵素処理などにより可逆性でもよく、または可逆性化学結合もしくは磁性結合でもよい。解放および再結合は、例えば磁気または電場を使用して実施することができる。
【0154】
[0155] アレイベースのハイブリダイゼーションは多くのアンプリコンの存在を同時に検出するために用いることができるので、SARS−CoV核酸の検出に特に適当である。Affymetrix,Inc.(サンタクララ、CA、USA)などの供給元から入手可能なものを含めいくつかのアレイシステムが記載されており、本発明での使用に応用することができる。アレイ構築および使用の態様は、例えば参照により組み込まれているSapolskyら(1999)「High−throughput polymorphism screening and genotyping with high−density oligonucleotide arrays」、Genetic Analysis:Biomolecular Engineering 14:187〜192頁;Lockhart(1998)「Mutant yeast on drugs」Nature Medicine 4:1235〜1236頁;Fodor(1997)「Genes,Chips and the Human Genome」、FASEB Journal 11:A879;Fodor(1997)「Massively Parallel Genomics」Science 277:393〜395頁;およびCheeら(1996)「Accessing Genetic Information with High−Density DNA Arrays」Science 274:610〜614頁でも記載されている。
【0155】
VIII.核酸ハイブリダイゼーション
[0156] 標的SARS−CoV核酸へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、適当なハイブリダイゼーション条件を選ぶことによって達成することができる。プローブ−標的核酸ハイブリッドの安定性は、一般的にアッセイおよび洗浄条件と適合するように選択されるので、プローブと標的SARS−CoV核酸との間でだけ安定して検出可能なハイブリッドが形成する。1つまたは複数の異なるアッセイパラメータの操作により、特定のハイブリダイゼーションアッセイの正確な感度および特異性が決定する。
【0156】
[0157] より具体的には、DNA、RNA、PNAまたはDNA、RNAおよびPNAの組み合わせの相補的塩基間のハイブリダイゼーションは、温度、塩濃度、静電強度、緩衝液組成などが異なる多種多様な条件で起こる。これらの条件およびそれらを適用する方法の例は、例えば上記Tijssen(1993)および上記HamesおよびHigginsに記載されている。通常、ハイブリダイゼーションはハイブリダイズする配列の性質およびその長さによって、約0℃から約70℃の間で約1分から約1時間の間起こる。しかし、ハイブリダイゼーションは反応の状態によっては数秒または数時間で起こることが認められる。実例を示すと、2つの20量体の混合物の典型的なハイブリダイゼーション条件は、混合物を68℃の温度にし、次に5分間室温(22℃)に冷却するか、または2μlで2℃などの極低温にすることである。核酸間のハイブリダイゼーションは、トリス−EDTA(TE)、トリス−HClおよびHEPESのような緩衝液、塩溶液(例えばNaCl、KCl、CaCl)または他の水溶液、試薬および化学物質を用いて促進することができる。これらの試薬の例としては、一本鎖結合タンパク質、例えばRecAタンパク質、T4遺伝子32タンパク質、大腸菌一本鎖結合タンパク質および主要またはマイナーな核酸溝結合タンパク質がある。そのような試薬および化学物質の他の例としては、二価イオン、多価イオンおよび挿入物質、例えばエチジウムブロミド、アクチノマイシンD、ソラレンおよびアンゲリシンなどがある。
【0157】
IX.検出およびオリゴヌクレオチド変異
[0158] 上で言及したように、本発明の方法で利用される試料中の増幅された標的SARS−CoV核酸は、オリゴヌクレオチド−標的ハイブリダイゼーション二重鎖の検出のために任意選択的に標識される。一般に、標識は、例えば増幅のために利用されるプライマーに結合して検出可能なシグナル(例えば定量可能なシグナル)を提供することができるいかなる部分でもよい。標識は、当技術分野で公知の様々な手法によって直接または間接にプライマーと結合することができる。使われる標識の種類にしたがい、標識は末端(プライマーの5’もしくは3’末端)または非末端ヌクレオチドに結合することができ、また様々な大きさおよび組成物のリンカーまたはスペーサーアームを通して間接的に結合することができる。市販のホスホラミダイト試薬を使用すると、適切に保護されたホスホラミダイトを仲立ちにして5’または3’末端に官能基(例えばチオールまたは一級アミン)を含むオリゴマーを生成することができ、また例えばPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編、Academic Press,Inc.(1990)で記載されているプロトコルを使用してそのようなオリゴヌクレオチドを標識することができる。一実施形態では、標識は5’末端でプライマーと共有結合で結合したビオチン分子からなる。用語「ビオチン化プライマー」は、プライマーへ直接、または介在リンカー分子を通して間接的に結合した1つまたは複数のビオチン分子を有するプライマーを指す。
【0158】
[0159] さらに実例を示すと、オリゴヌクレオチド−標的ハイブリダイゼーション二重鎖の検出は、例えば参照により組み込まれている市販のWhiteheadら(1983)Natutre 30(5):158頁で記載されているように、ルミノールベースの試薬を使った化学発光アッセイによって任意選択的に行われる。標識化標的DNAとオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの後、標的DNAと結合しているビオチン分子は、例えばストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP)とコンジュゲートされる。あるいは、標的DNAを西洋ワサビペルオキシダーゼで直接標識し、それによって別のコンジュゲートステップを省略することができる。いずれにせよ、以降に西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素でルミノールを酸化すると光量子が放出され、光量子は次に例えば標準のオートラジオグラフィーフィルム上で検出される。シグナル強度は、DNA量の関数である。通常、既知量のDNAを含む一連のDNA標準が1つまたは複数の未知試料と共に分析される。既知のDNA標準の信号強度により、信号強度およびDNA量間の関数関係を経験的に決定でき、これにより未知試料の定量化が可能になる。他の多くの検出方法も、本発明の方法を実施するために任意選択的に利用され、また本明細書の引用文献で言及されており、かつ/または一般に当技術分野で公知である。
【0159】
