説明

金型および光学用平板部材の製造方法

【課題】離型制御性を向上した射出成形用金型を提供する。
【解決手段】板状体の両面に凹凸状のパターンを有する光拡散板16を製造するために用いられる金型2である。成形品16の一方の面にパターンを付与する第1パターンが形成された第1金型11と、成形品16の他方の面にパターンを付与する第2パターンが形成された第2金型8とを備えている。第1パターンを構成する面21,22を、平均表面粗さが10nm以上である第1部分pa1と、平均表面粗さで10nm未満である第2部分pa2とから構成し、第2パターンを構成する面23,24を、平均表面粗さが10nm以上である第3部分pb1と、平均表面粗さで10nm未満である第4部分pb2とから構成し、第1部分の第1パターンの全体に対する面積割合をR1とし、第3部分の第2パターンの全体に対する面積割合をR2として、R1≧R2×1.2の関係が成立している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面パターン付き光拡散板等の光学用平板部材を製造するための金型、および該光学用平板部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光拡散板等の光学用平板部材を射出成形するための金型は、例えば、下記特許文献1に記載されているように、樹脂が充填されるキャビティを構成する略矩形状の凹状空間を有する固定側金型と、型締め時に該凹状空間を閉塞して該キャビティを構成する略矩形平板状のスタンパー部材を有する可動側金型とを概略備えて構成されている。このような金型には、製造する光学用平板部材に付与する光学特性に従って、凹凸状のプリズム条列等のパターンに対応するパターンが形成されている。
【0003】
ところで、例えば両面パターン付き光拡散板をこのような金型を用いて射出成形によって成形する際には、金型を開いたときに、固定側金型、可動側金型の何れか一方に成形品としての光拡散板が残ることになるが、特定の一方(固定側金型または可動側金型)に常に成形品が残るように制御しないと、成形品を自動排出する装置等との関係において、不都合が生じ得る。
【0004】
そこで、従来は、固定側金型と可動側金型との間に温度差をつけて、それぞれの離型性(型からの離れ易さまたは離れ難さ)に差を持たせることにより、離型制御(固定側金型と可動側金型の何れに成形品を残すかの制御)を行っていた。
【0005】
しかしながら、固定側金型と可動側金型との間に温度差をつける方法では、光拡散板の一方の面と他方の面とでパターンの転写率(金型のパターンの形状に対する転写された光拡散板のパターンの形状の再現度ないし忠実度)に差を生じ、成形された光拡散板の光学特性に悪影響を与える場合があった。即ち、金型温度が高い方に成形品が残る傾向にあることから、離型制御は行い得るものの、金型温度が低い方の面のパターンの転写率が低下し、成形された光拡散板において輝度ムラが発生する等、光学特性が劣化する場合があった。
【0006】
なお、金型の表面にフッ素加工等の化学修飾を施し、あるいは意図的にアンダーカット部をつける等の特殊な加工を行うことにより、離型制御を行うことも可能ではあるが、そのような特殊な方法では、その加工が煩雑であり、製造工数が増え、コスト高になる場合があるため、これと異なる方法で離型制御することが望まれる。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、金型の一方と他方とに温度差をつけなくても容易に離型制御することができ、品質の高い光学用平板部材を製造できる金型、及び該金型を用いた光学用平板部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】特開2007−230058号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、板状体の一方の面にパターンを付与する第1金型の第1パターンを、該第1パターンを構成する面の平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である第1部分と、10nm未満である第2部分とから構成し、板状体の他方の面にパターンを付与する第2金型の第2パターンを、該第2パターンを構成する面の平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である第3部分と、10nm未満である第4部分とから構成し、該第1部分の該第1パターンの全体に対する面積割合R1と、該第3部分の該第2パターンの全体に対する面積割合R2とを、それぞれ適宜に変更しつつ、離型制御性(金型を開いたときに、第1金型と第2金型の何れに成形品が残るかの制御性)について、各種の実験・研究を行った結果、所定の関係(R1≧R2×1.3)が成立する場合に良好な離型制御性を発現できることを見いだした。
【0010】
また、本発明者は、上述した所定の関係が成立しない場合(即ち、R1<R2×1.3)において、板状体の一方の面にパターンを付与する第1パターンを構成する面の平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である第1部分の当該平均表面粗さをRa1とし、板状体の他方の面にパターンを付与する第2パターンを構成する面の平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である第3部分の当該平均表面粗さをRa2として、これらの平均表面粗さRa1とRa2とを、それぞれ適宜に変更しつつ、離型制御性について、各種の実験・研究を行った結果、所定の関係(Ra1≧Ra2×1.2)が成立する場合に良好な離型制御性を発現できることを見いだした。
【0011】
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0012】
即ち、本発明の第1の観点によると、板状体の両面に凹凸状のパターンを有する光学用平板部材を製造するために用いられる金型であって、
前記板状体の一方の面にパターンを付与する第1パターンが形成された第1金型と、
前記板状体の他方の面にパターンを付与する第2パターンが形成された第2金型とを備え、
前記第1パターンを構成する面を、最大平均表面粗さが10nm以上である第1部分と、最大平均表面粗さが10nm未満である第2部分とから構成し、
前記第2パターンを構成する面を、最大平均表面粗さが10nm以上である第3部分と、最大平均表面粗さが10nm未満である第4部分とから構成し、
前記第1部分の前記第1パターンの全体に対する面積割合をR1とし、
前記第3部分の前記第2パターンの全体に対する面積割合をR2とし、
前記第1部分の当該平均表面粗さをRa1とし、
前記第3部分の当該平均表面粗さをRa2とし、
下記条件(I)または(II)の関係を満たす金型が提供される。
(I) R1≧R2×1.3
(II)R1<R2×1.3 かつ Ra1≧Ra2×1.2
【0013】
なお、本発明の第1の観点に係る発明において、平均表面粗さとは、中心線平均粗さ(Ra)をいい、パターンが曲面を含む場合には、当該曲面に対応した中心線(曲線)を基準とした平均粗さをいう。
【0014】
