説明

量子ドット増感型太陽電池

【課題】光電極から電解液への電子の逆流を抑制することができる量子ドット増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】透光性且つ導電性を有する透明電極層13と該透明電極層13に形成された酸化物半導体粒子15と、該酸化物半導体粒子上に形成された量子ドット16とを有する光電極11と、光電極11と対向する対向電極と、光電極及び対向電極との間に充填された電解液17とを備えた量子ドット増感型太陽電池において、酸化物半導体粒子15の表面のうち少なくとも量子ドット16が吸着していない面に、酸化物半導体粒子15の伝導帯のエネルギー準位よりも、高い伝導帯エネルギー準位を有する被覆層20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット増感型太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池としては、結晶系シリコンやアモルファスシリコンを用いたシリコン系の太陽電池や、GaAs系、CuInGaSe系やCdTe系等の化合物を用いた化合物系太陽電池が既に知られている。最近では、色素を増感剤として用いた色素増感型太陽電池や、無機半導体微粒子を光電変換材として用いた量子ドット太陽電池が、次世代の太陽電池として有望視されている。
【0003】
代表的な色素増感型太陽電池は、透明電極層上に形成された酸化物半導体微粒子の表面に、光増感剤として色素を吸着させた光電極と、光電極と対向した対向電極と、光電極と対向電極との間に注入された電解液とを備える。この電池は、色素の電子励起と電解質の酸化還元反応を用いて光電変換を行う。色素増感型太陽電池は、比較的高い光電変換性能と、低コストといった利点を併せ持つデバイスとして実用化が期待されている。しかしながら、増感剤に有機色素を用いるため、紫外線や高温に対する耐久性が低く、800nm以上の長波長域において効果的に光電変換できる材料が未だ見つかっていないという課題がある。
【0004】
一方、量子ドット太陽電池は、中間バンドの形成により、理論的な光電変換効率が75%を超え、従来に無い高効率を示す可能性が報告されている(非特許文献1参照)。また、増感剤に無機物を用いているため、光や温度に対する安定性を有している。しかし、一般的な量子ドット太陽電池は、光を多く吸収させる目的で、量子ドットが配置された層と中間層とを交互に複数積層させた構造を有している。その結果、この種の量子ドット太陽電池では、精密な構造制御が求められ、製造コストが高くなることが懸念される。また、量子ドット太陽電池は、現状では研究開発段階であり、従来型の太陽電池を凌ぐ性能は得られていない。
【0005】
一方最近では、色素増感型太陽電池における有機色素の替わりに、半導体量子ドットを用いた量子ドット増感型太陽電池が提案されている。図6に示すように、量子ドット増感型太陽電池は、対向電極と電解液106を介して対向する光電極103を備える。光電極103は、基板105上の透明電極層100に形成された酸化物半導体粒子101と、酸化物半導体粒子上に形成された無機半導体微粒子からなる量子ドット102とを備える。
【0006】
この量子ドット増感型太陽電池は、色素増感型太陽電池の特長である製造コストが低いといった点と、量子ドット太陽電池の特長である高い耐久性とを併せ持つことが期待されており、量子ドットとしてCdSやPbSを用いた電池では良好な性能を示すことが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−16369号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】T.Nozawa and Y.Arakawa,Appl.Phys.Lett,98,171108(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の量子ドット増感型太陽電池の光電極103では、酸化物半導体粒子101と電解液106との接触面積が大きいという問題があった。このため、量子ドット102で励起された電子が酸化物半導体粒子101に注入されても、酸化物半導体粒子101から電解液106へ逆流してしまい、電池の量子効率の低下を招来していた。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光電極から電解液への電子の逆流を抑制することができる量子ドット増感型太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電層を有する基板上に形成された酸化物半導体粒子と該酸化物半導体粒子上に担持された量子ドットとを有する光電極と、前記光電極と対向する対向電極と、前記光電極及び前記対向電極との間に充填された電解液とを備えた量子ドット増感型太陽電池において、前記酸化物半導体粒子の表面のうち少なくとも前記量子ドットが担持されていない面に、前記酸化物半導体粒子の伝導帯エネルギー準位よりも、高い伝導帯エネルギー準位を有する半導体層が形成されたことを要旨とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、酸化物半導体粒子の表面のうち少なくとも量子ドットが担持されていない面に半導体層が形成されているため、酸化物半導体粒子と電解液との接触面積を小さくすることができる。