説明

重量骨材を含む地下構造物

【課題】従来の重量コンクリートは流動性が悪くポンプ圧送できないため、各セグメントを重量コンクリートのプレキャストで作製していた。このため施工が複雑であり、特に各プレキャスト部材を設置する際の位置決めや位置合わせ等の調整を要していた。そこで、重量コンクリートをシールドトンネル内においてポンプ圧送し、インバートが構築できる地下構造物を提供する。
【解決手段】主要構成成分としてFeO、Fe2O3、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%である重量骨材を含む地下構造物、さらに、製鋼過程で発生するリサイクル材を混合して得られる重量骨材であって、呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%ないし90%である前記重量骨材を含む地下構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量コンクリート、重量モルタルを含む地下構造物に関する。例えば、地中に構築するトンネル、管路などの地下構造物、特にトンネル、管路内にコンクリート部材によって構築するインバートを有する地下構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重量コンクリートとは、通常より単位容積重量を大きくしたコンクリートであり、消波ブロック、護岸堤用コンクリート、放射線遮断壁、橋梁ウェイト等に用いられている。重量コンクリートに用いる重量骨材としては、磁鉄鉱や赤鉄鉱などの鉄鉱石が多く用いられてきたが、重量骨材として良質なものの入手が困難になってきており、高価な天然資源の使用は、経済的にも、環境配慮の観点からも好ましくない。鉄鉱石骨材に代わるものとして、電気炉酸化スラグ等の鉄含有量の多いスラグも用いられるが、密度が4g/cm3未満のものが多く、重量骨材として十分な密度のものの入手は困難である。他には、製鋼用転炉ダストにセメントを配合する重量コンクリートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、重量骨材として鉄鉱石を用いた場合にも、製鋼用転炉ダストの粗粒分などの代替物を用いた場合にも、重量骨材とセメントペーストとに大きな比重差があるため、分離が起こりやすいという課題があった。
【0003】
従来から、重量骨材とセメントペーストの分離を抑制するため、重量コンクリートにメチルセルロースなどの増粘剤の添加が行われている(例えば、特許文献2参照)。しかし、増粘剤の添加はセメントの水和反応を遅延させるため、大量に添加することは好ましくない。そのため、メチルセルロースなどの増粘剤の添加を必要とせず、重量骨材とセメントペーストの分離が少なく、流動性が高くて施工性の良い重量コンクリートが望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開平5−319880号公報
【特許文献2】特開昭62−158181号公報
【0005】
また、特許文献3には、重量コンクリートの細骨材としてふるい呼び寸法2.5mmないし0.15mmのショットブラスト用スチール細粒を粒度調整して用いることが提案されている。しかし、種々のサイズの均一粒度に調整して製造された高価なショットブラスト用スチール細粒を配合して粒度調整することは極めてコスト高になるため、商業的な適用は進まなかった。これに代わる重量コンクリート用細骨材の材料として、高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄を用いることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これらの重量コンクリート用細骨材は、粗骨材とともに用いるコンクリート用細骨材として有効であるが、後に詳細を述べるとおり、細骨材のみを用いる重量モルタル用の細骨材としては、十分なモルタルフローが得られない、あるいは骨材とセメントペーストの分離が発生する場合があるという課題があった。
【0006】
【特許文献3】特開平2−172846号公報
【特許文献4】特開2004−210574号公報
【0007】
一方、主に道路、鉄道やライフライン用として掘進されたシールドトンネルは、一般にトンネルのほぼ中央付近に構築された床スラブを境に車道等として利用される上部空間と、排水、電気等の保全施設や避難施設などとして利用される下部空間に区画され、さらに下部空間は必要に応じて中壁によって複数の空間に区画されている。また、施工に際しては、トンネルのほぼ中央付近に軌条設備を仮設し、この軌条設備を利用してセグメント等のトンネル構築用資材を輸送する一方、軌条設備の下側において現場施工による配筋、型枠の設置、コンクリートの打設等をトンネルの掘進・覆工と並行して行っている。
【0008】
