説明

野生動物捕獲用装置および野生動物捕獲システム

【課題】群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲する際のユーザの負担を軽減することが可能な野生動物捕獲用装置を提供する。
【解決手段】この野生動物捕獲用装置は、群れ行動をとる集団性のシカを捕獲するための野生動物捕獲用装置であって、囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの個体数を計測するカウントセンサ4と、カウントセンサ4による計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能なシカの捕獲見込み頭数を決定する制御部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野生動物捕獲用装置および野生動物捕獲システムに関し、特に、群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲するための野生動物捕獲用装置および野生動物捕獲システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シカやイノシシなど、群れ行動をとる集団性の野生動物による農作物被害が深刻化しており、これに対して種々の対策が実施されている。その種々の対策の中でも対象の野生動物を捕獲して駆除する対策は、農作物被害をもたらす野生動物の生息数を直接的に減少させることができる点で有効な対策である。
【0003】
このため、従来では、野生動物を捕獲するための野生動物捕獲システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、檻と、野生動物が檻の捕獲領域に侵入したことを検知する光電センサと、檻を閉鎖する扉と、扉を作動させる制御部とを備えた動物捕獲装置(野生動物捕獲システム)が開示されている。この動物捕獲装置では、光電センサにより野生動物が捕獲領域に侵入したことが検知された場合に、制御部により、光電センサによる検知時点から所定の待機時間経過後に扉を作動させて檻を閉鎖するように構成されている。これにより、光電センサによって1頭目の侵入が検知された後、所定の待機時間に複数頭が連なって捕獲領域に侵入する場合に、複数頭をまとめて捕獲することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−321039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の動物捕獲装置(野生動物捕獲システム)では、光電センサによって1頭目の侵入が検知された後、所定の待機時間に群れ行動をとる集団性の野生動物が複数頭連なって捕獲領域に侵入するような場合には、複数頭をまとめて捕獲することが可能である一方、群れ行動をとる集団性の野生動物であっても、光電センサによって1頭目の侵入が検知された後、所定の待機時間内に他の個体の侵入が無い場合や、一旦捕獲領域内に侵入した個体が所定の待機時間に捕獲領域から退避した場合など、1回の捕獲動作で十分な頭数の野生動物をまとめて捕獲することができず、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲することができない場合もあるという不都合がある。
【0007】
ここで、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲するために、捕獲領域内の野生動物の個体数が所定の頭数以上になった場合に捕獲動作を実行するという捕獲方法が考えられる。しかしながら、群れ行動をとる集団性の野生動物は、季節や周辺環境の状況によって捕獲領域内に侵入する個体数にばらつきがあるため、上記捕獲方法を実施する場合、ユーザは、その季節や周辺環境において野生動物が捕獲領域内に侵入する行動を予め調査(観察)する必要があるなど、捕獲領域内の野生動物の個体数が何頭以上になった場合に捕獲動作を実行するのかを容易に決定することができず、その結果、ユーザに負担が掛かるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲する際のユーザの負担を軽減することが可能な野生動物捕獲用装置および野生動物捕獲システムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の第1の局面による野生動物捕獲用装置は、群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲するための野生動物捕獲用装置であって、捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する計測部と、計測部による計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部とを備える。なお、群れ行動をとる集団性の野生動物とは、たとえば、シカ、イノシシ、アライグマ、ヌートリア、サルなどである。
【0010】
この発明の第1の局面による野生動物捕獲用装置では、上記のように、捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する計測部による計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部を設けることによって、制御部により、計測部による計測結果に基づいて、自動的に捕獲見込み頭数が決定されるので、ユーザは、季節や周辺環境の状況によって捕獲領域内に侵入する個体数にばらつきがある野生動物であっても捕獲見込み頭数の情報を容易に得ることができる。これにより、たとえば、捕獲領域内の野生動物の個体数が所定の頭数以上になった場合に捕獲動作を実行することによって群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲する場合に、ユーザは、制御部により決定された捕獲見込み頭数に基づいて、捕獲領域内の野生動物の個体数が何頭以上になった場合に捕獲動作を実行するのかを容易に決定することができる。したがって、この野生動物捕獲用装置では、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0011】
