説明

金箔パッケージ

【課題】一般の人々は金箔の取り扱いには慣れていないので、多くの場合、小箱から金箔付きフィルムを一枚取り出そうとしたとたん、フィルムに付着していた金箔が崩壊し始めてしまう。この金箔付きフィルムの収納、取り出し、貼り付けが可能なパッケージを提供する。
【解決手段】第1蓋主片3・第2蓋主片4・第1蓋副片5・第2蓋副片6をすべて展開状態にして長方形の容器空間の上面をフルオープン状態とする。そして容器空間内の金箔付きフィルム積層体の上の和紙を取り除き、第1蓋副片4のみを折りたたみ状態にする。すると、第1蓋副片5の弱粘着パッド52が一番上の金箔付きフィルム7にくっつく。ここで第1蓋副片5の摘み部51を手指でつかみ、静かに第1蓋副片5を展開状態に変位させる。これで一枚の金箔付きフィルム7が第1蓋副片5に支えられて平坦状態を保ちながら容器空間から取り出されてくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金箔付きフィルムを多数積層して小箱に収納した金箔パッケージに関し、とくに、小箱から金箔付きフィルムを取り出して対象物に金箔を貼りつける作業がやりやすくなるように工夫した金箔パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の金箔パッケージは、一般の人々がさまざまな目的で金箔を利用できるように企画された製品である。インテリアやテーブルウエアを装飾する目的で金箔を物品に貼りつけたり、美容や健康の目的で金箔を皮膚に貼りつけることが行われる。
【0003】
金箔付きフィルムは、プラスチックフィルムの片面に0.1〜0.3μmほどの金箔を付着させたものである。多数の金箔付きフィルムを間にセパレータシート(和紙)を挟み込んで積層し、小箱に収納している。金箔を利用する際には、金箔付きフィルムを小箱から取り出し、フィルムの金箔面を物品や皮膚などに当接し、金箔を対象物の表面に貼りつけてフィルムだけを取り除く。
【特許文献1】特開昭63−225699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般の人々は金箔の取り扱いには慣れていないので、小箱から金箔付きフィルムを一枚取り出そうとしたとたん、フィルムに付着していた金箔を崩壊させてしまうことがある。金箔をフィルムに付着させているのは、金箔の取り扱い性を向上させるためであるが、それでも注意深く静かに作業しないと、金箔を無傷のまま完全な形で対象物表面まで持っていくことは難しい。専門の職人であれば、金箔の振る舞い方を熟知しているので、フィルム無しで和紙の間に挟まれている単独の金箔であっても、これを傷つけずにうまく取り扱えるが、一般の人にとってはフィルムに付着した金箔を取り扱うのにも細心の注意を要する。このことを改善して、金箔の取り扱い性を向上させないと、この種の金箔パッケージの利用促進は望めない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る金箔パッケージは、基本的に、つぎの事項(1)〜(8)により特定される構成を備えたものである。
(1)フィルム収容手段と、フィルム取出手段と、蓋手段を備えた容器に多数の金箔付きフィルムを積層収納した金箔パッケージであること
(2)フィルム収容手段は、平坦な底板部と、底板部の上面側に配設された枠部を備えること
(3)枠部は、金箔付きフィルムの外形形状より少し大きな寸法であること
(4)金箔付きフィルムは、プラスチックフィルムの片面に金箔が付着しており、フィルム収容手段の枠部内に金箔面を下にして多数積層されて収容されること
(5)フィルム取出手段は、フィルム収容手段に接続されたピックアップ可動片と、弱粘着パッドを備えること
(6)ピックアップ可動片は、枠部内に収容された金箔付きフィルム積層体上に伏して重なる折りたたみ状態と、当該積層体から離れて立ち上がる展開状態とに変位可能であること
(7)弱粘着パッドは、折りたたみ状態のピックアップ可動片が金箔付きフィルムの中央部分に接する位置に配設され、金箔付きフィルムのプラスチックフィルム面に軽度に粘着可能であること
(8)蓋手段は、折りたたみ状態のピックアップ可動片とともに、枠部内に収容された金箔付きフィルム積層体を覆い隠すことが可能であること
【発明の効果】
【0006】
