説明

金型の取り付け方法

【課題】パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うこと。
【解決手段】ダイとパンチとが材料を打ち抜く際の精度で組まれている交換式ユニットを準備することと、前記交換式ユニットの前記ダイの下面と打ち抜き装置における載置面とが接するように、前記交換式ユニットを前記載置面に載置することと、前記ダイを前記載置面に固定することと、前記パンチを移動方向に移動させる上型の下面と前記パンチの上面とが接するように、前記上型を移動することと、前記上型と前記パンチとを固定することと、を含む金型の取り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の材料に対して打ち抜き加工がなされる。打ち抜き加工を行うにあたり、製品に対応したパンチ、ストリッパー、及び、ダイが打ち抜き装置に取り付けられる。特許文献1には、パンチ、ストリッパー、及び、ダイにより材料が打ち抜き加工されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−171954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、製造の分野において少量多品種生産の割合が増加しつつある。少量多品種生産を行うためには、比較的高頻度に、パンチ、ストリッパー、及び、ダイの交換が必要となる。しかしながら、これらの打ち抜き装置への取り付けは高い精度をもって行うことが必要である。さらに、生産性を低下させないために、これらを素早く取り付けることが望ましい。すなわち、パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うことが望ましいのである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明に係る金型の取り付け方法は、
ダイとパンチとが材料を打ち抜く際の精度で組まれている交換式ユニットを準備することと、
前記交換式ユニットの前記ダイの下面と打ち抜き装置における載置面とが接するように、前記交換式ユニットを前記載置面に載置することと、
前記ダイを前記載置面に固定することと、
前記パンチを移動方向に移動させる上型の下面と前記パンチの上面とが接するように、前記上型を移動することと、
前記上型と前記パンチとを固定することと、
を含むことを特徴とする。
このように、予め材料を打ち抜く際の精度で組まれた交換式ユニットについて、組まれた状態を維持した状態で、ダイの下面と打ち抜き装置の載置面とを面で接触させ固定し、パンチの上面と上型の下面とを面で接触させ固定する。よって、ダイとパンチとが材料を打ち抜く精度を維持した状態で素早く取り付けを完了することができる。すなわち、パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うことができる。
【0007】
また、本発明に係る金型の取り付け方法において、前記交換式ユニットには、さらに、前記打ち抜き時において前記材料を押さえるストリッパーが組み付けられていることを特徴とする。
このようにすることで、ストリッパーの取り付けについても素早くかつ高精度に行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る金型の取り付け方法において、前記交換式ユニットは、前記パンチの一部と前記ダイの一部が前記ストリッパーの一部を挟み込んだ状態で組まれることを特徴とする。
このようにすることで、交換式ユニットを押圧することでパンチとダイとストリッパーの相対位置精度を維持したままこれらを打ち抜き装置に取り付けることができる。
【0009】
また、本発明に係る金型の取り付け方法において、前記パンチの前記上型への固定は、前記上型が前記載置面に載置された前記交換式ユニットを押圧することにより、前記パンチと前記ストリッパーと前記ダイとの位置が固定された状態で行われることを特徴とする。
このようにすることで、交換式ユニットにおけるパンチとダイとストリッパーの相対位置精度を維持したまま、パンチとダイとストリッパーを打ち抜き装置に取り付けることができる。
【0010】
また、本発明に係る金型の取り付け方法において、前記ダイの前記載置面への固定は、前記ダイの下面と前記載置面との摩擦力により行われ、前記パンチの前記上型への固定は、前記パンチの上面と前記上型の下面との摩擦力により行われることを特徴とする。
このように、面と面との摩擦力により固定する構造とすることで、交換式ユニットの組み付け精度を維持したままダイと載置面との固定、及び、パンチと上型との固定をすることができる。
