金属対応センサ及び管理システム
【課題】センサの感度を上げ、かつ、逆相の誘導電流(導電電流)を抑えることができる金属対応センサ及び管理システムの提供。
【解決手段】金属媒体D1,D2,D3・・・の情報を保持するタグPT1,PT2,PT3・・・に電磁結合し金属媒体D1,D2,D3・・・の情報を送受信する金属対応センサであって、磁性体板6と、磁性体板6と絶縁され磁性体板6に沿って巻回されるコイル2x、2yと、コイル2x、2yが巻回された磁性体板6を包囲する金属板MBと、を備え、金属板MBは、溝部を有することを特徴とする。
【解決手段】金属媒体D1,D2,D3・・・の情報を保持するタグPT1,PT2,PT3・・・に電磁結合し金属媒体D1,D2,D3・・・の情報を送受信する金属対応センサであって、磁性体板6と、磁性体板6と絶縁され磁性体板6に沿って巻回されるコイル2x、2yと、コイル2x、2yが巻回された磁性体板6を包囲する金属板MBと、を備え、金属板MBは、溝部を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属対応センサ及び管理システムに関するものである。詳しくは金属面近くにセンサやIC(Integrated Circuit)タグが置かれたときに、導電体である金属面に発生する導電電流を発生しないようにしたり、磁界の向きを金属面と平行にしたりすることで、金属面による多重影像(Multi−Image)により、磁界を空間に閉じ込め増強し、この磁界を利用し、金属面電流による磁流等も利用し、センサとICタグ間の結合を大きくする金属対応センサ及び管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)のセンサ分野において、金属面近くにセンサやIC(Integrated Circuit)タグが置かれたとき、センサやICタグのコイルに流れる電流から発生する電界や磁界により近辺にある導電体である金属面に誘起される誘導電流がコイルから発生される磁界を打ち消す方向に働くことにより、センサやICタグの特性が著しく損なわれる。更に難しい条件として、金属面がセンサやICタグの上下や左右にあり、金属に挟まれて使用する場合、一般には磁界がふさがれる。
【0003】
従来のセンサコイルは基板にコイルを巻いているものが多い。このような従来のセンサコイルでは、磁界の方向の肉厚が薄く、いわゆるコイルの断面積を大きくすることにより、磁束鎖交数を増やすものが多く、この形のものは金属面の影響を逃れるため磁性体をアンテナコイルの下に用いていた。
【0004】
一方、金属面の影像(イメージ)を利用し、感度を倍増させる方法やセンサやICタグの上下、左右に存在する金属面を利用し、多重影像効果(Multi Image Effect)を用い、感度を増強する方法も出願人本人によって発明されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3121577号公報
【特許文献2】特開2008−131344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のセンサコイルでは、ほとんどの磁界は金属面に垂直となるため、逆相の誘導電流を発生させ、磁界は打ち消される。このため、磁性体により、金属面に発生する逆相の誘導電流の影響を完全に取り除くことはできなかった。
【0006】
これに対して特許文献1や特許文献2では、金属面の影像(イメージ)を利用し、感度を倍増させる方法やセンサやICタグの上下、左右に存在する金属面を利用し、多重影像効果(Multi Image Effect)を用い、感度を増強することで、金属面に発生する逆相の誘導電流の影響を軽減している。
【0007】
本発明は、特許文献2が主にICタグについて述べられているのに対し、センサへの応用に特化する。そして、導電電流の発生を抑えながら金属面隙間からの磁界の漏洩、金属面上の漏洩、側面の磁界等の一石二鳥の効果を利用することにより、金属面による強い磁界を応用したより具体的なセンサの使用方法を明確化し、センサ上部やセンサ側部に存在する金属面や金属体で構成される被対象物からの妨害や悪影響を軽減でき、ICタグとセンサの通信を可能とする金属対応センサ及び管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、下記の構成を備えることにより、上記課題を解決できるものである。
【0009】
(1)物品の情報を保持する無線タグに電磁結合し前記情報を送受信する金属対応センサであって、磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され該磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルが巻回された磁芯を包囲する導電体と、を備え、前記導電体は、不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【0010】
(2)前記(1)に記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、複数の前記不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【0011】
(3)前記(1)又は(2)に記載の金属対応センサにおいて、前記不連続部は、穴部又は溝部であることを特徴とする金属対応センサ。
【0012】
(4)前記(3)に記載の金属対応センサにおいて、前記穴部又は溝部に前記無線タグが勘合する凹部を有するプラスチック板を備えることを特徴とする金属対応センサ。
【0013】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【0014】
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲する際に、前記不連続部では前記磁芯との間に間隙部を設けて前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【0015】
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記磁芯は、断面が四角形又は矩形の帯状の形状であることを特徴とする金属対応センサ。
【0016】
(8)前記(7)に記載の金属対応センサにおいて、前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第1のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0017】
(9)前記(7)又は(8)に記載の金属対応センサにおいて、前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向と垂直な方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第2のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0018】
(10)前記(7)乃至(9)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の平面部にコイルが平面に沿って磁芯の上に巻かれる第3のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0019】
(11)前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記物品を搬送する複数のローラを有するローラコンベアを備え、前記金属対応センサを前記複数のローラ間の所定の隙間に設置し、前記ローラの上を搬送される物品に貼付された無線タグと前記情報の送受信を行うことを特徴とする金属対応センサ。
【0020】
(12)前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、複数の前記金属対応センサと、磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され前記磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルに接続されるコンデンサと、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接する導電体と、を有する補助センサと、を備え、前記補助センサは、前記複数の金属対応センサの間隙に配置することを特徴とする金属対応センサ。
【0021】
(13)前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の金属対応センサと、前記物品に関する情報を保持する無線タグと、前記金属対応センサを介して前記無線タグから読み取り又は前記無線タグへ書き込むリーダライタと、前記リーダライタで読み取り又は書き込んだ前記物品に関する情報を記録表示し又は制御するコンピュータと、を備えることを特徴とする管理システム。
【0022】
(14)前記(13)に記載の管理システムにおいて、前記無線タグに磁界を誘導するための磁性体シートを備えることを特徴とする管理システム。
【0023】
(15)前記(13)又は(14)に記載の管理システムにおいて、前記物品は、ノート型パーソナルコンピュータ、鍵、銃器、基板、DVD、CD又は電気機器を含むことを特徴とする管理システム。
【0024】
(16)前記(13)乃至(15)のいずれかに記載の管理システムにおいて、前記無線タグは、紙製若しくはプラスチック製のタグ又は金属対応タグを含むことを特徴とする管理システム。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、センサの感度を上げ、かつ、逆相の誘導電流(導電電流)を抑えることができる。詳しくは、平面あるいは湾曲する金属面に沿った空間において、金属面に接しながら、金属面による複数のイメージを利用して感度を上げ、かつ金属面に発生する誘導電流が逆相になることを抑えることができる。このため、磁界が閉路を作ることがなく、金属面上に電界や磁界が発生し、また金属面がとぎれて電界や磁界が発生し、多数のICタグとの通信し易い環境を作ることができる。そして、このような金属対応センサ(後述する本発明に係る金属対応センサ(これを、本明細書においてはM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)という))を提供することができる。
【0026】
すなわち、金属面に発生する導電電流を発生しないようにしたり、磁界の向きを金属面と平行にしたりすることで、金属面による多重影像(Multi−Image)により、磁界を空間に閉じ込め増強し、この磁界を利用し、金属面電流による磁流等も利用し、センサとICタグ間の結合を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するためには多くの方法があるが、分類して実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0028】
本発明の原理を説明する上で、従来の技術との比較を行い、その後本発明の原理を詳しく説明し、各種分類や応用例を、図面を参照して説明する。
【0029】
[本実施例との比較のための従来例の説明]
図1(a)には、従来の金属対応センサの構造を示す。
【0030】
図1(a)に示すセンサは、金属面Baと、渦巻きコイル2aによる平面タグの間に、磁性体シート6aを挟んだ構造で、磁性体シート6aによる磁路に磁界を逃がす方式をとっている。ここで、磁性体シート6aには透磁率μrが高い磁性体を用いないとコイル2aと金属面Baの隙間が狭いので、磁路の磁気抵抗が大きく、磁界の垂直成分による誘導電流の発生により、打ち消す磁界も増え、金属面Baによる悪影響を消し去ることができない。
【0031】
次に、図1(b)には出願人等による既存の発明の例を示す。
【0032】
磁性体6に巻かれたコイル2は、金属面Bに垂直になっており、コイル2の軸方向とコイル2に流れる電流Iにより発生する磁界は金属面Bと水平になっている。
【0033】
コイル2により発生する磁界は、磁性体6の下方には金属面Bがあるので現れず、上方のみに発生する(図1中、破線で示す曲線)。なお、図1に図示するz軸において、z軸のプラス側を上方、z軸のマイナス側を下方としている。
【0034】
もし、この上方に破線による金属面Aがあるときは、当然コイル2と金属面Aとの間の電位差による電界結合Cuがあり、金属面Aとの影響を受ける。また磁界も上から金属面Aに抑えられるような形となり、インピーダンスの変化や特性に影響を受ける。
【0035】
コイル2の上部と金属面Bとは電位差による電界結合Cgも存在している。従って、このような形のセンサアンテナは金属面Bによる影像(イメージ)効果により感度は上昇するが、他の金属面の影響は受け易く、特に金属面A(破線で示す)による影響はこの金属面Aを追加した場合にセンサアンテナの特性を著しく劣化させる。金属面Aの上に置かれる金属媒体Dは、金属面Aによりシールドされるので、金属媒体Dの影響はほとんど現れない。既に金属面Aによって電界や磁界が前述の影響を受けているからである。
【0036】
[本発明に係る金属対応センサの説明]
図1(c)には本発明の金属対応センサの原理を説明する図を示す。
【0037】
磁芯である磁性体6の周囲にコイル2を巻き(センサアンテナともいう)、これに電圧Vが印加され、電流Iが流れており、電流Iによる磁界Hが発生している。コイル2の線片(コイル2のz軸に平行な部分)には導電体である金属面Bとの間に電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)Cg1が発生している。
【0038】
一方、コイル2の上方にある金属面Aが最初から加えられ、金属面A,Bによりサンドイッチ状に挟まれた状態のコイル2は、上下二枚の金属面によって生ずる多重影像(イメージ)により、左右前後の磁界の強度が強くなる。ここで、左右はy軸方向、前後はx軸方向のことである。また、上下の金属面A,Bが存在し、これらがシールド効果を持つため、上下に図1(b)に示すような他の金属媒体D(図6等で詳しく述べる)が存在しても、ほとんど特性に影響を受けない。なお、金属面A,Bは、金属板や金属箔であってもよいし、物体のある一面が金属面となっているものの金属面であってもよい。このため、以下、金属面A,Bを金属板A,Bということもある。
【0039】
このように、本発明の金属対応センサは、磁性体6と、磁性体6に図1(c)のように巻回されたコイル2と、磁性体6の上下にコイル2の軸方向と平行となるように存在する金属板A,Bと、から構成される。
【0040】
なお、図示したCg2は、コイル2の線片(x軸に平行な部分)に発生する、金属面Bとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。また、Cu1は、コイル2の線片(z軸に平行な部分)に発生する、金属面Aとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。Cu2は、コイル2の線片(x軸に平行な部分)に発生する、金属面Aとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。
【0041】
〜従来例の金属対応センサと本発明の金属対応センサとの比較〜
図1(b)のように、もともと金属板Aが存在してない所に金属板Aが現れる場合とは大きな差がある。
【0042】
図1(b)の場合でも金属板Aが存在しなかった場合には、金属媒体Dには電界による影響(ポテンシャルによる)と磁界による影響(電流による)両方の影響を受ける。
【0043】
従って、図1(c)のように最初から金属板A,Bが存在するセンサの場合は、多重影像による感度の上昇のみでなく、外部の金属の影響を受け難いことが理解できる。従来は、磁界の変化や電界の変化(標遊容量等)により、インダクタンスや標遊容量が大きく影響を受け、同じインダクタンスを得るためにはコイルの巻数を何倍かにしなければならなかったり、図1(b)のような従来の金属対応センサではコイルの巻数を10巻増やさなければならなかったりする。
【0044】
図1(d)は、コイル2の軸方向(すなわち、y軸方向)からみた図1(c)に示すセンサアンテナで、多重影像を発生し、これにより感度が上昇する理由を示すものである。図1(d)では上下に発生した多重影像を破線で描いている。
【0045】
実際には金属板Aと金属板Bの間の、磁性体6の左右の狭い空間に磁界が挟まれ閉じ込められるため、感度が上昇すると理解できる。
【0046】
[本発明の管理システムに用いられるタグについて]
図2には、金属体や金属面で用いられる金属対応のICタグ(以下、単にタグとする)の種類を示す。金属対応のタグとしたのは、本発明の金属対応センサが用いられる場合、タグが付いている物品(対象物(ターゲット))は金属媒体(金属体)を前提としているからである。なお、図1(c)に示す2枚の金属板A,Bに挟まれ、コイル2が巻回された磁性体6を備える本発明の金属対応センサをM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)ということとする。図2(a)は、平面タグTaの下に磁性体を置いた通常のタグである。なお、図2(a)のMはタグが貼付される物品(先に説明したように金属媒体である)の金属面である。タグのコイルは渦巻き状に巻かれ、タグのコイルの軸は金属面Mに垂直となっている。図2(b)は金属面Bを利用した一影像形のタグTbである。図2(c)は金属面MA,MBによる多重影像形のタグTcである。
【0047】
[本発明のM2ISSの詳細な構成と発生する磁界について]
〜コイルの軸が磁性体の長手方向となるようにコイルを巻く場合〜
図3には、角形の細長い磁性体6にコイル2が矩形の短辺の方向に(xz平面に略平行となるように、かつ、y軸に略垂直となるように)横形に巻かれ、コイル2の軸方向(磁界の磁路の方向)が磁性体6の長手方向(y軸方向)に沿う構造のセンサを示す。図3(a)に示すように、磁性体6の矩形の長辺に沿って長手方向に上下に金属板A,Bが当てられている。
【0048】
図3(a)は、上下金属板(アルミニウム、鉄、銅、ステンレス等の金属板)(金属箔や金属蒸着でもよい)A,Bが角形の磁性体6の上に絶縁されたコイル2が中心部より左右(2L,2Rと図示)に向かって巻かれている場合を示す。ここで、磁性体6と、金属板A,Bとは密着しておらず、所定の間隙を設けている。なお、Cgはコイル2と金属板Bとの間に発生する浮遊容量であり、Cuはコイル2と金属板Aとの間に発生する浮遊容量である。
【0049】
磁性体6の上に直接コイル2を巻いてもよいが、コイル2と磁性体6との密着度や距離により、コイル2に流れる電流Iにより発生する磁界がコイル2に近い程影響を受ける。このため、磁性体6の周囲を一旦プラスチックフィルムで囲むように巻いてからプラスチックフィルムの上にコイル2を巻くと、これを絶縁体として使用もできる。また、エナメル線等の絶縁線や裸の帯状銅テープをコイル2として巻いてもよい。
【0050】
コイル2として裸の帯状銅テープを用いる場合は、巻線終了後に絶縁テープやプラスチックフィルムで覆い、上下に当てる金属板A,Bより絶縁しなければならない。
【0051】
金属板A,Bは、市販されている糊付アルミテープや銅テープを用いれば、経済的に構成でき、かつ薄いので、フレキシブルに仕上げることもできる。
【0052】
センサ自体をしっかり構成したい場合は、金属板A,Bとして、アルミ板や銅板、ステンレス板、鉄板等を用い、接着剤や糊や両面テープ等で接着させることができる。
【0053】
磁性体6の周囲に巻かれたコイル2に流れる電流Iにより、これに直角な磁界が発生し、多巻コイルによる磁界の合成により、ほぼコイルの軸方向に内部の磁界Hiと外部の磁界Hoが発生する。外部磁界Hoは、磁性体6の上部(かつ金属板Aの下部)に発生する磁界Houや、磁性体6の下部(かつ金属板Bの上部)に発生する磁界Hodがあり、更に金属板A,Bに挟まれた磁性体6の横の隙間、即ちセンサの左右の側方に磁界Hosを発生させる。このことを図3(b)を用いて説明する。
【0054】
図3(b)は、図3(a)の右側(y軸のプラス側)から見た場合の図である。
【0055】
コイル2に流れる電流Iにより、発生する磁界はコイル2の中で磁性体6の中では図面手前から紙に向う磁界Hiとなる。しかるにコイル2で囲まれた磁性体6の外では紙面から手前に向う磁界となる。センサ上下に磁界HouとHodが発生するが、側方にも磁界Hosが発生する。
【0056】
図3(c)は金属板A,Bをコイル2の外側にぴったり貼り付けた場合で、センサコイル2は中心部より左右対称に巻いており、磁界は主に側方にHosとなって現れる。
【0057】
図3(d)は図3(c)のセンサを右側から見た場合を示している。上下の金属板A,Bに磁性体6の上下の外部磁界Hou,Hodは押えられて左右に広がる様子を示している。金属板A,Bにはコイル2の電圧電流による起電力(電位差)が発生するため、上下の金属板A,B間には電圧が生ずる。これは上下の金属板A,Bが絶縁されており、この電位差が上下のギャップに発生させる電界によるものであり、両端にコンデンサを挿入されているものと等価的に考えてよい。
【0058】
金属板の幅や長さにもよるが一部の磁界は金属板の外側にも漏洩する(図3(d)では、漏洩した磁界をHou,Hodとして表している)。
【0059】
金属板A,Bが充分幅広く長い場合には金属板A,Bの間に磁界Hosが閉じ込められることになる。ここで、金属板A,Bのx軸方向の長さを幅とし、y軸方向の長さを長さとしている。
【0060】
図の手前や後方の紙面に垂直な磁界Hoa、側方に広がる磁界Hos、金属面上に現れる磁界HouまたはHodは、それぞれの使用目的に応じて使用することができる。
【0061】
金属板A,Bは有限寸法であるが、金属板A,Bによるある程度の影像(イメージ)効果は発生する。更に一番大事なことは、本発明の金属対応センサでは、上下の金属板A,Bがあらかじめ存在することにより、上下に現れる金属媒体(例えば、タグが貼付された金属物品等)に影響を受け難いことである。
【0062】
磁性体6は透磁率μrの大きさにもよるが、厚みz1は0.3〜25mm程度、幅x1は10〜150mm程度、長さy1は10cm〜150cm程度で用いることが多い。一般のゴムでフェライトの粉をねり合わせた磁性体の場合、比透磁率は10〜20程度であり、厚みz1は3〜10mm程度、幅x1は2cm〜15cm程度、長さy1は25cm〜120cm程度のものを用いている。グリーンシートを焼いた比透磁率が125〜200程度の高透磁率の薄い磁性体板の場合は、厚みz1が0.1〜1mm程の薄い磁性体を用いることができる。また、コイル2の巻数は大きさによって異なるが、要は給電部のインダクタンスが4〜6巻で1〜6μH程度になるようにすることを目安としている。この範囲に入るように直列,並列の組み合わせを行う。コイル2は金属板A,Bで挟まれるため、インダクタンスは下がり、磁性体が薄い場合には金属板A,Bがない場合に比較して巻き数を数倍に増やす必要がある。例えば、0.3mm厚の場合、30巻とすることがある。
【0063】
図3(e)は図3(c)の金属親和性センサを金属面Mの上に載せた場合を示す。通常用いられる一般的な例である。ここで、金属親和性センサとは、本願発明に係る金属対応センサのことをいい、金属親和性センサM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)ということもある。また、TはICタグ(以下、タグTとする)である。図3(e)には、金属板Aの上方の磁界Houや、側方の磁界Hos、磁性体6のコイル軸に向かう磁界Hoaにより、タグTのICに記録された物品に関する情報を読み取る様子を示している。
【0064】
図3(c)と異なり、金属板Bの下に金属面Mがあるので、金属板Bの下方にあった磁界Hodはなくなり、磁界は金属板Bの上方や側方に追いやられる。金属面Mに沿う側方の磁界Hosが励振され易くなる。
【0065】
図3(f)は図3(e)の右端から図の左を見たセンサの説明図である。
【0066】
金属面Mの上に載せられたセンサの影像(イメージ(Image;図中破線で示す))が金属面Mの下方に現れるためセンサが2倍になったように見え、更に感度が2倍即ち感度が6dB上昇することを示している。
【0067】
また、上方の金属板Aによっても完全ではないものの影像は発生しており、上下金属板A,B及び金属面Mにより多重影像が得られ、紙面前後や側方の磁界は増強される。金属板Aの大きさは磁性体6と同じ大きさとしているが、目的により多少小さくもできるし、大きくして磁界を側面に集中させることもできる。
【0068】
例えば、金属板Aをx方向の横幅、y方向の長さ等を変えたり、後に述べる切れ目を入れたりすることにより、磁界の分布を制御することができる。
【0069】
図3(g)はセンサ幅xとセンサ長yとがほぼ同一の場合(x=y)、すなわち上からみるとほぼ正方形となっている場合の説明図である。図3(g)は、図4に述べるコイル2の長さが長くなり従ってコイルの断面積が大きくなる場合の実施例(x<y)との中間に位置する形状(x≒y)のセンサを説明するものであり、後述の図9、図10、図11、図12等の実施例に示す金属媒体Dが載せられる面を上から見た場合正方形に近いセンサの代表的な小形センサの説明を行う例として挙げている。図3(h)は図3(g)の右端から図の左を見たセンサの説明図である。
【0070】
なお、後述する図13の実施例は図3(g)、図3(h)の動作原理等が基本となっている。
【0071】