上記第1の局面による野生動物捕獲用装置において、好ましくは、野生動物は、採餌行動において習慣性を有する野生動物であり、計測部による計測結果を記憶可能な記憶部をさらに備え、計測部は、捕獲領域内の野生動物の個体数を複数回計測するように構成されており、制御部は、記憶部に記憶された計測部による複数回の計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、捕獲領域内の野生動物の個体数の統計的な情報に基づいて捕獲見込み頭数が決定されるので、採餌行動において習慣性を有する野生動物の捕獲見込み頭数を精度よく決定することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、計測部は、捕獲領域内の野生動物の個体数を複数日間にわたって複数回計測するように構成され、制御部は、計測部による各々の日の計測結果として、各々の日における捕獲領域内の野生動物の最大の個体数を記憶部に記憶させるとともに、記憶部に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、捕獲領域内の野生動物の個体数の複数日間にわたる統計的な情報に基づいて捕獲見込み頭数が決定されるので、採餌行動を含む日周活動(採餌行動や睡眠行動など1日を周期として行われる活動)に関する習慣性を有する野生動物の捕獲見込み頭数を精度よく決定することができる。
【0013】
上記計測部が野生動物の個体数を複数日間にわたって計測する構成において、好ましくは、制御部は、記憶部に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の最大の捕獲見込み頭数および捕獲領域で捕獲可能な野生動物の最低の捕獲見込み頭数の少なくともいずれか一方を決定するように構成されている。このように構成すれば、最大の捕獲見込み頭数および最低の捕獲見込み頭数の少なくとも一方に基づいて、捕獲動作を実行する適切なタイミングをより精度よく決定することができるので、野生動物をより効率よく捕獲することができる。これにより、ユーザの負担が大きくなるのを抑制しながら、野生動物の捕獲効率を高めることができる。
【0014】
上記制御部が最大の捕獲見込み頭数および最低の捕獲見込み頭数の少なくともいずれか一方を決定する構成において、好ましくは、制御部は、記憶部に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの最上位の個体数を、最大の捕獲見込み頭数として決定するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、複数日間にわたる統計的な情報に基づく最大の捕獲見込み頭数を容易に決定することができる。
【0015】
上記制御部が最大の捕獲見込み頭数および最低の捕獲見込み頭数の少なくともいずれか一方を決定する構成において、好ましくは、制御部は、記憶部に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの上位の所定日数分の平均値を、最低の捕獲見込み頭数として決定するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、複数日間にわたる統計的な情報に基づく最低の捕獲見込み頭数を、所定日数分の平均値から容易に決定することができる。
【0016】
上記計測部が野生動物の個体数を複数日間にわたって計測する構成において、好ましくは、計測部により捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する最大確認日数および最低確認日数と、所望の最低捕獲頭数とを設定可能に構成されており、制御部は、最大の個体数が所望の最低捕獲頭数以上となる日数が最低確認日数以上になれば、最大確認日数が経過していない場合でも、記憶部に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている。このように構成すれば、捕獲領域内の野生動物の個体数が所望の最低捕獲頭数以上になる頻度が高い場合には、予め設定された最大確認日数よりも短い期間で捕獲見込み頭数を決定することができる。
【0017】
上記計測部が野生動物の個体数を複数日間にわたって計測する構成において、好ましくは、計測部により捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する時間帯を設定可能に構成されており、制御部は、設定された時間帯における各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている。このように構成すれば、日周活動に関する習慣性から見て捕獲対象の野生動物が捕獲領域内に侵入する可能性が高い時間帯に計測するように設定することによって、計測部による計測時間を短縮して効率よく計測を行うことができる。また、計測部により計測する時間帯を限定することによって、上記時間帯以外にユーザが餌の補充などのために捕獲領域内に侵入する場合や捕獲対象以外の野生動物が侵入する場合などに、捕獲対象以外の個体が計測部により計測されてしまうのを抑制することができる。また、計測部の稼働時間を短縮することができるので、計測部の消費電力量を低減することができる。特に、野生動物の捕獲装置は、商用電源がない山間部に設置されることが多く、このような場所では、計測部を電池(バッテリ)により駆動するため、計測部の消費電力量の低減はより有効である。
【0018】
上記第1の局面による野生動物捕獲用装置において、好ましくは、計測部は、野生動物の捕獲領域内への侵入数および捕獲領域内からの退避数に基づいて捕獲領域内の野生動物の個体数を計測するカウントセンサである。このように構成すれば、カウントセンサにより、容易に捕獲領域内の野生動物の個体数を計測することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による野生動物捕獲システムは、群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲する野生動物捕獲システムであって、捕獲領域内の野生動物を捕獲する捕獲部と、捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する計測部と、計測部による計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部とを備え、制御部は、決定した捕獲見込み頭数に基づいて、所定のタイミングで捕獲領域内の野生動物を捕獲するように捕獲部を制御するように構成されている。なお、群れ行動をとる集団性の野生動物とは、たとえば、シカ、イノシシ、アライグマ、ヌートリア、サルなどである。
