説明

重量検査装置

【課題】 本発明は、横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置において、隣り合う製品同士の横方向のピッチを変更することなく、正確に計量できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置であって、前記複数の搬送計量手段は、隣り合う搬送計量手段同士で物品の搬送面の高さが異なっているために、隣り合う物品同士の隙間が確保されて、正確な計量が担保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デザートカップ、もずく、豆腐等のカップ容器型製品を製造するトップシール包装機は、内容物を充填されて横一列に並べられた複数のカップ容器の上部開口を、一枚のフィルムでまとめて密封した後、フィルム部分をカットして一個ずつに分割したカップ容器型製品とし、分割された製品をそのまま横一列で排出するものが一般的である。そのため、トップシール包装機から排出される横一列のカップ容器型製品は、製品ピッチと製品幅が略同一であることが多い。また、レトルトパック、カイロ等の袋包装型製品も、横一列に連なった状態で包装された後で、連結部分がカットされ、横一列のままで排出されるため、トップシールされるカップ容器型製品と同様に製品ピッチと製品幅が略同一となる場合がある。
【0003】
上記のような横一列で排出される製品について個々の重量を検査する場合、搬送計量コンベアを横方向に並列配置してなる多連重量検査装置を使用することが効率的であるが、排出される製品を上記製品ピッチのままで多連重量検査装置に搬入すると、隣り合う製品同士が接触して正確な計量を行うことができない。そこで、包装機から横一列に排出される製品のピッチを、扇状に配置されたコンベア等で拡大して(例えば、特許文献1参照)、あるいは搬送経路上に設けたガイドで案内することにより拡大して、隣り合う製品同士の接触を防ぐ方法が採用されている。
【特許文献1】特開2002−39845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扇形に配置したコンベア等で製品ピッチを拡大する際に、製品の姿勢が乱れて、計量精度の悪化や、多連重量検査装置及び下流に設けられる装置における製品の詰まり等の不具合を引き起こす可能性がある。また、搬送経路上に設けたガイドで製品ピッチを拡大する際には、製品容器の上部開口をトップシールしたフィルムがガイドと接触して折り曲がったり、捲れあがったりすることがあり、箱詰めする際にフィルムが引っ掛かることが懸念されるうえ、計量中にガイドに接触して計量精度を却って悪化させる場合がある。さらに、製品を箱詰めする下流工程では、製品同士を横一列にする方が箱詰め作業に適していることから、拡大した製品ピッチを再び縮小させる仕組みが必要になる。
【0005】
本発明は、横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置において、隣り合う製品同士のピッチを変更することなく、正確に計量できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置であって、前記複数の搬送計量手段は、隣り合う搬送計量手段同士で物品の搬送面の高さが異なることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重量検査装置であって、前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が前記横方向で上下互い違いとなるように設けられていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の重量検査装置であって、前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が前記横方向で階段状となるように設けられていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の重量検査装置であって、前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が搬送方向から見てV字状となるように設けられていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の重量検査装置であって、 前記搬送面が上方にある搬送計量手段は、前記搬送面が下方にある搬送計量手段よりも横幅が狭く設定されていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の重量検査装置であって、 