こうしたシールドトンネルを地中に構築する際、地下水からの浮力を受け、トンネルの位置が上部へと移動することがある。この浮き上がりを防止するためコンクリート部材によるインバートをトンネル底部に構築することが行われている。近年、シールドトンネルの構築位置の地下深度が深くなったり、地下水位の変化などにより、浮力の問題が大きくなってきた。このため、インバートを従来のコンクリートより重量のある重量コンクリートで構築することが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の重量コンクリートは流動性が悪くポンプ圧送できないため、各セグメントを重量コンクリートのプレキャストで作製、内部へ搬送していた。このためトンネル内の資材の搬送により施工速度が遅くなるばかりでなく、プレキャストコンクリート部材による施工においては、特に各プレキャスト部材を設置する際の位置決めや位置合わせ等の調整、さらにはプレキャスト部材どうしの接合の工程が非常に煩雑であるという問題があった。こうした問題を解決するため、重量コンクリートをシールドトンネル内においてポンプ圧送し、インバートを構築することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って本発明は、主要構成成分としてFeO、Fe2O3、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%である重量骨材を含む地下構造物、さらに、製鋼過程で発生するリサイクル材を混合して得られる重量骨材であって、呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%ないし90%である前記重量骨材を含む地下構造物、を提供する。
【0011】
さらに、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含む前段落に記載の重量骨材を含む地下構造物、を提供する。
【0012】
また、本発明の地下構造物は、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するリサイクル材料の球状粒子を含み、製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも1種以上と球状粒子とを混合して得られる重量骨材を含む地下構造物であることも特徴とする。
【0013】
また、球状粒子と、製鋼の圧延工程で発生するリサイクル材料のミルスケールとを混合容積比が100:0から30:70の範囲で混合して得られること、球状粒子と製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られること、球状粒子と高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られる重量骨材を含む重量コンクリートを含む地下構造物であることも特徴とする。
【0014】
また、本発明の重量コンクリートを含む地下構造物は、製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも2種以上を混合して得られる骨材を含む重量コンクリートを用いることも特徴とし、また、前記ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄の混合割合が、各々質量百分率で20〜70%、20〜50%、及び0〜40%であることも特徴とする重量骨材を含む重量コンクリート含む地下構造物である。
【0015】
さらに、前記重量粗骨材が、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を含むことも特徴とする地下構造物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の重量コンクリートを含む地下構造物は、重量骨材が、コンクリートやモルタルの細骨材に求められる適切な粒度分布を備え、球状粒子を適度に含有するため、コンクリートやモルタルのフレッシュ性状に適度な流動性とワーカビリティーを与えることができる。そのため、これまで流動性が不十分でポンプ圧送できなかった重量コンクリートをポンプ圧送することができ、浮き上りを防止するためのインバートを有するシールドトンネルの施工において、シールドトンネル内でポンプ圧送によりインバートを構築でき、従来のプレキャスト部材の搬送、接合にかかる手間を省略でき施工速度が大幅に向上するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の重量骨材を含む地下構造物についてさらに詳細に説明する。本発明において重量コンクリートとは、特に言及しない場合は、粗骨材を含まない重量モルタルを含む広い概念で使用する。本発明において重量骨材とは、表乾密度が4g/cm3以上の骨材を指す。
【0018】
本発明の地下構造物に用いる重量コンクリートは、重量細骨材として、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生する球状粒子を含むことを特徴とする。球状粒子は、連続鋳造スラブにより鋼スラブを鋳造する際、鋳型への溶鋼注入流によって、鋼スラブの長手方向表層部に連続的に析出するAl等の介在物を溶削除去する工程で発生するリサイクル材料であり、酸化鉄を主要構成成分とするため、重量骨材として使用するのに十分な4.8g/cm3以上の表乾密度を有する。また、溶削工程で一旦液状に溶融した後、空中で冷え固まることにより、体積あたりの表面積が最小となる球形に近い形状の粒子またはその破砕物や凝集物で構成され、球状粒子が70%以上を占めている。さらには、粒度分布に偏りがなく、球状粒子を重量細骨材として用いることにより、材料分離を抑えながら高い流動性のある重量コンクリートが得られ、地下構造物に好適に用いることができる。
