説明

金属薄板ストリップを熱処理する装置

金属薄板ストリップ(6)を熱処理する装置であって、少なくとも1つのラジアントチューブユニット(1)が設けられており、該ラジアントチューブユニット(1)が、金属薄板ストリップ(6)に対して平行な共通の1つの平面内に位置する3つの管、すなわち、バーナに接続可能な1つの中心管(2)と、両端部において湾曲管(4)を介して中心管(2)に結合された2つの外側管(3)とを有しており、さらに、支持体(8)が、中心管(2)と、両外側管(3)との間で両湾曲管(4)に結合された支承ピン(9)のために、ラジアントチューブユニット(1)の、バーナとは反対に位置する側に設けられており、支承ピン(9)が、軸方向に移動可能に支持体(8)のピン収容部(10)内に係合している形式の金属薄板ストリップ(6)を熱処理する装置に関する。支持体(8)のピン収容部(10)と、支承ピン(9)との間において、滑り層(15)を形成する挿入部材(16)が支承ピン(9)の支持領域に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板ストリップを熱処理する装置であって、少なくとも1つのラジアントチューブユニットが設けられており、該ラジアントチューブユニットが、金属薄板ストリップに対して平行な、共通の1つの平面内に位置する3つの管、すなわち、バーナに接続可能な1つの中心管と、両端部において湾曲管を介して中心管に結合された2つの外側管とを有しており、さらに、支持体が、中心管と、両外側管との間で両湾曲管に結合された支承ピンのために、ラジアントチューブユニットの、バーナとは反対に位置する側に設けられており、支承ピンが、軸方向に移動可能に支持体のピン収容部内に係合している形式の金属薄板ストリップを熱処理する装置に関する。
【0002】
従来技術
金属薄板ストリップ(金属帯)を熱処理するためには、バーナによって加熱可能なラジアントチューブ(放射管)ユニットを設けることが知られている(ドイツ連邦共和国特許出願公開第202008009065号明細書)。ラジアントチューブユニットは、バーナに接続された1つの中心管から出発し、該中心管に対して平行に共通の1つの軸方向平面内に位置している2つの外側管を有しているので、端部側で湾曲管を介して中心管に結合された外側管によって、バーナの、中心管内に流入する高温の排ガスのそれぞれの1つの部分流を循環させることができる。処理されるべき金属薄板ストリップは、ラジアントチューブユニットの管の共通の軸方向平面に対して平行に、管軸線に対して直交する横方向に延びる送り方向に搬送されて、ラジアントチューブユニットの管から放射される熱放射によって加熱される。ラジアントチューブの高い温度のために、ラジアントチューブユニットの支承部は、少なくとも管の熱膨張が軸方向で考慮されるように形成されなければならない。このためには、中心管は、バーナと、外側管との間で、旋回軸受け内で軸方向に位置固定される一方で、ラジアントチューブユニットの、反対の側に位置する端部には、一般には中空の支承ピンが、支持体内に軸方向で移動可能に支持されている。この場合、支承ピンは、中心管の端部を外側管の端部に結合させる両方の湾曲管に固着するように溶接されている。たとえば750℃〜900℃である高い処理温度に基づいて、耐熱性の鋼の強度も損なわれる。このことは、支持体内における支承ピンの固着(Festbacken)の虞をもたらす。支持体内における軸方向のピン運動の阻止と同時に、さらにラジアントチューブの変形および結果として装置の停止を引き起こす損傷が生じる。
【0003】
発明の開示
本発明の根底を成す課題は、金属薄板ストリップを熱処理する、冒頭で述べた形式の装置を改良して、熱膨張に基づくラジアントチューブの損傷を十分に排除することができるようにすることである。
【0004】
この課題を解決するための本発明による構成では、支持体のピン収容部と、支承ピンとの間において、滑り層を形成する挿入部材が、支承ピンの支持領域に設けられているようにした。
【0005】
支承ピンと、支持体に設けられたピン収容部の間に、滑り層を備えた挿入部材を設けることによって、ピン収容部内における支承ピンの固着を簡単な形式で予防することができるので、高温時にも、支持体内における支承ピンの滑り可能な収容を保証することができる。前提となるのは、十分な耐熱性を備えた滑り層であり、このような耐熱性は、有利にはたとえばセラミックス製の材料から成る滑り層のために与えられている。支承ピンの収容領域において、ピン収容部とピンとの間に、滑り層を形成する挿入部材を設けることによって、単純な構成条件が得られる。なぜならば、有利には相応に成形された金属薄板部分である挿入部材が、別個の構成部材として簡単に滑り層をコーティングされ得るからである。さらに、滑り層は、ラジアントチューブユニットによる比較的に高い重量負荷に基づいて、著しい摩耗にさらされるので、滑り層を形成する交換可能な挿入部材は、滑り層を新しくすることができる場合に、特別な利点をもたらす。この場合、挿入部材が取り外され、新たにコーティングされるか、または新しい挿入部材に交換されることしか必要でとならない。
【0006】
図面に本発明の実施形態を例示的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】金属薄板ストリップを熱処理する本発明による装置を、ラジアントチューブユニットの領域を部分的に示す簡略化された側面図である。
【図2】ラジアントチューブユニットの支承ピンの領域を部分的に、支承ピンのための支持体の簡略化された断面を示す拡大図である。