前記搬送面が上方に設けられる搬送計量手段を通過する物品と、前記搬送面が下方に設けられる搬送計量手段を通過する物品と、で装置内における搬送経路長が同一になるように設定されていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の重量検査装置であって、 各列における物品の搬送速度は、前記複数の物品を同時に搬出するように設定されていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の重量検査装置であって、 前記横方向に並列配置されて、前記複数の搬送計量手段の各上流端に接続される複数の物品搬入手段を備えてなり、前記物品搬入手段とそれに接続される搬送計量手段の搬送面の交差角が180度以下に設定されていることを特徴とする重量検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の重量検査装置によれば、以下の優れた効果を奏する。横方向に並列配置される複数の搬送計量手段物品の搬送面の高さが隣同士で異なるため、横一列で搬入される物品のピッチを拡大しなくても、各搬送計量手段で個別計量される物品同士の接触を防止することができ、個々の物品重量を正確に計量することができる。また、物品のピッチを拡大するために扇形に配置されたコンベア等を設けたり、拡大したピッチを箱詰め工程前に再び縮小する仕組みを設けたりする必要がない。
【0015】
本発明の請求項2に記載の重量検査装置によれば、請求項1に記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送計量手段の搬送面が横方向で上下互い違いとされているため、搬送面同士の高低差を小さく抑えることができる。その結果として、装置をコンパクトに構成することができ、また、各搬送経路における高低差も小さく抑えられて、搬送中に物品の姿勢が乱れることを確実に防止できる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の重量検査装置によれば、請求項1に記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送計量手段の搬送面が横方向で階段状とされているため、横一列に搬入される物品のピッチが搬送計量手段のピッチよりも狭い場合でも、物品が隣の搬送計量手段に接触することを確実に防止できる。
【0017】
本発明の請求項4に記載の重量検査装置によれば、請求項2に記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送計量手段の搬送面が搬送方向から見てV字状とされているため、V字状の谷底に設けられる搬送面をセンター基準として物品を搬入することで、横一列に搬入される物品のピッチが搬送計量手段のピッチよりもさらに狭い場合でも、物品が隣の搬送計量手段に接触することを確実に防止できる。
【0018】
本発明の請求項5に記載の重量検査装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送面が上方にある搬送計量手段は、搬送面が下方にある搬送計量手段よりも横幅が狭く設定されているので、下方の搬送面に載せられる物品が、搬送面が上方にある搬送計量手段に接触することを防止できる。
【0019】
本発明の請求項6に記載の重量検査装置によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。上方の搬送面を通過する物品と下方の搬送面を通過する物品とで装置内における搬送経路長が同一になるように設定されているので、各列の搬送速度を一定にしておくだけで、横一列に搬入された物品を同時に排出することができる。その結果として、下流工程へ搬送する物品を再び揃えるための機構を設けたりする必要がなくなる。
【0020】
本発明の請求項7に記載の重量検査装置によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。各列における物品の搬送速度が、前記複数の物品を同時に搬出するように設定されているので、横一列に搬入された物品を再び横一列で排出することができる。その結果として、下流工程へ搬送する物品を再び揃えるための機構を設けたりする必要がなくなる。
【0021】
