説明

金属の処理方法、金属基材の製造方法、及び金属基材

【課題】クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供し得る金属の処理方法を実現する。
【解決手段】本発明の金属の処理方法は、電解溶液中で、金属を電解処理する工程を含み、上記電解溶液は、pHが10以上13.5以下の範囲内であり、上記電解溶液の電気伝導度は、1000μS/cm以上5000μS/cm以下の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の処理方法、及び当該金属の処理方法を用いた金属基材の製造方法、並びに当該製造方法により得られる金属基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム等の金属に塗装を施す場合には、耐食性を向上させることや、塗膜との密着性を高める目的で、塗装下地処理が行われている。このような塗装下地処理として、例えば、クロム酸や重クロム酸によるクロメート処理が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
しかしながら、上記クロメート処理では作業環境が悪く、廃水処理により製造コストが高くなるという問題を生じる。
【0004】
このため、様々なクロムフリーの化成方法が検討されている。このような方法として、例えば、アジピン酸塩若しくはフタル酸塩を溶解した電解溶液中で電解する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−131766号公報(2001年 5月15日公開)
【特許文献2】特開平6−116739号公報(1994年 4月26日公開)
【特許文献3】特開2006−283193号公報(2006年10月19日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献3の構成では、耐食性が不十分であるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供し得る金属の処理方法、及び当該処理方法を用いた金属基材の製造方法、並びに当該製造方法により得られる金属基材を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る金属の処理方法は、上記課題を解決するために、電解溶液中で、金属を電解処理する工程を含み、上記電解溶液は、pHが10以上13.5以下の範囲内であり、上記電解溶液の電気伝導度は、1000μS/cm以上5000μS/cm以下の範囲内であることを特徴としている。
【0008】
上記方法によれば、上記金属の表面において細孔が形成され、当該表面の表面積が大きくなると考えられる。このため、当該表面に塗装を施した場合に、金属の表面と当該塗膜との接触面積が大きくなり、金属の表面に対する当該塗膜の密着性が高くなると考えられる。よって、塗装後の耐食性が高くなると考えられる。
【0009】
従って、上記方法によれば、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供することができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る金属の処理方法では、上記電解溶液は、水を電気分解することにより得られる電解水を含んでいることが好ましい。
【0011】
本発明に係る金属の処理方法では、金属を電解処理する工程後に、当該金属の表面をジルコニウム含有化合物により化成処理する工程を更に含むことが好ましい。
【0012】
上記方法によれば、ジルコニウム含有化合物による化成処理によって、金属の表面における細孔による非常に細かい凸凹形状が維持された状態で、ジルコニウム含有化合物が金属の表面に積層されると考えられる。このため、上記表面に塗装を施した場合に、金属の表面に対する、当該塗膜の密着性を犠牲にすることなく、金属の耐食性をより向上させることができるという更なる効果を奏する。
【0013】
本発明に係る金属基材原料の製造方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る金属の処理方法を行う金属処理工程を含むことを特徴としている。
【0014】
上記方法によれば、上記金属の表面において細孔が形成され、当該表面の表面積が大きくなると考えられる。このため、当該表面に塗装を施した場合に、金属の表面と当該塗膜との接触面積が大きくなり、金属の表面に対する当該塗膜の密着性が高くなると考えられる。よって、塗装後の耐食性が高くなると考えられる。
【0015】
従って、上記方法によれば、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供し得る金属基材原料を製造することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る金属基材の製造方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る製造方法により得られる金属基材原料の表面を塗装する工程を含むことを特徴としている。
【0017】
上記方法によれば、金属基材原料の表面の表面積が大きいため、当該表面に塗装をする際に、金属の表面と当該塗膜との接触面積が大きくなり、金属の表面に対する当該塗膜の密着性が高くなると考えられる。
【0018】
従って、上記方法によれば、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を製造することができるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る金属基材の製造方法では、上記塗装する工程は、金属基材原料の表面を電着塗装する工程であることが好ましい。
【0020】
上記方法によれば、複雑な形状を有する被塗物であっても均一に塗装することができるため、耐食性により優れる金属基材を製造することができるという更なる効果を奏する。
【0021】
