説明

金券処理装置

【課題】金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理を行うことのできる金券処理装置を提供する。
【解決手段】HDD30の金券情報テーブル32には、1種類以上の金券の種類を示す券種情報34aと、各金券に対する釣銭の支払い可能な限度範囲を示す限度範囲情報37と、が対応付けられている。そして、POSレジスタ100は、顧客が支払うべき商品の購入金額を算出すると、購入金額と顧客が支払った支払金額とにより釣銭を算出する。顧客による支払いにおいて金券が用いられている場合、POSレジスタ100は、金券情報テーブル32に基づいて、当該金券に対応する限度範囲情報37を抽出する。そして、算出された釣銭が、抽出された限度範囲情報37の示す限度範囲を超える場合、その旨を示すメッセージd21がPOSレジスタ100の第2タッチスクリーン21上に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金券処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が商品を購入してその支払いを行う際、現金に代えて商品券等の金券を用いるケースがある。しかし、たとえ支払金額に対して釣銭が生じているとしても、金券の種類によっては、釣銭を全く支払うことができない場合がある。そのため、顧客が支払いにおいて金券を用いた場合には、レジスタを操作するオペレータの顧客への対応が複雑化する傾向にある。
【0003】
そこで、支払いにおいて金券が用いられた際に、当該金券に対する処理を行うことのできるシステムの導入が望まれる。このようなシステムとしては、例えば特許文献1(特開2002−92737号公報)に開示されているように、支払いにおいて釣銭が生じた場合、用いられた金券に対する釣銭の支払い可否が自動で判定されるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商品購入における支払いにて金券が用いられた場合には、原則として釣銭の支払いを禁止しつつも、顧客側の便宜上、例外的に一定の割合内であれば釣銭の支払いを認められる方向に、法律が近年改正されている。また、釣銭の支払いが認められる条件である“一定の割合”は、金券の種類によって異なっている。
【0005】
これに対し、特許文献1に係るシステムは、既に述べたように、金券に対して釣銭を支払うか否かの判定はするものの、上述した近年の例外には対応することができない。従って、特許文献1に係るシステムでは、金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理を行うことが困難と言える。
【0006】
そこで、本発明の課題は、金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理を行うことのできる金券処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
金券処理装置は、記憶部と、購入金額算出部と、釣銭算出部と、受付部と、抽出部と、比較部と、報知部とを備える。記憶部は、券種情報と限度範囲情報とが対応付けられた金券情報テーブルを記憶する。券種情報は、1種類以上の金券の種類を示す情報である。限度範囲情報は、各金券に対する釣銭の支払い可能な限度範囲を示す情報である。購入金額算出部は、顧客が支払うべき商品の購入金額を算出する。釣銭算出部は、購入金額と顧客が支払った支払金額とに基づいて、釣銭を算出する。受付部は、顧客による支払いにおいて金券が用いられている場合、その金券の券種情報を受け付けることができる。抽出部は、受付部が券種情報を受け付けた場合、金券情報テーブルに基づいて、受け付けられた券種情報に対応する限度範囲情報を抽出する。比較部は、釣銭算出部による算出結果と、抽出部によって抽出された限度範囲情報とを比較する。報知部は、釣銭算出部による算出結果が、抽出された限度範囲情報の示す限度範囲を超える場合、その旨を報知する。
【0008】
これにより、金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理が行われるようになる。そのため、支払いにて金券を用いた顧客は、その金券を用いることを取りやめるか、満額でなくとも支払い限度額である釣銭を得るかを、自由に選択できる。
【0009】
また、金券情報テーブルにおいては、可否情報が、券種情報及び限度範囲情報に更に対応づけられていることが好ましい。可否情報は、各金券に対する釣銭の支払いの可否を示す情報である。そして、釣銭の支払いを許可することを示す可否情報に対応する限度範囲情報には、限度範囲が、釣銭の支払いの限度額または金券の額面に対し支払うことのできる釣銭の度合いとして示されていることが好ましい。
【0010】
これにより、釣銭の支払いが可能な金券についての釣銭の限度額や額面に対する釣銭の割合の把握が容易になるため、算出された釣銭との比較が容易に行われる。
【0011】
また、比較部は、金券情報テーブルに基づいて、顧客が支払いにて用いた金券が釣銭の支払いを許可するものであるか否かを判断することが好ましい。そして、顧客が支払いにて用いた金券が釣銭の支払いを許可するものであると判断した場合に、比較部は、釣銭算出部による算出結果と抽出部によって抽出された限度範囲情報とを比較することが好ましい。
【0012】
これにより、算出された釣銭と限度範囲との比較動作は必要な場合に行われるため、金券処理装置が行う一連の処理がよりスムーズに実行される。
【0013】
また、金券処理装置は、リセット部を更に備えることが好ましい。リセット部は、報知部による報知動作の後、釣銭算出部による算出結果及び受付部によって受け付けられた券種情報をリセットする。
【0014】
これにより、顧客は、支払い方法を確実に変更することができる。
【0015】
また、報知部は、釣銭算出部による算出結果が、抽出された限度範囲情報の示す限度範囲を超える場合、支払可能金額情報及び支払不可金額情報を同時に報知することが好ましい。支払い可能金額情報は、該限度範囲を、釣銭として支払うことのできる額にて示す情報である。支払不可金額情報は、釣銭算出部の算出結果と支払可能金額情報との差を、釣銭として支払うことのできない額にて示す情報である。
【0016】
これにより、金券処理装置のオペレータは、例えば顧客に対して支払可能金額や支払不可金額を知らせることができ、顧客に対する対応をよりし易くなる。
【0017】
