説明

金種判定装置

【課題】多金種に対応した金種判定装置を提供する。
【解決手段】紙幣の画像を読み取る紙幣読取部(紙幣読取手段)1と、紙幣読取部1により読取られた画像データをデジタル信号に変換するA/D変換部2と、A/D変換部2によりデジタル信号に変換された画像データを記憶するバッファメモリ(記憶手段)3と、画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定部(寸法判定手段)4と、紙幣の金種を判定する複数の金種判定部(金種判定手段)A〜Xと、寸法判定部4により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定部A〜Xを用いるのかを決定する制御部(制御手段)5と、制御部5が決定した金種判定部を選択する選択部(選択手段)6と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金種判定装置に関し、さらに詳しくは、多種類の紙幣の金種を判定する処理速度を速める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ニューラルネット処理(以下、NN処理と呼ぶ)による金種判定が多く行われている。しかし、今までは15金種の判別が限界であった。1カ国の通貨であれば15金種を超えないので、各国ごとにNN処理手段を作製すれば対応可能である。しかし、グローバル化で外国紙幣を自国紙幣に換金する場面が増えており、金銭処理装置の多通貨対応が求められている。
一方、金銭処理装置メーカとしても一つの装置で多通貨を処理できれば、開発コストを抑えることができる。しかし、NN処理手段では15金種の判別が限界であるため、多金種対応が実現できなかった。例えば、特許文献1に開示されている従来技術は、NN処理手段ではなく、紙幣から読取った画像データと予め保存しておいた画像データを照合するタイプの金種判定手段を用いたものであるから、保存しておく画像データを増やすことで多金種に対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−251106公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、多金種に対応しようとすると参照データが多くなるため、照合に多くの時間を要し実用的ではない。また、画像データによる判別結果と、紙幣寸法による判別結果が共に一致した場合のみ判別結果を正しいとして、他のときは不良と判別するものであるから、正確性を増すことはできるものの、紙幣寸法による判別手段を併用したことが多金種対応には何等寄与しないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、紙幣の寸法情報から予め設定した寸法グループを判定して、判定された寸法グループの金種判定部に画像データを供給してNN処理を行なうことにより、多金種に対応した金種判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、紙幣の金種を判定する金種判定装置であって、前記紙幣の画像を読み取る紙幣読取手段と、該紙幣読取手段により読取られた画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定手段と、画像データから紙幣の金種を判定する複数の金種判定手段と、前記寸法判定手段により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定手段を用いるのかを決定する制御手段と、該制御手段が決定した金種判定手段を選択する選択手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、前記寸法情報に基づいて選択された前記金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする。
即ち、紙幣の外形寸法から大雑把な金種を判別し、その寸法毎に備えた金種判定手段を選択して、選択された金種判定手段にのみに紙幣の画像データを供給して金種判別処理を行う。これにより、多金種の金種判別を迅速に行うことができる。
請求項2は、取り扱う金種に対応した数だけ各金種ごとに前記金種判定手段を有することを特徴とする。
これにより、1つの金種判定手段は一種類の金種のみを判別するだけでよいから、金種判定手段を学習する際に、これに要する時間を大幅に短縮することが出来る。また、紙幣の改廃に際して、改廃の対象となった金種の金種判定手段のみについて再学習を行い、改廃の対象とならなかった金種については金種判定手段を再学習させる必要が無いというメリットもある。
【0006】
請求項3は、前記金種判定手段として、類似した外形寸法を有する複数の金種を判別するものを含むことを特徴とする。
取り扱う金種の数が多くなると、それだけ金種判定手段の学習に要する時間が長くなり、最悪の場合には収束しなくなる虞がある。そこで本発明では、紙幣の外形寸法をグループ分けして、夫々のグループごとに金種判定手段を備えて金種判別を行なう。これにより、一つの金種判定手段が判別する金種の数を抑えることが出来るので、判別の精度を維持したまま、多金種への対応が可能となる。
請求項4は、前記制御手段は、前記寸法判定手段により判定された紙幣の寸法が複数の異なる金種の寸法と同じ若しくは類似する場合、該複数の金種に対応する前記金種判定手段を同時に選択することを特徴とする。