〜コイルの軸が磁性体の長手方向と直交するようにコイルを巻く場合〜
図4にはコイル2を磁性体6に対して縦巻き(yz平面に略平行になるように巻回する)にした場合を示す。すなわち、コイル2の軸方向(磁界方向)がx方向となるように巻く。図3の場合と比較するとコイル2が直交していることが分かる。図4の場合も、図3の場合と同様に磁界Hは金属板A,Bや金属面Mと平行する方向で磁流を励振する方向となる。
【0072】
図3のコイル2の巻き方向がx軸方向であれば図4のコイル2の巻き方向はy方向であり、磁界の方向も直交する方向となる。コイル2の長さは磁性体6の長辺に沿って(y方向の辺に沿って)短辺にずらして(x方向に進行するように)巻くために、図3でのコイル2の巻き方は4〜10巻(磁性体板6が薄い場合は20〜40巻)するのが普通であったが、図4の場合には長辺に巻くため1巻から4巻程度となる。図4では、コイル2の巻き方が1巻〜3巻であったり、これを並列にしたり、長さにより巻き方は場合に応じて適当にする。一方、コイルのインダクタンスは、給電部のインダクタンスが0.5μH〜10μH程度であり、通信の帯域や調整を考慮し、1〜6μHの範囲が適当である。磁性体6の長さが20〜30cm程度のときは3巻程度で、長さが1m程度のときは1〜2巻でこれを並列給電を行い、インダクタンスが大きくなり過ぎないようにしている。このことは図3の場合も同様である。
【0073】
図4(a)は縦長の磁性体6にコイル2がy方向に巻かれており、この上下に金属板A,Bが少し離れて置かれている場合を示す。ここで、Cuはコイル2と金属面Aとの間の浮遊容量、Cgはコイル2と金属面Bとの間の浮遊容量である。
【0074】
金属板A,Bを離して置いてあるのは、磁性体6にコイル2がどのように巻かれているか見易くするためである。またある程度金属板を離しコイルと磁性体との空間を設ける場合もあるが、あまり大き過ぎない方がよい。後述するが、空間の高さは1mm〜15mm程度がよい。この空間の支えは、プラスチック板、発泡ポリステロール板、あるいはプラスチック等の絶縁体による支柱を立てることにより、一定の空間を作ることができる。磁性体6の厚み(磁性体6のz軸方向の長さ)は先に述べたように0.2〜25mm程度である。磁性体6の厚みが厚い方がコイル2を巻くときの断面積も増え、従って磁界が通り易くなり、磁束が増えるのでよいが、あまり厚すぎるのは高さも増し実用的でない。磁性体6の透磁率が高いことは磁界が通り易くなり磁気抵抗が低いことを意味するので、コイル2の断面すなわち磁性体6の断面を小さくしても磁路を確保することができ、従って薄くすることができる。小形薄形のセンサを構成する場合には透磁率の高いグリーンシートを焼いたような薄い磁性体を用い、0.1mm〜1mm程度の厚みのものも使用することができる。フェライトの粉をゴム等で粘った磁性体等を用いる場合には厚みは2mm〜25mm程度で5〜15mm程度が用い易い。
【0075】
磁性体6の長さが30cm前後の場合には、2〜3巻程度で2〜3μHのインダクタンスが得られるのでこの程度の巻数でよい。
【0076】
一方、長さが1m程度もあるものではインダクタンスが大きくなるので、1巻程度あるいは5〜10mmのピッチの1〜2巻のコイルを10〜20mm離して2並列3並列にしたものを用いても良い。
【0077】
金属板や金属面が下方のみにしかない従来のものは、図1に説明したものと同じように上部の金属媒体Dや金属板Aに著しく影響を受け、実際的には上部の金属媒体DのタグTや金属媒体Dの検出を行うことは不可能に近い。
【0078】
ここで図4(a)のIuはコイル2に流れる電流である。コイル2と上の金属面Aとの間には電界による標游容量が発生するので、この標游容量をCuとする。下方の金属面との間の標游容量をCgとする。これらの値を最初から特定できるので変動を受け難い。
【0079】
図4(b)は図4(a)の右端からセンサから左を見た場合の図である。図4(c)は金属板A,Bをセンサ(コイル2が巻回された磁性体6)に当てた場合の説明図である。
【0080】
また、先に述べたように上部の金属板A等によりインダクタンスも容量も著しく影響を受けるので、コイルの巻数も金属板A等がない場合のセンサの何倍かに増やす必要がある。磁性体6の厚みz2によって増やす巻数も異なるし、長さy2が長くなるにつれてインダクタンスも大きくなるので、適当な巻数を定めなければならない。図3の方はもともと巻数が多いので、金属板A,Bによる影響により、巻数もかなり増える。図4の方は図3に比べもともと巻数が少ないので、増えてもたいしたことではない。しかるに金属板A,B間の間隙に磁界が閉じ込められる関係もあって、この間隙が狭ければ狭い程磁界はこの間に閉じ込められ、従って、インダクタンスは減少するので、コイル2の巻き数をかなり多く補って巻き足し、インダクタンスが同じ位までになるようにしてやらなければならない。
【0081】
磁界はコイル2に流れる電流Iによって発生し、コイル2と直角な方向、即ちx軸の方向の磁界Hoaと上部に回るHouと下部に回るHodに分かれる。また図4(a)の紙面に向かって右端と左端では、主に垂直コイル(コイル2の垂直(z軸に平行)な部分)に流れる電流Iuにより横向きの磁界Hosも発生する。
【0082】
図4(d)は図4(c)のセンサの右端から左を見た場合の説明図を示す。上下(z方向)に流れる電流Iuの説明以外は外部磁界HouやHodの様子、またコイル2の軸方向(x方向)の磁界Hoaの説明もよく理解できる。
【0083】
図4(e)の場合はこのセンサが一番よく使われる実施例の一つを挙げている。即ち、金属板Bが取付いている側が金属面Mに接していたり、床,棚,壁に接していたりする場合を示している。
【0084】
このような場合には図3の場合と同様、金属面Mにより影像(イメージ)が発生する。図4(c),図4(d)の場合も金属板の大きさが有限であるため、完全ではないがある程度の影像(イメージ)効果が得られ、磁界を集中し、感度の上昇が得られる。ここで、図3(e)と同様に、磁界Hou,Hoa,Hosと結合するタグTを示している。
【0085】
しかるに前述のように金属板A,Bの大きさは、目的により、小,中,大と変えられる。多重影像により感度を上昇させる目的のみならず、更に、下方の金属面Mの影響のみならず、金属板Aを備えることにより、上方の金属媒体Dや金属面の影響によるセンサの感度低下や特性の変化を抑え、改善する目的もある。
【0086】
図4(f)には図4(d)の右端より左を見た場合の説明図を示す。本来図4(e)に示すように、金属面Mの上に乗せられた金属親和性センサM2ISSは金属面Mにより影像(イメージ(Image))が発生し、下方にも同大の影像が現れる。
【0087】
図4(f)にはセンサの金属面Mによる影像(イメージ(image;破線で示す))も示している。下方の影像により発生する磁界は上のセンサにより発生する磁界と同方向で加算される磁界となり、影像(イメージ)により2倍となることが分かるであろう。面積が2倍となるので、磁束が2倍となり、誘起電圧は2倍となり電力は4倍となるので、6dB増の改善が得られる。そして、センサの上部も金属板Aがあるため、センサの上部に別の金属体が近づいたり、センサの上に載せられたりしてもほとんど影響を受けず、物体に取付けられたタグTとの交信(通信)を行うことができる。取付けられるタグTには2種類ある。すなわち、金属物体に直接取付けられる金属親和性タグの場合もあり、また金属の空洞に取付けられたりプラスチックや磁性体等を介して取付けられたりする一般のタグが用いられる場合もある。なお、金属親和性タグとは、金属に阻害されることなく反対に金属面電流や磁流を利用し感度が向上する金属対応タグのことであり、金属面による影像を利用して感度を上昇させる金属面に親和性を有するタグをいう。一般の平面タグに磁性体を当てた金属対応タグもこの中に含まれる。
【0088】
図3、図4は、比較的細長い幅の小さい帯状のセンサの実施例を扱っているので、その金属帯の上を通過する磁界Houが存在するが、金属帯の幅が大きくなると、金属帯の上を通過する磁界が少なくなるので、金属帯の存在による磁界の安定性を得ながら、かつ、タグとの交信を保つ工夫が必要となる。標準的なセンサアンテナとしては金属面の幅(x2)が6〜7cm程度では十分にこの上を磁界が通過する。
【0089】
[金属面センサによる磁界捕捉システムについて]
図5は、金属面センサM2ISSによる磁界捕捉システムを大別し、タグTとセンサコイルによる磁界との結合の種類を示す。
【0090】
図5(a)は、図3の実施例で示すセンサの例で、図5(b)は図4の実施例で示すセンサの例であり、両方の実施例共に金属の上の磁界Houとセンサの側面の磁界HosとHoaとからなる磁界が発生している。図5(a)の場合特に金属板A,Bは図示していない。
【0091】
図5(c)は、金属面Aに切れ目又は隙間S(不連続部、溝部)がある場合に、金属面Aの切れ目あるいは隙間Sから直に発生する磁界Hsuを示している。
【0092】
図5(d)は図5(c)の金属面の切れ目あるいは隙間Sから直に発生する磁界Hsuを現し、図5(e)は金属面の切れ目あるいは隙間Sを利用して金属面Aの下方であり、コイル2や磁性体6の上方の空間MSに発生する磁界Hsmuを示している。
【0093】
図5(f)は金属面Aに開けられた角形あるいは円形の窓あるいは穴WS(不連続部)を示し、この外側にもれる磁界Hhuを示している。
【0094】
図5(g)は、金属面Aに開けられた窓あるいは穴WSから発生する外部磁界Hhuを示し、図5(h)は、金属面Aの下方の内部空間MSに発生する磁界Hhmuを示している。金属面と磁性体表面にまかれたコイル2に流れる電流Iにより空間MSに発生する磁界HsmuやHhmuは内部に閉じ込められた磁界なのでかなり強力である。タグがこの中にあることは、この磁界によりタグのコイルがより励振され易いということであり、従ってタグとの信号の送受が行い易い。しかも金属体の媒体(ターゲット)が上を覆ったとしても、もともと金属面Aが存在しているので、媒体(ターゲット)の存在により、磁界や電界の多くが乱され、特性がずれたりすることがない。
【0095】
[金属面とコイルが巻かれた磁性体との間に空間がある場合について]
〜金属面に穴がある場合〜
図6は金属面の一部MA(以下、単に金属面MAとする、MBについても同様)と磁性体センサアンテナ(コイル2が巻かれた磁性体6)との間に、強い磁界の空間MS(Magnetic Field Space)がある場合の例を示す。もともとコイル2に流れる電流Iにより発生する磁界は電流Iに近いほど強くかつ磁性体面から発生する磁界もμr倍された磁束密度となり、強磁束となり、金属面を励振する。金属面電流を励振するこの金属面磁流は、金属面MAに沿って流れるので、渦電流のような悪影響を与えるものでなく、磁界による表面電流である。逆に金属面電流により金属面磁流も励振される。
【0096】
従って、この金属面MAとコイルを巻いた磁性体センサアンテナの間には磁界が凝縮され強磁界の空間MSが生じている。この金属面MAの一部に切り欠きを作り、窓とするときは、この窓部WS(図5で説明した穴WS)から磁界Hhuがもれてこの上の金属媒体Dに取付けられた金属タグTに結合する。この様子を斜視図、図6(a)に示す。
【0097】
更に金属媒体Dとこれに取付けられたタグTを下方に下げ金属面の窓穴WSに合わせるようにしてタグTを穴WSを介して磁界空間MS中に下げたときの図を図6(b)に示す。図6(b)は図6(a)の斜視図において金属媒体DのタグTを穴WSに合わせた場合で、コイル2に垂直で穴WSを通る面での断面図である。金属面MAと金属媒体Dの金属面はほぼ接触するような形でつながるため、切り欠き部(穴WS)の金属面は実質金属媒体Dの金属面でふさがれるようになる。このため、切り欠き部がほとんどないのと同じになり、従って表面電流はこの部分で不連続ともならず、従ってこれにともなう磁流も影響を受けない。このような理想的な強い磁界の存在する空間MSに金属対応のタグTが挿入される形となるので何の障害もなく、タグTに流れるコイル電流iとセンサ側のコイル電流Iとは容易に結合し、感度のよい通信が可能となる。
【0098】
図6(c)は、図6(a)のセンサアンテナを右側から左側へ向かって眺めた場合のタグとセンサコイル2に流れる電流Iとの結合を説明するためのタグT,センサのコイル(以下、センサコイルともいう)2、磁性体6、上方金属面MA、下方金属面MB,金属媒体Dの関係を示す断面図である。すなわち、図6(c)は図6(a)において金属媒体DのタグTを穴WSに合わせた場合で、穴WSを通り且つコイル2に沿う面での断面図である。電流Iにより発生する磁界HによりタグTのコイル2a(不図示)に電界が誘起され電流iが流れる。この電流はタグTのICにも流れ、ICの情報を載せた電流が再度タグのコイル2aとセンサコイル2を励振することになる。
【0099】
図6(d),図6(e)には金属面MAに開けられた穴WSをゴミや汚れ、湿気等から守るためのプラスチック板等で覆う作業を行った場合を示す。金属面MAと金属媒体Dとを直接接続させたい場合には、穴WSのみをふさぐようなプラスチックPやゴム等で穴をふさぐようにすればよい。金属面の切り欠きであるので金属導電流を流さないための金属面の不連続部は別の所で行っていると考えてよい。
【0100】
〜金属面に溝がある場合〜
図7は金属面MAの切り欠きがコイル2と直角な方向に連続して続いており、いわゆる溝のような形で金属面が切れている場合を示す。従ってここに現れる漏洩磁界は溝に沿って現れることになる。金属面の不連続部の構成により連続する導電電流を流さないためと、漏洩磁界を作る一石二鳥の効果がある。
【0101】
図7の場合は図6の場合と異なり、溝に沿ってどこでも漏洩磁界があるので、溝に沿ってどこででも金属媒体DのタグTをセンシングすることができる。
【0102】
図6の場合は先にも説明したように穴WSの位置が定まっているので、定位置に合わせて金属媒体DやタグTを置かなければならない。あらかじめ定められているような目的の使用には最適である。この場合の穴位置、外側に枠等を作ることにより、金属媒体Dの位置やタグTの位置を定めることができる。
【0103】
図7の場合には溝が連続しているので溝に沿ってはどこの位置でもほぼ同じ条件となるので、金属媒体DやタグTを置く自由度はより広くなる。
【0104】
図7(b)は、図7(a)の斜視図のセンサを手前側からみた場合の説明図、すなわち、図7(a)において金属媒体DのタグTを溝に合わせた場合で、コイル2に垂直で溝を通る面での断面図である。磁界方向に溝が切られているのでこの方向には磁界Hは左右に広く現れている。従って金属面MAの上部でも比較的よくこの磁界とタグTは結合することができ、従って金属面MAの上ででもタグTをセンシングすることができる。図7(b)の場合には、金属面MAが切れている溝の部分mg(図7(e)参照)にタグTが挿入されている場合で、この場合もタグTとセンサとの結合は金属面MAとセンサとの間の空間MSで行われるので、強い磁界の中の結合であり、非常に感度の良い結合が得られる。
【0105】
図7(c)は図7(a)の斜視図を右側から左を見た場合、すなわち溝を通り且つコイル2に沿う面での断面図で、かつ金属面MAの上に直接金属媒体DとタグTが溝の上に合わせて載せられている場合を示す。もともと金属面MAが大きく、溝の部分が小さいので、金属媒体Dが載せられても漏洩磁界の一部の変化となるので、インピーダンス等はそれ程大きく変化を受けない。
【0106】
先に説明した図6の場合には穴WSが一般には一部にしか開いていない上に金属媒体Dが上に載せられると穴WSはふさがり、もし金属面MAが一面に敷かれている場合のインピーダンスがある値を示すならば、この穴WSの影響も小さく、更に金属媒体Dが載ることにより、金属面MAの穴WSがふさがり金属面MAが一面にあるのと同じになり、ほとんどインピーダンス等の特性は変わらない。
【0107】
金属面MAをセンサ上に載せることは、もともと金属媒体Dが上に載ることを予想して金属面による影響を最小限にしながら、かつ、タグTとの通信が金属面により阻害されないように考慮されてなされたので、理想的な関係や環境を提供しているともいえる。
【0108】
図7(d)、図7(e)は溝穴からゴミ、汚れ、湿気等が侵入しないように溝穴にプラスチック板PSやゴムシートで覆い、保護する場合を示す。この場合も、図6(d)、図6(e)で示したように全体の面を覆うのでなく、溝部のみを覆うようにしてもよい。例えば、図7(d)や図7(e)の場合のように、プラスチック面の溝pgが連続している場合、金属媒体DやタグTの落ち着きがよく、この溝pgに沿ってセンシングできる範囲が定められるので、例えば缶が並べられた場合やPCや基板等のタグの位置を定めたりするのに好適である。また、金属面の溝mgは同時に連続する金属面による導電電流の発生による逆相磁界の発生を抑える目的もあり、直接金属媒体Dが金属面に載せられ、それによる導通部が構成されると逆相電流の発生もあるのでプラスチックシートで金属面と媒体を絶縁することも必要である。
【0109】
なお、図7(d)、図7(e)に示すように、金属面Mの上に金属対応センサM2ISSを戴置する場合、金属対応センサM2ISSを金属板MBを底にしてプラスチックケースPに収めた場合金属板MBと棚金属Mとの間にプラスチックケースPの底板がくる。
【0110】
[金属対応センサ(M2ISS)の他の実施例について]
図8には本発明の別の実施例を示す。金属面Aの大きさは大きければ影像効果も発生し、また、磁界は側面に抑えられ、側面の磁界が強くなる。金属面Aの大きさが小さい場合には上面に磁界が漏れ易くなる。目的によって金属面の大きさはコントロールできる。
【0111】
図3,図4では金属板が2枚あり、コイル2に沿った面では2個所不連続となっている。従って逆相電流となる誘導電流が流れる電流の閉路はない。
【0112】
図8には金属板がコイル2に沿って巻かれている場合、少なくとも1箇所不連続を作ることにより、短絡電流や逆相電流が流れないようにしている。
【0113】
図8(a)は金属板MBで図中コイル2が巻かれた磁性体6をぐるりと包み(包囲し)左側の側部を開放している場合で、図8(b)は左側の金属板MBの一部を開放している場合で、図8(c)は上部金属板MBの一部を開放している場合で、どれもコイル2の起電力によって誘起される金属板MBの電圧Vは発生しても短絡していないため、逆相電流は発生せず、従って開放端では電界Eが発生し、この部分で主に磁界も漏れ易い。このような性質を利用して、後述する図9、図10等に示すようにコイル2に沿った金属板MBを分割してここに電界を発生させたり、磁界を外側に発生させたりする。このようにすることにより、センサの上部に乗せられる金属媒体Dの大きさに合わせて金属板MBの大きさを定め、金属媒体Dの側面や下方にタグTを取付け、金属板MBの切れ目から発生する磁界と結合させることにより通信を行うことができる。更に、本実施例のセンサにはあらかじめ金属板MBが設置されているので、電界Eや磁界Hを大きく乱すことはなく、従って特性に影響を与え難い。
【0114】
図8(b)は図8(a)のコイルの巻き方向に沿った金属板の切れ目をもっと狭くした場合を示す。
【0115】
図8(c)はコイルの巻き方向に沿った金属板の切れ目(隙間)をセンサ上部に備えた場合である。金属板MBが連続することは前記のように逆相となる誘導導電電流が金属環に流れるため磁界が打ち消されるので、コイルに沿った金属板MBの少なくとも一部を開放絶縁しなければならない。
【0116】
下部は金属面Mがありここで短絡されるので、側面か上面に開放部を備え、連続する金属環とならないように開放絶縁しなければならない。上面と下面の金属面が側面MBSによって接続されている。
【0117】
〜上部の溝が1つの場合〜
図9は図8(c)に説明した内容のセンサの実施例で、図9(a)は斜視図であり、図9(b)は図9(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。
【0118】
実際このセンサは金属面上に載せられた状態で使用することが多いが、金属面上でなくても動作させることができる。金属面MBA上を通る磁界はコイル2xの軸方向(y方向)が長くなり過ぎない方がよい。y方向の長さが6cm程度では金属面の上の方を磁界は問題なく通過する。
【0119】
磁性体6の金属面のない断面及び金属板が切れている絶縁部からコイル2xに流れる電流による電界Eや磁界Hが出ている。この上部の磁界と側部の磁界を用い、一般のタグTによる金属親和性タグPTと通信を行わせることができる。金属面には検出すべき金属媒体に金属親和性タグPTが取付けられ、分割された上部は、金属媒体の金属親和性タグPT(UT)のIDを読み取り管理することができる。詳しくは図6、図7で述べたとおりである。なお、金属板MBが図8に示すとおり湾曲しているため、複数の金属面である金属面MBAや金属面MBSを有することとなっている。
【0120】
〜上部の溝が複数の場合〜
図10(a)は図9に示す上部の金属板がコイル2xの巻き方向に3分割されている場合を示す。金属板MBをコの字形に曲げた上部の部分を金属板MBAとする。側面部をMBSとする(図9の側面のMBS及び上部の部分の金属板をMBAとしたのと同様である)。すなわち、コイル2が巻回された磁性体板6を包囲する導電体である金属板MBが、不連続部である間隙(又は溝部)g1,g2,g3を有し、このため分割された金属板MBの帯状の部分がA1,A2となっている。金属板MBAと独立する金属板A1,A2との切れ目あるいは間隙(又は溝部)g1,g2,g3から電界Eや磁界Hが洩れ、この磁界Hを利用して金属媒体D1,D2,D3に取付けられた金属親和性タグ(プロメタルタグやユニバーサルタグ)PT1,PT2,PT3との磁界結合により、IDを読み取ることができる。この金属板(金属帯ともいう)A1,A2に沿って金属媒体Dを多数並べても、もともと金属板があるので特性を損なうことはない。金属親和性タグPT1,PT2,PT3並びに金属媒体D1,D2,D3の金属面への置き方については図5、図6、図7に示す方法等をとってもよい。
【0121】
なお、図10(b)は図10(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。金属体の溝の部分から主に磁界が漏洩するが、金属帯A1,A2の上及び金属板MBAの上にも磁界は発生しておりタグT(PT,UT)と交信ができる。
【0122】
図11(a)には更に金属板を多分割にした場合を示す。また、図11(b)は図11(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。多数の金属媒体D1,D2,・・・,Dn,Dn+1を並べ、この金属媒体に取付けられた金属親和性タグ(プロメタルタグ)PT1,PT2,・・・,PTn,PTn+1のIDや情報を読み取るような場合を示す。図では金属板を7分割しているが、目的によって何分割とするかを決定してもよい。この場合は、MBAとは独立した金属板(金属帯)A1,A2,・・・,Anがあることになる。
【0123】
図中、金属板A1からAnがかくれるので、その上に載せられる金属媒体Dや金属親和性タグPTを省いてある。実際金属媒体Dの大きさが分かっているときは、これに合わせて金属板の大きさや数を定めればよい。図5、図6、図7等で述べている例えは、あらかじめ定められた位置に金属媒体DやタグTが来ることが想定されているので、その位置に合わせて穴や溝を設置することが可能となる。なお、図11では図10の側板MBSがない。
【0124】
〜上下の金属板が分離している場合〜
図12には上下の金属板が分離されており、更に上部金属板が分割されている場合を示す。センサアンテナの下部には金属板Bがあり、上部には金属板A1,A2,A3,A4,A5がある。
【0125】
図11と図12は大きな差はないが、側方の磁界が図12の場合の方がよく現れる。図11の場合は前後側面が金属で囲まれている場合に有効である。
【0126】
図12に示すような場合も、図3や図4の場合と原理的には同じであるが、上に乗せられる金属媒体Dの数が多く、それぞれ金属媒体Dが上面に分散するような場合には、それぞれの金属媒体Dの大きさに合わせているため、上面の金属媒体Dの影響を受けづらく、かつ磁界を金属媒体Dの金属親和性タグPTと通信し易く集中分散させることができる。
【0127】
図12(b)は図12(a)のセンサ右端から左を見た場合で、断面や側方の磁界(Hos)や上面の磁界(Hou)が金属親和性タグPTのセンシングに用いられることが分かる。図11のように検出される金属媒体Dが金属板に沿って6個乗せられている場合もあるし、図12のように金属媒体Dが3個、1つの金属板(図示ではA5)の上に乗せられる場合もある。先の説明からも分かるとおり、金属媒体Dにより全ての溝g1,g2,g3,g4がふさがれると、導電電流による障害が出るので、ランダムに金属媒体Dが載せられるようにするためには、金属板A1,A2,A3,A4,A5の上部にプラスチックシート又は磁性体シートがあった方がよい。側面等に隙間がある場合にはこの心配がない。
【0128】
図12(b)に示すように金属板が分割されており、一般的には金属面により、導電電流や渦電流が流れるため磁界は金属面にふさがれるような形で出てこないが、まず金属面をそれぞれのコイルに沿って分割し、導電電流が流れないようにすることと、金属面の隙間(割れ目)から磁界が漏洩するように作られている。従って磁界はこの隙間及び磁性体の側面から現れるようになる。コイルと金属面との間に空間があれば、ここからも磁界が逃げることができる。
【0129】
このようにしてセンサが動作するようにしておけば、金属面MAに開けた穴WSからは漏洩磁界が得られるので図12(a)等と同じようにタグTとセンサコイルとが通信可能となる。
【0130】