[0160] SARS−CoVアンプリコンの検出に利用できるいかなる方法も、本発明で使うことができる。一般の方法としては、分子ビーコンまたは5’−ヌクレアーゼプローブによるリアルタイムの増幅検出、挿入色素の検出、増幅プローブまたは増幅された核酸そのものに取り込まれた標識の検出(例えば、電気泳動により取り込まれなかった標識から増幅生成物を分離した後)、ハイブリダイゼーションベースのアッセイ(例えば、アレイベースのアッセイ)および/または核酸と結合する二次試薬の検出がある。
【0160】
[0161] さらに実例を示すと、分子ビーコンまたは5’−ヌクレアーゼプローブは、任意選択的に本発明のオリゴヌクレオチド(すなわち、配列番号1〜12および15〜24から選択されるまたはその相補体)を含むように設計され、その分子ビーコンまたは5’−ヌクレアーゼプローブはSARS−CoVアンプリコンを検出するのに用いることができる。分子ビーコンまたは5’−ヌクレアーゼプローブは下でさらに記載される。これらの一般的方法に関する詳細は本明細書の引用文献、例えばSambrookおよびAusubelで見られる。核酸を標識するための更なる標識戦略および対応する検出戦略は、例えば参照により組み込まれているHaugland(2003)Handbook of Fluorescent Probe and Research Chemicals第9版、Molecular Probe,Inc.(Eugene、OR)で見られる。
【0161】
[0162] 分子ビーコン(MB)は、標的核酸(例えば標的SARS−CoVアンプリコン)のリアルタイム検出および定量化のために設計されたオリゴヌクレオチドである。MBの5’および3’末端は、共同でMBの検出可能な特性を付与する一対の部分を含む。末端の1つは蛍光団と結合し、他は蛍光団の蛍光発光を消光することができるクエンチャー分子と結合する。例えば、蛍光団−クエンチャーの組の1つの例では、EDANSまたはフルオレセインなどの蛍光団を、例えば5’末端に、Dabcylのようなクエンチャーを、例えば3’末端に使用することができる。MBが溶液中に遊離している場合、すなわち第2の核酸とハイブリダイズしていない場合、MBの幹は相補的な塩基の対合によって安定化する。この自己相補的対合の結果、蛍光団およびクエンチャー部分がお互いに近接したMBの「ヘアピンループ」構造が形成する。この確認において、蛍光部分は蛍光団によって消光する。分子ビーコンのループは、一般的に本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドを含み(すなわち、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体から選択される)、したがって標的SARS−CoV核酸中の検出する配列に相補的であるので、標的中の相補配列とループとのハイブリダイゼーションは幹の分離を起こし、それによって蛍光団とクエンチャーとの距離は互いに遠くなる。この結果、蛍光団の消光は起こらず、MBの蛍光は増加する。
【0162】
[0163] MBの作製および使用の標準方法に関する詳細は文献で確立されており、MBはいくつかの試薬販売元から入手可能である。MBの製造および使用の方法に関する詳細は、例えば参照により組み込まれているLeoneら(1995)「Molecular beacon probes combined with amplification by NASBA enable homogenous real−time detection of RAN」、Nucleic Acids Res.26:2150〜2155頁;Hsuihら(1997)「Novel,ligation−dependent PCR assay for detection of hapatitis C in serum」 J Clin Microbiol 34:501〜507頁;Kostrikisら(1998)「Molecular beacons:spectral genotyping of human alleles」Science 279:1228〜1229頁;Sokolら(1998)「Real time detection of DNA:RNA hybridization in living cells」 Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:11538〜11543頁;Tyagiら(1998)「Multicolor molecular beacons for allele discrimination」Nature Biotechnology 16:49〜53頁;Fangら(1999)「Designing a novel molecular beacon for surface−immobilized DNA hybridization studies」 J.Am.Chem.Soc.121:2921〜2922頁;およびMarrasら(1999)「Multiplex detection of single−nucleotide variation using molecular beacons」 Genet.Anal.Biomol.Eng.14:151〜156で見られる。MB構築および使用の態様は、特許文献、例えば参照により組み込まれているTyagiらの米国特許第5,925,517号(1999年7月20日)「Detectably labeled dual conformation oligonucleotide probes,assays and kits」;Tyagiら(2000年11月21日)への米国特許第6,150,097号「Nucleic acid detection probes having non−FRET fluorescence quenching and kits and assays including such probes」、およびTyagiら(2000年3月14日)の米国特許第6,037,130号「Wavelength−shifting probes and primers and their use in assays and kits」でも見られる。
【0163】
