説明

金属管曲げ加工装置および方法

【課題】曲げ加工したい金属管10の中空に管内挿入拡径機構50の入り込んでいる部分でもそうでない部分と同様に金属管10を熱処理できるようにする。
【解決手段】金属管10の先端側に管内挿入拡径機構50を内挿し、端側内挿部52〜54の所を旋回アーム40の先端側クランプ48で掴持し、奥側拡縮部55〜59を縮径させた状態でそこの部分の金属管10に誘導子23等で熱処理を施し、その後、奥側拡縮部55〜59を拡径させて首折れ防止の状態を整えたうえで、誘導子23等での熱処理と旋回アーム40の旋回とで金属管10を曲げ加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆるアーム旋回式(アーム回動式)の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法に関し、詳しくは金属製の直管を局部的に誘導加熱しながら曲げ加工する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アーム旋回式の高周波曲げ加工は(例えば特許文献1〜5参照)、鋼管などの金属管に対して環状の局所的な誘導加熱と曲げモーメントとを適用して加熱部を移動形式で順次曲げ加工していく技術である。その曲げモーメントは、旋回アームによる先端側進路規制とプッシャーによる後端側からの推進との協同作用で生じる。
【0003】
そのような金属管曲げ加工装置には熱処理機構と曲げモーメント付加機構とが具わっている。熱処理機構には、曲げ加工される金属管の長手方向短区間を環状に誘導加熱する誘導子と、その加熱部を追随冷却する冷却機構と、誘導子に給電する高周波電源と、冷却機構や誘導子に給水する給水設備などが具わっており、曲げモーメント付加機構には、曲げ加工される金属管の先端側の進路を弧状に規制する旋回アームと、その金属管を後端側から推進するプッシャーなどが具わっている。さらに、金属管に圧縮軸力をかけながら曲げる圧縮曲げ加工では、旋回アームの旋回運動に抵抗する力を発生させるためにブレーキ又は圧縮チェーン等利用の引っ張り機構といった圧縮軸力付加機構も設けられる。
【0004】
金属管は、旋回アームの旋回端部にクランプ固定されて、旋回アームによる進路規制を受けるが、その際、金属管への曲げモーメント適用の反作用として先端側クランプにモーメントが作用する。さらに、圧縮曲げ加工では、金属管への圧縮軸力適用の反作用として、先端側クランプに作用するモーメントが増大する。そのため、良好な曲げ加工を行うためには、上記モーメントによって固定状態が狂わないよう剛直にクランプを行う必要があり、旋回アームの旋回端部やプッシャーの上部等には、金属管の端部を把持する管端クランプが設けられている。
【0005】
この管端クランプには、曲げ加工対象の金属管の中空に挿入され拡径して管内面を保持する形態の謂わば管内挿入拡径形クランプや(例えば特許文献3,5参照)、曲げ加工対象の金属管の外周面に圧接して金属管を掴持する形態の謂わば管外面掴持形クランプ(例えば特許文献1,2,4参照)などで具体化されている。管端クランプのうち先端側クランプは、大抵、旋回アームに対しスライドベッド等を介して相対移動可能に装着され、管端クランプのうち後端側クランプはプッシャーに固定して装着されている。
【0006】
また、金属管曲げ加工方法は、上述したように金属管に圧縮軸力をかける圧縮曲げ加工と金属管に圧縮軸力をかけない単純な押し曲げ加工とに分類される他、曲げ半径と金属管の半径との半径比の大小でも分類され、曲げ加工の最初や最後の相違でも分類される。すなわち、最初から最後まで曲げ半径を一定にする単純曲げと、最初や最後に曲げ半径を漸減や漸増させるグラデーション曲げ(例えば特許文献1,2参照)と、最初や最後は曲げないで熱処理を行う直管部付き曲げ(例えば特許文献3参照)とに分類される。単純曲げでも金属管の両端部には直管部分が残るが、直管部付き曲げでは直管部にも曲管部と同様の熱処理が施されるのに対し、単純曲げでは直管部には熱処理が明確には施されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭56−001165号公報(S53-076158A)
【特許文献2】特公昭62−018245号公報(S56-045220A)
【特許文献3】特公平02−047290号公報(S61-007020A)
【特許文献4】特開2008−264840号公報
【特許文献5】特開2009−050903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、圧縮曲げ加工で半径比を小さくしていくと、先端側クランプに作用するモーメントが増大し、それが過大になると、金属管のうち先端側クランプの端部に強く押された部分が不所望に凹んだり、そこで金属管が不所望に折れ曲がったりする。そして、このような不所望な金属管の謂わば首折れを防止するには、クランプ端が金属管に及ぼす力を分散させるのが良く、そのためには、上述した管外面掴持形クランプと管内挿入拡径形クランプとを併用したうえで、両クランプの金属管の中央寄りの端の位置が重ならないよう両クランプ端を金属管の長手方向にずらした状態でクランプすることが考えられる。
【0009】