図13には直交する絶縁されたコイル2x,2yが磁性体6の周囲に巻かれており、下方に金属板MBが当てられているセンサを示す。図12のx方向のみにコイル2が巻かれているのと異なり、図13(a)はy方向にもコイル2yが巻かれている。このため、それぞれの巻線方向に沿って周回する金属板による誘導電流が流れないように金属板Aをx,y方向に分割する。更にセンサの上に乗せられる金属板とほぼ同じ大きさ(すなわち金属媒体の底面積が分割された金属板の面積とほぼ同じ)の金属媒体Dnには金属親和性タグPTnが取付けられ、x方向のコイル2xから発生する磁界Hyとy方向のコイル2yから発生する磁界Hxとのどちらの磁界とでも結合できるような磁界を発生させることができる。本実施例では、このように金属親和性のほぼ全方向金属・金属親和性センサを提供できることがもう一つの特徴となる。金属親和性タグPTは図では横に取付けてあるが、図6、図7や図10で説明したように金属媒体の下方に取付けてもよい。
【0131】
図13(a)に示す金属媒体Dは、センサの上方に少し離れた所に置かれた図となっているが、複雑さを避けるために検出される金属媒体Dを上方に離して描いてある。実際使用する場合には金属媒体Dはほぼ密着するように金属板Aの上に乗せられて使用されることになる。また被検出物体の金属媒体Dの数も左側、上側のみしか描いていないが、これも図の複雑さを回避するため一部のみしか描いていない。金属親和性タグPTについても同様の理由により一部のみしか描いていない。
【0132】
図13(b)はセンサ上部の直交するセンサコイル2x,2yとその上に乗せられた金属板片Aの位置関係を示すもので金属板片Aの下にセンサコイル2x,2yが来る場合と、図13(c)のように金属板片Aの置かれている間(すなわち隙間(又は溝、割れ目))にセンサコイル2x,2yが来る場合を示しており、どのような場合でも実施可能であることを示している。実際、金属・金属親和性センサM2ISSを構成する場合、コイルのピッチ、金属板片Aの大きさ等で図13(b),図13(c)の混成となることが多い。図5、図6、図7で述べたように、図13に示す金属板片Aに穴や隙間、プラスチックの窪みを設け、穴の上、中、下の強い磁界と結合するようにしてもよい。また図13(d)に示すように、x、y平面内になる第3のループコイル2zを磁性体6の上に巻き、z方向の磁界Hzを発生させ、溝や隙間に垂直方向の磁界を発生させることもできる。金属面は分割されているので、金属面による渦電流や円形電流の発生が抑えられるので、アンテナコイル2の電流による磁界は金属面の割れ目を通って外部に発生するし、金属面の割れ目に発生する電界も外部に発生し、金属面の影響は抑えられる。図13(a)と図13(d)を組み合わせれば、Hx,Hy,Hz全部対応できる全方向形センサを作ることができる。
【0133】
[金属・金属親和性センサを複数並べる場合]
図14には金属・金属親和性センサを一体に構成するのではなく、分割して構成する場合を示す。
【0134】
図14(a)はほぼ等辺の四角形センサの場合で、コイルとしては、x方向のみ、あるいはy方向のみ、あるいは前例(図13)のようにx,y方向に巻かれたセンサを組み合わせる場合を示す。図にはx方向のみのコイル2xしか示していないが、x方向のみ,y方向のみ,あるいはx,y方向のコイルを用いたものでもよい。なお、これをセンサ#1とする。
【0135】
図14(b)は図14(a)を4組組み合わせた場合を示す。すなわち、センサ#1〜センサ#4を組み合わせた場合を示す。センサを使用しなければならない面がx,y方向に大きくなったときあるいは一つ一つのセンサに電力を集中しなければならないときや媒体やタグの置かれている場所を特定したい場合等は、このような分割あるいは分散方式を用いる。図13に示す図13(a)、図13(d)を合成した全方向センサを図14(b)のように並べ、分散方式とすることもできる。
【0136】
図15には一方向のみに広げた場合(一方向にのみセンサを複数並べた場合)を示す。例えば図に示すように、y方向のみにセンシングする領域を広げたい場合、x方向の長さは一定の短冊の長さがあり(例えば20〜100cm程度)、y方向の幅(例えば2〜10cm程度)がある場合に、この短冊形センサを横並び(y方向に並べる)にして、ある範囲のセンシング領域を得たい場合に用いる目的のものである。
【0137】
図15(a)の金属・金属親和性センサは図4に示す(対応する)センサを横(y方向)に並べた場合で、図15(b)は図3に示す(対応する)金属・金属親和性センサを横(y方向)に並べた場合を示す。
【0138】
どのような場合にこのようなセンサを使い分けするか説明する。図15(a)は次のような場合が考えられる。例えば、PC(パーソナルコンピュータ)や基板や金属工具の金属板の方向がy方向を向いており、x方向に並べられx方向の間に媒体間の間隔で少しずつ間隙が空いているような場合である。このような場合には、この間隙部やPCや基板や金属工具等の下方向にタグPTやUTが取付けられる厚みがあり下方に隙間がある場合等と、PCや基板等に隙間があり下方の横にタグが取付けられることができる場合等で、この隙間をy方向に水平磁界Hhyが通って行くので、この磁界Hhyをとらえて金属親和性タグPT(UT)のコイルでタグに取付けられたICの信号と通信を行うのに適している場合を示す。センサとしては1個でも複数でもよい。
【0139】
センサを横に並べる場合は金属親和性タグPTを貼る位置や、PCや基板や金属工具等のターゲットが多少ずれてもセンシングできるようにしており、これらが多数ある場合でもセンシング可能となるようにしている。
【0140】
センサ#1〜#3の下方には金属面Mがあるので、金属面Mによる悪影響が出ることもなく、図2,3,4で説明したように、むしろよい結果も得られる。金属面Mが大きく、上に載せる金属媒体Dが大きい場合には、短絡電流が発生しないよう金属面Mと金属媒体Dの端部とを、プラスチック板等で分離した方がよい。もともと金属板Bが貼られているので金属面Mがない場合でも、すなわち金属面Mのあるなしに拘らず、順調にセンシングすることができる。
【0141】
図15(b)は、x方向あるいはy方向に長い金属面を持つターゲットがたてられ、これがy方向あるいはx方向に並べられている場合、x方向の磁界Hhxによりターゲットに取付けられたタグのコイルを励振し、タグとの通信を行う場合に適している。x方向の磁界Hhxは連続しているので、比較的どの位置でもタグとの交信が容易である。
【0142】
図15(a)は多少水平磁界Hhyに強弱が発生し、とくに隣同士のセンサの間や縁(端)で垂直磁界Hzが発生したり、対向する磁界−Hhyが発生したりする。このため、継ぎ目では零点が発生するので、この点には気をつけなければならない。後に述べられる補助センサの働きやセンサ同士をほぼ密着に近く近づけることにより、このような逆相の磁界−Hhyを押えることができ、連続する磁界Hhyを作り出すことができる。また、継ぎ目の垂直磁界Hzの発生する場所の近傍では、Hzに結合できるタグを取付けることにより交信を行うことができる。
【0143】
[補助センサについて]
図16(a)には図15のようにセンサを並べて動作させるときに、つなぎ目で発生する逆相磁界や垂直磁界を抑えたり、磁界を広げたり連続させたりする目的の補助センサSubを用いる場合を示す。この補助センサSubによりセンサ#1が動作しているときは補助センサSub1も動作し、あたかもセンサ#1と補助センサSub1は一つのセンサとして動作する。しかるに次にセンサ#2が動作するときはSub1とSub2の補助センサが動作するので補助センサSub1の上にあるタグはどちらのセンサでも捕捉することができる。補助センサSubは、共振コイルで無給電で励振され略90°位相の進み電流である場合が多いので、左右のセンサには悪影響を与えず、かつ大きな励振電流により外部には大きな磁界を作り出すことができ、タグとの交信も容易となる。コイルの巻きの方向は図15にも示すように図15(a)のx方向に巻く場合と、図15(b)に示すようにy方向に巻く場合の両方があるが、その他後述する図16等に示すようにx方向にコイル2x,y方向にコイル2yと直交するコイルを巻く場合もある。
【0144】
補助センサSubのコイル(以降、補助コイルともいう)2xにコンデンサCを取付けてほぼ共振状態とする。ここで、使用周波数がfo=13.56MHzの場合には共振周波数foを13.7〜14.2MHz程度になるようなコンデンサを取付け、使用周波数fo=13.56MHz以上では容量性とし、略+90°位相の電流を補助センサSubに励振し、主センサ(#1〜#3)の磁界にプラスするように動作させるとよい。
【0145】
図16(b)に示すy方向のコイル2yに対する補助センサSubについては、同様にy方向のコイル2yにコンデンサを取付け、同じような条件で共振状態を作り出すことによってセンサ間のつなぎを埋め、連続する磁界を作り出すことができる。これにより、Hx,Hyの磁界を継ぎ目なく励振でき、かつ磁界が垂直に立ち上がるときに発生するHzも励振できる。図13(d)で説明したように第3のコイル2zを巻くことによりHzを励振することもできる。
【0146】
〜シートを載せる場合〜
図17にはもう一つの実施例を示す。図17には補助センサSub1,Sub2がある場合が描かれているが、補助センサSub1,Sub2に更に上面の磁界を均一にするため、センサ#1〜#3上のほぼ全面に0.5〜2mm程度の薄い磁気シートを敷いた場合を示す。このような磁気シートMag Sheetを張ることにより、水平磁界Hhは磁気シートMag Sheetの中や近辺でどこでも存在し、特に磁気シートMag Sheetに近い所では金属板Aの影響も少なくなり、タグとの通信も容易になる。
【0147】
補助センサSub1,Sub2がない場合でも磁気シートMag Sheetの効果は均一な水平磁界Hhを作るのに役立つ。
【0148】
図17(a)は磁性体6のx方向にコイル2xを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートMag Sheetを応用した場合、図17(b)は磁性体6のy方向にコイル2yを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートMag Sheetを応用した場合の説明図である。いずれも、磁気シートMag Sheetの代わりにプラスチックシートPlastic Sheetを載せてもよい。
【0149】
図17(b)の補助センサのコイル2yと共振用コンデンサCの表示(透視図)は、図面が複雑となるので省いている。
【0150】
[金属・金属親和性センサの応用]
〜収容物の形やタグの向きが定まっている場合〜
図17までは金属面に乗せるための金属・金属親和性センサの説明が多かったが、図3,図4の原理的な金属・金属親和性センサを用いて一般のタグでも用いられる別の実施例を次に述べる。
【0151】
図18(a)には金属テーブルや金属路M1,M2等の間に金属・金属親和性センサM2ISS(以下、単にセンサM2ISSともいう)を用いる場合を示す。
【0152】
両側から金属面や金属ブロックMAとMBに挟まれた開口部にセンサM2ISSを置き、この上を通過するターゲットTan(図ではTa1,Ta2,Ta3)に貼られたタグTn(図ではT1,T2,T3)を、磁界Hy(Hos)を利用してセンシングするような場合を示している。金属路M1,M2の金属面はセンサM2ISSの両側で平坦であり、センサM2ISSにより突起ができないように平坦にしている。センサM2ISSのコイルの軸方向はy軸と平行である。
【0153】
この実施例では、図3のセンサが上下にではなく、左右の金属面MA,MBに挟まれており、この間隙にセンサを収めている。金属路M1,M2の上に戴置された箱Boxに図示するように縦に並べられた本やケース等のターゲットTanが収容され、そのターゲットTanに取付けられたタグT1,T2,T3,……TnのICに記憶された情報を、センサM2ISSの上を通過するときにセンシングするようにしている。
【0154】
図ではセンサM2ISSの脇、即ち上面のタグTのコイルの中を磁界HyあるいはHosが通過し、ICに記憶されたID番号を読み取る場合を示している。
【0155】
図18(b),図18(c)にはもう一つの本発明の実施例を示す。図3,図4の場合は上面磁界を主に使っていたが、図18の場合は側面の磁界Hos(又はHy(水平磁界Hhとも記す))を主に使っている。
【0156】
使い方に多少の違いはあるが、図18(b),(c)はセンサM2ISSの長さの方向や厚みの方向に重ねて使う例を示している(センサ#1,#2)。
【0157】
図18(b)はセンサの長さが長くなり磁界の分布が大きくなるため磁束密度が減り、感度が悪くなるような場合、磁界を強くするためセンサの長手の方を短くし、センサ#1,#2のように何本かのセンサを継ぎ、センシング範囲を広げたり、強くしたりする場合の例を示す。なお、図ではセンサ#1、#2での金属面A,Bを省略している。
【0158】
図18(c)はセンサを金属板同士で重ねて用いることにより、磁界の分布の幅(x方向の長さ)を広げ、磁界が同相の場合磁束密度が上がり、タグとの通信をし易くする等の目的のためのセンサを示す。そして図18(c)では基本的に#1,#2のセンサが金属板MMで分離されているので、センサ#1,#2同士が干渉したりせず、取付けられるセンサ#1,#2の信号が別々に読める等のメリットがあることを示している。更に特殊な使い方としてセンサ#1,#2の隣同士のコイル電流を反対給電し、それぞれを逆相の磁界とすると、端部にN,Sの磁極が得られるためx方向の磁界も得られる方法もある。
【0159】
図19は図4の実施例のようなセンサが図18の場合と同じように金属面MAとMBに挟まれている場合を示す。図19ではセンサM2ISSのコイルの軸方向はz軸に平行である。
【0160】
図19の場合は、図4に示すセンサを用いており、センサは左右に存在する金属面あるいは金属体MA,MBに挟まれている。すなわち、金属体MAとMBとの間隙にセンサM2ISSを収めている。金属路M1,M2の上を通過する箱Boxには商品に取付けられたタグT1,T2,T3,……,Tnが収容され、更に箱BoxにもタグTbcが取付けられ箱BoxがセンサM2ISS上に来たとき、センサM2ISS上に示すタグTに磁界が結合するようにタグTを励振し、箱Boxの中のタグT1,T2,T3,……,Tn、Tbc即ち内容物を読み取るようにしている。タグTの向きは磁界が結合し易いように水平になっており、図18のように横向きではない。
【0161】
図19(b)〜(e)には、図18(b),図18(c)に例示するようにセンサを縦長や横長に並べたり重ねたりすることができる例を示す。図19(b)〜図19(e)の構成は、このような使い方以外に図5〜図13等で説明してきた金属・金属親和性センサとしてももちろん用いることができる。図19(b)は図4のセンサを縦(長手方向)に並べ給電部を同方向としている場合で、図19(c)は一方のセンサを180度回し、給電部を同一点で行うようにした場合である。別々に給電を行う場合にはコイルの巻き方や極性を特に気にする必要がないが、左右のコイルに結合があるので、多少は特性が変わる。図19(d)、図19(e)は側面で並べるか(センサ#1,#2)金属面で並べるか(センサ#1〜#4)の違いがある。金属面で並べた方(図19(e))はほとんど結合がない。
【0162】
収容物の形やタグの向き(取付ける方向)が定まっている場合は、図18や図19で示したようなセンサM2ISSを用いるとよい。
【0163】
〜収容物の形やタグの向きが定まっていない場合〜
一方、収容物の形やタグの方向が定まっていないような場合には、どのような方向のタグでもセンシングしなければならず、次に述べるようなセンサを用いると解決する。
【0164】
図20には直交するコイル2xと2yの両コイルの巻き方をほどこしたセンサの金属板A,Bの一部を取り去り、y,z方向の磁界のみならずx方向の磁界も発生させるようにした場合を示す。
【0165】
図20(a)は金属板A,Bを当てる前のセンサを示すもので、磁性体6に直交するコイル2x,2yを巻いており、コイル2xにより主に磁界Hyが励振され、コイル2yにより主に磁界Hzが励振されるが、先に述べたように磁界Hxも励振される。これにより、x,y,zどの方向の磁界も得られるので、タグがどの方向を向いていてもこのセンサでセンシングすることができる。
【0166】
図20(b)は図20(a)の左右A,B面の一部を残し、金属体MA,MBを当てたセンサとした場合で、センサは完全に金属面や金属体MA,MBで挟まれているわけではない。また、センサにおいて金属体MA,MBで挟まれていない部分が、先に述べたように金属板A,Bの一部が取り去られている部分となる。図示するように、金属路M1,M2にはセンサM2ISSが挟まれる部分に向かって傾斜部(窪み)がある。センサM2ISSの一部は金属路M1,M2の金属面の窪みから出ている状態となる。このスリバチ状の部分(傾斜部)はプラスチックなり絶縁体Pでふさぐことにより、図18,図19の場合と同じように平坦な同一面となり、金属面M1とM2は連続しているように見え、箱Boxや荷物が通過する邪魔にはならない。
【0167】
図20(c)には図18(c)に示すようにセンサを2個重ねた場合を示すが、隣同士のコイル電流を反対にし(すなわちコイル2の巻き方向を逆にして)、磁界が逆になるようにし、更に下方には中間の金属板MMの一部が下方まで続いておらず、磁性体6がU字形となるように構成した例を示す。このようにすると磁性体同士が隣り合ってU字形の磁路が得られ、磁界はU字形の部分で反転して戻って来るため、センサの上部(金属板側方)に強いx方向の磁界Hxを作ることができることを示している。このように図20(b)、図20(c)による方法や図13による方法や後述するような方向で自由にx,y,z方向の磁界を作ることができる。
【0168】
[ローラで物品を搬送する場合のセンサM2ISSの応用について]
ここでは、物品を搬送するローラコンベアに本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを応用する場合について説明する。図21にはローラRollerの上を通る荷物(物品)にタグTが取付けられ、そのタグTをローラRollerの間に挟まれた金属・金属親和性センサM2ISSで読む場合を示す。ローラRollerとローラRollerの間の隙間に、上下を金属板MA,MB(図2においては金属板A,B)に挟まれた図3(特に図3(c)、(d))に示したようなセンサM2ISSが横向きに取付けられる場合の斜視図を示す。
【0169】
図18,19,20の金属路M1,M2や金属部や金属体MA,MBが金属ローラに置き変わったと考えてよい。従って、ローラRollerからの影響をセンサM2ISSがほとんど受けない。またセンサM2ISSとしては図3に示すセンサを用いており、図3の側方の磁界Hosを用いてこれを水平磁界Hhとして出しており、この水平磁界HhとタグTとの結合ができるようにセンサM2ISSをローラRollerの間にセットしている。タグT1,T2,T3,・・・,Tn−1,Tnは一般に箱Boxやカゴに積まれた本やファイル、記録媒体のケースや衣類等に取付けられたタグであり、これをローラRollerで運んでいる(搬送している)最中や、センサM2ISS上に一時停止している間に読み取ることができる方法である。図21(b)はセンサの前方より見た場合のローラRollerとセンサM2ISSの磁界、タグTを示すものである。同一のセンサM2ISS等の詳細は図3や図14に説明しているので省略する。図21(c)は左右に動くタグT(すなわち、タグTが貼付された媒体)を2つのセンサ#1、#2で読み取り、それぞれのセンサで読み取ったデータの時間差等でタグTが右へ動いたか左へ動いたかを判別する場合等に用いるようにすることもできる。また読み落とし防止にもなる。
【0170】
図22にはセンサの幅を広くしてローラの下方の周囲に沿ってセンサをU字形に折り曲げ、ローラの2つの隙間で磁界を作るセンサを示す。図22に示すセンサは、2つの同相の水平磁界を得るためよりタグが読み易くなり、上の荷物が動いている場合には、2回にわたり、タグを読むことができるので、タグTのICに記録された情報を読み落とすことがなくなる。
【0171】
図22(a)にはU字形センサの斜視図を示す。U字形のセンサM2ISSをローラRollerの下方約半分に巻き付けるように沿って配置する。一つのローラRollerを挟んで同相の水平磁界Hh(Hos)が得られていることがわかる。図22(b)は図22(a)の前方(手前)より見たセンサ断面に相当する図である。
【0172】
また図21(c)や図22(c)に示すように#1,#2に示すように2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置することにより、タグTのセンシングの時間的ずれを読むことによってセンシングする対象物が左から右へ移動したのか、右から左へ移動したのか判別することができる。
【0173】
図23は図4に示すセンサを用いた場合で、図19の金属面や金属体がローラRollerに変わり、図21に対応するセンサM2ISSの実施例である。
【0174】
図23に用いているセンサは図19に用いているセンサと同じ機能を有し説明が重複するので省略する。図18(b),図18(c)に説明があるように長さ方向にセンサを並べたり、あるいはセンサを金属面で重ねたりして使用することができる。なお、タグを物品の搬送面に水平に配置しており、このように配置するタグにThという符号を付している。また、図21と図23のコイルの巻き方と組み合わせ、図20に示すように直交する磁界を同様に作り出すことができる。
【0175】
図24に示すセンサは図4や図19の変形で図22と対応し、図23のセンサM2ISSをU字形に曲げた場合の実施例で、図18,19,20を通じてその説明は同様に図24でも当てはまるので、直交磁界を応用する方法等の説明については、重複を避けるために省略する。なお、物品の搬送面に垂直に配置したタグにはTvという符号を付している。
【0176】
図21,図22,図23,図24には表現していないが、図16(b)や図20(a),図20(b),図20(c)に示す全方向センサあるいは本出願人により特願2008−109113に開示した全方向センサを、実施例に示すように、本願の場合は両側金属面があった場合でも上部金属面を分割したり金属面による逆相電流の発生を阻止したりしながら両側金属面対応とし、全方向センサとし用いることもできることを示している。
【0177】
[金属・金属親和性センサM2ISSを用いた管理システムについて]
図25には今までそれぞれ述べて来た上下や左右、前後から金属面や金属体に挟まれた金属・金属親和性センサM2ISSを実際用いるに当たって、センサアンテナで受信した信号をリーダライタR/Wで受信し、その出力(例えばRS−232CやLAN出力)をコンピュータPCで記録、表示、制御する場合の使い方を代表的な例として図25(a)、図25(b)、図25(c)、図25(d)に示す。
【0178】
図25(a)の場合はセンサSensorを平面的に並べた例で図6〜図24に例示する実施例に対応する場合で、図25(b)は図14〜図17に対応する分割形のセンサSensorの実施例に対応する場合、図25(c)は図18〜図24に示すように図3,図4に示すセンサを基本的に横にして側方の磁界を用いてタグとの通信を行う場合の実施例に対応する場合を示している。いずれのセンサSensorもこれまで説明した金属・金属親和性センサM2ISSを適用したものである。なお、センサSensorの詳細な構成はこれまでに説明したことにより、また、図が複雑になることにより、図中省略している。
【0179】
図25(a)、図25(b)、図25(c)ともにそれぞれのセンサSensorには、センサSensorと同軸ケーブルCCを持続するための基板PCBの上にコンデンサやインダクタンスを用いた整合回路(Mat)が取付けられている。センサ一個一個に整合回路(Mat)を接続してもよいし、まとめて整合回路(Mat)を用いてもよい。整合回路(Mat)は一般に基板PCBにコンデンサやインダクタンスを並列や直列に接続し、50Ωの同軸ケーブルCCのインピーダンスに整合がとれるように調整している。同軸ケーブルには1.5Dケーブルを使うことが多く、リーダライタR/Wの出力はSMA又はBNCの接栓が用いられていることが多い。同軸ケーブルCCの外部導体側はセンサSensorの一方の金属板あるいはグランドの金属面Mと接地しておく方が誘導やノイズを避けられるので望ましい。
【0180】
リーダライタR/Wの出力はRS−232CまたはLANの出力となっており、コンピュータPCに接続され、物品に貼付されたタグのIDや書き込まれている情報を読み取ったり書き込んだりすることができる。専用の制御機ContをLAN等に接続しPCによる指示や表示を行い、更に制御機Contによる機械Machの制御をプログラムに沿って行うことができる。
【0181】
図25(b)には図14〜図17に示すセンサM2ISSが並べられて全体としてセンサSensorを構築している場合の例を示す。一般には、それぞれのセンサの出力は整合回路(Mat)を介して同軸ケーブルCCでリーダライタR/Wに接続されるため、リーダライタR/Wの分岐切換により、それぞれのチャンネルで読み取ることができるようになっており、それぞれのチャンネルでコンピュータPC上に表示記録されることができる。また、一回読んだタグはどのチャンネルで読まれても一つの表示で済ませることもできる。
【0182】
図25(c)は図18〜図24に示すように左右や前後から金属面や金属体で挟まれた場合のセンサの例を示している。この場合も整合回路Matを介して同軸ケーブルCCでリーダライタR/Wに接続されたコンピュータPC上で表示記録される。
