説明

金型装置

【課題】 分割された各金型部の製作が容易で安価にできる。管理や組み付け作業が容易にでき、溝形状が複雑で且つ溝深さの深い桁部形成用金型部における冷却用の水漏れ対策が必要でない。平面視におけるサイズの異なるものや桁部の高さの異なるパレットを選択的に成形する。
【解決手段】 デッキ面部100の片面に複数の桁部101を突設したパレット102を形成するための固定金型1と移動金型2とよりなる金型装置である。固定金型1乃至移動金型2の少なくとも一方の金型を複数の桁部101をそれぞれ形成するための複数の桁部形成用金型部3と、桁部101部分を除くデッキ面部100を形成するためのデッキ面部形成用金型部4とを組み合わせて構成する。各桁部101を形成するための各桁部形成用金型部3をそれぞれ独立した一体のブロックとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製のパレットを成形するための金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からデッキ面部の片面に複数の桁部を突設したパレットを形成するための金型として1つの桁部と該桁部の周囲のデッキ面部の一部を形成するための桁部・デッキ面部形成用分割型を複数設け、該桁部・デッキ面部形成用分割型間にスペーサ用型を任意に配置してサイズの異なるパレットを形成できるようにしたものが、例えば特許文献1により知られている。
【0003】
また、各桁部を形成するための複数の桁部形成用金型部と、桁部を除くデッキ面部を形成するためのデッキ面部形成用金型部とを分割し、更に、各桁部形成用金型部を複数の桁部形成用分割型に分割すると共に桁部形成用分割型間に桁部用スペーサ金型部を配置してサイズの異なる桁部形成用金型部の構成が選択できるようにし、また、デッキ面部形成用金型部を複数の共通型と共通型間に選択的に配置されるスペーサ用型とで構成し、これによりサイズの異なるパレットを形成できるようにしたものが、例えば特許文献2により知られている。
【0004】
ところが、前者の従来例にあっては、1つの桁部と該桁部の周囲のデッキ面部の一部を形成するための桁部・デッキ面部形成用分割型を基本の金型部としているので、基本となる金型部が大きくなって製作時間がかかるだけでなく、桁部・デッキ面部形成用分割型における桁部を形成する部分においてはキャビティとなる溝を深く形成すると共にデッキ面部の一部を形成する部分においてはキャビティとなる溝を浅く形成する必要があり、更に、この深い溝の端部において浅い溝を連続させる必要があり、これらの加工が複雑でこの点でも金型製作時間がかかり金型コストが高くなるという問題があり、また、1つの桁部と該桁部の周囲のデッキ面部の一部を形成するための桁部・デッキ面部形成用分割型を基本の金型部としているので、この基本となる金型部が大きいため、管理や組み付け作業も大変となるという問題がある。
【0005】
また、後者の従来例にあっては、各桁部形成用金型部を複数の桁部形成用分割型に分割すると共に桁部形成用分割型間に種々のサイズの桁部用スペーサ金型部を選択して配置してサイズの異なる桁部形成用金型部を構成するものであるから、つまり、デッキ面部形成用金型部を分割するだけでなく、更に桁部形成用金型部を分割するので、パレットを形成するための金型を構成する金型部の点数が多くなり、桁部形成用分割型、桁部用スペーサ金型部の製作時間や管理や組み付け作業が大変になるという問題がある。
【0006】
また、各桁部形成用金型部を複数の桁部形成用分割型に分割するので、各桁部形成用分割型に設けた冷却用通路同士を連通する箇所における防水対策が必要であり、特に、桁部形成用金型部や桁部用スペーサ金型部に形成されるキャビティとなる溝が深いので溝底付近に設けた冷却通路に連通させて溝と溝との間に冷却タンク部を形成する必要があるが、複数の桁部形成用分割型に分割したものにおいては、溝と溝との間に冷却タンク部を形成することができず、溝底付近からしか冷却できず、深い溝よりなるキャビティを安定して均一に冷却することができないという問題がある。
【0007】
また、いずれの従来例においても、平面視におけるサイズの異なるパレットを選択的に成形するための金型が開示してあるに過ぎず、桁部の高さの異なるパレットを選択的に成形することについては開示がない。
【0008】
ここで、上記前者の従来例において、桁部の高さの異なるものを形成しようとすると、1つの桁部と該桁部の周囲のデッキ面部の一部を形成するための桁部・デッキ面部形成用分割型において、桁部を形成する部分のキャビティとなる溝の深さの異なるものを複数種類用意するのであるが、この場合、デッキ面部の一部を形成するための溝の深さが一定となった部分が一体に形成してあるため、桁部を形成する部分のキャビティとなる溝の深さが異なる複数種類の桁部・デッキ面部形成用分割型の製作に多大な時間が必要となり、使用しない桁部・デッキ面部形成用分割型の保管スペースも広くなるという問題があって実用的でない。
【0009】
また、上記後者の従来例において、桁部の高さの異なるものを形成しようとすると、高さの異なる複数種類の桁部を形成するための各桁部形成用金型部をそれぞれ構成するための各桁部形成用分割型、桁部用スペーサ金型部の点数が多く必要で、製作に時間がかかり、管理が大変となるという問題があって実用的でない。
【0010】
このように、従来から一部の金型部を共通のものとして使用しながらパレットの桁部の高さの異なるものを簡単に成形するようにした金型装置が今だ提供されていないのが現状である。
【特許文献1】実公昭51−3557号公報
【特許文献2】特開平6−79757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、分割された各金型部の製作が容易で安価にでき、また、管理や組み付け作業が容易にでき、溝形状が複雑で且つ溝深さの深い桁部形成用金型部における冷却用の水漏れ対策が必要でなく、更に、平面視におけるサイズの異なるものや桁部の高さの異なるパレットを選択的に成形することができる金型装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る金型装置は、デッキ面部100の片面に複数の桁部101を突設したパレット102を形成するための固定金型1と移動金型2とよりなる金型装置であって、固定金型1乃至移動金型2の少なくとも一方の金型を複数の桁部101をそれぞれ形成するための複数の桁部形成用金型部3と、桁部101部分を除くデッキ面部100を形成するためのデッキ面部形成用金型部4とを組み合わせて構成し、上記各桁部101を形成するための各桁部形成用金型部3をそれぞれ独立した一体のブロックとして成ることを特徴とするものである。