この場合、管外面掴持形クランプが旋回アームに装着されていれば、管内挿入拡径形クランプは、旋回アームに装着されていなくても良く、金属管に内挿されて拡径して首折れ防止機能を発揮するだけの謂わば管内挿入拡径機構で足りる。そして、首折れ防止のために管外面掴持形クランプと管内挿入拡径機構の端位置をずらす際には、管外面掴持形クランプ及び管内挿入拡径機構それぞれの両端のうち金属管の中央寄りの端に関して、管内挿入拡径機構の端を管外面掴持形クランプの端より中央に寄せておく方が好ましい。また、そのようにすれば、通常は金属管より大径で金属管を外周側から加熱する誘導子と、金属管の中空に収まっている管内挿入拡径機構との干渉が回避されるので、誘導子を管外面掴持形クランプの中央寄り端の近くまで移動させて金属管を加熱することができる。
【0010】
しかも、上述したグラデーション曲げや直管部付き曲げでは、金属管の両端部に熱処理せずに残る部分を少なくしたいという要請もあって、いきおい、管外面掴持形クランプから金属管中央側へ管内挿入拡径機構の突き出ている金属管部分についても熱処理を施すことが多くなる。
しかしながら、金属管において管内挿入拡径機構が接触しているところと接触していないところでは同一条件で加熱しても昇温状態が異なるため、所望の熱処理結果を得るのが難しい。
そこで、金属管の中空に管内挿入拡径機構の入り込んでいる部分でもそうでない部分と同様に金属管を熱処理しうる金属管曲げ加工装置や金属管曲げ加工方法を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の金属管曲げ加工方法は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、曲げ加工すべき金属管を高周波誘導加熱により環状に局部的に塑性変形可能温度に加熱し、その加熱部を前記金属管の長手方向に相対移動させながら前記加熱部に曲げモーメントを作用させ、その直後に冷却する金属管曲げ加工方法において、前記金属管の先端側を先端側クランプで掴持してその進路を弧状に規制することにより前記曲げモーメントを生じさせるとともに、前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内に収まる端側内挿部とその一端側に連なっておりそれと共に前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内より奥まで達する奥側拡縮部とを具備した管内挿入拡径機構を予め前記金属管の先端側に装着しておき、前記曲げモーメントを作用させながら又は前記曲げモーメントの作用を一時緩和もしくは一時停止させながら前記金属管の先端側のうち前記奥側拡縮部の入り込んでいる部分を熱処理するに際し、その熱処理の前には前記奥側拡縮部を縮径させて前記金属管の内周面から離しておき、その熱処理の後で前記奥側拡縮部を拡径させて前記金属管の内周面に圧接させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の金属管曲げ加工装置は(解決手段1)、上記解決手段1の金属管曲げ加工方法の実施に好適なものであり、曲げ加工される金属管の先端側の外周面を先端側クランプで掴持してその進路を弧状に規制する旋回アームと、前記金属管を後端側から推進するプッシャーと、前記金属管の長手方向短区間を環状に誘導加熱する誘導子と、その加熱部を追随冷却する冷却機構と、前記金属管の先端側に装着される管内挿入拡径機構とを備えて、前記金属管を先端側から後端側へ順に曲げ変形させる金属管曲げ加工装置であって、前記管内挿入拡径機構が、前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内に収まる端側内挿部と、前記端側内挿部の一端側に連なっておりそれと共に前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内より奥まで達し縮径状態では前記金属管の内周面から離れ拡径状態では前記金属管の内周面に圧接する奥側拡縮部と、前記端側内挿部の他端側に連なっていて前記金属管の外に位置し前記奥側拡縮部の拡縮を操作する外側操作部とを具備したものであることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の金属管曲げ加工方法は(解決手段2)、上記解決手段1の金属管曲げ加工方法であって、前記金属管の先端側を前記先端側クランプで掴持するに先だって前記管内挿入拡径機構を前記金属管の先端側に装着するとともに、その装着では、前記奥側拡縮部に加え前記端側内挿部も縮径させた状態で前記管内挿入拡径機構を前記金属管に内挿し、それから前記端側内挿部を拡径させて前記金属管の内周面に圧接させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の金属管曲げ加工装置は(解決手段2)、上記解決手段2の金属管曲げ加工方法の実施に好適なものであり、上記解決手段1の金属管曲げ加工装置であって、前記端側内挿部が、径方向に拡縮可能であり、縮径状態では前記金属管に遊挿可能になり、拡径状態では前記金属管の内周面に圧接するようになっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法にあっては(解決手段1)、従来から多用されている管外面掴持形クランプである先端側クランプが金属管の先端側の把持に用いられるとともに、管内挿入拡径形クランプから案出された管内挿入拡径機構が金属管の先端側に内挿される。そして、管内挿入拡径機構のうち端側内挿部が先端側クランプの掴持部分の管内に収まって先端側クランプの強い掴持力による金属管の不所望な縮径塑性変形を防止する一方、管内挿入拡径機構のうち奥側拡縮部は、先端側クランプの掴持部分の管内より奥まで達していて、拡径状態では先端側クランプによる金属管の首折れを確実に防止する。