本発明の第1の観点に係る発明において、特に限定されないが、前記第1パターンおよび前記第2パターンは、条列(例えば、プリズム条列)からなるパターンとすることができる。
【0015】
本発明の第2の観点によると、本発明の第1の観点に係る金型を用いて射出成形により前記光学用平板部材を製造する方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、離型制御性が高いので、成形品の金型からの搬出等において問題が生じることが少なくなるとともに、金型に温度差をつけなくてもよいので、光学特性が良好で品質の高い光学用平板部材を製造できるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る射出成形用金型について、図面を参照して説明する。この金型は、光学用平板部材(この実施形態では、板状体の両面に光を拡散する凹凸状のパターンを有する両面パターン付き光拡散板)を製造するために用いられる射出成形用金型である。
【0018】
(金型の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る射出成形用金型を模式的に示す断面図である。図1において、金型2は、第1金型としての固定側金型6と、固定側金型6に対して進退する第2金型としての可動側金型4とを備えている。型締め時に、可動側金型4と固定側金型6とにより、成形品である光拡散板16を成形するためのキャビティ10が画成される。
【0019】
可動側金型4は、金型基部5と、金型基部5における固定側金型6側の面(先端面)に配置されるスタンパー8とを備えている。スタンパー8は、略矩形状の薄い平板から構成されている。スタンパー8の表面(固定金型6側の面)8Aには、成形する光拡散板の出光面に光拡散用の凹凸状のパターンを付与するため、後述するパターン(第2パターン)が形成されている。
【0020】
スタンパー8としては、その外形寸法(S1×S2)が、成形する光拡散板の大きさに応じて、縦450×横750mm〜縦800×横1200mm程度のものが用いられる。この実施形態では、対角線で32インチの光拡散板を製造するものとして、スタンパー8の外形寸法は、縦498×横788mmのものを用いている。なお、対角線で46インチの光拡散板を製造する場合には、スタンパー8の外形寸法は、縦749×横1189mmのものが用いられる。
【0021】
スタンパー8の材質としては、SPCC(普通鋼)やSUS(ステンレス鋼)を用いることができる。スタンパー8は、図示は省略しているが、複数のネジにより金型基部5に固定されている。
【0022】
固定側金型6は、金型基部7と、金型基部7における可動側金型4側の面に配置される型板3と、型板3の可動側金型4側の面の略中央の位置に配置されるコアプレート11と、コアプレート11の周囲に配置される枠部材9とを備えている。金型基部7、型板3およびコアプレート11内には、溶融樹脂Pを供給する通路としてのホットランナー13が設けられている。ホットランナー13を介して複数のゲート12から溶融樹脂Pが所定の充填圧力で供給される。
【0023】
コアプレート11の主面(可動側金型4側の面)11Aは、枠部材9における可動側金型4側の面よりも一段低い寸法で形成されており、この主面11Aとこれの周囲に配置されている枠部材9の内面とにより、凹状空間が形成されている。この凹状空間は、型締め時に、スタンパー8により閉塞され、スタンパー8と凹状空間とによって、成形品形状に対応するキャビティ10が画成される。コアプレート11の主面8Aには、成形する光拡散板の入光面に光拡散用の凹凸状のパターンを付与するため、後述するパターン(第1パターン)が形成されている。
【0024】
コアプレート11には、凹状空間に連通し、ホットランナー13からキャビティ10へ溶融樹脂Pを射出する開口部としてのゲート(面内ゲート)12が複数形成されている。なお、溶融樹脂Pとしては、特に限定されないが、例えば、脂環式オレフィンポリマー等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0025】
固定側金型6(コアプレート11)および可動側金型4(スタンパー8)は、不図示の加熱機構(例えば、ヒータ)および冷却機構(例えば、冷媒流通機構)を備え、それぞれ独立して温度制御できるようになっている。但し、この実施形態では、転写率の劣化を抑制するため、成形時には、両者とも実質的に同一温度(例えば、90℃程度)に制御される。
【0026】
(パターンの構成)
この射出成形用金型2を用いて製造される光学用平板部材は両面パターン付き光拡散板であるので、板状体の一方の面および他方の面のそれぞれに、光拡散効果を発現するための凹凸状のパターンを付与する必要がある。このため、コアプレート11の可動側金型4側の主面(以下、パターン付与面ということがある)11Aには、光拡散板(板状体)の一方の面(入光面)に付与すべきパターンに対応したパターン(第1パターン)が形成されている。また、スタンパー8の固定側金型6側の表面(以下、パターン付与面ということがある)8Aには、光拡散板(板状体)の他方の面(出光面)に付与すべきパターンに対応したパターン(第2パターン)が形成されている。
【0027】
ここで、パターンとは、凹凸を規則的にまたは不規則的に配置したものをいい、例えば、その幅が20μm〜700μm程度、高さ(または深さ)が5μm〜1700μm程度に設定された微細な線状の凹凸(条列)を規則的に、あるいは不規則的に配置したものをいう。この実施形態では、第1パターンおよび第2パターンは、その断面が略鋸刃状に形成されたプリズム条列であるものとする。
【0028】
この実施形態における条列は、所定の第1方向(光拡散板の長手方向)に延在し、該第1方向に実質的に直交する第2方向(光拡散板の短手方向)に並列されている。これらの条列は、概略直線状に延びた細長い山状の凸条または同じく直線状に延びた細長い谷状の凹条を周期的に(交互に)繰り返し配置して構成される。この実施形態では、これらの凸条と凹条とは、対称形状となっており、その断面はそれぞれ略二等辺三角形をなすように逆V字状またはV字状に形成されている。従って、条列の断面形状は、略鋸刃状となっている。なお、凸条および凹条は、複数の凸条を並列配置することによりこれらの隣接部分が凹条となり、複数の凹条を並列配置することによりこれらの隣接部分が凸条になる関係にある。
【0029】
凸条または凹条の断面形状は、上述したものに限定されず、二等辺三角形の上部を切除したような形状(台形状)等であってもよく、あるいはその一部または全部が円弧状(U字状を含む)、二次曲線状、その他の曲線形状であってもよい。これらの少なくとも2つを組み合わせたものであってもよい。凸条と凹条とは、対称形状に限られるものでもなく、一方が二等辺三角形、他方が台形状等、適宜に組み合わせて構成されていてもよい。また、光拡散板の一部の領域に含まれる凸条(または凹条)と他の領域に含まれる凸条(または凹条)の断面形状を異ならせてもよい。さらに、コアプレート11のパターン付与面11Aに形成される条列の構成(形状や配列等)と、スタンパー8のパターン付与面8Aに形成される条列の構成(形状や配列等)とは、同一でも異なっていてもよい。