【0013】
このように、複数の桁部101をそれぞれ形成するための複数の桁部形成用金型部3と、桁部101部分を除くデッキ面部100を形成するためのデッキ面部形成用金型部4とを組み合わせて金型を構成するので、桁部形成用金型部3には桁部101を形成するためのキャビティ部となる深さの深い溝を形成し、デッキ面部形成用金型部4にはデッキ面部100を形成するためのキャビティ部となる深さの浅い溝を形成すればよく、桁部形成用金型部3、デッキ面部形成用金型部4の製作がそれぞれ容易にできるものであり、また、各桁部101を形成するための各桁部形成用金型部3をそれぞれ独立した一体のブロックとしてあることで、深さが深く形状が複雑な溝を有する桁部形成用金型部3の溝と溝との間に冷却タンク部39を形成することが可能となり、このようにキャビティ部を構成する溝と溝との間に確実に冷却タンク部39を形成できて冷却が均等にでき、また、桁部形成用金型部3内において防水対策を施す必要がなく、水漏れのおそれが無いものであり、更に、一体のブロックとした桁部形成用金型部3の平面視のサイズが異なるものやデッキ面部形成用金型部4の平面サイズの異なるものを使用することで平面視のサイズの異なるパレット102を形成したり、あるいは、一体のブロックとした桁部形成用金型部3の高さの異なるものを使用することで、デッキ面部100の厚みはそのままで桁部101の突出長さ(桁部101の高さ)の異なるパレット102を形成することも可能となる。
【0014】
また、複数のデッキ面部形成用分割型5を組み合わせることでデッキ面部形成用金型部4を構成し、デッキ面部形成用分割型5の組み合わせ数又は/及びサイズの異なるものを選択して組み合わせることで大きさの異なるデッキ面部形成用金型部4を形成することが好ましい。
【0015】
このようにデッキ面部形成用分割型5の組み合わせ数又は/及びサイズの異なるものを選択して組み合わせることで、大きさの異なるデッキ面部形成用金型部4を選択的に形成できるものである。
【0016】
また、複数のデッキ面部形成用分割型5を組み合わせることでデッキ面部形成用金型部4を構成するに当たり、デッキ面部形成用分割型5を、構成されるデッキ面部形成用金型部4の大きさにかかわらず使用される複数の共通型6と、構成されるデッキ面部形成用金型部4の大きさに応じて使用される複数のスペーサ用型7とに分類し、複数の共通型6のみでデッキ面部形成用金型部4を構成するかあるいは複数の共通型6と任意のスペーサ用型7とを組み合わせてデッキ面部形成用金型部4を構成するかを選択自在とすることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、複数の共通型6を基本金型部としてこれに任意のスペーサ用型7の組み合わせを選択するだけで、平面サイズの異なる種々の大きさのパレット102を形成することができる。
【0018】
また、桁部形成用金型部3を、デッキ面部100の四隅の桁部101を形成するための4つの隅桁部形成用金型部8と、デッキ面部100の各辺の中間の桁部101を形成するための4つの中間桁部形成用金型部9と、デッキ面部100の中央部の桁部101を形成するための1つの中央桁部形成用金型部10とで構成し、デッキ面部100の中央部を形成するための共通型6を中央共通型6eとすると共に中央共通型6eの中央に中央孔11を形成し、該中央孔11に中央桁部形成用金型部10を着脱自在に嵌め込み、中間桁部形成用金型部9として、上記中央桁部形成用金型部10と対向する辺のサイズが上記中央桁部形成用金型部10の対向する辺と同じで且つ隅桁部形成用金型部8と対向する辺のサイズが異なる複数種類用意し、隅桁部形成用金型部8として、上記中間桁部形成用金型部9とそれぞれ対向する各辺のサイズが中間桁部形成用金型部9の対向する辺の複数種類のサイズと同じ複数種類のサイズとなった複数種類用意し、各隅桁部形成用金型部8の周囲の共通型6を、隅桁部形成用金型部8の中央桁部形成用金型部10に対向するコーナ部の外側に位置する部分に配置する1つの隅コーナ共通型6aと、隅桁部形成用金型部8の中間桁部形成用金型部9と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの隅側部共通型6bとの3つで構成し、各中間桁部形成用金型部9の周囲の共通型6を、中間桁部形成用金型部9の中央桁部形成用金型部10に対向する辺の外側に位置する部分に配置する1つの中間中央共通型6cと、中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの中間側部共通型6dとの3つで構成し、隅側部共通型6bと隅コーナ共通型6aとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間と、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間とに挟まれた部分、中間側部共通型6dと中間中央共通型6cとの間、中間中央共通型6cと中央共通型6eとの間、隅コーナ共通型6aと中央共通型6eとの間に、サイズによって必要なスペーサ用型7を選択的に配設することが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、少ない点数の金型部を選択して組み合わせることで平面視におけるサイズが種々異なるパレット102を形成するための金型を構成でき、しかも、この場合、隅部の桁部101や中間の桁部101の平面視におけるサイズが種々異なる金型を構成できる。
【0020】
また、桁部形成用金型部3として高さが異なる複数種類のものがあり、複数種類の桁部形成用金型部3としてそれぞれ複数種類の高さの異なるものの中から同じ高さの桁部形成用金型部3を選択して用いることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、1つのブロックとして独立した桁部形成用金型部3の高さの異なるものを選択してデッキ面部形成用金型部4と組み合わせることで桁部101の突出長さ(桁部101の高さ)の異なるパレット102を形成するための金型を簡単に構成できる。
【0022】