【0016】
ところで、その首折れは先端側クランプの曲げモーメントが過大になったときに発生するものであるが、そのモーメントの大小は管径や曲げ半径に影響されるばかりでなく先端側クランプがプッシャー推力や圧縮軸力を梃子のようにして受け止めることにも影響されることから、先端側クランプの曲げモーメントが曲げ始めは比較的小さく曲げ加工が進むに連れて大きくなるので、金属管の先端側の加工時には、金属管の首折れへの対処を必ずしも要しない。また、既述したグラデーション曲げや直管部付き曲げでは、加工目的から直ちに、金属管の先端側の加工時には曲げモーメントが小さくされる。
【0017】
そして、本願発明にあっては、そのようなモーメント発生状況を前提として、金属管の先端側のうち奥側拡縮部の入り込んでいる部分を熱処理するときには、予め管内挿入拡径機構の奥側拡縮部を縮径させて金属管の内周面から離しておくようにしたことにより、奥側拡縮部による金属管の昇温不足を招くことなく、先端側クランプのすぐ近くまで金属管に熱処理を施すことができるうえ、その後の奥側拡縮部の拡径により金属管の首折れ防止機能が維持される。したがって、この発明によれば、金属管の中空に管内挿入拡径機構の入り込んでいる部分でもそうでない部分と同様に金属管を熱処理しうる金属管曲げ加工装置や金属管曲げ加工方法を実現することがことができる。
【0018】
また、本発明の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法にあっては(解決手段2)、奥側拡縮部ばかりか端側内挿部までも径方向拡縮可能にしたことにより、管内挿入拡径機構を金属管に挿入する作業が楽に行えることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1について、金属管曲げ加工装置の構造およびそれを用いた金属管曲げ加工方法を示し、(a)が金属管曲げ加工装置の概要を示す平面図、(b)が熱処理開始時の金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図、(c)が曲げ加工時の金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図である。
【図2】管内挿入拡径機構の構造を示し、(a)が平面図、(b)が断面図、(c)が断面AA矢視図、(d)が断面BB矢視図である。
【図3】金属管への管内挿入拡径機構の挿入直後の状態を示し、(a)が金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図、(b)が断面CC矢視図、(c)が断面DD矢視図、(d)が断面EE矢視図である。
【図4】(a)が熱処理開始時の金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図、(b)が曲げ加工開始時の金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図である。
【図5】いわゆる小R曲げに好適な金属管曲げ加工方法を示し、(a)〜(c)何れも金属管をセットした金属管曲げ加工装置の平面図であり、(a)が熱処理開始時、(b)が曲げ加工開始時、(c)が曲げ加工終了時の状態を示している。
【図6】曲げ加工終了時の金属管の先端側の断面と管内挿入拡径機構の外観を示す平面図である。
【図7】本発明の実施例2について、金属管曲げ加工装置の管内挿入拡径機構の構造を示し、(a)が平面図、(b),(c)が断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
このような本発明の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1〜6に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1〜2)を具現化したものであり、図7に示した実施例2は、上述した解決手段2(出願当初の請求項3〜4)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際して従来と同様の構成要素は簡明化等のため簡略表示し、新たに導入した管内挿入拡径機構を中心に詳述する。
【実施例1】
【0021】
本発明の金属管曲げ加工装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1(a)は、金属管曲げ加工装置20の概要を示す平面図であり、図2は、管内挿入拡径機構50の構造を示し、(a)が外観平面図、(b)が断面図、(c)が断面AA矢視図、(d)が断面BB矢視図である。また、図3は、管内挿入拡径機構50を金属管10の先端側の中空に挿入したときの状態を示し、(a)が金属管10の先端側の断面と管内挿入拡径機構50の外観を示す平面図、(b)が断面CC矢視図、(c)が断面DD矢視図、(d)が断面EE矢視図である。
