説明

野菜飲料

【課題】 本発明の課題は、野菜汁を高い割合で含有する野菜飲料であって、青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い野菜飲料、特に糖質の含有量が少ない野菜飲料を提供することにある。
【解決手段】野菜汁に柑橘類果汁の果汁を特定量配合して、野菜汁を飲料全体に対しストレート換算で50重量%以上含有し、(A)野菜汁に対する(B)柑橘類果汁の比率(B/A)がストレート換算で0.6以上である、野菜飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜飲料に関し、より詳細には、青臭い匂い(青臭み)やエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い野菜飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜汁は、ビタミン類、ミネラル、食物繊維等を豊富に含むため、近年、消費者の健康意識が高まるとともに各種野菜飲料として多く飲用されている。また、容器に充填された容器詰野菜飲料も数多く市販されており、その消費は年々拡大していると言われている。しかし、これら野菜汁は、青臭みやエグ味など、野菜汁特有の臭気や味があり、この臭気や味に対して抵抗感を抱く消費者も多く、野菜飲料を飲用する上での妨げになっている。特に、野菜汁として野菜成分を丸ごと使用して製造したピューレを配合した場合には、野菜の各種栄養素や食物繊維をそのまま摂取できるという利点があるものの、灰汁など、エグ味、渋みに代表される異味をより一層有するというイメージがあり、飲用上の妨げとなることがある。
【0003】
このようなエグ味、渋みを改善するために、野菜汁に果汁等の果実成分を混合して、野菜汁特有の風味を感じさせないようにすることなども行われている。しかしながら、果汁も、酸味、苦味、青臭みなど、果実特有の臭気や味があり、野菜飲料の青臭みやエグ味を十分に低減することができず、また、配合する果汁が多すぎると野菜汁の飲用というよりも、野菜汁を配合した果汁製品になってしまい、この観点からも満足できるものではない。
【0004】
これまでに、野菜汁及び/又は果汁飲料について、その特有の風味、特に青臭みやエグ味を改善する方法が種々開示されている。例えば、各種糖類及び糖アルコール類;トレハロース(特許文献1)、エリスリトール(特許文献2)、α−結合ガラクトオリゴ糖(特許文献3)、デキストリン(特許文献4)を添加する方法が挙げられる。また他にも、人工甘味料であるα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルを添加する方法(特許文献5)や、アミノ酸であるグリシンおよび/またはアラニンを添加する方法(特許文献6)や、また、ジアシルグリセライドを添加する方法(特許文献7)や、カルボキシル基を有する水溶性酸性多糖類を添加する方法(特許文献8)等が開示されている。
【特許文献1】特開2000−116362号公報
【特許文献2】特開平9−224588号公報
【特許文献3】特開2003−250486号公報
【特許文献4】特開2002−078469号公報
【特許文献5】特開昭59−11156号公報
【特許文献6】特開昭62−40258号公報
【特許文献7】特開平7−51034号公報
【特許文献8】特開2003−116496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、野菜飲料における種々の風味改善方法が開示されているが、いずれも青臭みの抑制といった観点からは必ずしも満足しうるものには至っていない。また、青臭み以外の問題、例えば添加した物質の味が最終製品の味に影響を及ぼすという問題や、溶液が極めて高粘度となり摂取し難くなるといった問題があった。
【0006】
最近では生活習慣病の予防又は改善のために、栄養素摂取の偏りを是正する目的で野菜飲料を摂取する消費者も増えている。そして、このような消費者には、糖質の摂取をできるだけ抑えることができる野菜飲料の開発が新たに望まれている。しかし、各種糖類を添加して野菜飲料の風味を改善する方法が知られているように、糖質を減らすことで野菜飲料の風味が悪くなることが明らかであった。このような理由で、糖質の含有量が少ない野菜飲料はこれまでほとんど開発されておらず、糖質の含有量が少ない野菜飲料で野菜汁特有の風味が改善された飲料は知られていなかった。