本発明に係る金属基材は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る製造方法により得られることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、上記本発明の製造方法により得られるため、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る金属の処理方法は、以上のように、電解溶液中で、金属を電解処理する工程を含み、上記電解溶液は、pHが10以上13.5以下の範囲内であり、上記電解水溶液の電気伝導度は、1000μS/cm以上5000μS/cm以下の範囲内であることを特徴としている。
【0024】
このため、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明に係る金属基材原料の製造方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る金属の処理方法を行う金属処理工程を含むことを特徴としている。
【0026】
このため、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供し得る金属基材原料を製造することができるという効果を奏する。
【0027】
本発明に係る金属基材の製造方法は、以上のように、上記本発明に係る製造方法により得られる金属基材原料の表面を塗装する工程を含むことを特徴としている。
【0028】
このため、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を製造することができるという効果を奏する。
【0029】
本発明に係る金属基材は、以上のように、上記本発明に係る製造方法により得られることを特徴としている。
【0030】
このため、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
【0032】
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味し、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により求められる値を意味する。また、本明細書における「電解水」とは、水の電気分解によって生成されるアルカリ性の水を意味する。
【0033】
(I)金属の処理方法
本実施の形態に係る金属の処理方法は、金属を電解処理する工程を含む。
【0034】
〔金属を電解処理する工程〕
上記電解処理する工程は、電解溶液中で金属を電解処理する工程である。尚、当該電解溶液には、水を電気分解することにより得られるアルカリ性の電解水を含むことが好ましい。
【0035】
上記電解溶液は、pHが10〜13.5の範囲内であり、好ましくは12〜13の範囲内である。
【0036】
上記電解溶液の電気伝導度は、1000〜5000μS/cmの範囲内であり、好ましくは1000〜2000μS/cmの範囲内である。
【0037】
上記電解水のpH及び電気伝導度は、例えば、アンモニアを添加することにより上記範囲内に調整することができる。pH及び電気伝導度を上記範囲内にすることにより、上記金属の表面が溶解及び電気エッチングされて金属表面が清浄され、その結果、上記金属表面に極めて微小な凹凸が形成されて上記金属の表面積が大きくなる。このため、当該金属に電着塗装を行った場合に、上記微小な凹凸が形成された表面上に樹脂が析出することになるので、析出した樹脂と金属表面との密着性が向上すると考えられる。
【0038】
上記金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、マグネシウム、銅、珪素鋼板、及びこれらの合金等が挙げられる。好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウム合金としては、例えば、JIS H 5302で規定された、アルミニウム合金ダイカストの10種、アルミニウム合金ダイカスト12種及びアルミニウム合金ダイカスト14種等が挙げられる。
【0039】
上記電解処理の条件については特には限定されないが、例えば、10〜200Vの電圧、10秒〜300秒の時間、5℃〜40℃の温度の条件で電解処理を行うことができる。
【0040】
上記電解処理では、処理する金属のイオン性により、当該金属を陽極として用いるか陰極として用いるかを決定すればよい。具体的には、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウムは両極性であるため、陽極として用いてもよいし陰極として用いてもよい。一方、鉄を用いる場合には、鉄は陽イオンになり易い性質を有するため、陽極で用いる必要がある。
【0041】
上記電解溶液には、水酸化物イオン及び水素イオンの他に、他のイオンが含まれていてもかまわない。
【0042】
上記電解溶液中には、上記電解水の他、通常用いられる純水、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質が含まれていてもよい。尚、アルコール類、ケトン類、及びセルソルブ系有機溶剤等の有機溶媒も上記電解溶液中に含ませてもかまわないが、その後に電着塗装する観点から、有機溶剤はできる限り含まないことが好ましい。
【0043】
上記電解溶液における上記電解水の含有割合は、金属表面への凹凸の形成を効率良く行う点から、90〜100質量%であることが好ましく、97〜100質量%の範囲であることがより好ましい。90質量%未満であると、凹凸の形状が小さくなったり、時間がかかりすぎたりするおそれがある。
【0044】
〔ジルコニウム含有化合物により化成処理する工程〕
本実施の形態に係る金属の処理方法では、金属を電解処理する工程後に、当該金属の表面をジルコニウム含有化合物により化成処理する工程を更に含むことが好ましい。
【0045】
上記ジルコニウム含有化合物により化成処理する工程としては、例えば、リン酸ジルコニウム化成処理、酸化ジルコニウム化成処理が挙げられる。
【0046】
具体的な処理方法としては、これらジルコニウム含有化合物を含んだ溶液を適切な温度にして、適切な時間、スプレー処理や浸漬処理を行う方法が挙げられる。上記温度及び時間は、ジルコニウム含有化合物、並びに処理する対象物である金属基材の種類及び表面状態によって適宜設定することができる。
【0047】
(II)金属基材原料の製造方法
本実施の形態に係る金属基材原料の製造方法は、上述した金属の処理方法を行う金属処理工程を含む。