また、受付部は、顧客による支払いにおいて金券が複数枚用いられている場合、その各金券の券種情報を受け付けることができてもよい。その場合、抽出部は、受付部が受け付けた複数の券種情報それぞれに対応する限度範囲情報を抽出する。比較部は、釣銭算出部による算出結果と、抽出部によって抽出された各限度範囲情報の示す限度範囲の合計値とを比較する。そして、報知部は、釣銭算出部による算出結果が限度範囲の合計値を超える場合、釣銭算出部による算出結果が限度範囲の合計値以下となるための金券の枚数を更に報知することが好ましい。
【0018】
これにより、オペレータは、顧客に対して釣銭を満額支払うことのできる金券の枚数を知らせることができ、顧客に対する対応をよりし易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の金券処理装置は、金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理を行うことができる。そのため、支払いにて金券を用いた顧客は、その金券を用いることを取りやめるか、満額でなくとも支払い限度額である釣銭を得るかを、自由に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る金券処理装置が採用されたPOSレジスタの外観図。
【図2】POSレジスタのハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】HDDに記憶されている商品データテーブルの構造を概念的に示す図。
【図4】HDDに記憶されている金券情報テーブルの構造を概念的に示す図。
【図5】制御部の機能と、該制御部に接続されたPOSレジスタの構成要素の一部とを、模式的に示すブロック図。
【図6】各種情報の関係図。
【図7】第2タッチスクリーン上に表示されるエラー表示画面の一例。
【図8】本発明の一実施形態に係るPOSレジスタの一連の動作を示すフロー図。
【図9】本発明の変形例Aに係る制御部の機能と、該制御部に接続されたPOSレジスタの構成要素の一部とを、模式的に示すブロック図。
【図10】本発明の変形例Aに係るエラー表示画面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る金券処理装置について説明する。
【0022】
(1)概要
図1は、本発明に係る金券処理装置が、スーパーマーケットや百貨店等の店舗におけるレジコーナーのレジカウンターに設置されるPOS(Point Of Sales)レジスタ100として実現された様子を表している。
【0023】
POSレジスタ100は、第1ブロック10と第2ブロック20とを有する。第1ブロック10及び第2ブロック20は、図示されない通信線により互いに接続されており、信号を送受信しながら連動している。第1ブロック10及び第2ブロック20は、レジコーナーの物理的構造上分離されているが、POSレジスタ100の情報処理の機能上は分離されていない。第1ブロック10は、主に、レジ担当者により、商品をPOSレジスタ100に購入対象としてエントリするために利用される。第2ブロック20は、主に、レジ担当者により、第1ブロック10において購入対象としてエントリされた商品に対する支払い処理をするために利用される。しかしながら、第1ブロック10を支払い処理に利用することも可能であれば、第2ブロック20を商品のエントリに利用することも可能である。
【0024】
このようなPOSレジスタ100は、商品購入の際、現金のみならず、金券やクレジットカード等によって支払いが行われる場合にも、対応できるものとなっている。
【0025】
特に、本実施形態に係るPOSレジスタ100は、顧客が支払いにて金券を用いた際には、顧客の支払金額に対する釣銭の額と当該金券の種類によって定められている釣銭の限度範囲との関係から、釣銭を満額支払うことができるか否かや釣銭をいくらまでであれば支払うことができるか等の情報を、表示することができる。そのため、POSレジスタ100を利用するレジ担当者は、金券に対して釣銭が比較的小額であれば、顧客に対し当該釣銭を満額支払うことができる。しかし、釣銭が高額であれば、レジ担当者は、金券の種類の都合上支払うことのできる額の釣銭を支払ったり、もしくはその金券を用いた支払い処理自体を取りやめたりする等のきめ細かい対応を、金券の種類を自らが意識せずとも顧客に対して行うことができる。また、例えば悪意のある顧客が、不正な方法で入手した高額な商品券を現金に換える目的で、小額な商品をわざと選択し、支払いをその商品券にて行おうとしても、レジ担当者は、このような行為を特段意識せずとも、おのずと当該行為を抑制することができる。
【0026】
ここで、金券とは、決められた範囲内において現金の代わりとして利用できるものを言い、具体的には、百貨店やスーパーマーケット等の店舗にて発行されたものや、クレジットカード会社の発行するギフト券等が挙げられる。これらの金券には、その種類に応じて、釣銭の支払いが可能か否かや、釣銭の支払いが可能であればどの程度まで釣銭を支払うことが可能か等が、個々に決定されている。
【0027】
なお、POSレジスタ100は、図示してはいないが、ストアコンピュータと接続されており、購入対象となった商品の種類や単価、商品が購入された時間、商品を購入した顧客に関する情報、売上金額等を、販売情報としてストアコンピュータに送る。従って、ストアコンピュータは、当該販売情報を収集及び蓄積し、今後の商品管理に役立てるために様々な角度から分析することが可能となっている。
【0028】
(2)POSレジスタの構成
以下では、上述したPOSレジスタ100の構成について詳述する。図2は、POSレジスタ100のハードウェア構成を示すブロック図である。図1,2に示すように、POSレジスタ100は、主として、第1タッチスクリーン11、第2タッチスクリーン21(報知部に相当)、第1補助ディスプレイ12、バーコードリーダ13、カスタマーディスプレイ14、第2補助ディスプレイ22、レシート発行部23、機械キー24、ドロワ25、カードリーダ26、金券受付部(受付部に相当)27、HDD(記憶部に相当)30、及び制御部40を含む。
【0029】
(2−1)第1タッチスクリーン及び第2タッチスクリーン
第1タッチスクリーン11は、第1タッチパネル11aと第1カラーディスプレイ11bとで構成されている。
【0030】
第1カラーディスプレイ11bは、購入対象の候補となる商品それぞれに対応する商品選択キー全てを一覧表示する他、購入対象となる全商品の合計金額を、顧客が支払うべき商品の購入金額として表示する。
【0031】