本発明の請求項8に記載の重量検査装置によれば、請求項1乃至7のいずれかに記載の重量検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。上流側の物品搬入手段とそれに接続される搬送計量手段の搬送面の交差角が180度以下に設定されているので、搬送速度が高速化されても、物品が搬送計量手段の搬送面に放り投げられるような現象を生じることがない。その結果、高い計量精度を確保しながら高速で処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第一乃至第三の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第一実施形態に係る重量検査装置を示す正面図、図2は側断面図(図1のX−X断面図)、図3は平面図である。図4は、重量検査の対象となる複数物品について、その製造手順及び重量検査装置へ搬入する際の状態を説明する図である。図5は、第一実施形態に係る重量検査装置の変形例を説明する図であり、図6は、別の変形例を説明する図である。図7は本発明の第二実施形態に係る重量検査装置を示す正面図、図8は側断面図(図7のY−Y断面図)である。図9は本発明の第二実施形態に係る重量検査装置を示す正面図、図10は側断面図(図9のZ−Z断面図)である。
【0023】
(第一実施形態に係る重量検査装置)
本発明の第一実施形態に係る重量検査装置は、図1乃至図3に示されるように、横方向に並列配置される複数の物品搬入手段11〜6、搬送計量手段21〜6、及び物品搬出手段31〜6を台枠Bに備えてなり、上流工程から搬送方向に対して直交する横方向に一列で搬入される複数物品G1〜6の重量を搬送計量手段21〜6で個別計量し、計量された重量によって不良品と判定された物品がある場合には、物品搬出手段31〜6に設けられる振分シリンダー321〜6を作動させて、当該不良品を工程外へ排出する。なお、物品搬入手段11〜6、搬送計量手段21〜6、及び物品搬出手段31〜6は、すべて搬送速度が同一に設定されている。
【0024】
(検査対象となる物品G1〜6
上記重量検査装置の検査対象となる複数物品G1〜6は、上流工程に設けられるトップシール包装機(不図示)により、図4(a)に示されるように、横一列に並べられた複数のカップ容器Cの上部開口を、一枚のフィルムFでまとめて密封した後、図4(b)に一点鎖線で示されるように、そのフィルムをカットすることにより、一個ずつに分割されたカップ容器型製品であって、図4(c)に示されるように、カットされた状態のまま横一列で物品搬入手段11〜6に搬入される。すなわち、複数物品G1〜6は、搬送方向と直交する横方向の製品ピッチPと、製品幅(製品上部のフィルム部分の幅)Wと、が略同一であって、横方向に隣り合う製品のフィルム部分同士が相互に触れ合うような状態で重量検査装置1に搬入される。
【0025】
(物品搬入手段11〜6
物品搬入手段11〜6は、横一列で搬入される複数物品G1〜6を受け入れ、これらの横方向の製品ピッチPを維持したままで、図1及び図3中の左側から右側へ搬送し、それぞれの搬送方向の下流側に設けられる搬送計量手段21〜6へ受け渡すベルトコンベアである。これらの物品搬入手段11〜6は、その搬送経路長L11〜6、及び上流端1a1〜6の高さ位置が相互に同一となるように設定されており、これらのうち物品搬入手段1,1,1は、その下流端1b,1b,1bが上流端1a,1a,1aよりも所定寸法δだけ下方に位置するように、搬送面1c,1c,1cが下方へ傾斜させられており、それらと隣り合う物品搬入手段1,1,1は、その下流端1b,1b,1bが上流端1a,1a,1aよりも所定寸法δだけ上方に位置するように、搬送面1c,1c,1cが上方へ傾斜させられている。すなわち、下流端1b1〜6は、その高さ位置が隣り合うコンベア同士で2δずつ上下方向に互い違いにずれている。したがって、横一列で搬入される複数物品G1〜6も、排出時には横方向において上下互い違いとなり、相互に触れ合うような状態になっていたフィルム部分同士の隙間が確保されることになる。なお、物品搬入手段11〜6は、搬送速度及び搬送経路長が同一であるため、物品G1〜6は同時に排出される。
【0026】
(搬送計量手段21〜6
搬送計量手段21〜6は、搬送経路長L21〜6が相互に同一で各々ロードセル(不図示)を備える搬送計量ベルトコンベアである。これらの搬送計量ベルトコンベアは、物品搬入手段11〜6から排出される複数物品G1〜6を上流端2a1〜6で受け入れ、その上下互い違いの高さ位置関係及び横方向の製品ピッチPを維持したままで下流側に設けられる物品搬出手段31〜6へ向けて水平方向に搬送しながら、各物品の重量を個別計量する。そのため、複数の搬送計量手段21〜6は、各搬送面2c1〜6が、物品搬入手段11〜6の下流端2b1〜6と高さ位置を合わされて、図2に示されるように、横方向に隣り合うコンベア同士で2δずつ上下互い違いとなるように設けられている。したがって、複数物品G1〜6は、搬送計量手段21〜6による搬送中も、隣り合う物品同士で隙間が確保されており、隣り合う物品の接触による計量誤差の発生が防止されている。なお、搬送計量手段21〜6は、搬送速度及び搬送経路長が同一であるため、物品G1〜6は同時に排出される。
