説明

金属帯の圧延ラインにおけるワークロールシフト圧延方法

【課題】熱間圧延ライン等の金属帯の圧延ラインにおける仕上圧延機等で被圧延材を圧延するに際し、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を解消するワークロールシフト圧延方法を提供する。
【解決手段】ワークロール19シフト圧延機のワークロールプロフィル目標値とワークロールプロフィル予測計算値から決まる評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、合計し、これをさらに圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について合計した結果が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を、圧延順ワークロールシフト位置として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延ラインや冷間圧延ラインなどの金属帯の圧延ラインにて、仕上圧延機の一部または全部などをワークロールシフト圧延機で構成し、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を解消して、金属帯の製造におけるスケジュールフリー化を安定的、かつ確実に、実現できる、ワークロールシフト圧延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図10に示す熱間圧延ライン100のような金属帯の圧延ラインでは、仕上圧延機18を構成する圧延機は、多くの場合、一部または全部が図11に示すようなワークロールシフト圧延機で構成されている。(a)がワークロールシフト(ワークロール19が胴長方向にシフトすること)していない状態、(b)がワークロールシフトした状態を示す。バックアップロール20の中心線に対して、上下のワークロール19が胴長方向にみて互いに逆方向に同じだけ、例えば、Xmmシフトすることでワークロールシフトが行われるが、この場合のワークロールシフト位置をXmmと称している。図12に示すように上下のワークロール19とバックアップロール20の対同士をクロスさせることができるようにし、なおかつワークロールシフトもできるようにしたクロスロールシフト圧延機もある。
【0003】
従来は、図13に示すように、ワークロールが胴長方向にシフトできない圧延機が主流であった。また、仕上圧延機18を構成する圧延機のワークロールを研磨済のものに交換してから次にまた研磨済のものに交換するまでに圧延する60乃至120本超の被圧延材8の集合体を圧延サイクルというが、かつては、この圧延サイクルは、図14(a)に示すような、コフィンサイクルと呼ばれる圧延順幅構成になるよう形成されていた。
【0004】
従来の、このコフィンサイクルは、熱間圧延よりも一つ前の製造工程である、スラブ製造1によってできた800℃内外の被圧延材が、全て常温まで冷却された後、圧延順に被圧延材を並べ替えることを前提に形成されていた。
そして、このコフィンサイクルは、最初に、狭幅の被圧延材から広幅の被圧延材に向けて次々と圧延をすすめていくことで、ワークロールの熱膨張を次第に胴長方向に広げていき、当該圧延サイクル内で最大幅の被圧延材を圧延後は、次第に狭幅の被圧延材を圧延していくことで、ワークロールの摩耗した底の部分で圧延ができるような圧延順幅構成とされていた。厚みに関しても、基本的に、厚いものから薄いものの順になるような圧延順厚構成とされていた。
【0005】
しかしながら、ワークロールシフト圧延機にて圧延すれば、図14(b)に示すような、圧延順幅構成が一部逆転、すなわち、最大幅の被圧延材を圧延後も狭幅材の圧延のあとに広幅材の圧延を許容するような圧延順幅構成や、あるいは、図14(c)に示すような、殆ど同一幅の被圧延材を何本も続けて圧延する圧延順幅構成もとることができる。
このことは、スラブ製造1では二つのラインで、異幅スラブを製造する場合と、略等幅のスラブを製造する場合があり、異幅スラブを製造する場合は、製造後間もない高温の被圧延材を熱間圧延ライン100に搬送すると、先述の図14(b)に示すような圧延順幅構成になり、略等幅のスラブを製造する場合は、先述の図14(c)に示すような圧延順幅構成になることと対応している。
