説明

金属加工用潤滑油組成物

【課題】
本発明は、高い摩耗防止性能を有する金属加工用潤滑油組成物を提供する事を目的とする
【解決手段】
一般式(1)
【化1】


[式中、Rは、下記A群より選ばれる置換基をあらわし、Rは、下記A群又はB群から選ばれる置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される少なくとも1種以上のエポキシ化合物及び鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種の配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 金属加工用潤滑油に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属加工油用潤滑油には、基油としては鉱油、動植物油、合成油が用いられてきた。しかし、これら基油だけでは金属加工に必要な諸性能を十分満足させる事は出来ず、様々な添加剤を添加することにより性能向上が図られてきた。
【0003】
例えば、金属圧延時の加工性向上、油膜除去性の向上を目的として金属加工油に脂環式エポキシ化合物を含有させる技術が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また上記文献の他に、エポキシ化合物を潤滑油に配合する技術としては、脂環式エポキシ化合物を配合することでエンジン油の清浄性が向上する技術が、開示されている(特許文献2)。
さらに、脂環式エポキシ化合物、並びに酸化防止剤併用を含有する潤滑油組成物が、潤滑油の熱安定性及び高温清浄性が向上し2−サイクルエンジン油として好適であることが開示されている(特許文献3)。
しかしながら、これらの特許文献2及び3には、潤滑油組成物に対するエポキシ化合物の添加による摩耗防止性能向上に関しての開示はない。
【0005】
【特許文献1】特開2006−299220号公報
【特許文献2】特開2000−008069号公報
【特許文献3】特開平11−335688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高い摩耗防止性能を有する金属加工用潤滑油組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有するエポキシ化合物を、基油に対して配合する事により、金属加工用潤滑油における重要性能である摩耗防止性能が向上することを見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の潤滑油を提供するものである。
(項1)
鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種の基油及び一般式(1)
【化1】

[式中、Rは、下記A群より選ばれる置換基を表し、Rは、下記A群又はB群から選ばれる置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される少なくとも1種のエポキシ化合物を含有してなる請求項1に記載の金属加工用潤滑油組成物。
(項2)
一般式(1)で表されるエポキシ化合物の含有量が1〜30%である項1に記載の金属加工用潤滑油組成物。
(項3)
一般式(1)において、R及びRがA群より選ばれる置換基である項1又は2に記載の金属加工用潤滑油組成物。
(項4)
一般式(1)
【化2】

[式中、Rは、下記A群より選ばれる置換基を表し、Rは、下記A群又はB群から選ばれる置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される少なくとも1種のエポキシ化合物を含有せしめることを特徴とする、 金属加工用潤滑油組成物の摩耗防止性能向上方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、特定の構造を有するエポキシ化合物と基油からなる潤滑油組成物は高い耐摩耗性を有することを見出したものである。該潤滑油組成物は、優れた耐摩耗性を有することから金属加工用潤滑油として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[潤滑油組成物]
本発明に係る金属加工用潤滑油組成物は、鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種の基油及び上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物からなる潤滑油組成物である。該潤滑油組成物には必要に応じて後述するその他の添加剤を配合してもよい。
該エポキシ化合物の配合量は、1〜30重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。1重量%未満では充分な摩耗防止効果が得られず、30重量%を越えて配合したとしても、添加量に見合った性能の向上が得られにくい。
【0011】
また、金属加工用潤滑油組成物の貯蔵安定性の観点から、保管時にエポキシ化合物と基油が均質であること(エポキシ化合物が基油に溶解するか又は基油中にエポキシ化合物が分散するなどして両成分が層分離しないこと)が好ましい。
【0012】
[基油]
本発明に係る基油は、鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、これらの基油は、単独であるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
【0013】
上記鉱油としては、潤滑油の分野で一般的に基油として用いられる鉱油を使用できる。鉱油としては例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を更に減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスやフィッシャートロプシュプロセス等により製造されるワックス(ガス トゥ リキッドワックス)を異性化することによって製造される基油等が例示される。本発明において用いられる鉱油としては、100℃における動粘度が1.5〜40mm/sの範囲にあるものが好ましい。
【0014】
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油などが例示される。
【0015】
合成油としては、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの合成炭化水素油及びフィッシャートロプッシュ法によって得られる合成炭化水素の異性化油のほか、有機酸エステル、ポリエーテルなどが挙げられる。
【0016】
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなど)の重合体又は共重合体が例示され、特に100℃における動粘度が1.5〜40mm/s、粘度指数が100以上の化合物が好ましく、100℃における動粘度が3〜30mm/sで、粘度指数が120以上のものがより好ましい。
【0017】
ポリブテンとしては、イソブチレンの重合物やイソブチレンとノルマルブチレンとの共重合物が例示され、一般に100℃の動粘度が2〜6000mm/sの範囲のものが好ましい。
【0018】
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換された、分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼンなどが例示される。
【0019】
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレンなどが例示される。
【0020】
有機酸エステルとしては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのモノエステル類;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン−2酸などの炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのジエステル類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸若しくはそれらの酸無水物と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのフルエステル;シクロヘキサンジカルボン酸若しくはその酸無水物と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのジエステル;ダイマー酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステルなどの脂環式多価カルボン酸エステル;及びネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールと炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とのフルエステル若しくは部分エステルなどが例示される。
【0021】
ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリエステルエーテル、ポリフェニルエーテルなどが例示され、一般に100℃の動粘度が2〜4000mm/sの範囲のものが挙げられる。
【0022】
上記基油の中でも入手の容易さと潤滑油としての機能等の観点から、基油として鉱油を使用することが好ましい。
【0023】
[エポキシ化合物]
本発明に係るエポキシ化合物は、下記一般式(1)
【化3】

