説明

金属ナノワイヤーの製造方法

【課題】単一の金属ナノワイヤーが容易に得られる、金属ナノワイヤーの製造方法を提供する。
【解決手段】還元剤、極性ポリマーおよび下記式(1)で表される化合物の存在下で、金属塩を反応させることを含む、金属ナノワイヤーの製造方法。
【化1】


(式中、X-は、ハロゲン化物イオンを表す。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換若しくは非置換の1価の炭化水素基を表し、複数あるR2は、同一でも異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノワイヤーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノワイヤーは、高導電性を有するため、電極の分野で利用されている。この金属ナノワイヤーの製造方法としては、例えば、硝酸銀、エチレングリコールおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフェートを用いた銀ナノワイヤーの製造方法が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/058941号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の製造方法で得られる銀ナノワイヤーは、複数が束状に集合したもの(つまり、凝集したものを多く含むもの。)であり、粒子状の銀ナノ材料も多く含まれ得るため、単一の銀ナノワイヤー(つまり、凝集度合いが小さく、かつ、形状の揃った銀ナノワイヤー)を得ることは、困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、単一の金属ナノワイヤーが容易に得られる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、還元剤、極性ポリマーおよび下記式(1)で表される化合物の存在下で、金属塩を反応させることを含む、金属ナノワイヤーの製造方法を提供する。
【0008】
【化1】

(式中、
X-は、ハロゲン化物イオンを表す。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換若しくは非置換の1価の炭化水素基を表し、複数あるR2は、同一でも異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属ナノワイヤーの製造方法によれば、単一の金属ナノワイヤーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で得られた銀ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)による写真である。
【図2】実施例2で得られた銀ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)による写真である。
【図3】比較例1で得られた銀ナノ材料の走査型電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)による写真である。
【図4】比較例2で得られた銀ナノ材料の走査型電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)による写真である。
【図5】実施例3で得られた銀ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)による写真である。
【図6】実施例4で得られた銀ナノワイヤーの生物顕微鏡(倍率:1,000倍)による写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の金属ナノワイヤーの製造方法は、還元剤、極性ポリマーおよび下記式(1)で表される化合物の存在下で、金属塩を反応させることを含む製造方法である。
【0012】
【化2】