【0006】
さて、従来のコフィンサイクルに替え、以上のような圧延順幅構成をとる圧延サイクルでも支障なく圧延ができるようにすることを、スケジュールフリー化と呼ぶ。被圧延材の両幅端25mmの平均厚みと幅中央における厚みの差として、例えば30〜120μmに収めるよう、被圧延材に求められる品質を確保した上で、上記スケジュールフリー化を図ることで、まだスラブ製造後間もない高温の被圧延材をできるだけ早く圧延し、納期短縮やエネルギーコスト削減にもつなげることができる。
【0007】
ワークロールシフト圧延機の登場以前の、先述の図13に示すような、ワークロールが胴長方向にシフトできない圧延機では、狭幅材を何本か圧延した後に広幅材を圧延すると、圧延後の被圧延材は、図15に示す逆クラウンと呼ばれる幅方向厚み分布に仕上がり、需要家の品質要求から外れる場合があった。この逆クラウンの発生は、図16(a)に示すように、ワークロールの熱膨張した部分で広幅材の幅中央域を圧延することがその原因であった。ワークロールが熱膨張した結果できる、図16(a)中に示す台形のワークロール胴長方向断面の形状(以下、ワークロールプロフィル)が、図16(b)に示すように、圧延荷重によりワークロールが撓むことに伴って変形し、被圧延材に転写して、図15に示す逆クラウンのような形状になるのである。
【0008】
また、ワークロールが胴長方向にシフトできない圧延機では、狭幅材の圧延のあとに広幅材の圧延を許容するような圧延順幅構成をとると、図17(a)に示すように、摩耗の少ないワークロール部分で圧延される、被圧延材の幅端部の厚みが、過薄になる品質不良が生じる場合があった。そして、殆ど同一幅の被圧延材を何本も続けて圧延する圧延順幅構成をとると、図17(b)に示すように、被圧延材の幅端部を圧延しているワークロール部分が局部的に摩耗し、それが次の被圧延材の幅端部に転写して、被圧延材の幅端部の厚みが、過厚になる品質不良が生じる場合があった。
【0009】
ワークロールシフト圧延機の登場により、ある被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでのインターバル時間内に、上下のワークロールを胴長方向にみて互いに逆方向にある一定の長さシフトさせ、ワークロールの摩耗と熱膨張の影響を、圧延される被圧延材の幅方向に分散させることができるようになり、図15に示す逆クラウンの問題や、図17に示す、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする品質不良の問題は相当程度解消されるに至った。しかし、まだ完全には解消されていない。
【0010】
ところで、以上のような、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題と関連して、次々と被圧延材を圧延していくごとに、ワークロールシフト位置Xmmをどのように変化させるかが度々問題となる。
特許文献1や特許文献2では、次々と被圧延材を圧延していくごとにXmmづつ、2Xmm、3Xmm、・・・という具合にワークロールシフト位置を拡大させていき、機械仕様上の終端に達したら折り返してシフトを続けていくサイクリックシフト方法を基本前提としている。
【0011】
さらに、特許文献1では、ある被圧延材と次の被圧延材に対するワークロールシフト位置の変更量に上限を設けて、被圧延材の通板性が不安定にならないようにしている。
そして、特許文献1も特許文献2も、ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数を、圧延サイクル途中の被圧延材までを圧延後に、次の被圧延材以降の被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を仮定して計算し、あるいはさらに、前記評価関数を次の被圧延材以降の被圧延材について合計し、該評価関数が最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を決定し、実際に該圧延サイクルにて圧延予定の各被圧延材を圧延する方法をとっている。
【0012】
特許文献1では、(1)式のような評価関数をとっている。
【0013】
【数1】