【0022】
この金属管曲げ加工装置20は(図1(a)参照)、金属管10の曲げ加工を行うために、ガイドローラ21,22と熱処理機構23〜27と曲げモーメント付加機構30+40と管内挿入拡径機構50とを具えている。熱処理機構23〜27は、環状の誘導子23及び冷却機構24と移動機構25と高周波電源26と給水設備27とを具えており、曲げモーメント付加機構30+40はプッシャー30と旋回アーム40とを具えている。
旋回アーム40は、曲げ加工される金属管10の先端側の進路を弧状に規制できれば、例えばL形やI形のアームと一組のスライドベッド等からなるものでも良く、二組のフレームやレールを上下に配して剛性を高めたものでも良い。これには、曲げ加工される金属管10の先端側の外周面を掴持する先端側クランプ48が、装着されている。
【0023】
また、この旋回アーム40は、鉛直に設けられた支軸41と、それに基端部を支持された水平なアーム基端部42と、支軸41をY方向に移動させる移動機構43と、アーム旋回時に支軸41を軸回転させる回転機構44と、アーム基端部42の先端側に設けられ移動機構45によって初期姿勢ではY方向に移動しうるアーム旋回端部46と、アーム旋回端部46に装着された先端側クランプ48を初期姿勢ではX方向に移動させる移動機構47とを具えていて、金属管10の曲げ変形に必要な曲げモーメントを金属管10に付加させるとともに、初期姿勢で先端側クランプ48が金属管10の先端側を掴持できるところに位置させることができ、ひいては金属管10の曲げ半径や金属管10の先端側の直管部の長さを任意に設定できるようになっている。なお、圧縮曲げ加工も行う場合、回転機構44にブレーキを付加しても良く、アーム先端側をチェーン等で牽引しても良い。
【0024】
プッシャー30は、旋回アーム40に向けて進行したり後退するための移動機構31と、曲げ加工される金属管10の後端側を把持する後端側クランプ32とを具えている。移動機構31は、後端側から先端側へ金属管10を推し進めることができれば、シリンダ駆動の可動台や、チェーン牽引式の走行台でも良い。
プッシャー30と旋回アーム40との間にはガイドローラ21,22と誘導子23と冷却機構24とが配置されており、ガイドローラ21,22が金属管10を両脇から挟むことで金属管10と誘導子23との不所望な位置ずれが防止されるようになっている。
【0025】
誘導子23は、曲げ加工される金属管10の外径より一回り大きい誘導コイルであり、金属管10を中空に遊挿させた状態で高周波電源26から給電されると金属管10の長手方向短区間を環状に誘導加熱するようになっている。
冷却機構24は、誘導子23に添えて若しくは組み付けて隣接された環状の散水チューブ等からなり又は誘導子23を兼ねた管体からなり、金属管10を遊挿させた状態で給水設備27から給水されると金属管10の環状加熱部を追随冷却するようになっている。
移動機構25は、誘導子23と冷却機構24とを一緒にX方向移動させるものであり、グラデーション曲げや直管部付き曲げで金属管10の先端側の直管部を熱処理するときなどに作動するようになっている。
【0026】
管内挿入拡径機構50は、首折れ防止のために金属管10の先端側に内挿されるものであり、金属管10に内挿されて先端側クランプ48の掴持部分の管内に収まる端側内挿部52〜54と、この端側内挿部52〜54の一端側に連なっておりそれと共に金属管10に内挿されて先端側クランプ48の掴持部分の管内より奥まで達し縮径状態では金属管10の内周面から離れ拡径状態では金属管10の内周面に圧接する奥側拡縮部55〜59と、端側内挿部52〜54の他端側に連なっていて金属管10の外に位置し奥側拡縮部55〜59の拡縮を操作する外側操作部51とを具備している。
【0027】
外側操作部51は、手動操作用の丸形ハンドルを図示したが、奥側拡縮部55〜59のネジ付シャフト59を軸回転させることができれば、電動式の操作部材を採用しても良く、空圧や油圧で駆動する操作部材を採用しても良い。なお、この管内挿入拡径機構50では、外側操作部51の操作時に、奥側拡縮部55〜59のネジ付シャフト59の突出端部である六角面取り部52の軸回転をスパナ等で止めておくことで、簡便に、端側内挿部52〜54や奥側拡縮部55〜59の空回りを防止することができるようになっている。
【0028】
端側内挿部52〜54は、奥側拡縮部55〜59から延びて外側操作部51に至るネジ付シャフト59を中空に軸回転可能に挿通させた支持筒53と、支持筒53の外周に放射状配置された複数の内張板54とを具えている。内張板54は、その外接円が金属管10の内周より少しだけ小さくて、自由状態の金属管10の先端側には容易に抜き差しできるが、金属管10の先端側が先端側クランプ48の掴持にて強く締め付けられて縮径したときには、金属管10の内周面に当接して縮径に抗うことにより、金属管10の先端側の潰れを防止又は緩和するようになっている。内張板54の長さは、先端側クランプ48と同じか短くて足りるが、支持筒53の一端部は、内張板54の端より突き出ていて、六角面取り部52になっているが、この部分は空回りを防止できれば他の形状でも良い。