【0048】
金属基材の表面を均一に化成処理するという観点から、上記化成処理工程の前処理工程として、例えば、金属基材がアルミニウム若しくはアルミニウム合金である場合には、アルカリ脱脂工程及び酸洗工程を含んでいることが好ましい。
【0049】
上記工程で使用されるアルカリ脱脂剤及び酸洗剤としては特に限定されず、当業者によく知られているものを使用することができる。また、上記工程での処理方法、並びに温度及び時間等の条件は、例えば、上記ジルコニウム含有化合物による処理工程で述べた方法や条件を適用することができる。
【0050】
上記化成処理工程の後処理としては乾燥工程が挙げられる。当該乾燥工程としては、その条件は特に限定されず、適切な温度及び時間、並びに乾燥機等を用いて処理することができる。
【0051】
尚、各工程間には、各工程において十分な処理ができるように、適切な温度及び時間で金属基材表面を洗浄する水洗工程を含んでいることが好ましい。
【0052】
本実施の形態に係る金属基材原料の製造方法は、具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0053】
(i)リン酸ジルコニウム処理を行う場合
脱脂工程:アルカリ脱脂、50℃で120秒間
水洗工程:純水、20℃で60秒間
酸洗工程:3質量%硫酸水溶液、40〜60℃で180秒間
リン酸ジルコニウム処理:40℃で60秒間
水洗工程:純水、60℃で60秒間
乾燥工程:80℃で600秒間
(ii)酸化ジルコニウム処理を行う場合
脱脂工程:アルカリ脱脂、50℃で120秒間
水洗工程:純水、20℃で60秒間
酸洗工程:3質量%硫酸水溶液、40〜60℃で180秒間
酸化ジルコニウム処理:40℃で60秒間
水洗工程:純水、60℃で60秒間
乾燥工程:80℃で600秒間
【0054】
(III)金属基材の製造方法
本実施の形態に係る金属基材の製造方法は、上記金属基材原料の表面を塗装する工程を含む。
【0055】
上記塗装は、電着塗装、粉体塗装、ロールコーティング、スプレー塗装、ディップ塗装等の従来公知の塗装方法により行うことができる。これらの中でも、複雑な形状を有する被塗物であっても均一に塗装することができるため電着塗装がより好ましい。
【0056】
上記電着処理する工程は、アニオン電着塗装、カチオン電着塗装の何れであってもよい。用いる電着塗料として具体的には、イソシアネート硬化系、メラミン樹脂、フェノール樹脂による縮合系硬化反応系、マイケル付加重合硬化系、酸化重合硬化系、エステル交換反応硬化系等の電着塗料や、国際公開第98/03595号パンフレットに挙げられている電着潜在性を有する電着塗料が挙げられる。
【0057】
電着塗装の条件としては、例えば、電着潜在性を有する電着塗料の場合では、国際公開第98/03595号パンフレットに記載されている条件で行うことができる。他の電着塗料を用いる場合も従来公知の条件を適用することにより電着塗装を行うことができる。
【0058】
(IV)金属基材
本実施の形態に係る金属基材は、上述した金属基材の製造方法により得られる。このため、本実施の形態に係る金属基材は耐食性に優れる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
〔耐食性試験〕
温度35℃、相対湿度95〜98%環境下における、5質量%食塩水による塩水噴霧試験により行った。
【0061】
〔電解溶液のpH〕
25℃の環境下で、pH測定器(商品名:HM−40S、東亜電波工業社製)により測定を行った。
【0062】
〔電解溶液の電気伝導度〕
25℃の環境下で、電気伝導度計(商品名:CM−30S、東亜電波工業社製)により測定を行った。
【0063】
〔実施例1〕
<電解処理>
厚さ0.8mmのアルミニウム合金板(Al−Si−Cu系、商品名:ADC12、日本テストパネル社製)を陽極、ステンレス板を陰極として、電解溶液として電解水(パワーグリーン社製、pH:12.8、電気伝導度:3000μS/cm)中で電解処理を行った。
【0064】
上記電解処理では、30秒間で印加電圧を30Vまで上昇させ、その後150秒間30Vを印加した。その後、アルミニウム合金板を電解溶液から引き上げた。電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を図1に示す。
【0065】
<ジルコニウム含有化合物による化成処理>
得られた、電解処理後のアルミニウム合金板に対して、アルカリ脱脂剤(商品名:サーフクリーナー53NF、日本ペイント社製)にて、50℃で120秒間脱脂処理した後、20℃で60秒間水洗した。次に、3質量%硫酸水溶液にて、40℃で180秒間酸洗処理を行った後、20℃で60秒間水洗した。続いて、リン酸ジルコニウム処理剤(商品名:アルサーフ440、日本ペイント社製)にて、40℃で60秒間表面処理を行った後、20℃で60秒間水洗し、更に、乾燥炉にて80℃で600秒間乾燥し、金属基材原料を得た。
【0066】
<電着処理>
得られた金属基材原料を陰極、ステンレス板を陽極として、電解活性型エレクトロコーティング材(商品名:Insuleed 1000、日本ペイント社製)中で電着塗装を行った。
【0067】
被塗物を電着浴から引き上げ水洗し、190℃の乾燥温度で焼付け、膜厚20μmの塗装がされたアルミニウム合金板を得た。4000時間の耐食性試験後の結果を図2に、8224時間の耐食性試験後の結果を図3にそれぞれ示す。
【0068】
〔実施例2〕
電解処理を30秒間で印加電圧を30Vまで上昇させ、その後150秒間30Vを印加する代わりに、1秒間で印加電圧を20V上昇させ、その後19秒間20Vを印加したこと以外は実施例1と同一の電解水を用いて、実施例1と同様の操作を行い、膜厚20μmの塗装がされたアルミニウム合金板を得た。
【0069】
電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を図4に示す。また、4000時間の耐食性試験後の結果を図5に、8224時間の耐食性試験後の結果を図6にそれぞれ示す。
【0070】
〔実施例3〕
電解処理を30秒間で印加電圧を30Vまで上昇させ、その後150秒間30Vを印加する代わりに、1秒間で印加電圧を50V上昇させ、その後19秒間50Vを印加したこと以外は実施例1と同一の電解水を用いて、実施例1と同様の操作を行い、膜厚20μmの塗装がされたアルミニウム合金板を得た。
