説明

重量測定装置

【課題】利便性を維持しつつ、待機状態において被測定対象が載置部に載っているか否かを判別するための消費電力の削減を実現できる重量測定装置を提供する。
【解決手段】被測定対象が載置部に載ると自動的に重量の測定を開始する重量測定装置であって、載置部に被測定対象が載っているか否かを検出するための第1の重量検出手段と、被測定対象の重量を検出するための第2の重量検出手段と、第1の重量検出手段からの出力値に基づき前記載置部に被測定対象が載ったことを判別すると、第2の重量検出手段からの出力値に基づき被測定対象の重量を取得する制御手段と、を備え、第1の重量検出手段で消費する電力は、第2の重量検出手段で消費する電力よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として重量測定装置に関し、特に、重量測定装置の載置部に被測定対象が載ると自動的に被測定対象の重量の測定を開始する重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者の利便性を鑑み、被測定対象が載置部に載ると自動的に重量の測定を開始するタイプの重量測定装置が利用されている。このような、被測定対象が載置部に載ると自動的に重量の測定を開始する重量測定装置は、重量測定装置が使用されていない待機状態において、被測定対象が載置部に載っているか否かを判別する必要があるため、その判別に必要な電力が、常に若しくは所定時間間隔毎に消費されている。
【0003】
そこで、重量測定装置の消費電力を低減させるために種々の提案がなされている。例えば、待機状態におけるゼロ点更新を所定時間ごとに行うとともに、被測定対象が載置部に載ると重量測定装置をONにする作動スイッチを、脚部に備える重量測定装置がある。この作動スイッチはコイルばねを備え機械的に作動するものであり、載置部に荷重が掛かっていないと、コイルばねの反発力により開閉接点が開放され重量測定装置はOFFとなり、載置部に被測定対象が載りコイルばねの反発力に抗する荷重が掛かると、開閉接点が閉じ重量測定装置がONとなる(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−126318号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の重量測定装置においても、消費される電力の低減を図ることは可能である。しかしながら、被測定対象が載置部に載ったか否かを判別するために機械的な動作スイッチを脚部に設ける必要があるため、重量測定装置の薄型化が困難となり、部品点数が多くなるということも想定される。
【0006】
ここで、重量測定装置においては、一般的に、荷重を受けるとその荷重に応じて変形する起歪体と、起歪体の起歪部に貼られ起歪部の変形(伸縮)に応じて出力値が変化する歪みゲージと、からなるロードセルを備えている。重量測定装置は、荷重がかかっていないときのロードセルの出力値(いわゆるゼロ点)と、荷重がかかったときの出力値と、の差に基づいて、被測定対象の重量を測定するようになっている。
【0007】
そこで、このロードセルを用いた被測定対象の重量を測定するための回路を、重量測定装置が使用されていない待機状態においても機能させ、載置部に荷重が掛かっているか否かを判別させることも可能であるが、被測定対象が載置部に載っているか否かを判別するために、その判別に必要な電力が、常に若しくは所定時間間隔毎に消費されることとなる。従って、実際に被測定対象が載置部に載り、被測定対象の重量を測定する測定状態において消費される電力とそれほど変わらない電力が、待機状態においても消費され続けることになるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、従来の重量測定装置をさらに改良したものとして、利便性、構成の簡易化及び重量測定装置の薄型化を実現しつつ、待機状態において被測定対象が載置部に載っているか否かを判別するための消費電力の削減をも実現可能な重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の重量測定装置は、被測定対象が載置部に載ると自動的に重量の測定を開始する重量測定装置であって、前記載置部に被測定対象が載っているか否かを検出するための第1の重量検出手段と、前記被測定対象の重量を検出するための第2の重量検出手段と、前記第1の重量検出手段からの出力値に基づき前記載置部に被測定対象が載ったことを判別すると、前記第2の重量検出手段からの出力値に基づき前記被測定対象の重量を取得する制御手段と、を備え、前記第1の重量検出手段で消費する電力は、前記第2の重量検出手段で消費する電力よりも低いことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の重量測定装置における前記第1の重量検出手段は、第1の歪みゲージが起歪体に貼られたロードセルであり、前記第2の重量検出手段は、第2の歪みゲージが起歪体に貼られたロードセルであって、前記第1の歪みゲージの抵抗値は前記第2の歪みゲージの抵抗値より高いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の重量測定装置における前記第1の歪みゲージ及び前記第2の歪みゲージは、同一の起歪体に貼られていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の重量測定装置は、前記第1の重量検出手段と前記第2の重量検出手段との間を切り替える切替手段を備え、前記制御手段は、前記切替手段により前記第1の重量検出手段と前記第2の重量検出手段とを選択的に機能させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の重量測定装置における前記制御手段は、前記第1の重量検出手段からの出力値に基づき前記被測定対象が前記載置部に載っていないと判別すると、ゼロ点更新を行う所定時間間隔が経過しているか否かを判別し、前記所定時間間隔が経過しているとき、前記第2の重量検出手段のゼロ点更新を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被測定対象が載置部に載っているか否かを判別するための第1の重量検出手段と、被測定対象の重量を測定するための第2の重量検出手段と、を設け、前記第1の重量検出手段は、前記第2の重量検出手段より消費する電力が少ない構成の重量測定装置である。よって、重量測定装置を機械的にON・OFFする構成が不要となり、構成の簡易化及び重量測定装置の薄型化を実現できるとともに、重量測定装置の利用者に対する利便性を維持しつつ、待機状態において被測定対象が載置部に載っているか否かを判別するための消費電力を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る重量測定装置を、被測定対象としての被測定者(利用者)の重量(体重)を測定する、いわゆるステップオン型の体重計に適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係る体重計の構成を示す分解斜視図、図2(a)は、実施形態に係る体重計のロードセルの図1のII部分を示す部分拡大図、図2(b)は、図2(a)の裏面を示す図、図3は、図2(a)の矢印III方向から見たロードセルの一部を示す側面図、図4は、実施形態に係る体重計の制御系を示すブロック図と、ロードセルの平面図及び背面図と、を対応させた図、図5は、実施形態に係る体重計の制御フローの一例を示す図である。本発明において、待機状態とは、本発明の重量測定装置が被測定対象の重量を測定するために使用されていない状態をいい、測定状態とは、本発明の重量測定装置が被測定対象の重量を測定するために使用可能とされている状態をいう。