【0014】
ここに、
n+1(x)はワークロールの摩耗プロフィル、
RBはワークロールの胴長、
Jは評価関数であり、gn+1(x)の微分値、すなわちワークロールの摩耗プロフィルの傾きを求め、その分散をとったもの、
をそれぞれ示す。
【0015】
特許文献2では、(2)式のような評価関数をとっている。
【0016】
【数2】

【0017】
ここに、
iはワークロールの胴長方向の座標(1≦i≦m)、
jはワークロルシフト長(1≦j≦n)、
now iは目標ワークロールプロフィルの現在値、
fut iはN本の被圧延材を圧延後の目標ワークロールプロフィルの値、
はワークロールプロフィルの現在値、
ijは次圧延予定の被圧延材のワークロールシフト長jによるワークロールプロフィルの予測変化量、
now jはワークロールプロフィルの現在値に対する次圧延予定の被圧延材のワークロールシフト長jの評価関数値、
Δhは次々圧延予定の被圧延材からN本の被圧延材を圧延後までのワークロールプロフィルの予測変化量を表す評価関数値、
fut jはN本の被圧延材を圧延後のワークロールプロフィルに対する次圧延予定の被圧延材のワークロールシフト長jの評価関数値、
、kはワークロールプロフィルの現在値と、N本の被圧延材を圧延後のワークロールプロフィルの値と、の各重み、
はワークロールシフト長の総合評価関数、
をそれぞれ示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平06−154823号公報
【特許文献2】特開昭63−260615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のような方法では、評価関数を計算する際に、ワークロール半径の胴長方向分布(以下、ワークロールプロフィル)をワークロールの胴長方向全体にわたって計算している。このため、被圧延材を圧延しないワークロール部分まで計算の対象に含めることになり、誤差が拡大する場合もあることから、評価関数の計算に精度向上の余地が残されていた。
【0020】
加えて、特許文献1や特許文献2は、圧延サイクル途中の被圧延材までを圧延後に、次の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置を決めようとするものであり、圧延サイクルの1本目の被圧延材を圧延する前に、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を決定できないのかという技術上の要請もあった。
本発明は、従来技術のかような問題を解決するべくなされたものであり、熱間圧延ライン等の金属帯の圧延ラインにおける仕上圧延機等で被圧延材を圧延するに際し、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を解消できる、ワークロールシフト圧延方法を提供し、金属帯の製造におけるスケジュールフリー化を安定的、かつ確実に、実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.金属帯の圧延ラインにて、ワークロールシフト圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、
前記ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる下記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、下記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について下記式(9)のように合計し、
異なる圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、
前記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、前記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について前記式(9)のように合計する一連の処理を繰り返し、
全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から、前記式(9)が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を選び出す
ことを特徴とする金属帯の圧延ラインにおけるワークロールシフト圧延方法。
【0022】

【数7】

【0023】
【数8】

【0024】
【数9】

【0025】
2.金属帯の圧延ラインにて、ワークロールシフト圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の1本目の被圧延材について、ワークロールシフト位置を仮定して、圧延後のワークロールプロフィル予測計算値を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算により予測し、
前記ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィル目標値とワークロールプロフィル予測計算値から決まる下記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算した結果を下記式(8)のように合計し、
前記被圧延材の次に圧延予定の被圧延材について、先の被圧延材についてのワークロールシフト位置とはワークロールシフトピッチの分だけ正負異なるワークロールシフト位置ならびに先の被圧延材と同じワークロールシフト位置のうちの一つ以上を仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、前記各評価点について計算により予測し、前記式(7)の評価関数を前記各評価点について計算した結果を前記式(8)のように合計し、該合計した結果を最小にするワークロールシフト位置を、前記次に圧延予定の被圧延材について決定する一連の処理を、前記圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について繰り返すことで、
被圧延材の幅端複数箇所の評価点について、前記式(7)の評価関数を計算し、前記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について合計した下記式(9)が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を得る
ことを特徴とする金属帯の圧延ラインにおけるワークロールシフト圧延方法。
【0026】

