金銭処理装置
【課題】リジェクト金銭が排出された場合に操作者に対してこれを確実に認識させること。
【解決手段】出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、入出金制御手段は、出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ出金金銭検出手段が出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で出力手段を通じて外部に警告報知を行う。
【解決手段】出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、入出金制御手段は、出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ出金金銭検出手段が出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で出力手段を通じて外部に警告報知を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金銭の入出金処理を行う金銭処理装置に関するもので、特に、ＰＯＳ（Ｐｏｉｎｔ Ｏｆ Ｓａｌｅｓ）レジスタ装置等の上位装置に接続される自動釣銭機として好適な金銭処理装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
昨今のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗には、自動釣銭機として金銭処理装置が設置されている。この金銭処理装置は、通常、ＰＯＳレジスタ装置等の上位装置に接続されており、上位装置からの指令に応じて硬貨や紙幣等の金銭の入出金処理を行うものである。
【０００３】
例えば、上位装置においては、商品金額の入力が終了すると、その合計金額が演算され、該演算された合計金額に対応する入金許可指令が金銭処理装置に送信されて応答待機状態となる。入金許可指令が与えられた金銭処理装置では、硬貨もしくは紙幣等の金銭が投入された場合に真贋及び金種が鑑別される。正規の貨幣であると鑑別された場合には、金種毎に収納庫に収納されるとともに、上位装置に対して入金額情報が送信される。これに対して投入された金銭が正規のものでないと鑑別された場合には、投入された金銭がリジェクト金銭として出金口から外部に排出されることになる。
【０００４】
一方、上位装置から出金指令が与えられると、収納庫に収納されている金銭から該当する金額の貨幣が金銭搬送通路を通じて搬出され、装置本体の出金口から外部に払い出されることになる（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−６６１８５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、上述した金銭処理装置では、出金口において正規の金銭にリジェクト金銭が混入するという問題が発生し得る。例えば、商品の合計金額が９８３円である場合に、釣銭を２０円にすべく入金額として１００３円（千円札１枚と１円玉３枚）を投入することが良く行われる。このうち、投入した１円玉１枚がリジェクト金銭であると鑑別されると、この１円玉１枚が出金口から外部に排出される。一方、投入した千円札及び残りの１円玉２枚が正規のものであると鑑別されると、この１００２円が入金額として上位装置から出金指令が与えられ、１９円（＝１００２−９８３）の金銭が釣銭として出金口に払い出される。
【０００７】
これらの結果、金銭処理装置の出金口には、リジェクト金銭として排出された１円玉１枚と、釣銭として払い出された正規の硬貨である１０円玉１枚、５円玉１枚、１円玉４枚とが混合した状態となる。出金口に払い出された金銭の合計金額は、リジェクト金銭である１円玉を含めると過不足のあるものではない。従って、期待した金種による釣銭ではないものの、金銭処理装置の操作者及び商品購入者は、これらの金銭にリジェクト金銭が含まれていることを認識することができない結果となる。
【０００８】
本発明は、上記実情に鑑みて、リジェクト金銭が排出された場合に操作者に対してこれを確実に認識させることのできる金銭処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するため、本発明に係る金銭処理装置は、入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、前記入出金制御手段は、前記出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に前記出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ前記出金金銭検出手段が前記出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で前記出力手段を通じて外部に警告報知を行うことを特徴とする。
【００１０】
また、本発明に係る金銭処理装置は、入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、前記入出金制御手段は、前記出金金銭検出手段によって前記出金口にリジェクト金銭が有るか否かを検出し、リジェクト金銭がある場合、前記出力手段を通じて外部に警告報知を行い、かつこの間の出金指令を保留する一方、前記出金金銭検出手段によって前記出金口が空になったことを検出した場合には前記出力手段を通じた警告報知を停止し、かつ保留していた出金動作を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、出金口からリジェクト金銭が排出される場合、正規の金銭が払い出される場合とは異なる出力態様の警告報知が行われるため、操作者に対して確実に認識させることができるようになる。