【0019】
しかし、本発明の地下構造物に用いる骨材の球状粒子はリサイクル材としての発生量が多くないので、他のリサイクル材等と混合して用いることが好ましい。球状粒子と混合して用いる材としては、製鋼用転炉ダストを50μmふるいで分離した粗粒分や高炉水砕スラグから粉砕過程で分離される粒状銑鉄、製鋼の圧延工程で発生するミルスケールなどの製鋼リサイクル材が高い表乾密度を有するので好ましいが、電気炉酸化スラグや砕砂などの表乾密度が4g/cm3以下の材であってもよい。ただし、混合した後の細骨材が、以下の条件を満たすときに、材料分離を抑えながら高い流動性のある重量コンクリートが得られる。すなわち、細骨材のうち呼び寸法0.15mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で10%ないし20%であって、球状粒子が粒径50μm以上5mm以下の全粒子のうち20%以上であることが望ましい。
【0020】
本発明の地下構造物に用いる重量粗骨材としては、従来の鉄鉱石を用いることもできるが、高価な天然資源の使用は、経済的にも、環境配慮の観点からも好ましくない。また、電気炉酸化スラグ粗骨材を用いることもできる。本発明では、産業的な利用が十分になされていない資源の活用を目的のひとつにしており、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を用いることが好ましい。特に、製鋼過程で発生する金属ダストと、粉末状にした還元スラグとを混合して加熱溶融させ、冷却固化させて製造される人工石材は、溶融過程で遊離石灰や低沸点金属酸化物が除かれており、また重量粗骨材として十分な密度も有することから、本発明の粗骨材として有効である。
【0021】
また、本発明の地下構造物に使用する重量骨材は、主要構成成分としてFeO、Fe23、金属鉄の少なくともひとつを含む。主要構成成分としてFeO、Fe23、金属鉄の少なくともひとつを含むとは、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFe23が65%以上であることが好ましい。構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFe23が65%に満たないときは、骨材の表乾密度が4g/cm3未満となる場合があり、好ましくない。より好ましくは、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFe23が75%以上であり、このときの重量骨材の表乾密度は、4.5g/cm3以上になる。
【0022】
本発明の地下構造物に用いる重量コンクリート、モルタルの細骨材の最適粒度は、骨材の形状、表面粗滑度、配合等により変化するものである。例えば砕砂のJIS規格(A 5005;非特許文献1)では、表1のように粒度分布が規定され、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で2%ないし15%とされている。一方、電気炉酸化スラグ骨材のJIS規格(A 5011−4;非特許文献2)では、その解説の中で微粒分を多くした方が良好なフレッシュコンクリートの性状が得られることが示され、1.2mm電気炉酸化スラグ骨材では、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし30%とされている。しかし、密度が4.5g/cm3以上であり、全粒子のうち球状の粒子が20%以上含まれる重量骨材で、良好なフレッシュコンクリートの性状を得るための最適な粒度分布についての知見が公開されたことはない。
【0023】
特許文献3には、重量コンクリート用の細骨材としてショットブラスト用スチール細粒を配合して用いることが示されているが、JASS5(日本建築学会 建築工事標準仕様書5 鉄筋コンクリート工事)に規定された粒度分布を満足するように調整されているだけで、コンクリート、モルタルの良好なフレッシュ性状を得るための重量骨材の詳細な粒度分布についての検討はなされていない。
【0024】
本発明者は、良好なモルタルフローを得るための重量骨材の粒度分布を詳細に検討し、表1に示す最適粒度分布を見出した。すなわち、本発明の重量骨材は、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であることを特徴とする。呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%に満たないとき、あるいは20%を超えるときには、十分なモルタルフローが得られない、あるいは骨材とセメントペーストの分離が発生する場合がある。
【0025】
【非特許文献1】日本工業規格 JIS A 5005 コンクリート用砕石及び砕砂
【非特許文献2】日本工業規格 JIS A 5011−4 コンクリート用スラグ骨材 第4部:電気炉酸化スラグ骨材
【0026】
【表1】