また、金型の外周に位置する桁部形成用金型部3及びデッキ面部形成用金型部4の各外周に沿った辺に一体に突出長さが長い枠部38を設けることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることで、種々のサイズのパレット102を形成するための金型を構成できるものでありながら、別途外周の枠材を必要とせず、部材点数が少なくなり、組み付けも容易に行えるものである。
【0024】
また、パレット102の桁部101が外周桁壁101aと外周桁壁101aに囲まれた部分に設けられて桁部101の補強をするための外周桁壁101aと同じ高さの補強リブ101bとで構成され、該桁部101の補強リブ101bを形成するための補強リブ形成用キャビティ部19を桁部形成用金型部3に形成することが好ましい。
【0025】
このような構成とすることで、補強リブ101bにより補強された桁部101を形成できるのはもちろん、桁部形成用金型部3が独立した一体のブロックであるため、補強リブ形成用キャビティ部19を形成するのに支障がなく、また、桁部形成用金型部3のサイズにより、形成する補強リブ101bの本数を増やしたり、色々な形状にできるものである。また、桁部形成用金型部3が独立した一体のブロックに補強リブ形成用キャビティ部19を形成しても該補強リブ形成用キャビティ部19以外の部位に冷却タンク部39を設けることが可能となる。
【0026】
また、桁部形成用金型部3とデッキ面部形成用金型部4とが隣接する箇所において、桁部形成用金型部3の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用内側傾斜面部12と、該キャビティ用内側傾斜面部12の奥側に外側方に突出した溝底形成用底面部13と、溝底形成用底面部13の突出先端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行な桁部側当接面部14を形成し、デッキ面部形成用金型部4の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用外側傾斜面部15と、キャビティ用外側傾斜面部15の奥端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行なデッキ面部側当接面部16を形成し、溝底形成用底面部13の突出先端をデッキ面部側当接面部16のキャビティ用外側傾斜面部15の奥端側の端部に当接するか又はデッキ面部側当接面部16の任意の位置に選択的に当接すると共に、桁部側当接面部14とデッキ面部側当接面部16とを当接してキャビティ用内側傾斜面部12と溝底形成用底面部13とキャビティ用外側傾斜面部15とで囲まれた溝により桁部101の外周桁壁101aを形成するための外周桁壁形成用キャビティ部17を形成することが好ましい。
【0027】
このような構成とすることで、突出長さの異なる桁部101を形成するために桁部形成用金型部3として外周桁壁形成用キャビティ部17の溝底となる溝底形成用底面部13の深さ位置が異なるものであっても、溝底形成用底面部13の突出先端をデッキ面部側当接面部16のキャビティ用外側傾斜面部15の奥端側の端部に当接するか又はデッキ面部側当接面部16の任意の位置に選択的に当接するだけで、共通のデッキ面部形成用金型部4を利用してキャビティ用内側傾斜面部12と溝底形成用底面部13とキャビティ用外側傾斜面部15とで囲まれた溝により深さが異なる外周桁壁形成用キャビティ部17を簡単に構成でき、しかも、外周桁壁形成用キャビティ部17の溝奥部分においても片側はキャビティ用内側傾斜面部12、他の片側は成形品の抜き方向と平行なデッキ面部側当接面部16であるため、成形品を簡単に抜型することができるものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、キャビティ部となる溝の深さが深い桁部形成用金型部と、デッキ面部を形成するための溝の深さが浅いデッキ面部形成用金型部とが別体であるため、分割された各金型部の製作が容易で且つ安価にでき、また、管理や組み付け作業が容易にでき、特に、桁部を形成するための各桁部形成用金型部をそれぞれ独立した一体のブロックとしてあるので、溝形状が複雑で且つ溝深さの深い桁部形成用金型部における冷却用の水漏れ対策が必要でなく、更に、平面視におけるサイズの異なるものや桁部の高さの異なるパレットを選択的に成形することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0030】
本発明のパレット102は図5(a)(b)、図9(a)(b)、図13(a)(b)のように、デッキ面部100の片面に複数の桁部101を突設したもので、該パレット102は上記のようにデッキ面部100の片面に複数の桁部101を突設しただけの形態でも使用が可能であるが、図5(c)、図9(c)、図13(c)に示すように、上記パレット102を2枚使用し、下のパレット102を上下に反転し、対向する桁部101の突出先端部同士を熱溶着などの固着手段で固着してパレット体103を構成してもよいものである。上記パレット102又はパレット体103は隣合う桁部101間の隙間がフォーク挿入部となっている。
【0031】
上記のようなデッキ面部100の片面に複数の桁部101を突設したパレット102は図14に示すように固定金型1と移動金型2とよりなる金型装置を用いて合成樹脂の圧縮成形により成形するものである。
【0032】
固定金型1乃至移動金型2の少なくとも一方の金型、図14においては上型である固定金型1を複数の桁部101をそれぞれ形成するための複数の桁部形成用金型部3と、桁部101部分を除くデッキ面部100を形成するためのデッキ面部形成用金型部4とを組み合わせて構成した例である。
【0033】
図1乃至図4、図6乃至図8、図10乃至図12にはそれぞれ桁部形成用金型部3とデッキ面部形成用金型部4とを組み合わせて金型(固定金型1)を構成する各例が示してある。
【0034】
添付図面に示す実施形態では固定金型1を構成するに当たって、桁部形成用金型部3としては、デッキ面部100の四隅の桁部101を形成するための4つの隅桁部形成用金型部8と、デッキ面部100の各辺の中間の桁部101を形成するための4つの中間桁部形成用金型部9と、デッキ面部100の中央部の桁部101を形成するための1つの中央桁部形成用金型部10との合計9つの桁部形成用金型部3を使用するものである。これら9つの各桁部形成用金型部3は図2、図7、図11に示すようにそれぞれ独立した一体のブロックとして形成してある。