【００１２】
また、本発明によれば、出金口にリジェクト金銭が存在する場合、これが排除されるまで警告報知が行われるため、操作者に対してリジェクト金銭が払い出されたことを確実に認識させることができるようになる。しかも、出金口にリジェクト金銭が存在する場合には、正規の金銭が払い出されることがないため、正規の金銭とリジェクト金銭とが混合される事態が発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、本発明の実施の形態である金銭処理装置の外観を示す斜視図である。
【図２】図２は、図１に示した金銭処理装置の内部構成を概念的に示す平面図である。
【図３】図３は、図１に示した金銭処理装置の内部構成を概念的に示す側面図である。
【図４】図４は、図１に示した金銭処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図５】図５は、図４に示した金銭処理装置の制御手段が実施する釣銭モード処理の内容を示すフローチャートである。
【図６】図６は、図４に示した金銭処理装置の制御手段が実施する釣銭モード処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る金銭処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【００１５】
（自動釣銭機の構造）
図１〜図３は、本発明の実施の形態である金銭処理装置を示したものである。ここで例示する金銭処理装置は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲに接続される自動釣銭機として用いられるもので、直方体状を成す装置本体１の前端部に硬貨投入口１１、硬貨出金口１２、紙幣投入口２１、紙幣出金口２２を備えている。
【００１６】
硬貨投入口１１は、投入された硬貨を装置本体１の内部に受け入れるための開口であり、装置本体１の上面に形成してある。硬貨投入口１１に投入された硬貨は、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、図２に示すように、硬貨収納部１０の硬貨搬送機構１３によって搬送される。搬送された硬貨は、硬貨鑑別センサ１４によって鑑別された後、一時保留庫１３Ａに一旦収容され、さらにその後、金種に応じて硬貨収納庫１５に収納されることになる。本実施の形態では、装置本体１の内部に１円硬貨収納庫１５ａ、５０円硬貨収納庫１５ｂ、５円硬貨収納庫１５ｃ、１００円硬貨収納庫１５ｄ、１０円硬貨収納庫１５ｅ、５００円硬貨収納庫１５ｆが設けてあり、投入された硬貨を金種ごとに個別に収納するようにしている。硬貨出金口１２は、それぞれの硬貨収納庫１５から搬出された硬貨を装置本体１の前面に設けた受け皿１６Ａに払い出すための開口であり、装置本体１の前面に形成してある。この硬貨出金口１２には、受け皿１６Ａに硬貨があるか否かを検出する出金金銭検出センサ１７が設けてある。尚、硬貨鑑別センサ１４において正規の硬貨でないと判断されたリジェクト硬貨は、図中の破線矢印Ｂで示すように、硬貨出金口１２を介して受け皿１６Ａに排出されることになる。また、硬貨が一時保留庫１３Ａに保留されている状態においてキャンセル操作した場合には、図中の二点鎖線矢印Ｃで示すように、一時保留庫１３Ａから硬貨返却口１６Ｂに払い出されることになる。
【００１７】
紙幣投入口２１は、投入された紙幣を装置本体１の内部に受け入れるための開口であり、装置本体１の前面上部に設けてある。紙幣投入口２１に投入された紙幣は、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、図３に示すように、紙幣収納部２０の紙幣搬送機構２３によって搬送される。搬送された紙幣は、紙幣鑑別センサ２４によって鑑別された後、金種に応じて紙幣収納庫２５に収納されることになる。本実施の形態では、装置本体１の内部に予備紙幣収納庫２５ａ、１０００円紙幣収納庫２５ｂ、混合紙幣収納庫２５ｃが設けてあり、投入された紙幣を１０００円札及びその他の紙幣の２種類に分別して収納するようにしている。紙幣出金口２２は、紙幣収納庫２５から搬出された紙幣を装置本体１の外部に払い出すための開口であり、装置本体１の前面下部に設けてある。この紙幣出金口２２には、硬貨出金口１２と同様、紙幣があるか否かを検出する出金金銭検出センサ２６が設けてある。
【００１８】
また、装置本体１の前方部には、表示手段３０及び入力手段４０が設けてある。表示手段３０は、操作者に対して各種表示を行うためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。入力手段４０は、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えば複数の押ボタンスイッチによって構成してある。
【００１９】
（自動釣銭機の制御系）
図４は、上述した自動釣銭機の制御系を示すブロック図である。図４に示す制御手段５０は、入力手段４０を通じて指令が与えられた場合、あるいは硬貨鑑別センサ１４、紙幣鑑別センサ２４、出金金銭検出センサ１７，２６のそれぞれから検出信号が与えられた場合、さらには上位装置であるＰＯＳレジスタ装置ＰＲから各種指令が与えられた場合、メモリ６０に格納したプログラムや初期データに基づいて表示手段３０の表示制御、硬貨搬送機構１３の駆動制御、紙幣搬送機構２３の駆動制御、ブザー等の出力手段７０の駆動制御を行うものである。図からも明らかなように、制御手段５０は、通信制御部５１、表示制御部５２、入力制御部５３、搬送制御部５４、入出金制御部５５、出力制御部５６を有している。