【0011】
また、本発明に係る金型の取り付け方法において、前記上型を移動させる動力源はサーボモーターであることを特徴とする。
このようにサーボモーターを用いることで、上型の移動を精度良く行うことができる。そして、上型の下面を所定の圧力でパンチの上面に押しつけるようにした状態で、パンチの上型への取り付けを行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
このように、予め材料を打ち抜く際の精度で組まれた交換式ユニットについて、組まれた状態を維持した状態で、ダイの下面と打ち抜き装置の載置面とを面で接触させ固定し、パンチの上面と上型の下面とを面で接触させ固定する。よって、ダイとパンチとが材料を打ち抜く精度を維持した状態で素早く取り付けを完了することができる。すなわち、パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における打ち抜き装置1の第1の正面図である。
【図2】本実施形態における打ち抜き装置1の側面図である。
【図3】本実施形態における打ち抜き装置1の第2の正面図である。
【図4】本実施形態における打ち抜き装置1の第3の正面図である。
【図5】本実施形態における交換式ユニット30の説明図である。
【図6】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けのフローチャートである。
【図7】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第1説明図である。
【図8】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第2説明図である。
【図9】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第3説明図である。
【図10】ロックレバーによるダイ33の取り付けの説明図である。
【図11】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第4説明図である。
【図12】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第5説明図である。
【図13】本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第6説明図である。
【図14】ロックレバーによるパンチ31の取り付けの説明図である。
【図15】ロックレバーを用いたパンチ31及びダイ33の取り付けの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態における打ち抜き装置1について説明を行う。説明に用いられる図には、それぞれX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向が示されており、これらの図示により各部位の取り付け位置、及び、移動方向が理解できるようになっている。なお、打ち抜き装置1であるためパンチ等の上下移動の説明が頻繁になされるが、特に断りのない限り、Z軸のプラス方向が上昇方向であり、マイナス方向が下降方向である。
【0015】
図1は、本実施形態における打ち抜き装置1の第1の正面図である。図2は、本実施形態における打ち抜き装置1の側面図である。以下、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態における打ち抜き装置1の概要について説明を行う。
【0016】
打ち抜き装置1は、概して、パンチ31と共に上昇及び下降を行う上型10の移動を担う部分、打ち抜く際に材料を押さえるストリッパー32の移動を担う部分、及び、ダイ33を含み打ち抜き後の製品を受ける下型の部分からなる。
【0017】
まず、ストリッパー32を移動させる機構について説明を行う。ストリッパー32を移動させる機構は、主として、ストリッパー駆動用サーボモーター51、昇降ガイド機構52、ボールねじユニット53、連結部54、及び、連結部材56を備える。
【0018】
ストリッパー駆動用サーボモーター51は、架台72に固定されている。そして、操作パネル71からの指令に応じてストリッパー駆動用サーボモーター51はその出力軸に回転駆動力を生じさせる。ストリッパー駆動用サーボモーター51の出力軸は、連結部材56を介してボールねじユニット53のねじ軸531に同一軸上で接続し、ねじ軸53を回転させる。
【0019】