各国に流通する紙幣は、例えば日本やEU圏のように金種によって寸法が夫々異なる場合もあれば、アメリカのように15種類すべて同じ寸法である場合もある。自国のみならず各国の紙幣を取り扱う装置に於いては、紙幣の寸法が非常に近似する可能性も出てくる。また、紙幣が水濡れと乾燥を繰り返すと多少寸法が異なってくるので、所定の誤差範囲を設ける必要がある。
そこで本発明では、寸法判定手段により判定された紙幣の寸法が複数の異なる金種の寸法と同じ若しくは類似する場合、複数の金種に対応する金種判定手段を同時に選択することで、漏れのない確実な金種判定が可能となる。
また、アメリカのように同じ寸法の15金種を一つの金種判定手段で判別しようとすると、金種判定手段の学習に時間を要すると共に、場合によっては学習が収束しない事態も生ずる。そこで例えば、アメリカの紙幣については二つの金種判定手段を用意し、一方を低額金種、他方を高額金種に振り分けて判別することで、一つの金種判定手段が判別すべき金種の数を抑えることが出来るので、学習に要する時間が短縮され、収束し易くなる。
【0007】
請求項5は、紙幣の金種を判定する金種判定装置であって、前記紙幣の画像を読み取る紙幣読取手段と、該紙幣読取手段により読取られた画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定手段と、画像データから紙幣の金種を判定する複数の金種判定手段と、前記寸法判定手段により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定手段を用いるのかを決定する制御手段と、該制御手段が決定した金種判定手段を選択する選択手段と、各国又は地域に対応した金種ごとの外形寸法を記憶した寸法テーブルと、を備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、前記寸法情報に基づいて前記寸法テーブルを参照して国又は地域に対応する金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする。
各国には複数の金種の紙幣が流通している。また、アメリカを除いて金種ごとに紙幣の外形寸法が異なるのが一般的である。そこで本発明では、外形寸法から大まかに国を選択して、選択された国の金種処理を実行する。これにより、対象とする国又は地域の数が多い場合に、予め国又は地域を絞って金種判定を行うことができる。
請求項6は、前記制御手段は、紙幣を発行している国又は地域を指定する国指定手段を備え、該国指定手段により特定の国又は地域が指定された場合は、指定された国又は地域に対応する金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする。
紙幣の寸法からその紙幣を発行している国又は地域を特定することができるが、予め国又は地域が特定できれば、マニュアルにより指定しても構わない。そこで本発明では、紙幣を発行している国又は地域を指定する国指定手段を備え、国指定手段により特定の国又は地域が指定された場合は、記憶手段に記憶された画像データを読み出し、指定した国又は地域に対応する金種判定手段に画像データを供給する。これにより、予め国又は地域を絞って金種判定を行うことができる。
【0008】
請求項7は、前記制御手段は、各国又は地域に対応した金種ごとの外形寸法を記憶した寸法テーブルを備えていることを特徴とする。
寸法テーブルには、国又は地域名と、それに対応する金種と、各金種の寸法がテーブルとして記憶されている。これにより、画像データから判定された寸法情報から金種及び国又は地域名を容易に判定することができる。また、寸法テーブルを更新することにより、新たな金種の判定を行うことができる。
請求項8は、前記金種判定手段は、ニューラルネットにより処理するように構成されていることを特徴とする。
これにより、公知のニューラルネット技術を有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紙幣の外形寸法から大雑把な金種を判別し、その寸法毎に備えた金種判定手段を選択して、選択された金種判定手段にのみに紙幣の画像データを供給して金種判別処理を行う。これにより、多金種の金種判別を迅速に行うことができる。
また、1つの金種判定手段は一種類の金種のみを判別するだけでよいから、金種判定手段を学習する際に、これに要する時間を大幅に短縮することが出来る。また、紙幣の改廃に際して、改廃の対象となった金種の金種判定手段のみについて再学習を行い、改廃の対象とならなかった金種については金種判定手段を再学習させる必要が無いというメリットもある。
また、紙幣の外形寸法をグループ分けして、夫々のグループごとに金種判定手段を備えて金種判別を行なうので、一つの金種判定手段が判別する金種の数を抑えることが出来るので、判別の精度を維持したまま、多金種への対応が可能となる。
【0010】
また、寸法判定手段により判定された紙幣の寸法が複数の異なる金種の寸法と同じ若しくは類似する場合、複数の金種に対応する金種判定手段を同時に選択することで、漏れのない確実な金種判定が可能となる。
また、外形寸法から大まかに国を選択して、選択された国の金種処理を実行するので、対象とする国又は地域の数が多い場合に、予め国又は地域を絞って金種判定を行うことができる。
また、紙幣を発行している国又は地域を指定する国指定手段を備え、国指定手段により特定の国又は地域が指定された場合は、記憶手段に記憶された画像データを読み出し、指定した国又は地域に対応する金種判定手段に画像データを供給するので、予め国又は地域を絞って金種判定を行うことができる。