【0016】
体重計1は、主として、載置部1aに被測定者が載っているか否かを検出するための第1の重量検出手段としての第1の重量検出部38と、被測定者の重量を検出するための第2の重量検出手段としての第2の重量検出部39と、第1の重量検出部38からの出力値に基づき載置部1aに被測定者が載ったことを判別すると、第2の重量検出部39からの出力値に基づき被測定対象の重量を取得する制御手段としての制御回路31と、を備える。
【0017】
以下に各構成要素について詳述する。体重計1は、図1に示すように、略箱形に形成され、体重計1の裏側(底板部材20bの裏側)に突出して設けられる脚部65を備える。体重計1の上面には、被測定者が載る載置部1aと、表示部21と、操作部22とが設けられている。体重計1の内部には、第1の重量検出部38と、第2の重量検出部39と、制御回路31と、記憶部33と、電源部34と、切替回路35と、計時部36と、マルチプレクサ82、83と、を備える。
【0018】
体重計1は、樹脂(例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ガラス)等を成形してなるカバー部材20aと、金属製の底板部材20bと、の間に、カバー部材20aの裏面側と当接されるようにして略板状のフレーム部材40を介在させ、カバー部材20aと底板部材20bとを結合させて、全体として略箱状の外観となっている。
【0019】
図4に示すように制御回路31は、表示部21、操作部22、記憶部33、切替回路35、計時部36に電気的に接続されており、それぞれの機能を司る。さらに、制御回路31は、マルチプレクサ82及び第1の重量検出部38、又は、マルチプレクサ83及び第2の重量検出部39、のいずれかが切替回路35を介して接続されるようになっており、第1の重量検出部38又は第2の重量検出部39からの出力値に基づいて、所定のプログラムに従って重量を演算可能になっている。また、表示部21の表示制御、記憶部33に対するデータの読み出しや書き込みの処理等を行う。なお、本実施形態では、後述のように第1の重量検出部38及び第2の重量検出部39のロードセルのそれぞれに対して供給検出回路80、81を設けているが、供給検出回路80、81の機能を制御回路31が兼ねる構成としてもよい。後述の他の実施例についても同様である。
【0020】
制御回路31に対して、第1の重量検出部38又は第2の重量検出部39を選択的に接続するために、切替回路35が、制御回路31と、第1の重量検出部38及び第2の重量検出部39と、の間に設けられている。従って、切替回路35が制御回路31からの制御信号を受けると、切替回路35は、その制御信号に対応して第1の重量検出部38又は第2の重量検出部39のいずれか一方と接続するように設定する。
【0021】
表示部21は、制御回路31から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段(表示手段)であって、主として、被測定者の体重を表示する。表示部21としては、一例として、フルドットLCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いたものを採用してもよいし、表示部21と操作部22とを、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルとして一体的に構成してもよい。また、操作部22は、体重計1の初期設定等を行うためのデータ入力手段(入力手段)である。本実施形態においては、一例として、体重計1の表示部21の手前側に、3つのボタン式として構成としたが、個数・形状・操作方法・配置位置は特にこれに限られず、操作部22を設けない構成としてもよい。
【0022】
記憶部33は、ROM(不揮発性メモリ(Read Only Memory))、RAM(揮発性メモリ(Random Access Memory))などによって構成される記憶手段であり、各種のデータ類を記憶する。このデータ類としては、例えば、制御回路31による処理において使用される各種データやプログラム、取得された被測定者ごとの生体情報などを挙げることができる。上記のようなデータ類の読み込みや書き込みは、制御回路31によって行われる。
【0023】
電源部34としては、体重計1を作動させる電力を供給する電池又は外部電源を利用できるようになっている。実施形態の体重計1は、待機状態では、後述の体重測定の処理に要される電力の供給が停止され、いわゆるゼロ点更新処理や、体重計1に被測定者が載ったか否かの判別処理に必要な電力のみが供給される。一方、被測定者が載ったと判別されたことにより、体重計1が測定状態に切り替えられたときは、後述の体重測定の処理に要される電力の供給がなされるようになっている。このため、待機状態では、例えば表示部21には通電されず、何も表示がなされない。
【0024】
計時部36は、所定時間の経過の計測や、所定時間が経過しているか否かの判断を行う。なお、本実施形態では、計時部36は独立の構成要素としているが、計時回路として制御回路31に一体化された構成とし、制御回路31自身により、所定時間の経過の計測や所定時間を経過しているか否かの判断を行うようにしてもよい。
【0025】
重量検出手段である第1の重量検出部38及び第2の重量検出部39は、体重計1の載置部1aに載った被測定者の重量(体重)を測定することができるものである。例えば、荷重を受けるとその荷重に応じて変形する金属部材からなる起歪体、及び起歪体の起歪部に貼られ起歪部の変形(伸縮)に応じて出力値が変化する歪みゲージを有するロードセルと、ロードセル(特に歪みゲージ)に対して電流を供給するとともにその出力値を検出する供給検出回路80、81と、で構成すればよい。このロードセルは、本実施形態においては、一例として、以下のように構成する。なお、第1の重量検出手段としての第1の重量検出部38が、第2の重量検出手段としての第2の重量検出部39を機能させるために必要な電力(消費電力)よりも低い電力で機能するもの、換言すれば、低出力のものであればよく、その構成は特に限定されるものではない。