【0035】
一体のブロックとして形成した各桁部形成用金型部3は桁部101の外周桁壁101aや補強リブ101bを形成するための外周桁壁形成用キャビティ部17や補強リブ形成用キャビティ部19となる深さの深い溝18を形成してある。一体のブロックとして形成した各桁部形成用金型部3の深い溝18の溝底よりも奥側の部位には冷却水を流す冷却路34が形成してあり、更に、上記深い溝18の間の部位には上記冷却路34に連通した冷却タンク部39が形成してある。ここで、本発明においては桁部形成用金型部3が一体のブロックとして形成してあるので、深い溝18間の部位に冷却タンク部39を形成でき、また、冷却路34と冷却タンク部39との連通部分のシールも必要ない。
【0036】
ここで、形成する桁部101の突出長さが同じものの場合、中央桁部形成用金型部10は、平面視におけるサイズは1種類であるが、中間桁部形成用金型部9としては、上記中央桁部形成用金型部10と対向する辺のサイズが上記中央桁部形成用金型部10の対向する辺と同じで且つ隅桁部形成用金型部8と対向する辺のサイズが異なる複数種類あり、また、隅桁部形成用金型部8としては、上記中間桁部形成用金型部9とそれぞれ対向する各辺のサイズが中間桁部形成用金型部9の対向する辺の複数種類のサイズと同じ複数種類のサイズとなった複数種類ある。
【0037】
また、上記各桁部形成用金型部3としては形成する桁部101の突出長さの違いにより高さ(溝深さ)が異なる複数種類のものがある。
【0038】
デッキ面部形成用金型部4は図2、図7、図11に示すように、複数のデッキ面部形成用分割型5に分割してあって、この複数のデッキ面部形成用分割型5の組み合わせ数又は/及びサイズの異なるものを選択して組み合わせることで大きさの異なるデッキ面部形成用金型部4を形成するようになっている。
【0039】
デッキ面部形成用分割型5としては、構成されるデッキ面部形成用金型部4の大きさにかかわらず共通して使用される複数の共通型6と、構成されるデッキ面部形成用金型部4の大きさに応じて任意に使用される複数のスペーサ用型7とに分類してあり、複数の共通型6のみでデッキ面部形成用金型部4を構成するか、あるいは複数の共通型6と任意のスペーサ用型7とを組み合わせてデッキ面部形成用金型部4を構成するかを選択することで、平面視におけるサイズが種々異なるパレット102を形成するための一方の金型(実施形態では固定金型1)を組み立て構成することができる。
【0040】
共通して使用される共通型6としては、デッキ面部100の中央部を形成するための共通型6(これが中央共通型6eである)と、各隅桁部形成用金型部8の周囲の複数の共通型6と、中間桁部形成用金型部9の周囲の共通型6とがある。各隅桁部形成用金型部8の周囲の複数の共通型6は、隅桁部形成用金型部8の中央桁部形成用金型部10に対向するコーナ部の外側に位置する部分に配置する1つの隅コーナ共通型6aと、隅桁部形成用金型部8の中間桁部形成用金型部9と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの隅側部共通型6bとの3つで構成してある。また、各中間桁部形成用金型部9の周囲の共通型6は、中間桁部形成用金型部9の中央桁部形成用金型部10に対向する辺の外側に位置する部分に配置する1つの中間中央共通型6cと、中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの中間側部共通型6dとの3つで構成してある。
【0041】
中央共通型6eは平面視四角形状をしていて主型20の片面の中央部に予めボルトなどにより固定してあり、中央共通型6eの中央には中央孔11が設けてある。
【0042】
上記した各種のデッキ面部形成用分割型5にはデッキ面部100の桁部101部分を除く裏面側の底面リブ部104を形成するためのリブ形成用キャビティ部32となる浅い溝33が形成してあり、この浅い溝33は上記各桁部形成用金型部3に形成した深さの深い溝18よりも浅く形成してある。また、デッキ面部形成用分割型5の浅い溝33よりも奥側の部位には冷却路34が形成してある。
【0043】
上記の桁部形成用金型部3と、共通型6と、サイズによって必要なスペーサ用型7とを用いて各種サイズのパレット102を形成するための金型(実施形態では固定金型1)を構成するのである。
【0044】
例えば、最小のサイズのパレット102(例えば900mm×900mmサイズのパレット)を形成するための金型(実施形態では固定金型1)を構成するには、図7に示すように桁部形成用金型部3と、共通型6とを用意し、これらの各金型部を図6のように組み合わせて構成する。
【0045】
すなわち、主型20の片面の中央部に固着した中央共通型6eの中央孔11に中央桁部形成用金型部10を着脱自在に嵌め込み、嵌め込み位置決めした状態で主型20にボルトなどにより取付ける。この場合、中央桁部形成用金型部10には図1に示すように合成樹脂が供給されるゲート部26が形成してあり、該ゲート部26が主型20の中央部に設けた樹脂供給路(図示せず)に連通する。また、中央共通型6eと4隅の各隅桁部形成用金型部8との間に隅コーナ共通型6aを配置し、更に、各隅桁部形成用金型部8の中間桁部形成用金型部9と対向する2辺の各外側に位置する部分に隅側部共通型6bを配置し、また、中央共通型6eと4辺の各中間桁部形成用金型部9との間に中間中央共通型6cを配置し、更に、各中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する中間側部共通型6dを配置し、外周に位置する金型部の外側に複数に分割されたガイド枠37を配置して外周に位置する金型部を中央共通型6e側に向けて押圧するように主型20に取付けることで、隣接する各金型部同士をぴったりと当接した状態とし(ガイド枠37については後述の例において図4に示している)、この状態で各金型部を主型20にボルトで取付けたり、隣接する金型部同士をボルトで連結したりする。これにより図9(a)(b)に示す最小サイズのパレット102を形成するための金型(実施形態では固定金型1)が形成される。上記のように最小のサイズのパレット102を形成するための金型(実施形態では固定金型1)を構成する際、中間桁部形成用金型部9、隅桁部形成用金型部8としては、平面視におけるサイズが最小のものを使用する。実施形態では、中間桁部形成用金型部9の中央桁部形成用金型部10と対向する辺のサイズが該中央桁部形成用金型部10の対向する辺のサイズと同じであり、中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する辺のサイズが該隅桁部形成用金型部8の対向する辺のサイズと同じであり、更に、中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する辺のサイズが中間桁部形成用金型部9の中央桁部形成用金型部10と対向する辺のサイズよりも小さくなっている。