【数7】

【0027】
【数8】

【0028】
【数9】

【0029】
3.前記ワークロールシフトピッチに上限を設けることを特徴とする1.または2.に記載のワークロールシフト圧延方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、熱間圧延ライン等の金属帯の圧延ラインにおける仕上圧延機等で被圧延材を圧延するに際し、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を解消できる、ワークロールシフト圧延方法を提供できる。それにより、金属帯の製造におけるスケジュールフリー化を安定的、かつ確実に、実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態について説明するための線図
【図2】本発明の実施形態について説明するための線図
【図3】本発明の実施形態について説明するための線図
【図4】本発明の実施形態について説明するための線図
【図5】本発明の実施形態について説明するための線図
【図6】本発明の実施形態について説明するための線図
【図7】本発明の実施形態について説明するための線図
【図8】本発明の実施形態について説明するための線図
【図9】本発明の実施形態について説明するための線図
【図10】本発明を適用するのに好適な熱間圧延ラインについて説明するための線図
【図11】ワークロールシフト圧延機について説明するための線図
【図12】クロスロールシフト圧延機について説明するための線図
【図13】従来の圧延機について説明するための線図
【図14】従来技術について説明するための線図
【図15】逆クラウンについて説明するための線図
【図16】逆クラウンの原因について説明するための線図
【図17】被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする品質不良について説明するための線図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一つの実施の形態について、以下、説明する。なお、以下の処理は、図10に示した熱間圧延ライン100などの場合を例に挙げれば、プロセスコンピュータ70内での計算による処理にて行うのが好ましい。
本発明では、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、これをさらに全被圧延材について合計し、異なる圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、前記評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、これをさらに全被圧延材について合計する、一連の処理を繰り返し、全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から、合計した結果が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を選び出す。
【0033】
なお、圧延順ワークロールシフト位置の仮定には、例えば乱数表を用いて全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から一つの圧延順ワークロールシフト位置を選び出す方法がある。
評価関数は、ワークロールプロフィル目標値とワークロールプロフィル予測計算値から決まるが、本発明では、図1(a)に示すように、評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算するため、図1(b)に示すように、ワークロールプロフィルをワークロールの胴長方向全体にわたって計算する、従来の特許文献1や特許文献2のような方法に比べ、目標値と予測計算値の誤差が拡大しにくく、しかも、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題の原因となりやすい、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について評価関数を計算し、合計するため、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を、より効果的に防止し得る。
【0034】
加えて、本発明は、圧延サイクル途中の被圧延材までを圧延後に、次の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置を決めようとするものではなく、圧延サイクルの1本目の被圧延材を圧延する前に、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を決定できるため、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を、より効果的に防止し得る面もある。
【0035】
評価点は、例えば、図1(a)中のA(最幅端から25mm)、B(同50mm)、C(同75mm)、D(同100mm)、E(同150mm)、F(同200mm)という具合に、幅端複数箇所(二点でも三点以上でもよい)に仮定し、ワークロールプロフィルは、被圧延材上の駆動側(ドライブサイドDS)と被駆動側(ワークサイドWS)の各A〜F点と接するワークロール箇所のワークロール半径の平均と、ワークロールの胴長中央のワークロール半径と、の差を式(3)のように計算し、上下ワークロールについて合計して求めるが、上記評価点A〜Fの最幅端からの距離についても具体的な数値はあくまで一例であり、本発明では、ここでの例に一義的に限定するものではない。
【0036】
【数3】

【0037】
評価関数は、例えば、図2(a)に示す熱膨張については式(4)のように予測計算し、図2(b)に示す摩耗については式(5)のように予測計算し、両者を合計したワークロールプロフィルについて式(6)のように計算した予測計算値をもとに、式(7)のように計算する。
【0038】
【数4】