[0164] MB成分(例えば、蛍光団またはクエンチャーで標識したものを含めオリゴ)は、従来法で合成することができる。これらの方法の一部は上でさらに記載されている。例えば、オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸(PNA)は、標準の方法を使用して市販の自動オリゴヌクレオチド/PNA合成機で合成することができる。自動合成の間または前記した合成反応後に標識をオリゴヌクレオチドまたはPNAに結合することができる。例えば上記TyagiおよびKramer(1996)を参照。官能化オリゴヌクレオチドの合成に関する態様は、参照により組み込まれているNelsonら(1989)「Bifunctional Oligonucleotide Probes Synthesized Using A Novel CPG Support Are Able To Detect Single Base Pair Mutations」Nucleic Acids Res.17:7187〜7194ページでも見られる。標識/クエンチャーは、例えば孔制御ガラスカラムを用いて例えばクエンチャー(例えば、4−ジメチルアミノアゾベンゼン−4’−スルホニル部分(DABSYL))を導入することにより、オリゴヌクレオチドまたはPNAに導入することができる。例えば、クエンチャーは自動合成の間にオリゴヌクレオチドの3’末端に加えることができる。結合部位が一級アミノ基であるときは、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)のスクシンイミジルエステルを使うことができる。結合部位がスルフヒドリル基であるときは、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−マレイミド(DABMI)を使うことができる。同様に、フルオレセインは、ヌクレオシドをフルオレセインで置換するフルオレセインホスホラミダイトを用いて、またはリンカーを通してチミジン環にフルオレセイン部分を導入するフルオレセインdTホスホラミダイトを用いてオリゴヌクレオチドに導入することができる。フルオレセイン部分を末端部位に結合させるために、ヨードアセトアミドフルオレセインをスルフヒドリル基に結合することができる。テトラクロロフルオレセイン(TET)は、5’−テトラクロロ−フルオレセインホスホラミダイトを使用して自動合成の間に導入することができる。他の反応性蛍光団誘導体およびそのそれぞれの結合部位としては、アミノ基に結合した5−カルボキシローダミン−6G(RHD)のスクシンイミジルエステル;スルフヒドリル基に結合したテトラメチルローダミンのヨードアセトアミド;アミノ基に結合したテトラメチルローダミンのイソチオシアネート;または、スルフヒドリル基に結合したTexas redのスルホニルクロリドがある。これらの標識化成分の合成の間、コンジュゲートしたオリゴヌクレオチドまたはPNAは、所望により例えば高圧液体クロマトグラフィーまたは他の方法によって精製することができる。
【0164】
[0165] 様々な供給元、例えばCruachem(cruachem.com)、Oswel Research Products Ltd.(英国;oswel.com)、Research Genetics(Invitrogen、ハンツヴィルALの一部門(resgen.com))、Midland Certified Reagent Company(ミッドランド、TX mcrc.com)およびGorilla Genomics、LLC(Alameda、CA)などが標準および注文製品の分子ビーコンを生産している。分子ビーコンを利用する様々なキット、例えばStratagene(ラホーヤ、CA)からのSentinel(商標)Molecular Beacon Allelic Discriminationキット、ならびにEurogentecSA(ベルギー、eurogentec.com)およびIsogen Bioscience BV(オランダ、isogen.com)からの様々なキットも市販されている。
【0165】
[0166] 上でも言及したようにある実施形態において、1つまたは複数の5’−ヌクレアーゼプローブを含むリアルタイムPCRアッセイ系が、増幅されたSARS−CoV核酸を検出するために使われる。これらの系はある種のポリメラーゼの内因性ヌクレアーゼ活性を用いて作動し、本発明のクエンチャーおよび標識を含むオリゴヌクレオチドからクエンチャーまたは標識を切断し、その結果、標識は消光しなくなる。ポリメラーゼは複製が開始したときだけ、すなわちオリゴヌクレオチドがテンプレートと結合してポリメラーゼがプライマーを伸張するときだけクエンチャーまたは標識を切断する。したがって、適切に標識化されたオリゴヌクレオチドおよび適当なヌクレアーゼ活性を含むポリメラーゼは、興味の対象であるSARS−CoV核酸を検出するのに用いることができる。FRETまたはその他(および関連したリアルタイム逆転写PCR)によるリアルタイムPCR生成物の解析は、リアルタイムPCRモニタリングのための、様々な状況で使用され本明細書で記載されているプローブおよび方法での使用に応用することができる公知の手法を提供する(参照により組み込まれているLaurendeauら(1999)「TaqMan PCR−based gene dosage assay for predictive testing in individuals from a cancer family with INK4 locus haploinsufficiency」Clin Chem 45(7):982〜6頁;Laurendeauら(1999)「Quantitation of MYC gene expression in sporadic breast tumors with a real−time reverse transcription−PCR assay」Clin Chem 59(12):2759〜65頁;およびKreuzerら(1999)「LightCycler technology for the quantitation of bcr/ab1 fusion transcripts」Cancer Research 59(13):3171〜4頁を参照)。さらに実例を示すと、本発明の5’−ヌクレアーゼプローブの例としては、5’−(6−FAM)−AGCTAACGAGTGTGCGCAAGTATTAAGTGAGATG−(TAMRA)(リン酸)−3’(配列番号27)、および5’−(6−FAM)−AGAGCCATGCCTAACAT(NFQ)−3’(配列番号28)がある。
X.システム
【0166】
[0167] 本発明は、試料中のSARS−CoVを検出するシステムも提供する。本明細書で記載されているようにこのシステムは1つまたは複数の核酸検出試薬を含む(例えば、プローブ核酸、配列特異抗体、その他)。ある実施形態において、核酸検出試薬は固体支持体上に配列され、他の実施形態では、例えば溶液内で実施されるアッセイのために、それらは1つまたは複数の容器に入れられて提供される。このシステムは、試料からの核酸および/またはそのアンプリコンと核酸検出試薬との間の結合を検出する少なくとも1つの検出器(例えばスペクトロメータなど)も含む。他の検出器はさらに下で記載されている。さらに、このシステムは検出器に作動可能に接続されている少なくとも1つのコントローラーも含む。コントローラーは、検出器で検出された結合を試料中のSARS−CoVの存在と相関させる1組または複数組の命令を含む。
【0167】
[0168] 一部の実施形態において、少なくとも1つの容器は核酸検出試薬を含む。これらの実施形態では、このシステムは容器内の温度を調整するために容器に作動可能に接続されている少なくとも1つの温度調整器、および/または例えば容器内などで1つまたは複数の核酸増幅手法を実施するために、流動体を容器へ、かつ/またはそこから移す少なくとも1つの流動体輸送要素(例えば自動ピペッタなど)を任意選択的にさらに含む。
【0168】