【0027】
また、呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%ないし90%であることが好ましい。呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%に満たないとき、あるいは90%を超えるときには、十分なモルタルフローが得られない、あるいは骨材とセメントペーストの分離が発生する場合がある。さらに、本発明の重量骨材は、製鋼過程で発生するリサイクル材を混合して得ることが好ましい。
【0028】
連続鋳造スラブにより鋳造した鋼スラブは、鋳型への溶鋼注入流によって、鋼スラブの長手方向表層部に連続的にAl等の介在物が析出する。この鋼スラブの表層介在物を溶削除去する工程で発生するリサイクル材料のホットスカーフは、主要構成成分としてFeO、Fe23、金属鉄を含み、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFe23が80%以上で、表乾密度は、4.8g/cm3以上になる。また球状粒子が約70%を占め、しかも呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%の範囲内であり、そのまま本発明の重量骨材として用いることができる。
【0029】
高炉水砕スラグから粉砕過程で分離される粒状銑鉄も金属鉄が主成分で4.8g/cm3以上の表乾密度を示すとともに、球形に近い形状の粒子が50%程度含まれ、ホットスカーフと混合使用できるリサイクル材である。ホットスカーフ70に対し、粒状銑鉄30の容積比までならば、混合することができる。それ以上に粒状銑鉄を混合すると、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%に満たないため、十分なモルタルフローが得られない場合がある。
【0030】
本発明者は、ホットスカーフとミルスケールを種々の混合比で混合し、重量骨材としての適正を検討した。その結果、ホットスカーフ30に対し、ミルスケール70の容積比まで混合できることを確認した。それ以上にミルスケールを混合すると、球状粒子の割合が20%を下回り、流動性が確保できず、十分なモルタルフローが得られない場合がある。さらに、モルタルフローを得るために単位水量を増加した場合には、骨材とセメントペーストとの分離が生じる場合がある。なお、ホットスカーフとミルスケールの混合容積比が40:60か、それよりもホットスカーフの割合が多い場合には、モルタルから空気が抜けやすく、モルタルの単位容積質量が大きくできるので、より好ましい。
【0031】
ここで本願発明における「球状粒子」について詳細に説明する。球状粒子とは、文字通り真球形に近い形状の粒子である。球状粒子の生成過程には、(1)固体が熱で液状に溶融した後、空中で冷え固まることにより、体積あたりの表面積が最小となる球形に近い形状となる場合、(2)非球形粒子が物理的な研磨により角を失い、球形に近い形状となる場合、(3)粉末または溶解液から析出した微粒が核の周囲に結合し、球形に近い形状に成長する場合がある。(2)(3)の場合には、球形から非球形まで連続的な形状の粒子が生成するが、(1)の場合には、中間形状の粒子は生成しない。
【0032】
ホットスカーフは前記の通り、鋼スラブの表層介在物を溶削除去する工程で発生するリサイクル材料であり、前記(1)の生成過程で球状粒子が生成する。粗粉転炉ダスト及び粒状銑鉄にも球状粒子が含まれるが、その生成過程は前記(1)だけでなく、(2)の場合も含まれると考えられる。
【0033】
本発明の重量骨材は、全粒子のうち「球状粒子」が20%以上であることが必須であるが、下記する歪凹凸度が3.3以下の「球状粒子」が、全粒子のうち20%以上であることが好ましい。
ここで、「歪凹凸度」は以下の式で定義される。