【0039】
【数5】

【0040】
【数6】

【0041】
【数7】

【0042】
なお、式(7)中の重み係数cについては、例えば、表1のように、先の被圧延材から次の被圧延材への幅変化に応じて決めるようにしてもよい。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明のワークロールシフト位置決定方法について、その処理フローの一例を、図3に示すが、これについて、以下説明する。
(ステップ1)評価点A,B,C・・・でのワークロールプロフィルの目標値を、各被圧延材について、圧延順に設定する。ワークロールの胴長中央と左右両評価点A,B,C・・・を放物線や楕円などの2次曲線で結ぶように設定するのが好ましい。
【0045】
(ステップ2)先の被圧延材と次の被圧延材に対するワークロールシフト位置の変更量(ワークロールシフトピッチ)に上限を設けたい場合はXPmaxを人為入力する。被圧延材の通板性が不安定になりやすい、例えば仕上げ厚が2.3mm以下の薄物の被圧延材が圧延サイクル内に含まれていない、などの場合は、本ステップは省略してもよい。
(ステップ3)以上ステップ1〜2の条件のもとで、各被圧延材を圧延する際のワークロールプロフィルの目標値に近づくように、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を決定する。
【0046】
上記(ステップ3)では、ワークロールシフトピッチに上限を設けた場合でも、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についての圧延順ワークロールシフト位置の組み合わせの数は膨大であり、これら全ての組み合わせについて、評価関数Jを各評価点について計算して合計し、さらに全被圧延材分合計した中から、評価関数Jの同合計結果が最小となるような全圧延順ワークロールシフト位置を選び出してももちろんよいが、計算の負荷を軽減するため、以下に説明するような方法をとることもできる。
【0047】
(ステップ3−1)それには、まず、初期ワークロールシフト位置で圧延サイクルにて圧延予定の1本目の被圧延材を圧延した場合を仮定して、圧延後のワークロールプロフィル予測計算値(ワークロールの初期半径、熱膨張、摩耗の合計)を、評価点A,B,C,・・・について、計算により予測する。
そして、ワークロールプロフィル目標値とワークロールプロフィル予測計算値から決まる評価関数Jを、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算した結果を合計する。
【0048】
ここで、初期ワークロールシフト位置は、設備仕様範囲内である代表的な位置、例えば、ワークロールシフト位置X=0mmに仮定すればよい。
(ステップ3−2)次に、1本目の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置はX1=0mmとした上で、ワークロールシフトピッチを例えばXP=50mmなどのある一定の定数として定めるなどし、2本目の被圧延材を圧延する際は、ワークロールシフト位置をX2=XPとするか、あるいは、1本目と変えないでX2=0mmに仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、各評価点について計算により予測し、評価関数Jを各評価点について計算した結果を合計する。
【0049】
3本目以降の被圧延材を圧延する際は、ワークロールシフト位置をXk=Xk-1+XPとするか、Xk=Xk-1−XPとするか、あるいは、1本前の被圧延材と変えないでXk=Xk-1に仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、各評価点について計算により予測し、評価関数Jを各評価点について計算した結果を合計する。
ワークロールシフト位置が機械仕様上の終端に達した場合は、次の被圧延材についてのワークロールシフト位置を折り返して、Xk=Xk-1−XPとするか、あるいは、1本前の被圧延材と変えないでXk=Xk-1に仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、各評価点について計算により予測し、評価関数Jを各評価点について計算した結果を合計する。
【0050】
以上総括すると、次に圧延予定の被圧延材について、先の被圧延材についてのワークロールシフト位置とはワークロールシフトピッチの分だけ正負異なるワークロールシフト位置ならびに先の被圧延材と同じワークロールシフト位置のうちの一つ以上を仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、各評価点について計算により予測し、評価関数Jを各評価点について計算した結果を合計し、合計した結果を最小にするワークロールシフト位置を、次に圧延予定の被圧延材について決定する一連の処理を、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について繰り返すことになる。
【0051】
なお、先の被圧延材についてのワークロールシフト位置とはワークロールシフトピッチの分だけ正負異なるワークロールシフト位置と、先の被圧延材と同じワークロールシフト位置とで評価関数が同じ値になった場合は、ワークロールシフト位置を変化させることの方を優先させるとともに、先の被圧延材と等符号のワークロールシフト方向を優先する。熱膨張や摩耗が蓄積するのを防止するためである。
【0052】
上記ステップ2でワークロールシフトピッチに上限XPmaxを設けた場合は、2本目以降の被圧延材を圧延する際は、ワークロールシフトピッチは、先述の例えばXP=50mmなどのある一定の定数と、XPmaxのうちの小さい方とする。
(ステップ3−3)さらに、ステップ3−1で仮定した初期ワークロールシフト位置を変更し、1本目の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置だけをX1=XPとし、2本目の被圧延材を圧延する際以降は、X2=XP+XP、X 3=XP+2XP、X4=XP+3XP、Xk=XP+(k-1)XPという具合にワークロールシフト位置を拡大させていくサイクリックシフト方法で圧延した場合のほか、1本目の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置だけをX1=2XP、X1=3XP、・・・として圧延した場合を次々に仮定して、各被圧延材を圧延後のワークロールプロフィルを、評価点A,B,C,・・・について、計算により予測する。
【0053】
なお、この(ステップ3−3)は、1本目の被圧延材についての初期ワークロールシフト位置を必ずX=0mmとする場合は省略してもよい。
以上においては、ワークロールの熱膨張や摩耗は先述の式(4)(5)などにより予測するが、それには、圧延サイクル内の全被圧延材について、各圧延機での圧延後予定厚みや幅に加え、圧延時間、圧延インターバルなどを、圧延サイクル開始前に予測し、それらをもとにワークロール温度を計算により予測した結果を、式(4)(5)の計算に反映する。圧延荷重なども、圧延サイクル開始前に詳説しないロジックにより予測計算しておき、式(4)(5)の計算に反映する。圧延インターバルの予測は、別途行う、加熱炉10における各被圧延材の目標加熱温度到達時刻の予測計算結果を反映して行う。
【0054】
(ステップ3−4)以上の各ステップにおける計算を行い、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について、式(7)の評価関数Jを計算し、式(8)のように合計し、これをさらに圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について合計した式(9)が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を得て、最適解として出力する。
【0055】
【数8】