ねじ軸53の回転力はボールねじユニット53において外筒(ナット)532を上下方向(Z軸方向)に移動させる。外筒532は連結部54を介して昇降ガイド機構52の昇降シャフト521を軸の長手方向(Z軸方向)に移動させる。昇降シャフト521は、ベアリング522によりX軸方向及びY軸方向の移動が規制されZ軸方向のみに移動させられる。昇降シャフト521の端部には、ストリッパープレート20とロードセル551とブッシュプレート552が固定されている。
【0020】
ストリッパープレート20は、ベアリング522によりX軸方向及びY軸方向の移動が規制される他、インナーガイドポスト64(図2において、他部分の視認性向上のため破線で示される)によってもその移動方向がZ軸方向のみに規制され、精密にZ軸方向の移動が可能となっている。
【0021】
これにより、ストリッパー駆動用サーボモーター51が回転させられると、その回転力がボールねじユニット53により上下方向(Z軸方向)の駆動力に変換され、連結部54を介して昇降ガイド機構に取り付けられたストリッパープレート20を上下方向に移動させる。ストリッパープレート20には、ストリッパー32が取り付けられており、打ち抜き動作時において材料をダイ33と共に挟み込む。
【0022】
次に、上型10を移動させる機構について説明を行う。上型10を移動させる機構でもボールねじユニットを用いた前述のストリッパーの移動機構とほぼ同様の機構となっている。上型10を移動させる機構は、上型駆動用サーボモーター61、ギヤボックス62、ボールねじユニット66、連結部67、昇降シャフト68、及び、連結部材69を備える。
【0023】
上型駆動用サーボモーター61は、本実施形態における打ち抜き装置1の上部に固定されている。そして、操作パネル71からの指令に応じて上型駆動用サーボモーター61はその出力軸に回転駆動力を生じさせる。上型駆動用サーボモーター61の出力軸は、ギヤボックス62を介してボールねじユニット66のねじ軸661に接続された連結部材69を回転させる。連結部材69は、ねじ軸661と同一軸上で回転可能であり、連結部材69が回転させられると、ねじ軸661も回転させられる。
【0024】
ねじ軸661の回転力は、ボールねじユニット66において外筒(ナット)662を上下方向(Z軸方向)に移動させる。外筒662は、連結部67を介して昇降ガイド機構68の昇降シャフト681を軸の長手方向(Z軸方向)に移動させる。昇降シャフト681はベアリング682によりX軸方向及びY軸方向の移動が規制されZ軸方向のみに移動させられる。昇降シャフト68の端部には、プレスラム65が固定され、プレスラム65の先には、上型10を構成する上型ダイセット14及びパンチプレート13が取り付けられている。パンチプレート13にはパンチ31が固定される。
【0025】
これにより、上型駆動用サーボモーター61が回転させられると、その回転力がギヤボックス62内のギヤ及びボールねじユニット66により上下方向(Z軸方向)の駆動力に変換され、プレスラム65を介して上型10を上下方向に移動させる。
【0026】
次に、下型40の構造について説明する。下型40は、ダイプレート43、下バッキングプレート44、下型ダイセット45、及び、ベース46を含む。下型40には、エアーシリンダー81、ロッカーアーム82、ノックアウト84、及び、ノックアウトホルダー85が組み込まれている。
【0027】
ノックアウト84は、打ち抜かれる材料を受ける機能を有する。ノックアウト84の下部に設けられた係合部は、ノックアウトホルダー85の上部に設けられた係合部と係合し、ノックアウトホルダー85の動作に追従するようにノックアウト84が上下方向(Z軸方向)に移動する。なお、ノックアウト84とノックアウトホルダー85は、上下方向に若干の遊びを有して係合している。
【0028】
ノックアウトホルダー85は、その内部にバネを備え、これによりノックアウトホルダー85の上部に所定の反力を生じさせる。これにより、パンチ31が材料を打ち抜く際、ノックアウトホルダー85の上部のノックアウト84も所定の反力をもって打ち抜き中の材料を受ける。
【0029】
ノックアウトホルダー85は、ロッカーアーム82及びエアーシリンダー81のロッド811の動作により上下方向に移動可能となっている。ノックアウトホルダー85が最下点に移動すると、ノックアウト84もその最下点にまで移動する。下型40は、ノックアウト84の最下点において、打ち抜き後の製品を回収するための回収口88を有する。このような構成とすることで、打ち抜き後の製品を下型40の下方向に逃がした後、回収口88から製品を回収できる。
【0030】
また、打ち抜き装置11は、これらを操作するための操作パネル71と、これらの動作を非常停止させるための非常停止ボタン73を含む。また、ストリッパープレート20の上下方向の移動限界を検知するための近接センサー74を備える。