[0169] 本明細書で記載される核酸検出試薬(例えば、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体からなる群から選択される配列を含むオリゴヌクレオチド、配列特異抗体、その他)を使用してSARS−CoV核酸を検出するために任意選択的に利用される市販システムの例としては、例えばRoche Diagnostics Corporation(インディアナポリス、IN)から入手可能なLightCycler(商標)システム(例えばLightCycler(商標)RNA Master SYBR Green Detection)またはCOBAS AMPLICOR(登録商標)Analyzer、Luminex Corporation(オースティン、TX)から入手可能なLUMINEX 100(商標)システム、Applied Biosystems(フォスターシティー、CA)から入手可能なABI PRISM(登録商標)Sequence Detectionシステムなどがある。
【0169】
[0170] 本発明は配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体の1つまたは複数に対応する複数の配列に対応する複数の文字列を含むデータセットを含むコンピューターまたはコンピューター可読媒体をさらに提供する。一般的に、このコンピューターまたはコンピューター可読媒体は、このコンピューターまたはコンピューター可読媒体の出力に連結した自動シンセサイザーをさらに含む。この自動シンセサイザーは前記コンピューターまたはコンピューター可読媒体から命令を受け、この命令は、例えばデータセット内の1つまたは複数の文字列と対応する1つまたは複数のプローブ核酸の合成を命令する。システムおよびシステムコンポーネントの例は、さらに下で記載される。
【0170】
[0171] 検出器は、システムの他の要素の中または近く(例えば、容器内、固体支持体上、その他)で生じた検出可能なシグナルを検出する構造になっている。これらのシステムで任意選択的に利用されるかまたはそこでの使用のために応用されるに適した信号検出器は、例えば蛍光、リン光、放射能、吸光度、屈折率、発光、またはその他を検出する。検出器は任意選択的に、例えば与えられたアッセイ段階の実施の上流および/または下流からの一つまたは複数のシグナルをモニターする。例えば、検出器は位置的に「リアルタイム」結果と一致する複数の光学シグナルを任意選択的にモニターする。検出器またはセンサーの例としては、光電子増倍管、CCDアレイ、光センサー、温度センサー、圧力センサー、pHセンサー、伝導度センサー、スキャニング検出器、またはその他がある。これらならびに他の種類のセンサーの各々は、任意選択的に本明細書で記載されているシステムに容易に取り込まれる。任意選択的に、本発明のシステムは複数の検出器を含む。
【0171】
[0172] これらのシステムで任意選択的に利用されるより特異的な検出器の例としては、例えば共鳴光散乱検出器、放出分光器、蛍光分光器、リン光分光器、発光分光器、分光光度計、光度計などがある。様々な合成要素も本発明のシステムで利用されるか応用され、これらの例としては、例えば本明細書で記載されているオリゴヌクレオチドを合成するための自動核酸シンセサイザーがある。任意選択的に本発明のシステムに含まれる検出器および合成要素は、例えば参照により組み込まれているSkoogら、Principles of Instrumental Analysis、第5版、Harcourt Brace College Publishers(1998)およびCurrell、Analytical Instrumentation:Performance Characteristics and Quality、John Wiley & Sons,Inc.(2000)でさらに記載されている。
【0172】
[0173] 一般的に本発明のシステムは、要素の作動を制御するために、システムの1つまたは複数の要素(例えば検出器、合成要素、温度調整器、流体輸送要素、その他)に作動可能に接続されたコントローラーも含む。より具体的には、通常コントローラーは分離または一体化されたシステムコンポーネントとして含まれ、例えば、検出器からのデータを受信するため、容器内の温度を有効にしかつ/もしくは調節するため、選択された容器へのまたは容器からの流動を有効にしかつ/もしくは調節するため、またはその他の目的のために使用される。コントローラーおよび/または他のシステムコンポーネントは、任意選択的に適切にプログラムされたプロセッサ、コンピューター、ディジタル素子または他の情報機器(例えば、必要に応じてADコンバータまたはDAコンバータ)に連結され、これらは前もってプログラムされたかまたはユーザーが入力した指示に従ってこれらの機器の動作を指示し、これらの機器からデータおよび情報を受信し、この情報を解釈し、操作し、ユーザーに報告する役目をする。適当なコントローラーは一般に当技術分野で公知であり、様々な供給元から入手可能である。
【0173】
[0174] いかなるコントローラーまたはコンピューターも任意選択的にモニターを含み、しばしばブラウン管(「CRT」)のディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(例えばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイなど)、その他が使用される。コンピューター回路は、多数の集積回路チップ、例えばマイクロプロセッサ、メモリー、インタフェース回路、その他を含む箱内に置かれることが多い。箱は、任意選択的にハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、大容量リムーバブルドライブ、例えばライタブルCD−ROM、および他の一般の周辺要素を含む。キーボードまたはマウスのような入力装置は、任意選択的にユーザーからの入力を可能にする。これらの要素は、さらに下で例示される。
【0174】
[0175] 一般的にコンピューターは、一組のパラメーターフィールドへの、例えばGUIによるユーザー入力の形式、または、前もってプログラムされた命令、例えば様々な異なる具体的な作業のために事前にプログラムされた命令の形式の、いずれかのユーザーの指示を受け取るための適当なソフトウェアを含む。このソフトウェアは、次に、所望の作業を実施するために、1つまたは複数のコントローラーの動作を指示するための適当な言語にこれらの命令を変換する。次にコンピューターは、例えばシステム内に含まれるセンサー/検出器からデータを受け取り、データを解釈し、ユーザーが理解できるフォーマットで提供するか、または例えば重量計などから受け取った流重量データに応じて流動調節器を制御するなどのプログラミングに従って、そのデータを用いて更なるコントローラー命令を開始する。
【0175】