[歪凹凸度]=[粒子輪郭の周の長さ]/[粒子輪郭面積と同じ面積の正円の直径]

すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)画像の目視によって、その陰影から円板状や半球状と判断できる粒子を除き、明らかに球形に近い粒子を画像処理して解析する。画像処理は、一般的な画像処理ソフト(例えばAdobe Photoshop)を用いて行えばよい。
【0034】
まず、球形に近い粒子の画像から陰影を消して輪郭のみの図形を作成し、該図形の面積と、輪郭の周の長さを求める。該図形を円に近似して(該図形と同面積の円を想定して)、その円の面積πr2から半径rを求め、その2倍として直径を求める。直径に対する周の長さの比は、輪郭が円に近いほど、すなわち粒子が球形に近いほど、小さくなり、円周率πに近い値になる。ちなみに、ホットスカーフに含まれる球状粒子では、歪凹凸度が3.3以下となる。
【0035】
また、全粒子のうちの球状粒子の割合を求める場合、複数のSEM写真に写った全粒子の数と球状粒子の数を数えて平均を求めればよいが、粒子の粒径に関わらず球状粒子の割合は一定であると仮定し、一定粒径、例えば50μm以上の粒子のみを数える。
一方、本発明の重量骨材は、製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも2種以上を混合しても得られる。前記ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄は、いずれも、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフよりも発生量の多いリサイクル材である。
【0036】
ミルスケールは製鋼の圧延工程で発生するリサイクル材であり、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFe23が80%以上で、表乾密度は4.8g/cm3以上になる。しかも表2に示すように砕砂JISに近い粒度分布を有している。しかし、粒子形状は扁平なものが多いため、骨材として利用した場合にはコンクリートやモルタルの流動性が低下しやすく、過剰に単位水量や減水剤量を増やした場合には骨材とペーストが分離しやすい。したがって、ミルスケールをそのまま単独で重量骨材として用いることはできない。
【0037】
製鋼用転炉ダストの粗粒分は球状粒子を70%以上含むが、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で25%以上、呼び寸法0.3mmのふるいを通過する粒子が65%以上と、骨材としては粒度分布が細粒側に偏りすぎるため、粒子が凝集しやすく、粗粉転炉ダストを単独で重量骨材として用いた場合には十分なモルタルフローを得ることは困難である。
【0038】
高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄も球状粒子を約50%含むが、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で5%以下、呼び寸法0.3mmのふるいを通過する粒子が20%以下である一方、呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が85%以上と、粒径が0.3mmから1.2mmの間に集中する偏った粒度分布を有する。そのため、粒状銑鉄を単独で重量骨材として用いた場合には骨材とセメントペーストの分離が起こりやすい。
【0039】
以上のように前記3種のリサイクル材は、いずれも単独で重量骨材として用いた場合には、十分なモルタルフローが得られないか、あるいは骨材とセメントペーストの分離が起こりやすい。しかし前記3種のリサイクル材のうち、少なくとも2種以上を適切な混合割合で混合することにより、骨材とセメントペーストの分離が起こらず、モルタル及びコンクリートに十分な流動性とワーカビリティーを与えることができる重量骨材が得られる。
【0040】
【表2】

【0041】
本発明の重量骨材は、前記ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄の混合割合が、各々質量百分率で0〜70%、0〜50%、及び0〜60%であることが好ましく、特に20〜70%、20〜50%、及び0〜40%であることが好ましい。
ミルスケールの混合割合が70%を超えるとき、または転炉ダスト粗粒分の混合割合が50%を超えるとき、該重量骨材を用いたモルタルでは、十分なモルタルフローが得られない場合があり、好ましくない。粒状銑鉄の混合割合が60%を超えるとき、該重量骨材を用いたモルタルでは、骨材とセメントペーストの分離が起こる場合があり、好ましくない。
【0042】
ミルスケールの混合割合が20%に満たないとき、該重量骨材を用いたモルタルでは、残りのリサイクル材の混合割合によっては、骨材とセメントペーストの分離が起こる、または十分なモルタルフローが得られない場合がある。転炉ダスト粗粒分の混合割合が20%に満たないとき、または粒状銑鉄の混合割合が40%を超えるとき、該重量骨材を用いたモルタルでは、残りのリサイクル材の混合割合によっては、骨材とセメントペーストの分離が起こる場合がある。
【0043】
本発明の地下構造物に用いるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメントや、エコセメント等が挙げられる。
【0044】
本発明の地下構造物に用いる重量コンクリートは、通常のコンクリートと同様の方法で製造することができる。すなわち、前記重量細骨材、前記重量粗骨材、前記セメントを混合し、水を加えて混練りすればよい。必要に応じて、減水剤や消泡剤などの混和剤を添加しても良い。重量コンクリートは高い密度を確保するため、単位水量を低くすることが好ましく、減水剤を添加することが好ましい。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。これらのうち、減水効果の大きな高性能AE減水剤を使用することが好ましい。また、高い密度を確保するために、特に空気の巻込みを抑える必要があるときは、消泡剤を添加することが望ましい。
【0045】
細骨材粗骨材容積比、単位水量、水セメント比は、用途に合わせて適宜選択できる。現場施工でポンプ圧送を行う場合には、練り上がり時にスランプ18cm以上となる軟練りの配合やスランプフローが50〜60cmとなるような配合を行う。本発明では、例えば細骨材粗骨材容積比0.4〜0.8、単位水量160〜200kg/m3、水セメント比30〜55%の範囲で適宜調整し、材料分離を抑えながらスランプ18cm以上またはスランプフロー50〜60cmを得ることができる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(コンクリート使用原料)
地下構造物に用いた重量コンクリートの使用原料を表3に示す。
【0047】
【表3】