【0056】
【数9】

【0057】
そのようにすることで、ワークロールプロフィルが目標値に近づくように、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を決定する。
(ステップ3−5)あるいはさらに、上記最適解として出力された、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材についての、圧延順ワークロールシフト位置における、ワークロールシフトピッチをXPのα倍(0<α<1の場合と1<αの場合と二通りあり。但し、αXP≦XPmax)にしてみた場合に、前記した評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について再度計算した結果が、α倍しなかった場合に比べて小さくなる場合は、ワークロールシフトピッチをXPのα倍した結果を以って、前記した最適解に置き換えてもよい。そうすれば、ワークロールシフトピッチは、必ずしも、ある被圧延材から次の被圧延材へ向けて等ピッチで変化する必要はなくなり、より適切な圧延順ワークロールシフト位置が得られる。
【0058】
仮にもし、ここでの一つの例として、ワークロールシフト設備の仕様としてX=±300mmのワークロールシフト位置をとれるとして、ワークロールシフトピッチXPを50mmとすれば、1本目の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置をX1=2XP、X1=3XP、・・・と変えていくのに要する計算の繰り返し回数は、300mmを50mmで割った各点から開始して、ワークロールシフト位置が大きくなる側に変化していく場合と、小さくなる側に変化していく場合と、の両方を考えても、-300mm側の方向は対象性を考慮すると計算しなくてもよくなることから、最大でも12回になる。
【0059】
しかし、実際は、1本目の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置をX1=2XP、X1=3XP、・・・と変えていくたびに評価関数Jを計算し、途中で評価関数Jが極小化して最初に大きくなる側に変化した場合の一つ前の計算の繰り返し回数を以って評価関数Jが最小になったものと判定しても実用上支障ないため、12回よりも少ない計算の繰り返し回数で済む場合が多い。
【0060】
なお、以上の計算に替えて、例えば非線形計画法などによるなどすれば数回の繰り返し計算により最適解が得られる場合もあるなど、本発明は、評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、合計し、これをさらに圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について合計した結果が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を決定する限りにおいて、以上の計算のしかたに限るものではない。
【実施例】
【0061】
(実施例1)ワークロールベンダーを備えたワークロールシフト圧延機をF1〜F7として備えた仕上圧延機18を有する、図10に示す熱間圧延ライン100にて、図4に示すような圧延順厚み、幅構成の圧延サイクルを対象に、本発明のワークロールシフト位置決定方法を適用し、各被圧延材について、圧延後の被圧延材幅方向の厚みプロフィルがどうなるかを計算によりシミュレーションしてみた。圧延機の設備仕様を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
評価点は、被圧延材の最幅端から25mm(A)、75mm(C)、150mm(E)の3点とし、ワークロールシフトピッチの上限は20mmとした。乱数表を用いて仮定した圧延順ワークロールシフト位置について評価関数を計算する一連の処理を繰り返し、全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から、評価関数が最小となる圧延順ワークロールシフト位置を選び出し、圧延を行った。圧延後の被圧延材の厚みプロフィルの評価は、被圧延材の幅が一本前の被圧延材の幅よりも約300mm広がる66本目の被圧延材について行った。また、従来技術と比較するため、図4と同じ圧延順板厚、幅構成の圧延サイクルにて、従来のサイクリックシフト法によるワークロールシフト位置決定方法もとってみた。
【0064】
本発明の方法によった場合のワークロールシフト位置を図5に示す。F1,F3,F5,F7などの奇数番目圧延機のワークロールシフト位置は図5のようにし、F2,F4,F6などの偶数番目圧延機のワークロールシフト位置は符号が正負逆になるようにする。そのようにすると、シミュレーションでない実際の圧延では、ワークロールに偏摩耗が生じたりした場合でも、後続の圧延機のワークロールにも偏摩耗が転写して被圧延材が蛇行してしまうのを抑制できるからである。
【0065】
従来は、一定のワークロールシフトピッチで、1本被圧延材を圧延するごとにワークロールシフト位置を拡大させていき、機械仕様上の終端300mmに達した16本目の被圧延材を圧延した後に折り返してシフトを続けていくサイクリックシフト方法をとっていたのに対し、本発明の方法をとった場合、圧延サイクル前半の被圧延材幅が1600mm程度と広いため、熱膨張がワークロールの胴長方向に広く生じることから、9本目の被圧延材を圧延した後に折り返すことで、熱膨張を大きくした方が厚みプロフィルを平坦化するのに有利と予測計算されている。19本目の被圧延材を圧延した後に再び折り返しているのは、前の被圧延材までの仕上げ厚が3mm程度と薄かったのに対し、当該被圧延材以降の仕上げ厚が4mm超と厚くなるものが何本か続くため、圧延荷重が低下する分、ワークロールの撓みが減少することと、ワークロールシフト位置を小さくして、熱膨張を大きくした方が厚みプロフィルを平坦化するのに有利なことから、ワークロールシフト位置を小さくする側に折り返すように予測計算されている。
【0066】
図6は66本目の厚みプロフィルであるが、従来のサイクリックシフト法によった場合に約20μmの逆クラウンになっていたところ、本発明の方法によった場合、逆クラウンは生じておらず、良好な厚みプロフィルとなっている。また、66本目以外の被圧延材についても、異常な厚みプロフィルは生じていない。