【0030】
なお、この実施形態では、条列は、所定の第1方向に延在し、該第1方向に実質的に直交する第2方向に並列された条列から構成されているものとしたが、これに加えるかたちで、該第2方向に延在し、該第1方向に並列された条列を配置、即ち第1方向に延在する条列と第2方向に延在する条列とが実質的に直交するようにしたものであってもよい。該第1方向に延在する条列と該第2方向に延在する条列とが所定の角度をもって斜交するようにしたものであってもよい。
【0031】
(離型制御性を向上するための構成)
図2は、コアプレート11のパターン付与面11Aの一部を拡大して示す断面図(上記の第2方向に沿った断面図)である。同図に示されるように、コアプレート11のパターン付与面11Aには、断面がV字状の複数の溝が形成されることによって、複数の条(第1パターン)pa1,pa2が形成されている。これらの条pa1,pa2の断面における頂角θ1は、θ1=45°〜150°程度の範囲内で、配列ピッチPi1は、Pi1=20μm〜700μm程度の範囲内で設定される。特に限定されないが、一例として、この実施形態では、θ1=140°、Pi1=70μmや200μmに設定されている。
【0032】
図3は、スタンパー8のパターン付与面8Aの一部を拡大して示す断面図(上記の第2方向に沿った断面図)である。同図に示されるように、スタンパー8のパターン付与面8Aには、断面がV字状の複数の溝が形成されることによって、複数の条(第2パターン)pb1,pb2が形成されている。これらの条pb1,pb2の断面における頂角θ2は、上述したθ1と同程度の範囲内で設定され、配列ピッチPi2は、上述したPi1と同程度の範囲内で設定される。特に限定されないが、一例として、この実施形態では、θ2=110°、Pi2=70μmに設定されている。
【0033】
コアプレート11のパターン付与面11Aの条pa1を構成する面(以下、構成面ともいう)21は、その最大平均表面粗さRaで10nm以上に設定された面(以下、粗面ともいう)となっており、条pa2を構成する面(以下、構成面ともいう)22は、その最大平均表面粗さRaで10nm未満に設定された面(以下、鏡面ともいう)となっており、パターン付与面11Aのパターンは、その構成面21,21が粗面からなる複数の条pa1と、その構成面22,22が鏡面からなる複数の条pa2とを適宜に組み合わせることにより構成されている。なお、最大平均表面粗さとは、パターンが形成された面の表面粗さのうち、最も大きい方向の表面粗さのことである。
【0034】
コアプレート11のパターン付与面11Aの最大平均表面粗さRaが10nm以上に設定された部分(以下、粗面部分ともいう)の面積、即ち、複数の条pa1の総面積(1本の条pa1の構成面21,21の面積に条pa1の数を乗じたもの)Sa1と、最大平均表面粗さRaが10nm未満に設定された部分(以下、鏡面部分ともいう)の面積、即ち、複数の条pb1の総面積(1本の条pa2の構成面22,22の面積に条pb1の数を乗じたもの)Sa2との面積割合は、条pa1と条pa2とのそれぞれの本数を適宜に変更することにより調整することができる。
【0035】
スタンパー8のパターン付与面8Aの条pb1を構成する面(以下、構成面ともいう)23は、その最大平均表面粗さRaで10nm以上に設定された面(以下、粗面ともいう)となっており、条pb2を構成する面(以下、構成面ともいう)24は、その最大平均表面粗さRaで10nm未満に設定された面(以下、鏡面ともいう)となっており、パターン付与面8Aのパターンは、その構成面23,23が粗面からなる複数の条pb1と、その構成面24,24が鏡面からなる複数の条pb2とを適宜に組み合わせることにより構成されている。
【0036】
スタンパー8のパターン付与面8Aの最大平均表面粗さRaが10nm以上に設定された部分(以下、粗面部分ともいう)の面積、即ち、複数の条pb1の総面積(1本の条pb1の構成面23,23の面積に条pb1の数を乗じたもの)Sb1と、最大平均表面粗さRaが10nm未満に設定された部分(以下、鏡面部分ともいう)の面積、即ち、複数の条pb2の総面積(1本の条pb2の構成面24,24の面積に条pb2の数を乗じたもの)Sb2との面積割合は、条pb1と条pb2とのそれぞれの本数を適宜に変更することにより調整することができる。
【0037】
なお、コアプレート11Aおよびスタンパー8において、それぞれの粗面部分の平均表面粗さ(Ra)は、最大で、充填される溶融樹脂の粘性(ないし流動性)との関係において設定され、溶融樹脂が当該粗面部分を構成する凹部の内側に流れ込まない程度の値に設定する必要がある。溶融樹脂が当該粗面部分を構成する凹部の内側に流れ込んでしまうと、アンカー効果によって、却って離型制御性を悪化させてしまう場合があるとともに、光学特性が劣化する場合があるためである。例えば、樹脂として、日本ゼオン株式会社製のゼオノア(登録商標)ZNR1060R(ガラス転移温度Tg:100℃)を用いる場合には、粗面部分の平均表面粗さRaは500nm程度以下に設定される。一般的な樹脂(アクリル樹脂(射出成形グレード)やポリカーボネート樹脂(射出成形グレード)の場合には、1000nm程度以下に設定される。
【0038】
このような前提において、コアプレート11とスタンパー8に温度差をつけずに離型制御性を向上するための方策としては、下記の2つがある。
【0039】
(第1の方策)
コアプレート11のパターン付与面11Aにおける粗面部分の全体(鏡面部分+粗面部分)に対する面積割合をR1(%)とし、スタンパー8のパターン付与面8Aにおける粗面部分の全体(鏡面部分+粗面部分)に対する面積割合をR2(%)として、下記(式1)の関係が成立するように、それぞれの面積割合R1,R2を設定する。
R1≧R2×1.3 …(式1)
【0040】
コアプレート11とスタンパー8の温度を成形に適した同一の温度に設定した場合において、成形品がスタンパー8側に残る確率を高くできることが、後述する本発明者による実験により明らかとなっている。
【0041】
パターン付与面11A,8Aにおける各条pa1,pa2,pb1,pb2は、コアプレート11またはスタンパー8の母材に、先端がV字状に形成されたバイトを用いて並列的に複数の溝(V溝)を所定のピッチで切削加工することにより形成することができる。上述した(式1)の関係を満たすためには、平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である粗面部分を形成するバイトとしての粗面加工用のバイトと、平均表面粗さ(Ra)が10nm未満である鏡面部分を形成するバイトとしての鏡面加工用のバイトとを準備し、形成すべき条列のうち、一部の条(数本〜数十本)を粗面加工用のバイトを用いて切削し、残りの条を鏡面加工用のバイトを用いて切削すればよい。
【0042】