【0026】
図1、図2又は図3に示すように、本実施形態では、同一のロードセル60が体重計1の四隅にそれぞれ設けられている。各ロードセル60(60a、60b、60c、60d)は、起歪体47と、第1の歪みゲージ48と、第2の歪みゲージ49と、を有する。起歪体47は、負荷要素47aと、取付要素47bと、負荷要素47a及び取付要素47bを連結する起歪部47cと、を有する。起歪部47cの一方面(図1ではカバー部材20aに対向する面。図3参照)に第1の歪みゲージ48が貼られ、他方面(図1では底板部材20bに対向する面。図3参照)に第2の歪みゲージ49が貼られている。なお、第1の歪みゲージ48が底板部材20bに対向する面、第2の歪みゲージ49がカバー部材20aに対向する面に、それぞれ貼られる構成であってもよい。さらに、図2(a)及び図4に示すように、第1の歪みゲージ48は、例えば、4つの抵抗部材R1(R1a、R1b、R1c、R1d)、R2(R2a、R2b、R2c、R2d)、R3(R3a、R3b、R3c、R3d)、R4(R4a、R4b、R4c、R4d)がホイートストン・ブリッジ回路(以下、ブリッジ回路と称する。)を形成するように構成されている。また、図2(b)及び図4に示すように、第2の歪みゲージ49は、例えば、4つの抵抗部材R5(R5a、R5b、R5c、R5d)、R6(R6a、R6b、R6c、R6d)、R7(R7a、R7b、R7c、R7d)、R8(R8a、R8b、R8c、R8d)がブリッジ回路を形成するように構成されている。
【0027】
さらに、各ブリッジ回路には、ブリッジ回路に電流を供給するとともに出力電圧(出力値)を検出するための供給検出回路が接続されている。第1の歪みゲージ48により構成されるブリッジ回路には、供給検出回路80(80a、80b、80c、80d)が接続され、第2の歪みゲージ49により構成されるブリッジ回路には、供給検出回路81(81a、81b、81c、81d)が接続されている。
【0028】
また、本実施形態では、供給検出回路80、81と制御回路31との間にマルチプレクサ82、83を介在させている。マルチプレクサ82(83)を介在させることにより、各供給検出回路80a乃至80d(81a乃至81d)からの出力信号をマルチプレクサ82(83)に順次入力して制御回路35に対して出力したり、制御回路35から出力される制御信号を各供給検出回路80a乃至80d(81a乃至81d)に対して順次出力したりすることができる。
【0029】
このように、本実施形態では、起歪体47と、起歪部47cの上面に貼られる第1の歪みゲージ48と、供給検出回路80と、によって本発明における第1の重量検出部38が構成され、また、起歪体47と、起歪部47cの下面に貼られる第2の歪みゲージ49と、供給検出回路81と、によって本発明における第2の重量検出部39が構成される。すなわち、第1の重量検出部38のロードセル60の起歪体47は、第2の重量検出部39のロードセル60と同一の起歪体を使用する構成である。
【0030】
以上のようなロードセル60は、体重計1の内部において次のように取り付ける。フレーム部材40を、例えば金属(アルミニウムなど)のように強度の高い材料で形成し、その上面(カバー部材20a側の面)の四隅には、ロードセル60(60a、60b、60c、60d)を1つずつ収容して取り付け可能な取付凹部41を形成する。さらに、それぞれの取付凹部41内に、脚部65が挿通可能な円形孔部42を設ける。一方、底板部材20bには、円形孔部42に対応する位置に、脚部65が挿通可能な孔部20b、20b、20b、20bを設ける。各ロードセル60(60a、60b、60c、60d)の起歪体47の負荷要素47aは、スペーサ69を介在させて脚部65がねじ67によって取り付けられ、取付要素47bは、スペーサ69を介在させて各取付凹部41内に対してねじ67によって取り付けられる。なお、図1では、ロードセル60aの取付け前の状態を示すとともに、ロードセル60b、60c、60dの取付け後の状態を示すものである。このように各取付凹部41に各ロードセル60が取り付けられたフレーム部材40を、カバー部材20aと底板部材20bとの間に配置すると、底板部材20bの各孔部20b、20b、20b、20bから、各ロードセル60に取り付けられている脚部65が突出するので、体重計1は脚部65において接地することとなる。
【0031】
これにより、被測定者が体重計1の載置部1aに載ったとき、ロードセル60の起歪体47が、その起歪部47cにおいて側面視略S字状に変形(伸縮)し、その変形に応じて第1の歪みゲージ48及び第2の歪みゲージ49も伸縮する。第1の歪みゲージ48及び第2の歪みゲージ49の伸縮に応じてロードセル60の出力値が変化するので、制御回路31は、載置部1aに荷重がかかっていないときのロードセル60からの出力値(いわゆるゼロ点)と、荷重がかかったときの出力値と、の差から重量を求め、被測定者の体重が測定されるようになっている。
【0032】
第1の歪みゲージ48を構成する抵抗部材R1(R1a、R1b、R1c、R1d)、R2(R2a、R2b、R2c、R2d)、R3(R3a、R3b、R3c、R3d)、R4(R4a、R4b、R4c、R4d)の各々の抵抗値、及び、第2の歪みゲージ49を構成する抵抗部材R5(R5a、R5b、R5c、R5d)、R6(R6a、R6b、R6c、R6d)、R7(R7a、R7b、R7c、R7d)、R8(R8a、R8b、R8c、R8d)の各々の抵抗値は、第1の重量検出部38で消費する電力が第2の重量検出部39で消費する電力より低くなるように設定されている。
【0033】
第1の重量検出部38は、載置部1aの上に、被測定者が載っているか否かを判別するための構成であり、被測定者の体重を正確に測定する必要がある第2の重量検出部39ほどには、精度のよいものとする必要はなく、比較的安価なものを採択することも可能である。また、第2の重量検出部39は、載置部1aに載っている被測定者の体重を検出するものであるから、第1の重量検出部38に比べ高い測定精度が要求される。
【0034】
また、本実施形態の体重計1のように、いわゆるステップオン型の体重計は、被測定者が体重計1の載置部1aに載ったことを検知して体重計1による体重の測定を自動的に開始させるようになっている。このように、ステップオン型の体重計として構成する場合には、被測定者がいつ何時、体重計1に載ったとしても、常により正確な体重の測定を可能とするために、体重計1が使用されていない間(待機状態)に、予め、第2の重量検出部39のロードセル60の最新のゼロ点を設定・更新しておく必要がある。そのため、体重計1の待機状態のときに、第2の重量検出部39からの出力値を検出し、その出力値が制御回路31に送られ、制御回路31は、第2の重量検出部39のゼロ点を、新たに測定された出力値に代えるゼロ点更新を行うようになっている。
【0035】