このため、酸化物半導体粒子内の電子が、酸化物半導体粒子に接触した電解液に逆流することを抑制することができる。また、半導体層の伝導帯のエネルギー準位は、酸化物半導体粒子の伝導帯のエネルギー準位よりも高いため、量子ドットに光が入射することにより生成された電子が、酸化物半導体粒子に注入された後に、半導体層を介して電解液に逆流することを抑制することができる。このため、電子の逆流による失活を抑制することができるので、従来の量子ドット増感型太陽電池に比べ、変換効率を向上することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の量子ドット増感型太陽電池において、前記半導体層は、II‐VI族半導体からなることを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、半導体層は、材料自体が有するバンドギャップが比較的大きいII‐VI族半導体からなるため、粒径の制御等の特別な工程を行わなくても、酸化物半導体粒子の伝導帯エネルギー準位よりも、半導体層の伝導帯エネルギー準位を高めやすくすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の量子ドット増感型太陽電池において、前記半導体層は、ZnSからなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、半導体層を構成するZnSは、毒性が無いため、産業的に利用しやすい。また、ZnSは、材料自体が有するバンドギャップが大きいため、粒径の制御等の特別な工程を行わなくても、酸化物半導体粒子の伝導帯エネルギー準位よりも、半導体層の伝導帯エネルギー準位を高めやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる量子ドット増感型太陽電池の一実施形態における断面図。
【図2】同電池の光電極の要部を示す模式図。
【図3】実施例の量子ドットを酸化チタン表面に析出させたサンプルと析出させていないサンプルのX線回折スペクトル。
【図4】実施例における光電極断面の走査型電子顕微鏡観察像であって、(a)は基板断面全体、(b)は酸化物半導体層の表層部、(c)はその底層部の観察像を示す。
【図5】実施例及び比較例の量子効率の測定結果を示すIPCEスペクトル。
【図6】従来の量子ドット増感型太陽電池における光電極の要部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の量子ドット増感型電池を具体化した一実施形態について、図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、量子ドット増感型電池は、ガラス等からなる基板12上に形成された光電極11と、枠状に形成されたシール材31と、該シール材31を介して光電極11に対向した対向電極30とを備えている。光電極11及び対向電極30との間に形成された空間には、電解液17が充満している。
【0017】
図2に示すように、光電極11は、基板12上に形成され、透光性を有する導電層としての透明電極層13を備える。透明電極層13は、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を用いることができる。
【0018】
また、光電極11は、透明電極層13の上に形成された、酸化物半導体粒子15と、酸化物半導体粒子15の表面に担持された量子ドット16とを備える。酸化物半導体粒子15は、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ等を用いることができ、そのバンドギャップの大きさや表面積の大きさから、特に酸化チタンが好ましい。また、量子ドット16の材料はAgSが好ましい。
【0019】
これらの酸化物半導体粒子15及び量子ドット16には、被覆層20が吸着している。被覆層20は、無機半導体微粒子により構成され、該微粒子は、酸化物半導体粒子15の表面のうち、量子ドット16が吸着していない領域と、量子ドット16とを覆うように吸着している。
【0020】
また、被覆層20を構成する半導体微粒子は、化合物半導体からなり、その伝導体のエネルギー準位が、酸化物半導体粒子15の伝導帯エネルギー準位よりも高くなっている。尚、被覆層20を構成する半導体微粒子は、粒径がナノオーダーであり、そのバンドギャップは、その半導体固有の大きさと粒径とに依存する。このため、上記半導体微粒子のバンドギャップは、半導体固有の大きさ程度又はそれよりも若干大きくなっている。
【0021】
被覆層20を構成する化合物半導体としては、II‐VI族半導体及びIII‐V族半導体のうち、その半導体固有の大きさであるバルクのバンドギャップが、酸化物半導体粒子15のバンドギャップ程度であるものを用いると、その伝導帯エネルギー準位を、酸化物半導体粒子15の伝導帯エネルギー準位よりも高めやすくすることができる。例えばZnS、ZnSe、ZnO、CdS等といったII‐VI族半導体や、GaN等のIII‐V族半導体を用いることができる。特に、II‐VI族半導体は、バンドギャップが比較的大きいために好ましい。また、II‐VI族半導体の中でも、毒性が無いこと、バンドギャップが大きい等の点で、ZnSが好ましい。
【0022】