【0183】
図25(d)にはノート型パーソナルコンピュータ、基板、CD、DVD、電子機器、電気機器等が図26のPCを乗せる台のように並べられている場合の、棚や引出しSShhの上のセンサの構成とリーダライタR/WやパーソナルコンピュータPCの構成を示す。
【0184】
[ノート型パーソナルコンピュータの管理について]
図26には金属箱や金属棚SShhにノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノート型パソコンという)PCを保管する場合、ノート型パソコンPCが金属体で床SShが金属の場合、一般のセンサは全く動作しなくなるが、本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを用いると問題なくセンシングできる例として示している。これまでの実施例では、タグが貼付される物品を金属媒体Dとしていたが、図26では金属媒体Dがノート型パソコンPCである。
【0185】
最近個人情報が取出され、これによる被害が発生したり、重要な機密情報が勝手に持出されたりする被害が多発しており、持ち出し可能であるノート型パーソナルコンピュータPCの管理は必須といえる。本実施例は、このような要請に応えるものであり、センサSensorには図25(b)や図25(c)、図25(d)に用いられている金属・金属親和性センサM2ISSを用いた適用例を示している。
【0186】
一方、管理されるノート型パソコンPCに貼付されるタグについては、本出願人により特許文献2において開示した金属親和性タグや多重影像を利用した万能タグを用いることにより、ノート型パソコンPCの金属面の影響を受けないタグを用いることができ、かつ本発明の金属・金属親和性センサM2ISSに用いられている上面の金属面Aの影響も受けずに読み取ることができるようになっている。現在市販されている金属親和性タグ(プロメタルタグ)PTは厚み1〜2.5mmで長さも10〜20mmであり充分に使用できるが、本願発明者による金属対応タグであるユニバーサルタグ(多重影像効果による高感度タグ)UTは厚さ1mm以下で両側に金属が貼られているので、薄い上に金属の影響も受けず、かつ可撓性がありどこにでも貼れ、金属面の隙間で読めるので理想的といえる。タグTについては図26中左の丸円の中に示すが、詳細については既に特許文献2に開示しているため説明を省略する。金属親和性タグPT又はUTを用いる場合、タグを貼る位置が下方でなく側面等にくる場合には、比透磁率の高い(μr=100〜200)磁性体シート(幅1〜4cm、高さ2〜5cm)(1つ又は2つ)を貼り、磁界の磁路を作り、タグをその際あるいはその上に貼ることにより通信距離を飛躍的にのばすことができる。この方式は特願2008−221587にも述べているが、今回の金属媒体Dにタグを貼る方法でも適用することができる。
【0187】
図25(d)で説明したように、ノート型パソコンPCに貼付されたタグTの情報は、金属・金属親和性センサM2ISSを経て整合回路Matを介して同軸ケーブルCCに持続され、リーダライタR/Wで読まれて管理用のコンピュータPCで記録表示される。金属面Aの幅は55mmで磁性体6の幅65mmよりやや狭くしており、適宜金属面の幅を選ぶことにより上部磁界によるタグとの結合がよく行われる。長さは90cm幅に納まるよう約半分の42cm幅程度とし、この中に図19(a)、図19(b)等に示すようにタンデムに更に半分の21cm長のセンサが2本収容される方法をとっている。図ではセンサ長を21cmにしているが、半分にしないで42cm程度の長さでセンサ1本で構成した方が互いの結合もなく調整に手間取らないこともある。性能や使い易さを考慮し棚長あるいは引出し長に合わせてセンサ長を決定することができる。
【0188】
同軸ケーブルCCの外部導体側と下方の金属板Mとが同一ポテンシャルとなるように接地しておくことも、アンテナに余分な誘導が発生しないので望ましい。
【0189】
図25(d)及び図26では、タグPT又はUT等が下方に取付けられる場合のおさまりがよいようにプラスチック板をチャンネル状に窪みを設けているが、タグPTやUTを側面に取付ける場合にはこのような窪みは不要で、平面で構成してもよい。
【0190】
[鍵を管理する鍵管理ボックスへの適用について]
図27には本発明の他の実施例として金属・金属親和性センサM2ISSを鍵管理ボックス用のセンサSensorとして応用した場合の実施例を示す。
【0191】
鍵管理用ボックスは一般に金属箱でできているので、金属面の中で動作することが望ましい。
【0192】
金属面が壁となっており、これに直接金属・金属親和性センサM2ISS#1〜#6が取付けられているので、周囲の影響を受けずかつ鍵の影響も受けず使い易い。またセンサ#1〜#6の反対側(図面では手前)に、金属製の鍵等が掛けられる場合には本発明の金属・金属親和性センサM2ISSでなければならない。
【0193】
一方、図27に示すように、鍵KEYに小形のタグTがプラスチックの名札PNに取付けられているような場合には、小形のタグであり金属面の傍にあるが、少し浮いているため磁界を通すことができるし、安価な一般のタグでも用いることができる。このような小形タグにでも金属面の傍で強力な磁界を作れるのは金属・金属親和性センサM2ISSによるもので、センサの金属板の両縁には金属面に垂直でタグTと結合する先に述べた強力な磁界Hzが発生するので、タグをセンサの縁に近づけることによりこの磁界を受信でき、安価な紙タグやプラスチックタグを名札PNに貼ることによって、タグT即ち鍵KEYの管理を行うことができる。また、センサ自体を壁面に斜めにし、タグに近づけることにより更に強い磁界の結合を得ることができる。金属製鍵に直接前述の金属対応タグであるプロメタルタグPTあるいは前記多重影像を用いたユニバーサルタグUTを用いれば一番よい。また方向を定めれば磁界を逃がす消極的方法の従来のオンメタルタグを用いることもできる。このようなことが実施できるのは本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを用いることに由来している。
【0194】
なお、センサ#1〜#6は基板PCB1〜PCB6、同軸ケーブルCCを介してリーダライタR/Wに接続されており、鍵KEYに貼付されたタグTの情報を読み取ることができる。センサを鍵と同数備え、それぞれに給電し、図25(b)、図25(c)等に示すようにリーダのチャンネルを切り換えることにより、どの場所に鍵があるかを識別し表示することもできる。リーダライタR/Wにより読み取った情報は、情報処理を行うコンピュータCompで管理され、その情報はディスプレイDispに表示される。これらは図示するように、鍵管理ボックス内に内蔵されている。センサはそれぞれ独立のチャンネルに接続してもよいが、1チャンネルでセンサを並列あるいは直列に接続して読み取ることもできる。リーダライタR/Wの出力やコンピュータCompの出力を鍵管理ボックスの外まで出せるようにケーブルで接続し外部にソケットExtSを出すことにより、内部の情報を読み取ったり、直接リーダライタR/Wの出力を外部のパーソナルコンピュータPC(以下、単にPCとする)等で読み取ったりすることができる。外部のPCはインターネットに接続され、センターの一括管理が可能となる。
【0195】
[銃器の管理について]
図28は銃器(拳銃)を管理する場合のセンサとしての応用例である。図28(a)には図4に示すy方向に巻いたコイル2yにより発生するx方向の磁界Hxにより銃器台尻に平行に取付けられた金属親和性タグPTやユニバーサルタグUTとの結合により、銃器GAを管理する場合を示す。
【0196】
図28(b)には図3に示すセンサの上部金属面Aの一部が切れていることにより、金属面で抑えられている磁界が隙間から出易くなっている図11(a)で例示したようなセンサの一部を用いた場合を示す。金属面の切れ目SLがあるため、この切れ目SLから磁界が表に出易くなっている。また、図3に示すx方向のコイルによるy方向とz方向の磁界により、銃器の台尻部の空間に取付けられたタグTとの交信を行うことができ、かつ、金属片Aが台尻の下に取付けられることにより銃器が置かれてもインピーダンスの変化等は発生しない。
【0197】
磁界の方向は、図28(a)と直角であるためタグの取付けは図28(a)と直角な方向となっており、台尻の金属枠に取付けられる方向となる。このような磁界の方向の場合には拳銃GBの握りのプラスチック部分に安価な従来の紙タグやプラスチックタグT等を取付けても台尻の空洞部を磁界が通るので、タグのIDをとることができる。
【0198】
図28(c)には図28(a)のセンサコイルの上側の金属板を図9,図10や図12に示すように分割して切れ目をつけ、拳銃GCが載る台尻の下のみ金属板が当たっており、金属媒体Dとしての拳銃が乗せられても最初から金属板がその部分に当てられているので、センサのインピーダンスや磁界や電界が影響を受けないようにしている場合を示す。先にも説明したように、上に乗せる金属板Aは、それに乗せられる対象物(ターゲット、この場合は拳銃)に合せた大きさで、最初から作っておくことにより、最良の状態と環境にし、タグTと結合し易い磁界も供給でき、センサ上に乗せられる金属媒体Dとなるターゲットにも影響を受けないようにする設計するこができる。図には示されていないが、上記一台一台の拳銃の管理データはリーダライタで読み取られ、コンピュータで管理され局内LANや専用線を通じて、センターで管理することが可能となる。この他、先に述べたCD,DVDその他の金属媒体で構成された重要な金属体の管理が多数可能となる。
【0199】
[本発明に包含される関連技術]
本発明は、ターゲット側の金属面の内外および溝の内外での金属対応センサで、金属の導電電流を切断することにより、逆相となる電流を発生させないことを特徴とする。なお、本発明の特徴である以下に本発明を包含する関連技術を挙げる。
【0200】
(1)磁性体に沿って巻かれたコイルの巻線方向に更に巻線の外側の金属面あるいは金属箔が一部に金属面の不連続部が生ずるように配置され、その不連続部の金属の端部が絶縁され、導電電流が一周して流れないようにすることを特徴とする多重影像センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(2)磁性体に沿って巻かれたコイルの巻線方向に更に巻線の外側に金属面あるいは金属箔が複数部に金属面の不連続部が生ずるように配設され、金属部の端部が絶縁され、導電電流が一周して流れないようにすることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(3)磁性体は角形で断面が長方形をしており、更に帯状を形成し、この磁性体の断面方向にコイルを巻き、上下面に金属面あるいは金属箔を添えることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(4)磁性体は角形で断面が長方形をしており、更に帯状を形成し、この磁性体の帯の長さ方向にコイルを巻き、上下面に金属面あるいは金属箔を添えることを特徴とする多重影像センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(5)媒体等のターゲットが載せられる側の金属面の一部の窓が開いていたり、切り取られて、これにより発生する金属面上の磁界と結合するかタグがこの金属面の同じ高さあるいはこの下に入り込み金属面下の磁界と結合ができるようにすることを特徴とする。
(6)タグが取付けられている厚みを受けられるようにプラスチックの台に凹みをつけることを特徴とする。
(7)金属面による金属台側にセンサが載せられる場合、金属台側は全面に金属薄板あるいは金属箔を張り、反対側の金属媒体が載せられる側は金属薄板あるいは金属箔が1個ないし複数個切れていることにより漏洩磁界が発生し、金属媒体に取付けられているICタグが読めるようになることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(8)前記(5)に記載の金属面の溝において、金属面や金属箔が切れている溝が連続していることを特徴とする。
(9)前記(3)又は(4)において、ほぼ同じ長さのセンサを縦や横に並べたり、上、下に並べたりすることにより、センサ間およびセンサ上部に磁界を作り、金属製の媒体を載せることができることを特徴とする。
(10)磁性体センサの上に載せる上面の金属面の大きさを磁性体の大きさに応じて変えることにより磁性体から磁界がタグ側に出やすくすることを特徴とする。
(11)前記(3)又は(4)において、センサ間の間隙に磁性体にコイルを巻きコンデンサを接続した共振器とし更に金属板を備える補助センサを備えることを特徴とする。
(12)前記(3)又は(4)のセンサを金属板の継ぎ目の間隙に備え、金属面と垂直な磁界も発生させ、この上を通過する媒体に取付けられたタグと通信することを特徴とする。
(13)前記(1)や(2)に記載するセンサを用いて、物体を搬送するローラコンベアのローラ間の隙間に設置し、ローラの上を通過する荷物に取付けられたタグを読めるようにすることを特徴とする。
(14)前記(1)〜(13)に記載するセンサを用いて対象物に貼り付けられたタグをリーダで読み、パーソナルコンピュータ(PC)に記録表示をしたり、制御したりすることを特徴とする。
(15)前記(10)において、コンピュータと通信を行う制御機を備え、コンピュータや制御機の指示に従い、機器を制御することを特徴とする。
(16)前記(3)、(4)のセンサがU字形に曲げられていることを特徴とする。
(17)x,y,zの直交するコイルが巻かれて夫々x,yの方向の金属板に金属板の切れ目があり、逆相の誘導電流が発生しないようにすることを特徴とする。
【0201】
[結論]
以上説明したように、金属面の上や横に取付けられ、更に金属体や金属面に挟まれるような磁界からみるとふさがれるような状態に置かれるセンサにおいても、センサから発する磁界が金属面とほぼ平行となり、かつ金属面に沿った電流や磁界(磁流)を励振し、かつ金属面による影像効果(Image Effect)を利用することにより、金属面が存在しなかったときより磁束密度が上昇し、通信感度が上昇するような画期的なセンサの提供を行うことができ、今まで不可能とされた金属面と金属面に挟まれた状態の利用不能である状態のセンサを電気磁気学の基礎を用いて解決することができる。また、逆相となる導電電流を取り除くように金属面を分割し、連続した導電電流が流れないようにすることにより、逆相の磁界が発生しないようにした。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】(a)従来の金属対応センサの構造を示す図、(b)出願人等による既存の金属対応センサの例を示す図、(c)本実施例の金属対応センサの原理を説明する図、(d)コイルの軸方向からみた(c)に示す金属対応センサを示す図
【図2】(a)物品の金属面に貼付される従来のタグを示す図、(b)金属面を利用した一影像形のタグを示す図、(c)金属面による多重影像形のタグを示す図
【図3】(a)角形の磁性体の上に絶縁されたコイルが中心部より左右に向かって巻かれ上下金属板がやや離れて配置されている場合を示す図、(b)(a)のセンサを右側から見た場合の図、(c)角形の磁性体の上に絶縁されたコイルが中心部より左右に向かって巻かれ金属板をコイルの外側にぴったり貼り付けた場合を示す図、(d)(c)のセンサを右側から見た場合の図、(e)(c)のセンサを金属面の上に載せた場合を示す図、(f)(e)のセンサを右端から見た場合の図、(g)センサ幅xとセンサ長yとがほぼ同一の場合のセンサを示す図、(h)(g)のセンサを右端から見た場合の図
【図4】(a)縦長の磁性体にコイルがy方向に巻かれ上下に金属板が少し離れて置かれている場合を示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合の図、(c)金属板をコイルが巻回された磁性体に当てた場合の図、(d)(c)のセンサを右端から見た場合の図、(e)(c)のセンサを金属面の上に載せた場合を示す図、(f)(e)のセンサを右端から見た場合の図
【図5】(a)図3のセンサで上下に金属板がない場合を示す図、(b)図4(c)のセンサを示す図、(c)金属面の切れ目あるいは隙間から直に発生する磁界を示す図、(d)(c)の金属面の切れ目あるいは隙間から直に発生する磁界を示す図、(e)(c)の金属面の切れ目あるいは隙間を利用して金属面の下方でコイルや磁性体の上方の空間に発生する磁界を示す図、(f)金属面に開けられた角形の穴から外側にもれる磁界を示す図、(g)(f)の金属面に開けられた穴から発生する外部磁界を示す図、(h)(f)の金属面の下方の内部空間に発生する磁界を示す図
【図6】(a)図5(g)の磁界が金属媒体に取付けられた金属タグに結合する様子を示す斜視図、(b)(a)のコイルに垂直で穴を通る面での断面図、(c)(a)の穴を通りコイルに沿う面での断面図、(d),(e)金属面に開けられた穴をプラスチック板等で覆う作業を行った場合を示す図
【図7】(a)コイルと直交する方向に金属面の溝がある場合を示す図、(b)(a)のコイルに垂直で溝を通る面での断面図、(c)(a)の溝を通りコイルに沿う面での断面図、(d)、(e)金属面に設けられた溝をプラスチック板やゴムシートで覆い保護する場合を示す図
【図8】(a)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み左側の側部を開放している場合を示す図、(b)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み左側の金属板の一部を開放している場合を示す図、(c)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み金属板の上部の一部を開放している場合を示す図
【図9】(a)図8(c)のセンサを示す斜視図、(b)(a)のセンサを右端から見た図
【図10】(a)図9に示す上部の金属板の溝が3つある場合を示す図、(b)(a)の右端から左を見たセンサの断面図
【図11】(a)センサ上部の金属板を多分割にした場合を示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合を示す図
【図12】(a)上部の金属板が多分割されているセンサを示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合を示す図
【図13】(a)直交する絶縁されたコイルが磁性体の周囲に巻かれ上部の金属板が分割されたセンサを示す図、(b)(a)のセンサで直交するコイルとその上に乗せられた金属板片の位置関係を示す図で金属片の下にコイルがくる場合を示す図、(c)金属板片と金属板片の隙間にコイルがくる場合を示す図、(d)第3のループコイルを磁性体の上に巻きく場合を示す図
【図14】(a)ほぼ等辺の四角形センサの場合を示す図、(b)(a)のセンサを4組組み合わせた場合を示す図
【図15】(a)図4(c)に示す金属・金属親和性センサを横に並べた場合を示す図、(b)図3(c)に示す金属・金属親和性センサを横に並べた場合を示す図
【図16】(a)センサとセンサの間に補助センサを用いる場合を示す図、(b)磁性体のx方向及びy方向に直交するコイルを巻いたセンサを並べて使用する場合に用いる補助センサを示す図
【図17】(a)磁性体のx方向にコイルを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートを載せた場合を示す図、(b)磁性体のy方向にコイルを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートを載せた場合を示す図
【図18】(a)金属テーブルや金属路等の間に金属・金属親和性センサを用いる場合を示す図、(b)(a)のその他の実施例を示す図、(c)(a)のその他の実施例を示す図
【図19】(a)図4に示すセンサを図18(a)の場合と同じように#1、#2として用いる場合を示す図、(b)、(c)、(d)、(e)センサの並べ方等の実施例を示す図
【図20】(a)磁性体のx方向及びy方向に直交するコイルを巻き金属板を当てる前のセンサを示す図、(b)(a)の左右面の一部を残し金属体を当てセンサとした場合を示す図、(c)磁性体がU字形となるように構成した例を示す図
【図21】(a)ローラの間に挟まれた金属・金属親和性センサでタグの情報を読む場合を示す図、(b)(a)のセンサを前方より見た場合を示す図、(c)2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置する場合を示す図
【図22】(a)U字形センサを用いた場合の斜視図、(b)(a)の前方より見たセンサ断面に相当する図、(c)2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置する場合を示す図
【図23】図4(c)に示すセンサをローラの間に用いた場合を示す斜視図
【図24】図4(c)に示すセンサをU字形にしてローラ間に用いた場合を示す図
【図25】(a)センサを平面的に並べて管理システムを構築した例を示す図、(b)分割形のセンサを用いて管理システムを構築した例を示す図、(c)図3,図4に示すセンサを横にして用いた管理システムを示す図、(d)棚や引出しの上のセンサ、リーダライタ、パーソナルコンピュータの構成を示す図
【図26】実施例のセンサを用いてノート形パーソナルコンピュータを保管する場合を示す図
【図27】実施例のセンサを鍵管理ボックスに応用する場合を示す図
【図28】(a)〜(c)実施例のセンサを銃器の管理に応用する場合を示す図
【符号の説明】
【0203】
2,2x,2y,2z コイル
6 磁性体(磁芯)
A,B 金属板(導電体)
M 金属面
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属対応センサ及び管理システムに関するものである。詳しくは金属面近くにセンサやIC(Integrated Circuit)タグが置かれたときに、導電体である金属面に発生する導電電流を発生しないようにしたり、磁界の向きを金属面と平行にしたりすることで、金属面による多重影像(Multi−Image)により、磁界を空間に閉じ込め増強し、この磁界を利用し、金属面電流による磁流等も利用し、センサとICタグ間の結合を大きくする金属対応センサ及び管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)のセンサ分野において、金属面近くにセンサやIC(Integrated Circuit)タグが置かれたとき、センサやICタグのコイルに流れる電流から発生する電界や磁界により近辺にある導電体である金属面に誘起される誘導電流がコイルから発生される磁界を打ち消す方向に働くことにより、センサやICタグの特性が著しく損なわれる。更に難しい条件として、金属面がセンサやICタグの上下や左右にあり、金属に挟まれて使用する場合、一般には磁界がふさがれる。
【0003】
従来のセンサコイルは基板にコイルを巻いているものが多い。このような従来のセンサコイルでは、磁界の方向の肉厚が薄く、いわゆるコイルの断面積を大きくすることにより、磁束鎖交数を増やすものが多く、この形のものは金属面の影響を逃れるため磁性体をアンテナコイルの下に用いていた。
【0004】
一方、金属面の影像(イメージ)を利用し、感度を倍増させる方法やセンサやICタグの上下、左右に存在する金属面を利用し、多重影像効果(Multi Image Effect)を用い、感度を増強する方法も出願人本人によって発明されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3121577号公報
【特許文献2】特開2008−131344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のセンサコイルでは、ほとんどの磁界は金属面に垂直となるため、逆相の誘導電流を発生させ、磁界は打ち消される。このため、磁性体により、金属面に発生する逆相の誘導電流の影響を完全に取り除くことはできなかった。
【0006】
これに対して特許文献1や特許文献2では、金属面の影像(イメージ)を利用し、感度を倍増させる方法やセンサやICタグの上下、左右に存在する金属面を利用し、多重影像効果(Multi Image Effect)を用い、感度を増強することで、金属面に発生する逆相の誘導電流の影響を軽減している。
【0007】
本発明は、特許文献2が主にICタグについて述べられているのに対し、センサへの応用に特化する。そして、導電電流の発生を抑えながら金属面隙間からの磁界の漏洩、金属面上の漏洩、側面の磁界等の一石二鳥の効果を利用することにより、金属面による強い磁界を応用したより具体的なセンサの使用方法を明確化し、センサ上部やセンサ側部に存在する金属面や金属体で構成される被対象物からの妨害や悪影響を軽減でき、ICタグとセンサの通信を可能とする金属対応センサ及び管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、下記の構成を備えることにより、上記課題を解決できるものである。
【0009】
(1)物品の情報を保持する無線タグに電磁結合し前記情報を送受信する金属対応センサであって、磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され該磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルが巻回された磁芯を包囲する導電体と、を備え、前記導電体は、不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【0010】