【0031】
図3は、本実施形態における打ち抜き装置1の第2の正面図である。図4は、本実施形態における打ち抜き装置1の第3の正面図である。これらの図と、前述の図1を参照しつつ、本実施形態における打ち抜き装置1の動作を説明する。
【0032】
まず、図1のように、パンチ31を含む上型10が打ち抜き動作時の上死点に移動され、かつ、ストリッパー32を含むストリッパープレート20もその打ち抜き動作時の上死点に移動されている状態において、打ち抜かれる材料がダイ33の上に載置される。
【0033】
次に、ストリッパー駆動用サーボモーター51が動作させられ、ストリッパープレート20が下降(Z軸マイナス方向)させられる。ストリッパープレート20は、ダイプレート43に接触する寸前まで移動させられ、ストリッパー32とダイ33とで材料が挟み込まれる(図3)。
【0034】
ストリッパー32とダイ33とで材料が挟み込まれ、確実に材料が固定されると、次に、上型駆動用サーボモーター61が動作させられ、上型10が下降(Z軸マイナス方向)させられる。上型10に固定されているダイ31も同時に下降し、そのままストリッパー32の中空部分を通過し、材料をダイ33との剪断力によって打ち抜く。打ち抜かれた材料は、ノックアウト84により受けられる。(図4)
【0035】
図5は、本実施形態における交換式ユニット30の説明図である。図5には、交換式ユニット30の上面図(X−Y平面から見た図)と、正面図(X−Z平面から見た図)と、側面図(Y−Z平面から見た図)が示されている。
【0036】
図5には、パンチ31とストリッパー32とダイ33が示されている。これらは、予め外段取りとして、打ち抜き装置に取り付けられる前に交換式ユニット30として組まれている。パンチ31は、パンチボディ311とパンチ上部材312を備え、ボルト313により両者は締結されている。X−Z平面から見ると、パンチボディ311の上面とパンチ上部材312とで略台形状の空間を形成しており、この略台形状の空間に第3ロック駒36の台形状部分が配置される。
【0037】
パンチ31と第3ロック駒36には、円形かつZ軸方向に延びる孔が2つ形成され、それぞれの孔に円柱状のガイドピン35が挿入されている。ガイドピン35は孔に対して摺動可能に挿入されているため、第3ロック駒36は、ガイドピン35をガイドとしてZ軸方向にのみ移動可能となっている。また、第3ロック駒36の上部には、Y−Z平面から見たときに斜めに傾斜する矩形状の斜溝361が設けられている。
【0038】
このような構成により、斜溝361にくさび状先端を有するロックレバーが挿入されると、そのテーパーの効果により第3ロック駒36は上方向に持ち上げられる。そして、パンチ上部材312の接触面314と、第3ロック駒36の接触面362とが接触することにより、パンチ31自体も上方向に持ち上げられる構造となっている。
【0039】
ダイ33の中空部及びストリッパー32の中空部にパンチ31の刃先部分が挿入されるように交換式ユニット30が組まれる。ストリッパー32は、その底面がダイ33の上面と接し、その上面がパンチ31のパンチ上部材の一部と接するように組まれる。
【0040】
交換式ユニット30において、パンチ31とストリッパー32とのX軸方向及びY軸方向のクリアランスは、例えば20μmとなるように組み付けられている。また、交換式ユニット30において、パンチ31の先端とダイ33とのX軸方向及びY軸方向のクリアランスは、ほぼゼロとなるように組まれる。このように、交換式ユニット30が組み上げられている段階で、パンチ31とダイ33とのクリアランスの精度が確保されているため、この状態を維持したまま打ち抜き装置1に取り付けることができれば、この精度を有したまま打ち抜きも行うことができることになる。
【0041】
ダイ33は、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bを備える。Y−Z平面から見た図において、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bは、共に「T字」状の形状を有している。そして、ダイ33の底辺部材331に設けられた矩形状の孔に掛かる。第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bには、共にY−Z平面から見たときに斜めに傾斜する矩形状の斜溝341が設けられている。
【0042】