【００２０】
通信制御部５１は、通信インターフェース３を介して接続されたＰＯＳレジスタ装置ＰＲとの間においてデータの送受信制御を行うものである。表示制御部５２は、表示指令を与えることによって表示手段３０に所望の表示を行う等、表示手段３０に対する表示制御を行うものである。入力制御部５３は、入力手段４０が操作された場合にこれに対応する指令を各部に与えるものである。搬送制御部５４は、搬送指令が与えられた場合に、この搬送指令に従って硬貨搬送機構１３、紙幣搬送機構２３の駆動を制御するものである。
【００２１】
入出金制御部５５は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入力許可指令が与えられた後に貨幣が投入された場合に、入金許可指令に従って貨幣の入金処理を行い、かつＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられた場合に、出金指令に従って貨幣の出金処理を行うものである。また、入出金制御部５５は、入金処理の際、投入された貨幣が正規のものでないと判断した場合、これをリジェクト金銭として硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から装置本体１の外部に排出する処理を行う。
【００２２】
出力制御部５６は、入出金制御部５５によって実施される出金処理において硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合に都度出力手段７０を駆動して報知を行うものである。出力手段７０を通じて実施される報知の出力態様は、出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出していない場合と、貨幣を検出している場合とで相互に異なるように設定してある。
【００２３】
具体的には、出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出していない状態で硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合、出力制御部５６は、出力手段７０を駆動して出金報知を行う。出金報知は、例えば「ピッ、ピッ」という比較的短い時間だけ、比較的小さい音量で鳴動するように出力手段７０を駆動制御して行う。これに対して出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出している状態で硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合、出力制御部５６は、出力手段７０を駆動して警告報知を行う。警告報知は、例えば「ピーー！ピーー！」という比較的長い時間、比較的大きな音量で、しかも周囲のものが不快を感じるような音質で鳴動するように出力手段７０を駆動制御して行う。
【００２４】
（釣銭モード処理）
図５は、図４に示した制御手段５０が繰り返し実施する釣銭モード処理（入金処理及び出金処理）の内容を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを適宜参照しながら、自動釣銭機の動作について説明する。
【００２５】
図５に示す釣銭モード処理において制御手段５０は、通信制御部５１を通じてＰＯＳレジスタ装置ＰＲからの入金許可指令を監視する（ステップＳ１０１）。ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金許可指令が与えられなかった場合（ステップＳ１０１：ＮＯ）、制御手段５０は、手順を後述のステップＳ１０８に移行させる。
【００２６】
一方、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金許可指令が与えられた場合（ステップＳ１０１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、図示せぬ投入検出センサを通じて硬貨投入口１１及び紙幣投入口２１に対する入金の有無の監視を行う（ステップＳ１０２）。硬貨投入口１１もしくは紙幣投入口２１からの入金を確認した場合（ステップＳ１０２：ＹＥＳ）、制御手段５０は、硬貨鑑別センサ１４もしくは紙幣鑑別センサ２４を介して投入された貨幣の鑑別を行う（ステップＳ１０３）。
【００２７】
鑑別した貨幣が正規のものであったと判断した場合（ステップＳ１０４：ＹＥＳ）、制御手段５０は、これを対応する収納庫１５，２５に搬送する処理を行い（ステップＳ１０５）、その後、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金額要求があったか否かを判断する（ステップＳ１０６）。
【００２８】
これに対して鑑別した貨幣が正規のものでないと判断した場合（ステップＳ１０４：ＮＯ）、制御手段５０は、これをリジェクト金銭として硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から装置本体１の外部に排出する処理を行い（ステップＳ１１６）、その際に出力制御部５６を通じて出力手段７０を駆動し、上述した警告報知を行う（ステップＳ１１７）。これにより、操作者及び商品購入者は、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が排出されたことを認識することができるようになる。尚、ステップＳ１０２において入金を検出しなかった場合（ステップＳ１０２：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０３〜ステップＳ１０５及びステップＳ１１６〜ステップＳ１１７の処理を経ることなく手順をステップＳ１０６に進める。