【0020】
この発明の第2の局面による野生動物捕獲システムでは、上記のように、計測部による計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能な野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部を設けることによって、制御部により、計測部による計測結果に基づいて、自動的に捕獲見込み頭数が決定されるので、ユーザは、季節や周辺環境の状況によって捕獲領域内に侵入する個体数にばらつきがある野生動物であっても捕獲見込み頭数の情報を容易に得ることができる。また、制御部により自動的に決定された捕獲見込み頭数に基づいて、所定のタイミングで捕獲領域内の野生動物を捕獲する制御を行うように制御部を構成することによって、自動的に決定された捕獲見込み頭数に基づいて、たとえば、制御部により、捕獲領域内の野生動物の個体数が捕獲見込み頭数以上になった場合に捕獲動作を実行することができるので、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲することができる。すなわち、この野生動物捕獲システムでは、ユーザ自らが捕獲見込み頭数を決定する必要がなく、制御部により、自動的に決定された捕獲見込み頭数に基づいて自動的に捕獲動作が実行されるので、ユーザの負担を軽減しながら、容易に、群れ行動をとる集団性の野生動物を効率よく捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による野生動物捕獲システムの全体構成を示した概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による野生動物捕獲システムの確認・捕獲処理について説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による野生動物捕獲システムの確認モードの処理について説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による野生動物捕獲システムの確認モードの処理における捕獲見込み頭数の算出例を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態による野生動物捕獲システムの捕獲モードの処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による野生動物捕獲システム100の構成について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態による野生動物捕獲システム100は、群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲するためのシステムである。また、この野生動物捕獲システム100は、後述するように、確認モードにおいて捕獲見込み頭数を決定し、決定された捕獲見込み頭数に基づいて捕獲モードにおいて捕獲対象の野生動物を捕獲するように構成されている。以下に、本実施形態の野生動物捕獲システム100の詳細について説明する。なお、群れ行動をとる集団性の野生動物とは、たとえば、シカ、イノシシ、アライグマ、ヌートリア、サルなどである。本実施形態では、これらの集団性の野生動物のうち、特にシカを捕獲するための野生動物捕獲システム100について説明する。なお、シカは、採餌行動を含む日周活動に関して習慣性があり、毎日略同じ時刻にエサを食べに現れる傾向がある。
【0025】
野生動物捕獲システム100は、図1に示すように、囲いワナ1と、制御装置2とを備えている。また、囲いワナ1には、後述の解除部3、カウントセンサ4および光電センサ5が設けられている。また、本実施形態では、制御装置2とカウントセンサ4とにより、捕獲見込み頭数を決定するための見込み頭数決定装置が構成されている。なお、見込み頭数決定装置は、本発明の「野生動物捕獲用装置」の一例であり、囲いワナ1は、本発明の「捕獲部」の一例である。また、カウントセンサ4は、本発明の「計測部」の一例である。
【0026】
囲いワナ1は、図1に示すように、アルミなどの金属パイプ11を組み立てることによって形成されている。具体的には、囲いワナ1は、複数の金属パイプ11により骨格が形成されており、金属パイプ11間に網目状の金属パネル12が配置されることによって四方を取り囲む形状に構成されている。このように金属パイプ11と網目状の金属パネル12とを用いることによって、囲いワナ1の構成を簡素化することができるので、容易に、囲いワナ1の設置および解体を行うことが可能となる。野生動物の捕獲においては、ワナを設置した場所に捕獲対象の野生動物が寄り付かない場合があり、このような場合には、ワナの設置場所を変更する必要が生じてワナの設置および解体作業が必要となる。また、囲いワナ1の内側(捕獲領域内)には、シカを囲いワナ1の内側におびき寄せるためのエサが置かれている。
【0027】
また、囲いワナ1には、シカを囲いワナ1の内側(捕獲領域内)に侵入させるための1つのゲート部13と、ゲート部13を閉塞することが可能な扉部14とが設けられている。扉部14は、ゲート部13の枠に沿って上下にスライド可能に構成されている。また、扉部14は、上方に持ち上げられている状態でゲート部13を開放し、下方に落とされた状態でゲート部13を閉塞するように構成されている。具体的には、扉部14は、シカを囲いワナ1に侵入させる際には、図示しないワイヤーによる引張力により上方に持ち上げられている。また、囲いワナ1には、扉部14を持ち上げる引張力を解除する解除部3が設けられており、扉部14は、解除部3が作動することによって扉部14の自重により下方に落下するように構成されている。すなわち、解除部3が作動することによって、扉部14によりゲート部13が閉鎖される。
【0028】