【0046】
また、上記最小サイズのパレット102より大きいサイズのパレット102を形成するための金型(実施形態では固定金型1)を構成するには、中間桁部形成用金型部9、隅桁部形成用金型部8として、上記最小のサイズのパレット102を形成するための金型(固定金型1)を構成するために使用した最小サイズの中間桁部形成用金型部9、隅桁部形成用金型部8よりも大きいサイズの中間桁部形成用金型部9、隅桁部形成用金型部8を使用する。また、隅側部共通型6bと隅コーナ共通型6aとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間と、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間とに挟まれた部分、中間側部共通型6dと中間中央共通型6cとの間、中間中央共通型6cと中央共通型6eとの間、隅コーナ共通型6aと中央共通型6eとの間の一部または全部に、サイズによって必要なスペーサ用型7を選択的に配設する。
【0047】
例えば、1200mm×1100mmサイズのパレット102を形成するための金型(固定金型1)を構成するには、図2に示すように桁部形成用金型部3と、共通型6に加え、1200mm×1100mmサイズとするために必要なスペーサ用型7を用意し、これらの各金型部を図1のように組み合わせて構成する(なお、この場合、中間桁部形成用金型部9、隅桁部形成用金型部8としては中央桁部形成用金型部10と同じサイズのものを使用している)。
【0048】
すなわち、主型20の片面の中央部に固着した中央共通型6eの中央孔11に中央桁部形成用金型部10を着脱自在に嵌め込み、嵌め込み位置決めした状態で主型20にボルトなどにより取付ける。また、中央共通型6eと4隅の各隅桁部形成用金型部8との間に隅コーナ共通型6aを配置し、更に、各隅桁部形成用金型部8の中間桁部形成用金型部9と対向する2辺の各外側に位置する部分に隅側部共通型6bを配置し、また、中央共通型6eと4辺の各中間桁部形成用金型部9との間に中間中央共通型6cを配置し、更に、各中間桁部形成用金型部9の隅桁部形成用金型部8と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する中間側部共通型6dを配置し、また、隅側部共通型6bと隅コーナ共通型6aとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間と、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間とに挟まれた部分、中間側部共通型6dと中間中央共通型6cとの間、中間中央共通型6cと中央共通型6eとの間、隅コーナ共通型6aと中央共通型6eとの間にそれぞれ1200mm×1100mmサイズとするために必要なスペーサ用型7を配置し、隣接する各金型部同士を当接した状態で、各金型部を主型20にボルトで取付けたり、隣接する金型部同士をボルトで連結したりする。これにより図1に示す1200mm×1100mmサイズのパレット102を形成するための金型が形成される。
【0049】
同様にして、形成しようとするパレット102のサイズに応じて、必要なスペーサ用型7を、隅側部共通型6bと隅コーナ共通型6aとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間、隅側部共通型6bと中間側部共通型6dとの間と、隅コーナ共通型6aと中間中央共通型6cとの間とに挟まれた部分、中間側部共通型6dと中間中央共通型6cとの間、中間中央共通型6cと中央共通型6eとの間、隅コーナ共通型6aと中央共通型6eとの間のいずれか、又は全部に適宜選択して配置することで、各種サイズのパレット102を形成するための金型(固定金型1)を構成できる。その一例として図13に示すような1000mm×1000mmサイズのパレット102を形成するための金型(固定金型1)として図10乃至図12に示すような構成の金型の例を示している。
【0050】
ところで、上記のようにして主型20の片面に複数の金型部を組み付けて各種サイズの金型(固定金型1)を構成するに当たって、主型20の片面に取付ける前に予め、図8のように最小サイズの場合には、1つの隅コーナ共通型6aと2つの隅側部共通型6bとをボルトにより連結してL字状をした隅金型部21を形成し、また、1つの中間中央共通型6cと2つの中間側部共通型6dとをボルトにより連結してコ字状をした中間金型部22を形成しておく。
【0051】
そして、主型20の片面の中央部に固定した平面視四角形状をした中央共通型6eを取付け基準として該中央共通型6eの4隅部の外側にそれぞれL字状をした隅金型部を配置すると共に隣接する隣接する隅金型部21間に中央共通型6eの各辺の外側に沿ってコ字状をした中間金型部22を配置する。この場合、上記中央共通型6eの隅部と隅金型部21のいずれか一方に凹部23を、いずれか他方に突部24を形成して凹部23と突部24を嵌め合わせるか、又は/及び、上記中央共通型6eの辺と中間金型部22のいずれか一方に凹部23を、いずれか他方に突部24を形成して凹部23と突部24を嵌め合わせることで、主型20の片面中央部に固定した組み付けの基準となる中央共通型6eの周囲に4つの隅金型部21と4つの中間金型部22を位置ずれしないように正確な位置に位置決め配置することができる。このようにして位置ずれしないように位置決め配置された各L字状の隅金型部21の入隅部にそれぞれ隅桁部形成用金型部8を嵌め込んで位置決めし、更に、上記のようにして位置ずれしないように位置決め配置されたコ字状をした中間金型部22の中間に設けた中間凹部25に中間桁部形成用金型部9を嵌め込んで位置決めし、この状態で各隅金型部21、中間金型部22、各隅桁部形成用金型部8、各中間桁部形成用金型部9をそれぞれ主型20にボルトにより取付けるものであり、更に、これに加えて必要に応じて隣接する金型部同士もボルトにより連結してもよい。