(式中、X-は、ハロゲン化物イオンを表す。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換若しくは非置換の1価の炭化水素基を表し、複数あるR2は、同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
本明細書において、「金属ナノワイヤー」とは、本発明の製造方法により得られる生成物(通常、混合物である。)中に存在する、ナノ単位の径(最も短い径が1000nm以下)を有するワイヤー状の個体を意味する。金属ナノワイヤーは、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と言う。)および透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」と言う。))または光学顕微鏡(例えば、金属顕微鏡、生物顕微鏡、実体顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、レーザー顕微鏡、マイクロスコープ等。)による写真から、目視で確認することができる。
【0014】
金属ナノワイヤーの最も短い径は、通常1nm以上であり、導電性が良好となるので、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。
金属ナノワイヤーの最も長い径は、通常1000nmを超えるが、導電性が良好となるので、好ましくは1300nm以上であり、より好ましくは1600nm以上であり、更に好ましくは2000nm以上であり、特に好ましくは2500nm以上であり、とりわけ好ましくは3000nm以上である。金属ナノワイヤーの最も長い径は、通常、1cm以下であり、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下であり、特に好ましくは0.1mm以下である。
【0015】
金属ナノワイヤーの最も長い径と短い径の比率(以下、「アスペクト比」と言う。)は、通常1.5以上であり、導電性が向上するので、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは20以上であり、特に好ましくは1×102以上であり、とりわけ好ましくは3×102以上である。
【0016】
金属ナノワイヤーのアスペクト比は、通常1×107以下であり、分散性が良好となるので、好ましくは1×106以下であり、より好ましくは1×105以下であり、更に好ましくは1×104以下であり、特に好ましくは1×103以下である。
【0017】
金属ナノワイヤーのアスペクト比は、上限と下限とを併せて記載すると、好ましくは20〜1×105であり、より好ましくは1×102〜1×104である。
【0018】
アスペクト比は、前述のように、金属ナノワイヤー等の金属ナノ材料において、最も長い径と最も短い径との比率(最も長い径/最も短い径)を意味し、このアスペクト比に分布がある場合には算術平均値である。金属ナノワイヤー等の金属ナノ材料のアスペクト比は、前述の電子顕微鏡または光学顕微鏡による写真を用いて特定することができる。
つまり、アスペクト比は、例えば、金属ナノワイヤーの長さ(最も長い径)の、直径(最も短い径)に対する比である。
【0019】
金属ナノワイヤーを構成する金属としては、金属としての安定性が良好となるので、遷移金属が好ましく、周期表第11族金属がより好ましく、銀が更に好ましい。
【0020】
本発明の製造方法で得られた金属ナノワイヤーは、工業用触媒等の触媒(例えば、高表面積触媒、低温焼結性電極)、導電膜、配線、塗布型電極等の分野で有用である。
【0021】
・金属ナノワイヤーの製造方法
【0022】
前記式(1)中、X-は、ハロゲン化物イオンであり、F-、Cl-、Br-およびI-が好ましく、Cl-およびBr-がより好ましく、Cl-が更に好ましい。
【0023】
前記式(1)中、R1で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
【0024】
前記アルキル基は、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。直鎖状および分岐状のアルキル基の炭素原子数は、通常1〜50であり、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3〜50であり、3〜20が好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等が挙げられる。前記アルキル基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0025】
前記アルケニル基は、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。直鎖状および分岐状のアルケニル基の炭素原子数は、通常2〜50であり、2〜20が好ましい。環状のアルケニル基の炭素原子数は、通常3〜50であり、3〜20が好ましい。前記アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等が挙げられる。
【0026】
前記アルキニル基は、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。直鎖状および分岐状のアルキニル基の炭素原子数は、通常2〜50であり、2〜20が好ましい。環状のアルキニル基の炭素原子数は、通常3〜50であり、3〜20が好ましい。前記アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基等が挙げられる。
【0027】
前記アリール基は、芳香族炭化水素から、芳香環を構成する炭素原子に直接した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、縮合環を持つものや、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上の環が直接結合したもの、または、ビニレン基等を介して結合したものも含む。
アリール基の炭素原子数は、通常6〜60であり、6〜48が好ましい。なお、該炭素原子数には、後述の置換基の炭素原子数は含まれない。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素原子数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素原子数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。前記アリール基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアリール基としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、sec−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0028】
前記アリールアルキル基は、前記アリール基と前記アルキル基とが結合したものである。アリールアルキル基の炭素原子数は、通常7〜60であり、7〜30が好ましい。なお、該炭素原子数には、後述の置換基の炭素原子数は含まれない。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられる。
【0029】
前記アリールアルケニル基は、前記アリール基とアルケニル基とが結合したものである。アリールアルケニル基の炭素原子数は、通常8〜60であり、8〜30が好ましい。なお、該炭素原子数には、後述の置換基の炭素原子数は含まれない。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素原子数が2〜12であることを示す。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。
【0030】
前記アリールアルキニル基は、前記アリール基とアルキニル基とが結合したものである。アリールアルキニル基の炭素原子数は、通常8〜60であり、8〜30が好ましい。なお、該炭素原子数には、後述の置換基の炭素原子数は含まれない。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素原子数が2〜12であることを示す。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基およびC1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0031】
1で表される1価の炭化水素基に含まれる水素原子の一部または全部は、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基で置換されていてもよい。なお、置換基が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。ここで、「1価の複素環基」とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。
【0032】
前記置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、酸イミド基、シアノ基およびニトロ基が好ましく、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基およびアシルオキシ基がより好ましい。以下、より好ましい置換基を説明する。
【0033】
前記置換基であるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。直鎖状および分岐状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20であり、1〜10が好ましい。環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3〜20であり、3〜10が好ましい。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基および2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
前記置換基であるアリールオキシ基の炭素原子数は、通常6〜60であり、6〜48が好ましい。前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。
1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、sec−ブトキシフェノキシ基、tert−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
【0035】
前記置換基であるアリールアルコキシ基は、前記置換基であるアリール基と前記置換基であるアルコキシ基とが結合したものである。アリールアルコキシ基の炭素原子数は、通常7〜60であり、7〜30が好ましい。前記アリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
【0036】
前記置換基である置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基からなる群から選択される1種以上の基で置換されたアミノ基が挙げられる。置換アミノ基の炭素原子数は、通常1〜60であり、2〜48が好ましい。置換基である置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0037】
前記置換基であるアシル基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。置換基であるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0038】
前記置換基であるアシルオキシ基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。置換基であるアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
前記式(1)中、R1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基またはアリールアルキニル基であり、より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基またはアリールアルケニル基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルケニル基またはアリールアルキル基であり、特に好ましくは、アルキル基である。
【0040】
前記式(1)中、R2は、前記R1で表される基と同様であるが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基またはアリールアルキニル基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基またはアリールアルケニル基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアリールアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
【0041】
前記式(1)で表される化合物としては、例えば、以下の式a−1〜a−11、b−1〜b−12、c−1〜c−7、d−1〜d−7およびe−1〜e−12で表される化合物が挙げられ、該化合物の合成がより容易となるので、以下の式a−1〜a−11、b−1〜b−12およびd−7で表される化合物が好ましく、以下の式a−1〜a−11およびb−1〜b−12で表される化合物がより好ましく、以下の式a−3〜a−10およびb−3〜b−10で表される化合物が更に好ましい。
【0042】
【化3】