第1タッチパネル11aは、第1カラーディスプレイ11bを覆うように設置されている。レジ担当者が、第1カラーディスプレイ11b上の各商品選択キーの表示位置に対応する第1タッチパネル11a上の領域を触ると、その商品選択キーが選択されて当該キーに対応する商品がPOSレジスタ100に購入対象としてエントリされる。
【0032】
第2タッチスクリーン21は、第2タッチパネル21aと第2カラーディスプレイ21bとで構成されている。第2タッチパネル21a及び第2カラーディスプレイ21bは、第1タッチパネル11a及び第1カラーディスプレイ11bと同様の構成を有する。
【0033】
特に、本実施形態に係る第2タッチスクリーン21は、顧客が商品の購入金額の支払いにて金券を用いた場合、当該金券に関する情報を表示することができるが、表示する具体的内容については後述する。
【0034】
(2−2)第1補助ディスプレイ
第1補助ディスプレイ12は、レジ担当者が商品を購入対象としてエントリする際にリアルタイムで商品の商品名及び単価を表示する。第1補助ディスプレイ12は、購入対象となる全商品のエントリ完了後、エントリされた商品の単価全ての合計金額を購入金額として、レジ担当者に対して表示する。
【0035】
(2−3)バーコードリーダ
購入対象の候補となる商品それぞれには、当該商品を識別するための商品IDがバーコードとして付されている。バーコードは、縞模様状の線の太さ等によって個々の商品の商品IDを表している。そこで、バーコードリーダ13は、このバーコードを読み取ることで、商品IDを取得することができる。
【0036】
具体的には、レジ担当者が、バーコードをバーコードリーダ13にかざすと、当該バーコードがバーコードリーダ13によって読み取られ、そのバーコードに対応する商品がPOSレジスタ100に購入対象としてエントリされるようになっている。
【0037】
(2−4)カスタマーディスプレイ及び第2補助ディスプレイ
カスタマーディスプレイ14は、第1タッチスクリーン11と背中合わせになるように配置されているとともに、第1タッチスクリーン11の表示方向とは逆側の方向に、様々な情報を表示することができるように配置されている。カスタマーディスプレイ14は、第1補助ディスプレイ12と同様の内容を、顧客に対して表示する。
【0038】
第2補助ディスプレイ22は、カスタマーディスプレイ14と同様の機能を有する。
【0039】
(2−5)レシート発行部
レシート発行部23は、POSレジスタ100に購入対象としてエントリされた商品の商品名及び単価の一覧及び購入金額等が記載されたレシートを発行する。
【0040】
(2−6)機械キー及びドロワ
機械キー24は、POSレジスタ100に数字情報を入力するための数字キー、ドロワ25を開くための開キー、エンターキー等を含む。
【0041】
ドロワ25は、紙幣、硬貨、金券の保存場所として機能する。ドロワ25は、レジ担当者が機械キー24に含まれる開キーを押すと図1の矢印Aの方向に開き、レジ担当者が図1の矢印Aと逆の方向に物理的に押すと閉まるようになっている。
【0042】
(2−7)カードリーダ
カードリーダ26は、顧客が支払い時に提示したクレジットカードや会員カード等を読み取る。これにより、購入金額のクレジットカード払いやサービスポイントの管理が実現される。
【0043】
(2−8)金券受付部
金券受付部27は、顧客が購入金額の支払いにおいて金券を用いた場合に、当該金券の種類(券種情報に相当)及び額面を読み取ることができる。金券受付部27としては、例えばカード式の金券が差し込まれるタイプのものや、金券の裏面等に付されているバーコードを読み取るバーコードスキャナタイプのもの等が挙げられる。なお、金券の裏面等に付されているバーコードには、その金券の種類及び額面が、線の太さ等によって表されている。
【0044】
また、金券受付部27は、第2タッチスクリーン21に金券選択用ボタンが選択可能に表示されることで実現されてもよい。この場合、レジ担当者が、支払いにて用いられた金券に対応する金券選択ボタンを選択することで、金券の種類及び額面が受け付けられることとなる。
【0045】
(2−9)HDD
HDD30は、主として、商品データテーブル31及び金券情報テーブル32を記憶している。
【0046】
(2−9−1)商品データテーブル
商品データテーブル31は、図3に示すように、店舗にて取り扱う商品に関する商品データを格納するテーブルであって、商品ID、商品名、単価等が1レコードとして対応付けられている。商品データテーブル31中の商品IDは、商品に付されたバーコードの表す商品IDに対応しており、バーコードリーダ13を介して商品がエントリされた際、この商品の商品IDが商品データテーブル31に当てはめられることで、エントリされた商品の単価が分かるようになる。
【0047】
(2−9−2)金券情報テーブル
金券情報テーブル32は、図4に示すように、支払種別コード33、支払種別名称34、額面35、釣銭区分36、限度範囲情報37が、1レコードとして対応付けられている。
【0048】
支払種別コード33は、顧客が支払いを行うにあたり、支払いがどのような手段で行われるのかを示すコードである。支払種別名称34毎に、異なる支払種別コード33が割り振られている。
【0049】
支払種別名称34は、顧客によって行われる支払いの具体的手段を名称で表した情報であって、例えば「現金」「商品券」「ギフトカード」等として表されている。特に、支払種別名称34には、「A商品券」「B商品券」[ジェフグルメカード」のように、1以上の金券の種類を示す“券種情報34a”が含まれている。
【0050】
額面35は、支払種別名称34が特に金券である場合の、各金券の額面を表している。従って、図4では、支払種別名称34が「A商品券」「B商品券」「ジェフグルメカード」であれば、額面35はそれぞれ「500円」「1000円」「500円」と表されているが、金額を手入力する「現金」や、「ギフトカード」に対する額面35は、全て「0円」と表されている。
【0051】
釣銭区分36は、支払種別名称34に表されている支払いの具体的手段それぞれにおいて、顧客に対して釣銭の支払いを許可するか否かを表している。釣銭区分36には、特に支払種別名称34が金券である場合に対応するようにして、当該金券に対する釣銭の支払いの可否を表す“可否情報36a”が含まれる。つまり、支払種別名称34が券種情報34aであるレコードにおける釣銭区分36は、可否情報36aであると言うことができる。可否情報36aには、釣銭の支払いを許可することを“許可”、釣銭の支払いを許可しないことを“禁止”として表されている。
【0052】