(2)前記(1)に記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、複数の前記不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【0011】
(3)前記(1)又は(2)に記載の金属対応センサにおいて、前記不連続部は、穴部又は溝部であることを特徴とする金属対応センサ。
【0012】
(4)前記(3)に記載の金属対応センサにおいて、前記穴部又は溝部に前記無線タグが勘合する凹部を有するプラスチック板を備えることを特徴とする金属対応センサ。
【0013】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【0014】
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲する際に、前記不連続部では前記磁芯との間に間隙部を設けて前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【0015】
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記磁芯は、断面が四角形又は矩形の帯状の形状であることを特徴とする金属対応センサ。
【0016】
(8)前記(7)に記載の金属対応センサにおいて、前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第1のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0017】
(9)前記(7)又は(8)に記載の金属対応センサにおいて、前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向と垂直な方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第2のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0018】
(10)前記(7)乃至(9)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の平面部にコイルが平面に沿って磁芯の上に巻かれる第3のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【0019】
(11)前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、前記物品を搬送する複数のローラを有するローラコンベアを備え、前記金属対応センサを前記複数のローラ間の所定の隙間に設置し、前記ローラの上を搬送される物品に貼付された無線タグと前記情報の送受信を行うことを特徴とする金属対応センサ。
【0020】
(12)前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、複数の前記金属対応センサと、磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され前記磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルに接続されるコンデンサと、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接する導電体と、を有する補助センサと、を備え、前記補助センサは、前記複数の金属対応センサの間隙に配置することを特徴とする金属対応センサ。
【0021】
(13)前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の金属対応センサと、前記物品に関する情報を保持する無線タグと、前記金属対応センサを介して前記無線タグから読み取り又は前記無線タグへ書き込むリーダライタと、前記リーダライタで読み取り又は書き込んだ前記物品に関する情報を記録表示し又は制御するコンピュータと、を備えることを特徴とする管理システム。
【0022】
(14)前記(13)に記載の管理システムにおいて、前記無線タグに磁界を誘導するための磁性体シートを備えることを特徴とする管理システム。
【0023】
(15)前記(13)又は(14)に記載の管理システムにおいて、前記物品は、ノート型パーソナルコンピュータ、鍵、銃器、基板、DVD、CD又は電気機器を含むことを特徴とする管理システム。
【0024】
(16)前記(13)乃至(15)のいずれかに記載の管理システムにおいて、前記無線タグは、紙製若しくはプラスチック製のタグ又は金属対応タグを含むことを特徴とする管理システム。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、センサの感度を上げ、かつ、逆相の誘導電流(導電電流)を抑えることができる。詳しくは、平面あるいは湾曲する金属面に沿った空間において、金属面に接しながら、金属面による複数のイメージを利用して感度を上げ、かつ金属面に発生する誘導電流が逆相になることを抑えることができる。このため、磁界が閉路を作ることがなく、金属面上に電界や磁界が発生し、また金属面がとぎれて電界や磁界が発生し、多数のICタグとの通信し易い環境を作ることができる。そして、このような金属対応センサ(後述する本発明に係る金属対応センサ(これを、本明細書においてはM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)という))を提供することができる。
【0026】
すなわち、金属面に発生する導電電流を発生しないようにしたり、磁界の向きを金属面と平行にしたりすることで、金属面による多重影像(Multi−Image)により、磁界を空間に閉じ込め増強し、この磁界を利用し、金属面電流による磁流等も利用し、センサとICタグ間の結合を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するためには多くの方法があるが、分類して実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0028】
本発明の原理を説明する上で、従来の技術との比較を行い、その後本発明の原理を詳しく説明し、各種分類や応用例を、図面を参照して説明する。
【0029】
[本実施例との比較のための従来例の説明]
図1(a)には、従来の金属対応センサの構造を示す。
【0030】
図1(a)に示すセンサは、金属面Baと、渦巻きコイル2aによる平面タグの間に、磁性体シート6aを挟んだ構造で、磁性体シート6aによる磁路に磁界を逃がす方式をとっている。ここで、磁性体シート6aには透磁率μrが高い磁性体を用いないとコイル2aと金属面Baの隙間が狭いので、磁路の磁気抵抗が大きく、磁界の垂直成分による誘導電流の発生により、打ち消す磁界も増え、金属面Baによる悪影響を消し去ることができない。
【0031】
次に、図1(b)には出願人等による既存の発明の例を示す。
【0032】
磁性体6に巻かれたコイル2は、金属面Bに垂直になっており、コイル2の軸方向とコイル2に流れる電流Iにより発生する磁界は金属面Bと水平になっている。
【0033】
コイル2により発生する磁界は、磁性体6の下方には金属面Bがあるので現れず、上方のみに発生する(図1中、破線で示す曲線)。なお、図1に図示するz軸において、z軸のプラス側を上方、z軸のマイナス側を下方としている。
【0034】
もし、この上方に破線による金属面Aがあるときは、当然コイル2と金属面Aとの間の電位差による電界結合Cuがあり、金属面Aとの影響を受ける。また磁界も上から金属面Aに抑えられるような形となり、インピーダンスの変化や特性に影響を受ける。
【0035】
コイル2の上部と金属面Bとは電位差による電界結合Cgも存在している。従って、このような形のセンサアンテナは金属面Bによる影像(イメージ)効果により感度は上昇するが、他の金属面の影響は受け易く、特に金属面A(破線で示す)による影響はこの金属面Aを追加した場合にセンサアンテナの特性を著しく劣化させる。金属面Aの上に置かれる金属媒体Dは、金属面Aによりシールドされるので、金属媒体Dの影響はほとんど現れない。既に金属面Aによって電界や磁界が前述の影響を受けているからである。
【0036】
[本発明に係る金属対応センサの説明]
図1(c)には本発明の金属対応センサの原理を説明する図を示す。
【0037】
磁芯である磁性体6の周囲にコイル2を巻き(センサアンテナともいう)、これに電圧Vが印加され、電流Iが流れており、電流Iによる磁界Hが発生している。コイル2の線片(コイル2のz軸に平行な部分)には導電体である金属面Bとの間に電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)Cg1が発生している。
【0038】
一方、コイル2の上方にある金属面Aが最初から加えられ、金属面A,Bによりサンドイッチ状に挟まれた状態のコイル2は、上下二枚の金属面によって生ずる多重影像(イメージ)により、左右前後の磁界の強度が強くなる。ここで、左右はy軸方向、前後はx軸方向のことである。また、上下の金属面A,Bが存在し、これらがシールド効果を持つため、上下に図1(b)に示すような他の金属媒体D(図6等で詳しく述べる)が存在しても、ほとんど特性に影響を受けない。なお、金属面A,Bは、金属板や金属箔であってもよいし、物体のある一面が金属面となっているものの金属面であってもよい。このため、以下、金属面A,Bを金属板A,Bということもある。
【0039】
このように、本発明の金属対応センサは、磁性体6と、磁性体6に図1(c)のように巻回されたコイル2と、磁性体6の上下にコイル2の軸方向と平行となるように存在する金属板A,Bと、から構成される。
【0040】
なお、図示したCg2は、コイル2の線片(x軸に平行な部分)に発生する、金属面Bとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。また、Cu1は、コイル2の線片(z軸に平行な部分)に発生する、金属面Aとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。Cu2は、コイル2の線片(x軸に平行な部分)に発生する、金属面Aとの間の電位差や電界による容量(標遊容量又は浮遊容量)である。
【0041】
〜従来例の金属対応センサと本発明の金属対応センサとの比較〜
図1(b)のように、もともと金属板Aが存在してない所に金属板Aが現れる場合とは大きな差がある。
【0042】
図1(b)の場合でも金属板Aが存在しなかった場合には、金属媒体Dには電界による影響(ポテンシャルによる)と磁界による影響(電流による)両方の影響を受ける。
【0043】
従って、図1(c)のように最初から金属板A,Bが存在するセンサの場合は、多重影像による感度の上昇のみでなく、外部の金属の影響を受け難いことが理解できる。従来は、磁界の変化や電界の変化(標遊容量等)により、インダクタンスや標遊容量が大きく影響を受け、同じインダクタンスを得るためにはコイルの巻数を何倍かにしなければならなかったり、図1(b)のような従来の金属対応センサではコイルの巻数を10巻増やさなければならなかったりする。
【0044】
図1(d)は、コイル2の軸方向(すなわち、y軸方向)からみた図1(c)に示すセンサアンテナで、多重影像を発生し、これにより感度が上昇する理由を示すものである。図1(d)では上下に発生した多重影像を破線で描いている。
【0045】
実際には金属板Aと金属板Bの間の、磁性体6の左右の狭い空間に磁界が挟まれ閉じ込められるため、感度が上昇すると理解できる。
【0046】
[本発明の管理システムに用いられるタグについて]
図2には、金属体や金属面で用いられる金属対応のICタグ(以下、単にタグとする)の種類を示す。金属対応のタグとしたのは、本発明の金属対応センサが用いられる場合、タグが付いている物品(対象物(ターゲット))は金属媒体(金属体)を前提としているからである。なお、図1(c)に示す2枚の金属板A,Bに挟まれ、コイル2が巻回された磁性体6を備える本発明の金属対応センサをM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)ということとする。図2(a)は、平面タグTaの下に磁性体を置いた通常のタグである。なお、図2(a)のMはタグが貼付される物品(先に説明したように金属媒体である)の金属面である。タグのコイルは渦巻き状に巻かれ、タグのコイルの軸は金属面Mに垂直となっている。図2(b)は金属面Bを利用した一影像形のタグTbである。図2(c)は金属面MA,MBによる多重影像形のタグTcである。
【0047】
[本発明のM2ISSの詳細な構成と発生する磁界について]
〜コイルの軸が磁性体の長手方向となるようにコイルを巻く場合〜
図3には、角形の細長い磁性体6にコイル2が矩形の短辺の方向に(xz平面に略平行となるように、かつ、y軸に略垂直となるように)横形に巻かれ、コイル2の軸方向(磁界の磁路の方向)が磁性体6の長手方向(y軸方向)に沿う構造のセンサを示す。図3(a)に示すように、磁性体6の矩形の長辺に沿って長手方向に上下に金属板A,Bが当てられている。
【0048】
図3(a)は、上下金属板(アルミニウム、鉄、銅、ステンレス等の金属板)(金属箔や金属蒸着でもよい)A,Bが角形の磁性体6の上に絶縁されたコイル2が中心部より左右(2L,2Rと図示)に向かって巻かれている場合を示す。ここで、磁性体6と、金属板A,Bとは密着しておらず、所定の間隙を設けている。なお、Cgはコイル2と金属板Bとの間に発生する浮遊容量であり、Cuはコイル2と金属板Aとの間に発生する浮遊容量である。
【0049】
磁性体6の上に直接コイル2を巻いてもよいが、コイル2と磁性体6との密着度や距離により、コイル2に流れる電流Iにより発生する磁界がコイル2に近い程影響を受ける。このため、磁性体6の周囲を一旦プラスチックフィルムで囲むように巻いてからプラスチックフィルムの上にコイル2を巻くと、これを絶縁体として使用もできる。また、エナメル線等の絶縁線や裸の帯状銅テープをコイル2として巻いてもよい。
【0050】
コイル2として裸の帯状銅テープを用いる場合は、巻線終了後に絶縁テープやプラスチックフィルムで覆い、上下に当てる金属板A,Bより絶縁しなければならない。
【0051】
金属板A,Bは、市販されている糊付アルミテープや銅テープを用いれば、経済的に構成でき、かつ薄いので、フレキシブルに仕上げることもできる。
【0052】
センサ自体をしっかり構成したい場合は、金属板A,Bとして、アルミ板や銅板、ステンレス板、鉄板等を用い、接着剤や糊や両面テープ等で接着させることができる。
【0053】
磁性体6の周囲に巻かれたコイル2に流れる電流Iにより、これに直角な磁界が発生し、多巻コイルによる磁界の合成により、ほぼコイルの軸方向に内部の磁界Hiと外部の磁界Hoが発生する。外部磁界Hoは、磁性体6の上部(かつ金属板Aの下部)に発生する磁界Houや、磁性体6の下部(かつ金属板Bの上部)に発生する磁界Hodがあり、更に金属板A,Bに挟まれた磁性体6の横の隙間、即ちセンサの左右の側方に磁界Hosを発生させる。このことを図3(b)を用いて説明する。
【0054】
図3(b)は、図3(a)の右側(y軸のプラス側)から見た場合の図である。
【0055】
コイル2に流れる電流Iにより、発生する磁界はコイル2の中で磁性体6の中では図面手前から紙に向う磁界Hiとなる。しかるにコイル2で囲まれた磁性体6の外では紙面から手前に向う磁界となる。センサ上下に磁界HouとHodが発生するが、側方にも磁界Hosが発生する。
【0056】
図3(c)は金属板A,Bをコイル2の外側にぴったり貼り付けた場合で、センサコイル2は中心部より左右対称に巻いており、磁界は主に側方にHosとなって現れる。
【0057】
図3(d)は図3(c)のセンサを右側から見た場合を示している。上下の金属板A,Bに磁性体6の上下の外部磁界Hou,Hodは押えられて左右に広がる様子を示している。金属板A,Bにはコイル2の電圧電流による起電力(電位差)が発生するため、上下の金属板A,B間には電圧が生ずる。これは上下の金属板A,Bが絶縁されており、この電位差が上下のギャップに発生させる電界によるものであり、両端にコンデンサを挿入されているものと等価的に考えてよい。
【0058】
金属板の幅や長さにもよるが一部の磁界は金属板の外側にも漏洩する(図3(d)では、漏洩した磁界をHou,Hodとして表している)。
【0059】
金属板A,Bが充分幅広く長い場合には金属板A,Bの間に磁界Hosが閉じ込められることになる。ここで、金属板A,Bのx軸方向の長さを幅とし、y軸方向の長さを長さとしている。
【0060】
図の手前や後方の紙面に垂直な磁界Hoa、側方に広がる磁界Hos、金属面上に現れる磁界HouまたはHodは、それぞれの使用目的に応じて使用することができる。
【0061】
金属板A,Bは有限寸法であるが、金属板A,Bによるある程度の影像(イメージ)効果は発生する。更に一番大事なことは、本発明の金属対応センサでは、上下の金属板A,Bがあらかじめ存在することにより、上下に現れる金属媒体(例えば、タグが貼付された金属物品等)に影響を受け難いことである。
【0062】
磁性体6は透磁率μrの大きさにもよるが、厚みz1は0.3〜25mm程度、幅x1は10〜150mm程度、長さy1は10cm〜150cm程度で用いることが多い。一般のゴムでフェライトの粉をねり合わせた磁性体の場合、比透磁率は10〜20程度であり、厚みz1は3〜10mm程度、幅x1は2cm〜15cm程度、長さy1は25cm〜120cm程度のものを用いている。グリーンシートを焼いた比透磁率が125〜200程度の高透磁率の薄い磁性体板の場合は、厚みz1が0.1〜1mm程の薄い磁性体を用いることができる。また、コイル2の巻数は大きさによって異なるが、要は給電部のインダクタンスが4〜6巻で1〜6μH程度になるようにすることを目安としている。この範囲に入るように直列,並列の組み合わせを行う。コイル2は金属板A,Bで挟まれるため、インダクタンスは下がり、磁性体が薄い場合には金属板A,Bがない場合に比較して巻き数を数倍に増やす必要がある。例えば、0.3mm厚の場合、30巻とすることがある。
【0063】
図3(e)は図3(c)の金属親和性センサを金属面Mの上に載せた場合を示す。通常用いられる一般的な例である。ここで、金属親和性センサとは、本願発明に係る金属対応センサのことをいい、金属親和性センサM2ISS(Metal−Metal Intimate Smart Sensor)ということもある。また、TはICタグ(以下、タグTとする)である。図3(e)には、金属板Aの上方の磁界Houや、側方の磁界Hos、磁性体6のコイル軸に向かう磁界Hoaにより、タグTのICに記録された物品に関する情報を読み取る様子を示している。
【0064】
図3(c)と異なり、金属板Bの下に金属面Mがあるので、金属板Bの下方にあった磁界Hodはなくなり、磁界は金属板Bの上方や側方に追いやられる。金属面Mに沿う側方の磁界Hosが励振され易くなる。
【0065】
図3(f)は図3(e)の右端から図の左を見たセンサの説明図である。
【0066】
金属面Mの上に載せられたセンサの影像(イメージ(Image;図中破線で示す))が金属面Mの下方に現れるためセンサが2倍になったように見え、更に感度が2倍即ち感度が6dB上昇することを示している。
【0067】
また、上方の金属板Aによっても完全ではないものの影像は発生しており、上下金属板A,B及び金属面Mにより多重影像が得られ、紙面前後や側方の磁界は増強される。金属板Aの大きさは磁性体6と同じ大きさとしているが、目的により多少小さくもできるし、大きくして磁界を側面に集中させることもできる。
【0068】
例えば、金属板Aをx方向の横幅、y方向の長さ等を変えたり、後に述べる切れ目を入れたりすることにより、磁界の分布を制御することができる。
【0069】
図3(g)はセンサ幅xとセンサ長yとがほぼ同一の場合(x=y)、すなわち上からみるとほぼ正方形となっている場合の説明図である。図3(g)は、図4に述べるコイル2の長さが長くなり従ってコイルの断面積が大きくなる場合の実施例(x<y)との中間に位置する形状(x≒y)のセンサを説明するものであり、後述の図9、図10、図11、図12等の実施例に示す金属媒体Dが載せられる面を上から見た場合正方形に近いセンサの代表的な小形センサの説明を行う例として挙げている。図3(h)は図3(g)の右端から図の左を見たセンサの説明図である。
【0070】
なお、後述する図13の実施例は図3(g)、図3(h)の動作原理等が基本となっている。
【0071】
〜コイルの軸が磁性体の長手方向と直交するようにコイルを巻く場合〜
図4にはコイル2を磁性体6に対して縦巻き(yz平面に略平行になるように巻回する)にした場合を示す。すなわち、コイル2の軸方向(磁界方向)がx方向となるように巻く。図3の場合と比較するとコイル2が直交していることが分かる。図4の場合も、図3の場合と同様に磁界Hは金属板A,Bや金属面Mと平行する方向で磁流を励振する方向となる。
【0072】
図3のコイル2の巻き方向がx軸方向であれば図4のコイル2の巻き方向はy方向であり、磁界の方向も直交する方向となる。コイル2の長さは磁性体6の長辺に沿って(y方向の辺に沿って)短辺にずらして(x方向に進行するように)巻くために、図3でのコイル2の巻き方は4〜10巻(磁性体板6が薄い場合は20〜40巻)するのが普通であったが、図4の場合には長辺に巻くため1巻から4巻程度となる。図4では、コイル2の巻き方が1巻〜3巻であったり、これを並列にしたり、長さにより巻き方は場合に応じて適当にする。一方、コイルのインダクタンスは、給電部のインダクタンスが0.5μH〜10μH程度であり、通信の帯域や調整を考慮し、1〜6μHの範囲が適当である。磁性体6の長さが20〜30cm程度のときは3巻程度で、長さが1m程度のときは1〜2巻でこれを並列給電を行い、インダクタンスが大きくなり過ぎないようにしている。このことは図3の場合も同様である。
【0073】
図4(a)は縦長の磁性体6にコイル2がy方向に巻かれており、この上下に金属板A,Bが少し離れて置かれている場合を示す。ここで、Cuはコイル2と金属面Aとの間の浮遊容量、Cgはコイル2と金属面Bとの間の浮遊容量である。
【0074】
金属板A,Bを離して置いてあるのは、磁性体6にコイル2がどのように巻かれているか見易くするためである。またある程度金属板を離しコイルと磁性体との空間を設ける場合もあるが、あまり大き過ぎない方がよい。後述するが、空間の高さは1mm〜15mm程度がよい。この空間の支えは、プラスチック板、発泡ポリステロール板、あるいはプラスチック等の絶縁体による支柱を立てることにより、一定の空間を作ることができる。磁性体6の厚み(磁性体6のz軸方向の長さ)は先に述べたように0.2〜25mm程度である。磁性体6の厚みが厚い方がコイル2を巻くときの断面積も増え、従って磁界が通り易くなり、磁束が増えるのでよいが、あまり厚すぎるのは高さも増し実用的でない。磁性体6の透磁率が高いことは磁界が通り易くなり磁気抵抗が低いことを意味するので、コイル2の断面すなわち磁性体6の断面を小さくしても磁路を確保することができ、従って薄くすることができる。小形薄形のセンサを構成する場合には透磁率の高いグリーンシートを焼いたような薄い磁性体を用い、0.1mm〜1mm程度の厚みのものも使用することができる。フェライトの粉をゴム等で粘った磁性体等を用いる場合には厚みは2mm〜25mm程度で5〜15mm程度が用い易い。
【0075】
磁性体6の長さが30cm前後の場合には、2〜3巻程度で2〜3μHのインダクタンスが得られるのでこの程度の巻数でよい。
【0076】
一方、長さが1m程度もあるものではインダクタンスが大きくなるので、1巻程度あるいは5〜10mmのピッチの1〜2巻のコイルを10〜20mm離して2並列3並列にしたものを用いても良い。
【0077】
金属板や金属面が下方のみにしかない従来のものは、図1に説明したものと同じように上部の金属媒体Dや金属板Aに著しく影響を受け、実際的には上部の金属媒体DのタグTや金属媒体Dの検出を行うことは不可能に近い。
【0078】
ここで図4(a)のIuはコイル2に流れる電流である。コイル2と上の金属面Aとの間には電界による標游容量が発生するので、この標游容量をCuとする。下方の金属面との間の標游容量をCgとする。これらの値を最初から特定できるので変動を受け難い。
【0079】
図4(b)は図4(a)の右端からセンサから左を見た場合の図である。図4(c)は金属板A,Bをセンサ(コイル2が巻回された磁性体6)に当てた場合の説明図である。
【0080】
また、先に述べたように上部の金属板A等によりインダクタンスも容量も著しく影響を受けるので、コイルの巻数も金属板A等がない場合のセンサの何倍かに増やす必要がある。磁性体6の厚みz2によって増やす巻数も異なるし、長さy2が長くなるにつれてインダクタンスも大きくなるので、適当な巻数を定めなければならない。図3の方はもともと巻数が多いので、金属板A,Bによる影響により、巻数もかなり増える。図4の方は図3に比べもともと巻数が少ないので、増えてもたいしたことではない。しかるに金属板A,B間の間隙に磁界が閉じ込められる関係もあって、この間隙が狭ければ狭い程磁界はこの間に閉じ込められ、従って、インダクタンスは減少するので、コイル2の巻き数をかなり多く補って巻き足し、インダクタンスが同じ位までになるようにしてやらなければならない。
【0081】