【００２９】
ステップＳ１０６においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金額要求があった場合（ステップＳ１０６：ＹＥＳ）、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲに対し、通信制御部５１を通じて現在の入金額に関する情報をＰＯＳレジスタ装置ＰＲに送信する処理を行い（ステップＳ１０７）、その後、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に貨幣があるか否かを判断する（ステップＳ１０８）。硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方に貨幣がなければ（ステップＳ１０８：ＹＥＳ）、制御手段５０は、出力制御部５６を通じて出力手段７０の駆動を停止し（ステップＳ１０９）、手順を進める。
【００３０】
一方、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２のいずれかに貨幣がある場合（ステップＳ１０８：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０９の処理を経ることなく手順を進める。これにより、ステップＳ１１７において警告報知された場合にも、硬貨出金口１２や紙幣出金口２２からリジェクト金銭を取り除けば、警告報知を直ちに停止させることができる。尚、ステップＳ１０６において入金額要求がなかった場合（ステップＳ１６０：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０７の処理を行うことなく手順を進める。
【００３１】
ステップＳ１１０において、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金終了指令があったか否かを判断する（ステップＳ１１０）。入金終了指令がなかった場合（ステップＳ１１０：ＮＯ）、制御手段５０は、手順をステップＳ１０２にリターンさせて上述したステップＳ１０２〜ステップＳ１１０の処理を繰り返し実行する。
【００３２】
これに対してＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金終了指令があった場合（ステップＳ１１０：ＹＥＳ）、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令があるか否かを監視する（ステップＳ１１１）。ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられなかった場合（ステップＳ１１１：ＮＯ）、制御手段５０は、後述するステップＳ１１２〜ステップＳ１１５の処理を経ることなく今回の釣銭モード処理を終了する。
【００３３】
一方、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられた場合（ステップＳ１１１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、搬送制御部５４を通じて硬貨収納庫１５や紙幣収納庫２５に収納された貨幣を釣銭として硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２から払い出す処理を実施する（ステップＳ１１２）。
【００３４】
ここで、ステップＳ１１６において硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に排出したリジェクト金銭が抜き取られずにそのまま存在していた場合には、ステップＳ１１２において釣銭として貨幣を払い出すと、たとえステップＳ１１７において警告報知をしたとしても、両者が混合することになってリジェクト金銭の存在を認識することが困難となる。
【００３５】
そこで、この自動釣銭機では、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在するか否かを判断し（ステップＳ１１３）、出力制御部５６を通じて出力手段７０を駆動制御することにより、リジェクト金銭が存在する場合と存在しない場合とで出力形態を変更するようにしている。すなわち、リジェクト金銭が存在しない場合には、出力手段７０から出金報知を行い（ステップＳ１１３：ＮＯ→ステップＳ１１５）、一方、リジェクト金銭が存在する場合には、出力手段７０から警告報知を行うようにしている（ステップＳ１１３：ＹＥＳ→ステップＳ１１４）。
【００３６】
これらの結果、操作者及び商品購入者は、ステップＳ１１６で排出されたリジェクト金銭が硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に残っていた場合であっても、釣銭として正規の貨幣が払い出された際に出力手段７０から出力される報知態様の違いによってリジェクト金銭の存在を確実に認識することができるようになる。
【００３７】
以降、上述した釣銭モード処理が繰り返し実施され、金銭処理装置が自動釣銭機として機能することになる。
【００３８】
（変形例）
尚、上述した実施の形態では、出金処理の際に出力手段７０から出力される報知態様の違いによってリジェクト金銭の存在を認識させるようにしているが、図６に示す変形例のように制御することも可能である。尚、図６に示すフローチャートは、ステップＳ１０１〜ステップＳ１１１及びステップＳ１１６〜ステップＳ１１７までの処理が図５に示したフローチャートと共通である。このため、以下においては共通する処理に同一の符号を付し、相違する処理についてのみ新たな符号を付して説明を行う。