限度範囲情報37は、各金券に対する釣銭の支払い可能な限度範囲を示す情報である。従って、図4に示すように、支払種別名称34が“券種情報34a”であると共に、釣銭区分36が“可否情報36a”であるレコードにおいて、限度範囲情報37は表されている。限度範囲情報37は、釣銭限度表示区分38及び釣銭上限額/率39を有する。
【0053】
釣銭限度表示区分38は、各金券に対する釣銭の支払い可能な限度範囲をどのような手段で表すかを定義するための情報であって、図4に示すように、「額」または「率」のいずれかが該当する。釣銭上限額/率39は、釣銭として支払うことのできる限度範囲(具体的には、上限値)を、「100」「200」「20」等の数値として表している。従って、可否情報36aが「許可」と表されているレコード上の釣銭限度表示区分38が「額」であれば、当該レコード上の釣銭上限額/率39には、限度範囲が釣銭の支払いの限度額として表されている。可否情報36aが「許可」と表されているレコード上の釣銭限度表示区分38が「率」であれば、当該レコード上の釣銭上限額/率39には、限度範囲が、金券の額面に対し支払うことのできる釣銭の度合いとして表されている。具体的には、図4の金券情報テーブル32のレコード2には、額面が500円のA商品券に対し、釣銭を最大で100円まで支払うことができる内容が表されている。レコード5には、額面が500円のジェフグルメカードに対し、額面である500円の20%、つまりは釣銭を最大で100円まで支払うことができる内容が表されている。なお、図4において、可否情報36aが「禁止」と表されているレコード上の釣銭上限額/率39には、釣銭を支払うことができないため、「0」と表されている。
【0054】
(2−10)制御部
制御部40は、図2に示すように、CPU40a、ROM40b及びRAM40cによって構成されるマイクロコンピュータであって、POSレジスタ100を構成する様々な要素と接続されている。ROM40bには、POSレジスタ100を制御するための制御プログラムが格納されている。CPU40aは、ROM40bに格納された制御プログラムに基づいて、POSレジスタ100を制御する。RAM40cは、CPU40aがROM40bに格納された制御プログラムを実行する際の、所謂ワークメモリとして機能する。
【0055】
特に、本実施形態に係る制御部40は、顧客による支払いにおいて金券が用いられた際、金券情報テーブル32に基づき該金券に対応する釣銭の限度範囲の確認等を行う。このような動作を実現するため、制御部40は、図5に示すように、購入金額算出部41、釣銭算出部42、抽出部43、比較部44、画面制御部45及びリセット部46として機能する。
【0056】
なお、以下では、説明の便宜上、制御部40の行う動作の主体を、制御部40の有する各機能部が行うものとして、各機能部(具体的には、購入金額算出部41等)の名称にて表すとする。
【0057】
(2−10−1)購入金額算出部
購入金額算出部41は、顧客が支払うべき商品の購入金額を算出する。具体的には、購入対象である商品のバーコードがバーコードリーダ13によって次々に読み取られていくと、購入金額算出部41は、読み取られたバーコード毎に、当該バーコードに対応する商品IDを商品データテーブル31に当てはめ、当該商品IDに対応する単価を抽出していく。そして、購入金額算出部41は、抽出した単価を積算していき、購入対象の商品全ての単価の合計金額を、顧客が支払うべき商品の購入金額として算出する。
【0058】
なお、購入金額算出部41は、更に、バーコードに対応する商品IDを商品データテーブル31に当てはめることで、各商品IDに対応するポイントを抽出し、ポイントの積算を行ってもよい。積算されたポイントは、顧客IDに対応して登録されると共に、レシートにも印字される。
【0059】
更に、購入金額算出部41は、バーコードに対応する商品IDを商品データテーブル31に当てはめることで、各商品に対応する会員割引率を抽出してもよい。この場合、購入金額算出部41は、各商品の単価を会員割引率分だけ割り引くと、割り引いた後の金額を積算することで、購入金額を算出することができる。
【0060】
(2−10−2)釣銭算出部
釣銭算出部42は、上記のようにして算出した購入金額と、顧客が実際に支払った支払金額とに基づいて、釣銭を算出する。つまり、顧客の支払金額が購入金額と同額がまたは購入金額を上回った場合(図6)、釣銭算出部42は、支払金額から購入金額を減算する。釣銭算出部42の算出結果は、レジ担当者が顧客に渡すべき釣銭の額であると言うことができる。
【0061】
(2−10−3)抽出部
既に述べているように、顧客が支払いにおいて金券を用いた場合には、レジ担当者により、その金券の種類が券種情報34aとして金券受付部27によって受け付けられることとなる。そこで、抽出部43は、金券受付部27が券種情報34aを受け付けた場合、図4の金券情報テーブル32に基づいて、当該券種情報34aに対応する限度範囲情報37を抽出する。
【0062】
具体的には、抽出部43は、受け付けられた券種情報34aを金券情報テーブル32に当てはめて、当該券種情報34aを含むレコード上の釣銭限度表示区分38及び釣銭上限額/率39を抽出する。
【0063】
(2−10−4)比較部
比較部44は、釣銭算出部42による算出結果と、抽出部43によって抽出された限度範囲情報37とを比較する比較動作を行う。特に、本実施形態に係る比較部44は、金券情報テーブル32に基づいて、顧客が支払いにて用いた金券が釣銭の支払いを許可するものであるか否かを判断し、当該金券が釣銭の支払いを許可するものであると判断した場合に、上記比較動作を行う。
【0064】
具体的には、比較部44は、金券受付部27が券種情報34aを受け付けた場合、金券情報テーブル32において当該券種情報34aを含むレコード上の可否情報36aが“許可”であるか“禁止”であるかを確認する。可否情報36aが“許可”である場合には、比較部44は、釣銭算出部42による算出結果(つまりは、顧客に対し支払うべき釣銭の額)が抽出部43によって抽出された釣銭上限額/率39を超えているか否かを判断する(つまり、比較動作)。
【0065】
なお、可否情報36aが“禁止”である場合には、比較部44は、上記比較動作を行わない。なぜならば、可否情報36aが“禁止”となっている金券は、その額面と購入金額との関係上いくら顧客に支払うべき釣銭が発生しようにも、釣銭を支払うことが許されていないため、比較動作を行う必要がないからである。従って、本実施形態に係る比較動作は、支払いにて金券が用いられており、かつ当該金券が釣銭の支払うことが可能なものである場合に、その動作の意義を発揮することができるものであると言うことができる。