磁界はコイル2に流れる電流Iによって発生し、コイル2と直角な方向、即ちx軸の方向の磁界Hoaと上部に回るHouと下部に回るHodに分かれる。また図4(a)の紙面に向かって右端と左端では、主に垂直コイル(コイル2の垂直(z軸に平行)な部分)に流れる電流Iuにより横向きの磁界Hosも発生する。
【0082】
図4(d)は図4(c)のセンサの右端から左を見た場合の説明図を示す。上下(z方向)に流れる電流Iuの説明以外は外部磁界HouやHodの様子、またコイル2の軸方向(x方向)の磁界Hoaの説明もよく理解できる。
【0083】
図4(e)の場合はこのセンサが一番よく使われる実施例の一つを挙げている。即ち、金属板Bが取付いている側が金属面Mに接していたり、床,棚,壁に接していたりする場合を示している。
【0084】
このような場合には図3の場合と同様、金属面Mにより影像(イメージ)が発生する。図4(c),図4(d)の場合も金属板の大きさが有限であるため、完全ではないがある程度の影像(イメージ)効果が得られ、磁界を集中し、感度の上昇が得られる。ここで、図3(e)と同様に、磁界Hou,Hoa,Hosと結合するタグTを示している。
【0085】
しかるに前述のように金属板A,Bの大きさは、目的により、小,中,大と変えられる。多重影像により感度を上昇させる目的のみならず、更に、下方の金属面Mの影響のみならず、金属板Aを備えることにより、上方の金属媒体Dや金属面の影響によるセンサの感度低下や特性の変化を抑え、改善する目的もある。
【0086】
図4(f)には図4(d)の右端より左を見た場合の説明図を示す。本来図4(e)に示すように、金属面Mの上に乗せられた金属親和性センサM2ISSは金属面Mにより影像(イメージ(Image))が発生し、下方にも同大の影像が現れる。
【0087】
図4(f)にはセンサの金属面Mによる影像(イメージ(image;破線で示す))も示している。下方の影像により発生する磁界は上のセンサにより発生する磁界と同方向で加算される磁界となり、影像(イメージ)により2倍となることが分かるであろう。面積が2倍となるので、磁束が2倍となり、誘起電圧は2倍となり電力は4倍となるので、6dB増の改善が得られる。そして、センサの上部も金属板Aがあるため、センサの上部に別の金属体が近づいたり、センサの上に載せられたりしてもほとんど影響を受けず、物体に取付けられたタグTとの交信(通信)を行うことができる。取付けられるタグTには2種類ある。すなわち、金属物体に直接取付けられる金属親和性タグの場合もあり、また金属の空洞に取付けられたりプラスチックや磁性体等を介して取付けられたりする一般のタグが用いられる場合もある。なお、金属親和性タグとは、金属に阻害されることなく反対に金属面電流や磁流を利用し感度が向上する金属対応タグのことであり、金属面による影像を利用して感度を上昇させる金属面に親和性を有するタグをいう。一般の平面タグに磁性体を当てた金属対応タグもこの中に含まれる。
【0088】
図3、図4は、比較的細長い幅の小さい帯状のセンサの実施例を扱っているので、その金属帯の上を通過する磁界Houが存在するが、金属帯の幅が大きくなると、金属帯の上を通過する磁界が少なくなるので、金属帯の存在による磁界の安定性を得ながら、かつ、タグとの交信を保つ工夫が必要となる。標準的なセンサアンテナとしては金属面の幅(x2)が6〜7cm程度では十分にこの上を磁界が通過する。
【0089】
[金属面センサによる磁界捕捉システムについて]
図5は、金属面センサM2ISSによる磁界捕捉システムを大別し、タグTとセンサコイルによる磁界との結合の種類を示す。
【0090】
図5(a)は、図3の実施例で示すセンサの例で、図5(b)は図4の実施例で示すセンサの例であり、両方の実施例共に金属の上の磁界Houとセンサの側面の磁界HosとHoaとからなる磁界が発生している。図5(a)の場合特に金属板A,Bは図示していない。
【0091】
図5(c)は、金属面Aに切れ目又は隙間S(不連続部、溝部)がある場合に、金属面Aの切れ目あるいは隙間Sから直に発生する磁界Hsuを示している。
【0092】
図5(d)は図5(c)の金属面の切れ目あるいは隙間Sから直に発生する磁界Hsuを現し、図5(e)は金属面の切れ目あるいは隙間Sを利用して金属面Aの下方であり、コイル2や磁性体6の上方の空間MSに発生する磁界Hsmuを示している。
【0093】
図5(f)は金属面Aに開けられた角形あるいは円形の窓あるいは穴WS(不連続部)を示し、この外側にもれる磁界Hhuを示している。
【0094】
図5(g)は、金属面Aに開けられた窓あるいは穴WSから発生する外部磁界Hhuを示し、図5(h)は、金属面Aの下方の内部空間MSに発生する磁界Hhmuを示している。金属面と磁性体表面にまかれたコイル2に流れる電流Iにより空間MSに発生する磁界HsmuやHhmuは内部に閉じ込められた磁界なのでかなり強力である。タグがこの中にあることは、この磁界によりタグのコイルがより励振され易いということであり、従ってタグとの信号の送受が行い易い。しかも金属体の媒体(ターゲット)が上を覆ったとしても、もともと金属面Aが存在しているので、媒体(ターゲット)の存在により、磁界や電界の多くが乱され、特性がずれたりすることがない。
【0095】
[金属面とコイルが巻かれた磁性体との間に空間がある場合について]
〜金属面に穴がある場合〜
図6は金属面の一部MA(以下、単に金属面MAとする、MBについても同様)と磁性体センサアンテナ(コイル2が巻かれた磁性体6)との間に、強い磁界の空間MS(Magnetic Field Space)がある場合の例を示す。もともとコイル2に流れる電流Iにより発生する磁界は電流Iに近いほど強くかつ磁性体面から発生する磁界もμr倍された磁束密度となり、強磁束となり、金属面を励振する。金属面電流を励振するこの金属面磁流は、金属面MAに沿って流れるので、渦電流のような悪影響を与えるものでなく、磁界による表面電流である。逆に金属面電流により金属面磁流も励振される。
【0096】
従って、この金属面MAとコイルを巻いた磁性体センサアンテナの間には磁界が凝縮され強磁界の空間MSが生じている。この金属面MAの一部に切り欠きを作り、窓とするときは、この窓部WS(図5で説明した穴WS)から磁界Hhuがもれてこの上の金属媒体Dに取付けられた金属タグTに結合する。この様子を斜視図、図6(a)に示す。
【0097】
更に金属媒体Dとこれに取付けられたタグTを下方に下げ金属面の窓穴WSに合わせるようにしてタグTを穴WSを介して磁界空間MS中に下げたときの図を図6(b)に示す。図6(b)は図6(a)の斜視図において金属媒体DのタグTを穴WSに合わせた場合で、コイル2に垂直で穴WSを通る面での断面図である。金属面MAと金属媒体Dの金属面はほぼ接触するような形でつながるため、切り欠き部(穴WS)の金属面は実質金属媒体Dの金属面でふさがれるようになる。このため、切り欠き部がほとんどないのと同じになり、従って表面電流はこの部分で不連続ともならず、従ってこれにともなう磁流も影響を受けない。このような理想的な強い磁界の存在する空間MSに金属対応のタグTが挿入される形となるので何の障害もなく、タグTに流れるコイル電流iとセンサ側のコイル電流Iとは容易に結合し、感度のよい通信が可能となる。
【0098】
図6(c)は、図6(a)のセンサアンテナを右側から左側へ向かって眺めた場合のタグとセンサコイル2に流れる電流Iとの結合を説明するためのタグT,センサのコイル(以下、センサコイルともいう)2、磁性体6、上方金属面MA、下方金属面MB,金属媒体Dの関係を示す断面図である。すなわち、図6(c)は図6(a)において金属媒体DのタグTを穴WSに合わせた場合で、穴WSを通り且つコイル2に沿う面での断面図である。電流Iにより発生する磁界HによりタグTのコイル2a(不図示)に電界が誘起され電流iが流れる。この電流はタグTのICにも流れ、ICの情報を載せた電流が再度タグのコイル2aとセンサコイル2を励振することになる。
【0099】
図6(d),図6(e)には金属面MAに開けられた穴WSをゴミや汚れ、湿気等から守るためのプラスチック板等で覆う作業を行った場合を示す。金属面MAと金属媒体Dとを直接接続させたい場合には、穴WSのみをふさぐようなプラスチックPやゴム等で穴をふさぐようにすればよい。金属面の切り欠きであるので金属導電流を流さないための金属面の不連続部は別の所で行っていると考えてよい。
【0100】
〜金属面に溝がある場合〜
図7は金属面MAの切り欠きがコイル2と直角な方向に連続して続いており、いわゆる溝のような形で金属面が切れている場合を示す。従ってここに現れる漏洩磁界は溝に沿って現れることになる。金属面の不連続部の構成により連続する導電電流を流さないためと、漏洩磁界を作る一石二鳥の効果がある。
【0101】
図7の場合は図6の場合と異なり、溝に沿ってどこでも漏洩磁界があるので、溝に沿ってどこででも金属媒体DのタグTをセンシングすることができる。
【0102】
図6の場合は先にも説明したように穴WSの位置が定まっているので、定位置に合わせて金属媒体DやタグTを置かなければならない。あらかじめ定められているような目的の使用には最適である。この場合の穴位置、外側に枠等を作ることにより、金属媒体Dの位置やタグTの位置を定めることができる。
【0103】
図7の場合には溝が連続しているので溝に沿ってはどこの位置でもほぼ同じ条件となるので、金属媒体DやタグTを置く自由度はより広くなる。
【0104】
図7(b)は、図7(a)の斜視図のセンサを手前側からみた場合の説明図、すなわち、図7(a)において金属媒体DのタグTを溝に合わせた場合で、コイル2に垂直で溝を通る面での断面図である。磁界方向に溝が切られているのでこの方向には磁界Hは左右に広く現れている。従って金属面MAの上部でも比較的よくこの磁界とタグTは結合することができ、従って金属面MAの上ででもタグTをセンシングすることができる。図7(b)の場合には、金属面MAが切れている溝の部分mg(図7(e)参照)にタグTが挿入されている場合で、この場合もタグTとセンサとの結合は金属面MAとセンサとの間の空間MSで行われるので、強い磁界の中の結合であり、非常に感度の良い結合が得られる。
【0105】
図7(c)は図7(a)の斜視図を右側から左を見た場合、すなわち溝を通り且つコイル2に沿う面での断面図で、かつ金属面MAの上に直接金属媒体DとタグTが溝の上に合わせて載せられている場合を示す。もともと金属面MAが大きく、溝の部分が小さいので、金属媒体Dが載せられても漏洩磁界の一部の変化となるので、インピーダンス等はそれ程大きく変化を受けない。
【0106】
先に説明した図6の場合には穴WSが一般には一部にしか開いていない上に金属媒体Dが上に載せられると穴WSはふさがり、もし金属面MAが一面に敷かれている場合のインピーダンスがある値を示すならば、この穴WSの影響も小さく、更に金属媒体Dが載ることにより、金属面MAの穴WSがふさがり金属面MAが一面にあるのと同じになり、ほとんどインピーダンス等の特性は変わらない。
【0107】
金属面MAをセンサ上に載せることは、もともと金属媒体Dが上に載ることを予想して金属面による影響を最小限にしながら、かつ、タグTとの通信が金属面により阻害されないように考慮されてなされたので、理想的な関係や環境を提供しているともいえる。
【0108】
図7(d)、図7(e)は溝穴からゴミ、汚れ、湿気等が侵入しないように溝穴にプラスチック板PSやゴムシートで覆い、保護する場合を示す。この場合も、図6(d)、図6(e)で示したように全体の面を覆うのでなく、溝部のみを覆うようにしてもよい。例えば、図7(d)や図7(e)の場合のように、プラスチック面の溝pgが連続している場合、金属媒体DやタグTの落ち着きがよく、この溝pgに沿ってセンシングできる範囲が定められるので、例えば缶が並べられた場合やPCや基板等のタグの位置を定めたりするのに好適である。また、金属面の溝mgは同時に連続する金属面による導電電流の発生による逆相磁界の発生を抑える目的もあり、直接金属媒体Dが金属面に載せられ、それによる導通部が構成されると逆相電流の発生もあるのでプラスチックシートで金属面と媒体を絶縁することも必要である。
【0109】
なお、図7(d)、図7(e)に示すように、金属面Mの上に金属対応センサM2ISSを戴置する場合、金属対応センサM2ISSを金属板MBを底にしてプラスチックケースPに収めた場合金属板MBと棚金属Mとの間にプラスチックケースPの底板がくる。
【0110】
[金属対応センサ(M2ISS)の他の実施例について]
図8には本発明の別の実施例を示す。金属面Aの大きさは大きければ影像効果も発生し、また、磁界は側面に抑えられ、側面の磁界が強くなる。金属面Aの大きさが小さい場合には上面に磁界が漏れ易くなる。目的によって金属面の大きさはコントロールできる。
【0111】
図3,図4では金属板が2枚あり、コイル2に沿った面では2個所不連続となっている。従って逆相電流となる誘導電流が流れる電流の閉路はない。
【0112】
図8には金属板がコイル2に沿って巻かれている場合、少なくとも1箇所不連続を作ることにより、短絡電流や逆相電流が流れないようにしている。
【0113】
図8(a)は金属板MBで図中コイル2が巻かれた磁性体6をぐるりと包み(包囲し)左側の側部を開放している場合で、図8(b)は左側の金属板MBの一部を開放している場合で、図8(c)は上部金属板MBの一部を開放している場合で、どれもコイル2の起電力によって誘起される金属板MBの電圧Vは発生しても短絡していないため、逆相電流は発生せず、従って開放端では電界Eが発生し、この部分で主に磁界も漏れ易い。このような性質を利用して、後述する図9、図10等に示すようにコイル2に沿った金属板MBを分割してここに電界を発生させたり、磁界を外側に発生させたりする。このようにすることにより、センサの上部に乗せられる金属媒体Dの大きさに合わせて金属板MBの大きさを定め、金属媒体Dの側面や下方にタグTを取付け、金属板MBの切れ目から発生する磁界と結合させることにより通信を行うことができる。更に、本実施例のセンサにはあらかじめ金属板MBが設置されているので、電界Eや磁界Hを大きく乱すことはなく、従って特性に影響を与え難い。
【0114】
図8(b)は図8(a)のコイルの巻き方向に沿った金属板の切れ目をもっと狭くした場合を示す。
【0115】
図8(c)はコイルの巻き方向に沿った金属板の切れ目(隙間)をセンサ上部に備えた場合である。金属板MBが連続することは前記のように逆相となる誘導導電電流が金属環に流れるため磁界が打ち消されるので、コイルに沿った金属板MBの少なくとも一部を開放絶縁しなければならない。
【0116】
下部は金属面Mがありここで短絡されるので、側面か上面に開放部を備え、連続する金属環とならないように開放絶縁しなければならない。上面と下面の金属面が側面MBSによって接続されている。
【0117】
〜上部の溝が1つの場合〜
図9は図8(c)に説明した内容のセンサの実施例で、図9(a)は斜視図であり、図9(b)は図9(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。
【0118】
実際このセンサは金属面上に載せられた状態で使用することが多いが、金属面上でなくても動作させることができる。金属面MBA上を通る磁界はコイル2xの軸方向(y方向)が長くなり過ぎない方がよい。y方向の長さが6cm程度では金属面の上の方を磁界は問題なく通過する。
【0119】
磁性体6の金属面のない断面及び金属板が切れている絶縁部からコイル2xに流れる電流による電界Eや磁界Hが出ている。この上部の磁界と側部の磁界を用い、一般のタグTによる金属親和性タグPTと通信を行わせることができる。金属面には検出すべき金属媒体に金属親和性タグPTが取付けられ、分割された上部は、金属媒体の金属親和性タグPT(UT)のIDを読み取り管理することができる。詳しくは図6、図7で述べたとおりである。なお、金属板MBが図8に示すとおり湾曲しているため、複数の金属面である金属面MBAや金属面MBSを有することとなっている。
【0120】
〜上部の溝が複数の場合〜
図10(a)は図9に示す上部の金属板がコイル2xの巻き方向に3分割されている場合を示す。金属板MBをコの字形に曲げた上部の部分を金属板MBAとする。側面部をMBSとする(図9の側面のMBS及び上部の部分の金属板をMBAとしたのと同様である)。すなわち、コイル2が巻回された磁性体板6を包囲する導電体である金属板MBが、不連続部である間隙(又は溝部)g1,g2,g3を有し、このため分割された金属板MBの帯状の部分がA1,A2となっている。金属板MBAと独立する金属板A1,A2との切れ目あるいは間隙(又は溝部)g1,g2,g3から電界Eや磁界Hが洩れ、この磁界Hを利用して金属媒体D1,D2,D3に取付けられた金属親和性タグ(プロメタルタグやユニバーサルタグ)PT1,PT2,PT3との磁界結合により、IDを読み取ることができる。この金属板(金属帯ともいう)A1,A2に沿って金属媒体Dを多数並べても、もともと金属板があるので特性を損なうことはない。金属親和性タグPT1,PT2,PT3並びに金属媒体D1,D2,D3の金属面への置き方については図5、図6、図7に示す方法等をとってもよい。
【0121】
なお、図10(b)は図10(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。金属体の溝の部分から主に磁界が漏洩するが、金属帯A1,A2の上及び金属板MBAの上にも磁界は発生しておりタグT(PT,UT)と交信ができる。
【0122】
図11(a)には更に金属板を多分割にした場合を示す。また、図11(b)は図11(a)の右端から左を見たセンサの断面図である。多数の金属媒体D1,D2,・・・,Dn,Dn+1を並べ、この金属媒体に取付けられた金属親和性タグ(プロメタルタグ)PT1,PT2,・・・,PTn,PTn+1のIDや情報を読み取るような場合を示す。図では金属板を7分割しているが、目的によって何分割とするかを決定してもよい。この場合は、MBAとは独立した金属板(金属帯)A1,A2,・・・,Anがあることになる。
【0123】
図中、金属板A1からAnがかくれるので、その上に載せられる金属媒体Dや金属親和性タグPTを省いてある。実際金属媒体Dの大きさが分かっているときは、これに合わせて金属板の大きさや数を定めればよい。図5、図6、図7等で述べている例えは、あらかじめ定められた位置に金属媒体DやタグTが来ることが想定されているので、その位置に合わせて穴や溝を設置することが可能となる。なお、図11では図10の側板MBSがない。
【0124】
〜上下の金属板が分離している場合〜
図12には上下の金属板が分離されており、更に上部金属板が分割されている場合を示す。センサアンテナの下部には金属板Bがあり、上部には金属板A1,A2,A3,A4,A5がある。
【0125】
図11と図12は大きな差はないが、側方の磁界が図12の場合の方がよく現れる。図11の場合は前後側面が金属で囲まれている場合に有効である。
【0126】
図12に示すような場合も、図3や図4の場合と原理的には同じであるが、上に乗せられる金属媒体Dの数が多く、それぞれ金属媒体Dが上面に分散するような場合には、それぞれの金属媒体Dの大きさに合わせているため、上面の金属媒体Dの影響を受けづらく、かつ磁界を金属媒体Dの金属親和性タグPTと通信し易く集中分散させることができる。
【0127】
図12(b)は図12(a)のセンサ右端から左を見た場合で、断面や側方の磁界(Hos)や上面の磁界(Hou)が金属親和性タグPTのセンシングに用いられることが分かる。図11のように検出される金属媒体Dが金属板に沿って6個乗せられている場合もあるし、図12のように金属媒体Dが3個、1つの金属板(図示ではA5)の上に乗せられる場合もある。先の説明からも分かるとおり、金属媒体Dにより全ての溝g1,g2,g3,g4がふさがれると、導電電流による障害が出るので、ランダムに金属媒体Dが載せられるようにするためには、金属板A1,A2,A3,A4,A5の上部にプラスチックシート又は磁性体シートがあった方がよい。側面等に隙間がある場合にはこの心配がない。
【0128】
図12(b)に示すように金属板が分割されており、一般的には金属面により、導電電流や渦電流が流れるため磁界は金属面にふさがれるような形で出てこないが、まず金属面をそれぞれのコイルに沿って分割し、導電電流が流れないようにすることと、金属面の隙間(割れ目)から磁界が漏洩するように作られている。従って磁界はこの隙間及び磁性体の側面から現れるようになる。コイルと金属面との間に空間があれば、ここからも磁界が逃げることができる。
【0129】
このようにしてセンサが動作するようにしておけば、金属面MAに開けた穴WSからは漏洩磁界が得られるので図12(a)等と同じようにタグTとセンサコイルとが通信可能となる。
【0130】
図13には直交する絶縁されたコイル2x,2yが磁性体6の周囲に巻かれており、下方に金属板MBが当てられているセンサを示す。図12のx方向のみにコイル2が巻かれているのと異なり、図13(a)はy方向にもコイル2yが巻かれている。このため、それぞれの巻線方向に沿って周回する金属板による誘導電流が流れないように金属板Aをx,y方向に分割する。更にセンサの上に乗せられる金属板とほぼ同じ大きさ(すなわち金属媒体の底面積が分割された金属板の面積とほぼ同じ)の金属媒体Dnには金属親和性タグPTnが取付けられ、x方向のコイル2xから発生する磁界Hyとy方向のコイル2yから発生する磁界Hxとのどちらの磁界とでも結合できるような磁界を発生させることができる。本実施例では、このように金属親和性のほぼ全方向金属・金属親和性センサを提供できることがもう一つの特徴となる。金属親和性タグPTは図では横に取付けてあるが、図6、図7や図10で説明したように金属媒体の下方に取付けてもよい。
【0131】
図13(a)に示す金属媒体Dは、センサの上方に少し離れた所に置かれた図となっているが、複雑さを避けるために検出される金属媒体Dを上方に離して描いてある。実際使用する場合には金属媒体Dはほぼ密着するように金属板Aの上に乗せられて使用されることになる。また被検出物体の金属媒体Dの数も左側、上側のみしか描いていないが、これも図の複雑さを回避するため一部のみしか描いていない。金属親和性タグPTについても同様の理由により一部のみしか描いていない。
【0132】
図13(b)はセンサ上部の直交するセンサコイル2x,2yとその上に乗せられた金属板片Aの位置関係を示すもので金属板片Aの下にセンサコイル2x,2yが来る場合と、図13(c)のように金属板片Aの置かれている間(すなわち隙間(又は溝、割れ目))にセンサコイル2x,2yが来る場合を示しており、どのような場合でも実施可能であることを示している。実際、金属・金属親和性センサM2ISSを構成する場合、コイルのピッチ、金属板片Aの大きさ等で図13(b),図13(c)の混成となることが多い。図5、図6、図7で述べたように、図13に示す金属板片Aに穴や隙間、プラスチックの窪みを設け、穴の上、中、下の強い磁界と結合するようにしてもよい。また図13(d)に示すように、x、y平面内になる第3のループコイル2zを磁性体6の上に巻き、z方向の磁界Hzを発生させ、溝や隙間に垂直方向の磁界を発生させることもできる。金属面は分割されているので、金属面による渦電流や円形電流の発生が抑えられるので、アンテナコイル2の電流による磁界は金属面の割れ目を通って外部に発生するし、金属面の割れ目に発生する電界も外部に発生し、金属面の影響は抑えられる。図13(a)と図13(d)を組み合わせれば、Hx,Hy,Hz全部対応できる全方向形センサを作ることができる。
【0133】
[金属・金属親和性センサを複数並べる場合]
図14には金属・金属親和性センサを一体に構成するのではなく、分割して構成する場合を示す。
【0134】
図14(a)はほぼ等辺の四角形センサの場合で、コイルとしては、x方向のみ、あるいはy方向のみ、あるいは前例(図13)のようにx,y方向に巻かれたセンサを組み合わせる場合を示す。図にはx方向のみのコイル2xしか示していないが、x方向のみ,y方向のみ,あるいはx,y方向のコイルを用いたものでもよい。なお、これをセンサ#1とする。
【0135】
図14(b)は図14(a)を4組組み合わせた場合を示す。すなわち、センサ#1〜センサ#4を組み合わせた場合を示す。センサを使用しなければならない面がx,y方向に大きくなったときあるいは一つ一つのセンサに電力を集中しなければならないときや媒体やタグの置かれている場所を特定したい場合等は、このような分割あるいは分散方式を用いる。図13に示す図13(a)、図13(d)を合成した全方向センサを図14(b)のように並べ、分散方式とすることもできる。
【0136】
図15には一方向のみに広げた場合(一方向にのみセンサを複数並べた場合)を示す。例えば図に示すように、y方向のみにセンシングする領域を広げたい場合、x方向の長さは一定の短冊の長さがあり(例えば20〜100cm程度)、y方向の幅(例えば2〜10cm程度)がある場合に、この短冊形センサを横並び(y方向に並べる)にして、ある範囲のセンシング領域を得たい場合に用いる目的のものである。
【0137】
図15(a)の金属・金属親和性センサは図4に示す(対応する)センサを横(y方向)に並べた場合で、図15(b)は図3に示す(対応する)金属・金属親和性センサを横(y方向)に並べた場合を示す。
【0138】
どのような場合にこのようなセンサを使い分けするか説明する。図15(a)は次のような場合が考えられる。例えば、PC(パーソナルコンピュータ)や基板や金属工具の金属板の方向がy方向を向いており、x方向に並べられx方向の間に媒体間の間隔で少しずつ間隙が空いているような場合である。このような場合には、この間隙部やPCや基板や金属工具等の下方向にタグPTやUTが取付けられる厚みがあり下方に隙間がある場合等と、PCや基板等に隙間があり下方の横にタグが取付けられることができる場合等で、この隙間をy方向に水平磁界Hhyが通って行くので、この磁界Hhyをとらえて金属親和性タグPT(UT)のコイルでタグに取付けられたICの信号と通信を行うのに適している場合を示す。センサとしては1個でも複数でもよい。