次に、被覆層20が形成された光電極11の作用について説明する。まず、量子ドット増感型太陽電池セルに光が入射すると、光を吸収してキャリアを生成した量子ドット16から酸化物半導体粒子15に電子が注入される。上記酸化物半導体粒子15は、伝導帯エネルギー準位が自身より高い被覆層20によって覆われているので、酸化物半導体粒子内の電子は、被覆層20を介して電解液側に逆流移動することができない。また、酸化物半導体粒子内の電子が、電解液17に直接注入されることも抑制される。このため、量子ドット16から酸化物半導体粒子15へ注入された電子のうち、透明電極層13に注入される前に失活する電子量を低減することができる。
【0023】
一方、被覆層20が形成されていない場合には、量子ドット増感型太陽電池は、色素増感型太陽電池に比べ、酸化物半導体粒子15の露出面積が大きいといった傾向があるため、電解液17に曝される面積が格段に大きくなる。また、被覆層20が形成されていない場合には、量子ドット16よりも、酸化物半導体粒子15から逆流する電子の量が大きい。このため、光を吸収してキャリアを生成した量子ドット16から酸化物半導体粒子15に電子が注入された後、その電子が、電解液中の正孔と結合してしまい、失活する。その結果、電池セルから取り出せる電流が小さくなる。
【0024】
次に、光電極11の製造方法について説明する。まず透明電極層13が形成された基板12に、酸化物半導体粒子15を形成する。酸化物半導体粒子15を形成する方法は特に限定されないが、例えばTiOペーストを、スキージ法等によって塗布し、焼成する方法を用いることができる。
【0025】
酸化物半導体粒子15を形成すると、その粒子表面に、量子ドット16を担持させる。量子ドット16を担持させる方法は特に限定されないが、例えば、AgNO水溶液とNaS水溶液に交互に浸漬するイオン層吸着反応法を用いることができる。
【0026】
さらに、酸化物半導体粒子15の表面及び量子ドット16の表面に、被覆層20を形成する。被覆層20の形成方法は、化合物半導体の構成元素をそれぞれ含む各溶液に交互に浸漬するイオン層吸着反応法を用いることができる。例えば、ZnSの微粒子からなる被覆層20を形成する場合には、酸化物半導体粒子15が形成された基板12を、Zn(NO水溶液、及びNaS水溶液に交互に浸漬する。各溶液の溶質としては、各元素(例えば、Zn及びS)の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、有機酸塩等が好適に用いられる。
(実施例1)
透明電極層として、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F)が形成されたガラス基板に対し、スキージ法によって酸化チタンペースト(商品名:Ti−Nanoxide T20/SP、Solaronix社製)を塗布した。その後、電気炉にて、450℃で30分間し、酸化チタン粒子からなる酸化物半導体粒子を形成した。形成された酸化チタンの微粒子膜の厚さは、約12μmであった。
【0027】
この基板を、AgNO水溶液(濃度0.1M)に1分間浸漬した後、NaS水溶液(濃度0.1M)にさらに1分間浸漬した。そして、この交互浸漬を4回繰り返し、量子ドットを担持させた。この際、透明電極層が形成された基板表面が茶色に変化したことを目視で確認した。
【0028】
また、X線回折法により、基板の評価を行った。比較のため、上述したような浸漬工程を行わない基板も評価した。図3中、上側に表示したスペクトルは交互浸漬を行った実施例1の基板、下側に表示したスペクトルは浸漬工程を行っていない基板である。各スペクトルでは、透明電極層であるフッ素ドープ酸化スズ、酸化物半導体である酸化チタンに起因するピークが見られたが、実施例1の基板のスペクトルではそれらのピークに併せて、AgSのピークが見られた。尚、銀もしくは硫黄単体のピークやその他の化合物(例えば、酸化銀、水酸化銀など)のピークは見られなかった。
【0029】
また走査型電子顕微鏡で基板断面を観察した。尚、ここでは形成された量子ドットの粒子形状を観察するために、上述した酸化チタンペーストより粒径の大きいもの(商品名:Ti−Nanoxide R/SP、Solaronix社製)を使用して厚さ約6μmの酸化チタンの微粒子層を形成したサンプルを用いた。交互浸漬は、上述したものと同様の手法で行った。ここで粒径の大きな酸化チタンペーストを用いた理由は、上述したものは粒子サイズが約20nmであり、形成したAgSドットと粒子形状観察をする上で判別がつかなくなるためである。
【0030】
まず図4(a)に示すように走査型電子顕微鏡で基板断面全体を観察し、さらに酸化物半導体粒子層のうち、表層部及び底層部を拡大した。図4(b)に示すように、表層部では、数十nm〜100nm程度の酸化チタン粒子の上に、10〜20nm程度のAgSからなる量子ドットが生成されていることが確認された。また、図4(c)に示すように、底層部でも、表層部と同様にAgSからなる量子ドットが生成されていることが確認された。
【0031】
次に、量子ドットが形成された基板を、Zn(NO水溶液(濃度0.1M)とNaS水溶液(濃度0.1M)にそれぞれ交互に浸漬し、ZnSからなる被覆層を形成した。浸漬時間は、それぞれ1分間とした。
【0032】
このように形成された光電極を、厚さ50μmの熱可塑性樹脂からなる枠状の封止部材(商品名:ハイミラン、三井デュポンポリケミカル社製)を介して、白金薄膜が形成された対向電極と対向させ、100℃で加熱して貼り合わせた。
【0033】
電解液として、NaSと硫黄をそれぞれ濃度2M及び3M含む水溶液を作製し、光電極と対向基板との間の空間に注入して、量子ドット増感型太陽電池セルを作製した。
