説明

金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造

【課題】デザイン性に優れ、台風等の強風時にも外壁コーナー部の気密性能、水密性能を確保でき、通常の風や地震時の層間変位による異音の発生を防止できるようにした金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造を提供する。
【解決手段】 金属カーテンウォールの平ユニットUによって構成した外壁コーナー部の構造であり、平ユニットの外壁コーナー部側の縦枠1を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線Pに沿った断面形状に形成し、これらの縦枠の突合せによって前記二等分線に沿った縦目地aを形成し、前記縦枠間には、互いに係合可能な係合作用部3a,3bを有し且つ係合作用部間にクリアランスbを形成した縦目地開き止め機構Aを設け、外壁コーナー部の平ユニットに設定以上の風圧が作用して、当該平ユニットが面外方向に所定量撓むことにより、縦目地開き止め機構の係合作用部が互いに係合して、縦目地の開き止めを行うように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形枠体とそれに嵌め込まれた窓ガラスとから成るアルミカーテンウォール等の金属カーテンウォールの平ユニットによって構成した外壁コーナー部(出隅部や入隅部)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミカーテンウォール等の金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造としては、図5に示すように、例えば出隅の角度に相当するL字状に折れ曲がった断面形状に作製されたL形ユニットLUで外壁コーナー部(出隅部)を構成したものと、図6や図7に示すように、金属カーテンウォールの平ユニットUで外壁コーナー部(出隅部や入隅部)を構成したものが知られている。
【0003】
前者においては、外壁コーナー部に断面L形のユニットを用いるため、外壁コーナー部の納まりがコンパクトになるが、平ユニットUに比べて立体的(嵩高)で、剛性の小さいL形ユニットLUを取り扱うことになるため、建築現場への輸送だけでなく建築現場での保管や小運搬、建物躯体への取付け作業等が面倒なものとなり、また、L形ユニットLUでは断面形状が複雑であるため、製造面でも不利であり、施工性やコスト面で問題が大きい。
【0004】
この点、後者によれば、外壁コーナー部においても、外壁一般部(平面部)と同様な平ユニットUが用いられるので、L形ユニットLUを用いる場合よりも、施工性やコスト面で有利である。
【0005】
しかしながら、平ユニットUによる従来の外壁コーナー部は、図6や図7に示すように、平ユニットU,Uを互いに直角に配置し、隣り合う平ユニットU,Uの縦枠1,1間に出隅用部材60や入隅用部材70を設けることによって構成されていた。図中のGは窓ガラスである。
【0006】
そのため、何れの外壁コーナー部においても、隣り合う平ユニットU,U間にボリュームの大きな枠材(出隅用部材60又は入隅用部材70)が存在することになる。その結果、出隅部においては、室外側に現れる枠材(出隅用部材60)によって縦目地の見付けが広くなり、外壁面のデザインを損ねていた。入隅部においては、室内側にボリュームの大きな枠材(入隅用部材70)が現れて、室内側のデザインを損ねるばかりでなく、採光、眺望の妨げにもなっていた。
【0007】
このような問題点の解決策としては、平ユニットの方形枠体を構成する左右の縦枠のうち、一方の縦枠(外壁コーナー部側の縦枠)を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、この断面形状の縦枠の突合せによって外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った見付けの狭い縦目地を形成することが考えられる。
【0008】
しかしながら、アルミカーテンウォール等の金属カーテンウォールは、プレキャストコンクリート製のカーテンウォールに比べると剛性が遥かに小さいので、金属カーテンウォールの方形枠体における縦枠の断面形状を工夫し、縦枠の突合せによって外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成しても、台風などの強風により、外壁コーナー部の平ユニットに大きな風圧(正圧又は負圧)が作用して、平ユニットが面外方向に撓んだとき、縦目地が開いて、外壁コーナー部の気密性能、水密性能を確保できない可能性が大きいと考えられる。
【0009】
即ち、金属カーテンウォールの平ユニットは、通常、上下階の床スラブの位置において、上下両端部を建物躯体に取り付けてあるので、平ユニットの外壁コーナー部側の縦枠を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠の突合せによって外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成した場合、出隅部においては、強風時、平ユニットに作用する負圧によって、縦目地の両側に位置する平ユニットの階高中央部が室外側へ撓むことが想定され、この面外方向(室外側)への撓みによって縦目地が大きく広がることになる。
【0010】