【0139】
センサを横に並べる場合は金属親和性タグPTを貼る位置や、PCや基板や金属工具等のターゲットが多少ずれてもセンシングできるようにしており、これらが多数ある場合でもセンシング可能となるようにしている。
【0140】
センサ#1〜#3の下方には金属面Mがあるので、金属面Mによる悪影響が出ることもなく、図2,3,4で説明したように、むしろよい結果も得られる。金属面Mが大きく、上に載せる金属媒体Dが大きい場合には、短絡電流が発生しないよう金属面Mと金属媒体Dの端部とを、プラスチック板等で分離した方がよい。もともと金属板Bが貼られているので金属面Mがない場合でも、すなわち金属面Mのあるなしに拘らず、順調にセンシングすることができる。
【0141】
図15(b)は、x方向あるいはy方向に長い金属面を持つターゲットがたてられ、これがy方向あるいはx方向に並べられている場合、x方向の磁界Hhxによりターゲットに取付けられたタグのコイルを励振し、タグとの通信を行う場合に適している。x方向の磁界Hhxは連続しているので、比較的どの位置でもタグとの交信が容易である。
【0142】
図15(a)は多少水平磁界Hhyに強弱が発生し、とくに隣同士のセンサの間や縁(端)で垂直磁界Hzが発生したり、対向する磁界−Hhyが発生したりする。このため、継ぎ目では零点が発生するので、この点には気をつけなければならない。後に述べられる補助センサの働きやセンサ同士をほぼ密着に近く近づけることにより、このような逆相の磁界−Hhyを押えることができ、連続する磁界Hhyを作り出すことができる。また、継ぎ目の垂直磁界Hzの発生する場所の近傍では、Hzに結合できるタグを取付けることにより交信を行うことができる。
【0143】
[補助センサについて]
図16(a)には図15のようにセンサを並べて動作させるときに、つなぎ目で発生する逆相磁界や垂直磁界を抑えたり、磁界を広げたり連続させたりする目的の補助センサSubを用いる場合を示す。この補助センサSubによりセンサ#1が動作しているときは補助センサSub1も動作し、あたかもセンサ#1と補助センサSub1は一つのセンサとして動作する。しかるに次にセンサ#2が動作するときはSub1とSub2の補助センサが動作するので補助センサSub1の上にあるタグはどちらのセンサでも捕捉することができる。補助センサSubは、共振コイルで無給電で励振され略90°位相の進み電流である場合が多いので、左右のセンサには悪影響を与えず、かつ大きな励振電流により外部には大きな磁界を作り出すことができ、タグとの交信も容易となる。コイルの巻きの方向は図15にも示すように図15(a)のx方向に巻く場合と、図15(b)に示すようにy方向に巻く場合の両方があるが、その他後述する図16等に示すようにx方向にコイル2x,y方向にコイル2yと直交するコイルを巻く場合もある。
【0144】
補助センサSubのコイル(以降、補助コイルともいう)2xにコンデンサCを取付けてほぼ共振状態とする。ここで、使用周波数がfo=13.56MHzの場合には共振周波数foを13.7〜14.2MHz程度になるようなコンデンサを取付け、使用周波数fo=13.56MHz以上では容量性とし、略+90°位相の電流を補助センサSubに励振し、主センサ(#1〜#3)の磁界にプラスするように動作させるとよい。
【0145】
図16(b)に示すy方向のコイル2yに対する補助センサSubについては、同様にy方向のコイル2yにコンデンサを取付け、同じような条件で共振状態を作り出すことによってセンサ間のつなぎを埋め、連続する磁界を作り出すことができる。これにより、Hx,Hyの磁界を継ぎ目なく励振でき、かつ磁界が垂直に立ち上がるときに発生するHzも励振できる。図13(d)で説明したように第3のコイル2zを巻くことによりHzを励振することもできる。
【0146】
〜シートを載せる場合〜
図17にはもう一つの実施例を示す。図17には補助センサSub1,Sub2がある場合が描かれているが、補助センサSub1,Sub2に更に上面の磁界を均一にするため、センサ#1〜#3上のほぼ全面に0.5〜2mm程度の薄い磁気シートを敷いた場合を示す。このような磁気シートMag Sheetを張ることにより、水平磁界Hhは磁気シートMag Sheetの中や近辺でどこでも存在し、特に磁気シートMag Sheetに近い所では金属板Aの影響も少なくなり、タグとの通信も容易になる。
【0147】
補助センサSub1,Sub2がない場合でも磁気シートMag Sheetの効果は均一な水平磁界Hhを作るのに役立つ。
【0148】
図17(a)は磁性体6のx方向にコイル2xを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートMag Sheetを応用した場合、図17(b)は磁性体6のy方向にコイル2yを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートMag Sheetを応用した場合の説明図である。いずれも、磁気シートMag Sheetの代わりにプラスチックシートPlastic Sheetを載せてもよい。
【0149】
図17(b)の補助センサのコイル2yと共振用コンデンサCの表示(透視図)は、図面が複雑となるので省いている。
【0150】
[金属・金属親和性センサの応用]
〜収容物の形やタグの向きが定まっている場合〜
図17までは金属面に乗せるための金属・金属親和性センサの説明が多かったが、図3,図4の原理的な金属・金属親和性センサを用いて一般のタグでも用いられる別の実施例を次に述べる。
【0151】
図18(a)には金属テーブルや金属路M1,M2等の間に金属・金属親和性センサM2ISS(以下、単にセンサM2ISSともいう)を用いる場合を示す。
【0152】
両側から金属面や金属ブロックMAとMBに挟まれた開口部にセンサM2ISSを置き、この上を通過するターゲットTan(図ではTa1,Ta2,Ta3)に貼られたタグTn(図ではT1,T2,T3)を、磁界Hy(Hos)を利用してセンシングするような場合を示している。金属路M1,M2の金属面はセンサM2ISSの両側で平坦であり、センサM2ISSにより突起ができないように平坦にしている。センサM2ISSのコイルの軸方向はy軸と平行である。
【0153】
この実施例では、図3のセンサが上下にではなく、左右の金属面MA,MBに挟まれており、この間隙にセンサを収めている。金属路M1,M2の上に戴置された箱Boxに図示するように縦に並べられた本やケース等のターゲットTanが収容され、そのターゲットTanに取付けられたタグT1,T2,T3,……TnのICに記憶された情報を、センサM2ISSの上を通過するときにセンシングするようにしている。
【0154】
図ではセンサM2ISSの脇、即ち上面のタグTのコイルの中を磁界HyあるいはHosが通過し、ICに記憶されたID番号を読み取る場合を示している。
【0155】
図18(b),図18(c)にはもう一つの本発明の実施例を示す。図3,図4の場合は上面磁界を主に使っていたが、図18の場合は側面の磁界Hos(又はHy(水平磁界Hhとも記す))を主に使っている。
【0156】
使い方に多少の違いはあるが、図18(b),(c)はセンサM2ISSの長さの方向や厚みの方向に重ねて使う例を示している(センサ#1,#2)。
【0157】
図18(b)はセンサの長さが長くなり磁界の分布が大きくなるため磁束密度が減り、感度が悪くなるような場合、磁界を強くするためセンサの長手の方を短くし、センサ#1,#2のように何本かのセンサを継ぎ、センシング範囲を広げたり、強くしたりする場合の例を示す。なお、図ではセンサ#1、#2での金属面A,Bを省略している。
【0158】
図18(c)はセンサを金属板同士で重ねて用いることにより、磁界の分布の幅(x方向の長さ)を広げ、磁界が同相の場合磁束密度が上がり、タグとの通信をし易くする等の目的のためのセンサを示す。そして図18(c)では基本的に#1,#2のセンサが金属板MMで分離されているので、センサ#1,#2同士が干渉したりせず、取付けられるセンサ#1,#2の信号が別々に読める等のメリットがあることを示している。更に特殊な使い方としてセンサ#1,#2の隣同士のコイル電流を反対給電し、それぞれを逆相の磁界とすると、端部にN,Sの磁極が得られるためx方向の磁界も得られる方法もある。
【0159】
図19は図4の実施例のようなセンサが図18の場合と同じように金属面MAとMBに挟まれている場合を示す。図19ではセンサM2ISSのコイルの軸方向はz軸に平行である。
【0160】
図19の場合は、図4に示すセンサを用いており、センサは左右に存在する金属面あるいは金属体MA,MBに挟まれている。すなわち、金属体MAとMBとの間隙にセンサM2ISSを収めている。金属路M1,M2の上を通過する箱Boxには商品に取付けられたタグT1,T2,T3,……,Tnが収容され、更に箱BoxにもタグTbcが取付けられ箱BoxがセンサM2ISS上に来たとき、センサM2ISS上に示すタグTに磁界が結合するようにタグTを励振し、箱Boxの中のタグT1,T2,T3,……,Tn、Tbc即ち内容物を読み取るようにしている。タグTの向きは磁界が結合し易いように水平になっており、図18のように横向きではない。
【0161】
図19(b)〜(e)には、図18(b),図18(c)に例示するようにセンサを縦長や横長に並べたり重ねたりすることができる例を示す。図19(b)〜図19(e)の構成は、このような使い方以外に図5〜図13等で説明してきた金属・金属親和性センサとしてももちろん用いることができる。図19(b)は図4のセンサを縦(長手方向)に並べ給電部を同方向としている場合で、図19(c)は一方のセンサを180度回し、給電部を同一点で行うようにした場合である。別々に給電を行う場合にはコイルの巻き方や極性を特に気にする必要がないが、左右のコイルに結合があるので、多少は特性が変わる。図19(d)、図19(e)は側面で並べるか(センサ#1,#2)金属面で並べるか(センサ#1〜#4)の違いがある。金属面で並べた方(図19(e))はほとんど結合がない。
【0162】
収容物の形やタグの向き(取付ける方向)が定まっている場合は、図18や図19で示したようなセンサM2ISSを用いるとよい。
【0163】
〜収容物の形やタグの向きが定まっていない場合〜
一方、収容物の形やタグの方向が定まっていないような場合には、どのような方向のタグでもセンシングしなければならず、次に述べるようなセンサを用いると解決する。
【0164】
図20には直交するコイル2xと2yの両コイルの巻き方をほどこしたセンサの金属板A,Bの一部を取り去り、y,z方向の磁界のみならずx方向の磁界も発生させるようにした場合を示す。
【0165】
図20(a)は金属板A,Bを当てる前のセンサを示すもので、磁性体6に直交するコイル2x,2yを巻いており、コイル2xにより主に磁界Hyが励振され、コイル2yにより主に磁界Hzが励振されるが、先に述べたように磁界Hxも励振される。これにより、x,y,zどの方向の磁界も得られるので、タグがどの方向を向いていてもこのセンサでセンシングすることができる。
【0166】
図20(b)は図20(a)の左右A,B面の一部を残し、金属体MA,MBを当てたセンサとした場合で、センサは完全に金属面や金属体MA,MBで挟まれているわけではない。また、センサにおいて金属体MA,MBで挟まれていない部分が、先に述べたように金属板A,Bの一部が取り去られている部分となる。図示するように、金属路M1,M2にはセンサM2ISSが挟まれる部分に向かって傾斜部(窪み)がある。センサM2ISSの一部は金属路M1,M2の金属面の窪みから出ている状態となる。このスリバチ状の部分(傾斜部)はプラスチックなり絶縁体Pでふさぐことにより、図18,図19の場合と同じように平坦な同一面となり、金属面M1とM2は連続しているように見え、箱Boxや荷物が通過する邪魔にはならない。
【0167】
図20(c)には図18(c)に示すようにセンサを2個重ねた場合を示すが、隣同士のコイル電流を反対にし(すなわちコイル2の巻き方向を逆にして)、磁界が逆になるようにし、更に下方には中間の金属板MMの一部が下方まで続いておらず、磁性体6がU字形となるように構成した例を示す。このようにすると磁性体同士が隣り合ってU字形の磁路が得られ、磁界はU字形の部分で反転して戻って来るため、センサの上部(金属板側方)に強いx方向の磁界Hxを作ることができることを示している。このように図20(b)、図20(c)による方法や図13による方法や後述するような方向で自由にx,y,z方向の磁界を作ることができる。
【0168】
[ローラで物品を搬送する場合のセンサM2ISSの応用について]
ここでは、物品を搬送するローラコンベアに本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを応用する場合について説明する。図21にはローラRollerの上を通る荷物(物品)にタグTが取付けられ、そのタグTをローラRollerの間に挟まれた金属・金属親和性センサM2ISSで読む場合を示す。ローラRollerとローラRollerの間の隙間に、上下を金属板MA,MB(図2においては金属板A,B)に挟まれた図3(特に図3(c)、(d))に示したようなセンサM2ISSが横向きに取付けられる場合の斜視図を示す。
【0169】
図18,19,20の金属路M1,M2や金属部や金属体MA,MBが金属ローラに置き変わったと考えてよい。従って、ローラRollerからの影響をセンサM2ISSがほとんど受けない。またセンサM2ISSとしては図3に示すセンサを用いており、図3の側方の磁界Hosを用いてこれを水平磁界Hhとして出しており、この水平磁界HhとタグTとの結合ができるようにセンサM2ISSをローラRollerの間にセットしている。タグT1,T2,T3,・・・,Tn−1,Tnは一般に箱Boxやカゴに積まれた本やファイル、記録媒体のケースや衣類等に取付けられたタグであり、これをローラRollerで運んでいる(搬送している)最中や、センサM2ISS上に一時停止している間に読み取ることができる方法である。図21(b)はセンサの前方より見た場合のローラRollerとセンサM2ISSの磁界、タグTを示すものである。同一のセンサM2ISS等の詳細は図3や図14に説明しているので省略する。図21(c)は左右に動くタグT(すなわち、タグTが貼付された媒体)を2つのセンサ#1、#2で読み取り、それぞれのセンサで読み取ったデータの時間差等でタグTが右へ動いたか左へ動いたかを判別する場合等に用いるようにすることもできる。また読み落とし防止にもなる。
【0170】
図22にはセンサの幅を広くしてローラの下方の周囲に沿ってセンサをU字形に折り曲げ、ローラの2つの隙間で磁界を作るセンサを示す。図22に示すセンサは、2つの同相の水平磁界を得るためよりタグが読み易くなり、上の荷物が動いている場合には、2回にわたり、タグを読むことができるので、タグTのICに記録された情報を読み落とすことがなくなる。
【0171】
図22(a)にはU字形センサの斜視図を示す。U字形のセンサM2ISSをローラRollerの下方約半分に巻き付けるように沿って配置する。一つのローラRollerを挟んで同相の水平磁界Hh(Hos)が得られていることがわかる。図22(b)は図22(a)の前方(手前)より見たセンサ断面に相当する図である。
【0172】
また図21(c)や図22(c)に示すように#1,#2に示すように2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置することにより、タグTのセンシングの時間的ずれを読むことによってセンシングする対象物が左から右へ移動したのか、右から左へ移動したのか判別することができる。
【0173】
図23は図4に示すセンサを用いた場合で、図19の金属面や金属体がローラRollerに変わり、図21に対応するセンサM2ISSの実施例である。
【0174】
図23に用いているセンサは図19に用いているセンサと同じ機能を有し説明が重複するので省略する。図18(b),図18(c)に説明があるように長さ方向にセンサを並べたり、あるいはセンサを金属面で重ねたりして使用することができる。なお、タグを物品の搬送面に水平に配置しており、このように配置するタグにThという符号を付している。また、図21と図23のコイルの巻き方と組み合わせ、図20に示すように直交する磁界を同様に作り出すことができる。
【0175】
図24に示すセンサは図4や図19の変形で図22と対応し、図23のセンサM2ISSをU字形に曲げた場合の実施例で、図18,19,20を通じてその説明は同様に図24でも当てはまるので、直交磁界を応用する方法等の説明については、重複を避けるために省略する。なお、物品の搬送面に垂直に配置したタグにはTvという符号を付している。
【0176】
図21,図22,図23,図24には表現していないが、図16(b)や図20(a),図20(b),図20(c)に示す全方向センサあるいは本出願人により特願2008−109113に開示した全方向センサを、実施例に示すように、本願の場合は両側金属面があった場合でも上部金属面を分割したり金属面による逆相電流の発生を阻止したりしながら両側金属面対応とし、全方向センサとし用いることもできることを示している。
【0177】
[金属・金属親和性センサM2ISSを用いた管理システムについて]
図25には今までそれぞれ述べて来た上下や左右、前後から金属面や金属体に挟まれた金属・金属親和性センサM2ISSを実際用いるに当たって、センサアンテナで受信した信号をリーダライタR/Wで受信し、その出力(例えばRS−232CやLAN出力)をコンピュータPCで記録、表示、制御する場合の使い方を代表的な例として図25(a)、図25(b)、図25(c)、図25(d)に示す。
【0178】
図25(a)の場合はセンサSensorを平面的に並べた例で図6〜図24に例示する実施例に対応する場合で、図25(b)は図14〜図17に対応する分割形のセンサSensorの実施例に対応する場合、図25(c)は図18〜図24に示すように図3,図4に示すセンサを基本的に横にして側方の磁界を用いてタグとの通信を行う場合の実施例に対応する場合を示している。いずれのセンサSensorもこれまで説明した金属・金属親和性センサM2ISSを適用したものである。なお、センサSensorの詳細な構成はこれまでに説明したことにより、また、図が複雑になることにより、図中省略している。
【0179】
図25(a)、図25(b)、図25(c)ともにそれぞれのセンサSensorには、センサSensorと同軸ケーブルCCを持続するための基板PCBの上にコンデンサやインダクタンスを用いた整合回路(Mat)が取付けられている。センサ一個一個に整合回路(Mat)を接続してもよいし、まとめて整合回路(Mat)を用いてもよい。整合回路(Mat)は一般に基板PCBにコンデンサやインダクタンスを並列や直列に接続し、50Ωの同軸ケーブルCCのインピーダンスに整合がとれるように調整している。同軸ケーブルには1.5Dケーブルを使うことが多く、リーダライタR/Wの出力はSMA又はBNCの接栓が用いられていることが多い。同軸ケーブルCCの外部導体側はセンサSensorの一方の金属板あるいはグランドの金属面Mと接地しておく方が誘導やノイズを避けられるので望ましい。
【0180】
リーダライタR/Wの出力はRS−232CまたはLANの出力となっており、コンピュータPCに接続され、物品に貼付されたタグのIDや書き込まれている情報を読み取ったり書き込んだりすることができる。専用の制御機ContをLAN等に接続しPCによる指示や表示を行い、更に制御機Contによる機械Machの制御をプログラムに沿って行うことができる。
【0181】
図25(b)には図14〜図17に示すセンサM2ISSが並べられて全体としてセンサSensorを構築している場合の例を示す。一般には、それぞれのセンサの出力は整合回路(Mat)を介して同軸ケーブルCCでリーダライタR/Wに接続されるため、リーダライタR/Wの分岐切換により、それぞれのチャンネルで読み取ることができるようになっており、それぞれのチャンネルでコンピュータPC上に表示記録されることができる。また、一回読んだタグはどのチャンネルで読まれても一つの表示で済ませることもできる。
【0182】
図25(c)は図18〜図24に示すように左右や前後から金属面や金属体で挟まれた場合のセンサの例を示している。この場合も整合回路Matを介して同軸ケーブルCCでリーダライタR/Wに接続されたコンピュータPC上で表示記録される。
【0183】
図25(d)にはノート型パーソナルコンピュータ、基板、CD、DVD、電子機器、電気機器等が図26のPCを乗せる台のように並べられている場合の、棚や引出しSShhの上のセンサの構成とリーダライタR/WやパーソナルコンピュータPCの構成を示す。
【0184】
[ノート型パーソナルコンピュータの管理について]
図26には金属箱や金属棚SShhにノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノート型パソコンという)PCを保管する場合、ノート型パソコンPCが金属体で床SShが金属の場合、一般のセンサは全く動作しなくなるが、本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを用いると問題なくセンシングできる例として示している。これまでの実施例では、タグが貼付される物品を金属媒体Dとしていたが、図26では金属媒体Dがノート型パソコンPCである。
【0185】
最近個人情報が取出され、これによる被害が発生したり、重要な機密情報が勝手に持出されたりする被害が多発しており、持ち出し可能であるノート型パーソナルコンピュータPCの管理は必須といえる。本実施例は、このような要請に応えるものであり、センサSensorには図25(b)や図25(c)、図25(d)に用いられている金属・金属親和性センサM2ISSを用いた適用例を示している。
【0186】
一方、管理されるノート型パソコンPCに貼付されるタグについては、本出願人により特許文献2において開示した金属親和性タグや多重影像を利用した万能タグを用いることにより、ノート型パソコンPCの金属面の影響を受けないタグを用いることができ、かつ本発明の金属・金属親和性センサM2ISSに用いられている上面の金属面Aの影響も受けずに読み取ることができるようになっている。現在市販されている金属親和性タグ(プロメタルタグ)PTは厚み1〜2.5mmで長さも10〜20mmであり充分に使用できるが、本願発明者による金属対応タグであるユニバーサルタグ(多重影像効果による高感度タグ)UTは厚さ1mm以下で両側に金属が貼られているので、薄い上に金属の影響も受けず、かつ可撓性がありどこにでも貼れ、金属面の隙間で読めるので理想的といえる。タグTについては図26中左の丸円の中に示すが、詳細については既に特許文献2に開示しているため説明を省略する。金属親和性タグPT又はUTを用いる場合、タグを貼る位置が下方でなく側面等にくる場合には、比透磁率の高い(μr=100〜200)磁性体シート(幅1〜4cm、高さ2〜5cm)(1つ又は2つ)を貼り、磁界の磁路を作り、タグをその際あるいはその上に貼ることにより通信距離を飛躍的にのばすことができる。この方式は特願2008−221587にも述べているが、今回の金属媒体Dにタグを貼る方法でも適用することができる。
【0187】
図25(d)で説明したように、ノート型パソコンPCに貼付されたタグTの情報は、金属・金属親和性センサM2ISSを経て整合回路Matを介して同軸ケーブルCCに持続され、リーダライタR/Wで読まれて管理用のコンピュータPCで記録表示される。金属面Aの幅は55mmで磁性体6の幅65mmよりやや狭くしており、適宜金属面の幅を選ぶことにより上部磁界によるタグとの結合がよく行われる。長さは90cm幅に納まるよう約半分の42cm幅程度とし、この中に図19(a)、図19(b)等に示すようにタンデムに更に半分の21cm長のセンサが2本収容される方法をとっている。図ではセンサ長を21cmにしているが、半分にしないで42cm程度の長さでセンサ1本で構成した方が互いの結合もなく調整に手間取らないこともある。性能や使い易さを考慮し棚長あるいは引出し長に合わせてセンサ長を決定することができる。
【0188】
同軸ケーブルCCの外部導体側と下方の金属板Mとが同一ポテンシャルとなるように接地しておくことも、アンテナに余分な誘導が発生しないので望ましい。
【0189】
図25(d)及び図26では、タグPT又はUT等が下方に取付けられる場合のおさまりがよいようにプラスチック板をチャンネル状に窪みを設けているが、タグPTやUTを側面に取付ける場合にはこのような窪みは不要で、平面で構成してもよい。
【0190】
[鍵を管理する鍵管理ボックスへの適用について]
図27には本発明の他の実施例として金属・金属親和性センサM2ISSを鍵管理ボックス用のセンサSensorとして応用した場合の実施例を示す。
【0191】
鍵管理用ボックスは一般に金属箱でできているので、金属面の中で動作することが望ましい。
【0192】
金属面が壁となっており、これに直接金属・金属親和性センサM2ISS#1〜#6が取付けられているので、周囲の影響を受けずかつ鍵の影響も受けず使い易い。またセンサ#1〜#6の反対側(図面では手前)に、金属製の鍵等が掛けられる場合には本発明の金属・金属親和性センサM2ISSでなければならない。
【0193】