[式中、Rは、下記A群より選ばれる置換基をあらわし、Rは、下記A群又はB群から選ばれる置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される化合物である。
上記A群の飽和脂肪族炭化水素基中のエポキシ基の個数としては1個以上であって1〜3個が好ましい。
【0024】
上記エポキシ化合物は、無水テトラヒドロフタル酸とアルコール化合物をエステル化反応することにより得られたテトラヒドロフタレートを過酸化物の存在下エポキシ化する方法等により得る事が出来る。
【0025】
上記一般式(1)においてRが、A群から選ばれるエポキシ化合物を得ようとした場合、その製造時アルコール化合物として炭素数16〜22の不飽和アルコールを用いる。該不飽和アルコール中の二重結合の数は1個以上であって、1〜3個が好ましい。
【0026】
上記一般式(1)においてRが、B群から選ばれるエポキシ化合物を得ようとした場合、その製造時アルコール化合物として炭素数16〜22の不飽和アルコールと飽和アルコールを併用して用いる。該不飽和アルコール中の二重結合の数は1個以上であって、1〜3個が好ましい。
【0027】
上記製造方法で製造されるエポキシ化合物の酸価は通常2mgKOH/g以下であって、1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が2mgKOH/gより高いときは自身の酸価による加水分解が懸念される。
【0028】
上記、エポキシ化合物としては、
9−セチル,10−エポキシセチル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ステアリル,10−エポキシセチル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−アラキル,10−エポキシセチル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ベヘニル,10−エポキシセチル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−セチル,10−エポキシステアリル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ステアリル,10−エポキシステアリル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−アラキル,10−エポキシステアリル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ベヘニル,10−エポキシステアリル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−セチル,10−エポキシアラキル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ステアリル,10−エポキシアラキル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−アラキル,10−エポキシアラキル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ベヘニル,10−エポキシアラキル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−セチル,10−エポキシベヘニル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ステアリル,10−エポキシベヘニル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−アラキル,10−エポキシベヘニル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、9−ベヘニル,10−エポキシベヘニル−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(9,10−エポキシセチル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(9,10−エポキシステアリル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(9,10−エポキシアラキル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(9,10−エポキシベヘニル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレートが例示される。
【0029】
[その他の添加剤]
本発明に係る金属加工用潤滑油組成物には、その性能を向上させるために本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の各種添加剤を1種又は2種以上を適宜添加することが可能である。そのような添加剤として、無灰型分散剤、金属系清浄剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤などが挙げられる。又、必要に応じて、耐摩耗剤・極圧剤、油性剤・摩擦調整剤、酸化防止剤、腐食防止剤などを添加しても良い。通常、好ましく適用される添加量(基油及びエポキシ化合物の合計量に対する添加剤の重量%)を上記各添加剤の具体例と共に示す。
【0030】
無灰型分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステルのほかこれらをホウ素化合物で処理した誘導体などが例示され、その添加量としては2〜10重量%が挙げられる。
【0031】
金属系清浄剤としては、金属スルホネート、過塩基性金属スルホネート、金属フェネート、過塩基性金属フェネート、金属ホスホネート、サリシレート、カルボキシレートなどが例示され、その添加量としては2〜10重量%が挙げられる。
【0032】
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、塩素化パラフィンとナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、ポリブテン、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテートなどが例示され、その添加量としては0.1〜1重量%が挙げられる。
【0033】
防錆剤としては、スルフォン酸塩系、カルボン酸系、有機アミン石けん系、ソルビタン部分エステル系の化合物が例示され、その添加量としては0.05〜3重量%が挙げられる。
【0034】
消泡剤としては、ポリジメチルシリコーンなどのシリコーン系化合物が例示され、その添加量としては1〜100ppmが挙げられる。
【0035】
耐摩耗剤・極圧剤としては、オレフィンポリサルファイド、硫化油脂、ジアルキルポリサルファイドなどの有機硫黄系、塩素化パラフィン、アルキル及びアリールりん酸エステル、アルキル及びアリール亜りん酸エステルなどの有機リン系、ジアルキルジチオリン酸亜鉛系、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛系、長鎖脂肪酸系の化合物が例示され、その添加量としては0.05〜10重量%が挙げられる。