鏡面加工用のバイトとしては、例えば、加工物の平均表面粗さ(Ra)で10nm未満の切削が可能な単結晶ダイヤモンドバイトを用いることができる。また、粗面加工用のバイトとしては、例えば、図4に示されるように、鏡面加工用の単結晶ダイヤモンドバイト31の刃先部分をFIB(Focused Ion Beam)加工等により、その一部または全部に切削方向に複数の溝(切り欠き)32を間欠的に形成することにより、加工物の平均表面粗さ(Ra)で100nm程度の切削が可能なように設定したものを用いることができる。この場合において、刃先部分に形成する溝32の部分のその余の部分(鏡面仕上げ部分)に対する割合は、例えば、27%・38%または45%としたものを用いることができる。また、粗面加工用のバイトとしては、加工物の平均表面粗さ(Ra)で200nm程度の切削が可能な焼結ダイヤモンドバイトを用いることもできる。
【0043】
具体的には、例えば、32本の条列を鏡面加工用バイトで切削形成し、次の1本を粗面加工用バイトで切削形成し、これらを繰り返して、必要な本数の条列を切削形成することにより、R1=3%としたコアプレート11を得ることができる。また、49本の条列を鏡面加工用バイトで切削形成し、次の1本を粗面加工用バイトで切削形成し、これらを繰り返して、必要な本数の条列を切削形成することにより、R2=2%としたスタンパー8を得ることができる。このようにして、上記の(式1)の関係を満たすコアプレート11およびスタンパー8を容易に得ることができる。
【0044】
なお、好ましくは、これらの面積割合R1,R2が下記(式2)の関係が成立するように設定することにより、離型制御性をさらに向上させることができ、スタンパー8側に成形品を確実に残し、より外観に優れた成形品を作成することができる。
R1≧R2×2.0 …(式2)
【0045】
また、上述した面積割合R1,R2は、それぞれ2%以上50%未満であることが好ましい。2%未満であると、十分な離型制御性を発現することができない場合があり、50%以上であると、特に、加工物の表面粗さが200nm程度となる焼結ダイヤモンドバイトを粗面部加工に使用した場合は、光学特性が劣化する場合があるためである。
【0046】
(第2の方策)
上記(式1)が成立しない場合、即ち、
R1<R2×1.3 …(式3)
が成立している場合において、第1パターンを構成する面の最大平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である部分(粗面部分)の当該平均表面粗さをRa1とし、第2パターンを構成する面の最大平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である部分(粗面部分)の当該平均表面粗さをRa2とし、下記(式4)が成立するように、それぞれの平均表面粗さRa1,Ra2を設定する。
Ra1≧Ra2×1.2 …(式4)
【0047】
これらの平均表面粗さRa1,Ra2を(式4)の関係が成立するように設定することにより、コアプレート11とスタンパー8の温度を成形に適した同一の温度に設定した場合において、成形品をスタンパー8側に残る確率を高くできることが、後述する本発明者による実験により明らかとなっている。ここで、Ra1、Ra2は、光学特性と離型性の観点から、それぞれ、20〜500nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。
【0048】
これらの条列は、上述した第1の方策と同様に、コアプレート11またはスタンパー8の母材に、先端がV字状に形成されたバイトを用いた切削加工により形成することができる。上述した(式4)の関係を満たすためには、平均表面粗さ(Ra)が10nm以上である粗面部分を形成するバイトとして、それぞれ粗さの異なる複数の粗面加工用のバイト(例えば、粗さが比較的に粗い第1粗面加工用バイト、粗さが比較的に粗くない第2粗面加工用バイトと、平均表面粗さ(Ra)が10nm未満である鏡面部分を形成するバイトとして、鏡面加工用のバイトとを準備する。
【0049】
コアプレート11については、形成すべき条列のうち、一部の条(数本〜数十本)を第1粗面加工用のバイトを用いて切削し、残りの条を鏡面加工用のバイトを用いて切削する。スタンパー8については、形成すべき条列のうち、一部の条(数本〜数十本)を第2粗面加工用のバイトを用いて切削し、残りの条を鏡面加工用のバイトを用いて切削する。
【0050】
鏡面加工用のバイトとしては、上述した第1の方策と同様のものを用いることができる。コアプレート11を切削加工するための粗面加工用のバイト(第1粗面加工用バイト)として、例えば、図4を参照して既述したような、FIB加工した単結晶ダイヤモンドバイト(溝の割合が38%のもの)を用い、スタンパー8を切削加工するための粗面加工用のバイト(第2粗面加工用バイト)として、FIB加工した単結晶ダイヤモンドバイト(溝割合が27%のもの)を用いることができる。また、コアプレート11を切削加工するための粗面加工用のバイト(第1粗面加工用バイト)として、例えば、加工物の平均表面粗さ(Ra)で200nm程度の切削が可能な焼結ダイヤモンドバイトを用い、スタンパー8を切削加工するための粗面加工用(第2粗面加工用バイト)のバイトとして、FIB加工した単結晶ダイヤモンドバイト(溝割合が27%・38%または45%のもの)を用いることができる。
【0051】
具体的には、コアプレート11については、例えば、32本の条を鏡面加工用バイトで切削形成し、次の1本を第1粗面加工用バイトで切削形成し、これらを繰り返して、必要な本数の条列を切削形成することにより、R1=3%としたコアプレート11を得ることができる。また、スタンパー8については、同様に、32本の条を鏡面加工用バイトで切削形成し、次の1本を第2粗面加工用バイトで切削形成し、これらを繰り返して、必要な本数の条列を切削形成することにより、R2=3%としたスタンパー8を得ることができる。このようにして、上記の(式3)および(式4)を満たすコアプレート11およびスタンパー8を容易に得ることができる。
【0052】
なお、コアプレート11の全条列を第1粗面加工用のバイトで形成してR1=100%とし、スタンパー8の全条列を第2粗面加工用のバイトで形成してR2=100%として、上述した(式3)および(式4)を満たすようにしてもよい。
【0053】
上述した本実施形態によると、固定側金型6と可動側金型4との間に温度差をつけなくても、高い確率で成形品としての光拡散板を可動側金型4の側に残すことができる。即ち、離型制御性が高い金型である。従って、この金型を用いることにより、固定側金型6と可動側金型4との間に温度差が無く、その両面に高い転写率でパターン(条列)が転写・形成されるため、輝度ムラ等が少なく、良好な光学特性を有する光拡散板を製造することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0055】
(共通事項)
コアプレートおよびスタンパーとして、その材質がSUS404の厚板にニッケルリンめっきにより、150μmのメッキ層を形成し、平掛け(表面を平坦に研削)後、バイトを用いた切削加工により、複数のV溝を配列的に形成することにより、下記の仕様で条列を形成したものを用いた。なお、ここでは、32インチの光学用平板部材(光拡散板)を製造するものとして、コアプレートおよびスタンパーには、その外形寸法が縦498×横788mmのものを用いた。
【0056】
樹脂としては、日本ゼオン株式会社製のゼオノア(登録商標)ZNR1060R(ガラス転移温度Tg:100℃)を用いた。成形時におけるコアプレートの温度、およびスタンパーの温度は、何れも90℃に制御した。型締め力は4415kN、樹脂の充填圧力は240MPaとした。上記の条件で、20回の成形を行った。