【0029】
奥側拡縮部55〜59は、支持筒53の他端部を延長した又は支持筒53の他端部に連結固定された延長筒55と、例えば長い板状体からなり一端側が支軸にて支持され他端側が揺動可能になっている複数の拡径片56と、それらの拡径片56を外周側から束ねて中心側へ付勢するリテーナ57と、円錐台状に形成されていて小径の頂部を延長筒55の方に向けたテーパ部材58と、延長筒55の軸心中空とテーパ部材58の軸心中空とを貫くネジ付シャフト59とを具えている。
【0030】
複数の拡径片56は、延長筒55とテーパ部材58の外周に放射状配置されて、何れも、一端側が支軸を介して延長筒55の外周面に装着され、他端側の摺動面がテーパ部材58の傾斜外周面へリテーナ57の付勢力で押しつけられている。また、ネジ付シャフト59のうちテーパ部材58への内挿部分には雄ネジが形成されており、これがテーパ部材58の中空に形成された雌ネジと螺合しているので、ネジ付シャフト59を軸回転させると、テーパ部材58が軸方向に進退し、それに伴って拡径片56がテーパ部材58の傾斜外周面を摺動することによって複数の拡径片56が拡縮するものとなっている。
【0031】
この実施例1の金属管曲げ加工装置20を使用して行う金属管曲げ加工方法について、その具体的な態様及び動作を、図面を引用して説明する。
ここでは直管部付き曲げを行うものとする。すなわち、最初の工程では金属管10の先端側を曲げないで熱処理だけ行い、その後の工程で熱処理しながら曲げるものとする。
【0032】
図1は、(a)が金属管曲げ加工装置20への金属管10のセット状態を示す平面図、(b)が熱処理開始時における金属管10の先端側及び先端側クランプ48等の断面と管内挿入拡径機構50の外観を示す平面図、(c)が曲げ加工時における金属管10の先端側及び先端側クランプ48等の断面と管内挿入拡径機構50の外観の平面図である。なお、図1(b),(c)では管内挿入拡径機構50に散点を付して外観を示している。
【0033】
また、図3は、金属管10の先端側に管内挿入拡径機構50を挿入した直後の状態を示し、(a)が金属管10の先端側の断面と管内挿入拡径機構50の外観を示す平面図、(b)が断面CC矢視図、(c)が断面DD矢視図、(d)が断面EE矢視図である。
さらに、図4は、(a)が熱処理開始時における金属管10の先端側及び先端側クランプ48等の断面と管内挿入拡径機構50の外観を示す平面図、(b)が曲げ加工開始時における金属管10の先端側及び先端側クランプ48等の断面と管内挿入拡径機構50の外観を示す平面図である。
【0034】
曲げ加工に先立って金属管10を金属管曲げ加工装置20にセットするが、先ず通常の段取り通り、金属管10をクレーン等で吊り上げて、金属管10の後端側をプッシャー30の後端側クランプ32に把持させるとともに金属管10の先端側を旋回アーム40の先端側クランプ48に軽く握持させて仮保持する(図1(a)参照)。誘導子23と冷却機構24に金属管10を遊挿させることも、従来の管外面掴持形クランプ使用時と同様にして行うが、従来と異なり、金属管10の先端側に管内挿入拡径機構50を内挿する作業も行う(図3参照)。これは、奥側拡縮部55〜59を縮径させた状態で容易に行えるものであり(図3(b)参照)、金属管10を先端側クランプ48で仮保持する前に行ってもその後で行っても良いが、先端側クランプ48の本来の掴持より先に済ませておく。
【0035】
それから先端側クランプ48の掴持力を十分に強化する(図4(a)参照)。そうすると、金属管10の先端側が強く締め付けられて、そこの径が縮むが、そこの中空部分には端側内挿部52〜54が収まっていて、その放射状配置の内張板54によって金属管10の内周壁が径方向外向きに支えられるため、金属管10の先端側が過剰に縮径して塑性変形した潰れたりといった不都合な事態は回避される。こうして、金属管10の先端側が旋回アーム40に確実にクランプされる。しかも、この時点では、奥側拡縮部55〜59の拡径片56が金属管10の内周面から離れているので(図3(b)参照)、両者間の熱伝達は、悪く、断熱状態に近い。
【0036】
直管部付き曲げの初期姿勢では(図1(a)参照)、金属管10の先端側11が直管部として設定された長さだけ旋回アーム40の支軸41よりX方向へ誘導子23が予め移動しており、その先に先端側クランプ48が位置しているが、先端側クランプ48を移動機構47にてX方向に移動させることで誘導子23と先端側クランプ48との離隔距離が縮められる。そして、誘導子23が、金属管10の先端側のうち奥側拡縮部55〜59の入り込んでいる管部分のところに位置し、金属管10の外周面における長手方向の短区間を一周に亘って定距離対向状態で取り巻く(図4(a)参照)。
【0037】
そして、準備が済んだら、金属管曲げ加工装置20を自動モードで動作させて、金属管10に対する直管部付き曲げ加工を開始させる。そうすると、誘導子23に高周波電源26から高周波通電が行われて、その高周波誘導加熱により金属管10が環状に局部的に塑性変形可能温度に加熱されるとともに、冷却機構24に給水設備27から給水がなされて、金属管10の環状加熱部のX方向隣接部が冷却される。また、そのような熱処理を続行しながら、先ず直管部形成のための曲げない加工すなわち直管加熱が行われ(図4,図1(b)参照)、それから曲管部形成のための曲げ加工が行われる(図1(c)参照)。