表4に地下構造物に用いた重量コンクリートの配合を示す。先ず、表4のコンクリート組成物を用いた本発明のコンクリート組成物等のコンクリートスランプフロー試験を行った。
【0048】
【表4】

※)磁鉄鉱の粒径5mm以上は、粗骨材として計算した。
【0049】
(試験方法)
(1)表3に示す原料を表4に示す配合にて混合し、コンクリートを混練りした。W/C(水セメント比)は37質量%比とした。
(2)コンクリートのスランプフロー試験は、JIS A 1150に基づき、スランプコーンにコンクリートを詰め、スランプコーンを鉛直に引き上げ、コンクリートの動きが止まった後に、広がりが最大と思われる直径と、その直交する方向の直径を測定した。また、このときの材料分離の状態を目視観察した。
【0050】
(試験結果)
スランプフロー測定結果および材料分離の有無を表5に示した。
【0051】
【表5】

【0052】
表5に示した結果より、実施例、比較例ともスランプフローが50cm程度となるように配合調整した。比較例では流動性を高めるため、実施例に比べ、単位水量を10kg/m3、ペースト分(セメント)を27kg/m3、高機能AE減水剤を0.9kg/m3(比較例1、2)、1.4kg/m3(比較例3)多く混合した。実施例では骨材とセメントペーストが分離することなく広がったが、比較例では材料分離し、中心に骨材が残り、セメントペーストだけが広がった。
【0053】
次に、本発明のカウンターウェイト組成物のコンクリートフロー試験結果を行った。前記材料を用いて、目標スランプフロー50cmで各コンクリート組成物の評価を行った。
【0054】
【表6】

【0055】
(試験方法)前表参照
(1)表乾密度4.98g/cm3のミルスケールとホットスカーフ50/50の混合品1609kg/m3と、表乾密度4.13g/cm3の溶融スラグ系骨材1330kg/m3と、水175kg/m3と、普通ポルトランドセメント473kg/m3と、高性能AE減水剤7.10kg/m3とを適宜混合し、スランプフロー試験を行った。(コンクリ−フロー実施例)
(2)ミルスケールとホットスカーフ50/50の混合品の代わりに表乾密度4.95g/cm3のミルスケール1554kg/m3を用い、実施例と同様な方法及び手段でスランプフロー試験を行った(同比較例1)
(3)ミルスケールとホットスカーフ50/50の混合品の代わりに表乾密度5.84g/cm3の転炉ダスト粗粒分1834kg/m3を用い、実施例と同様な方法及び手段でスランプフロー試験を行った(同比較例2)
(4)ミルスケールとホットスカーフ50/50の混合品の代わりに表乾密度4.50g/cm3の磁鉄鉱1405kg/m3を用い、実施例と同様な方法及び手段でスランプフロー試験を行った(同比較例3)
【0056】
(試験結果)
本発明のカウンターウェイト組成物等のスランプフロー試験結果を、表7に示す。
【0057】
【表7】