【0057】
条列の形成、即ち溝の切削に用いたバイトは、以下の10種類である。
(1)バイト1:鏡面加工用の単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=7nm程度)、頂角110°
(2)バイト2:鏡面加工用の単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=7nm程度)、頂角140°
(3)バイト3:粗面加工用のFIB加工(溝割合27%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=80nm程度)、頂角110°
(4)バイト4:粗面加工用のFIB加工(溝割合27%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=80nm程度)、頂角140°
(5)バイト5:粗面加工用のFIB加工(溝割合38%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=100nm程度)、頂角110°
(6)バイト6:粗面加工用のFIB加工(溝割合38%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=100nm程度)、頂角140°
(7)バイト7:粗面加工用のFIB加工(溝割合45%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=115nm程度)、頂角110°
(8)バイト8:粗面加工用のFIB加工(溝割合45%)した単結晶ダイヤモンドバイト(Ra=120nm程度)、頂角140°
(9)バイト9:粗面加工用の焼結ダイヤモンドバイト(Ra=200nm程度)、頂角110°
(10)バイト10:粗面加工用の焼結ダイヤモンドバイト(Ra=200nm程度)、頂角140°
【0058】
評価は、以下の基準により行った。
【0059】
製品外観:目視での観察により行った。
◎:成形品はマクロ・ミクロにも平坦で、離型が完全に一方方向に行われていることが確認できる。
○:成形品はマクロには平坦で、拡散板として使用するにも問題は全くない。ミクロには、離型のばらつきによる痕がパターン面に確認される。
△:成形品に目視でも変形が確認される。ただし、拡散板としてバックライトにはめ込むことはできる(今回の実施例には該当無し)。
×:成形品に大きな変形があり、拡散板としてバックライトに使用するためには不具合がある。
【0060】
離型性:
○:拡散板として使用する上で問題ない。(外観の△以上)
×:拡散板として使用する上で問題がある。(外観の×以下)
【0061】
輝度ムラ:32in8灯のCCFLバックライトを用いて評価した評価時に、バックライト上に拡散板をセットし、拡散シート・BEFを載せ、評価は、目視で実施した。
○:目視では輝度ムラが観察されない。実用上、全く問題がない。
△:専門の監視員が注意深く観察すると輝度ムラが観察できる。実用上は問題ない。
×:目視で輝度ムラがはっきり観察される。バックライトとして使用するのに問題がある。
【0062】
(実施例1−1)
この実施例1−1は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=5%、R2=3%、即ち、倍率(R1/R2)=1.67に設定した場合である。
【0063】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとした。その加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしバイト10を用いた。鏡面加工用のバイト2で19本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=5%のコアプレートを製造した。
【0064】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとした。その加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いた。鏡面加工用バイトで32本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=3%のスタンパーを製造した。
【0065】
その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。拡散板としての製品外観、離型性についても問題は無かったが、スタンパー面の端部に一部離型ムラによると思われる面の変化が確認された。
【0066】
(実施例1−2)
この実施例1−2は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=4%、R2=3%、即ち、倍率(R1/R2)=1.33に設定した場合である。
【0067】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしバイト10を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用のバイト2で24本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=4%のコアプレートを製造した。
【0068】
スタンパーについては、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで32本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=3%のスタンパーを製造した。
【0069】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。拡散板としては、製品外観、離型性についても問題は無かったが、実施例1−1と同様、スタンパー面の端部に一部離型ムラによると思われる面の変化が確認された。
【0070】
(実施例1−3)
この実施例1−3は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=5%、R2=2.5%、即ち、倍率(R1/R2)=2.00に設定した場合である。
【0071】
コアプレートについては、上述した実施例1−1と同じである。
【0072】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで39本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=2.5%のスタンパーを製造した。
【0073】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例1−1ならびに実施例1−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0074】
(実施例1−4)