【0007】
本発明の課題は、野菜汁を高い割合で含有する野菜飲料であって、青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い野菜飲料、特に糖質の含有量が少ない野菜飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、野菜汁を飲用するという観点から、飲料全体に対し50重量%以上の野菜汁を含有する野菜飲料に着目し、しかも、野菜汁特有の臭気や味が改善された、糖質含量の低い野菜飲料を提供するための検討を行った。その結果、数ある果実種の中で、柑橘類果実(特に、オレンジ類)の果汁に、野菜汁特有の青臭みやエグ味を低減する作用があること、そして、柑橘類果汁の果汁を特定量配合して得られる野菜飲料を加熱殺菌すると、野菜汁を加熱した際に生じる不快な加熱臭の発生を抑制することができることを見出した。そして、この特定量の柑橘類果汁を含有する野菜飲料は、糖質が8g/100mL(好ましくは7g/100mL)以下という低濃度になっても野菜汁特有の青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い野菜飲料であることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の内容に関するものである。
1. (A)野菜汁及び(B)柑橘類果汁を含有する野菜飲料で、(A)野菜汁を飲料全体に対しストレート換算で50重量%以上含有し、(A)野菜汁に対する(B)柑橘類果汁の比率(B/A)がストレート換算で0.6以上である、野菜飲料。
2. 飲料全体における糖質の割合が8g/100mL以下である、上記1に記載の野菜飲料。
3. 柑橘類果汁が、オレンジ類果汁である、上記1又は2に記載の野菜飲料。
4. さらに、食塩を0.01〜0.05g/100mL含有する、上記1〜3のいずれかに記載の野菜飲料。
5. 粘度が5〜30mPa・sである、上記1〜4のいずれかに記載の野菜飲料。
6. (A)野菜汁と(B)柑橘類果汁を混合した後、2〜15MPaの圧力での均質化処理を行って得られたものである、上記1〜5のいずれかに記載の野菜飲料。
7. 容器詰飲料である、上記1〜6のいずれかに記載の飲料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、野菜汁を飲料全体に対し50重量%以上含有しているにもかかわらず、野菜汁特有の青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い野菜飲料が得られる。本発明は、野菜汁として野菜ピューレを用いた場合であっても、特有の青臭みやエグ味を抑制するので、野菜の栄養素をそのまま摂取でき、かつ飲み易い飲料として提供することができる。
【0011】
また、本発明の野菜飲料は、糖質が8g/100mL(好ましくは7g/100mL)以下という低濃度であっても、野菜汁特有の青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易く、継続的飲用が容易であることから、栄養素摂取の偏りを是正して生活習慣病を予防又は改善するための目的で摂取する飲料として好適である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0012】
(野菜汁)
本明細書における野菜汁とは、野菜の搾汁液、野菜ピューレ又はこれらの混合物をいう。原料となる野菜には、一般的に青臭く、飲みにくいとされる野菜が用いられ、例えば、果菜類としてはトマト、ピーマン、カボチャ等、葉菜類としてはキャベツ、ホウレン草、レタス、パセリ、クレソン、ケール、小松菜等、根菜類としてはニンジン、大根、牛蒡等、茎菜類としてはアスパラガス、セロリ等、花菜類としてはブロッコリー、カリフラワー等が挙げられる。これらの原料となる野菜は1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
野菜汁、すなわち野菜の搾汁液又はピューレの製造方法及び製造条件は、特に制限されるわけではなく、公知の方法に従って行えばよい。搾汁液の製造方法としては、具体的には、野菜をブランチング処理した後、破砕し、搾汁する方法や、低温搾汁する方法などを挙げることができる。また、ピューレの製造方法としては、野菜をブランチング処理した後、パルパーやフィニッシャーで裏ごししたり、石臼ですり潰したり、ミキサーにかけて細かく破砕して製造する方法が挙げられる。