一方、図27に示すように、鍵KEYに小形のタグTがプラスチックの名札PNに取付けられているような場合には、小形のタグであり金属面の傍にあるが、少し浮いているため磁界を通すことができるし、安価な一般のタグでも用いることができる。このような小形タグにでも金属面の傍で強力な磁界を作れるのは金属・金属親和性センサM2ISSによるもので、センサの金属板の両縁には金属面に垂直でタグTと結合する先に述べた強力な磁界Hzが発生するので、タグをセンサの縁に近づけることによりこの磁界を受信でき、安価な紙タグやプラスチックタグを名札PNに貼ることによって、タグT即ち鍵KEYの管理を行うことができる。また、センサ自体を壁面に斜めにし、タグに近づけることにより更に強い磁界の結合を得ることができる。金属製鍵に直接前述の金属対応タグであるプロメタルタグPTあるいは前記多重影像を用いたユニバーサルタグUTを用いれば一番よい。また方向を定めれば磁界を逃がす消極的方法の従来のオンメタルタグを用いることもできる。このようなことが実施できるのは本発明の金属・金属親和性センサM2ISSを用いることに由来している。
【0194】
なお、センサ#1〜#6は基板PCB1〜PCB6、同軸ケーブルCCを介してリーダライタR/Wに接続されており、鍵KEYに貼付されたタグTの情報を読み取ることができる。センサを鍵と同数備え、それぞれに給電し、図25(b)、図25(c)等に示すようにリーダのチャンネルを切り換えることにより、どの場所に鍵があるかを識別し表示することもできる。リーダライタR/Wにより読み取った情報は、情報処理を行うコンピュータCompで管理され、その情報はディスプレイDispに表示される。これらは図示するように、鍵管理ボックス内に内蔵されている。センサはそれぞれ独立のチャンネルに接続してもよいが、1チャンネルでセンサを並列あるいは直列に接続して読み取ることもできる。リーダライタR/Wの出力やコンピュータCompの出力を鍵管理ボックスの外まで出せるようにケーブルで接続し外部にソケットExtSを出すことにより、内部の情報を読み取ったり、直接リーダライタR/Wの出力を外部のパーソナルコンピュータPC(以下、単にPCとする)等で読み取ったりすることができる。外部のPCはインターネットに接続され、センターの一括管理が可能となる。
【0195】
[銃器の管理について]
図28は銃器(拳銃)を管理する場合のセンサとしての応用例である。図28(a)には図4に示すy方向に巻いたコイル2yにより発生するx方向の磁界Hxにより銃器台尻に平行に取付けられた金属親和性タグPTやユニバーサルタグUTとの結合により、銃器GAを管理する場合を示す。
【0196】
図28(b)には図3に示すセンサの上部金属面Aの一部が切れていることにより、金属面で抑えられている磁界が隙間から出易くなっている図11(a)で例示したようなセンサの一部を用いた場合を示す。金属面の切れ目SLがあるため、この切れ目SLから磁界が表に出易くなっている。また、図3に示すx方向のコイルによるy方向とz方向の磁界により、銃器の台尻部の空間に取付けられたタグTとの交信を行うことができ、かつ、金属片Aが台尻の下に取付けられることにより銃器が置かれてもインピーダンスの変化等は発生しない。
【0197】
磁界の方向は、図28(a)と直角であるためタグの取付けは図28(a)と直角な方向となっており、台尻の金属枠に取付けられる方向となる。このような磁界の方向の場合には拳銃GBの握りのプラスチック部分に安価な従来の紙タグやプラスチックタグT等を取付けても台尻の空洞部を磁界が通るので、タグのIDをとることができる。
【0198】
図28(c)には図28(a)のセンサコイルの上側の金属板を図9,図10や図12に示すように分割して切れ目をつけ、拳銃GCが載る台尻の下のみ金属板が当たっており、金属媒体Dとしての拳銃が乗せられても最初から金属板がその部分に当てられているので、センサのインピーダンスや磁界や電界が影響を受けないようにしている場合を示す。先にも説明したように、上に乗せる金属板Aは、それに乗せられる対象物(ターゲット、この場合は拳銃)に合せた大きさで、最初から作っておくことにより、最良の状態と環境にし、タグTと結合し易い磁界も供給でき、センサ上に乗せられる金属媒体Dとなるターゲットにも影響を受けないようにする設計するこができる。図には示されていないが、上記一台一台の拳銃の管理データはリーダライタで読み取られ、コンピュータで管理され局内LANや専用線を通じて、センターで管理することが可能となる。この他、先に述べたCD,DVDその他の金属媒体で構成された重要な金属体の管理が多数可能となる。
【0199】
[本発明に包含される関連技術]
本発明は、ターゲット側の金属面の内外および溝の内外での金属対応センサで、金属の導電電流を切断することにより、逆相となる電流を発生させないことを特徴とする。なお、本発明の特徴である以下に本発明を包含する関連技術を挙げる。
【0200】
(1)磁性体に沿って巻かれたコイルの巻線方向に更に巻線の外側の金属面あるいは金属箔が一部に金属面の不連続部が生ずるように配置され、その不連続部の金属の端部が絶縁され、導電電流が一周して流れないようにすることを特徴とする多重影像センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(2)磁性体に沿って巻かれたコイルの巻線方向に更に巻線の外側に金属面あるいは金属箔が複数部に金属面の不連続部が生ずるように配設され、金属部の端部が絶縁され、導電電流が一周して流れないようにすることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(3)磁性体は角形で断面が長方形をしており、更に帯状を形成し、この磁性体の断面方向にコイルを巻き、上下面に金属面あるいは金属箔を添えることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(4)磁性体は角形で断面が長方形をしており、更に帯状を形成し、この磁性体の帯の長さ方向にコイルを巻き、上下面に金属面あるいは金属箔を添えることを特徴とする多重影像センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(5)媒体等のターゲットが載せられる側の金属面の一部の窓が開いていたり、切り取られて、これにより発生する金属面上の磁界と結合するかタグがこの金属面の同じ高さあるいはこの下に入り込み金属面下の磁界と結合ができるようにすることを特徴とする。
(6)タグが取付けられている厚みを受けられるようにプラスチックの台に凹みをつけることを特徴とする。
(7)金属面による金属台側にセンサが載せられる場合、金属台側は全面に金属薄板あるいは金属箔を張り、反対側の金属媒体が載せられる側は金属薄板あるいは金属箔が1個ないし複数個切れていることにより漏洩磁界が発生し、金属媒体に取付けられているICタグが読めるようになることを特徴とする金属面センサの側方と面方向による磁界捕捉システム。
(8)前記(5)に記載の金属面の溝において、金属面や金属箔が切れている溝が連続していることを特徴とする。
(9)前記(3)又は(4)において、ほぼ同じ長さのセンサを縦や横に並べたり、上、下に並べたりすることにより、センサ間およびセンサ上部に磁界を作り、金属製の媒体を載せることができることを特徴とする。
(10)磁性体センサの上に載せる上面の金属面の大きさを磁性体の大きさに応じて変えることにより磁性体から磁界がタグ側に出やすくすることを特徴とする。
(11)前記(3)又は(4)において、センサ間の間隙に磁性体にコイルを巻きコンデンサを接続した共振器とし更に金属板を備える補助センサを備えることを特徴とする。
(12)前記(3)又は(4)のセンサを金属板の継ぎ目の間隙に備え、金属面と垂直な磁界も発生させ、この上を通過する媒体に取付けられたタグと通信することを特徴とする。
(13)前記(1)や(2)に記載するセンサを用いて、物体を搬送するローラコンベアのローラ間の隙間に設置し、ローラの上を通過する荷物に取付けられたタグを読めるようにすることを特徴とする。
(14)前記(1)〜(13)に記載するセンサを用いて対象物に貼り付けられたタグをリーダで読み、パーソナルコンピュータ(PC)に記録表示をしたり、制御したりすることを特徴とする。
(15)前記(10)において、コンピュータと通信を行う制御機を備え、コンピュータや制御機の指示に従い、機器を制御することを特徴とする。
(16)前記(3)、(4)のセンサがU字形に曲げられていることを特徴とする。
(17)x,y,zの直交するコイルが巻かれて夫々x,yの方向の金属板に金属板の切れ目があり、逆相の誘導電流が発生しないようにすることを特徴とする。
【0201】
[結論]
以上説明したように、金属面の上や横に取付けられ、更に金属体や金属面に挟まれるような磁界からみるとふさがれるような状態に置かれるセンサにおいても、センサから発する磁界が金属面とほぼ平行となり、かつ金属面に沿った電流や磁界(磁流)を励振し、かつ金属面による影像効果(Image Effect)を利用することにより、金属面が存在しなかったときより磁束密度が上昇し、通信感度が上昇するような画期的なセンサの提供を行うことができ、今まで不可能とされた金属面と金属面に挟まれた状態の利用不能である状態のセンサを電気磁気学の基礎を用いて解決することができる。また、逆相となる導電電流を取り除くように金属面を分割し、連続した導電電流が流れないようにすることにより、逆相の磁界が発生しないようにした。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】(a)従来の金属対応センサの構造を示す図、(b)出願人等による既存の金属対応センサの例を示す図、(c)本実施例の金属対応センサの原理を説明する図、(d)コイルの軸方向からみた(c)に示す金属対応センサを示す図
【図2】(a)物品の金属面に貼付される従来のタグを示す図、(b)金属面を利用した一影像形のタグを示す図、(c)金属面による多重影像形のタグを示す図
【図3】(a)角形の磁性体の上に絶縁されたコイルが中心部より左右に向かって巻かれ上下金属板がやや離れて配置されている場合を示す図、(b)(a)のセンサを右側から見た場合の図、(c)角形の磁性体の上に絶縁されたコイルが中心部より左右に向かって巻かれ金属板をコイルの外側にぴったり貼り付けた場合を示す図、(d)(c)のセンサを右側から見た場合の図、(e)(c)のセンサを金属面の上に載せた場合を示す図、(f)(e)のセンサを右端から見た場合の図、(g)センサ幅xとセンサ長yとがほぼ同一の場合のセンサを示す図、(h)(g)のセンサを右端から見た場合の図
【図4】(a)縦長の磁性体にコイルがy方向に巻かれ上下に金属板が少し離れて置かれている場合を示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合の図、(c)金属板をコイルが巻回された磁性体に当てた場合の図、(d)(c)のセンサを右端から見た場合の図、(e)(c)のセンサを金属面の上に載せた場合を示す図、(f)(e)のセンサを右端から見た場合の図
【図5】(a)図3のセンサで上下に金属板がない場合を示す図、(b)図4(c)のセンサを示す図、(c)金属面の切れ目あるいは隙間から直に発生する磁界を示す図、(d)(c)の金属面の切れ目あるいは隙間から直に発生する磁界を示す図、(e)(c)の金属面の切れ目あるいは隙間を利用して金属面の下方でコイルや磁性体の上方の空間に発生する磁界を示す図、(f)金属面に開けられた角形の穴から外側にもれる磁界を示す図、(g)(f)の金属面に開けられた穴から発生する外部磁界を示す図、(h)(f)の金属面の下方の内部空間に発生する磁界を示す図
【図6】(a)図5(g)の磁界が金属媒体に取付けられた金属タグに結合する様子を示す斜視図、(b)(a)のコイルに垂直で穴を通る面での断面図、(c)(a)の穴を通りコイルに沿う面での断面図、(d),(e)金属面に開けられた穴をプラスチック板等で覆う作業を行った場合を示す図
【図7】(a)コイルと直交する方向に金属面の溝がある場合を示す図、(b)(a)のコイルに垂直で溝を通る面での断面図、(c)(a)の溝を通りコイルに沿う面での断面図、(d)、(e)金属面に設けられた溝をプラスチック板やゴムシートで覆い保護する場合を示す図
【図8】(a)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み左側の側部を開放している場合を示す図、(b)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み左側の金属板の一部を開放している場合を示す図、(c)コイルが巻かれた磁性体を金属板で包み金属板の上部の一部を開放している場合を示す図
【図9】(a)図8(c)のセンサを示す斜視図、(b)(a)のセンサを右端から見た図
【図10】(a)図9に示す上部の金属板の溝が3つある場合を示す図、(b)(a)の右端から左を見たセンサの断面図
【図11】(a)センサ上部の金属板を多分割にした場合を示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合を示す図
【図12】(a)上部の金属板が多分割されているセンサを示す図、(b)(a)のセンサを右端から見た場合を示す図
【図13】(a)直交する絶縁されたコイルが磁性体の周囲に巻かれ上部の金属板が分割されたセンサを示す図、(b)(a)のセンサで直交するコイルとその上に乗せられた金属板片の位置関係を示す図で金属片の下にコイルがくる場合を示す図、(c)金属板片と金属板片の隙間にコイルがくる場合を示す図、(d)第3のループコイルを磁性体の上に巻きく場合を示す図
【図14】(a)ほぼ等辺の四角形センサの場合を示す図、(b)(a)のセンサを4組組み合わせた場合を示す図
【図15】(a)図4(c)に示す金属・金属親和性センサを横に並べた場合を示す図、(b)図3(c)に示す金属・金属親和性センサを横に並べた場合を示す図
【図16】(a)センサとセンサの間に補助センサを用いる場合を示す図、(b)磁性体のx方向及びy方向に直交するコイルを巻いたセンサを並べて使用する場合に用いる補助センサを示す図
【図17】(a)磁性体のx方向にコイルを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートを載せた場合を示す図、(b)磁性体のy方向にコイルを巻いた金属・金属親和性センサに磁気シートを載せた場合を示す図
【図18】(a)金属テーブルや金属路等の間に金属・金属親和性センサを用いる場合を示す図、(b)(a)のその他の実施例を示す図、(c)(a)のその他の実施例を示す図
【図19】(a)図4に示すセンサを図18(a)の場合と同じように#1、#2として用いる場合を示す図、(b)、(c)、(d)、(e)センサの並べ方等の実施例を示す図
【図20】(a)磁性体のx方向及びy方向に直交するコイルを巻き金属板を当てる前のセンサを示す図、(b)(a)の左右面の一部を残し金属体を当てセンサとした場合を示す図、(c)磁性体がU字形となるように構成した例を示す図
【図21】(a)ローラの間に挟まれた金属・金属親和性センサでタグの情報を読む場合を示す図、(b)(a)のセンサを前方より見た場合を示す図、(c)2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置する場合を示す図
【図22】(a)U字形センサを用いた場合の斜視図、(b)(a)の前方より見たセンサ断面に相当する図、(c)2個以上のセンサを少し間隔をおいて配置する場合を示す図
【図23】図4(c)に示すセンサをローラの間に用いた場合を示す斜視図
【図24】図4(c)に示すセンサをU字形にしてローラ間に用いた場合を示す図
【図25】(a)センサを平面的に並べて管理システムを構築した例を示す図、(b)分割形のセンサを用いて管理システムを構築した例を示す図、(c)図3,図4に示すセンサを横にして用いた管理システムを示す図、(d)棚や引出しの上のセンサ、リーダライタ、パーソナルコンピュータの構成を示す図
【図26】実施例のセンサを用いてノート形パーソナルコンピュータを保管する場合を示す図
【図27】実施例のセンサを鍵管理ボックスに応用する場合を示す図
【図28】(a)〜(c)実施例のセンサを銃器の管理に応用する場合を示す図
【符号の説明】
【0203】
2,2x,2y,2z コイル
6 磁性体(磁芯)
A,B 金属板(導電体)
M 金属面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の情報を保持する無線タグに電磁結合し前記情報を送受信する金属対応センサであって、
磁性体からなる磁芯と、
前記磁芯と絶縁され該磁芯に沿って巻回されるコイルと、
前記コイルが巻回された磁芯を包囲する導電体と、
を備え、
前記導電体は、不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、複数の前記不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属対応センサにおいて、
前記不連続部は、穴部又は溝部であることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の金属対応センサにおいて、
前記穴部又は溝部に前記無線タグが勘合する凹部を有するプラスチック板を備えることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲する際に、前記不連続部では前記磁芯との間に間隙部を設けて前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記磁芯は、断面が四角形又は矩形の板状又は帯状の形状であることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第1のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向と垂直な方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第2のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の平面部にコイルが平面に沿って磁芯の上に巻かれる第3のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記物品を搬送する複数のローラを有するローラコンベアを備え、
前記金属対応センサを前記複数のローラ間の所定の隙間に設置し、前記ローラの上を搬送される物品に貼付された無線タグと前記情報の送受信を行うことを特徴とする金属対応センサ。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
複数の前記金属対応センサと、
磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され前記磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルに接続されるコンデンサと、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接する導電体と、を有する補助センサと、
を備え、
前記補助センサは、前記複数の金属対応センサの間隙に配置することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の金属対応センサと、
前記物品に関する情報を保持する無線タグと、
前記金属対応センサを介して前記無線タグから読み取り又は前記無線タグへ書き込むリーダライタと、
前記リーダライタで読み取り又は書き込んだ前記物品に関する情報を記録表示し又は制御するコンピュータと、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の管理システムにおいて、
前記無線タグに磁界を誘導するための磁性体シートを備えることを特徴とする管理システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の管理システムにおいて、
前記物品は、ノート型パーソナルコンピュータ、鍵、銃器、基板、DVD、CD又は電気機器を含むことを特徴とする管理システム。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載の管理システムにおいて、
前記無線タグは、紙製若しくはプラスチック製のタグ又は金属対応タグを含むことを特徴とする管理システム。
【請求項1】
物品の情報を保持する無線タグに電磁結合し前記情報を送受信する金属対応センサであって、
磁性体からなる磁芯と、
前記磁芯と絶縁され該磁芯に沿って巻回されるコイルと、
前記コイルが巻回された磁芯を包囲する導電体と、
を備え、
前記導電体は、不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、複数の前記不連続部を有することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属対応センサにおいて、
前記不連続部は、穴部又は溝部であることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の金属対応センサにおいて、
前記穴部又は溝部に前記無線タグが勘合する凹部を有するプラスチック板を備えることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記導電体は、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接して前記磁芯を包囲する際に、前記不連続部では前記磁芯との間に間隙部を設けて前記磁芯を包囲することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記磁芯は、断面が四角形又は矩形の板状又は帯状の形状であることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第1のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の長手方向と垂直な方向がコイルの軸方向となるように前記磁芯に巻回される第2のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記コイルは、前記板状又は帯状の形状の前記磁芯の平面部にコイルが平面に沿って磁芯の上に巻かれる第3のコイルであることを特徴とする金属対応センサ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
前記物品を搬送する複数のローラを有するローラコンベアを備え、
前記金属対応センサを前記複数のローラ間の所定の隙間に設置し、前記ローラの上を搬送される物品に貼付された無線タグと前記情報の送受信を行うことを特徴とする金属対応センサ。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載の金属対応センサにおいて、
複数の前記金属対応センサと、
磁性体からなる磁芯と、前記磁芯と絶縁され前記磁芯に沿って巻回されるコイルと、前記コイルに接続されるコンデンサと、前記コイルが巻回された前記磁芯に当接する導電体と、を有する補助センサと、
を備え、
前記補助センサは、前記複数の金属対応センサの間隙に配置することを特徴とする金属対応センサ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の金属対応センサと、
前記物品に関する情報を保持する無線タグと、
前記金属対応センサを介して前記無線タグから読み取り又は前記無線タグへ書き込むリーダライタと、
前記リーダライタで読み取り又は書き込んだ前記物品に関する情報を記録表示し又は制御するコンピュータと、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の管理システムにおいて、
前記無線タグに磁界を誘導するための磁性体シートを備えることを特徴とする管理システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の管理システムにおいて、
前記物品は、ノート型パーソナルコンピュータ、鍵、銃器、基板、DVD、CD又は電気機器を含むことを特徴とする管理システム。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載の管理システムにおいて、
前記無線タグは、紙製若しくはプラスチック製のタグ又は金属対応タグを含むことを特徴とする管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図23】
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【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−122753(P2010−122753A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293621(P2008−293621)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(599154663)株式会社スマート (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(599154663)株式会社スマート (18)
【Fターム(参考)】
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