この実施例1−4は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=5%、R2=2%、即ち、倍率(R1/R2)=2.50に設定した場合である。
【0075】
コアプレートについては、上述した実施例1−1と同じである。
【0076】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで49本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=2%のスタンパーを製造した。
【0077】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例1−3と同様、実施例1−1ならびに実施例1−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0078】
(実施例1−5)
この実施例1−5は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=10%、R2=5%、即ち、倍率(R1/R2)=2.00に設定した場合である。
【0079】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしバイト10を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用のバイト2で9本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=10%のコアプレートを製造した。
【0080】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで19本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=5%のスタンパーを製造した。
【0081】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例1−3と同様、実施例1−1ならびに実施例1−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0082】
(実施例1−6)
この実施例1−6は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=33%、R2=10%、即ち、倍率(R1/R2)=3.30に設定した場合である。
【0083】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしバイト10を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用のバイト2で2本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=33%のコアプレートを製造した。
【0084】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで9本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=10%のスタンパーを製造した。
【0085】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が91%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例1−3と同様、実施例1−1ならびに実施例1−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0086】
(実施例1−7)
この実施例1−7は、上述した第1の方策に対応した実施例であり、上記(式1)の関係が成立するように、面積割合R1=50%、R2=25%、即ち、倍率(R1/R2)=2.00に設定した場合である。
【0087】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしバイト10を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用のバイト2で1本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=50%のコアプレートを製造した。
【0088】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで3本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=25%のスタンパーを製造した。
【0089】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が91%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ実施例1−1〜実施例1−6のいずれと比較してもやや劣るが、概ね良好であった。製品外観、離型性については問題は無かった。さらに、実施例1−3と同様、実施例1−1ならびに実施例1−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0090】
(比較例1−1)
この比較例1−1は、上述した第1の方策に対応した実施例1−1〜実施例1−7に関連した比較例であり、上記(式1)の関係が成立しないように、面積割合R1=5%、R2=4%、即ち、倍率(R1/R2)=1.25に設定した場合である。
【0091】
コアプレートについては、上述した実施例1−1と同じである。
【0092】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで24本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=4%のスタンパーを製造した。
【0093】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、離型制御性が低く、すべての成形品はスタンパー側に残ったが、20回の成形加工のうち、4回に、型開き時に成形品の一部分がコアプレート側に残っていたことに由来する成形品の変形が発生し、成形品の概観は拡散板として不適切であった。
【0094】
(比較例1−2)
この比較例1−2は、上述した第1の方策に対応した実施例1−1〜実施例1−7に関連した比較例であり、上記(式1)の関係が成立しないように、面積割合R1=5%、R2=5%、即ち、倍率(R1/R2)=1.00に設定した場合である。
【0095】
コアプレートについては、上述した実施例1−1と同じである。
【0096】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとし、その加工に、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト9を用いたのは、上述した実施例1−1と同じである。鏡面加工用バイトで19本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=5%のスタンパーを製造した。