【0052】
一方、主型20の片面に複数の金型部を組み付けて最小サイズよりも大きい任意のサイズの金型(固定金型1)を構成するに当たっては、主型20の片面に取付ける前に予め、例えば、図3に示すように1つの隅コーナ共通型6aと、2つの隅側部共通型6bと、サイズによって選択的に使用される該当するサイズに対応したスペーサ用型7とをボルトにより連結してL字状をした隅金型部21を形成し、また、1つの中間中央共通型6cと、2つの中間側部共通型6dと、サイズによって選択的に使用される該当するサイズに対応したスペーサ用型7とをボルトにより連結してコ字状をした中間金型部22を形成しておく。
【0053】
そして、上記と同様にして主型20の片面の中央部に固定した平面視四角形状をした中央共通型6eを取付け基準として周囲に各金型部を順次位置決めしながら上記と同様の手順で組み付けていく。
【0054】
ここで、中央共通型6eの隅部と隅金型部21のいずれか一方に凹部23を、いずれか他方に突部24を形成して凹部23と突部24を嵌め合わせるか、又は/及び、上記中央共通型6eの辺と中間金型部22のいずれか一方に凹部23を、いずれか他方に突部24を形成して凹部23と突部24を嵌め合わせるので、主型20の中央部に固定した中央共通型6eを取付け基準として、4つの隅金型部21と4つの中間金型部22とが位置ずれしないように位置決め配置されることになり、更に、各隅桁部形成用金型部8がL字状の隅金型部21の入隅部に嵌め込んで位置決めされると共に、中間金型部22の中間に設けた中間凹部25に中間桁部形成用金型部9が嵌め込んで位置決めされるので、複数に分割した金型部が中央共通型6eを基準として相互に位置決め配置され、組み付けが正確に且つ容易に行えることになる。
【0055】
本発明においては、更に、形成されるパレット102の中央桁部の4隅、中間桁部の4隅、隅桁部の4隅のうち少なくとも隣接する中間桁部と対向する3隅を湾曲又は面取りとするために中央桁部形成用金型部10の4隅、中間桁部形成用金型部9の4隅、隅桁部形成用金型部8の少なくとも隣接する中間桁部形成用金型部9と対向する3隅を湾曲又は面取りしてある。これにより形成されるパレット102の桁部101間に形成されるフォーク挿入部にフォークを挿入した場合、フォーク挿入部に挿入されたフォークの先端が桁部101の一部に当たって欠けることやフォークの先端が引っ掛かりやすくて上手く差し込めないというようなトラブルが発生せず、桁部101を傷付けることなく奥までフォークを差し込むことができるものである。また、桁部101のコーナ部分にバリが出難いので使用してもバリがごみになることがない。
【0056】
また、本発明においては、添付図面に示すように、金型(固定金型1)の外周に位置する桁部形成用金型部3及びデッキ面部形成用金型部4の各外周に沿った辺には突出長さが長い枠部38を一体に設けてある。
【0057】
上記のようにして上型である固定金型1を構成するのであるが、この固定金型1と対をなす移動金型2の上面外周には段部28が設けてあり、固定金型1に移動金型2を型閉めした状態で上記移動金型2と固定金型1との間に隙間が形成されてこの隙間がパレット102のデッキ面部100の表面を形成するためのデッキ表面形成用キャビティ部29となり、上記固定金型1の外周に設けられた突出長さの長い枠部38が段部28に当接するようになっている。そして、上記デッキ表面形成用キャビティ部29が前記の桁部形成用金型部3に設けた深い溝よりなるキャビティ部や前記デッキ面部形成用金型部4に設けた浅い溝よりなるキャビティ部と連通して形成しようとするパレット102に対応したキャビティが形成される。
【0058】
また、上記のように各金型部を組み付けて固定金型1を構成した場合、各金型部に設けた冷却路34は単独で外部の冷却管36に連結してもよく、あるいは隣接する金型部の冷却路34の端部同士を連通させてもよい。隣接する金型部の冷却路34の端部同士を連通させる場合には水漏れがしないように隣接する金型部の突き合わせ部分にパッキンなどを介在させて連通させる。
【0059】
パレット102の成形に当たっては、固定金型1に対して移動金型2を少し離した状態で(つまり、枠部38が段部28から少し離れた状態で)、ゲート部から合成樹脂をキャビティ内に注入し、次に、移動金型2を移動してキャビティ内に入れた合成樹脂を加圧して圧縮しながら枠部38が段部28に当接するまで型締めして成形するものである。ここで、金型を成形機に取付けた後に、冷却管36から水などの冷媒が冷却路34に供給され、冷媒が冷却管36を流れることで成形品が冷却される。この時、デッキ面部形成用分割型5においてはリブ形成用キャビティ部32となる浅い溝33の奥側に設けた冷却路34で冷却されるが、桁部形成用金型部3においては深い溝18であるため、深い溝18の溝奥側においては冷却路34で冷却され、深い溝18間においては冷却タンク部39で冷却されることになって、桁部形成用金型部3部分のキャビティ部の各部分が均一に冷却されることになる。
【0060】
成形が完了すると移動金型2を上記とは逆方向に移動して型開きすると共に、成形品であるパレット102を取出すものである。
【0061】
そして、平面視におけるサイズの異なるパレット102を形成するには前述のようにサイズによって必要なスペーサ用型7を選択的に組み合わせることで種々のサイズのパレット102を形成することができる。
【0062】
また、本発明においては、使用する桁部形成用金型部3の高さ(キャビティとなる溝の深さ)が異なるものを選択して使用することで、デッキ面部100から突出する桁部101の突出長さが異なるパレット102を形成することができるものである。この場合、デッキ面部100の上下高さ(厚み)は変わらないので、デッキ面部形成用金型部4として溝の深さは一定で、平面視におけるサイズだけが異なるものを選択するだけでよい。
【0063】