また、寸法から国又は地域名及び金種を判定することができるので、画像データから判定された寸法情報から金種及び国又は地域名を容易に判定することができる。また、寸法テーブルを更新することにより、新たな金種の判定を行うことができる。
また、公知のニューラルネット技術を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る金種判定装置の機能を示すブロック図である。
【図2】図1の金種判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る金種判定装置の機能を示すブロック図である。
【図4】図3の金種判定装置の第1の動作態様を説明するフローチャートである。
【図5】図3の金種判定装置の第2の動作態様を説明するフローチャートである。
【図6】図3の金種判定装置の第3の動作態様を説明するフローチャートである。
【図7】図3の金種判定装置の第4の動作態様を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0013】
図1は本発明の第1の実施形態に係る金種判定装置の機能を示すブロック図である。この金種判定装置100は、紙幣の金種を判定する金種判定装置であって、紙幣の画像を読み取る紙幣読取部(紙幣読取手段)1と、紙幣読取部1により読取られた画像データをデジタル信号に変換するA/D変換部2と、A/D変換部2によりデジタル信号に変換された画像データを記憶するバッファメモリ(記憶手段)3と、画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定部(寸法判定手段)4と、紙幣の金種を判定する複数の金種判定部(金種判定手段)A〜Xと、寸法判定部4により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定部A〜Xを用いるのかを決定する制御部(制御手段)5と、制御部5が決定した金種判定部を選択する選択部(選択手段)6と、を備えて構成されている。尚、制御部5には、各国又は地域に対応した金種ごとの外形寸法を記憶した寸法テーブル7を備えている。そして、制御部6は、バッファメモリ3に記憶された画像データを読み出し、寸法情報に基づいて選択された金種判定部に画像データを供給する。
ここでは、紙幣の金種を判定する方法としてNN処理を用いている。しかし、NN処理は紙幣の種類により判定する金種数に限界が出てくる。そこで本実施形態では、まず、紙幣の外形寸法から大雑把な金種を判別し、その寸法毎に備えた金種判定部A〜Xを選択して、選択された金種判定部にのみに紙幣の画像データを供給して金種判別処理を行う。これにより、多金種の金種判別を迅速に行うことができる。
また、寸法テーブル7を更新することにより、新たな金種の判定を行うことができる。
【0014】
図2は図1の金種判定装置の動作を説明するフローチャートである。先ず、紙幣読取部1により紙幣を読み込む(S1)。そのとき、紙幣の表裏の画像データが同時に読取られる。その画像データはリアルタイムにA/D部2によりデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は一時的にバッファメモリ3に記憶される(S2)。寸法判定部4はその画像データから縦横の寸法を計測して寸法情報として制御部5に出力する(S3)。制御部5では寸法テーブル7を参照して寸法情報と一致する寸法が規定内であるか否かをチエックする(S4)。規定内でなければ(S4でNO)エラー処理して(S15)紙幣を返却する(S16)。ステップS4で規定内の寸法であれば(S4でYES)、更に、判定した寸法の金種が複数であるか否かを判定する(S5)。その結果、一種類であれば(S5でNO)決定した金種判定部を選択部6により選択する(S7)。ステップS5で判定した寸法の金種が複数である場合は(S5でYES)、複数の金種判定部を選択部6により選択する(S6)。そしてバッファメモリ3から記憶した画像データを読み出して(S8)、選択された金種判定部に供給し(S9)、その画像データに基づいて金種判定処理を実行する(S10)。金種判定処理が終了すると、読み込まれた紙幣の金種判定結果がOKであるか否かが判定され(S11)、OKであれば(S11でYES)判定した紙幣の金種を出力する(S12)。ステップS11でOKでなければ(S11でNO)、エラー処理して(S13)その旨を報知して紙幣を返却する(S14)。
【0015】
図3は本発明の第2の実施形態に係る金種判定装置の機能を示すブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。図3が図1と異なる点は、寸法判定部4により判定された寸法情報に基づいて紙幣を発行している国又は地域を選択する制御部9と、国又は地域ごとに紙幣の金種判定部をセレクトする選択部10〜12と、を備え、制御部9は、バッファメモリ3に記憶された画像データを読み出し、寸法情報に基づいて選択された国又は地域に対応する金種判定部に画像データを供給する点である。
制御部9は、紙幣を発行している国又は地域を指定する国指定部8を備え、国指定部8により特定の国又は地域が指定された場合は、指定された国又は地域に対応する金種判定部に画像データを供給する。
このとき、予め国又は地域を管理者が設定しても良いし、利用者が紙幣を挿入する前にボタン操作などでマニュアルにより指定しても構わない。これにより、精度の高い金種判別が実現できる。