[0176] コンピューターは、例えばPC(インテル×86またはPentiumチップ互換DOS(商標)、OS2(商標)、WINDOWS(商標)、WINDOWS NT(商標)、WINDOWS95(商標)、WINDOWS98(商標)、WINDOWS2000(商標)、WINDOWS XP(商標)、LINUXベースの機、MACINTOSH(商標)Power PCまたはUNIXベースの(例えばSUN(商標)ワークステーション)PC)、あるいは当業者に公知の他の一般の市販コンピューターでよい。標準のデスクトップアプリケーション、例えばワードプロセッシングソフト(例えば、Microsoft Word(商標)またはCorel WordPerfect(商標))およびデータベースソフトウェア(例えば表計算ソフト、例えばMicrosoft Excel(商標)、Corel Quattro Pro(商標)、またはMicrosoft Access(商標)またはParadox(商標)のようなデータベースプログラム)は、本発明に適用することができる。例えば、温度調整器および流動調節器の制御を実施するためのソフトウェアは、標準プログラミング言語、例えばVisual basic、Fortran、Basic、Javaまたはその他を使用して当業者によって任意選択的に構築される。
【0176】
[0177] 図4および5は、代表的なシステム例を示している概略図であり、本発明の様々な態様が具現化される論理装置を含む。本明細書で提供される教示から当業者が理解するように、本発明はハードウェアおよび/またはソフトウェアで任意選択的に実施される。一部の実施形態において、本発明の異なる態様は、クライアント側論理またはサーバー側論理で実施される。当技術分野で理解されるように、本発明またはその構成要素は、適切に構成されたコンピューティング装置にロードされたときに、論理命令および/またはデータを含む媒体プログラム要素(例えば固定媒体要素)内で実施することができ、その装置が本発明に従って実施するようにさせる。また当技術分野で理解されるように、論理命令を含む固定媒体はビューアーのコンピューターに物理的にロードするために固定媒体上のビューアーに送達することができ、あるいは、論理命令を含む固定媒体は、ビューアーがプログラム要素をダウンロードするために通信媒体を通してアクセスするリモートサーバー上にあってもよい。
【0177】
[0178] 詳細には、図4は検出器402および流体輸送構成要素404が作動可能に接続されたコンピューター400を図示する。任意選択的に、検出器402および/または流体輸送構成要素404は、サーバー(図4では示されていない)を経由して作動可能にコンピューター400に接続される。作動中、流体輸送構成要素404は一般的に流体、例えば標識化SARS−CoVアンプリコンを含む試料アリコートを、例えば本明細書で記載されているようにその上に並べられたオリゴヌクレオチド、配列特異抗体などを含む核酸検出試薬アレイ406へ移す。その後、検出器402は一般的に、流体輸送構成要素404を使用して核酸検出試薬アレイ406からハイブリダイズしなかった核酸を洗い流すために1回または複数回の洗浄段階を経てから、核酸検出試薬アレイ406に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする標識化アンプリコンによって生じた検出可能なシグナル(例えば蛍光発光など)を検出する。さらに示したように、温度調整器408も作動可能にコンピューター400と接続される。ハイブリダイゼーションアッセイを実施する前に、標的SARS−CoV核酸は、標識化プライマー核酸(例えば、配列番号1〜12および15〜24またはその相補体から選択される配列を含むプライマー)を使用して増幅することができる。次に、これらの増幅反応のアンプリコンは、一般的に先に述べたように結合アッセイを実施するために、流体輸送構成要素404を使用して核酸検出試薬アレイ406へ移動される。一部の実施形態では、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含む分子ビーコン、5’−ヌクレアーゼプローブ、その他を使用して温度調整器408内でSARS−CoV核酸増幅と並行して結合アッセイが実施される。これらの実施例では、検出器402は温度調整器408を使用して増幅反応を実施するときに生じる検出可能なシグナルを検出する。
【0178】
[0179] 図5は、媒体502および/またはネットワークポート504からの命令を読み取ることができる論理装置として理解される情報機器またはディジタル素子500を図式的に示し、これは固定媒体508を有するサーバー506と任意選択的に接続することができる。ディジタル素子500は、当技術分野で理解されるように、その後サーバーまたはクライアント論理に命令を出すためにそれらの命令を使い、本発明の態様を具現化することができる。本発明を具現化することができる論理装置の1つの型は500で例示されたコンピューターシステムであり、これはCPU 510、オプションの入力装置512および514、ディスクドライブ516およびオプションのモニター518を含む。固定媒体502、またはポート504上の固定媒体508は、そのようなシステムをプログラムするために用いることができ、代表的なものはディスクタイプの光学または磁気媒体、磁気テープ、ソリッドステートダイナミックメモリまたはスタティックメモリ、その他である。具体的な実施形態において、本発明はこの固定媒体上に記録されるソフトウェアとしてその全体または一部を具現化することができる。通信ポート504は、そのようなシステムをプログラムするのに用いられる命令を最初に受け取るのに用いることができ、いかなる種類の通信接続をも意味する。任意選択的に、本発明は特定用途向け集積回路(ACIS)またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)の回路内で、その全体または一部が具現化される。そのような場合、本発明はコンピューターが理解でき、ASICまたはPLDの作製に使用できる記述言語で具現化することができる。
【0179】
[0180] 図5は、サーバー506を経由して作動可能にディジタル素子500に接続している自動シンセサイザー350も含む。任意選択的に、自動シンセサイザー520はディジタル素子500に直結している。作動中、自動シンセサイザー520は、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有して実質的に同一なその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含む1つまたは複数のプライマーまたはプローブを合成する命令を受け取り、これらのデータは例えばディジタル素子500および/またはコンピューターが読み取れる媒体、例えば固定媒体502および/または508に含まれるデータセットに含まれる。
【0180】
XI.キット