次に、上記構成の体重計1により被測定者の体重を測定する際の基本的な制御フローについて、図5を参照しつつ説明する。なお、図5におけるフローでは、第1の重量検出部38及び第2の重量検出部39におけるゼロ点更新は予め行われているものとする。
【0036】
まず、体重計1の制御回路31から切替回路35に制御信号が送られ、切替回路35を第1の重量検出部38に設定する(ステップS101)。次に、予め設定され記憶部33に格納されている所定時間間隔が経過する毎に、第1の重量検出部38から第1の歪みゲージ48の出力値を取得する(ステップS102)。さらに、制御回路31は、第1の重量検出部38から得られた出力値と、予め定められた閾値と、を比較し被測定者が載置部1aに載っているか否かを判別する(ステップS103)。
【0037】
第1の重量検出部38から得られた出力値が閾値を超えない場合には、被測定者が載置部1aに載っていないと判別される(ステップS103でNO)。この場合には、所定時間間隔の経過後、第1の重量検出部38からの出力値を取得し、出力値が所定の閾値を超えるまでこれらの工程を繰り返す。
【0038】
出力値が閾値を超えている場合には、被測定者が載置部1aに載っていると判別され(ステップS103でYES)、切替回路35を第2の重量検出部39へ設定する工程(ステップS104)へ移行し、第1の重量検出部38の機能は停止される。
【0039】
ステップS104では、制御回路31からの制御信号により、切替回路35を第1の重量検出部38から第2の重量検出部39へ設定し、第2の重量検出部39が機能する状態(測定状態)となる。そして、ステップS105において、制御回路31は第2の重量検出部39からの荷重を示す出力値を取得し、この出力値と第2の重量検出部39のゼロ点としての出力値との差分に基づいて被測定者の体重を測定する。
【0040】
前述した実施形態の体重計1において、被測定者が載置部1aに載っていない、即ち、体重計1が体重測定のために使用されていない待機状態では、第1の重量検出部38を機能させ、被測定者が載置部1aに載っているか否かの監視を、消費電力を低く抑え、かつ確実に行う。そして、被測定者が載置部1aに載っていると判断されると、測定状態として、第2の重量検出部39を機能させ、被測定者の体重の正確な測定を開始する。したがって、体重計1の消費電力を全体として抑えつつ、体重を高精度に確保できる。なお、重量測定の具体例ついては後述の実施例1において説明する。
【実施例1】
【0041】
以下に、実施例1に係る体重計の制御フローについて、図6を参照しつつ説明する。実施例1に係る体重計の構成は、前記実施形態と同じであり、異なるのは制御フローである。したがって、図1乃至図4を必要に応じて参照する。
【0042】
実施例1の体重計の制御フローは、実施形態に係る体重計1の制御フローにおける、第1の重量検出部38から第1の歪みゲージ48の出力値を取得するステップS102まで同じである。次に、制御回路31は、第1の重量検出部38から得られた出力値と、所定の閾値と、を比較し被測定者が載置部1aに載っているか否かを判別する(ステップS103)。その出力値が所定の閾値を超えている場合には、被測定者が載置部1aに載ったと判別され(ステップS103でYES)、切替回路35を第2の重量検出部38へ設定する工程(ステップS104)へ移行する。
【0043】
反対に出力値が所定の閾値を超えない場合には、被測定者が載置部1aに載っていないと判別され(ステップS103でNO)、第2の重量検出部39のゼロ点を更新すべき所定時間間隔が経過したか否かが制御回路31において判別される(ステップS201)。所定時間間隔が経過していない場合には(ステップS201でNO)、ステップS102に戻り、再度第1の重量検出部38からの出力値を所定の時間間隔経過後に取得する。なお、ステップS102に戻り重量検出部38からの出力値を再取得する時間間隔は、予め設定しておく。
【0044】
また、ステップS201において、ゼロ点更新をすべき所定時間間隔が経過していると、制御回路31により判別されると(ステップS201でYES)、制御回路31は切替回路35へ制御信号を送り、切替回路35により、第1の重量検出部38から第2の重量検出部39へ設定する(ステップS202)。
【0045】
さらに、制御回路31は第2の重量検出部39からの出力値を取得する(ステップS203)。このときに取得される出力値は、載置部1aに荷重がかかっていない状態のときの出力値である。このステップS203で取得された出力値と、記憶部33にすでに記憶されているゼロ点の出力値(直近で更新されたゼロ点)と、が比較され、ゼロ点の更新の要否が判断される(ステップS204)。ステップS203で得られた出力値と、記憶部33にすでに記憶されているゼロ点の出力値との差が、予め記憶部33に記憶されている所定の閾値を超えていない場合には、ゼロ点更新を行う必要がないものと判断して(ステップS204でNO)、ゼロ点更新を行わずにステップS101に戻り、制御回路31は切替回路35へ制御信号を送り、切替回路35により第2の重量検出部39から第1の重量検出部38に設定する。
【0046】
反対に、ステップS203で取得された第2の重量検出部39からの出力値と、記憶部33にすでに記憶されているゼロ点の出力値(直近で更新されたゼロ点)との差が、所定の閾値を超える場合には、ゼロ点更新を行う必要があるものと判断して(ステップS204でYES)、ゼロ点更新を行う工程(ステップS205)へ移行する。ゼロ点更新を行う工程(ステップS205)では、すでに記憶部33に格納されている直近で更新されたゼロ点を、ステップS203で新たに取得した出力値を最新のゼロ点として記憶させ、ステップS101に戻る。ステップS101に戻った後は、制御回路31は切替回路35へ制御信号を送り、切替回路35により第2の重量検出部39から第1の重量検出部38に設定する。
【0047】
前記のステップS103において、被測定者が載置部1aに載っていると判別された場合には(ステップS103でYES)、切替回路35を第2の重量検出部39へ設定する工程(ステップS104)へ移行する。
【0048】
ステップS104では、制御回路31は、切替回路35へ制御信号を送り、切替回路35により第1の重量検出部38から第2の重量検出部39へ設定し、第2の重量検出部39が機能する状態(測定状態)となる。そして、制御回路31は第2の重量検出部39からの荷重を示す出力値を取得し(ステップS105)、当該出力値と第2の重量検出部39のゼロ点である出力値との差分に基づいて被測定者の体重を測定する(ステップS106)。
【0049】
次に、制御回路31は、ステップS106で測定された被測定者の体重を表示部21に表示させ、測定された体重を被測定者に報知する(ステップS107)。体重を表示部21に表示した後であって、所定時間経過後に、再度第2の重量検出部39からの出力値を取得する(ステップS108)。その出力値と、ゼロ点である出力値と、の差が所定の閾値を超えない場合には、載置部1aから被測定者が降りたものと制御回路31において判別され(ステップS109でYES)、表示部21の表示が制御回路31によりオフされる(ステップS110)。その後は、再度ステップS101に戻り、切替回路35を第1の重量検出部38に設定し体重計1は待機状態となり、前述した制御フローが繰り返される。