(柑橘類果汁)
本明細書でいう柑橘類果汁とは、ミカン科ミカン亜科に属する植物の果実の果汁をいう。具体的には、温州みかん、紀州みかん、ポンカン、アンコール、マンダリン、ダンゼリン、コウジ、シィクワシャー、タチバナ、不知火などのみかん類、ナツダイダイ、ハッサク、ヒュウガナツ、サンボウカン、河内晩柑、キヌカワ、ナルトなどの雑柑類、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ等のオレンジ類、タンカン、イヨ、マーコット、清見、オーランド、ミネオラ、セミノール等のタンゴール・タンゼロ、メキシカンライム、タヒチライム等のライム、リスボンレモン、ユーレカレモン、ディアマンテ、エトローグ等のレモン・シトロン、バンペイユ、土佐ブンタン等のブンタン、ダンカン、マーシュ、トムソン、ルビーレッド等のグレープフルーツ、ユズ、カボス、スダチ、ハナユ、キズ、等のユズ類、キンカン、カラタチを例示できる。なかでも、オレンジ類の果汁は、野菜飲料に混合して飲用する際の酸味や苦味等の風味バランスの観点から、好適に用いられる。なお、前記の柑橘類果汁は1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
果汁を製造する方法及び条件は、特に制限されるわけではなく、公知の方法に従って行えばよく、果汁の濃縮率や濃縮方法等についても何ら制限されない。
(野菜飲料)
本発明の野菜飲料は、野菜汁を飲用するという観点から、上記の野菜汁を50重量%以上150重量%以下、好ましくは50重量%以上100重量%以下含有することを特徴とする。本発明において、「野菜汁を50重量%以上含有する」とは、飲料全体に対する野菜汁の割合がストレート換算で50重量%以上であることを意味する。例えば、5倍濃縮野菜汁を30重量%配合した場合は、野菜汁がストレート換算で150重量%となる。
【0015】
本発明の野菜飲料では、上記の野菜汁に対し、ストレート換算で0.6倍以上好ましくは0.8倍以上の割合となるように上記柑橘類果汁を混合する。0.6倍未満であると、野菜汁の青臭みやエグ味を低減するのに十分な効果が得られない。また、柑橘類果汁の混合割合の上限は、所望とする野菜飲料の嗜好、栄養素等を考慮して適宜設定すればよいが、野菜汁を飲用する観点からは野菜汁と同量程度とするのが好ましい。
【0016】
上記したとおり、本発明の野菜飲料は、1種又は2種以上の野菜汁と、1種又は2種以上の柑橘類果汁とを必須成分とする。本発明の野菜飲料は生活習慣病の予防又は改善に効果を奏することが期待されるものであり、米国では、生活習慣病予防を目的とした5+3運動(1日あたり5種類以上の野菜と3種類以上果物を摂取する)ことが推奨されていることから、野菜汁は複数種類、好ましくは5種類以上の野菜を組み合わせて用いることが好ましく、さらに柑橘類果汁を含む複数種類、好ましくは3種類以上の果汁を組み合わせて用いることが好ましい。
【0017】
また、一般的に、組み合わせる野菜汁及び果汁の種類は多いことは、多種類の栄養分を摂取できる点で好ましいが、種類があまり多いと、原料の安定供給や製造工程が繁雑になるなどの問題を生じることがある。したがって、このような問題を考慮して野菜汁及び果汁の種類、数を決めることが必要である。
【0018】
栄養素摂取の偏りを是正する目的で本発明の野菜飲料を摂取する場合には、飲料中の野菜汁及び果汁の総和がストレート換算で80重量%以上、好ましくは100重量%以上となるように設計するとよい。本発明の野菜飲料は、このように高濃度で野菜汁及び果汁を含有しても、野菜及び/又は果汁特有の青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易い。
【0019】
本発明の野菜飲料の好ましい態様の一つとして、糖質の含有量が低い野菜飲料が挙げられる。糖質の含有量が低い野菜飲料とは、飲料全体における糖質の割合が8g/100mL以下、好ましくは7g/100mL以下の野菜飲料をいう。
【0020】