制御装置2は、各部に電力を供給する電源部21と、通信部22と、記憶部23と、各部の動作を制御する制御部24とを備えている。また、制御装置2は、電源部21を介してバッテリ6から電力が供給されるように構成されている。また、制御装置2は、通信部22を介して解除部3、カウントセンサ4および光電センサ5に通信可能に接続されている。具体的には、制御装置2は、通信部22を介して、解除部3を作動させる信号を解除部3に送信可能に構成されている。また、制御装置2は、通信部22を介して、カウントセンサ4から計測結果を取得可能に構成されている。また、制御装置2は、通信部22を介して、光電センサ5から検知結果を取得可能に構成されている。また、制御装置2は、バッテリ6から解除部3、カウントセンサ4および光電センサ5への電力供給を制御可能に構成されている。すなわち、制御装置2は、解除部3、カウントセンサ4および光電センサ5に対してバッテリ6から電力が供給される状態および電力が供給されない状態を切り替えることが可能に構成されている。この構成により、後述の確認モードの処理および捕獲モードの処理を実行する時間帯以外の時間帯には、解除部3、カウントセンサ4および光電センサ5への電力供給が停止される。
【0029】
記憶部23は、書き換え可能な不揮発性のフラッシュメモリからなる。また、記憶部23には、計測結果が蓄積されたカウントリスト231が格納されている。
【0030】
制御部24は、確認モードにおいて、カウントセンサ4による計測結果に基づいて、囲いワナ1内(捕獲領域内)で捕獲可能なシカの捕獲見込み頭数を決定するように構成されている。また、制御部24は、捕獲モードにおいて、確認モードで決定された捕獲見込み頭数と囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの頭数とに基づいて、捕獲動作を実行する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部24は、捕獲見込み頭数と囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの頭数とに基づいて、解除部3を作動させる信号を送信する制御を行う。また、制御部24は、時計機能を有している。なお、確認モードおよび捕獲モードにおける制御部24の処理については、後述の確認・捕獲処理についての説明の中で詳細に説明する。
【0031】
カウントセンサ4は、光学式センサからなり、シカの囲いワナ1内(捕獲領域内)への侵入数および囲いワナ1内(捕獲領域内)からの退避数をカウント(計測)する機能を有している。また、カウントセンサ4は、シカの侵入数および退避数の差分から、囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの個体数を非接触で計測可能に構成されている。
【0032】
光電センサ5は、扉部14の下方にシカがいるか否かを非接触で検知するために設けられている。後述するように、制御部24は、光電センサ5による検知結果に基づいて、扉部14を落下させるか否かを判断する。これにより、扉部14によりシカが挟まれてしまう事故が発生するのを抑制することが可能となる。また、この光電センサ5は、シカに限らず、人や物なども検知可能であり、光電センサ5による検知結果に基づいて、人や物が誤って扉部14に挟まれてしまうのも抑制することが可能である。また、扉部14にシカや人、物などが挟まれてしまった場合には、扉部14と地面との間の隙間から捕獲領域内のシカが逃避してしまう虞もある。
【0033】
次に、図2を参照して、制御部24により実行される確認・捕獲処理について説明する。
【0034】
まず、ステップS1において、制御部24は、ユーザ(捕獲者)により設定される初期設定値の入力を受け付ける。ユーザは、確認モードの処理および捕獲モードの処理を実行する時間帯(開始時刻および終了時刻)、所望の最低捕獲頭数、最大確認日数および最低確認日数を設定する必要がある。この際、確認モードの処理および捕獲モードの処理を実行する時間帯として、日周活動に関する習慣性から見てシカが活発に行動する時間帯を設定することが好ましい。これにより、シカが活発に行動する時間帯以外の時間帯には、確認モードの処理および捕獲モードの処理が実行されないので、その間の各部の消費電力量を低減することが可能となる。また、シカが活発に行動する時間帯以外の時間帯には、シカが囲いワナ1内(捕獲領域内)に侵入する可能性が低いので、そのような時間帯で捕獲モードの処理を実行させないようにしても捕獲効率は低下しないと考えられる。また、ユーザは、所望の最低捕獲頭数として、囲いワナ1を設置した捕獲場所や捕獲時期(季節など)などから見て捕獲したい最低限の頭数を設定する必要がある。また、ユーザは、最大確認日数として、確認モードを実行する最大日数を設定するとともに、最低確認日数として、確認モードを実行する最低日数を設定する必要がある。すなわち、ユーザは、確認モードにおいて囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの頭数を計測する最大日数および最低日数をそれぞれ最大確認日数および最低確認日数として設定する必要がある。
【0035】
初期設定の受け付けが完了すると、制御部24は、ステップS2において、現在時刻が初期設定で設定された開始時刻を過ぎているか否かを判断し、開始時刻になるまでこの判断を繰り返す。現在時刻が開始時刻を過ぎると、制御部24は、ステップS3において、捕獲モードに移行済みであるか否かを判断する。確認モードから捕獲モードへの移行は、確認モードにおいて捕獲見込み頭数が決定された後に実施される。その後、制御部24は、捕獲モードに移行していない場合には、ステップS4の確認モードの処理を実行し、捕獲モードに移行済みの場合には、ステップS5の捕獲モードの処理を実行する。すなわち、捕獲見込み頭数が決定されていない場合には、捕獲モードの処理は実行されない。
【0036】
次に、図3を参照して、図2のステップS4における確認モードの処理について説明する。
【0037】
制御部24は、ステップS41において、囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの頭数(個体数)の計測結果をカウントセンサ4から取得する。そして、制御部24は、ステップS42において、現在時刻が初期設定で設定された終了時刻を過ぎたか否かを判断し、終了時刻になるまでカウントセンサ4による計測結果を取得し続ける。終了時刻が過ぎると、制御部24は、ステップS43において、記憶部23のカウントリスト231にその日の最大頭数(最大の個体数)を記録する。カウントリスト231には、確認モードの処理において計測された各々の日の最大頭数が蓄積される。