また、入隅部においては、強風時、平ユニットに作用する正圧によって、縦目地の両側に位置する平ユニットの階高中央部が室内側へ撓むことが想定され、この面外方向(室内側)への撓みによって縦目地が大きく広がることになり、何れの場合も、気密性能、水密性能を確保できないのである。
【0011】
従って、上述した解決策によって派生する新たな問題点は、平ユニットの面外方向への撓みによる縦目地の広がりを阻止し得る適当な縦目地開き止め機構を付加することによって解決でき、外壁コーナー部の気密性能、水密性能も確保できると考えられる。
【0012】
尚、特許文献1には、外壁コーナー部についての記載はないが、左右に隣接するカーテンウォールユニットの縦枠間の縦目地にゴンドラガイド部を形成し、ゴンドラガイド部の両側に位置する縦枠を、相互に面内方向に動かないように係合する第1連結部材と第2連結部材とから成る連結部材で連結したユニット式カーテンウォールが記載されている。この連結部材は、ゴンドラが強風や地震によって左右に振れ動いて、ゴンドラガイド部を形成する一方の縦枠に衝突した際の衝撃力を、他方の縦枠に分散させるためのものではあるが、一方の縦枠に取り付けられた第1連結部材と他方の縦枠に取り付けられた第2連結部材とが相互に面内方向に動かないように係合している。従って、前記連結部材は縦目地の開き止めとしても機能しているが、例えば地震時の層間変位により左右に隣接するカーテンウォールユニットが面内方向に揺れ動いたとき、第1連結部材と第2連結部材の摺接による軋み等の異音が発生することになる。
【0013】
また、特許文献2には、外壁コーナー部についての記載はないが、パネル同士の面外方向への移動を阻止し、面内方向への移動を許容するカーテンウォールのパネル接合金具が記載されており、その第7図には、雌結合金具の係止片と雄結合金具の係止片とが係合して、それ以上の面内方向への移動を阻止するパネル接合金具が記載されている。第7図のパネル接合金具は、縦目地の両側に位置する係止片同士が係合した状態では、それ以上のパネル同士の移動を阻止するので、縦目地の開き止めとしても機能するが、各係止片の先端が金具両側片に接触しているので、摺接による軋み等の異音が発生する可能性がある点では、特許文献1に記載の技術と同様である。
【0014】
【特許文献1】特許第3661139号公報
【特許文献2】実公昭62−8253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の点に留意してなされたものであって、その目的とするところは、デザイン性に優れ、台風などの強風時にも外壁コーナー部の気密性能、水密性能を確保でき、しかも、通常の風や地震時の層間変位による異音の発生を防止できるようにした金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明は、金属カーテンウォールの平ユニットによって構成した外壁コーナー部の構造であって、平ユニットの外壁コーナー部側の縦枠を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、平面視においてこれらの縦枠の突合せによって形成された縦枠間に外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成し、前記縦枠間には、互いに係合可能な係合作用部を有し且つ係合作用部間にクリアランスを形成した縦目地開き止め機構を設け、外壁コーナー部の平ユニットに設定以上の風圧が作用して、当該平ユニットが面外方向に所定量撓むことにより、縦目地開き止め機構の係合作用部が互いに係合して、縦目地の開き止めを行うように構成したことを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載の発明は、縦目地開き止め機構の係合作用部に緩衝ゴムを付設してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、平ユニットの外壁コーナー部側の縦枠を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠の突合せによって外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成するので、外壁コーナー部にボリュームの大きな枠材が存在せず、縦目地の見付けが狭く、デザイン性に優れた外壁面を形成できる。
【0019】
また、台風などの強風時に外壁コーナー部の平ユニットに大きな風圧(正圧又は負圧)が作用しても、平ユニットが面外方向に所定量撓むことにより、縦目地開き止め機構の係合作用部が互いに係合して、縦目地の開き止めを行うので、外壁コーナー部の気密性能、水密性能を確保できる。
【0020】
それでいて、縦目地開き止め機構の係合作用部間にクリアランスを形成してあるため、換言すれば、係合作用部同士が接触していないため、通常の風による平ユニットの面外方向への撓みや地震時の層間変位による平ユニットの変形が生じても、クリアランスの範囲内では係合作用部同士が擦れ合わず、縦目地開き止め機構の係合作用部間に擦れや軋み等の異音が発生することを防止できる。
【0021】