【0097】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、離型制御性が低く、成形品がコアプレート側に残ることがあった。
【0098】
(比較例1−3)
この比較例1−3は、上述した第1の方策に対応した実施例1−1〜実施例1−7に関連した比較例であり、面積割合R1=0%、R2=0%に設定した場合、即ち、パターンの全てが鏡面部分からなる場合である。
【0099】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例1−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2のみを用い、全ての溝が鏡面加工用のバイト2で切削されたコアプレートを製造した。
【0100】
スタンパーについては、頂角θ1=110°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例1−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1のみを用い、全ての溝が鏡面加工用のバイト1で切削されたスタンパー8を製造した。
【0101】
その他は、実施例1−1と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、離型制御性が低く、成形品がコアプレート側に残ることがあった。さらには、成形品の一部がスタンパー側、他の部分がコアプレート側に残り、型開き時に成形品の大きな変形を伴うものもあった。
【0102】
(比較例1−4)
この比較例1−4は、上述した第1の方策に対応した実施例1−1〜実施例1−7に関連した比較例であり、コアプレートの温度を80℃、スタンパーの温度を90℃に制御したこと以外は、比較例1−3と同じとした。その結果を表1に示す。表1に示されるように、離型制御性は良好であったが、金型温度が低い面の転写率が低く、輝度ムラが認められるとともに、成形品がスタンパー側から取り外し難く、脱型時に変形を伴う例もあり、製品外観、離型性ともに不良であった。
【0103】
【表1】

【0104】
(実施例2−1)
この実施例2−1は、上述した第2の方策に対応した実施例であり、上記(式3)の関係が成立するように、面積割合R1=5%、R2=5%、即ち、倍率(R1/R2)=1.00に設定するとともに、上記の(式4)の関係が成立するように、平均表面粗さ(Ra)をRa1=115nm、Ra2=82nm、倍率(Ra1/Ra2)=1.40に設定した場合である。
【0105】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとした。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしてバイト8を用いた。鏡面加工用のバイト2で19本に対して、粗面加工用のバイト6で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=5%、粗面部分の平均表面粗さRa1=115nmのコアプレートを製造した。
【0106】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとした。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト3を用いた。鏡面加工用バイトで19本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=5%、粗面部分の平均表面粗さRa2=82nmのスタンパーを製造した。
【0107】
なお、平均表面粗さRa1,Ra2は、粗さ測定機を用いて、条列を構成する面(斜面)において、条列の長手方向に実質的に直交する方向に測定した値である。
【0108】
その結果を表2に示す。表2に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が93%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても拡散板として、問題は無かったが、実施例1−1と同様、スタンパー面の端部に一部離型ムラによると思われる面の変化が確認された。
【0109】
(実施例2−2)
この実施例2−2は、上述した第2の方策に対応した実施例であり、上記(式3)の関係が成立するように、面積割合R1,R2を上記の実施例2−1と同じに設定するとともに、上記の(式4)の関係が成立するように、平均表面粗さ(Ra)をRa1=100nm、Ra2=82nm、倍率(Ra1/Ra2)=1.22に設定した場合である。
【0110】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしてバイト6を用いた。鏡面加工用のバイト1で19本に対して、粗面加工用のバイト6で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=5%、粗面部分の平均表面粗さRa1=100nmのコアプレートを製造した。
【0111】
スタンパーについては、上述した実施例2−1と同じである。
【0112】
その他は、実施例2−1と同じとした。その結果を表2に示す。表2に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。拡散板として、製品外観、離型性についても問題は無かったが、実施例1−1と同様、スタンパー面の端部に一部離型ムラによると思われる面の変化が確認された。
【0113】
(実施例2−3)
この実施例2−3は、上述した第2の方策に対応した実施例であり、上記(式3)の関係が成立するように、面積割合R1,R2を上記の実施例2−1と同じに設定するとともに、上記の(式4)の関係が成立するように、平均表面粗さ(Ra)をRa1=179nm、Ra2=120nm、倍率(Ra1/Ra2)=1.49に設定した場合である。
【0114】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしてバイト10を用いた。鏡面加工用のバイト2で19本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=5%、粗面部分の平均表面粗さRa1=179nmのコアプレートを製造した。
【0115】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト7を用いた。鏡面加工用バイトで19本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=5%(粗面部分が5%、鏡面部分が95%)、粗面部分の平均表面粗さRa2=120nmのスタンパーを製造した。
【0116】
その他は、実施例2−1と同じとした。その結果を表示2に示す。表2に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が93%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例2−1ならびに実施例2−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0117】