【0038】
その後、制御部24は、ステップS44において、初期設定で設定された最大確認日数が過ぎたか否かを判断する。最大確認日数が過ぎていない場合には、制御部24は、カウントリスト231に蓄積された各々の日の最大頭数が最低捕獲頭数以上となる日数が、初期設定で設定された最低確認日数以上であるか否かを判断し、最低捕獲頭数以上となる日数が最低確認日数以上でない場合には、そのままその日の確認モードの処理を終了する。
【0039】
ここで、ステップS45の判断について、図4を参照して、具体的な例を挙げて説明する。たとえば、最大確認日数が10(日)、最低確認日数が3(日)、最低捕獲頭数が5(頭)に設定されている場合においては、最低確認日数が3(日)であるので、ケース1〜3のいずれの場合でも、2日目までの判断においては最低捕獲頭数以上の日数は最低確認日数以上ではない(最低捕獲頭数以上の日数は最低確認日数未満である)と判断される。そして、ケース1の場合、1日目〜3日目までの全て日において最大頭数が最低捕獲頭数(5(頭))以上であるので、3日目のステップS45の判断において、制御部24により、最低捕獲頭数(5(頭))以上の日数が最低確認日数(3(日))以上と判断される。また、ケース2の場合には、6日目のステップS45の判断において、制御部24により、最低捕獲頭数(5(頭))以上の日数が最低確認日数(3(日))以上と判断される。これに対してケース3の場合には、9日目まで最低捕獲頭数(5(頭))以上の日数が最低確認日数(3(日))以上であると判断されることがなく、10日目のステップS44において、最大確認日数(10(日))が過ぎたと判断されてステップS46に移行される。
【0040】
最大確認日数が過ぎた場合および最低捕獲頭数以上の日数が最低確認日数以上となった場合には、それぞれ、ステップS44およびステップS45からステップS46に移行される。そして、制御部24は、ステップS46において、カウントリスト231に蓄積された計測結果に基づいて、最大捕獲見込み頭数および最低捕獲見込み頭数を決定する。この際、制御部24は、カウントリスト231に蓄積された各々の日の最大頭数のうちの最上位の頭数を最大捕獲見込み頭数として決定する。たとえば、図4のケース1の場合には、蓄積された3日間のうちの最大である2日目の10(頭)が最大捕獲見込み頭数として決定される。同様に、ケース2およびケース3の場合には、蓄積された複数日間のうちの最大である8(頭)および7(頭)がそれぞれ最大捕獲見込み頭数として決定される。
【0041】
また、制御部24は、カウントリスト231に蓄積された各々の日の最大頭数のうちの上位の最低確認日数分の平均値を最低捕獲見込み頭数として決定する。たとえば、ケース1の場合、蓄積された各々の日の最大頭数のうちの最低確認日数(3(日))分の上位は、最上位から順に、10頭、7頭および5頭である。このため、ケース1の場合には、10頭、7頭および5頭の平均値である7頭が最低捕獲見込み頭数として決定される。なお、本実施形態では、平均値を、小数第一位を四捨五入して算出する。また、ケース2の場合には、最低確認日数(3(日))分の上位は、最上位から順に、8頭、5頭および5頭であり、これらの平均値である6頭が最低捕獲見込み頭数として決定される。また、ケース3の場合には、最低確認日数(3(日))分の上位は、最上位から順に、7頭、4頭および3頭であり、これらの平均値である5頭が最低捕獲見込み頭数として決定される。
【0042】
本実施形態では、上記ケース1および2のように、最大確認日数(10(日))が過ぎていない場合でも、最低捕獲頭数(5(頭))以上の日数が最低確認日数(3(日))以上になれば、制御部24により、最大捕獲見込み頭数および最低捕獲見込み頭数が決定される。そして、捕獲見込み頭数が決定された後、制御部24は、ステップS47において、確認モードから捕獲モードにモードを切り替えて、確認モードの処理を終了する。
【0043】
次に、図5を参照して、図2のステップS5における捕獲モードの処理について説明する。
【0044】
制御部24は、ステップS51において、囲いワナ1内(捕獲領域内)のシカの頭数(個体数)の計測結果をカウントセンサ4から取得する。そして、制御部24は、ステップS52において、現在時刻が初期設定で設定された終了時刻を過ぎたか否かを判断し、終了時刻になると捕獲モードの処理を終了する。また、終了時刻が過ぎていなければ、制御部24は、ステップS53において、カウントセンサ4による計測結果に基づいて新たにシカが侵入したか否かを確認する。新たな侵入があった場合には、制御部24は、ステップS54において、囲いワナ1内のシカの頭数が上記の確認モードの処理で決定された最大捕獲見込み頭数以上であるか否かを判断する。そして、囲いワナ1内のシカの頭数が最大捕獲見込み頭数以上の場合には、制御部24は、ステップS55において、扉部14が落下するように解除部3を作動させるまでの待機時間を5秒に設定する。この際、制御部24は、以前に設定された待機時間がある場合(カウントダウン中の場合)には、以前に設定された待機時間をリセットして新たに待機時間を5秒に設定し直す。その後、制御部24は、再度ステップS51の計測結果を取得する動作を行う。すなわち、囲いワナ1内のシカの頭数が最大捕獲見込み頭数以上の場合に、新たな侵入がある度に、待機時間が設定し直される。
【0045】
一方、囲いワナ1内のシカの頭数が最大捕獲見込み頭数以上でない(最大捕獲見込み頭数未満の)場合には、制御部24は、ステップS56において、囲いワナ1内のシカの頭数が上記の確認モードの処理で決定された最低捕獲見込み頭数以上で、かつ、最大捕獲見込み頭数未満であるか否かを判断する。囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上で、かつ、最大捕獲見込み頭数未満の場合には、制御部24は、ステップS57において、解除部3を作動させるまでの待機時間を、最大捕獲見込み頭数以上の場合(ステップS55の場合)よりも長い30秒に設定してステップS51の動作に戻る。この際、制御部24は、上記ステップS55の動作と同様に、以前に設定された待機時間がある場合(カウントダウン中の場合)には、以前に設定された待機時間をリセットして新たに待機時間を30秒に設定し直す。このように、本実施形態では、制御部24により、囲いワナ1内のシカの頭数に基づいて、待機時間が設定される。また、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上でない(最低捕獲見込み頭数未満の)場合には、制御部24は、待機時間を設定することなくステップS51の動作に戻る。