【0058】
前表の通り、目標スランプフロー値を得るために、比較例では、単位水量を10kg増加し、更に高性能減水剤の添加量も増加した。スランプフロー実施例の重量コンクリート組成物は、骨材とセメントのペーストが分離することなく、広がった。一方、同比較例の組成物では、全てのケースで、中心に骨材が分離して残存し、セメントペーストが広がる現象が見られ、組成物の分離が認められた。
このコンクリ−フロー実施例の重量コンクリート組成物をカウンターウェイトのケースに前述と同様に図2の要領で流し込んだ。その結果、振動を与えなくても、棒で付いたり周囲を叩いたりしただけでカウンターウェイトのケースの角部まで重量コンクリートは充填され、空隙部は生じなかった(図3参照)。
【0059】
図1に、シールドトンネルの構造を示す斜視図、図2に、シールドトンネル断面図を示す。地中を掘進し側壁セグメント1をはめ込みシールドトンネルを施工し、床スラブ2、中壁3を構築した。中壁下部にポンプ圧送管4を配置し、実施例配合の重量コンクリートをポンプ圧送してインバート5を構築したところ、材料分離のない良好なインバートが構築できた。一方、同様な方法及び手段で比較例1の配合の重量コンクリートでは、ポンプ圧送によって、材料分離が生じてインバート5の構築ができなかった。
【0060】
地下構造物に用いた重量モルタルの実験例について次に示す。本発明の重量モルタル組成物等のモルタルフロー試験結果を行い、次いで、本発明の重量モルタル組成物のモルタルについて、重量モルタル組成物をポンプ圧送してインバート5を構築したところ、材料分離のない良好なインバートが構築できた。一方、同様な方法及び手段で比較例の配合の重量モルタルをポンプ圧送して、インバートの構築を試みたところ、ポンプ内にて骨材とセメントペーストが材料分離し、圧送負荷が大きくなり、閉塞する場合もあり、所定性能のインバートが形成できなかった。
【0061】
次に記載する実施例2から実施例6に記載する本発明のモルタル組成物等のモルタルフロー試験結果を行い、本発明の重量モルタル組成物を前記コンクリート組成物と同様に、シールドトンネル内の中壁下部にポンプ圧送管4を配置し、ポンプ圧送してインバート5を構築したところ、材料分離のない良好なインバートが構築できた。
実施例2
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm3、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度5.84g/cm3、球状粒子約73%の粗粉転炉ダストを適宜混合し、表2に粒度分布を示す混合砂1〜4を調整した。(混合砂2の混合容積比;ホットスカーフ70:粗粉転炉ダスト30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/m3あたり、4.37kg/m3のポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/m3の消泡剤と、246kg/m3の水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)JIS R 5201セメントの物理試験方法のフローコーンを用い、直径100mm、高さ40mmのフローコーンに(2)で調整したモルタルを充填し、コーンを引き抜いて、モルタルフローを測定した。
【0062】
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表8に示した。
【0063】
【表8】

【0064】
表8に示した結果より、混合砂1と2では、良好なモルタルフローが得られた。混合砂4では、粒径の小さな粒子が密に充填するため、混練りも困難なほど硬く、モルタルの流動が見られなかった。混合砂3ではわずかながらモルタルフローが見られ、詳細は示さないが、水セメント比を50%に増加すれば、モルタルフローは130mmまで増加したが、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で20%以下となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
【0065】
実施例3
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm3、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度5.60g/cm3、球状粒子約54%の粒状銑鉄(高炉水砕スラグから粉砕過程で磁選分離したもの)を適宜混合し、表7に粒度分布を示す混合砂5〜10を調整した。(混合砂7の混合容積比;ホットスカーフ70:粒状銑鉄30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/m3あたり、5.46kg/m3のポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/m3の消泡剤と、246kg/m3の水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。
【0066】
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表9に示した。
【0067】
【表9】

【0068】
表9に示した結果より、混合砂5、6および7では、良好なモルタルフローが得られた。これに比べ混合砂8、9および10では、明らかにモルタルの流動性が低くなった。また、混合砂9および10では若干、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%以上となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
【0069】
実施例4
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm3、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度4.95g/cm3、扁平な粒子で構成されるミルスケールを種々の容積比で混合し、混合砂11〜18を調整した。
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比2.68で混合し、セメント584kg/m3あたり、5.84kg/m3のポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.23kg/m3の消泡剤と、292kg/m3の水(水セメント比50.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。また、モルタルの単位容積質量を測定した。
【0070】
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を図1に、モルタルの単位容積質量を図2に示した。ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率が、20:80ではほとんどモルタルフローが見られず、骨材とセメントペーストとの分離が見られた。30:70からホットスカーフの混合比率が高い場合には、良好なモルタルフローが得られた。このとき、球状粒子の比率は20%以上であった。
ホットスカーフとミルスケールの混合比率が、40:60からホットスカーフの混合比率が高い場合には、モルタルの単位容積質量が格段に高くなっており、より好ましいことが示された。このとき、球状粒子の比率は25%以上であった。
【0071】
実施例5
(試験方法)
(1)表乾密度4.95g/cm3、扁平な粒子で構成されるミルスケールと、表乾密度5.84g/cm3、球状粒子約73%の転炉ダスト粗粉分(粗粒ダスト)と、表乾密度5.60g/cm3、球状粒子約54%の粒状銑鉄(高炉水砕スラグから粉砕過程で磁選分離したもの)を各々質量百分率で30〜80%、0〜60%、及び0〜60%の割合で混合し、混合砂を調整した。
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比2.68で混合し、セメント584kg/m3あたり、5.84kg/m3のポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.23kg/m3の消泡剤と、292kg/m3の水(水セメント比50.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。
【0072】
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表10に示した。モルタルフローの判定は、130mm以上で良好とした。
【0073】
【表10】