(実施例2)ワークロールベンダーを備えたクロスロールシフト圧延機をF1〜F6として備えた仕上圧延機18を有する熱間圧延ライン100にて、図7に示すような圧延順厚み、幅構成の圧延サイクルを対象に、本発明のワークロールシフト位置決定方法を適用し、各被圧延材について、圧延後の幅方向の厚みプロフィルがどうなるかを計算によりシミュレーションしてみた。圧延機の設備仕様を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
評価点は、被圧延材の最幅端から50mm(B)、100mm(D)、150mm(E)、200mm(F)の4点とし、ワークロールシフトピッチの上限は20mmとした。乱数表を用いて仮定した圧延順ワークロールシフト位置について評価関数を計算する一連の処理を繰り返し、全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から、評価関数が最小となる圧延順ワークロールシフト位置を選び出し、圧延を行った。圧延後の被圧延材の厚みプロフィルの評価は、被圧延材の幅が一本前の被圧延材の幅よりも約150mm広がる62本目の被圧延材について行った。また、従来技術と比較するため、図7と同じ圧延順厚み、幅構成の圧延サイクルにて、従来のサイクリックシフト法によるワークロールシフト位置決定方法もとってみた。
【0069】
本発明の方法によった場合のワークロールシフト位置を図8に示す。奇数番目圧延機のワークロールシフト位置は図8のようにし、偶数番目圧延機のワークロールシフト位置は符号が正負逆になるようにする点は実施例1と同じである。
従来は、一定のワークロールシフトピッチで、1本被圧延材を圧延するごとにワークロールシフト位置を拡大させていき、機械仕様上の終端180mmに達した10本目の被圧延材を圧延した後に折り返してシフトを続けていくサイクリックシフト方法をとっていたのに対し、本発明の方法をとった場合も、圧延サイクル前半の被圧延材幅が900〜1200mm程度と比較的狭いため、熱膨張をワークロールの胴長方向に広く分散させるため、12本目の被圧延材を圧延した後に折り返すように予測計算されている。
【0070】
21本目の被圧延材を圧延した後に折り返しているのは、前の被圧延材までの仕上げ厚も当該被圧延材以降の仕上げ厚も2mmと薄くて圧延長が長い分、ワークロールの摩耗の進展が速いことから、摩耗をワークロールの胴長方向に広く分散させるため、ワークロールシフト位置が0mmになる前に少しでも速くワークロールシフト位置を大きくした方が、被圧延材の幅端部が過厚になるのを防止するのに有利だからである。64本目の被圧延材を圧延した後に再び折り返しているのも同様の理由による。
【0071】
28本目と62本目の被圧延材を圧延した後に折り返しているのは、圧延サイクルを構成する被圧延材幅に800〜900mm程度の狭いものが多いため、熱膨張がワークロールの胴長方向に狭くしか分布しないことから、28本目と62本目の被圧延材を圧延した後に折り返すことで、熱膨張を大きくした方が厚みプロフィルを平坦化するのに有利と予測計算されていることによる。
【0072】
図9は62本目の厚みプロフィルであるが、従来のサイクリックシフト法によった場合に約10μmの逆クラウンになっていたところ、本発明の方法によった場合、逆クラウンは生じておらず、良好な厚みプロフィルとなっている。また、62本目以外の被圧延材についても、異常な厚みプロフィルは生じていない。
以上の通りである。なお、以上の説明では、本発明を熱間圧延ライン100に適用した場合を例に挙げたが、本発明は、冷間圧延ラインなどの他の金属帯の圧延ラインにも適用しても何ら問題はない。
【0073】
また、本発明は、圧延サイクルの1本目の被圧延材を圧延する前に、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を決定できるものであるが、圧延サイクル途中の被圧延材までを圧延後に、次の被圧延材以降の被圧延材を圧延する際のワークロールシフト位置を決めるのに用いても問題はない。
本発明のワークロールシフト位置決定方法を金属帯の製造に用いれば、被圧延材を圧延するに際し、逆クラウンの問題や、被圧延材の幅端部の厚みが過薄になったり過厚になったりする問題を解消できる。それにより、金属帯の製造におけるスケジュールフリー化を安定的、かつ確実に、実現できる。
【符号の説明】
【0074】
1 スラブ製造
7 ローラテーブル
8 被圧延材
9 幅プレス
10 加熱炉
12 粗圧延機
13 エッジャーロール
14 クロップシャー
15 仕上入側温度計
16 デスケーリング装置
18 仕上圧延機
19 ワークロール
20 バックアップロール
21 仕上出側温度計
22 仕上出側板厚計
23 ランナウトテーブル
24 コイラー
25 コイラー入側温度計
50 制御装置
70 プロセスコンピュータ
90 ビジネスコンピュータ
100 熱間圧延ライン
A 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯の圧延ラインにて、ワークロールシフト圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、
前記ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる下記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、下記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について下記式(9)のように合計し、
異なる圧延順ワークロールシフト位置を仮定して、
前記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算し、前記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について前記式(9)のように合計する一連の処理を繰り返し、
全ての圧延順ワークロールシフト位置の中から、前記式(9)が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を選び出す
ことを特徴とする金属帯の圧延ラインにおけるワークロールシフト圧延方法。