【0027】
(物品搬出手段31〜6
物品搬出手段31〜6は、搬送経路長L31〜6が相互に同一のベルトコンベアであって、搬送計量手段21〜6から横方向に上下互い違いで搬送されてくる複数物品G1〜6を上流端3a1〜6で受け入れ、これらの物品G1〜6を再び横一列となるように高さ位置を揃えて、下流端3b1〜6から搬出する。そのため、物品搬出手段31〜6は、上流端3a1〜6が搬送計量手段21〜6の下流端2b1〜6と高さ位置を合わされているが、このうち物品搬出手段3,3,3は、その下流端3b,3b,3bが上流端3a,3a,3aよりも所定寸法δだけ上方に位置するように、搬送面3c,3c,3cが上方に傾斜させられており、これらと隣り合う物品搬出手段3,3,3は、その下流端3b,3b,3bが上流端3a,3a,3aよりも所定寸法δだけ下方に位置するように、搬送面3c,3c,3cが下方に傾斜させられている。すなわち、物品搬出手段31〜6は、下流端3b1〜6の高さ位置が相互に同一で、しかも、搬送速度と搬送経路長L31〜6が相互に同一であるため、物品G1〜6は横一列に並んだ状態で同時に排出されることになる。なお、搬送計量手段21〜6による重量検査で不良品と判定された物品が搬送されてきた場合には、図1に一点鎖線で示されるように、振分シリンダー311〜6を縮めてコンベアを大きく傾斜させることにより、当該不良品を工程外へ排出する。
【0028】
(第一実施形態に係る重量検査装置1の特徴)
第一実施形態に係る重量検査装置1は、上記のように構成される結果、以下のような特徴を有する。
【0029】
第一に、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段21〜6は、隣り合う搬送計量手段同士で搬送面2c1〜6の高さが異なるという特徴を有する。したがって、横一列で搬入される物品G1〜6のピッチを拡大しなくても、各搬送計量手段21〜6で個別計量される際には、物品同士の隙間が確保されて、物品相互の接触が防止される。その結果として、個々の物品重量が正確に計量されることになる。したがって、正確な検査を行うために、ピッチを拡大する扇形に配置されたコンベアを設けたり、拡大したピッチを箱詰め工程前に再び縮小する仕組みを設けたりする必要がなくなる。
【0030】
第二に、搬送計量手段21〜6は、搬送面2c1〜6が横方向で上下互い違いとなるように設けられているという特徴を有する。したがって、搬送面2c1〜6同士の高低差を小さく抑えることができる。その結果として、装置全体がコンパクトに構成される。また、物品搬入手段1、搬送計量手段2、及び物品搬出手段3で形成される各列における搬送経路全長における高低差も小さく抑えられるため、搬送中における物品姿勢の乱れを確実に防止することができる。
【0031】
第三に、搬送面が上方に設けられる搬送計量手段2,2,2を通過する物品と、搬送面が下方に設けられる搬送計量手段2,2,2を通過する物品と、で搬送経路長の合計(L1+L2+L3)が相互に同一となるように設定されているので、各搬送経路における搬送速度を相互に同一にしておくだけで、横一列で同時搬入される物品G1〜6を横一列で同時排出することができる。
【0032】
(第一実施形態の変形例)
上記第一実施形態では、図5(a)に示されるように、物品搬入手段1,1,1の搬送面1c,1c,1cが、上方に向かうように傾斜させられており、これらに続く物品搬送計量手段2,2,2の搬送面2c,2c,2cとの交差角が180度を超えている例について説明したが、例えば、図5(b)に示されるように、搬送面1c,1c,1cを水平にして、物品搬入手段11〜6の搬送面1c1〜6とこれらに接続される搬送計量手段21〜6の搬送面2c1〜6の交差角がすべて180度以下となるように設定しても良い。これにより、搬送速度が高速化されても、図5(a)に示されるように、慣性力によって物品が搬送計量手段2の搬送面2c上に放り投げられるような現象を防止することができる。その結果、高速処理時においても、高い計量精度が確保され、また、物品の搬送に乱れを生じることを防止されるという優れた効果が得られるものである。また、図5(c)に示されるように、すべての物品搬入手段1において、その搬送面1cを下方に傾斜させる等して、搬送面2cとの交差角が180度より小さく設定されるようにしてもよい。図5(b)及び(c)に示される変形例では、搬送経路によって長さが異なるが、これにあわせて各列における物品の搬送速度を設定することで、物品G1〜6を同時に搬出させることができる。
【0033】