このような構成により、斜溝341にくさび状先端を有するロックレバーが挿入されると、そのテーパーの効果により、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bは下方向(Z軸マイナス方向)に引かれる。第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bは、共にダイ33の底辺部材331に掛かるため、これによりダイ33も下方向に引かれることになる。
【0043】
図6は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けのフローチャートである。以下、本フローチャートを参照しつつ、交換式ユニット30の取り付けについて説明する。
【0044】
最初に、交換式ユニット30の準備が行われる(S102)。交換式ユニット30は、前述の図5に示される交換式ユニット30である。このように、交換式ユニット30が準備される段階で、既に、パンチ31とストリッパー32と、ダイ33の三者間の精度が確保されているので、以下に示すような取り付け方法を採用することで、図5におけるX軸方向及びY軸方向の精度を確保したまま打ち抜き装置1にパンチ31、ストリッパー32、及び、ダイ33を取り付けることができることになる。
【0045】
次に、ダイを取り付ける工程が行われる(S104)。
【0046】
図7は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第1説明図である。図7には2つの図が示されており、向かって左側の図は、X−Z平面として見た図であり、右側の図は、Y−Z平面として見た図である(以下、図8〜図12も同様である)。これらの図は、各部間相互の位置が分かるように断面図となっている。左図には、上型10と、ストリッパー20と、交換式ユニット30と、下型40が示されている。上型10及びストリッパー20は、それぞれ独立にZ軸方向に移動可能である。なお、これらを上下移動させるための部材については、説明の簡略化のために不図示としている。
【0047】
右図にも、上型10と、ストリッパー20と、交換式ユニット30と、下型40が示されている。上型10は、パンチプレート13と上型ダイセット14と、第3ロックレバー11と、固定ボルト12を備える。これらは、後述するように、交換式ユニット30のうちパンチ31を上型10に固定する際に使用される。
【0048】
また、下型40は、ダイプレート43と、下バッキングプレート44と、下型ダイセット45と、ベース46と、第1ロックレバー41Aと、第2ロックレバー41B(第1ロックレバー41Aと第2ロックレバー41BはX軸方向に重なるように存在する)と固定ボルト42を備える。これらも、後述するように、ダイ33を下型40に固定する際に使用される。
【0049】
このような構成において、交換式ユニット30がストリッパー20(及び上型10)と下型40との間に挿入される。
【0050】
図8は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第2説明図である。次に、交換式ユニット30が下型40内に載置される。ダイプレート43には、交換式ユニット30ダイ33が嵌り込む空間431が設けられ、かつ、ダイ33が載置される台座432が設けられている。台座432の中央部分にはロック駒34A及び第2ロック駒34Bの下部が通過する孔が設けられている。
【0051】
また、下バッキングプレート44には、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bが入り込む矩形状の孔441がZ軸方向に形成されている。さらに、後述するように、下バッキングプレート44には、第1ロックレバー41A及び第2ロックレバー41BがY軸方向に摺動可能にするための摺動孔442も設けられている。
【0052】
交換式ユニット30が下型40内に載置されると、ダイプレート43内の空間431にはダイ33が入り、さらに、ダイプレート43の矩形状孔434及び下バッキングプレート44の矩形状孔441には、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bが入り込む。但し、現時点ではこれら各部位は下型40には固定されておらず、X軸方向及びY軸方向にも若干ながら移動可能な状態である。
【0053】
図9は、本実施形態における交換式ユニット30取り付けの第3説明図である。また、図10は、ロックレバーによるダイ33の取り付けの説明図である。図10は、X−Y平面から見た図となっている。図10には、ロックレバーユニット41が示され、第1ロックレバー41A及び第2ロックレバー41Bがロックレバー連結部材41Cを介して連結されている様子が示されている。
【0054】