【0074】
実施例6
(試験方法)
(1)前記ミルスケールと、転炉ダスト粗粉分と、粒状銑鉄を各々質量百分率で0〜30%、10〜60%、及び10〜70%の割合で混合し、混合砂を調整した。
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/m3あたり、5.46kg/m3のポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/m3の消泡剤と、246kg/m3の水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表11に示した。モルタルフローの判定は、130mm以上で良好とした。
【0075】
【表11】

【0076】
一般に、水セメント比が高い場合には、モルタルの流動性が高くなるが、セメントペーストと骨材の分離が起こりやすくなり、水セメント比が低い場合には、セメントペーストと骨材の分離は起こりにくくなるが、モルタルの流動性が低くなる。一方、ミルスケールの混合割合が高いほど、流動性が低くなり、粒状銑鉄の混合割合が高いほど、セメントペーストと骨材の分離が起こりやすくなる傾向が見られることから、実施例5では、ミルスケールの混合割合を30%以上で、水セメント比を50.0%とし、実施例6では、ミルスケールの混合割合を30%以下で、水セメント比を45.0%とした。表5及び表6に示した結果より、重量モルタルに用いる重量骨材としては、ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄の混合割合が、各々質量百分率で0〜70%、0〜50%、及び0〜60%であることが好ましく、特に20〜70%、20〜50%、及び0〜40%であることが好ましいことが明らかとなった。
【0077】
なお、ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄の混合割合が、各々質量百分率で0〜70%、0〜50%、及び0〜60%であるとき、該重量骨材は主要構成成分としてFeO、Fe23、金属鉄の少なくともひとつを含み、全粒子のうち球状粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であり、さらに呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%ないし90%の各要件を満たしていた。さらには、表1に示す本発明の重量骨材の粒度分布を全ての粒度範囲にわたって満たしていた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
例えば、シールドトンネルを地中に構築する際、地下水からの浮力を受け、トンネルの位置が上部へと移動する浮き上がりを防止するためコンクリート部材によるインバートを重量のある重量コンクリート、重量モルタルで構築することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】シールドトンネルの構造を示した斜視図である。
【図2】シールドトンネルの構造を示した縦断面図である。
【図3】ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率とモルタルフローの関係を示した図である。(実施例4)
【図4】ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率とモルタルの単位容積質量の関係を示した図である。(実施例4)
【符号の説明】
【0080】
1;側壁セグメント
2;床スラブ
3;中壁
4;ポンプ圧送管
5;インバート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要構成成分としてFeO、Fe2O3、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%である重量骨材を含む地下構造物。
【請求項2】
製鋼過程で発生するリサイクル材を混合して得られる重量骨材であって、呼び寸法1.2mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で70%ないし90%であることを特徴とする請求項1に記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項3】
鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項4】
製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも1種以上とホットスカーフとを混合して得られる重量骨材を含む請求項3記載の地下構造物
【請求項5】
ホットスカーフとミルスケールとを混合容積比が100:0から30:70の範囲で混合して得られる請求項1から4のいずれかに記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項6】
ホットスカーフと製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られる請求項1から4のいずれかに記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項7】
ホットスカーフと高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られる請求項1から4のいずれかに記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項8】
製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも2種以上を混合して得られることを特徴とする請求項1または2に記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項9】
前記ミルスケール、転炉ダスト粗粒分、及び粒状銑鉄の混合割合が、各々質量百分率で20〜70%、20〜50%、及び0〜40%であることを特徴とする請求項8に記載の重量骨材を含む地下構造物。
【請求項10】
重量粗骨材が、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を含むことを特徴とする請求項1から9いずれかに記載の地下構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−179498(P2009−179498A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18455(P2008−18455)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】