【0038】
詳述すると、直管部形成時には、旋回アーム40とプッシャー30が金属管10に適宜な圧縮軸力をかけながら停止状態を維持するとともに、奥側拡縮部55〜59が縮径した状態を維持したまま(図4(a)参照)、誘導子23がX方向移動にて先端側クランプ48から離れガイドローラ21,22に寄っていく(図1(b)参照)。そして、誘導子23がX方向すなわち曲がる前の金属管10の長手方向において奥側拡縮部55〜59から外れたら、外側操作部51を操作して奥側拡縮部55〜59を拡径させ、これで奥側拡縮部55〜59の拡径片56を金属管10の内周面に圧接させる(図4(b)参照)。なお、この拡径操作は、拡径片56の金属管10への圧接部分より奥へ誘導子23が移動したら、金属管10の環状加熱部と拡径片56との伝熱が抑制されるので、誘導子23が奥側拡縮部55〜59から完全に外れる前であっても、不都合なく行える。
【0039】
こうして金属管10の先端側の直管部に対して所望の熱処理が施される。そして、誘導子23がX方向において旋回アーム40の支軸41の位置(ベンディングポイント)まで来ると、そこで誘導子23が移動を停止すると同時に、プッシャー30が前進を開始して、曲管部形成のための曲げ加工が始まる。プッシャー30が所定速度で前進すると、金属管10がそれに押されて軸方向に移動し、それに随伴して旋回アーム40が旋回するため、金属管10の先端側が先端側クランプ48で弧状に案内されて、金属管10に曲げモーメントがかかるので、金属管10が加熱部で塑性変形して金属管10が曲がることとなる(図1(c)参照)。
【0040】
この曲げ加工が進むに連れて、旋回アーム40の旋回角が大きくなり、それに伴い、金属管10の先端側や管内挿入拡径機構50の向きが変わってその長手方向がX方向・横向きから徐々にY方向・縦向きになるとともに、金属管10の先端側や管内挿入拡径機構50から金属管10のうちの未加工部分への垂線距離も漸増する。そうすると、先端側クランプ48にかかるモーメントも大きくなり、先端側クランプ48の端が金属管10を押し曲げようとする力も大きくなるが、そこの管内には奥側拡縮部55〜59が収まっていて拡径片56が金属管10の内周面を支えているため、金属管10が凹んだり折れ曲がったりすることはない。こうして、金属管10が適切に曲げ加工される。
【0041】
この実施例1の金属管曲げ加工装置20を使用して行う金属管曲げ加工方法について、もう一つ別の態様を、図面を引用して説明する。
【0042】
図2は、(a)が管内挿入拡径機構50の外観平面図、(b)がその断面図である。図5は、(a)〜(c)何れも金属管10をセットした金属管曲げ加工装置20の平面図であり、(a)がセット直後や熱処理開始時の状態、(b)が曲げ加工開始時の状態、(c)が曲げ加工終了直前や終了時の状態を示している。
また、図6は、金属管10の先端側の断面と管内挿入拡径機構50の外観の平面図であり、曲げ加工終了直前や終了時における状態を示している。
【0043】
曲げ半径Rと管直径Dとの比が小さい所謂小R曲げでは、圧縮曲げ加工であればもちろんのこと単純な押し曲げ加工であっても増肉率が大きくなり易く、その場合、金属管10のうち増肉していない部分や加熱処理されていない部分では、先端側クランプ48の近傍ばかりでなく先端側クランプ48から比較的離れている箇所でも、首折れが発生しやすいが、この態様の金属管曲げ加工方法は、そのような場合にも有用である。
ここでも直管部付き曲げを行うことにするが、直管加熱の前に予熱を行うとともに、直管加熱と本曲げとの間にグラデーション曲げ(G曲げ)も行うものとする。
【0044】
先の態様では説明を割愛したが、拡径片56には、外側面のうちリテーナ57の係合する辺りの中間部から、テーパ部材58寄りの端面である奥側端面56bまで、テーパ加工が施されて、奥側外面テーパ56aになっている(図2参照)。圧縮加熱処理や曲げ加工によって金属管10に増肉が生じ、その増肉部では金属管10の内径が縮むため、その増肉部の内周面の形状に適合するよう、奥側外面テーパ56aが形成されている。また、拡径片56は、奥側端面56bがベンディングポイントBP(X方向における旋回アーム40の支軸41の位置)の近傍に来るほど、延びている。
【0045】
この態様の場合、奥側外面テーパ56aの両端のうちリテーナ57に寄った端の辺りから誘導子23での誘導加熱による金属管10への予熱が開始され(図5(a)参照)、それから誘導子23を移動させてベンディングポイントBPへ近づけながら直管加熱が行われ、誘導子23がベンディングポイントBPに十分近づいたところで誘導子23を移動させつつプッシャー30の前進ひいては旋回アーム40の旋回も開始して徐々に速度を上げることでグラデーション曲げ(G曲げ)が行われ、誘導子23がベンディングポイントBPに到達したら誘導子23をそこに停止させるとともにプッシャー30の前進ひいては旋回アーム40の旋回を定速にして本曲げに移行する(図5(b)参照)。
【0046】
そして、要求仕様の曲げ角度が例えば90゜であれば、実際の曲げ角度が90゜になった時点で、プッシャー30の前進も誘導子23の通電も止まって、曲げ加工が終了する(図5(c)参照)。