前述のように、交換式ユニット30が下型40内に挿入されると、次に、ダイ33が下型40に固定されることになる。ダイ33の固定は、ロックボルト412が下バッキングプレート44にねじ込まれ、ロックレバーユニット41がY軸プラス方向に移動させられることにより、第1ロックレバー41A及び第2ロックレバー41Bがそれぞれの摺動孔442をY軸プラス方向に摺動される。
【0055】
図8と図9を比較すると、図9では第1ロックレバー41A及び第2ロックレバー41BがY軸プラス方向に移動していることが確認できる。Y軸プラス方向に移動させられると第1ロックレバー41A及び第2ロックレバー41Bのくさび状の先端411が斜孔341に当接し、第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bを下方(Z軸マイナス方向)に押し下げる。第1ロック駒34A及び第2ロック駒34Bは、ダイ33を下方に引き下げ、ダイ33の下面が台座432の上面に強く押しつけられる。この状態で、固定ボルト42によりロックレバーユニット41と下型ダイセット45とが固定される。このようにすることによって、ダイ33の下面と下バッキングプレート44の上面との間に生ずる摩擦力により、ダイ33が固定されることになる。
【0056】
図11は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第4説明図である。次に、ストリッパープレート20にストリッパー32が固定される。ストリッパー32の固定は、まず、ストリッパープレート20の下面がダイプレート43の上面に接するまで下降される。ストリッパープレート20にも、ストリッパー32が挿入されるだけの十分な矩形状の空間21が設けられている。ストリッパープレート20が下降すると、この空間21にストリッパー32が挿入される。そして、ストリッパー32とストリッパープレート20は、固定ボルト22により固定される。
【0057】
次に、パンチ31を取り付ける工程が行われる(S106)。
【0058】
図12は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第5説明図である。まず、パンチ31を上型10に取り付けるために、上型10がパンチ31に接触し、上型駆動用サーボモーター61に所定の負荷が生じるまで下降させられる。すなわち、パンチ31にはZ軸方向に所定の圧力がかかっている状態となる。そうすると、パンチプレート13の下面がパンチ31の上面に接するとともに、第3ロック駒36の上部がパンチプレート13に設けられた空間131に挿入される。空間131は、第3ロック駒36が入り込むのに十分な空間である。
【0059】
図13は、本実施形態における交換式ユニット30の取り付けの第6説明図である。また、図14は、ロックレバーによるパンチ31の取り付けの説明図である。図14は、X−Y平面から見た図となっている。図14には、第3ロックレバー11の上面からの形状、及び、第3ロックレバー11とパンチプレート13とこれらを締結するロックボルト112の上面からの位置関係が示されている。また、第3ロックレバー11のくさび状の先端111と、第3ロック駒36との位置関係が示されている。また、図15は、ロックレバーを用いたパンチ31及びダイ33の取り付けの側面図である。図15には、パンチ31及びダイ33の取り付けが完了した状態における各部材の位置が示されている。
【0060】
上型10が下降させられ、パンチプレート13の下面がパンチ31の上面に接するようにされると、次に、パンチ31がパンチプレート13に固定されることになる。パンチ31の固定は、第3ロックレバー11が摺動孔132を通り、Y軸プラス方向に摺動される。図12と図13を比較すると、図13では第3ロックレバー11がY軸プラス方向に移動していることが確認できる。
【0061】
Y軸プラス方向に移動させられると、第3ロックレバー11のくさび状の先端111が斜溝361に当接し、第3ロック駒36を上方(Z軸プラス方向)に押し上げる。第3ロック駒36は、パンチ31を上方に押圧し、パンチ31の上面をパンチプレート13の下面にさらに強く押しつける。この状態で、固定ボルト12によりロックレバー11と固定用スペーサー141とが固定される。固定用スペーサー141は、上型ダイセット14に固定されている部材である。このようにすることによって、パンチ31の上面とパンチプレート13の下面との間に生ずる摩擦力により、パンチ31が固定されることになる。
【0062】
このようにして、ダイ33が下型40に取り付けられ、ストリッパー32がストリッパープレート20に取り付けられ、パンチ31が上型10に取り付けられる。その後、上型10は上昇し、ストリッパープレート20も上昇する。
【0063】