【0066】
(2−10−5)画面制御部
画面制御部45は、第1及び第2タッチスクリーン11,21に様々な種類の画面を適切なタイミングで表示させるべく、各種画面情報の生成及び送信等の表示制御を行う。例えば、画面制御部45は、商品がエントリされる際、商品選択キーを複数含むエントリ画面を第1タッチスクリーン11上に表示させると共に、各商品選択キーを選択可能に表示させる制御を行う。また、画面制御部45は、エントリされた各商品及び単価の一覧表d1(図7)を、第2タッチスクリーン21上に表示させる制御を行う。
【0067】
特に、本実施形態に係る画面制御部45は、釣銭算出部42による算出結果が抽出部43によって抽出された限度範囲情報37を超えている場合には、その旨(具体的には、図7のメッセージd21)を含むエラー表示画面d2を、第2タッチスクリーン21上に表示させる制御を行う。
【0068】
図7は、第2タッチスクリーン21上に表示されるエラー表示画面d2の一例を示している。図7では、エントリされた各商品及び単価の一覧表d1上に重なるようにして、エラー表示画面d2がポップアップ表示されている。エラー表示画面d2には、メッセージd21、支払可能金額情報d22、支払不可金額情報d23、リセットボタンd24、続行ボタンd25が含まれている。
【0069】
メッセージd21は、釣銭算出部42による算出結果が抽出された限度範囲情報37を超えている内容を表すメッセージであって、用いられた金券の限度範囲の都合上、顧客が支払った購入金額に対して支払うべき釣銭の額を満額支払うことのできないことを表している。
【0070】
支払可能金額情報d22は、現在用いられている金券の限度範囲を釣銭として、支払うことのできる額にて示す情報である。例えば、図7に示すように、購入金額が3020円であるのに対し、額面が1000円のB商品券を4枚用いて支払いがなされた場合を考える。この場合、本来顧客に対して支払うべき釣銭の額は980円となるが(4000−3020=980)、B商品券の1枚あたりの釣銭の限度範囲は200円であるため(図4)、この場合の釣銭の上限値は800円となる(200×4=800)。従って、本来顧客に支払うべき釣銭の額“980円”は、4枚のB商品券に対応する釣銭の上限値“800円”を超えているため、現在の状態にて顧客に実際に支払うことのできる釣銭の額、即ち支払可能金額情報d22は、釣銭の上限値“800円”となる。
【0071】
支払不可金額情報d23は、図6に示すように、釣銭算出部42の算出結果と支払可能金額情報d22との差を、釣銭として支払うことのできない額にて表した情報である。従って、図7の場合においては、本来顧客に支払うべき釣銭の額“980円”のうち、現在の状態にて顧客に実際に支払うことのできる釣銭の額(つまり、支払可能金額情報d22)“800円”を差し引いた180円が、支払不可金額情報d23となっている。そして、図7に示すように、支払不可金額情報d23は、支払可能金額情報d22と同時にエラー表示画面d2上に表示されている。
【0072】
リセットボタンd24は、後述するリセット動作の開始を指示するためのボタンである。続行ボタンd25は、リセット動作を行わずに、釣銭算出部42による算出結果が抽出された限度範囲情報37を超えている状態を保ったままで処理を続けるためのボタンである。リセットボタンd24及び続行ボタンd25は、いずれも選択可能に表示される。なお、続行ボタンd25が選択された場合には、リセット動作が行われないため、図7においては、本来顧客に支払うべき釣銭の額“980円”のうち、実際には800円が釣銭として顧客に支払われることで、支払い処理が終了することとなる。
【0073】
(2−10−6)リセット部
図7のエラー表示画面d2上からリセットボタンd24が選択された場合、リセット部46は、リセット動作を行う。リセット動作とは、少なくとも、釣銭算出部42による算出結果及び金券受付部27によって受け付けられた券種情報34aをRAM40cからクリアする動作を言う。更に、リセット動作では、顧客により支払われた支払金額を、RAM40cからクリアされる。
【0074】
従って、このようなリセット動作が行われた場合には、POSレジスタ100は、購入対象の商品全てのエントリをして購入金額を算出した時の状態に戻る。そのため、レジ担当者は、受け取った金券を顧客に戻し、顧客は支払いの手段を別の手段に変更することができる。
【0075】
(3)POSレジスタの動作
図8は、POSレジスタ100が行う一連の動作を表すフロー図である。なお、ここでは、顧客による支払いにおいて、金券が用いられるとする。
【0076】
ステップS1:顧客によって購入対象の商品がレジカウンターに持ち込まれると、レジ担当者によって、POSレジスタ100を用いて各商品のバーコードの読み取りが行われる。POSレジスタ100には、読み取られたバーコードに対応する商品がエントリされる。一人の顧客が持ち込んだ購入対象の商品全てのバーコードが読み取られた後、レジ担当者は、機械キー24に含まれるエンターキーを押下する。これにより、購入対象の商品全てのエントリが完了する。
【0077】
ステップS2:購入金額算出部41は、商品データテーブル31に基づいて、エントリされた商品の単価全てを積算することで、顧客が支払うべき商品の購入金額を算出する。算出された購入金額は、第1及び第2補助ディスプレイ12,22上に表示されると共に、RAM40cに一時的に格納される。
【0078】
ステップS3:顧客が支払いを行うと、レジ担当者は、機械キー24を介して顧客の支払金額を入力する。特に、レジ担当者は、支払いにおいて用いられた金券の種類、額面及び枚数等を、金券受付部27を介して入力する。これにより、支払金額、金券受付部27によって受け付けられた金券の種類を示す券種情報34a、金券額面及び枚数は、RAM40cに一時的に格納される。
【0079】
ステップS4〜S5:購入金額算出部41は、顧客が現時点において支払った支払金額と、商品の購入金額との大小関係を判断する。支払金額が未だ購入金額に達していない場合には(ステップS4のNo)、制御部40は、支払残金の算出を行う(S5)。支払残金の算出においては、現時点において顧客が支払った支払金額が商品の購入金額よりも小さいため、購入金額算出部41は、商品の購入金額から現時点での支払金額を減算した金額を残金とする。この残金が0円以下となるまで、ステップS3〜S5の動作が繰り返される。
【0080】
ステップS6:ステップS4において、顧客の支払金額が商品の購入金額以上となった場合(S4のYes)、釣銭算出部42は、支払金額から購入金額を減算することで、顧客に支払うべき釣銭の額を算出する。