【0043】
【化4】

【0044】
【化5】

【0045】
【化6】

【0046】
【化7】

【0047】
本発明の製造方法において、前記式(1)で表される化合物は、一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。
【0048】
前記金属塩は、通常下記式(2)で表される。
m+aX'n-b (2)
(式中、Mm+は、正の電荷を有する金属イオンを表す。X'n-はアニオンを表す。aおよびbは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。Mm+が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよく、X'が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0049】
前記式(2)中、aは、通常1〜3の整数であり、好ましくは、1または2である。bは、通常1〜3の整数であり、好ましくは、1または2である。但し、aおよびbは、前記式(2)で表される化合物の全体としての電荷の偏りがない組み合わせである。
【0050】
前記式(2)中、Mは、金属種を表し、mは、1以上の整数を表す。
m+で表される正の電荷を有する金属イオンとしては、例えば、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、銅、鉛、錫等のイオンが挙げられ、銀イオン、金イオン、白金イオンおよび銅イオンが好ましく、銀イオン、金イオンおよび銅イオンがより好ましく、銀イオンが更に好ましい。
【0051】
前記式(2)中、nは、1以上の整数を表す。
X'n-で表されるアニオンとしては、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、NO2-、ClO-、ClO2-、ClO3-、ClO4-、HSO4-、SCN-、BF4-、PF6-、R3-(ここで、R3は置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。)、R4COO-(ここで、R4は置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。)、R5SO3-(ここで、R5は置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。)、R6OCO2-(ここで、R6は置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。)、CO32-、S2-、SO42-、PO43-、O2-等が挙げられ、好ましくは、Cl-、Br-、I-、NO3-、ClO-、ClO2-、ClO3-、ClO4-、R3-、R4COO-、R5SO3-、R6CO3-、CO32-、PO43-、SO42-等が挙げられ、Cl-、NO3-、ClO4-、R4COO-、R5SO3-、R6CO3-、CO32-、PO43-およびSO42-が好ましく、Cl-、NO3-、ClO4-、R4COO-、CO32-およびSO42-がより好ましい。
【0052】
前記R3、R4、R5およびR6(以下、「R3〜R6」という。)で表される1価の炭化水素基としては、前記R1で記載した1価の炭化水素基と同様であり、定義、具体例、好ましい例は、前記のそれら同様である。
【0053】
前記金属塩は、一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。
【0054】
前記式(2)で表される金属塩としては、銀塩が好ましく、該銀塩としては、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硫化銀、酸化銀、硝酸銀、次亜塩素酸銀、亜塩素酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀およびトリフルオロメタンスルホン酸銀等が挙げられ、後述のアルコール系還元性溶媒等の溶媒に対する銀塩の溶解性が良好であるため、硝酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀およびトリフルオロメタンスルホン酸銀が好ましく、硝酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、炭酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、ヘキサフルオロリン酸銀およびトリフルオロメタンスルホン酸銀がより好ましく、硝酸銀、酢酸銀および炭酸銀が更に好ましく、硝酸銀が特に好ましい。
【0055】
本発明の製造方法において、前記式(1)で表される化合物の添加量は、前記金属塩1モルに対して、通常1〜0.0001モルであり、好ましくは0.1〜0.0001モルであり、より好ましくは0.05〜0.0001モルであり、更に好ましくは0.05〜0.001モルであり、特に好ましくは0.01〜0.001モルである。
【0056】
前記極性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドおよびこれらの誘導体等が挙げられ、好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレンオキシドであり、より好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンおよびポリエチレンオキシドであり、特に好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミンである。
【0057】