本明細書において「糖質」とは、健康増進法の栄養表示基準に規定されているように、「当該食品の重量からたんぱく質、脂質、食物繊維、灰分および水分の量を控除」して算出した値をいう。野菜汁に柑橘類果汁を特定量混合して野菜飲料の青臭みやエグ味を低減するという作用は、糖質の含有量が低い野菜飲料においてもその効果を発揮する。なお、本発明の糖質の含有量が低い野菜飲料を製造する方法は、特に制限されるわけではなく、糖質の含有量が低い野菜汁を用いて製造することもできるし、柑橘類果汁を混合した野菜飲料から、常法により糖質を除去して製造してもよい。
(その他の材料)
本発明の野菜飲料には、上記成分の他、必要に応じて通常飲料へ配合される各種食品素材、例えば、ショ糖、グルコース等の糖質、寒天、ゼラチン等の増粘剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、クリーム、バター等の乳脂肪、クエン酸、乳酸等の酸味料、ビタミンB類、ビタミンC等のビタミン類、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等のミネラル分、柑橘類以外の果実の果汁、各種フレーバー等の任意成分を添加することもできる。
【0021】
特に、本発明の糖質の含有量が低い野菜飲料は、糖質が少ないことに起因するボディ感の欠如、水っぽさを感じるといった風味上の問題が発生しやすいが、野菜飲料の風味を損なわない程度の濃度の食塩を添加することで、糖質の含有量が低い野菜飲料における風味上の問題が解決できる。添加する食塩の濃度は、0.01〜0.05g/100mL、好ましくは0.02〜0.04g/100mL程度である。これは、飲料中のナトリウム濃度として8〜16mg/100mLに相当する。
なお、食塩の添加は、糖質が少ないことに起因するボディ感の欠如、水っぽさを改善するばかりでなく、野菜飲料特有の後味の青臭さも低減するという効果を奏する。この観点からも、本発明の野菜飲料には上記濃度の食塩を添加することが好ましい。
(均質化処理)
本発明の野菜飲料、特に糖質の含有量が低い野菜飲料は、野菜汁と柑橘類果汁とを混合した後に、均質化処理を行うことが好ましい。均質化処理を行うことで、従来の野菜飲料にみられるドロドロとした食感を滑らかにすることができ、保存中又は飲用時における野菜汁及び/又は果汁由来のパルプ分の沈降を抑制でき、さらに糖質の含有量が低い野菜飲料においてはボディ感を付与することができるだけでなく、後味の青臭さがさらにマスキングされるという効果を奏する。均質化処理の方法は特に制限されるわけではなく、例えば高圧ホモジナイザー等、公知の手段を選択することができる。均質化の圧力は、使用する野菜汁の種類及び配合量により異なるが、均質化処理後の野菜飲料の粘度が5〜30mPa・s、好ましくは8〜25mPa・s程度となるように設定すればよい。野菜飲料の粘度が5mPa・sを下回ると、保存中又は飲用時における野菜汁及び/又は果汁由来のパルプ分の沈降が顕著になったり、飲用時ボディ感に欠けた風味となったりする。野菜飲料の粘度が30mPa・sを超える場合には、見た目ゼリー状であり飲料として好ましくない。ここで、本明細書における粘度とは、20℃におけるB型粘度計の測定値を表す。
【0022】
糖質の含有量が低い野菜飲料において、野菜汁及び/又は果汁に含まれるパルプ分の一部を破砕できるように均質化処理を行うと、野菜飲料に適度なボディ感を付与することができる。これは、野菜汁及び/又は果汁のパルプに含まれるペクチン質等の粘性物質を溶出させることにより、野菜飲料に適度な粘度を付与することができるからである。パルプ分の全部を破砕しうるような過度の均質化処理を行う(圧力を高くしすぎる)と、必要以上にペクチン質が溶出し、野菜飲料がゲル化する場合がある。したがって、配合によって、均質化の圧力を適切に設定することが重要であり、例えば野菜汁としてトマトピューレを選択し、野菜飲料中、ストレート換算で50重量%用いた場合には、均質化の圧力は2〜15MPa、好ましくは5〜10MPa程度である。
(容器詰飲料)
本発明の野菜飲料は、糖質が8g/100mL(好ましくは7g/100mL)以下という低濃度であっても、野菜汁特有の青臭みやエグ味が少なく、後味が爽やかで飲み易く、継続的飲用が容易であることから、栄養素摂取の偏りを是正して生活習慣病を予防又は改善するための目的で摂取する飲料として好適である。このため、継続的飲用が容易な容器詰飲料が好ましい。
【0023】
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする形成容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0024】