[0181] 本発明の方法で使用される核酸検出試薬(例えばプライマー核酸、プローブ核酸、その他)は、任意選択的にキットにパックされる。本明細書で記載されているように、本発明の核酸検出試薬は標的SARS−CoV核酸と検出可能に結合する。さらに、キットは適切にパックされた核酸固定化、ハイブリダイゼーションおよび/または検出に必要な試薬および物質、例えば固体支持体、緩衝液、酵素および核酸標準、ならびにアッセイを行うための説明書を含むことができる。任意選択的に、本発明の核酸検出試薬(例えばオリゴヌクレオチド、配列特異抗体、その他)は、既に結合した状態で、さもなければ固体支持体上に固定された状態で提供される。他のオプションとして、例えば本発明の検出法を液相で実施するために、核酸検出試薬は容器中の溶液に遊離した状態で提供される。これらの一部の実施形態では、キットの核酸検出試薬は、例えば分子ビーコン、5’−ヌクレアーゼプローブ、またはその他が配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を含む場合などには、標識および/またはクエンチャー部分を含む。ある実施形態において、キットは試料中の標的SARS−CoV配列を増幅するための標識化プライマーをさらに含む。
【0181】
[0182] キットは、核酸検出試薬を試料からの核酸またはそのアンプリコンと接触させ、核酸検出試薬とSARS−CoV核酸との間の結合を検出するための1組の説明書、または核酸検出試薬および1組の説明書を包装するための少なくとも1つの容器の、1つまたは複数も含む。本発明のキットに含まれる固体支持体の例は、例えばプレート、マイクロウェルプレート、ビーズ、ミクロビーズ、チューブ(例えばマイクロチューブ、その他)、線維、ホイスカー、コーム、ハイブリダイゼーションチップ、膜、単結晶、セラミック層、自己集合単層、などから任意選択的に選択される。
【0182】
[0183] 一部の実施形態において、キットは、例えばSARS−CoV核酸のセグメントを増幅するための、SARS−CoV核酸の少なくとも1つのセグメントと少なくとも部分的に相補的な少なくとも1つのプライマー核酸をさらに含む。これらの実施例では、キットは一般的にその核酸の1つまたは複数の部分配列をプライマー核酸で増幅するための1組の説明書、ヌクレオチドを取り込む少なくとも1つの生体触媒(例えばポリメラーゼ)、および1つまたは複数のデオキシリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、プライマー核酸は少なくとも1つの標識(例えば、蛍光色素、放射性同位体、その他)を含む。適切な標識はさらに本明細書で記載されている。例えば、プライマー核酸はビオチンまたはビオチン誘導体と任意選択的にコンジュゲートされる。これらの実施例では、例えば本発明の核酸検出試薬と標的核酸との間の結合の検出を実施するために、キットは一般的にアビジンもしくはアビジン誘導体、またはストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン誘導体とコンジュゲートされた酵素をさらに含む。これらの実施形態では、キットは通常、ヌクレオチドを取り込む少なくとも1つの生体触媒(例えばポリメラーゼ、リガーゼ、またはその他)をさらに含む。これらの実施形態では、キットは一般的に、例えば標的核酸を増幅するための1つまたは複数のヌクレオチドをさらに含む。任意選択的に、ヌクレオチドの少なくとも1つは標識を含む。これらの実施形態の一部では、キットは、例えばピロリン酸分解を最小にするための少なくとも1つのピロホスファターゼ(例えば耐熱性のピロホスファターゼ)、例えばキャリーオーバー汚染に対する保護が望ましい用途における使用のためのウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)(例えば耐熱性UNG)をさらに含む。
【0183】
XII.実施例
[0184] 本明細書で記載されている実施例および実施形態は例示だけが目的であり、請求されている発明の範囲を限定するものではない。本明細書で記載されている実施例および実施形態を考慮した様々な修正または変更は、当業者に提案され、かつこの出願の精神および範囲ならびに添付の請求項の範囲に含まれるものとする。
【0184】
実施例1:SARSコロナウイルスのnestedPCR検出
[0185] SARSコロナウイルス検出RT−PCT診断は、SARSを有することが疑われる患者を検出するために特異的に設計されている。試薬はエンドポイントPCRで使用され、生成物はアガロースゲル電気泳動によって分析される。逆転写酵素およびTaqポリメラーゼの選択に柔軟性をもたせるように、試薬は設計されている。
【0185】
[0186] 提供試薬(10項目):
1.陽性対照(プライマー配列を含む2.5kbのDNA断片)Neat
2.陽性対照1/10希釈
3.陽性対照1/100希釈
4.陰性対照A(水または緩衝溶液だけ)
5.陰性対照B(陽性対照断片のクローニングベクター)
6.GISSARSOUT_F(10μM)(配列番号11)
7.GISSARSOUT_R(10μM)(配列番号12または20)
8.GISSARSIN_F(10μM)(配列番号13(=SAR1S;Drostenら(2003)「Identification of a novel coronavirus in patients with severe acute respiratory syndrome」、N.Engl.J.Med.348:1967〜1976頁を参照)、配列番号15または18)
9.GISSARSIN_R(10μM)(配列番号14(=SAR1As、上記Drostenら(2003)を参照)、配列番号16または19)
10.PCR用滅菌水
GISSARSOUT_Rは、第1鎖cDNA合成および第1回目のPCRの両方の3’−プライマーとして使われる。
【0186】
[0187] 必要であるが提供されない試薬:
1.RNA抽出
推奨供給元:
Rneasy(登録商標)キット(Qiagen)またはTRIZOL(登録商標)(Invitrogen)
2.第1鎖cDNA合成
推奨供給元:
Expand逆転写酵素(ロシュ)またはSuperscript II逆転写酵素(Invitrogen)
3.dNTPミックス
推奨供給元:
dNTPs Mix(New England Biolabs)またはdNTPs Mix(Invitrogen)
4.Taqポリメラーゼ
推奨供給元:
Platinum Taq PolymeraseまたはHigh Fidelity PCRシステム(ロシュ)
【0187】
プロトコル:
[0188] SARS感染が疑われる患者からの試料、例えば血液および組織は、WHO(2004年4月20日現在のウェブサイトwho.int/en/)またはCDC(2004年4月20日現在のウェブサイトcdc.gov/)の勧告に従って扱う必要がある。
1.RNAは、メーカーの説明書(TRIZOL(登録商標)またはQiagenキット)によって抽出する。
2.第1鎖cDNAの合成は、20μlの反応容積でGISSARSOUT_R(2μl)を使用して抽出されたRNAの上で実施する。
3.第1回目のPCR:25μlの反応容積でGISSARSOUT_F(1.25μl)およびGISSARSOUT_R(1.25μl)を用い、cDNA生成物(2.5μl)をテンプレートとして使う。試料のウイルス力価が非常に高いならば、この段階で440bpの断片が検出される。注:対照テンプレート(1μl)は、PCR反応ごとに一緒に試験することができる。
PCR条件:
94℃で2分間