【図3】図2に示したIII−III線の断面図である。
【0008】
発明を実施するための形態
図示された金属薄板ストリップを熱処理する装置は、図1によれば、少なくとも1つのラジアントチューブ(放射管)ユニット1を有している。ラジアントチューブユニット1は、1つの中心管2と、該中心管2と共に共通の1つの軸方向平面内に位置する平行な2つの外側管3を有している。外側管3は、中心管2に、それぞれ端部側の湾曲管4を介して流体接続されている。したがって、中心管2の延長部5に接続されたバーナから当該中心管2内に流入する高温の排ガスは、両方の外側管3を介して部分的に循環される。管2,3から放射される放射熱によって、一点破線で示された金属薄板ストリップ6が加熱される。この金属薄板ストリップ6は、管2,3の共通の軸方向平面に対して平行に、しかも管軸線に対して直交する横方向に延びる送り方向7でガイドされる。
【0009】
ラジアントチューブユニット1は、管2,3の両側で支承されるので、側方の両支持体への重量の十分に均一な分配が得られる。中心管2の延長部5を収容する支持体(見易くするために図示せず)がラジアントチューブユニット1を軸方向で位置固定しているのに対して、上記支持体とは反対の側に位置する支持体8は、ラジアントチューブユニット1を軸方向で移動可能に支持している。このためには、ラジアントチューブユニット1は、中心管2の、延長部5とは反対の側に位置する端部に、一般的に管形の支承ピン9を支持している。この支承ピン9は、軸方向に移動可能にスリーブ形のピン収容部10内に支持されている。特に図2から判るように、このスリーブ形のピン収容部10は、ラジアントチューブユニット1を収容する炉枠体の壁12に取り付けられた支持プレート11に配置されていて、炉壁12の断熱部13を通って炉室内に突入している。ピン収容部10内部の熱を遮断する栓14によって、支持体8も相応する断熱部を備えている。
【0010】
支承ピン9自体が、熱負荷が高い場合に、ピン収容部10内で滑り可能に支持され得るためには、図2および図3によれば、スリーブ状のピン収容部10は、滑り層15を形成する挿入部材16を備えている。該挿入部材16には支承ピン9が載置されるので、支承ピン9の、支持体8に対する滑り性が滑り層15により確保される。この挿入部材16は、固定された差込みピン17によりスリーブ形のピン収容部10内に保持され、したがって、この挿入部材16により形成された滑り層15の摩耗により交換が必要な場合に、簡単に交換することができる。
【0011】
挿入部材16の滑り層15は、相応して耐熱性に形成されていなければならない。セラミックス製の材料から成る滑り層15は、この条件を有利な形式で満たしている。したがって、ラジアントチューブ1の管2,3の熱膨張を補償するために必要とされる、支承ピン9と支持体8との間の軸方向の相対運動が、ラジアントチューブユニット1の重量と、熱状態とによって高い負荷が発生した場合にも保証されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板ストリップ(6)を熱処理する装置であって、少なくとも1つのラジアントチューブユニット(1)が設けられており、該ラジアントチューブユニット(1)が、金属薄板ストリップ(6)に対して平行な共通の1つの平面内に位置する3つの管、すなわち、バーナに接続可能な1つの中心管(2)と、両端部において湾曲管(4)を介して中心管(2)に結合された2つの外側管(3)とを有しており、さらに、中心管(2)と、両外側管(3)との間で両湾曲管(4)に結合された支承ピン(9)のために、ラジアントチューブユニット(1)の、バーナとは反対に位置する側に支持体(8)が設けられており、支承ピン(9)が、軸方向に移動可能に支持体(8)のピン収容部(10)内に係合している形式の金属薄板ストリップ(6)を熱処理する装置において、
支持体(8)のピン収容部(10)と、支承ピン(9)との間において、滑り層(15)を形成する挿入部材(16)が、支承ピン(9)の支持領域に設けられていることを特徴とする、金属薄板ストリップを熱処理する装置。
【請求項2】
滑り層(15)を形成する挿入部材(16)が、支持体(8)のピン収容部(10)内に交換可能に保持されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
滑り層(15)が、セラミックス製の材料から製造されている、請求項1または2記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−507525(P2013−507525A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533430(P2012−533430)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000340
【国際公開番号】WO2011/044599
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512144461)エープナー インドゥストリーオーフェンバウ ゲー・エム・ベー・ハー (2)
【氏名又は名称原語表記】EBNER Industrieofenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Ebner−Platz 1, A−4060 Leonding, Austria
【Fターム(参考)】