上記第一実施形態では、図2及び図3に示されるように、すべての搬送経路について、横方向の幅を同一に設定した例を説明したが、図6に示されるように、搬送面2c,2c,2cが上方にある搬送計量手段2,2,2の横方向の幅を、搬送面2c,2c,2cが下方にある搬送計量手段2,2,2よりも狭くするように設定しても良い。これにより、上方にある搬送計量手段2,2,2間の横方向の空間寸法γを、物品の横幅Wよりも十分大きく設定することができるため、物品と搬送計量手段の接触も確実に防止することができる。その結果として、図6に示されるように、物品の最大横幅部分と搬送計量手段が高さ方向で重なっていても、接触による物品計量精度の悪化を防止できるという優れた効果が得られる。なお、搬送計量手段のみならず、その前後に設けられる搬入手段及び搬送手段についても、上記と同様に、搬送面が上方に備えられるものの横方向の幅を、搬送面が下方に備えられるものより狭くすることで、物品と、搬入手段又は搬送手段の接触による物品の姿勢の乱れを防止することができる。
【0034】
(第二実施形態に係る重量検査装置)
本発明の第二実施形態に係る重量検査装置は、図7及び図8に示されるように、横方向に並列配置される複数の物品搬入手段41〜6、搬送計量手段51〜6、及び物品搬出手段61〜6を台枠Bに備えてなり、搬送方向に対して直交する方向(横方向)に一列で搬入される複数物品G1〜6の重量を搬送計量手段51〜6で個別計量し、計量された重量によって不良品と判定された物品がある場合には、物品搬出手段61〜6に設けられる振分シリンダー611〜6を作動させて、当該不良品を工程外へ排出する。なお、重量検査される複数物品G1〜6は、第一実施形態と共通のカップ容器型製品であり、第一実施形態と同じく、搬送方向と直交する横方向の製品ピッチPと製品幅Wが略同一であって、隣り合う製品のフィルム部分同士が相互に触れ合うような状態で重量検査装置に搬入される。
【0035】
(物品搬入手段41〜6
物品搬入手段41〜6は、横一列で搬入される複数物品G1〜6を受け入れ、これらの横方向の製品ピッチPを維持したままで、図7における左から右へ搬送して、それぞれの搬送方向の下流側に設けられる搬送計量手段51〜6へ受け渡すベルトコンベアである。これらの物品搬入手段41〜6は、図7に示されるように、上流端4a1〜6の高さ位置が相互に同一で、下流端4b1〜6の高さ位置が4b,4b,4b・・の順で低くなるように、搬送面4c1〜6が傾斜させられている。したがって、横一列で搬入される複数物品G1〜6も、排出時には階段状に並んだ状態となり、相互に触れ合うような状態になっていたフィルム部分同士の隙間が確保される。なお、物品搬入手段41〜6は、その搬送経路長L41〜6が異なっているが、物品G1〜6を同時に排出できるように各々の搬送速度が設定されている。
【0036】
(搬送計量手段51〜6
搬送計量手段51〜6は、搬送経路長L51〜6が相互に同一で各々ロードセル(不図示)を備える搬送計量ベルトコンベアである。これらの搬送計量ベルトコンベアは、物品搬入手段41〜6から排出される複数物品G1〜6を上流端5a1〜6で受け入れ、その階段状の位置関係及び横方向の製品ピッチPを維持したままで下流側に設けられる物品搬出手段61〜6へ向けて水平方向に搬送し、各物品の重量を個別計量する。そのため、複数の搬送計量手段51〜6は、各搬送面5c1〜6が、物品搬入手段41〜6の下流端4b1〜6と高さ位置を合わされて、図8に示されるように、5c,5c,5c・・の順で低い階段状に設けられている。したがって、複数物品G1〜6は、搬送計量手段51〜6による搬送中も、隣り合う物品同士で隙間が確保されており、接触による計量誤差の発生が防止されている。なお、搬送計量手段51〜6は、搬送速度が同一に設定されており、同時に受け入れた複数物品G1〜6を同時排出する。
【0037】
(物品搬出手段61〜6
物品搬出手段61〜6は、搬送計量手段51〜6から階段状に並んだ状態で搬送されてくる複数物品G1〜6を受け入れ、これらの物品G1〜6を再び横一列となるように高さ位置を揃えて搬出するベルトコンベアである。そのため、物品搬出手段61〜6は、上流端6a1〜6が搬送計量手段51〜6の搬送面5c1〜6と連続するように高さ位置を合わされている一方、下流端6b1〜6は、物品G1〜6を横一列に排出できるように高さ位置が相互に同一とされている。また、物品搬出手段61〜6は、搬送経路長L61〜6が異なっているが、物品G1〜6を同時に排出できるように各々の搬送速度が設定されている。なお、搬送計量手段51〜6による重量検査で不良品と判定された物品は、振分シリンダー61を縮めることにより、下流端6bを下方移動させて工程外へ排出する。
【0038】
(第二実施形態に係る重量検査装置の特徴)
第二実施形態に係る重量検査装置は、上記のように構成される結果、以下のような特徴を有する。