この発明に係る金箔パッケージにおいては、折りたたみ状態のピックアップ可動片の弱粘着パッドが金箔付きフィルム積層体の一番上のフィルムに軽度に粘着する。その状態でピックアップ可動片を静かに展開状態に変位させると、金箔付きフィルムにまったく手指を触れることなく、一枚の金箔付きフィルムをフィルム収納手段から取り出すことができる。つぎにピックアップ可動片にくっついた状態の金箔付きフィルムを指先でつかみ取り、その金箔面を対象物の表面に当接させ、金箔を対象物に貼りつけることができる。なお、パッケージ全体を対象物に近づければ、フィルムに指を触れずに金箔を対象物に貼りつけることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===全体の概要===
図1〜図5は、この発明の一実施例による金箔パッケージを示している。図1は蓋手段を完全に閉じた状態を示し、図2は蓋手段の一部を開放した状態を示し、図3は蓋手段を完全に開放した状態を示し、図4は金箔付きフィルムを取り出す最初の段階を示し、図5は一枚の金箔付きフィルムを取り出した段階を示す。
【0008】
各図に示すように、フィルム収容手段を構成する底板部1と枠部2は長方形である。底板部1の一方の短辺には第1蓋主片3が接続している。底板部1の他方の短辺には第2蓋主片4が接続している。枠部2の右側の長辺には第1蓋副片5が接続している。枠部2の左側の長辺には第2蓋副片6が接続している。これらのパッケージ構造体は、適度な柔軟性と保形性を兼ね備えた紙材料により折り紙細工により形成されている。
【0009】
底板部1と枠部2により形成された長方形のトレイ状の空間(これを容器空間とする)に、長方形の金箔付きフィルム7が多数積層されて収納されている。明快に図示することが困難なので作図上の表現を省略しているが、金箔付きフィルム7は、プラスチックフィルムの片面に金箔を付着させたものである。金箔付きフィルム7は、金箔面を下にして容器空間に収納される。各金箔付きフィルム7の間にはセパレータシートとしての和紙が挟み込まれている。容器空間内の金箔付きフィルム7の積層体の一番下にも和紙が配置されている。
【0010】
===蓋手段の構成===
容器空間の左側長辺に接続された第2蓋副片6は、図2に示すように容器空間内の金箔付きフィルム積層体の上に伏して重なる折りたたみ状態と、図3に示すように当該積層体から離れて立ち上がる展開状態とに変位可能である。
【0011】
同様に、容器空間の左側長辺に接続された第1蓋副片5は、図4に示すように容器空間内の金箔付きフィルム積層体の上に伏して重なる折りたたみ状態と、図3や図5に示すように当該積層体から離れて立ち上がる展開状態とに変位可能である。
【0012】
第1蓋副片5は、前述した「ピックアップ可動片」に相当するものである。第1蓋副片5の先端辺の中央部分には摘み部51が形成されている。図4に示す折りたたみ状態の第1蓋副片5が金箔付きフィルム7の中央部分に接する位置に、小さな円形の弱粘着パッド52が配設されている。
【0013】
第2蓋副片6は、前述した「剥離紙付き可動片」に相当するものである。蓋手段を閉じておく非使用状態では、図2に示すように、先に第2蓋副片6を折りたたみ状態にし、その上に重なるように第1蓋副片5を折りたたみ状態とする。この場合、第1蓋副片5の弱粘着パッド52が第2蓋副片6に当接するわけだが、この状態で弱粘着パッド52が第2蓋副片6にくっついて剥がれにくくならないように、第2蓋副片6のこの位置に剥離紙61が配設されている。
【0014】
蓋手段を閉じておく非使用状態では、図2のように、まず第2蓋副片6を閉じ、つぎに第1蓋副片5を閉じ、つぎに第2蓋主片4を閉じ、最後に第1蓋主片3を閉じ、第1蓋主片3の先端の舌片31を第2蓋主片4のスリット41に差し込む。このようにして底板部1と枠部2で構成された容器空間が4枚の蓋片で四重に覆い隠され、容器空間内の金箔付きフィルム積層体を安定に収納して保全する。
【0015】
===使用方法===
使用に際しては、まず図3に示すように、第1蓋主片3・第2蓋主片4・第1蓋副片5・第2蓋副片6をすべて展開状態にして長方形の容器空間の上面をフルオープン状態とする。そして容器空間内の金箔付きフィルム積層体の上の和紙を取り除き、図4に示すように、第1蓋副片4のみを折りたたみ状態にする。すると、第1蓋副片5の弱粘着パッド52が一番上の金箔付きフィルム7にくっつく。ここで第1蓋副片5の摘み部51を手指でつかみ、静かに第1蓋副片5を展開状態に変位させる。これで図5に示すように、一枚の金箔付きフィルム7が第1蓋副片5に支えられて平坦状態を保ちながら容器空間から取り出されてくる。
【0016】
このように、取り出される金箔付きフィルム7に手指は触れないし、金箔付きフィルム7の金箔面と反対側に第1蓋副片5をあてがって平坦状態に支えているので、最初に説明したように金箔があっという間に崩壊してしまうという現象を生じにくくなる。
【0017】