例えば、この金種判定を日本円とユーロとの両替機に用いる場合、国指定部8に予め日本円とユーロを指定しておく。その結果、日本円選択部10とユーロ選択部12がイネーブルとなり、米ドル選択部11はディスイネーブルとなる。そして、紙幣が挿入されたとき、寸法判定部4での寸法値がαであったとする。寸法値αが日本円の寸法Aにも属し、ユーロの寸法aにも属すると仮定する(寸法テーブル7のデータ)。このとき制御部9は日本円選択部10に対して寸法Aの金種判定部をセレクトするように、ユーロ選択部12に対して寸法aの金種判定部をセレクトするように信号線15を出力する。そして、バッファメモリ3から信号線13を介して画像データが上記の2つの金種判定部に供給されて金種判定が行なわれる。
【0016】
図4は図3の金種判定装置の第1の動作態様を説明するフローチャートである。例えば、寸法から1つの国を特定して、その国の金種を判定し、判定された金種を他の国の金種に両替する両替機などに適用できる。
先ず、紙幣読取部1により紙幣を読み込む(S20)。そのとき、紙幣の表裏の画像データが同時に読取られる。その画像データはリアルタイムにA/D部2によりデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は一時的にバッファメモリ3に記憶される(S21)。寸法判定部4はその画像データから縦横の寸法を計測して寸法情報として制御部9に出力する(S23、S30、S32)。予め設定された国が日本であれば、日本円選択部10を選択し(S24)、国がアメリカであれば、米ドル選択部11を選択し(S31)、国がヨーロッパであれば、ユーロ選択部12を選択する(S33)。そして、制御部9は選択された国の金種選択部より寸法情報に基づいて金種判定部をセレクトする。何れかの国の金種処理を実行するために、バッファメモリ3から記憶した画像データを読み出して(S25)、選択された金種判定部に供給し、その画像データに基づいて金種判定を実行する(S26)。金種判定が終了すると(S27でYES)、読み込まれた紙幣の判定結果がOKであるか否かが判定され(S28)、OKであれば(S28でYES)判定した紙幣の金種を出力する(S29)。ステップS28でOKでなければ(S28でNO)、エラー処理して(S36)その旨を報知して紙幣を返却する(S37)。
【0017】
図5は図3の金種判定装置の第2の動作態様を説明するフローチャートである。例えば、複数の国の金種が混在して投入され、投入された紙幣の寸法からそれぞれの国の金種を判定し、判定された金種を、選択された国のレートに従って両替する両替機に適用できる。例えば、円とユーロの紙幣を米ドルに両替する場合、まず投入された紙幣の寸法から、紙幣の発行国が日本とヨーロッパであることを特定して、その発行国の金種をそれぞれ判定する。その後、両替する国がアメリカであると選択されると、それぞれの金種から現在のレートに従って米ドルに両替処理を行う。
【0018】
次にフローチャートの説明を行なうが、図4と同じ動作については図4と同じ符号を付し、図4と異なる動作について主に説明する。図4のステップS22にて寸法判定部4はその画像データから縦横の寸法を計測して寸法情報として制御部9に出力する(S22)。寸法情報から発行国が日本であれば(S60でYES)、日本円選択部10を選択し(S61)、発行国がアメリカであれば(S62でYES)、米ドル選択部11を選択し(S63)、発行国がヨーロッパであれば(S64でYES)、ユーロ選択部12を選択する(S65)。そして、どこかの国が選択されたか否かをチェックして(S66)、選択されなければ(S66でNO)、エラー処理して(S34)その旨を報知して紙幣を返却する(S35)。選択されれば(S46でYES)、図4のステップS25に進む。
【0019】
図6は図3の金種判定装置の第3の動作態様を説明するフローチャートである。このフローチャートでは、国指定部8からマニュアルにより1つの国を特定して、その国の金種を判定し、判定された金種を他の国の金種に両替する両替機に適用できる。
先ず、紙幣読取部1により紙幣を読み込む(S40)。そのとき、紙幣の表裏の画像データが同時に読取られる。その画像データはリアルタイムにA/D部2によりデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は一時的にバッファメモリ3に記憶される(S41)。操作者は予め国指定部8により国を指定する(S42)。制御部9では国指定部8により指定された国を判定する(S43、S51、S54)。国が日本であれば、日本円選択部10を選択して(S44)、寸法データに基づいて金種判定部を選択し(S45)、国がアメリカであれば、米ドル選択部11を選択して(S52)、寸法データに基づいて金種判定部を選択し(S53)、国がヨーロッパであれば、ユーロ選択部12を選択して(S55)、寸法データに基づいて金種判定部を選択する(S56)。そして、何れかの国の金種判定処理を実行するために、バッファメモリ3から記憶した画像データを読み出して(S46)、選択された金種判定部に供給し、その画像データに基づいて金種判定処理を実行する(S47)。金種判定処理が終了すると(S48でYES)、読み込まれた紙幣の判定結果がOKであるか否かが判定され(S49)、OKであれば(S49でYES)判定した紙幣の金種を出力する(S50)。ステップS49でOKでなければ(S49でNO)、エラー処理して(S59)その旨を報知して紙幣を返却する(S60)。