また、縦目地開き止め機構の係合作用部間にクリアランスを形成してあるため、クリアランスの全く無い状態で、平ユニットを所定位置に吊り込む場合に比べて、平ユニットの施工が容易であり、殊に、請求項2に記載の発明によれば、縦目地開き止め機構の係合作用部に緩衝ゴムを付設してあるので、建物躯体に対する平ユニットの取付け位置等に多少の施工誤差があっても、係合作用部同士が接触する虞がなく、施工が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る金属カーテンウォールによる外壁コーナー部(出隅部や入隅部)の構造を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る出隅部の構造の一例を示す。この出隅部は、左右の縦枠1と上下の横枠2とで構成される方形枠体とそれに嵌め込まれた窓ガラスGとから成るアルミカーテンウォール(金属カーテンウォールの一例)の平ユニットUで構成されている。
【0023】
具体的には、平ユニットUの方形枠体を構成する左右の縦枠1のうち、一方の縦枠1、つまり、出隅部側に配置される縦枠1を、平面視において出隅部の角度の二等分線Pに沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠1,1の突合せによって出隅部の角度の二等分線Pに沿った縦目地aを形成してある。図示の例では、出隅部の角度が90度となっているため、出隅部側の縦枠が45度の角度に傾斜した断面形状に形成されているが、出
隅部の角度は直角に限らないので、出隅部の角度が変われば、縦枠1,1の断面形状もこれに応じて変更されることになる。
【0024】
そして、前記縦枠1,1間には、互いに係合可能な係合作用部3a,3bを有し且つ係合作用部3a,3b間にクリアランスbを形成した縦目地開き止め機構Aを設け、出隅部の平ユニットU,Uに設定以上の風圧(負圧)が作用して、当該平ユニットU,Uの階高中央部が面外方向(矢印X,Y方向)に所定量撓むことにより、前記縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3bが互いに係合して、縦目地aの開き止めを行うように構成してある。
【0025】
4a,4b、5a,5b、6a,6bは縦目地a両側の縦枠1,1に形成された縦溝部に嵌め込んで取り付けられたシリコン発泡体や合成ゴムから成る定形シール材である。外側の定形シール材同士4aと4b、5aと5bが互いに弾性的に密着することでレインバリアが構成され、内側の定形シール材(ガスケット)同士6aと6bが互いに弾性的に密着することでウインドバリアが構成され、これらのレインバリアとウインドバリアから成る二段階シールによって、外壁コーナー部の気密性能、水密性能を確保するように構成されている。尚、図示の例では、レインバリアが、シリコン発泡体や合成ゴムを構成材料とする定形シール材で構成されているが、レインバリアについては不定形シール材による湿式シールとして実施することも可能である。
【0026】
図示の縦目地開き止め機構Aは、縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bと縦目地aの外端近傍部に設けた係合作用部3a,3bとを有している。縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bは、縦目地aの両側に位置する左右の縦枠1,1のうち一方の縦枠1に設けた第1部材7と、他方の縦枠1に設けた第2部材8とで構成されている。第1部材7は、基板部7aと、基板部7aから直角に折曲連設された折曲板部7bと、折曲板部7bの先端から室外方向へ折れ曲がった係止片7cとを備えており、係止片7cに緩衝ゴム9が嵌着されている。第2部材8は、基板部8aと、基板部8aから直角に折曲連設された折曲板部8bと、折曲板部8bの先端から室外方向へ折れ曲がった係止片8cとを備えており、係止片8cに緩衝ゴム9が嵌着されている。そして、両緩衝ゴム9,9の周囲に前記クリアランスbが形成されている。
【0027】
縦目地aの外端近傍部に設けた係合作用部3a,3bのうち一方の係合作用部3aは、一方の縦枠1自体の外端折曲部によって形成され、他方の係合作用部3bは、他方の縦枠1に設けた係合部材に10よって構成されている。係合部材10は、基板部10aと、基板部10aから直角に折曲連設された折曲板部10bと、折曲板部10bの先端から室外方向へ折れ曲がった係止片10cとを備えており、係止片10cが一方の縦枠1自体の外端折曲部(一方の係合作用部3a)と係合するように構成されている。また、係止片10cには緩衝ゴム9が嵌着され、当該緩衝ゴム9の周囲に前記クリアランスbが形成されている。
【0028】
尚、第1部材7、第2部材8、係合部材10は、何れも縦枠1,1の長手方向の中央部に一個ずつ若しくは上下に間隔を隔てて複数個ずつ設けることが平ユニットの施工を容易にする上で望ましい。何故なら、これらの部材が縦枠1の長手方向全長にわたって設けられていると、先行して建物躯体に取り付けられた平ユニットに隣接して次の平ユニットを吊り込む際、平ユニットを、その上下長さ分、部材同士を係合させつつ垂直に下降させる必要があるが、前記部材7,8,10が縦枠1,1の長手方向の一部だけに局所的に設けられている場合であれば、先行して建物躯体に取り付けられた平ユニットに隣接して次の平ユニットを吊り込む際、当該平ユニットを適当な高さまで下降させた状態で、部材同士を係合させることができ、この状態で、小距離だけ平ユニットを垂直に下降させれば済むからである。
【0029】
また、縦枠1,1の長手方向の一部に、第1部材7、第2部材8、係合部材10を設けるにあたって、図示の実施形態では、これらの部材7,8,10を縦枠1とは別個に作製し、縦枠1に基板部をビス止めするように構成してあるが、縦枠1と一体の押出し成形材の不要部分を切除することによって、前記第1部材7、第2部材8、係合部材10を作製することも可能である。