【0036】
油性剤・摩擦調整剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸類、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール類、オレイルアミンなどのアミン類、モリブデンジチオカーバメートなどの有機モリブデン類が例示され、その添加量としては0.1〜5.0重量%が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、N−フェニル−α−ナフチルアミン、N−オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミンなどのアルキル化ジフェニルアミン、パラフェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤、ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、トリフェニルホスフォロチオネート、アルキル化トリフェニルホスフォロチオネートなどのリン系酸化防止剤、フェノチアジン、硫化油脂、ジベンジルジサルファイド、ジセチルサルファイドなどの硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
【0038】
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール、2,5−ビス(n−ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール系の化合物が例示され、その添加量としては0.01〜0.4重量%が挙げられる。
【0039】
消泡剤としては、ポリジメチルシリコーンなどのシリコーン系化合物が例示され、その添加量としては1〜100ppmが挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、性能については以下の方法により評価した。
【0041】
摩耗防止性能試験
荷重を標準条件の40kgfから30kgfに変更した以外は、JPI−5S−32−90(社団法人日本石油学会:潤滑油の耐摩耗性試験方法(シェル四球式))に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機製)を用いて、回転数1200rpm、荷重30kgf、時間60分の条件で試験し、摩耗痕直径を測定した。摩耗痕の長短直径を測定、平均値を算出し摩耗痕直径とした。摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好とする。
【0042】
溶解性試験
攪拌装置を備えた100mLのフラスコに、基油及びエポキシ化合物(基油/エポキシ化合物=80/20、90/10)を50mL入れ、充分攪拌したのち一時間静置した。静置後、目視で観察を行い基油とエポキシ化合物が分層するものを「×」と判定し、分層しないものを「○」と判定した。
【0043】
性能評価に用いた各試料の組成を表1及び2に示す。各実施例、比較例の成分は以下の通りである。
【0044】
[基油]
鉱油:パラフィン系鉱油(コスモ石油ルブリカンツ株式会社製 「コスモニュートラル100」、100℃の動粘度 4.3mm/s)
【0045】
[エポキシ化合物]
エポキシA:ジ(9,10−エポキシステアリル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート
エポキシB:ジ(2−エチルヘキシル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート(商品名「サンソサイザーE−PS 新日本理化製)
エポキシC:ジ(n−ヘキシル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(n−オクチル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレート、ジ(n−デシル)−4,5−エポキシヘキサヒドロフタレートの混合物(商品名「サンソサイザー nE−PS」、新日本理化製)
エポキシD:n−ドデシルグリシジルエーテル、n−テトラデシルグリシジルエーテルの混合物(商品名「リカレジン L−200、新日本理化製」)
エポキシE:1,4−シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル(商品名「リカレジン DME−100 )
エポキシF:ネオデカン酸グリシジルエステル(商品名「カージュラ E10P」、ヘキシオン スペシャリティケミカルズ ジャパン社製)
エポキシG:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製)
エポキシH:エポキシ化大豆油(商品名「サンソサイザー E−2000H」、新日本理化製)
【0046】
実施例1〜2
表1及び表2に示す組成の試料油に対し摩耗防止性能試験及び溶解性試験を行った。得られた結果を表1及び表2に記載する。
【0047】
比較例1〜14
表1及び表2に示す組成の試料油に対し摩耗防止性能試験及び溶解性試験を行った。得られた結果を表1及び表2に併記する。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の特定の構造を有するエポキシ化合物を含有する潤滑油組成物は、耐摩耗性に優れエポキシ化合物の基油への溶解性も良好であることから、金属加工油として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱油、動植物油及び合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種の基油及び一般式(1)
【化1】

[式中、Rは、下記A群より選ばれる置換基を表し、Rは、下記A群又はB群から選ばれる置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される少なくとも1種のエポキシ化合物を含有してなる金属加工用潤滑油組成物。
【請求項2】
一般式(1)で表されるエポキシ化合物の含有量が1〜30%である請求項1に記載の金属加工用潤滑油組成物。
【請求項3】
一般式(1)において、R及びRがA群より選ばれるがA群より選ばれる置換基である請求項1又は2に記載の金属加工用潤滑油組成物。
【請求項4】
一般式(1)
【化2】

[式中、R及びRは同一又は異なっていてもよく、Rは、下記A群より選ばれる1種類以上の置換基をあらわし、Rは、下記A又はB群から選ばれる1種以上の置換基を表す。
A:炭素数16〜22のエポキシ基を有する飽和脂肪族炭化水素基
B:炭素数16〜22の飽和脂肪族炭化水素基]
で表される少なくとも1種のエポキシ化合物を含有せしめることを特徴とする、 金属加工用潤滑油組成物の摩耗防止性能向上方法。

【公開番号】特開2009−155547(P2009−155547A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337442(P2007−337442)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】