【0081】
ステップS7〜S8:次いで、比較部44は、金券情報テーブル32から、支払いにおいて用いられた金券の可否情報36aが“許可”か“禁止”かを確認する。金券の可否情報36aが“許可”である場合(S7のYes)、抽出部43は、ステップS3にてRAM40cに格納された券種情報34aを金券情報テーブル32に当てはめて、券種情報34aに対応する限度範囲情報37を抽出する(S8)。
【0082】
ステップS9:比較部44は、ステップS8で抽出された限度範囲情報37における釣銭限度表示区分38及び釣銭上限額/率39から、用いられた金券に対して支払うことのできる釣銭の上限額を限度範囲として算出し、これとステップS6にて算出された釣銭とを比較する。なお、釣銭限度表示区分38が“率”である場合には、比較部44は、RAM40cに格納されている金券の額面と釣銭上限額/率39に表されている率とにより、額面に対して支払うことのできる釣銭の額を限度範囲として算出し、これをステップS6にて算出された釣銭と比較する。
【0083】
ステップS10:ステップS6にて算出された釣銭が限度範囲を超えている場合(S9のNo)、またはステップS7において可否情報36aが“禁止”である場合(S7のNo)、画面制御部45は、図7のエラー表示画面d2の画面情報を生成する。この時、画面制御部45は、本来顧客に支払うべき釣銭の額が限度範囲を超えていることを表すメッセージd21のみならず、支払可能金額情報d22及び支払不可金額情報d23も求め、更にこれら情報と共に、リセットボタンd24及び続行ボタンd25を一括表示させる。これにより、第2タッチスクリーン21には、図7に示すようなエラー表示画面d2が表示されるため、レジ担当者は、本来支払うべき釣銭を満額支払うことができない旨を、顧客に伝えることができる。
【0084】
ステップS11〜S12:レジ担当者が、図7のエラー表示画面d2上のリセットボタンd24を選択した場合(S11のYes)、リセット部46は、リセット動作を行う(S12)。これにより、ステップS3で入力された券種情報34a、金券の額面、枚数の他に、ステップS6にて算出された釣銭、及び顧客の支払金額が消去される。そして、券種情報34aや支払金額等の入力画面が第2タッチスクリーン21上に再度表示されることとなり、ステップS3以降の動作が繰り返される。
【0085】
ステップS13:ステップS9において釣銭が限度範囲内である場合(S9のYes)、またはステップS11においてリセットボタンd24ではなく続行ボタンd25が選択された場合(S11のNo)、釣銭の支払処理が実行される。つまり、釣銭が限度範囲内である場合には、レジ担当者は、ステップS6で算出された釣銭を顧客に支払う。続行ボタンd25が選択された場合には、レジ担当者は、エラー表示画面d2内の支払可能金額情報d22に表された金額を釣銭として顧客に支払う。なお、釣銭の支払いの際、レシート発行部23より、レシートが発行されるため、レジ担当者は、釣銭と共にこのレシートを顧客に渡す。
【0086】
ステップS14:POSレジスタ100は、ステップS13までの動作によって確定した売上金額等を売上データベース(図示せず)に更新することで、一連の動作を終了する。更新した売上データベースの内容は、販売情報としてストアコンピュータに送られる。
【0087】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係るPOSレジスタ100は、図4に示すような金券情報テーブル32を記憶している。顧客による支払いにおいて金券が用いられている場合、POSレジスタ100は、その金券に対応した限度範囲情報37と釣銭算出部42による算出結果とを比較し、釣銭算出部42による算出結果が当該限度範囲情報37の示す限度範囲を超える場合、その旨を表示する。つまり、POSレジスタ100は、金券を用いて実際に支払われた支払金額に対する釣銭が、当該金券に対応する支払い可能な釣銭の上限値を超えており、本来支払うべき釣銭を満額支払うことができない場合に、“釣銭が金券の限度範囲を超えている”旨のメッセージd21をレジ担当者宛に表示する。従って、POSレジスタ100は、金券の種類に応じたよりきめ細かい釣銭の支払い処理を行うことができる。そのため、支払いにて金券を用いた顧客は、その金券を用いた支払いを取りやめるか、満額でなくとも支払い限度額の釣銭を得るかを、自由に選択できる。
【0088】
(4−2)
また、図4に示すように、本実施形態に係る金券情報テーブル32においては、各金券に対する釣銭の支払いの可否を“許可”または“禁止”にて表す可否情報36aが、券種情報34a及び限度範囲情報37に対応付けられている。そして、“許可”と表されている可否情報36aに対応する限度範囲情報37には、釣銭限度表示区分38及び釣銭上限額/率39によって、金券に対する釣銭の限度範囲が釣銭の支払いの限度額または金券の額面に対し支払うことのできる釣銭の度合いとして示されている。これにより、釣銭の支払いが可能な金券についての釣銭の限度額や額面に対する釣銭の割合の把握が容易になるため、算出された釣銭との比較が容易に行われる。
【0089】
(4−3)
また、本実施形態では、用いられた金券が釣銭の支払いを許可するものである場合に(図8のステップS7のYes)、釣銭算出部42によって算出された釣銭が当該金券に対する釣銭の支払い限度範囲内か否かの比較判断が行われる(図8のステップS9)。これにより、算出された釣銭と限度範囲との比較判断の動作は必要な場合に行われるため、POSレジスタ100が行う一連の処理がよりスムーズに実行される。
【0090】
(4−4)
また、本実施形態では、エラー表示画面d2の表示後(図8のステップS10)、釣銭算出部42によって算出された釣銭や、金券受付部27によって受け付けられた券種情報34a等がリセットされる(図8のステップS12)。これにより、顧客は、支払い方法を確実に変更することができる。
【0091】
(4−5)
また、本実施形態では、本来支払うべき釣銭が、支払いにおいて用いられた金券の限度範囲を超えている場合、図7に示すように、当該金券における釣銭の限度範囲の関係上支払うことのできる釣銭の額(つまり、支払可能金額情報d22)と、支払うことのできない釣銭の額(つまり、支払不可金額情報d23)とが、同時に更に表示される。従って、レジ担当者は、例えば顧客に対して支払可能金額や支払不可金額を知らせることができ、顧客に対する対応をよりし易くなる。
【0092】