【0050】
反対に、ステップS109において、出力値と、ゼロ点である出力値と、の差が所定閾値を超えている場合には、被測定者がまだ載置部1aに載っているものと判別され(ステップS109でNO)、表示部21の体重表示は維持される。そして予め設定された所定時間間隔を経過した後、再度第2の重量検出部39からの出力値を取得し(ステップS108)、被測定者が載っているか否かが制御回路31において判別され、被測定者が載置部1aから降りたと判別されるまで繰り替えされる。
【0051】
なお、本実施例1では、ステップS109で被測定者が載置部1aから降りていないと判別されると(ステップS109でNO)、ステップS108に戻る制御フローを説明したが、第2の重量検出部39から取得した出力値を用いて体重を再度測定し表示するようにステップS105に戻る制御フローとしてもよい(図6の破線で示す)。さらに、表示部21で体重を表示した(ステップS107)後、上記の繰り返し処理をすることなく所定時間経過後に表示部21をオフとし(ステップS110)、ステップS101に戻る制御フローとしてもよい。
【0052】
以上のように、体重計1では、被測定者が載置部1aに載っていない待機状態では、主として消費する電力が比較的少ない第1の重量検出部38を機能させておく。そして、被測定者が載置部1aに載っていると判別されて始めて、被測定者の体重を測定する第2の重量検出部39に設定する測定状態へ移行する構成である。よって、待機状態では、消費電力を比較的少なくでき、測定状態では、必要な測定精度を確保できる第2の重量検出部39を機能させるので、全体として消費電力を抑えることができる。
【0053】
上記実施例1における第2の重量検出部39の第2の歪みゲージ49、及び、第1の重量検出部38の第1の歪みゲージ48の具体例を説明する。一例として、第2の歪みゲージ49を構成する抵抗部材(R5、R6、R7、R8)を1kΩとした場合には、第1の歪みゲージ48を構成する抵抗部材(R1、R2、R3、R4)を3kΩ以上とすることが好ましい。これによれば、第1の重量検出部38により、被測定者が載置部1aに載ったことを判別するのに十分な測定精度が得られるとともに、第2の重量検出部と比較すると、第1の重量検出部の消費電力を低く抑えることができる。
【実施例2】
【0054】
次に、実施形態及び実施例1とは異なるブリッジ回路を採択した第1の重量検出部及び第2の重量検出部を備える体重計について、実施例2として説明する。図7は、実施例2に係る体重計の制御系を示すブロック図である。
【0055】
図7に示すように制御回路431は、上記実施形態及び実施例1と同様に、表示部421、操作部422、記憶部433、切替回路435、計時部436に電気的に接続されており、それぞれの機能を司る。さらに、制御回路431は、切替回路435を介して、第1の重量検出部438及び第2の重量検出部439に選択的に接続されており、第1の重量検出部438又は第2の重量検出部439からの出力値を選択的に受け、所定のプログラムに従って重量を演算可能になっている。各構成要素の機能は、上述の実施形態と同様であるので詳細は割愛する。
【0056】
制御回路431に対して、第1の重量検出部438又は第2の重量検出部439を選択的に接続するために、切替回路435が、制御回路431と、第1の重量検出部438及び第2の重量検出部439と、の間に設けられている。従って、切替回路435が制御回路431からの制御信号を受けると、切替回路435は、その制御信号に対応して第1の重量検出部438又は第2の重量検出部439の一方と接続するように設定する。
【0057】
本実施例においても、図2に示す実施形態及び実施例1と同様、同一のロードセルが体重計の四隅にそれぞれ設けられており、各ロードセルの起歪体の起歪部には、4つの抵抗部材からなる第1の歪みゲージ448及び第2の歪みゲージ449がそれぞれ貼られている。上記実施形態及び実施例1と異なるのは、第1の歪みゲージ448の抵抗部材R1a乃至R1d、R2a乃至R2d、R3a乃至R3d、及びR4a乃至R4dが、全体として一つのブリッジ回路を形成し、第2の歪みゲージ449の抵抗部材R5a乃至R5d、R6a乃至R6d、R7a乃至R7d、及びR8a乃至R8dが、全体として一つのブリッジ回路を形成するように構成されている点、また、マルチプレクサを必要としない点である。従って、第2の重量検出部439及び第1の重量検出部438は、それぞれ単一のブリッジ回路を備える構成である。
【0058】
さらに、各ブリッジ回路には、ブリッジ回路に電流を供給するとともに出力電圧(出力値)を検出するための供給検出回路480、481が接続されている。第1の歪みゲージ448により構成されるブリッジ回路には供給検出回路480が接続され、第2の歪みゲージ449により構成されるブリッジ回路には供給検出回路481が接続されている。また、第1の重量検出部438で消費される電力は、第2の重量検出部439で消費される電力より低くなるように、第2の歪みゲージ449及び第1の歪ゲージ448の抵抗部材の抵抗値を設定する。
【0059】
上記構成の第1の重量検出部438及び第2の重量検出部439を備える体重計によれば、実施例1に比較して、制御及び構造が簡素化できるという利点がある。なお、その他の作用及び効果は、実施例1と同じであるので詳細は割愛する。
【実施例3】
【0060】
次に、実施形態及び実施例1及び2とは異なるブリッジ回路を採択した第1の重量検出部538及び第2の重量検出部539を備える体重計について、実施例3として説明する。図8は、実施例3に係る体重計の制御系を示すブロック図と、ロードセル560の平面図及び背面面と、を対応させた図である。
【0061】
図8に示すように制御回路531は、実施形態、実施例1及び2と同様に、表示部521、操作部522、記憶部533、切替回路535、計時部536に電気的に接続されており、それぞれの機能を司る。さらに、制御回路531は、切替回路535を介して第1の重量検出部538及び第2の重量検出部539に選択的に接続されており、第1の重量検出部538又は第2の重量検出部539からの出力値を選択的に受け、所定のプログラムに従って重量を演算可能になっている。各構成要素の機能は、上述の実施形態と同様であるので詳細は割愛する。
【0062】
制御回路531に対して、第1の重量検出部538又は第2の重量検出部539を選択的に設定するために、切替回路535が、制御回路531と、第1の重量検出部538及び第2の重量検出部539と、の間に設けられている。従って、切替回路538が制御回路531からの制御信号を受けると、切替回路535は、その制御信号に対応して第1の重量検出部538又は第2の重量検出部539の一方と接続するように設定する。