この後は、図5の状態の金箔パッケージ全体をたとえば頬に近づけ、第1蓋副片5にくっついている金箔付きフィルム7の金箔面を皮膚に当接し、第1蓋副片5の側から軽く押さえつけると、ほとんど無傷の状態で金箔が皮膚に貼りつき、第1蓋副片にフィルムだけをくっつけたまま取り去ることができる。
【0018】
また、図5の状態の金箔パッケージにおいて、第1蓋副片5にくっついている金箔付きフィルム7の金箔のない部分を指先でつまんで第1蓋副片5から引き離す方法でも、金箔付きフィルム7がすでに容器空間から完全に脱却しているので、静かにやれば、金箔を崩壊させずにすむ。
【0019】
===他の実施形態===
(a)折り紙細工パッケージは、実施例の構造以外にもさまざまに実施可能である。
(b)折り紙細工パッケージに代えて、コンパクト容器のようなプラスチック製のパッケージを用いることができる。
(c)プラスチック製パッケージを用いる場合には、四角形以外の容器空間を形成することが容易なので、たとえば容器空間を円形とし、円形に裁断した金箔付きフィルムを積層収納することができる。
(d)容器空間の形態によっては、ピックアップ可動片は蓋手段の一部とはいえない形態を採ることもある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例による金箔パッケージの状態1(蓋手段を完全に閉じた状態)の斜視図である。
【図2】同じく状態2(蓋手段の一部を開放した状態)の斜視図である。
【図3】同じく状態3(蓋手段を完全に開放した状態)の斜視図である。
【図4】同じく状態4(金箔付きフィルムを取り出す最初の段階)の斜視図である。
【図5】同じく状態5(一枚の金箔付きフィルムを取り出した段階)の斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 底面部
2 枠部
3 第1蓋主片
4 第2蓋主片
5 第1蓋副片(ピックアップ可動片)
51 摘み部
52 弱粘着パッド
6 第2蓋副片(剥離紙付き可動片)
61 剥離紙
7 金箔付きフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム収容手段と、フィルム取出手段と、蓋手段を備えた容器に多数の金箔付きフィルムを積層収納した金箔パッケージであって、
フィルム収容手段は、平坦な底板部と、底板部の上面側に配設された枠部を備え、
枠部は、金箔付きフィルムの外形形状より少し大きな寸法であり、
金箔付きフィルムは、プラスチックフィルムの片面に金箔が付着しており、フィルム収容手段の枠部内に金箔面を下にして多数積層されて収容され、
フィルム取出手段は、フィルム収容手段に接続されたピックアップ可動片と、弱粘着パッドを備え、
ピックアップ可動片は、枠部内に収容された金箔付きフィルム積層体上に伏して重なる折りたたみ状態と、当該積層体から離れて立ち上がる展開状態とに変位可能であり、
弱粘着パッドは、折りたたみ状態のピックアップ可動片が金箔付きフィルムの中央部分に接する位置に配設され、金箔付きフィルムのプラスチックフィルム面に軽度に粘着可能であり、
蓋手段は、折りたたみ状態のピックアップ可動片とともに、枠部内に収容された金箔付きフィルム積層体を覆い隠すことが可能である
金箔パッケージ。
【請求項2】
各金箔付きフィルムの間にセパレータシートが挟み込まれている
請求項1に記載の金箔パッケージ。
【請求項3】
ピックアップ可動片は、蓋手段の一部を構成している
請求項1または2に記載の金箔パッケージ。
【請求項4】
ピックアップ可動片は、その先端側に摘み部を備えている
請求項1〜3のいずれかに記載の金箔パッケージ。
【請求項5】
蓋手段は、フィルム収容手段に接続された剥離紙付き可動片を含み、
剥離紙付き可動片は、折りたたみ状態のピックアップ可動片の下に位置させることが可能で、その状態において、弱粘着パッドが剥離紙に当接する
請求項1〜4のいずれかに記載の金箔パッケージ。
【請求項6】
底板部・枠部・金箔付きフィルムは、四角形であり、
ピックアップ可動片と剥離紙付き可動片は、四角形のフィルム収容手段の対向する2辺にそれぞれ接続され、
蓋手段は、四角形のフィルム収容手段の他の対向2辺に接続されたひと組みの蓋主片を備える
請求項5に記載の金箔パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−67455(P2009−67455A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239665(P2007−239665)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(397017755)箔座株式会社 (5)
【Fターム(参考)】