このように溝の深さが異なる複数種類の桁部形成用金型部3と、溝の深さが一定の共通のデッキ面部形成用金型部4とを組み付けて金型(固定金型1)を構成するに当たって、本発明においては、図15に示すように、桁部形成用金型部3とデッキ面部形成用金型部4とが隣接する箇所において、桁部形成用金型部3の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用内側傾斜面部12と、該キャビティ用内側傾斜面部12の奥側に外側方に突出した溝底形成用底面部13と、溝底形成用底面部13の突出先端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行な桁部側当接面部14を形成し、また、デッキ面部形成用金型部4の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用外側傾斜面部15と、キャビティ用外側傾斜面部15の奥端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行なデッキ面部側当接面部16を形成してあり、溝底形成用底面部13の突出先端をデッキ面部側当接面部16のキャビティ用外側傾斜面部15の奥端側の端部に当接するか又はデッキ面部側当接面部16の任意の位置に選択的に当接すると共に桁部側当接面部14とデッキ面部側当接面部16とを当接してある。これによりキャビティ用内側傾斜面部12と溝底形成用底面部13とキャビティ用外側傾斜面部15とで囲まれた溝により桁部101の外周桁壁を形成するための外周桁壁形成用キャビティ部17を形成するようになっている。
【0064】
ここで、桁部形成用金型部3の溝底形成用底面部13の深さ位置が最も浅い場合が図15の実線で示してあり、この場合は溝底形成用底面部13の突出先端がデッキ面部側当接面部16のキャビティ用外側傾斜面部15の奥端側の端部に当接している。これよりも溝底形成用底面部13の深さ位置が深くなる1点鎖線の位置や更に深くなる2点鎖線の位置となると溝底形成用底面部13の突出先端がデッキ面部側当接面部16の任意の位置に選択的に当接することになる。図15の矢印方向が成形品の抜き方向であり、溝の底部においては片側がキャビティ用内側傾斜面部12となり、他の片側が成形品の抜き方向と平行なデッキ面部側当接面部16となっているので、上記溝底形成用底面部13の深さ位置が異なる桁部形成用金型部3を共通のデッキ面部形成用金型部4に組み合わせた場合に成形品を矢印方向にスムーズに抜くことができる。
【0065】
なお、溝底形成用底面部13の深さ位置が異なる桁部形成用金型部3を共通のデッキ面部形成用金型部4に組み合わせた場合に成形品を矢印方向にスムーズに抜くための方策として、図16に示すようなものも考えられる。このものでも、実線、1点鎖線、2点鎖線というように溝底形成用底面部13の深さ位置が異なる桁部形成用金型部3を共通のデッキ面部形成用金型部4に組み合わせた場合に成形品を矢印方向にスムーズに抜くことが可能である。しかし、この場合には図16に示すように桁部形成用金型部3の溝底形成用底面部13の先端部が三角形状をしたエッジ部35となり、該エッジ部35が欠けるおそれがあって好ましくないが、上記実施形態のように、溝底形成用底面部13の突出先端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行な桁部側当接面部14を形成し、溝底形成用底面部13の突出先端をデッキ面部側当接面部16のキャビティ用外側傾斜面部15の奥端側の端部に当接するか又はデッキ面部側当接面部16の任意の位置に選択的に当接するように構成することで、溝底形成用底面部13の先端部が図15のようにエッジ部35とならず、この部分が破損しないようにできるものである。
【0066】
なお、上記実施形態ではパレット102として桁部101が9個設けられる4方差しのパレット102を形成するための金型装置の例を示してが、桁部101が3個設けられる2方差しのパレット102を形成するための金型装置であってもよいものである。
【0067】
また、上記実施形態においては、金型装置としてパレット102を成形する金型装置の例を示したが、必ずしもこれにのみ限定されず、パレット102のような桁部101(脚)が存在する他の合成樹脂成形品(例えば合成樹脂製のOAフロア等)を成形するための金型装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の金型部の組み付けの一例を示す平面図である。
【図2】同上の分解平面図である。
【図3】同上の隅金型部を組み付け形成すると共に中間金型部を組み付け形成した場合の分解平面図である。
【図4】同上のガイド枠により金型部を押して最終位置決めしている状態を示す平面図である。
【図5】同上により成形されたパレットを示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はパレットを上下2つ組み合わせ一体化して形成したパレット体の正面図である。
【図6】本発明の金型部の組み付けの他例を示す平面図である。
【図7】同上の分解平面図である。
【図8】同上の隅金型部を組み付け形成すると共に中間金型部を組み付け形成した場合の分解平面図である。
【図9】同上により成形されたパレットを示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はパレットを上下2つ組み合わせ一体化して形成したパレット体の正面図である。
【図10】本発明の金型部の組み付けの更に他例を示す平面図である。
【図11】同上の分解平面図である。
【図12】同上の隅金型部を組み付け形成すると共に中間金型部を組み付け形成した場合の分解平面図である。
【図13】同上により成形されたパレットを示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はパレットを上下2つ組み合わせ一体化して形成したパレット体の正面図である。
【図14】同上の金型を用いた金型装置の断面図である。
【図15】同上の桁部形成用金型部とデッキ面部形成用金型部とが隣接する箇所の断面図である。
【図16】同上の桁部形成用金型部とデッキ面部形成用金型部とが隣接する箇所の参考例の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 固定金型
2 移動金型
3 桁部形成用金型部
4 デッキ面部形成用金型部
5 デッキ面部形成用分割型
6 共通型
6a 隅コーナ共通型
6b 隅側部共通型
6c 中間中央共通型
6d 中間側部共通型
6e 中央共通型
7 スペーサ用型
8 隅桁部形成用金型部
9 中間桁部形成用金型部
10 中央桁部形成用金型部
11 中央孔
18 補強リブ形成用キャビティ部
100 デッキ面部