【0046】
また、制御部24は、新たなシカの侵入がない場合には、ステップS53の後、ステップS58において、囲いワナ1内のシカの頭数が上記の確認モードの処理で決定された最低捕獲見込み頭数以上であるか否かを判断し、最低捕獲見込み頭数以上でなければ(最低捕獲見込み頭数未満であれば)、ステップS51の動作に戻る。そして、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上であれば、制御部24は、ステップS59において、カウントセンサ4の計測結果に基づいて囲いワナ1内からシカが退避(逃避)したか否かを判断する。シカの退避がなければ、制御部24は、ステップS60において、ステップS55またはS57で設定された待機時間が経過したか否かを判断し、待機時間が経過していなければステップS51の動作に戻る。一方、待機時間が経過した場合には、制御部24は、ステップS61において、光電センサ5の検知結果に基づいて扉部14の下方にシカがいるか否かを判断し、シカがいない場合には、ステップS62において、捕獲を実行する。具体的には、制御部24は、ステップS62において、解除部3を作動させることによって、扉部14を落下させてゲート部13を閉塞する。また、扉部14の下方にシカがいる場合には、制御部24は、ステップS51の動作に戻る。これにより、扉部14によりシカが挟まれてしまうという事故の発生を抑制することが可能である。
【0047】
また、シカの退避が確認された場合には、制御部24は、ステップS63において、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上であるか否かを判断し、最低捕獲見込み頭数以上でなければ(最低捕獲見込み頭数未満であれば)、ステップS51の動作に戻る。すなわち、本実施形態の野生動物捕獲システム100では、ステップS58およびS63において、制御部24により、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上であるか否かを判断して、最低捕獲見込み頭数未満の場合には捕獲動作を行わないように制御する。言い換えれば、本実施形態では、制御部24により、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上の場合にのみ、捕獲動作が実行される。
【0048】
また、シカの退避があった後でも、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上の場合には、設定された待機時間の経過に拘わらず、即座にステップS61に進む。すなわち、制御部24は、囲いワナ1内のシカの頭数が最低捕獲見込み頭数以上の場合には、待機時間の経過を待つことなくステップS61に進む。これにより、複数頭のシカが囲いワナ1内から連なって退避しようとする場合でも、即座に捕獲を実行することができるので、囲いワナ1内から退避するシカの頭数が多くなってしまうのを抑制することが可能である。
【0049】
本実施形態では、上記のように、カウントセンサ4による計測結果に基づいて、シカの捕獲見込み頭数を決定する制御部24を設けることによって、制御部24により、カウントセンサ4による計測結果に基づいて、自動的に捕獲見込み頭数が決定されるので、ユーザは、季節や周辺環境の状況によって捕獲領域内に侵入する個体数にばらつきがあるシカであっても捕獲見込み頭数の情報を容易に得ることができる。また、制御部24により自動的に決定された捕獲見込み頭数に基づいて、捕獲領域内のシカの個体数が最低捕獲見込み頭数以上の場合に捕獲動作を実行する制御を行うように制御部24を構成することによって、群れ行動をとる集団性のシカを効率よく捕獲することができる。すなわち、この野生動物捕獲システム100では、ユーザ自らが捕獲見込み頭数を決定する必要がなく、制御部24により、自動的に決定された捕獲見込み頭数に基づいて自動的に捕獲動作が実行されるので、ユーザの負担を軽減しながら、容易に、群れ行動をとる集団性のシカを効率よく捕獲することができる。
【0050】
また、本実施形態では、制御部24を、記憶部23に記憶されたカウントセンサ4による複数回の計測結果に基づいて、捕獲領域で捕獲可能なシカの捕獲見込み頭数を決定するように構成する。このように構成すれば、制御部24により、捕獲領域内のシカの個体数の統計的な情報に基づいて捕獲見込み頭数が決定されるので、採餌行動において習慣性を有するシカの捕獲見込み頭数を精度よく決定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、制御部24を、記憶部23に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能なシカの捕獲見込み頭数を決定するように構成する。このように構成すれば、制御部24により、捕獲領域内のシカの個体数の複数日間にわたる統計的な情報に基づいて捕獲見込み頭数が決定されるので、採餌行動を含む日周活動に関する習慣性を有するシカの捕獲見込み頭数を精度よく決定することができる。
【0052】
また、本実施形態では、制御部24を、記憶部23に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能なシカの最大捕獲見込み頭数および捕獲領域で捕獲可能なシカの最低捕獲見込み頭数を決定するように構成する。このように構成すれば、最大捕獲見込み頭数および最低捕獲見込み頭数に基づいて、捕獲動作を実行する適切な待機時間を精度よく決定することができるので、シカをより効率よく捕獲することができる。これにより、ユーザの負担が大きくなるのを抑制しながら、シカの捕獲効率を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態では、制御部24を、記憶部23に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの最上位の個体数を、最大捕獲見込み頭数として決定するように構成する。このように構成すれば、制御部24により、複数日間にわたる統計的な情報に基づく最大捕獲見込み頭数を容易に決定することができる。