【0020】
図7は図3の金種判定装置の第4動作態様を説明するフローチャートである。このフローチャートでは、複数の国の金種が混在して投入され、指定した国情報からそれぞれの国の金種を判定し、判定された金種を、選択された国のレートに従って両替する両替機に適用できる。例えば、円とユーロの紙幣を米ドルに両替する場合、指定した国情報から、紙幣の発行国が日本とヨーロッパであることを特定して、その発行国の金種をそれぞれ判定する。その後、両替する国がアメリカであると選択されると、それぞれの金種から現在のレートに従って米ドルに両替処理を行う。
【0021】
次にフローチャートの説明を行なうが、図6と同じ動作については図6と同じ符号を付し、図6と異なる動作について主に説明する。図6のステップS42にて操作者は予め国指定部8により国を指定する(S42)。国情報から発行国が日本であれば(S70でYES)、日本円選択部10を選択して(S71)、寸法データに基づいて金種判定部を選択し(S72)、発行国がアメリカであれば(S73でYES)、米ドル選択部11を選択し(S74)、寸法データに基づいて金種判定部を選択し(S75)、発行国がヨーロッパであれば(S76でYES)、ユーロ選択部12を選択して(S77)寸法データに基づいて金種判定部を選択する(S78)。そして、どこかの国が選択されたか否かをチェックして(S79)、選択されなければ(S79でNO)、エラー処理して(S57)その旨を報知して紙幣を返却する(S58)。選択されれば(S79でYES)、図6のステップS46に進む。
【符号の説明】
【0022】
1 紙幣読取部、2 A/D変換部、3 バッファメモリ、4 寸法判定部、5、9 制御部、6 選択部、7 寸法テーブル、8 国指定部、10 日本円選択部、11 米ドル選択部、12 ユーロ選択部、100、110 金種判定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の金種を判定する金種判定装置であって、
前記紙幣の画像を読み取る紙幣読取手段と、該紙幣読取手段により読取られた画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定手段と、画像データから紙幣の金種を判定する複数の金種判定手段と、前記寸法判定手段により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定手段を用いるのかを決定する制御手段と、該制御手段が決定した金種判定手段を選択する選択手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、前記寸法情報に基づいて選択された前記金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする金種判定装置。
【請求項2】
取り扱う金種に対応した数だけ各金種ごとに前記金種判定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の金種判定装置。
【請求項3】
前記金種判定手段として、類似した外形寸法を有する複数の金種を判別するものを含むことを特徴とする請求項1に記載の金種判定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記寸法判定手段により判定された紙幣の寸法が複数の異なる金種の寸法と同じ若しくは類似する場合、該複数の金種に対応する前記金種判定手段を同時に選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の金種判定装置。
【請求項5】
紙幣の金種を判定する金種判定装置であって、
前記紙幣の画像を読み取る紙幣読取手段と、該紙幣読取手段により読取られた画像データを記憶する記憶手段と、前記画像データから当該紙幣の外形寸法を判定する寸法判定手段と、画像データから紙幣の金種を判定する複数の金種判定手段と、前記寸法判定手段により判定された寸法情報に基づいて何れの金種判定手段を用いるのかを決定する制御手段と、該制御手段が決定した金種判定手段を選択する選択手段と、各国又は地域に対応した金種ごとの外形寸法を記憶した寸法テーブルと、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、前記寸法情報に基づいて前記寸法テーブルを参照して国又は地域に対応する金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする金種判定装置。
【請求項6】
前記制御手段は、紙幣を発行している国又は地域を指定する国指定手段を備え、該国指定手段により特定の国又は地域が指定された場合は、指定された国又は地域に対応する金種判定手段に該画像データを供給することを特徴とする請求項5に記載の金種判定装置。
【請求項7】
前記制御手段は、各国又は地域に対応した金種ごとの外形寸法を記憶した寸法テーブルを備えていることを特徴とする請求項5又は6に記載の金種判定装置。
【請求項8】
前記金種判定手段は、ニューラルネットにより処理するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の金種判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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