【0030】
上記に構成によれば、平ユニットU,Uの出隅部側の縦枠1,1を平面視において出隅部の角度の二等分線Pに沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠1,1の突合せによって出隅部の角度の二等分線Pに沿った縦目地aを形成するので、出隅部の室外側にボリュームの大きな枠材(図6で説明した出隅用部材60)が存在せず、縦目地aの見付けが狭く、デザイン性に優れた外壁面を形成できる。
【0031】
また、台風などの強風時に出隅部の平ユニットU,Uに大きな風圧(負圧)が作用しても、平ユニットU,Uがクリアランスbに相当する量だけ面外方向(矢印X,Y方向)に所定量撓むことにより、縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3bが互いに係合して、縦目地aの開き止めを行うので、縦目地aがそれ以上拡大されず、出隅部の気密性能、水密性能を確保できる。
【0032】
それでいて、縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3b間にクリアランスbを形成してあるため、換言すれば、係合作用部3a,3b同士が常時接触していないため、通常の風による平ユニットトU,Uの面外方向(矢印X,Y方向)への撓みや地震時の層間変位による平ユニットU,Uの変形が生じても、クリアランスbの範囲内では係合作用部3a,3b同士が擦れ合わず、縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3b間に擦れや軋み等の異音が発生することを防止できる。
【0033】
また、縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3b間にクリアランスbを形成してあるため、クリアランスの全く無い状態で、平ユニットU,Uを所定位置に吊り込む場合に比べて、平ユニットU,Uの施工が容易であり、しかも、縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3bに緩衝ゴム9を付設してあるので、建物躯体に対する平ユニットU,Uの取付け位置等に多少の施工誤差があっても、係合作用部3a,3b同士が接触する虞がなく、施工が容易である。
【0034】
図2は本発明を入隅部の構造に適用した実施形態を示す。この実施形態では、入隅部であることによって、窓ガラス2の取付け部分の断面形状等、縦枠1の断面形状に出隅部の場合とは若干の相違があるが、実質的な差異はないため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0035】
この構成によれば、平ユニットU,Uの入隅部側の縦枠1,1を平面視において入隅部の角度の二等分線Pに沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠1,の突合せによって入隅部の角度の二等分線Pに沿った縦目地aを形成するので、入隅部の室内側にボリュームの大きな枠材(図7で説明した入隅用部材70)が存在せず、室内側のデザインを損ねることがなく、ボリュームの大きな枠材によって採光や眺望が妨げられることもない。図示の例では、入隅部の角度が90度となっているため、入隅部側の縦枠1,1が45度の角度に傾斜した断面形状に形成されているが、入隅部の角度は直角に限らないので、入隅部の角度が変われば、縦枠1,1の断面形状もこれに応じて変更されることになる。
【0036】
また、台風などの強風時に入隅部の平ユニットU,Uに大きな風圧(正圧)が作用しても、平ユニットU,Uの階高中央部がクリアランスbに相当する量だけ面外方向(矢印X,Y方向)に所定量撓むことにより、換言すれば、室内側に所定量撓むことにより、
縦目地開き止め機構Aの係合作用部3a,3bが互いに係合して、縦目地aの開き止めを行うので、縦目地aがそれ以上拡大せず、入隅部の気密性能、水密性能を確保できる。その他の作用効果は、図1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0037】
図3は、本発明を出隅部の構造に適用した他の実施形態を示す。この実施形態は、出隅部における縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bを、縦目地aの両側に位置する平ユニットU,Uが室内側と室外側の何れの方向に撓んでも、係合作用部3a,3bが係合して、縦目地の開き止めを行える断面形状に形成した点に特徴がある。
【0038】
即ち、図示の縦目地開き止め機構Aでは、縦目地aの奥行き方向中央部にのみ係合作用部3a,3bが設けられており、これらの係合作用部3a,3bは、縦目地aの両側に位置する左右の縦枠1,1のうち一方の縦枠1に設けた第1部材7と、他方の縦枠1に設けた第2部材8とで構成されている。第1部材7は、基板部7aと、基板部7aから直角に折曲連設された一対の折曲板部7b,7bと、これらの折曲板部7b,7bのうち、室内側の折曲板部7bの先端から室内方向へ折れ曲がった係止片7cと、室外側の折曲板部7bの先端から室外方向へ折れ曲がった係止片7cを備えており、両係止片7c,7cに緩衝ゴム9,9が嵌着されている。第2部材8は、基板部8aと、基板部8aから直角に折曲連設された一対の折曲板部8b,8bと、室内側の折曲板部8bの先端から室外方向へ折れ曲がった係止片8cと、室外側の折曲板部8bの先端から室内向へ折れ曲がった係止片8cを備えており、両係止片8c,8cに緩衝ゴム9,9が嵌着され、両緩衝ゴム9,9の周囲にクリアランスbが形成されている。