(5)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0093】
(5−1)変形例A
本発明に係るPOSレジスタは、顧客による支払いにおいて複数の金券が用いられた場合、顧客の実際の支払金額に対する釣銭の額が各金券の限度範囲の合計値を超えていれば、図7に示すエラー表示画面d2のみなならず、実際に顧客に対し支払うべき釣銭の額が限度範囲の合計値内となるための金券の枚数を表示してもよい。
【0094】
この場合のPOSレジスタ100’の制御部40の機能と、該レジスタ100’の構成要素の一部とを、図9に示す。なお、図9では、上記実施形態で説明した構成要素と同一の要素については、上記実施形態における名称及び符号をそのまま引き継いでいる。POSレジスタ100’の制御部40は、上記実施形態で説明した機能に加えて、更に組み合わせ演算部47としても機能することができる。
【0095】
金券受付部27は、複数の金券それぞれの券種情報34aを受け付ける。抽出部43は、受け付けられた複数の券種情報34aそれぞれに対応する限度範囲情報37を、図4の金券情報テーブル32から抽出する。比較部44は、顧客の支払金額に対し支払うべき釣銭の額(つまり、釣銭算出部42による算出結果)と、抽出された各限度範囲情報37の示す限度範囲の合計値とを比較する。組み合わせ演算部47は、支払うべき釣銭の額が限度範囲の合計値を超える場合、支払うべき釣銭の額が限度範囲の合計値以下となるように、金券の種類や枚数の組み合わせを演算する。第2タッチスクリーン21には、この演算結果d26が、例えば図10のようにして表示される。図10のエラー表示画面d2’には、上記実施形態に係るメッセージd21、支払可能金額情報d22、支払不可金額情報d23、リセットボタンd24、続行ボタンd25に加えて、金券の枚数等である演算結果d26が含まれている。
【0096】
具体例としては、商品の購入金額が4300円であって、この支払いにおいて額面が1000円のC商品券を5枚使用されたと仮定すると、顧客に支払うべき釣銭の額は、700円となる(5000−4300=700)。しかし、C商品券の1枚あたりの釣銭の限度範囲が100円であるとすると、釣銭の支払いの上限値は500円となり(100×5=500)、本来顧客に支払うべき釣銭「700円」は顧客に対し満額支払われないこととなる。そこで、組み合わせ演算部47は、金券情報テーブル32に登録されている各商品券の限度範囲情報37に基づいて、釣銭を満額出すことのできる金券の枚数や種類を演算する。例えば、C商品券の額面が500円であって、釣銭の限度範囲が「50円」であるとすると、額面が1000円のC商品券を4枚及び額面が500円のC商品券を1枚用いることで、支払金額は4500円となるものの(1000×4+500=4500)、釣銭の限度範囲の合計値は450円となる(100×4+50=450)。よって、4300円の購入金額に対して支払うべき釣銭の額は200円となり(4500−4300=200)、顧客に対して釣銭が満額支払われることとなる。
【0097】
そこで、図10では、釣銭が満額支払われない場合“1000円のC商品券5枚、500円のC商品券0枚”に対し、金券の枚数等を変更することによって釣銭が満額支払われるようになる場合の候補1“1000円のC商品券4枚、500円のC商品券1枚”を、演算結果d26として示している。
【0098】
このような動作により、レジ担当者は、顧客に対して釣銭を満額支払うことのできる金券の枚数等をアナウンスすることができるため、顧客に対する対応をより丁寧にし易くなる。
【0099】
なお、上記の例において、演算結果d26は、額面が1000円のC商品券5枚を単に4枚へと変更し、残りの300円を現金にて支払うことを表す内容であってもよい。
【0100】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、金券が複数枚用いられる場合について説明した。
【0101】
しかし、本発明に係るPOSレジスタ100は、支払いにおいて1枚の金券が用いられる場合においても適用することができる。例えば、単価が100円の商品1つが購入対象としてレジカウンターに持ち込まれた場合を考える。額面が500円のA商品券を1枚用いて支払いが行われた場合には、釣銭算出部42による算出結果は400円となる(500−100=400)。しかし、図4の金券情報テーブル32によると、A商品券の釣銭の限度範囲は100円であるため、比較部44は、釣銭算出部42による算出結果がA商品券の釣銭の限度範囲を超えていると判断する。この場合、第2タッチスクリーン21には、図7に係るメッセージd21と共に、支払可能金額情報d22“100円”、支払不可金額情報d23“400円”と表示されることとなる。
【0102】
また、概要にて軽く述べたが、悪意のある顧客が、10000円と高額な商品券1枚をなるべく現金に換えるべく、単価が50円の商品1つをレジカウンターに持ち込んだような場合にも、本発明は有効である。この場合、顧客に支払うべき釣銭の額は9950円となるが(10000−50=9950)、その商品券に対する釣銭の限度範囲が仮に“1000円”と仮定すると、本来支払うべき釣銭の額は限度範囲をはるかに超えているため、エラー表示画面d2が表示されることとなる。そのため、レジ担当者は、釣銭を1000円しか支払うことができない旨を顧客にアナウンスすると共に、仮に釣銭の支払いを要求されたとしても、顧客には1000円しか支払うことができない。従って、レジ担当者は、高額な商品券をなるべく現金に換えようとする悪意のある行為を、自然に防ぐことが可能となる。
【0103】
また、POSレジスタ100は、支払いにおいて金券と現金とが組み合わせて用いられる場合にも、上記実施形態と同様の動作によって対応することが可能である。
【0104】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、金券を用いて実際に支払われた支払金額に対する釣銭が当該金券の限度範囲を超えている場合、その旨を示すメッセージd21が、図7に示すように第2タッチスクリーン21上に表示されると説明した。
【0105】
しかし、本発明に係るPOSレジスタ100は、当該メッセージd21の内容を表示するのではなく、音声やブザー等によってレジ担当者に報知する構成であってもよい。また、POSレジスタ100は、図7のメッセージd21と音との組み合わせによって、レジ担当者にメッセージd21の内容を報知してもよい。