本発明の容器詰飲料は、食品衛生法により定められた殺菌条件で製造されたものをいう。なお、本発明の野菜飲料は、殺菌等の加熱処理を行っても後味が爽やかで飲み易い飲料であることを確認している。
【実施例】
【0025】
以下、試験例および実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1.果汁の種類及び量
表1に示す配合で、野菜汁と果汁とを混合し、糖質が6.2〜6.6g/100gとなる5種類の野菜飲料を調製した。得られた野菜飲料について、官能評価を行った。評価は、野菜汁由来の青臭さについて、専門パネラー3名で、4点法(4点:感じない、3点:僅かに感じる、2点:感じる、1点:大変感じる)で行った。
【0026】
結果を表1に示す。表より明らかなとおり、りんご果汁49%を配合した場合には、青臭さは強く感じられたが(比較例2)、柑橘類果汁計が49%である場合には、青臭さがマスキングされ、エグ味もなく、極めて飲み易い野菜飲料となった(本発明品1)。柑橘類果汁の配合量は、野菜汁に対する割合が0.8以上であると青臭さを感じない程度まで、0.6以上であると僅かに感じる程度までマスキングされていたが(本発明品1〜4)、0.4であると青臭さを低減するのに十分でなかった(比較例1)。
【0027】
【表1】

実施例2.柑橘類果汁の種類
表2に示す配合で、柑橘類果汁の種類を変えて、糖質が5.9〜6.5g/100gの3種類の野菜飲料を調製し、実施例1と同様に官能評価した。
【0028】
結果を表2に示す。柑橘類果汁としてオレンジ果汁を用いた場合にもグレープフルーツ果汁を用いた場合にも同程度の青臭さの低減作用が得られたが、グレープフルーツ果汁のみの場合には、グレープフルーツ由来の苦味を感じた。この結果から、柑橘類果汁としては、オレンジ果汁を用いるのが好ましいことがわかった。
【0029】
【表2】

実施例3.食塩の添加量
表3に示す配合で、種々の食塩濃度で糖質が6.6g/100gとなる野菜飲料を調製し、実施例1と同様に官能評価した。
【0030】
結果を表3に示す。食塩無添加でも野菜の青臭さがマスキングされたが(本発明品4)、食塩を0.015%〜0.040%添加することにより、さらに野菜の青臭さが改善された(本発明品7,8,9)。
【0031】
【表3】

実施例4.均質化条件
表4に示す配合で、原材料を混合し、表4に示す圧力で均質化処理を行い、殺菌(125℃、30秒)を行った後、各々200mLずつを紙パックに充填して、容器詰野菜飲料を得た。得られた飲料の香味について、実施例1と同様に青臭さを評価するとともに、総合的な美味しさについて5段階で評価(5点:大変よい→1点:大変悪い)した。結果を表4に示す。5〜15MPaの均質化処理をすることにより、粘度が9.8〜26.3mPa・sとなり(本発明品9,10,11)、均質化未処理中味(本発明品8)に比べて青臭さがよりマスキングされ、ボディー感が上がり総合的なおいしさも良くなった。しかし、均質化処理を30MPa以上にすると中味はゼリー状になり、青臭さはマスキングされたものの、総合的なおいしさは低くなった(比較例3,4)。
【0032】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)野菜汁及び(B)柑橘類果汁を含有する野菜飲料で、(A)野菜汁を飲料全体に対しストレート換算で50重量%以上含有し、(A)野菜汁に対する(B)柑橘類果汁の比率(B/A)がストレート換算で0.6以上である、野菜飲料。
【請求項2】
飲料全体における糖質の割合が8g/100mL以下である、請求項1に記載の野菜飲料。
【請求項3】
柑橘類果汁が、オレンジ類果汁である、請求項1又は2に記載の野菜飲料。
【請求項4】
さらに、食塩を0.01〜0.05g/100mL含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の野菜飲料。
【請求項5】
粘度が5〜30mPa・sである、請求項1〜4のいずれかに記載の野菜飲料。
【請求項6】
(A)野菜汁と(B)柑橘類果汁を混合した後、2〜15MPaの圧力での均質化処理を行って得られたものである、請求項1〜5のいずれかに記載の野菜飲料。
【請求項7】
容器詰飲料である、請求項1〜6のいずれかに記載の飲料。