94℃で10秒間
50℃で30秒間 35サイクル
72℃で1分間

72℃で7分間
4.第2回目PCR:25μlの反応容積でGISSARSIN_F(1.25μl)およびGISSARSIN_R(1.25μl)を用い、第1回目のPCRからの生成物(2.5μl)を第2回目のPCRのテンプレートとして、第1回目のPCRと同じPCR条件で使う。注:対照テンプレート(1μl)は、PCR反応ごとに一緒に試験することができる。
5.生成物は、1.2〜1.5%のアガロースゲル上で分析する。陽性SARSの確認のために120bpの断片を検出することができる。図6を参照。
【0188】
実施例2:リアルタイムPCRによるSARSコロナウイルスの検出
[0189] 実施例1で記載されている標準RT−PCR方法ではなくリアルタイムPCRを使用して臨床試料中のSARS−CoVを検出することができる。
以下を20μLの反応液に混合する:
10μL 2× Universal PCR Mix(Applied Biosystems)
1.8μL 10μM Primer 1(例えば配列番号11)
1.8μL 10μM Primer 2(例えば配列番号20)
0.5μL 10μM 5’−ヌクレアーゼプローブ(例えば配列番号21)
4.9μLの水
1.0μLのテンプレート
【0189】
[0190] PCRプライマーの最終濃度は900nMである;
5’−ヌクレアーゼプローブの最終濃度は250nMである。
【0190】
[0191] 反応は好ましくは二つ組で行う。
【0191】
[0192] PCRサイクルは95℃で10分間の後、95℃で15秒の変性および60℃で1分のアニーリングおよび伸張の40サイクルが続く。
【0192】
[0193] システムメーカーによって記載されているように、アニーリングおよび伸張サイクルの間、蛍光をモニターする。
【0193】
[0194] 以上、本発明を明快さおよび理解の目的のために若干詳細に述べたが、本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および細部の様々な変更を加えることができることは、この開示の解釈から当業者には明らかとなろう。例えば、上述の全ての手法および装置は、様々な組み合わせで使用することができる。本出願で引用した全ての刊行物、特許、特許出願および/または他の文書は、個々の刊行物、特許、特許出願および/または他の文書が個々に全ての目的のために参照により組み込まれていることが示されているかのように、全ての目的のために参照により完全に組み込まれている。
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【表4−4】