【0039】
第一に、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段51〜6は、隣り合う搬送計量手段同士で搬送面5c1〜6の高さが異なるという特徴を有する。したがって、横一列で搬入される物品G1〜6の横方向のピッチを拡大しなくても、各搬送計量手段51〜6で個別計量される際には、物品同士の隙間が確保されて、物品相互の接触が防止される。その結果として、個々の物品重量が正確に計量される。
【0040】
第二に、搬送計量手段51〜6は、搬送面5c1〜6が横方向で階段状に並ぶように設けられているという特徴を有する。したがって、横一列に搬入される物品G1〜6の横方向のピッチPが、図8に示されるように、搬送計量手段51〜6の横方向のピッチP´より狭い場合でも、各物品G1〜6が隣り合う搬送計量手段に接触することを確実に防止できる。その結果として、物品G1〜6の横幅Wが小さいために、搬送計量手段51〜6のピッチP´が物品G1〜6のピッチPより大きくならざるを得ない場合にも対応することが可能となる。
【0041】
第三に、各列における物品の搬送速度が、複数物品G1〜6を同時排出するように設定されているので、これらの物品を再び横一列にして排出することができる。その結果として、下流工程へ搬送する物品を再び横一列に揃えるための機構を設ける必要がなくなる。
【0042】
(第二実施形態の変形例)
上記第二実施形態では、物品搬入手段44〜6の搬送面4c4〜6が上方に向かうように傾けられており、これに接続される搬送計量手段54〜6の水平な搬送面5c4〜6と、の交差角が180度を越えているが、搬送面4cの傾斜角度を見直す等して、交差角がすべて180度以下となるように設定しても良い。そのように設定することで、物品搬送速度が高速化されても、第一実施形態の図5(a)のように慣性力で物品が搬送計量手段の搬送面上に放り投げられる現象を、確実に防止することができる。
【0043】
上記第二実施形態では、図8に示されるように、すべての搬送計量手段51〜6について横幅を同一に設定した例を説明したが、搬送面が上方にある搬送計量手段を、それよりも搬送面が下方にある搬送計量手段に対して、横幅を狭くすることとしても良い。これにより、下方の搬送面に載せられる物品と、上方に搬送面を備える搬送計量手段との隙間が広げられて、搬送計量手段51〜6のピッチP´がより狭い場合にも対応することができる。
【0044】
(第三実施形態に係る重量検査装置)
本発明の第三実施形態に係る重量検査装置は、図9及び図10に示されるように、横方向に並列配置される複数の物品搬入手段71〜6、搬送計量手段81〜6、及び物品搬出手段91〜6を台枠Bに備えてなり、搬送方向に対して直交する方向(横方向)に一列で搬入される複数物品G1〜6の重量を搬送計量手段81〜6で個別計量し、計量された重量によって不良品と判定された物品がある場合には、物品搬出手段91〜6に設けられる振分シリンダー911〜6を作動させて、当該不良品を工程外へ排出する。なお、重量検査される複数物品G1〜6は、第一実施形態と共通であり、第一実施形態と同じく、搬送方向と直交する横方向の製品ピッチPと製品幅Wが略同一であって、隣り合う製品のフィルム部分同士が相互に触れ合うような状態で重量検査装置に搬入される。
【0045】
(物品搬入手段71〜6
物品搬入手段71〜6は、横一列で搬入される複数物品G1〜6を受け入れ、これらの横方向の製品ピッチPを維持したままで、図9における左から右へ搬送して、それぞれの搬送方向の下流側に設けられる搬送計量手段81〜6へ受け渡すベルトコンベアである。これらの物品搬入手段71〜6は、図8に示されるように、上流端7a1〜6の高さ位置が相互に同一で、下流端7b1〜6が、横方向における中央付近の7bを最低位置として、横方向の両端の7b及び7bに向かうにつれて階段状に高くなるよう、搬送面7c1〜6が傾斜させられている。したがって、横一列で搬入される複数物品G1〜6も、排出時には搬送方向から見てV字状に並んだ状態となり、相互に触れ合うような状態になっていたフィルム部分同士の隙間が確保される。なお、物品搬入手段71〜6は、搬送経路長L71〜6が異なっているが、物品G1〜6を同時に排出できるように各々の搬送速度が設定されている。
【0046】
(搬送計量手段81〜6