【0054】
また、本実施形態では、制御部24を、記憶部23に記憶された複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの上位の最低確認日数分の平均値を、最低捕獲見込み頭数として決定するように構成する。このように構成すれば、制御部24により、複数日間にわたる統計的な情報に基づく最低捕獲見込み頭数を、最低確認日数分の平均値から容易に決定することができる。
【0055】
また、本実施形態では、制御部24を、最大の個体数が所望の最低捕獲頭数以上となる日数が最低確認日数以上になれば、最大確認日数が経過していない場合でも、捕獲見込み頭数を決定するように構成する。このように構成すれば、捕獲領域内のシカの個体数が所望の最低捕獲頭数以上になる頻度が高い場合には、予め設定された最大確認日数よりも短い期間で捕獲見込み頭数が決定されるので、捕獲領域内のシカの個体数が所望の最低捕獲頭数以上になる可能性が高いにも拘わらず捕獲見込み頭数を決定するための確認期間が長引くのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、制御部24を、設定された時間帯(開始時刻から終了時刻までの時間)における各々の日の最大の個体数に基づいて、捕獲領域で捕獲可能なシカの捕獲見込み頭数を決定するように構成する。このように構成すれば、日周活動に関する習慣性から見て捕獲対象のシカが捕獲領域内に侵入する可能性が高い時間帯に計測するように設定することによって、カウントセンサ4による計測時間を短縮して効率よく計測を行うことができる。また、カウントセンサ4により計測する時間帯を限定することによって、上記時間帯以外にユーザが餌の補充などのために囲いワナ1内(捕獲領域内)に侵入する場合や捕獲対象以外のシカが侵入する場合など、捕獲対象以外の個体がカウントセンサ4により計測されてしまうのを抑制することができる。また、カウントセンサ4の稼働時間を短縮することができるので、カウントセンサ4の消費電力量を低減することができる。特に、野生動物の捕獲装置は、商用電源がない山間部に設置されることが多く、このような場所では、本実施形態のようにカウントセンサ4を電池(バッテリ)により駆動するため、カウントセンサ4の消費電力量の低減はより有効である。
【0057】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
たとえば、上記実施形態では、本発明の捕獲部の一例として、囲いワナを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、網ワナ、檻ワナ、箱ワナ、投網式ワナなど、囲いワナ以外の捕獲部であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、捕獲部としての囲いワナに1つのゲート部を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、捕獲部に複数のゲート部を設ける構成であってもよい。この場合、各ゲート部に計測部を設けて、複数の計測部による計測結果に基づいて、捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する構成が好ましい。
【0060】
また、上記実施形態では、群れ行動をとる集団性の野生動物のうち、特にシカを捕獲するための野生動物捕獲システムについて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、群れ行動をとる集団性の野生動物であれば、イノシシ、アライグマ、ヌートリア、サルなど、シカ以外の野生動物であってもよい。この場合、捕獲対象の動物に適した形態および捕獲対象の動物に適した大きさの捕獲部を用いることが好ましい。
【0061】
また、上記実施形態では、記憶部の一例として、フラッシュメモリからなる記憶部を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、計測部による計測結果を記憶して蓄積することが可能であれば、フラッシュメモリ以外からなる記憶部であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、計測部の一例として、光学式センサからなるカウントセンサを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、撮像部により撮像された画像に基づいて、捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する計測部など、カウントセンサ以外の計測部であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、制御部により、複数日間にわたって複数回計測された計測結果に基づいて、捕獲見込み頭数を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、捕獲領域内の野生動物の個体数の計測結果に基づいて捕獲見込み頭数を決定する構成であれば、制御部により、1回の計測結果に基づいて捕獲見込み頭数を決定する構成であってもよいし、1日で複数回計測された計測結果に基づいて捕獲見込み頭数を決定する構成であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、制御部により、捕獲領域内の野生動物の個体数の計測結果に基づいて、最大の捕獲見込み頭数および最低の捕獲見込み頭数の両方を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部により、最大の捕獲見込み頭数または最低の捕獲見込み頭数のいずれか一方だけを決定する構成であってもよいし、最大の捕獲見込み頭数および最低の捕獲見込み頭数以外の捕獲見込み頭数を決定する構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、決定された捕獲見込み頭数に基づいて、制御部により、自動的に捕獲動作を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、決定された捕獲見込み頭数に基づいて、ユーザの操作により、捕獲動作を行う構成であってもよい。