【表4−5】

【表4−6】

【表4−7】

【表4−8】

【表4−9】

【表4−10】

【表4−11】

【表4−12】

【表5】

【表6】

【表7】

【付録1】
【0194】






















【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】疾病対策予防センター(Centers for Disease Control アトランタ、GA、USA)で決定されたSARS−CoVゲノムのヌクレオチド配列を示す図である。
【図2】様々なSARS−CoV分離株およびお互いに関係のある特定の対象外の生物からのヌクレオチド配列を示す図である。
【図3】試料中のSARS−CoVを検出するためのnestedPCR法を図式的に表す図である。
【図4】試料中のSARS−CoVを検出するための代表的なシステムの例を示すブロック図である。
【図5】本発明の様々な態様を実施することができる、コンピューターおよびコンピューター可読媒体を含む代表的なシステムの例を示すブロック図である。
【図6】配列番号11および配列番号12のプライマーを試薬6および7として使用し配列番号13および配列番号14のプライマーを試薬8および9としてそれぞれ使用し、実施例2の方法に従って実施した陽性臨床試料におけるnestedPCR法の結果を示すアガロースゲルの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜12および15〜24ならびにその相補体からなる群から選択される配列を有する核酸からなるオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号1〜12および15〜24ならびにその相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含み、100以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
プローブ核酸またはプライマー核酸を含む、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含む、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
40以下のヌクレオチドを有する、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号1〜12および15〜24またはその相補体の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する核酸を含み、100以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
前記核酸は配列番号1〜12および15〜24またはその相補体の1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含む、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
40以下のヌクレオチドを有する、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
少なくとも1つの保存的に修飾された変異を含む、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出する方法であって、
(a)試料からの核酸と、配列番号1〜12および15〜24およびその相補体からなる群から選択される少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つのプライマー核酸とを、少なくとも1つの核酸増幅反応で接触させる工程と、
(b)工程(a)の間あるいは後の核酸増幅反応からの核酸および/またはその1つまたは複数のアンプリコンを検出して、これにより試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出する工程と
を含む方法。
【請求項14】
前記プライマー核酸の少なくとも1つは修飾されたプライマー核酸を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アンプリコンの少なくとも1つは長さが約440のヌクレオチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記核酸増幅反応の少なくとも1回は配列番号11または22および配列番号12または20から選択される配列を含むプライマー核酸を使用して実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記核酸増幅反応の少なくとも1回は配列番号15または18および配列番号16または19から選択される配列を含むプライマー核酸を使用して実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸増幅反応はnestedポリメラーゼ連鎖反応法を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記プライマー核酸の少なくとも1つは少なくとも1つの標識を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
工程(b)は、標識によって生じる検出可能なシグナルを検出すること、または標識によって生じる検出可能なシグナルを増幅して増幅シグナルを生成し、この増幅シグナルを検出することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)は、アンプリコンと、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチドは配列番号27または配列番号28から選択される配列を有する5’−ヌクレアーゼプローブを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を決定する方法であって、
(a)試料からの核酸および/またはそのアンプリコンを、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する少なくとも1つの核酸を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドと接触させる工程と、
(b)前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターする工程とを含み、前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の検出可能な結合は、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を判定する方法。
【請求項25】
工程(a)は、前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとを少なくとも42℃の温度の溶液中で少なくとも15分間接触させることを含み、前記溶液の総重量は約50%のホルマリンを含み、約1mg/mlの濃度のヘパリンを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程(a)と工程(b)を少なくとも1つの追加試料を使用して少なくとも1回反復し、工程(b)における核酸および/またはそのアンプリコンと、前記オリゴヌクレオチドとの間の結合を、少なくとも1回繰り返された工程(b)に対し比較することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸の少なくとも1つのセグメントは工程(a)に先行してまたはその間にアンプリコンを生成する少なくとも1つの核酸増幅手法を用いて増幅され、工程(b)は増幅の間あるいは後に前記核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
対象に由来する試料と、配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとを含む組成物であって、前記オリゴヌクレオチドは100以下のヌクレオチドからなる組成物。
【請求項29】
(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含み、100以下のヌクレオチドからなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、および以下の
(b)試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在が未知であるか未確認の状態で、前記試料からの核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の結合をモニターすることによって前記試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在を判定するための説明書、または
(c)少なくとも前記オリゴヌクレオチドを包装するための少なくとも1つの容器の
1つまたは複数を含むキット。
【請求項30】
少なくとも1つの酵素をさらに含む請求項29に記載のキット。
【請求項31】
試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスを検出するシステムであって、
(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体からなる群から選択される配列を有する核酸を含み、100以下のヌクレオチドからなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドと、
(b)前記試料からの核酸および/またはそのアンプリコンと前記オリゴヌクレオチドとの間の結合を検出する少なくとも1つの検出器と、
(c)前記検出器と作動可能に連結した少なくとも1つのコントローラーとを含み、前記コントローラーは前記検出器で検出された結合を試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの存在と関連付ける1組または複数組の説明書
を含むシステム。
【請求項32】
(a)配列番号1〜12および15〜24、配列番号1〜12および15〜24の1つと少なくとも90%の配列同一性を有する実質的に同一のその変異体、ならびに配列番号1〜12および15〜24および前記変異体の相補体の1つまたは複数に対応する複数の配列に対応する複数の文字列を含むデータセットを含むコンピューターまたはコンピューター可読媒体と、
(b)前記コンピューターまたはコンピューター可読媒体の出力に連結した自動シンセサイザーとを含み、前記自動シンセサイザーは前記コンピューターまたはコンピューター可読媒体から命令を受け、前記命令は前記データセット内の1つまたは複数の文字列と対応する1つまたは複数の核酸の合成を命令するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−524052(P2006−524052A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508067(P2006−508067)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000103
【国際公開番号】WO2004/094667
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
フロッピー
JAVA
Linux
UNIX
【出願人】(505394183)ゲノム インスティチュート オブ シンガポール (2)
【Fターム(参考)】