【0071】
電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を図7に示す。また、4000時間の耐食性試験後の結果を図8に、8224時間の耐食性試験後の結果を図9にそれぞれ示す。
【0072】
〔比較例1〕
電解処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、膜厚20μmの塗装がされたアルミニウム合金板を得た。
【0073】
化成処理前のアルミニウム合金板の表面状態を図10に示す。また、4000時間の耐食性試験後の結果を図11に、8224時間の耐食性試験後の結果を図12にそれぞれ示す。
【0074】
上述したように、本発明に係る方法を実施した実施例1〜3では、本発明に係る方法を実施していない比較例1と比較して耐食性試験の結果が良好であった。
【0075】
これは、図1、4、7、10に示すように、電解処理後の金属表面に細孔が形成され、当該表面の表面積が大きくなることにより、当該表面に塗装が施されると、金属基材の表面と当該塗膜との接触面積が大きくなり、金属基材の表面に対する当該塗膜の密着性が高くなるためと考えられる。
【0076】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の金属基材の処理方法は、クロムによる処理を行うことなく、耐食性に優れる金属基材を提供することができる。このため、金属基材の塗装下地処理等に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1における電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を表す図面である。
【図2】実施例1で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、4000時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図3】実施例1で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、8224時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図4】実施例2における電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を表す図面である。
【図5】実施例2で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、4000時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図6】実施例2で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、8224時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図7】実施例3における電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を表す図面である。
【図8】実施例3で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、4000時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図9】実施例3で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、8224時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図10】比較例1における電解処理後のアルミニウム合金板の表面状態を表す図面である。
【図11】比較例1で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、4000時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。
【図12】比較例1で得られた塗装後のアルミニウム合金板について、8224時間の耐食性試験結果後の状態を表す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解溶液中で、金属を電解処理する工程を含み、
上記電解溶液は、pHが10以上13.5以下の範囲内であり、
上記電解溶液の電気伝導度は、1000μS/cm以上5000μS/cm以下の範囲内であることを特徴とする金属の処理方法。
【請求項2】
上記電解溶液は、水を電気分解することにより得られる電解水を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の金属の処理方法。
【請求項3】
金属を電解処理する工程後に、当該金属の表面をジルコニウム含有化合物により化成処理する工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属の処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の金属の処理方法を行う金属処理工程を含むことを特徴とする金属基材原料の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により得られる金属基材原料の表面を塗装する工程を含むことを特徴とする金属基材の製造方法。
【請求項6】
上記塗装する工程は、金属基材原料の表面を電着塗装する工程であることを特徴とする請求項5に記載の金属基材の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の方法により得られることを特徴とする金属基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−299082(P2009−299082A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151169(P2008−151169)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】