前記極性ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、後述のアルコール系還元性溶媒等の溶媒に対する溶解性が良好であるので、通常3×102〜1×106であり、好ましくは5×102〜3×105であり、より好ましくは1×103〜1×105であり、特に好ましくは3×103〜1×105である。
【0058】
本発明の製造方法において、前記極性ポリマーの添加量は、前記金属塩1モルに対して、通常0.001〜1000モルであり、好ましくは0.01〜100モルであり、より好ましくは0.1〜10モルであり、特に好ましくは1〜5モルである。アスペクト比がより好ましい金属ナノワイヤーがより得られやすいためである。
【0059】
本発明の製造方法において、前記極性ポリマーは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0060】
前記還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、シュウ酸、水素ガスのほか、1,2−エタンジオール(以下、「エチレングリコール」ということがある。)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、ベンジルアルコール等のアルコール系還元性溶媒が挙げられ、好ましくは上記のアルコール系還元性溶媒であり、より好ましくは1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールである。
【0061】
本発明の製造方法において、前記還元剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0062】
本発明の製造方法において、前記還元剤の添加量は、金属塩を還元させるのに必要な量以上であればよい。還元剤が前記アルコール系還元性溶媒以外の還元剤の場合、前記金属塩1モルに対して、通常0.1以上モルであり、好ましくは1モル以上である。還元剤がアルコール還元性溶媒の場合、上限添加量は、前記金属塩1モルに対して、通常100Lであり、好ましくは60Lであり、より好ましくは40Lであり、特に好ましくは30Lであり、下限添加量は、前記金属塩1モルに対して、通常10mLである。
【0063】
本発明の製造方法において、前記アルコール系還元性溶媒以外の溶媒(例えば、ハロゲン化水素等)を更に加えてもよい。
【0064】
前記ハロゲン化水素としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等が挙げられ、前記金属塩との親和性が良好であるので、塩化水素が好ましい。
【0065】
前記アルコール系還元性溶媒以外の溶媒であって、ハロゲン化水素と異なる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0066】
本発明の製造方法における反応温度は、通常40〜200℃であり、好ましくは60〜190℃であり、より好ましくは100〜190℃であり、更に好ましくは110〜170℃である。
【0067】
本発明の製造方法における反応時間は、通常5分以上であり、好ましくは10分以上であり、より好ましくは20分以上であり、特に好ましくは30分以上であるが、上限反応時間は、通常300分である。反応時間が30〜300分であると、得られる金属ナノワイヤーの収率がより良好となる傾向があるためである。
【0068】
本発明の製造方法において、前記アルコール系還元性溶媒以外の溶媒を用いる場合、該溶媒の量は、前記金属塩1モルに対して1mL以上が好ましく、10mL以上がより好ましく、50mL以上がさらに好ましく、150mL以上が特に好ましく、200mL以上がとりわけ好ましい。溶媒の量がこれらの範囲内であると、金属塩を溶解し易く、一度に大量の金属ナノワイヤーが製造可能であるためである。
【0069】
本発明の製造方法において、金属塩、還元剤、極性ポリマーおよび前記式(1)で表される化合物(以下、これらを「原料」と言うことがある。)は、如何なる順番で反応させてもよい。例えば、原料を一度に全て反応させてもよく、原料の中の一部分を先に反応させ、一定時間の経過後に残りの原料を反応させてもよい。
【0070】
本発明の製造方法において、前記原料は如何なる方法で反応させてもよく、例えば、一部または全ての原料を溶媒に溶解させてから反応容器中で反応させてもよいし、原料を反応容器に入れた後に溶媒を加えて溶解させて反応させてもよい。なお、極性ポリマーの溶解性が低い場合には、極性ポリマーを溶媒に溶解させてから金属塩と反応させることが好ましい。
【0071】
本発明の製造方法において、前記反応温度にするために、加熱を通常行うが、そのタイミングは、原料を全て混合してから加熱してもよいし、原料の一部を混合してから加熱してもよい。なお、原料以外のもの(例えば、上記の溶媒)をあらかじめ加熱していてもよい。
【0072】
本発明の製造方法は、上記の反応後、生成物を精製して純度の高い金属ナノワイヤーを得る精製工程を含んでいてもよい。この精製工程は、遠心分離、上澄み除去、再分散、ろ過、限外ろ過、洗浄、加熱、乾燥等により行うことができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0074】
<実施例1>
500mLフラスコに、2.08g(18.75mmol)のポリビニルピロリドン(以下、「PVP」と言う。)(ポリスチレン換算の重量平均分子量:5.5×104)、21.8mg(0.125mmol)の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物および200mLのエチレングリコールを加え、PVPが溶けるまで攪拌した。得られた溶液に、2.12g(12.50mmol)の硝酸銀を加え、50mLのエチレングリコールでフラスコ壁面に付着した硝酸銀を溶解させて、フラスコ内に流し込んだ。次いで、このフラスコを165℃のオイルバスに浸漬し、120分間攪拌したところ、銀ナノワイヤーの分散液が得られた。得られた分散液を室温まで冷却した後、溶媒を乾燥させ、得られた銀ナノワイヤーをSEM(日本電子社製、商品名:JSM−5500、観察の際に試料台の角度は0°(水平)であり、撮影箇所は任意の場所であり、試料作製時に配列させる操作はしていない。)による写真から目視で確認したところ、未精製の銀ナノワイヤーからランダムに選択した100個の中で、短軸(最も短い径)が1000nm以下であり、かつ、アスペクト比が1.5以上である銀ナノワイヤーは91個であり、いずれも単一の銀ナノワイヤーであった。