(比較例1)
実施例1の被覆層を形成する工程のみを省いて、光電極を作製した。また、実施例1と同様に、その光電極を用いて量子ドット増感型太陽電池セルを作製した。
(比較例2)
実施例のAgSからなる量子ドットを形成する工程、及び被覆層を形成する工程を省いて、電極を作製した。また、実施例1と同様に、その電極を用いて太陽電池セルを作製した。
【0034】
そして、実施例1及び比較例1,2の太陽電池セルに対し、量子効率(IPCE)測定装置(商品名:PEC‐S20、ペクセルテクノロジー社製)を用いて、量子効率を評価した。その結果を、図5に示す。
【0035】
まず比較例2で作製した太陽電池セルでは、殆ど光電変換が行われていないことがわかった。尚、400nm付近に見えるわずかなピークは、酸化チタン自身の光電変換に起因する。
【0036】
また、実施例2で作製した量子ドット増感型太陽電池セルでは、幅広い波長での光電変換がみられ、量子ドットの増感効果が確認された。さらに実施例1で作製した量子ドット増感型太陽電池セルでは、実施例2と同様に広い波長域での光電変換が確認されるとともに、IPCEが全体的に高くなった。即ち、被覆層20を形成することにより、失活した電子の量が低減されたことが示唆された。
【0037】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、量子ドット増感型太陽電池の光電極11は、透明電極層13に形成された酸化物半導体粒子15と、該酸化物半導体粒子上に形成された量子ドット16とを備えた。また、酸化物半導体粒子15の表面のうち、少なくとも量子ドット16が吸着していない面には被覆層20が形成されているため、酸化物半導体粒子15と電解液17との接触面積を小さくすることができる。このため、酸化物半導体粒子内の電子が、酸化物半導体粒子15に接触した電解液に逆流することを抑制することができる。また、被覆層20の伝導帯のエネルギー準位は、酸化物半導体粒子15の伝導帯のエネルギー準位よりも高いため、量子ドット16に光が入射することにより生成された電子が酸化物半導体粒子15に注入された後に、被覆層20を介して、電解液17に逆流することを抑制することができる。このため、電子の逆流による失活を抑制することができるので、従来の量子ドット増感型太陽電池に比べ、変換効率を向上することができる。
【0038】
(2)上記実施形態では、被覆層20を、材料自体が有するバンドギャップが比較的大きいII‐VI族半導体から形成した。このため、粒径の制御等の特別な工程を行わなくても、酸化物半導体粒子15の伝導帯エネルギー準位よりも、半導体層の伝導帯エネルギー準位を高めやすくすることができる。
【0039】
(3)上記実施形態では、被覆層20を構成するZnSは、毒性が無いため、産業的に利用しやすい。また、ZnSは、材料自体が有するバンドギャップが大きいため、粒径の制御等の特別な工程を行わなくても、酸化物半導体粒子15の伝導帯エネルギー準位よりも、被覆層20の伝導帯エネルギー準位を高めやすくすることができる。
【0040】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、被覆層20は、酸化物半導体粒子15及び量子ドット16の表面を覆うように形成したが、少なくとも表面積が大きい酸化物半導体粒子15を覆っていればよい。
【0041】
・上記実施形態では、被覆層20を構成する化合物半導体は、酸化物半導体粒子15程度の大きさのバンドギャップを有するものを用いたが、被覆層20を構成する半導体微粒子の粒径を制御することにより、そのバンドギャップを制御するようにしてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、量子ドット増感型太陽電池を、光電極11側から光を入射するタイプの電池に具体化したが、対向電極30を透光性材料から構成し、対向電極側から光を入射するタイプの電池に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0043】
11…光電極、12…基板、15…酸化物半導体粒子、16…量子ドット、17…電解液、20…被覆層、30…対向電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層を有する基板上に形成された酸化物半導体粒子と該酸化物半導体粒子上に担持された量子ドットとを有する光電極と、前記光電極と対向する対向電極と、前記光電極及び前記対向電極との間に充填された電解液とを備えた量子ドット増感型太陽電池において、
前記酸化物半導体粒子の表面のうち少なくとも前記量子ドットが担持されていない面に、前記酸化物半導体粒子の伝導帯エネルギー準位よりも、高い伝導帯エネルギー準位を有する半導体層が形成されたことを特徴とする量子ドット増感型太陽電池。
【請求項2】
前記半導体層は、II‐VI族半導体からなる請求項1に記載の量子ドット増感型太陽電池。
【請求項3】
前記半導体層は、ZnSからなる請求項2に記載の量子ドット増感型太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−89368(P2013−89368A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227130(P2011−227130)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】