搬送計量手段81〜6は、搬送経路長L81〜6が相互に同一で各々ロードセル(不図示)を備える搬送計量ベルトコンベアである。これらの搬送計量ベルトコンベアは、物品搬入手段71〜6から排出される複数物品G1〜6を上流端8a1〜6で受け入れ、そのV字状に並んだ位置関係及び横方向の製品ピッチPを維持したままで下流側に設けられる物品搬出手段91〜6へ向けて水平方向に搬送し、各物品の重量を個別計量する。そのため、複数の搬送計量手段81〜6は、各搬送面8c1〜6が、物品搬入手段71〜6の下流端6b1〜6と高さ位置を合わされて、図10に示されるように、搬送方向から見てV字状となるように設けられている。したがって、複数物品G1〜6は、搬送計量手段81〜6による搬送中も、隣り合う物品同士で隙間が確保されており、接触による計量誤差の発生が防止されている。なお、搬送計量手段81〜6は、搬送速度が相互に同一とされており、同時に受け入れた物品G1〜6を同時排出する。
【0047】
(物品搬出手段91〜6
物品搬出手段91〜6は、搬送計量手段81〜6からV字状に並んだ状態で搬送されてくる複数物品G1〜6を受け入れ、これらの物品G1〜6を再び横一列となるように高さ位置を揃えて搬出するベルトコンベアである。そのため、物品搬出手段91〜6は、上流端9a1〜6が搬送計量手段81〜6の搬送面8c1〜6と連続するように高さ位置を合わされている一方、下流端9b1〜6は、物品G1〜6を横一列に排出できるように高さ位置が相互に同一とされている。また、物品搬出手段91〜6は、搬送経路長L91〜6が異なっているが、物品G1〜6を同時に排出できるように各々の搬送速度が設定されている。なお、搬送計量手段81〜6による重量検査で不良品と判定された物品は、振分シリンダー91を縮めることにより、下流端9bを下方移動させて工程外へ排出する。
【0048】
(第三実施形態に係る重量検査装置の特徴)
第三実施形態に係る重量検査装置は、上記のように構成される結果、以下のような特徴を有する。
【0049】
第一に、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段81〜6は、隣り合う搬送計量手段同士で搬送面8c1〜6の高さが異なるという特徴を有する。したがって、横一列で搬入される物品G1〜6のピッチを拡大しなくても、各搬送計量手段81〜6で個別計量される際には、物品同士の隙間が確保されて、物品相互の接触が防止される。その結果として、個々の物品重量が正確に計量される。
【0050】
第二に、搬送計量手段81〜6は、搬送面8c1〜6が搬送方向から見てV字状に並ぶように設けられているという特徴を有する。したがって、図10に示されるように、V字状の谷底に設けられる搬送面9cと、これに載置される物品Gのセンター位置を合わせて物品を搬入することで、横一列に搬入される物品G1〜6のピッチPが搬送計量手段91〜6のピッチP´より狭い場合でも、各物品G1〜6が隣の搬送計量手段に接触することを確実に防止できる。
【0051】
第三に、各列における物品の搬送速度が、複数物品G1〜6を同時排出するように設定されているので、これらの物品を再び横一列にして排出することができる。その結果として、下流工程へ搬送する物品を再び横一列に揃えるための機構を設ける必要がなくなる。
【0052】
(第三実施形態の変形例)
上記第三実施形態では、物品搬入手段7,7,7の搬送面7c,7c,7cが上方に向かうように傾けられており、これに接続される搬送計量手段8,8,8の水平な搬送面8c,8c,8cと、の交差角が180度を越えているが、搬送面7cの傾斜角度を見直す等して、交差角がすべて180度以下となるように設定しても良い。そのように設定することで、第一実施形態の図5(a)のように慣性力で物品が搬送計量手段の搬送面上に放り投げられる現象を、確実に防止することができる。
【0053】
上記第三実施形態では、図10に示されるように、すべての搬送計量手段81〜6について横幅を同一に設定した例を説明したが、搬送面が上方にある搬送計量手段を、それよりも搬送面が下方にある搬送計量手段に対して、横幅を狭くすることとしても良い。これにより、下方の搬送面に載せられる物品と、上方に搬送面を備える搬送計量手段との隙間が広げられて、搬送計量手段81〜6のピッチP´がより狭い場合にも対応することができる。
【0054】
以上、トップシール包装されたカップ型製品が横一列に複数個並んだ状態で搬入される重量検査装置について、上記第一乃至第三の実施形態及びその変形例で説明したが、本発明の重量検査装置は、トップシール包装されたカップ型製品に限らず、横一列で搬入される製品の横方向の製品ピッチと、製品幅(横幅)と、が略同一であるために、そのままの状態で搬送計量ベルトコンベアに通すと、隣り合う製品同士が相互に接触して、計量誤差を生じる複数物品のすべてが検査対象となり得る。
【0055】