【0075】
<実施例2>
実施例1において、21.8mg(0.125mmol)の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物を用いる代わりに、25.3mg(0.125mmol)の1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩化物を用いた以外は、実施例1と同様にして、銀ナノワイヤーを得た。実施例1と同様にして、銀ナノワイヤーを確認したところ、未精製の銀ナノワイヤーからランダムに選択した100個の中で、短軸(最も短い径)が1000nm以下であり、かつ、アスペクト比が1.5以上である銀ナノワイヤーは95個であり、いずれも単一の銀ナノワイヤーであった。
【0076】
<実施例3>
50mLフラスコに、125mg(11.25mmol)のPVP(ポリスチレン換算の重量平均分子量:5.5×104)、1.3mg(0.0075mmol)の1−ブチルイミダゾリウム塩化物および10mLのエチレングリコールを加え、PVPが溶けるまで攪拌を行った。次いで、そこに、127mg(7.50mmol)の硝酸銀を加え、5mLのエチレングリコールでフラスコ壁面に付着した硝酸銀をフラスコ内に流し込んだ。次いで、このフラスコを、160℃のオイルバスに浸漬し、90分間攪拌したところ、銀ナノワイヤーの分散液が得られた。実施例1と同様にして、銀ナノワイヤーを確認したところ、未精製の銀ナノワイヤーからランダムに選択した100個の中で、短軸(最も短い径)が1000nm以下であり、かつ、アスペクト比が1.5以上である銀ナノワイヤーは96個であり、いずれも単一の銀ナノワイヤーであった。
【0077】
<実施例4>
500mLフラスコに、4.17g(37.5mmol)のPVP(ポリスチレン換算の重量平均分子量:5.5×104)、54.2mg(0.25mmol)の1−ヘキシルー2,3−ジメチルイミダゾリウム塩化物および200mLのエチレングリコールを加え、PVPが溶けるまで攪拌を行った。次いで、そこに、4.25g(25.0mmol)の硝酸銀を加え、50mLのエチレングリコールでフラスコ壁面に付着した硝酸銀をフラスコ内に流し込んだ。次いで、このフラスコを、150℃のオイルバスに浸漬し、40分間攪拌したところ、銀ナノワイヤーの分散液が得られた。実施例1と同様にして、銀ナノワイヤーを確認したところ、未精製の銀ナノワイヤーからランダムに選択した100個の中で、短軸(最も短い径)が1000nm以下であり、かつ、アスペクト比が1.5以上である銀ナノワイヤーは50個であり、いずれも単一の銀ナノワイヤーであった。
【0078】
<比較例1>
実施例1において、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、粒子状の銀ナノ材料が得られた。実施例1と同様にして、銀ナノ材料を確認したところ、未精製の銀ナノ材料からランダムに選択した100個の中で、本明細書の定義(最も短い径が1000nm以下である、ワイヤー状の個体)を満たす銀ナノワイヤーは0個であった。
【0079】
<比較例2>
実施例1において、21.8mg(0.125mmol)の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩化物を用いる代わりに、31.3mg(0.125mmol)の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフェートを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、粒子状の銀ナノ材料が得られた。実施例1と同様にして、銀ナノ材料を確認したところ、未精製の銀ナノ材料からランダムに選択した100個の中で、本明細書の定義(最も短い径が1000nm以下である、ワイヤー状の個体)を満たす銀ナノワイヤーは0個であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤、極性ポリマーおよび下記式(1)で表される化合物の存在下で、
金属塩を反応させることを含む、金属ナノワイヤーの製造方法。
【化1】

(式中、
X-は、ハロゲン化物イオンを表す。
1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換若しくは非置換の1価の炭化水素基を表し、複数あるR2は、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物の添加量が、
前記金属塩1モルに対して、0.1〜0.0001モルである、請求項1に記載の金属ナノワイヤーの製造方法。
【請求項3】
前記金属塩および前記金属ナノワイヤーにおける金属が銀である、請求項1または2に記載の金属ナノワイヤーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180589(P2012−180589A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22827(P2012−22827)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】