(実施例2−4)
この実施例2−4は、上述した第2の方策に対応した実施例であり、上記(式3)の関係が成立するように、面積割合R1,R2を上記の実施例2−1と同じに設定するとともに、上記の(式4)の関係が成立するように、平均表面粗さ(Ra)をRa1=183nm、Ra2=77nm、倍率(Ra1/Ra2)=2.38に設定した場合である。
【0118】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしてバイト10を用いた。鏡面加工用のバイト2で32本に対して、粗面加工用のバイト10で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=3%、粗面部分の平均表面粗さRa1=183nmのコアプレートを製造した。
【0119】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト3を用いた。鏡面加工用バイトで32本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=3%(粗面部分が3%、鏡面部分が97%)、粗面部分の平均表面粗さRa2=77nmのスタンパーを製造した。
【0120】
その他は、実施例2−1と同じとした。その結果を表示2に示す。表2に示されるように、20回の成形加工において、全ての成形品がスタンパー(第2金型)側に残り、離型制御性は良好であった。転写率は、コアプレート側の面(面1)が92%、スタンパー側の面(面2)が92%と良好であり、成形品について輝度ムラを観察したところ良好であった。製品外観、離型性についても問題は無かった。さらに、実施例2−3と同様、実施例2−1ならびに実施例2−2に観察されたスタンパー面端面の離型ムラによる面の変化も観察されなかった。
【0121】
(比較例2−1)
この比較例2−1は、上述した第2の方策に対応した実施例2−1〜2−4に関連した比較例であり、上記(式4)の関係が成立しないように、平均表面粗さRa1=115nm、Ra2=102nm、即ち、倍率(Ra1/Ra2)=1.17に設定した場合の例である。
【0122】
コアプレートについては、頂角θ1=140°、パターンピッチPi1=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト2と、粗面加工用のバイトとしてバイト8を用いた。鏡面加工用のバイト2で19本に対して、粗面加工用のバイト8で1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R1=5%、粗面部分の平均表面粗さRa1=115nmのコアプレートを製造した。
【0123】
スタンパーについては、頂角θ2=110°、パターンピッチPi2=70μmとしたのは上述した実施例2−1と同じである。この加工には、鏡面加工用のバイトとしてバイト1と、粗面加工用のバイトとしてバイト5を用いた。鏡面加工用バイトで19本に対して、粗面加工用バイトで1本の割合で、溝を繰り返し形成し、面積割合R2=5%(粗面部分が5%、鏡面部分が95%)、粗面部分の平均表面粗さRa2=98nmのスタンパーを製造した。
【0124】
その他は、実施例2−1と同じとした。その結果を表示2に示す。表2に示されるように、離型制御性が低く、成形品がコアプレート側に残ることがあった。
【0125】
(比較例2−2)
この比較例2−1は、上述した第2の方策に対応した実施例2−1〜2−3に関連した比較例であり、上記(式4)の関係が成立しないように、平均表面粗さRa1=100nm、Ra2=98nm、即ち、倍率(Ra1/Ra2)=0.98(Ra1とRa2を入れ替えると、Ra1/Ra2=1.02)に設定した場合の例である。
【0126】
コアプレートについては、上述した実施例2−2と同じである。
【0127】
スタンパーについては、上述した比較例2−1と同じである。
【0128】
その他は、実施例2−1と同じとした。その結果を表示2に示す。表2に示されるように、離型制御性が低く、成形品がコアプレート側に残ることがあった。
【0129】
【表2】

【0130】
なお、以上説明した実施形態および実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施形態の射出成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態の射出成形用金型のコアプレートの要部構成を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態の射出成形用金型のスタンパーの要部構成を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態の射出成形用金型の条列の切削加工に用いるバイトの要部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
2…射出成形用金型、
4…可動側金型、
6…固定側金型
8…スタンパー
8A…スタンパーのパターン付与面
10…キャビティ、
11…コアプレート、
11A…コアプレートのパターン付与面、
12…ゲート、
13…ホットランナー、
21〜24…条列(パターン)を構成する面
pa1,pa2…条(第1パターン)
pb1,pb2…条(第2パターン)
31…バイト
32…溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の両面に凹凸状のパターンを有する光学用平板部材を製造するために用いられる金型であって、
前記板状体の一方の面にパターンを付与する第1パターンが形成された第1金型と、
前記板状体の他方の面にパターンを付与する第2パターンが形成された第2金型とを備え、
前記第1パターンを構成する面を、最大平均表面粗さが10nm以上である第1部分と、最大平均表面粗さが10nm未満である第2部分とから構成し、
前記第2パターンを構成する面を、最大平均表面粗さが10nm以上である第3部分と、最大平均表面粗さが10nm未満である第4部分とから構成し、
前記第1部分の前記第1パターンの全体に対する面積割合をR1とし、
前記第3部分の前記第2パターンの全体に対する面積割合をR2とし、
前記第1部分の当該平均表面粗さをRa1とし、
前記第3部分の当該平均表面粗さをRa2とし、
下記条件(I)または(II)の関係を満たす金型。
(I) R1≧R2×1.3
(II)R1<R2×1.3 かつ Ra1≧Ra2×1.2
【請求項2】
前記第1パターンおよび前記第2パターンは、条列である請求項1に記載の金型。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金型を用いて射出成形により前記光学用平板部材を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−58284(P2010−58284A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223546(P2008−223546)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】