【0039】
この構成によれば、縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bを、縦目地aの両側に位置する平ユニットU,Uが室内側と室外側の何れの方向に撓んでも、係合作用部3a,3bが係合して、縦目地の開き止めを行える断面形状に形成したので、図1、図2の例において、縦目地aの外端近傍部に設けられていた係合作用部3a,3bを省略することができる。その他の構成、作用効果は、図1の実施形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0040】
図4は、本発明を入隅部の構造に適用した実施形態を示す。この実施形態は、入隅部における縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bを、縦目地aの両側に位置する平ユニットU,Uが室内側と室外側の何れの方向に撓んでも、係合作用部3a,3bが係合して、縦目地の開き止めを行える断面形状に形成した点に特徴がある。
【0041】
この構成によれば、縦目地aの奥行き方向中央部に設けた係合作用部3a,3bを、縦目地aの両側に位置する平ユニットU,Uが室内側と室外側の何れの方向に撓んでも、係合作用部3a,3bが係合して、縦目地の開き止めを行える断面形状に形成したので、図1、図2の例において、縦目地aの外端近傍部に設けられていた係合作用部3a,3bを省略することができる。その他の構成、作用効果は、図2の実施形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、入隅部側に配置される縦枠を、平面視において入隅部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、これらの縦枠の突合せによって入隅部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成し、この縦目地の外端近傍部にゴンドラガイド部を構成し、ゴンドラガイド部より奥側の縦目地部分に、互いに係合可能な係合作用部を有し且つ係合作用部間にクリアランスを形成した縦目地開き止め機構を設ける等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。また、図示した実施形態では、外壁コーナー部(出隅部や入隅部)の角度の二等分線Pに沿った縦目地aを形成したが、例えば角度が90度となっている外壁コーナー部において、一方の縦
枠を60度、他方の縦枠を30度の角度に傾斜した断面形状に形成する等、縦目地の両側に位置する縦枠の傾斜角度を互いに異ならせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る出隅部の構造の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る入隅部の構造の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る出隅部の構造の一例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る入隅部の構造の一例を示す平面図である。
【図5】従来例を示す概略平面図である。
【図6】従来例を示す平面図である。
【図7】従来例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
A 縦目地開き止め機構
G 窓ガラス
P 二等分線
U 平ユニット
a 縦目地
b クリアランス
1 縦枠
2 横枠
3a,3b 係合作用部
4a,4b、5a,5b レインバリアを構成する定形シール材
6a,6b ウインドバリアを構成する定形シール材(ガスケット)
7 第1部材
7a 基板部
7b 折曲板部
7c 係止片
8 第2部材
8a 基板部
8b 折曲板部
8c 係止片
9 緩衝ゴム
10 係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属カーテンウォールの平ユニットによって構成した外壁コーナー部の構造であって、平ユニットの外壁コーナー部側の縦枠を平面視において外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った断面形状に形成すると共に、平面視においてこれらの縦枠の突合せによって形成された縦枠間に外壁コーナー部の角度の二等分線に沿った縦目地を形成し、前記縦枠間には、互いに係合可能な係合作用部を有し且つ係合作用部間にクリアランスを形成した縦目地開き止め機構を設け、外壁コーナー部の平ユニットに設定以上の風圧が作用して、当該平ユニットが面外方向に所定量撓むことにより、縦目地開き止め機構の係合作用部が互いに係合して、縦目地の開き止めを行うように構成したことを特徴とする金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造。
【請求項2】
縦目地開き止め機構部材の係合作用部に緩衝ゴムを付設してあることを特徴とする請求項1に記載の金属カーテンウォールによる外壁コーナー部の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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