この場合、捕獲見込み頭数と捕獲領域内の野生動物の個体数とを対比しながら適切なタイミングで捕獲動作を行えば、捕獲対象の野生動物を効率よく捕獲することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、確認モードの処理において、その日の最大頭数(最大の個体数)を記録する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、確認モードの処理および捕獲モードの処理の両方で、その日の最大頭数(最大の個体数)を記録する構成であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限らない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 囲いワナ(捕獲部)
4 カウントセンサ(計測部)
23 記憶部
24 制御部
100 野生動物捕獲システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲するための野生動物捕獲用装置であって、
捕獲領域内の前記野生動物の個体数を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部とを備える、野生動物捕獲用装置。
【請求項2】
前記野生動物は、採餌行動において習慣性を有する野生動物であり、
前記計測部による計測結果を記憶可能な記憶部をさらに備え、
前記計測部は、前記捕獲領域内の野生動物の個体数を複数回計測するように構成されており、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記計測部による複数回の計測結果に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている、請求項1に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記捕獲領域内の野生動物の個体数を複数日間にわたって複数回計測するように構成され、
前記制御部は、前記計測部による各々の日の計測結果として、各々の日における前記捕獲領域内の野生動物の最大の個体数を前記記憶部に記憶させるとともに、前記記憶部に記憶された前記複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている、請求項2に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の最大の捕獲見込み頭数および前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の最低の捕獲見込み頭数の少なくともいずれか一方を決定するように構成されている、請求項3に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの最上位の個体数を、前記最大の捕獲見込み頭数として決定するように構成されている、請求項4に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数日間にわたる各々の日の最大の個体数のうちの上位の所定日数分の平均値を、前記最低の捕獲見込み頭数として決定するように構成されている、請求項4または5に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項7】
前記計測部により前記捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する最大確認日数および最低確認日数と、所望の最低捕獲頭数とを設定可能に構成されており、
前記制御部は、前記最大の個体数が前記所望の最低捕獲頭数以上となる日数が前記最低確認日数以上になれば、前記最大確認日数が経過していない場合でも、前記記憶部に記憶された前記複数日間にわたる各々の日の最大の個体数に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項8】
前記計測部により前記捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する時間帯を設定可能に構成されており、
前記制御部は、設定された前記時間帯における各々の日の最大の個体数に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定するように構成されている、請求項3〜7のいずれか1項に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項9】
前記計測部は、前記野生動物の前記捕獲領域内への侵入数および前記捕獲領域内からの退避数に基づいて前記捕獲領域内の野生動物の個体数を計測するカウントセンサである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の野生動物捕獲用装置。
【請求項10】
群れ行動をとる集団性の野生動物を捕獲する野生動物捕獲システムであって、
捕獲領域内の前記野生動物を捕獲する捕獲部と、
前記捕獲領域内の野生動物の個体数を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて、前記捕獲領域で捕獲可能な前記野生動物の捕獲見込み頭数を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、決定した前記捕獲見込み頭数に基づいて、所定のタイミングで前記捕獲領域内の野生動物を捕獲するように前記捕獲部を制御するように構成されている、野生動物捕獲システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−120501(P2012−120501A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275421(P2010−275421)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(510243470)
【出願人】(510243469)
【出願人】(510326533)
【出願人】(510202248)
【Fターム(参考)】