【0106】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、図7に示すように、金券を用いて実際に支払われた支払金額に対する釣銭が当該金券の限度範囲を超えている内容のメッセージd21に加えて、更に支払可能金額情報d22及び支払不可金額情報d23が一画面として表示される場合について説明した。
【0107】
しかし、本発明に係るPOSレジスタ100は、メッセージd21のみを表示してもよい。また、本発明に係るPOSレジスタは、変形例Aにて説明した演算結果d26とメッセージd21との組み合わせを表示してもよい。
【0108】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、図8のステップS11〜S12に示すように、リセットボタンd24が選択された場合にリセット動作が行われると説明した。
【0109】
しかし、本発明に係るPOSレジスタ100は、リセットボタンd24が選択されなくても、図7のエラー表示画面を表示した後に、リセット動作を自動で行っても良い。
【0110】
(5−6)変形例F
上記実施形態では説明していないが、本発明に係るPOSレジスタ100は、店舗側の事情等に合わせて、図4の金券情報テーブル32の編集(具体的には、レコードの追加や各種情報の変更等)を適宜受付可能に構成されることができる。
【0111】
なお、POSレジスタ100は、図3の商品データテーブル31についても同様に、当該テーブル31の編集を適宜受付可能に構成されることができる。
【符号の説明】
【0112】
11 第1タッチスクリーン
12 第1補助ディスプレイ
13 バーコードリーダ
14 カスタマーディスプレイ
21 第2タッチスクリーン
22 第2補助ディスプレイ
23 レシート発行部
24 機械キー
25 ドロワ
26 カードリーダ
27 金券受付部
30 HDD
31 商品データテーブル
32 金券情報テーブル
33 支払種別コード
34 支払種別名称
34a 券種情報
35 額面
36 釣銭区分
36a 可否情報
37 限度範囲情報
38 釣銭限度表示区分
39 釣銭上限額/率
40 制御部
41 購入金額算出部
42 釣銭算出部
43 抽出部
44 比較部
45 画面制御部
46 リセット部
47 組み合わせ演算部
100 POSレジスタ
d1 一覧表
d2 エラー表示画面
d21 メッセージ
d22 支払可能金額情報
d23 支払不可金額情報
d24 リセットボタン
d25 続行ボタン
d26 演算結果
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特開2002−92737号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の金券の種類を示す券種情報と、各前記金券に対する釣銭の支払い可能な限度範囲を示す限度範囲情報と、が対応付けられた金券情報テーブルを記憶する記憶部と、
顧客が支払うべき商品の購入金額を算出する購入金額算出部と、
前記購入金額と前記顧客が支払った支払金額とに基づいて、釣銭を算出する釣銭算出部と、
前記顧客による支払いにおいて前記金券が用いられている場合、その金券の前記券種情報を受け付け可能な受付部と、
前記受付部が前記券種情報を受け付けた場合、前記金券情報テーブルに基づいて、受け付けられた前記券種情報に対応する前記限度範囲情報を抽出する抽出部と、
前記釣銭算出部による算出結果と、前記抽出部によって抽出された前記限度範囲情報とを比較する比較部と、
前記釣銭算出部による算出結果が、抽出された前記限度範囲情報の示す前記限度範囲を超える場合、その旨を報知する報知部と、
を備える、金券処理装置。
【請求項2】
前記金券情報テーブルにおいては、各前記金券に対する釣銭の支払いの可否を示す可否情報が、前記券種情報及び前記限度範囲情報に更に対応づけられており、
釣銭の支払いを許可することを示す前記可否情報に対応する前記限度範囲情報には、前記限度範囲が、釣銭の支払いの限度額または前記金券の額面に対し支払うことのできる釣銭の度合いとして示されている、
請求項1に記載の金券処理装置。
【請求項3】
前記金券情報テーブルにおいては、各前記金券に対する釣銭の支払いの可否を示す可否情報が、前記券種情報及び前記限度範囲情報に更に対応づけられており、
前記比較部は、
前記金券情報テーブルに基づいて、前記顧客が支払いにて用いた前記金券が釣銭の支払いを許可するものであるか否かを判断し、
前記顧客が支払いにて用いた前記金券が釣銭の支払いを許可するものであると判断した場合に、前記釣銭算出部による算出結果と前記抽出部によって抽出された前記限度範囲情報とを比較する、
請求項1または2に記載の金券処理装置。
【請求項4】
前記報知部による報知動作の後、前記釣銭算出部による算出結果及び前記受付部によって受け付けられた前記券種情報をリセットするリセット部、
を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の金券処理装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記釣銭算出部による算出結果が、抽出された前記限度範囲情報の示す前記限度範囲を超える場合、該限度範囲を釣銭として支払うことのできる額にて示す支払可能金額情報、及び前記釣銭算出部の算出結果と前記支払可能金額情報との差を釣銭として支払うことのできない額にて示す支払不可金額情報、を同時に更に報知する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の金券処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記顧客による支払いにおいて前記金券が複数枚用いられている場合、その各金券の前記券種情報を受け付け可能であって、
前記抽出部は、前記受付部が受け付けた複数の前記券種情報それぞれに対応する前記限度範囲情報を抽出し、
前記比較部は、前記釣銭算出部による算出結果と、前記抽出部によって抽出された各前記限度範囲情報の示す前記限度範囲の合計値とを比較し、
前記報知部は、前記釣銭算出部による算出結果が前記限度範囲の合計値を超える場合、前記釣銭算出部による算出結果が前記限度範囲の合計値以下となるための前記金券の枚数を更に報知する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の金券処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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