上記第一乃至第三の実施形態では、搬入手段あるいは搬出手段となるベルトコンベアと、搬送計量手段となる搬送計量ベルトコンベアと、を直接連続させるようにしたが、傾斜角度が大きく異なるコンベア間で物品を受け渡しすると、コンベア乗継時のショックで計量精度を悪化させたり、物品の姿勢を乱したりする可能性がある。そこで、これらの間に中間的な傾斜角度をつけた乗継コンベアを追加配置して、コンベア乗継時のショックを和らげることとしても良い。また、上記第一乃至第三の実施形態では、搬送計量ベルトコンベアは搬送面が水平に設定されていたが、これに限らず、傾斜角度が付けられているものであっても良い。その他、本発明の重量検査装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第一実施形態に係る重量検査装置を示す正面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る重量検査装置の側断面図(図1のX−X断面図)。
【図3】本発明の第一実施形態に係る重量検査装置の平面図。
【図4】本発明の第一実施形態における重量検査の対象となる複数物品について、その製造手順及び重量検査装置へ搬入する際の状態を示す図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る重量検査装置の変形例について説明する図。
【図6】本発明の第一実施形態に係る重量検査装置の別の変形例を説明する図。
【図7】本発明の第二実施形態に係る重量検査装置を示す正面図。
【図8】本発明の第二実施形態に係る重量検査装置を示す側断面図(図7のY−Y断面図)。
【図9】本発明の第三実施形態に係る重量検査装置を示す正面図。
【図10】本発明の第三実施形態に係る重量検査装置を示す側断面図(図9のZ−Z断面図)。
【符号の説明】
【0057】
1〜6,41〜6,71〜6物品搬入手段
1〜6,51〜6,81〜6搬送計量手段
1〜6,61〜6,91〜6物品搬出手段
1〜6 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横一列で搬入される複数物品の重量を、横方向に並列配置される複数の搬送計量手段で個別計量する重量検査装置であって、
前記複数の搬送計量手段は、隣り合う搬送計量手段同士で物品の搬送面の高さが異なることを特徴とする重量検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量検査装置であって、
前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が前記横方向で上下互い違いとなるように設けられていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の重量検査装置であって、
前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が前記横方向で階段状となるように設けられていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の重量検査装置であって、
前記複数の搬送計量手段は、前記搬送面が搬送方向から見てV字状となるように設けられていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の重量検査装置であって、
前記搬送面が上方にある搬送計量手段は、前記搬送面が下方にある搬送計量手段よりも横幅が狭く設定されていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の重量検査装置であって、
前記搬送面が上方に設けられる搬送計量手段を通過する物品と、前記搬送面が下方に設けられる搬送計量手段を通過する物品と、で装置内における搬送経路長が同一になるように設定されていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の重量検査装置であって、
各列における物品の搬送速度は、前記複数の物品を同時に搬出するように設定されていることを特徴とする重量検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の重量検査装置であって、
前記横方向に並列配置されて、前記複数の搬送計量手段の各上流端に接続される複数の物品搬入手段を備えてなり、
前記物品搬入手段とそれに接続される搬送計量手段の搬送面の交差角が180度以下に設定されていることを特徴とする重量検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−322169(P2007−322169A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150393(P2006−150393)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】