【0063】
本実施例においても、図2に示す実施形態、実施例1及び2と同様、同一のロードセル560が体重計の四隅にそれぞれ設けられているが、各ロードセル560(560a、560b、560c、560d)の起歪体の起歪部には、2つの抵抗部材からなる第1の歪みゲージ548及び第2の歪みゲージ549がそれぞれ貼られている。すなわち、第1の歪みゲージ548は抵抗部材R3(R3a乃至R3d)、R4(R4a乃至R4d)、第2の歪みゲージ549は抵抗部材R1(R1a乃至R1d)、R2(R2a乃至R2d)をそれぞれ有し、第1の歪みゲージ548はロードセル560の平面側(図8の下方参照)の起歪部、第2の歪みゲージ549はロードセル560の背面側(図8の上方参照)の起歪部に、それぞれ貼られている。
【0064】
上記実施形態及び実施例1と異なるのは、第1の歪みゲージ548の抵抗部材R1a乃至R1d、及び、R2a乃至R2dが、全体として一つのブリッジ回路を形成し、第2の歪みゲージ549の抵抗部材R3a乃至R3d、R4a乃至R4dが、全体として一つのブリッジ回路を形成するように構成されている点、また、マルチプレクサを必要としない点である。従って、第2の重量検出部539及び第1の重量検出部538は、それぞれ単一のブリッジ回路を備える構成である。
【0065】
また、各ブリッジ回路には、ブリッジ回路に電流を供給するとともに出力電圧(出力値)を検出するための供給検出回路580、581が接続されている。第1の歪みゲージ548により構成されるブリッジ回路には供給検出回路580が接続され、第2の歪みゲージ549により構成されるブリッジ回路には供給検出回路581が接続されている。また、第1の重量検出部538で消費される電力は、第2の重量検出部539で消費される電力より低くなるように、第2の歪みゲージ549及び第1の歪ゲージ548の抵抗部材の抵抗値を設定する。
【0066】
上記構成の第1の重量検出部538及び第2の重量検出部539を備える体重計によれば、実施例1に比較して、制御及び構造が簡素化できるという利点がある。なお、その他の作用及び効果は、実施例1と同じであるので詳細は割愛する。
【実施例4】
【0067】
本発明は、人(被測定者)の重量を測定するものだけではなく、物(被測定物)の重量を測定する重量測定装置に適用することも可能である。そこで、以下に、本発明の重量測定装置の実施例4として、被測定物の重量を測定可能な重量測定装置について説明する。図9(a)は、重量測定装置301の内部構成を示す一部断面図、図9(b)は、図9(a)のIX−IX線に沿った重量測定装置301のロードセル360を示す部分断面図、図10は、実施例4に係る重量測定装置301の制御系を示すブロック図である。
【0068】
重量測定装置301は、前記の実施形態及び実施例1のようにロードセルを4か所に設ける構成とは異なり、1つのロードセル360を用いる構成のものであり、ロードセル360が第1の重量検出部338及び第2の重量検出部339として機能する。
【0069】
図10に示すように制御回路331は、表示部391、操作部392、記憶部333、切替回路335、計時部336に電気的に接続されており、それぞれの機能を司る。さらに、制御回路331は、切替回路335を介して第1の重量検出部338及び第2の重量検出部339に選択的に接続されており、第1の重量検出部338又は第2の重量検出部339からの出力値を選択的に受け、所定のプログラムに従って重量を演算可能になっている。また、制御部331は、表示部391の表示制御、記憶部333に対するデータの読み出しや書き込みの処理等を行う。なお、本実施例において、第1の重量検出部338及び第2の重量検出部339は、それぞれ供給検出回路380、381を備える。操作部392は、重量測定装置301の初期設定等を行うためのデータ入力手段(入力手段)である。なお、各要素の構成及び機能の詳細は、上述の実施形態と同様であるので説明は割愛する。
【0070】
制御回路331に対して、第1の重量検出部338又は第2の重量検出部339を選択的に設定するために、切替回路335が、制御回路331と、第1の重量検出部338及び第2の重量検出部339と、の間に設けられている。従って、切替回路538が制御回路331からの制御信号を受けると、切替回路335は、その制御信号に対応して第1の重量検出部338又は第2の重量検出部339の一方と接続するように設定する。
【0071】
実施例4におけるロードセル360は、略直方体状の金属製部材でなる起歪体347、第1の歪みゲージ348と、第2の歪みゲージ349と、を有する。起歪体347は、図9に示すように、固定端部325と、可動端部326と、固定端部325及び可動端部326を連結し、起歪部319a、319bを含む連結部321と、を有する。実施例4におけるロードセル360の起歪部319a、319bは、固定端部325及び可動端部326の間の部位であって、かつ、起歪体347の下面に、起歪体347の短手方向に2つの平行に設けられた溝322、323を下面に有する部位である。起歪部319a、319bには、溝322及び溝323に対応する位置にゲージ348a及びゲージ348bが貼られている。ゲージ348a及びゲージ348bは、それぞれ2つずつの抵抗部材R1及びR4、並びにR2及びR3を有し、ゲージ348a及びゲージ348bが一組となって第1の歪みゲージ348が構成される。また、第1の歪みゲージ348に並べて、かつ、溝322及び溝323に対応する位置に、ゲージ349a及びゲージ349bが貼られている。ゲージ349a及びゲージ349bは、それぞれ2つずつの抵抗部材R5及びR8、並びにR6及びR7を有し、ゲージ349a及びゲージ349bが一組となって第2の歪みゲージ349が構成される。すなわち、実施例4におけるロードセル360の第1の歪みゲージ348及び第2の歪みゲージ349は、同一の起歪体347の同一面上で並置される構成となっている。図10に示すように、第1の歪みゲージ348の抵抗部材R1、R2、R3、R4、及び、第2の歪みゲージ349の抵抗部材R5、R6、R7、R8は、それぞれブリッジ回路を構成している。さらに、抵抗部材R1乃至R4の抵抗値は、抵抗部材R5乃至R8の抵抗値より低くなるように設定されている。さらに、各ブリッジ回路には、ブリッジ回路に電流を供給するとともに出力電圧(出力値)を検出するための供給検出回路が接続されている。第1の歪みゲージ348により構成されるブリッジ回路には、供給検出回路380が接続され、第2の歪みゲージ349により構成されるブリッジ回路には、供給検出回路381が接続されている。
【0072】
本実施例においては、起歪体347と、第1の歪みゲージ348と、供給検出回路380と、によって本発明における第1の重量検出部338が構成され、また、起歪体347と、第2の歪みゲージ349と、供給検出回路381と、によって本発明における第2の重量検出部339が構成される。