【数7】

【数8】

【数9】

【請求項2】
金属帯の圧延ラインにて、ワークロールシフト圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の1本目の被圧延材について、ワークロールシフト位置を仮定して、圧延後のワークロールプロフィル予測計算値を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算により予測し、
前記ワークロールシフト圧延機のワークロールプロフィル目標値とワークロールプロフィル予測計算値から決まる下記式(7)の評価関数を、被圧延材の幅端複数箇所の評価点について計算した結果を下記式(8)のように合計し、
前記被圧延材の次に圧延予定の被圧延材について、先の被圧延材についてのワークロールシフト位置とはワークロールシフトピッチの分だけ正負異なるワークロールシフト位置ならびに先の被圧延材と同じワークロールシフト位置のうちの一つ以上を仮定して、圧延後のワークロールプロフィルを、前記各評価点について計算により予測し、前記式(7)の評価関数を前記各評価点について計算した結果を前記式(8)のように合計し、該合計した結果を最小にするワークロールシフト位置を、前記次に圧延予定の被圧延材について決定する一連の処理を、前記圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について繰り返すことで、
被圧延材の幅端複数箇所の評価点について、前記式(7)の評価関数を計算し、前記式(8)のように合計し、これをさらに全被圧延材について合計した下記式(9)が、最小となるような圧延順ワークロールシフト位置を得る
ことを特徴とする金属帯の圧延ラインにおけるワークロールシフト圧延方法。

【数7】

【数8】

【数9】

【請求項3】
前記ワークロールシフトピッチに上限を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワークロールシフト圧延方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−228730(P2012−228730A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71044(P2012−71044)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】