この終了の直前が金属管10に首折れが最も発生しやすいのであるが、それまでの処理によって、金属管10の先端部には(図6参照)、先端側クランプ48で掴持された部分から管長手方向の中央へ順に非加熱部と予熱部と直線加熱部とG曲げ部と本曲げ部とが形成される。
【0047】
それらのうち非加熱部は熱硬化も増肉も無くて首折れしやすい部分であり、予熱部は熱硬化によって少し強くなり、直線加熱部とG曲げ部と本曲げ部は熱硬化と増肉とで強くなっている。この増肉部に対し、拡径操作後の拡径片56は、奥側外面テーパ56aが金属管10の内周面にフィットして金属管10の径方向の位置ずれを阻止する。もとより、増肉してない非加熱部や予熱部に対しても、拡径操作後の拡径片56は、金属管10の内周面にフィットして金属管10の径方向の位置ずれを阻止する。
こうして、金属管10が、先端側クランプ48から外れた非加熱部ばかりか、そこに首折れ要因のモーメントを伝達する増肉部まで、管内挿入拡径機構50によって径方向の位置ずれを阻止されるので、金属管10の首折れが確実に防止される。
【0048】
なお、拡径片56の拡径操作は、拡径片56の金属管10への圧接部分より奥へ誘導子23が移動した後であって、首折れ発生前であれば、何時行っても良いところ、首折れについては、曲げ開始から曲げ角度60゜付近までは金属管10を首折れさせる程のモーメントが発生せず、曲げ角度が増加して60゜を超えるとプッシャー30の推力の方向が首折れに大きく作用する方向になり、曲げ角度が90゜に近づくほど首折れが発生しやすくなるので、拡径片56の拡径操作は、本曲げに入ってからでも十分に間に合う。
【実施例2】
【0049】
本発明の金属管曲げ加工装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図7は、管内挿入拡径機構60の構造を示し、(a)が外観の平面図、(b)が断面図、(c)が内張板54を拡径させたところの断面図である。
この金属管曲げ加工装置が上述した実施例1のものと相違するのは、管内挿入拡径機構50が一部改造されて管内挿入拡径機構60になった点であり、管内挿入拡径機構60が管内挿入拡径機構50と相違するのは、奥側拡縮部55〜59に加えて端側内挿部52〜54の内張板54も径方向へ拡縮しうるようになった点である。
【0050】
管内挿入拡径機構60の端側内挿部52〜54では、管内挿入拡径機構50では支持筒53の外周面に固定されていた内張板54が、支持筒53から切り離されて可動部材になっており、内張板54の一端部が支軸61を介して支持筒53に装着され、内張板54の他端部の内周側が切り欠かれ、そこに形成された雌ネジにボルト62の雄ネジ部分がねじ込まれている。そして、ボルト62を軸回転させて内張板54の雌ネジに入るように進ませると、内張板54が縮径し、その縮径状態では金属管10の先端側に対して容易に遊挿しうるものとなる(図7(a),(b)参照)。逆に向きにボルト62を軸回転させて内張板54の雌ネジから出るように進ませると、内張板54が拡径し、その拡径状態では金属管10の先端側の内周面に内張板54が圧接する(図7(c)参照)。
【0051】
この場合も、上述した管内挿入拡径機構50のときと同様、金属管10の先端側を先端側クランプ48で強く掴持するに先だって管内挿入拡径機構60を金属管10の先端側に装着するが、この場合は、その装着に際して、奥側拡縮部55〜59に加えて拡縮可能になった端側内挿部52〜54も縮径させた状態で管内挿入拡径機構60を金属管10の先端側に内挿し、それからボルト62を操作して端側内挿部52〜54を拡径させて金属管10の内周面に内張板54を圧接させることも行う。
【0052】
その後は、管内挿入拡径機構50や金属管曲げ加工装置20について上述したのと同様にして金属管10を曲げ加工することができるが、この場合、管内挿入拡径機構60が奥側拡縮部55〜59に加えて端側内挿部52〜54も径方向に拡縮できるようになっているため、端側内挿部52〜54を縮径させた状態で管内挿入拡径機構60を金属管10に挿入すれば、その作業を楽に行うことができる。また、挿入後に端側内挿部52〜54を拡径させることで、端側内挿部52〜54ひいては管内挿入拡径機構60が金属管10に対して固定されるとともに、先端側クランプ48の締め付け力による金属管10の縮径が早い段階から抑制されるので、金属管10の先端側の不所望な塑性変形が確実に防止されることとなる。
【0053】
[その他]
なお、上記実施例では、直管部付き曲げを具体例にしたので、加工作業の最初の段階では、曲げモーメントの作用を一時停止させて熱処理だけを行ったが、グラデーション曲げでは曲げモーメントの作用を一時緩和させて曲げながら熱処理を行い、単純曲げでは十分な曲げモーメントを作用させながら熱処理を行うと良い。
また、上記実施例では、奥側拡縮部55〜59の拡径片56や端側内挿部52〜54の内張板54が一端部を支点にして他端部を揺動させる態様で拡縮するようになっていたが、機構の複雑化を厭わなければ、例えば両端部を径方向に移動させることで、拡径片56や内張板54が全体的に拡縮するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法は、上述した直管部付き曲げやそれに似た手順で行われるグラデーション曲げに好適なものであるが、それに適用が限定される訳でなく、単純曲げにも適用することができる。直管部付き曲げであっても直管加熱部と本曲げ部との間に多少のグラデーション曲げが介在しても良く、グラデーション曲げであってもグラデーション曲げ部の端側に多少の直管加熱部や予熱部があっても良く、通常の単純曲げであっても本曲げ部の端側に多少のグラデーション曲げや直管加熱部があっても良く、何れの場合でも本発明を適用することができる。