【0073】
以上のようなロードセル360は、重量測定装置301に対して次のように取り付ける。起歪体347の固定端部325は、固定部材(図示せず)により連結部材365を介して基台359に固定されている。基台359は、重量測定装置301の底板に固定されている。また、可動端部326には、図9(a)の左右方向に延びる支持フレーム350が、固定部材(図示せず)により連結部材345を介して固定されている。さらに、支持フレーム350の長手方向ほぼ中央には重量測定装置301の内部から外部に向かい突出している柱状支持部351が固定され、柱状支持部351が載置部301aに装着されている。
【0074】
これにより、被測定物が重量測定装置301の載置部301aに載ったとき、ロードセル360の起歪体347が、その起歪部319a、319bにおいて側面視略S字状に変形(伸縮)し、その変形に応じて第1の歪みゲージ348及び第2の歪みゲージ349も伸縮する。第1の歪みゲージ348及び第2の歪みゲージ349の伸縮に応じてロードセル360の出力値が変化する。
【0075】
このように、第1の重量検出部338の第1の歪みゲージ348の出力値の変化を検出し、被測定物が載置部301aに載ったか否かが判別される。さらに、第1の重量検出部338からの出力値に基づき制御回路331において、被測定物が載ったと判別されると、第2の重量検出部339の第2の歪みゲージ349からの出力値に基づき被測定物の重量が測定される。測定された重量は、表示部391に表示される。重量測定装置301の制御フローの詳細は、図5及び図6と同様であるので、詳細な説明は割愛する。
【0076】
重量測定装置301は、被測定物が載置部301aに載っていない待機状態では、消費電力の比較的少ない第1の重量検出部338を機能させておく。そして、被測定物が載置部301aに載っていると判別されて始めて、被測定物の重量を測定する第2の重量検出部339に設定し測定状態へ移行する構成である。よって、重量測定装置301の待機状態では、消費電力を比較的少なくし待機時の消費電力を抑える構成とすることができる。
【実施例5】
【0077】
次に、別の構成でなる歪みゲージを用いた重量測定装置について、実施例5として説明する。図11(a)は、図9(b)に対応させたロードセル660を示す部分断面図、図11(b)は実施例5に係る重量測定装置の制御系を示すブロック図である。なお、実施例5の構成は、歪みゲージの構成が異なるのみでその他の構成要素は実施例4と同様であるので、必要に応じで図9を参照する。
【0078】
実施例5におけるロードセル660は、起歪体347、第1の歪みゲージ648と、第2の歪みゲージ649と、を有する。図11(a)に示すように、起歪体347には、溝322及び溝323を形成することにより起歪部319a、319bが設けられており、起歪部319a、319bに対応してゲージ648aとゲージ649a、及びゲージ648bとゲージ649bがそれぞれ貼られている。
【0079】
ゲージ649aは抵抗部材R1、ゲージ649bは抵抗部材R2をそれぞれ有し、ゲージ649a及びゲージ649bが一組となって第2の歪みゲージ649を構成する。同様に、ゲージ648aは抵抗部材R3、ゲージ648bは抵抗部材R4をそれぞれ有し、ゲージ648a及びゲージ648bが一組となって第1の歪みゲージ648を構成する。このように、実施例5におけるロードセル660の第1の歪みゲージ648及び第2の歪みゲージ649は、同一の起歪体347の同一面上で並置される構成となっている。さらに、抵抗部材R1及びR2の抵抗値は、抵抗部材R3及びR4の抵抗値より低くなるように設定されている。
【0080】
さらに、各回路に電流を供給するとともに出力電圧(出力値)を検出するための供給検出回路が接続されている。第1の歪みゲージ648により構成される回路には、供給検出回路680が接続され、第2の歪みゲージ649により構成される回路には、供給検出回路681が接続されている。
【0081】
本実施例においては、起歪体347と、第1の歪みゲージ648と、供給検出回路680と、によって第1の重量検出部638が構成され、また、起歪体347と、第2の歪みゲージ649と、供給検出回路681と、によって第2の重量検出部639が構成される。
【0082】
上記構成により、被測定物が重量測定装置301の載置部301aに載ったとき、ロードセル660の起歪体347が、その起歪部319a、319bにおいて側面視略S字状に変形(伸縮)し、その変形に応じて第1の歪みゲージ648及び第2の歪みゲージ649も伸縮する。第1の歪みゲージ648及び第2の歪みゲージ649の伸縮に応じてロードセル360の出力値が変化する。
【0083】
このように、第1の重量検出部638の第1の歪みゲージ648の出力値の変化を検出し、被測定物が載置部301aに載ったか否かが判別される。さらに、第1の重量検出部338からの出力値に基づき制御回路631において、被測定物が載ったと判別されると、第2の重量検出部639の第2の歪みゲージ649からの出力値に基づき被測定物の重量が測定される。実施例5の重量測定装置によれば、実施例4の重量測定装置301に比べ、ロードセルの構成を更に簡素化できる。実施例5の機能、効果は、実施例4と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0084】
なお、実施例4及び5では、直方体状の起歪体347に溝322、323を設けた構成を使用したが、溝を形成する代わりに、起歪部の短手方向に貫通する貫通孔を形成する構成としてもよく、さらには、溝や貫通孔を形成しない直方体状の起歪体を用いることも可能である。また、本発明において、ロードセルの起歪体に対して貼りつける第1の歪みゲージ及び第2の歪みゲージは、実施例4及び5のように同一面に設けてもよいし、上記実施形態や実施例1乃至3のように異なる面に設けてもよい。一方、実施形態及び実施例1乃至3における第1の歪みゲージは、起歪体47の上面、第2の歪みゲージを起歪体47の下面にそれぞれ一つずつ貼る構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、起歪体47の同一面に第1の歪みゲージ及び第2の歪みゲージを貼る構成としてもよい。
【0085】
上述した実施形態及び実施例1では、歪みゲージ1つ当りに4つの抵抗部材を備え、歪みゲージ1つにつきそれぞれブリッジ回路を構成するものを説明した。また、実施例2では、複数の歪みゲージの抵抗部材を用いてブリッジ回路を構成するものを説明した。さらに、実施例3では、歪みゲージ1つ当りに2つの抵抗部材を備え、複数の歪みゲージの抵抗部材を用いてブリッジ回路を構成するものを説明した。また、実施例4では、歪みゲージ1つ当りに2つの抵抗部材を備え、2つの歪みゲージの抵抗部材を用いてブリッジ回路を構成するものを説明した。さらに、実施例5では、歪みゲージ1つ当りに1つの抵抗部材を備え、2つの歪みゲージの抵抗部材を用いていわゆるハーフブジッリ回路を構成するものを説明した。しかしながら、本発明はこれらの構成に限定されず、1の重量検出部を機能させた場合の消費電力が第2の重量検出部を機能させた場合の消費電力より少なくなる組み合わせであれば、適宜採択可能である。