101 桁部
101a 外周桁壁
101b 補強リブ
102 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ面部の片面に複数の桁部を突設したパレットを形成するための固定金型と移動金型とよりなる金型装置であって、固定金型乃至移動金型の少なくとも一方の金型を複数の桁部をそれぞれ形成するための複数の桁部形成用金型部と、桁部分を除くデッキ面部を形成するためのデッキ面部形成用金型部とを組み合わせて構成し、上記各桁部を形成するための各桁部形成用金型部をそれぞれ独立した一体のブロックとして成ることを特徴とする金型装置。
【請求項2】
複数のデッキ面部形成用分割型を組み合わせることでデッキ面部形成用金型部を構成し、デッキ面部形成用分割型の組み合わせ数又は/及びサイズの異なるものを選択して組み合わせることで大きさの異なるデッキ面部形成用金型部を形成して成ることを特徴とする請求項1記載の金型装置。
【請求項3】
複数のデッキ面部形成用分割型を組み合わせることでデッキ面部形成用金型部を構成するに当たり、デッキ面部形成用分割型を、構成されるデッキ面部形成用金型部の大きさにかかわらず使用される複数の共通型と、構成されるデッキ面部形成用金型部の大きさに応じて使用される複数のスペーサ用型とに分類し、複数の共通型のみでデッキ面部形成用金型部を構成するかあるいは複数の共通型と任意のスペーサ用型とを組み合わせてデッキ面部形成用金型部を構成するかを選択自在として成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金型装置。
【請求項4】
桁部形成用金型部を、デッキ面部の四隅の桁部を形成するための4つの隅桁部形成用金型部と、デッキ面部の各辺の中間の桁部を形成するための4つの中間桁部形成用金型部と、デッキ面部の中央部の桁部を形成するための1つの中央桁部形成用金型部とで構成し、デッキ面部の中央部を形成するための共通型を中央共通型とすると共に中央共通型の中央に中央孔を形成し、該中央孔に中央桁部形成用金型部を着脱自在に嵌め込み、中間桁部形成用金型部として、上記中央桁部形成用金型部と対向する辺のサイズが上記中央桁部形成用金型部の対向する辺と同じで且つ隅桁部形成用金型部と対向する辺のサイズが異なる複数種類用意し、隅桁部形成用金型部として、上記中間桁部形成用金型部とそれぞれ対向する各辺のサイズが中間桁部形成用金型部の対向する辺の複数種類のサイズと同じ複数種類のサイズとなった複数種類用意し、各隅桁部形成用金型部の周囲の共通型を、隅桁部形成用金型部の中央桁部形成用金型部に対向するコーナ部の外側に位置する部分に配置する1つの隅コーナ共通型と、隅桁部形成用金型部の中間桁部形成用金型部と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの隅側部共通型との3つで構成し、各中間桁部形成用金型部の周囲の共通型を、中間桁部形成用金型部の中央桁部形成用金型部に対向する辺の外側に位置する部分に配置する1つの中間中央共通型と、中間桁部形成用金型部の隅桁部形成用金型部と対向する2辺の各外側に位置する部分に配置する2つの中間側部共通型との3つで構成し、隅側部共通型と隅コーナ共通型との間、隅側部共通型と中間側部共通型との間、隅コーナ共通型と中間中央共通型との間、隅側部共通型と中間側部共通型との間と、隅コーナ共通型と中間中央共通型との間とに挟まれた部分、中間側部共通型と中間中央共通型との間、中間中央共通型と中央共通型との間、隅コーナ共通型と中央共通型との間に、サイズによって必要なスペーサ用型を選択的に配設して成ることを特徴とする請求項3記載の金型装置。
【請求項5】
桁部形成用金型部として高さが異なる複数種類のものがあり、複数種類の桁部形成用金型部としてそれぞれ複数種類の高さの異なるものの中から同じ高さの桁部形成用金型部を選択して用いることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金型装置。
【請求項6】
金型の外周に位置する桁部形成用金型部及びデッキ面部形成用金型部の各外周に沿った辺に一体に突出長さが長い枠部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の金型装置。
【請求項7】
パレットの桁部が外周桁壁と外周桁壁に囲まれた部分に設けられて桁部の補強をするための外周桁壁と同じ高さの補強リブとで構成され、該桁部の補強リブを形成するための補強リブ形成用キャビティ部を桁部形成用金型部に形成して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の金型装置。
【請求項8】
桁部形成用金型部とデッキ面部形成用金型部とが隣接する箇所において、桁部形成用金型部の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用内側傾斜面部と、該キャビティ用内側傾斜面部の奥側に外側方に突出した溝底形成用底面部と、溝底形成用底面部の突出先端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行な桁部側当接面部を形成し、デッキ面部形成用金型部の側面に成形品の抜き勾配の傾斜を有したキャビティ用外側傾斜面部と、キャビティ用外側傾斜面部の奥端から成形品の抜き方向と反対方向に連続して成形品の抜き方向と平行なデッキ面部側当接面部を形成し、溝底形成用底面部の突出先端をデッキ面部側当接面部のキャビティ用外側傾斜面部の奥端側の端部に当接するか又はデッキ面部側当接面部の任意の位置に選択的に当接すると共に、桁部側当接面部とデッキ面部側当接面部とを当接してキャビティ用内側傾斜面部と溝底形成用底面部とキャビティ用外側傾斜面部とで囲まれた溝により桁部の外周桁壁を形成するための外周桁壁形成用キャビティ部を形成して成ることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の金型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−27187(P2006−27187A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212139(P2004−212139)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】