【0055】
また、本発明の金属管曲げ加工装置および金属管曲げ加工方法は、圧縮曲げ加工に適用して顕著な効果を奏するが、それに適用が限定される訳でなく、単純な押し曲げ加工にも適用することができる。単純な押し曲げ加工であっても、例えば、1.5DR(曲げ半径Rと管直径Dとの比が1.5)以下の小曲げでは減肉率が13%未満で外径/肉厚が30以上の場合などに首折れが発生しやすくなるが、本願発明はそのような場合にも適用可能であり有効である。
さらに、本発明の管内挿入拡径機構は、金属管の先端側だけでなく、金属管の先端側と後端側の双方に内挿しても良い。
【符号の説明】
【0056】
10…金属管、
20…金属管曲げ加工装置、
21,22…ガイドローラ、23…誘導子、24…冷却機構、
25…移動機構、26…高周波電源、27…給水設備、
30…プッシャー、31…移動機構、32…後端側クランプ、
40…旋回アーム、41…支軸、42…アーム基端部、
43…移動機構、44…回転機構、45…移動機構、
46…アーム旋回端部、47…移動機構、48…先端側クランプ、
50…管内挿入拡径機構(首折れ防止機構)、
51…外側操作部、52〜54…端側内挿部、
52…六角面取り部、53…支持筒、54…内張板、
55〜59…奥側拡縮部、55…延長筒、56…拡径片、
57…リテーナ、58…テーパ部材、59…ネジ付シャフト、
60…管内挿入拡径機構(首折れ防止機構)、
61…支軸、62…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工すべき金属管を高周波誘導加熱により環状に局部的に塑性変形可能温度に加熱し、その加熱部を前記金属管の長手方向に相対移動させながら前記加熱部に曲げモーメントを作用させ、その直後に冷却する金属管曲げ加工方法において、前記金属管の先端側を先端側クランプで掴持してその進路を弧状に規制することにより前記曲げモーメントを生じさせるとともに、前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内に収まる端側内挿部とその一端側に連なっておりそれと共に前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内より奥まで達する奥側拡縮部とを具備した管内挿入拡径機構を予め前記金属管の先端側に装着しておき、前記曲げモーメントを作用させながら又は前記曲げモーメントの作用を一時緩和もしくは一時停止させながら前記金属管の先端側のうち前記奥側拡縮部の入り込んでいる部分を熱処理するに際し、その熱処理の前には前記奥側拡縮部を縮径させて前記金属管の内周面から離しておき、その熱処理の後で前記奥側拡縮部を拡径させて前記金属管の内周面に圧接させることを特徴とする金属管曲げ加工方法。
【請求項2】
曲げ加工される金属管の先端側の外周面を先端側クランプで掴持してその進路を弧状に規制する旋回アームと、前記金属管を後端側から推進するプッシャーと、前記金属管の長手方向短区間を環状に誘導加熱する誘導子と、その加熱部を追随冷却する冷却機構と、前記金属管の先端側に装着される管内挿入拡径機構とを備えて、前記金属管を先端側から後端側へ順に曲げ変形させる金属管曲げ加工装置であって、前記管内挿入拡径機構が、前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内に収まる端側内挿部と、前記端側内挿部の一端側に連なっておりそれと共に前記金属管に内挿されて前記先端側クランプの掴持部分の管内より奥まで達し縮径状態では前記金属管の内周面から離れ拡径状態では前記金属管の内周面に圧接する奥側拡縮部と、前記端側内挿部の他端側に連なっていて前記金属管の外に位置し前記奥側拡縮部の拡縮を操作する外側操作部とを具備したものであることを特徴とする金属管曲げ加工装置。
【請求項3】
前記金属管の先端側を前記先端側クランプで掴持するに先だって前記管内挿入拡径機構を前記金属管の先端側に装着するとともに、その装着では、前記奥側拡縮部に加え前記端側内挿部も縮径させた状態で前記管内挿入拡径機構を前記金属管に内挿し、それから前記端側内挿部を拡径させて前記金属管の内周面に圧接させる、ことを特徴とする請求項1記載の金属管曲げ加工方法。
【請求項4】
前記端側内挿部が、径方向に拡縮可能であり、縮径状態では前記金属管に遊挿可能になり、拡径状態では前記金属管の内周面に圧接するようになっている、ことを特徴とする請求項2記載の金属管曲げ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−125907(P2011−125907A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287404(P2009−287404)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】