【0086】
さらに、上記実施形態及び実施例1では、体重計1の各隅部の4か所に第1の重量検出部38を設ける構成としたが、第1の重量検出部の配置箇所を、被測定対象が載置部に載ったか否かを判別する程度の測定精度が得られる範囲で、その数を減らしてもよい。また、前記の通り、起歪体を共通にする1つのロードセルにより第1の重量検出部及び第2の重量検出部を構成する場合には、部品点数を減らすことができる点で好適であるが、本発明はこれに限定されず、第1の重量検出部及び第2の重量検出部のそれぞれを、別個独立のロードセルによって構成することも可能である。
【0087】
また、実施形態及び実施例1乃至3において、被測定者の体重を測定する体重計について説明したが、本発明の重量測定装置は体重計に限定されるものではなく、体脂肪計、体組成計などの生体測定装置に広く適用できるものである。また、実施例4及び5で説明した重量測定装置は、より具体的には、クッキング用の重量測定装置、実験用の重量測定装置、配達業務における荷物用の重量測定装置等、被測定物の重量を測定する種々の用途の装置に適用できることはいうまでもない。
【0088】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態及び実施例は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施形態に係る体重計の斜視図である。
【図2】(a)実施形態に係る体重計のロードセルの図1のII部分の部分拡大図、(b)は図2(a)のロードセルの裏面を示す図である。
【図3】図2(a)の矢印III方向から見たロードセルの一部を示す側面図である。
【図4】実施形態に係る体重計の制御系を示すブロック図と、ロードセルの平面図及び背面図と、を対応させた図である。
【図5】実施形態に係る体重計の制御フローの一例を示す図である。
【図6】実施例1に係る体重計の制御フローを示す図である。
【図7】実施例2に係る体重計の制御系を示すブロック図である。
【図8】実施例3に係る体重計の制御系を示すブロック図と、ロードセルの平面図及び背面面と、を対応させた図である。
【図9】(a)は実施例4に係る重量測定装置の内部構成を示す一部断面図、(b)は図9(a)のIX−IX線に沿った重量測定装置のロードセルを示す部分断面図である。
【図10】実施例4に係る重量測定装置の制御系を示すブロック図である。
【図11】(a)は、図9(b)に対応させたロードセルを示す部分断面図、(b)は実施例5に係る重量測定装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0090】
1 体重計(重量測定装置)
1a 載置部
20a カバー部材
20b 底板部材
20b、20b、20b、20b 孔部
21、421、521 表示部
22、422、522 操作部
31、431、531 制御回路(制御手段)
33、433、533 記憶部
34、434、534 電源部
35、435、535 切替回路(切替手段)
36、436、536 計時部
38、438、538 第1の重量検出部(第1の重量検出手段)
39、439、539 第2の重量検出部(第2の重量検出手段)
40 フレーム部材
41 取付凹部
42 円形孔部
47 起歪体
47a 負荷要素
47b 取付要素
47c 起歪部
48、448、548 第1の歪みゲージ
49、449、549 第2の歪みゲージ
60(a〜d)、560(a〜d) ロードセル
65 脚部
67 ねじ
69 スペーサ
80、81、480、481、580、581 供給検出回路
82、83 マルチプレクサ
301 重量測定装置
301a 載置部
319a、319b 起歪部
321 連結部
322、323 溝
325 固定端部
326 可動端部
338、638 第1の重量検出部(第1の重量検出手段)
339、639 第2の重量検出部(第2の重量検出手段)
345 連結部材
347 起歪体
348、648 第1の歪みゲージ
348a、648a ゲージ
348b、648b ゲージ
349、649 第2の歪みゲージ
349a、649a ゲージ
349b、649b ゲージ
359 基台
360、660 ロードセル
365 連結部材
R1(a〜d)〜R8(a〜d) 抵抗部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象が載置部に載ると自動的に重量の測定を開始する重量測定装置であって、
前記載置部に被測定対象が載っているか否かを検出するための第1の重量検出手段と、
前記被測定対象の重量を検出するための第2の重量検出手段と、
前記第1の重量検出手段からの出力値に基づき前記載置部に被測定対象が載ったことを判別すると、前記第2の重量検出手段からの出力値に基づき前記被測定対象の重量を取得する制御手段と、を備え、
前記第1の重量検出手段で消費する電力は、前記第2の重量検出手段で消費する電力よりも低いこと
を特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記第1の重量検出手段は、第1の歪みゲージが起歪体に貼られたロードセルであり、前記第2の重量検出手段は、第2の歪みゲージが起歪体に貼られたロードセルであって、前記第1の歪みゲージの抵抗値は前記第2の歪みゲージの抵抗値より高いことを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
前記第1の歪みゲージ及び前記第2の歪みゲージは、同一の起歪体に貼られていることを特徴とする請求項2に記載の重量測定装置。
【請求項4】
前記第1の重量検出手段と前記第2の重量検出手段との間を切り替える切替手段を備え、前記制御手段は、前記切替手段により前記第1の重量検出手段と前記第2の重量検出手段とを選択的に機能させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の重量検出手段からの出力値に基づき前記被測定対象が前記載置部に載っていないと判別すると、ゼロ点更新を行う所定時間間隔が経過しているか否かを判別し、前記所定時間間隔が経過しているとき、前記第2の重量検出手段のゼロ点更新を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−38688(P2010−38688A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200878(P2008−200878)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)