このように、パンチ31、ストリッパー32、及び、ダイ33の三者間の位置精度が確保された状態で、各部位が打ち抜き装置1に固定されることとなる。よって、交換式ユニット30の精度を確保しておけば、その精度を維持したまま容易に打ち抜き装置1に取り付けることができる。すなわち、パンチ及びダイの取り付けを効率的かつ高精度に行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 打ち抜き装置、
10 上型、11 第3ロックレバー、
111 くさび状の先端、112 ロックボルト、
12 固定ボルト、
13 パンチプレート、131 空間、132 摺動孔、
14 上型ダイセット、141 固定用スペーサー、
20 ストリッパープレート、21 空間、22 固定ボルト、
30 交換式ユニット、
31 パンチ、311 パンチボディ、312 パンチ上部材、
313 ボルト、314 接触面、
32 ストリッパー、33 ダイ、
34A 第1ロック駒、34B 第2ロック駒、341 斜溝、
35 ガイドピン、36 第3ロック駒、361 斜溝、362 接触面、
40 下型、41 ロックレバーユニット、
41A 第1ロックレバー、41B 第2ロックレバー、
41C ロックレバー連結部材、
411 くさび状の先端、412 ロックボルト、
42 固定ボルト、43 ダイプレート、431 空間、
432 台座、434 矩形状孔
44 下バッキングプレート、441 矩形状孔、442 摺動孔、
45 下型ダイセット、46 ベース、
51 ストリッパー駆動用サーボモーター、
52 昇降ガイド機構、521 昇降シャフト、522 ベアリング、
53 ボールねじユニット、531 ねじ軸、532 外筒(ナット)、
54 連結部、541 連結部材、542 メインアーム、
551 ロードセル、552 ブッシュプレート、
56 連結部材、
61 上型駆動用サーボモーター、62 ギヤボックス、
63 インナーガイドブッシュ、64 インナーガイドポスト、65 プレスラム、
66 ボールねじユニット、661 ねじ軸、662 外筒(ナット)、
67 連結部、671 連結部材、672 メインアーム、
68 昇降ガイド機構、681 昇降シャフト、682 ベアリング、
69 連結部材、
71 操作パネル、72 架台、73 非常停止ボタン、74 近接センサー
81 エアーシリンダー、811 ロッド、
82 ロッカーアーム、84 ノックアウト、
85 ノックアウトホルダー、88 回収口、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイとパンチとが材料を打ち抜く際の精度で組まれている交換式ユニットを準備することと、
前記交換式ユニットの前記ダイの下面と打ち抜き装置における載置面とが接するように、前記交換式ユニットを前記載置面に載置することと、
前記ダイを前記載置面に固定することと、
前記パンチを移動方向に移動させる上型の下面と前記パンチの上面とが接するように、前記上型を移動することと、
前記上型と前記パンチとを固定することと、
を含む金型の取り付け方法。
【請求項2】
前記交換式ユニットには、さらに、前記打ち抜き時において前記材料を押さえるストリッパーが組み付けられている、請求項1に記載の金型の取り付け方法。
【請求項3】
前記交換式ユニットは、前記パンチの一部と前記ダイの一部が前記ストリッパーの一部を挟み込んだ状態で組まれる、請求項2に記載の金型の取り付け方法。
【請求項4】
前記パンチの前記上型への固定は、前記上型が前記載置面に載置された前記交換式ユニットを押圧することにより、前記パンチと前記ストリッパーと前記ダイとの位置が固定された状態で行われる、請求項3に記載の金型の取り付け方法。
【請求項5】
前記ダイの前記載置面への固定は、前記ダイの下面と前記載置面との摩擦力により行われ、前記パンチの前記上型への固定は、前記パンチの上面と前記上型の下面との摩擦力により行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の金型の取り付け方法。
【請求項6】
前記上型を移動させる動力源はサーボモーターである、請求項1〜5のいずれかに記載の金型の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−46941(P2013−46941A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185909(P2011−185909)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(394020815)株式会社野上技研 (4)
【Fターム(参考)】