【００３９】
すなわち、ステップＳ１１１においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令があった場合（ステップＳ１１１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、出金処理の実行に先立って硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在するか否かを判断するようにしている（ステップＳ２００）。
【００４０】
硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在しない場合（ステップＳ２００：ＮＯ）、制御手段５０は、出金処理を実施し（ステップＳ２０２）、その後、出力手段７０から出金報知を行う（ステップＳ２０３）。この出金報知により、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２から釣銭となる正規の貨幣が払い出されたことを認識することができる。
【００４１】
これに対して硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在していた場合（ステップＳ２００：ＹＥＳ）、制御手段５０は、硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方が空となるまでの間、出力手段７０からの警告報知を継続する（ステップＳ２０１）。
【００４２】
こうした変形例によれば、リジェクト金銭が排除されるまでの間、警告報知が行われるため、操作者に対してリジェクト金銭が硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に払い出されたことを確実に認識させることができるようになる。しかも、リジェクト金銭が硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方から排除されない限り釣銭が払い出されることがないため、正規の金銭にリジェクト金銭が混入する事態を未然に防止することができるようになる。
【００４３】
尚、上述した実施の形態及び変形例では、硬貨及び紙幣を取り扱う金銭処理装置を例示しているが、硬貨及び紙幣のいずれか一方を取り扱うものにももちろん適用することは可能である。
【符号の説明】
【００４４】
１ 装置本体
１０ 硬貨収納部
１１ 硬貨投入口
１２ 硬貨出金口
１３ 硬貨搬送機構
１４ 硬貨鑑別センサ
１５ 硬貨収納庫
１７，２６ 出金金銭検出センサ
２０ 紙幣収納部
２１ 紙幣投入口
２２ 紙幣出金口
２３ 紙幣搬送機構
２４ 紙幣鑑別センサ
２５ 紙幣収納庫
５０ 制御手段
５１ 通信制御部
５２ 表示制御部
５３ 入力制御部
５４ 搬送制御部
５５ 入出金制御部
５６ 出力制御部
６０ メモリ
７０ 出力手段
ＰＲ ＰＯＳレジスタ装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金銭の入出金処理を行う金銭処理装置に関するもので、特に、ＰＯＳ（Ｐｏｉｎｔ Ｏｆ Ｓａｌｅｓ）レジスタ装置等の上位装置に接続される自動釣銭機として好適な金銭処理装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
昨今のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗には、自動釣銭機として金銭処理装置が設置されている。この金銭処理装置は、通常、ＰＯＳレジスタ装置等の上位装置に接続されており、上位装置からの指令に応じて硬貨や紙幣等の金銭の入出金処理を行うものである。
【０００３】
例えば、上位装置においては、商品金額の入力が終了すると、その合計金額が演算され、該演算された合計金額に対応する入金許可指令が金銭処理装置に送信されて応答待機状態となる。入金許可指令が与えられた金銭処理装置では、硬貨もしくは紙幣等の金銭が投入された場合に真贋及び金種が鑑別される。正規の貨幣であると鑑別された場合には、金種毎に収納庫に収納されるとともに、上位装置に対して入金額情報が送信される。これに対して投入された金銭が正規のものでないと鑑別された場合には、投入された金銭がリジェクト金銭として出金口から外部に排出されることになる。
【０００４】
一方、上位装置から出金指令が与えられると、収納庫に収納されている金銭から該当する金額の貨幣が金銭搬送通路を通じて搬出され、装置本体の出金口から外部に払い出されることになる（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−６６１８５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、上述した金銭処理装置では、出金口において正規の金銭にリジェクト金銭が混入するという問題が発生し得る。例えば、商品の合計金額が９８３円である場合に、釣銭を２０円にすべく入金額として１００３円（千円札１枚と１円玉３枚）を投入することが良く行われる。このうち、投入した１円玉１枚がリジェクト金銭であると鑑別されると、この１円玉１枚が出金口から外部に排出される。一方、投入した千円札及び残りの１円玉２枚が正規のものであると鑑別されると、この１００２円が入金額として上位装置から出金指令が与えられ、１９円（＝１００２−９８３）の金銭が釣銭として出金口に払い出される。
【０００７】
これらの結果、金銭処理装置の出金口には、リジェクト金銭として排出された１円玉１枚と、釣銭として払い出された正規の硬貨である１０円玉１枚、５円玉１枚、１円玉４枚とが混合した状態となる。出金口に払い出された金銭の合計金額は、リジェクト金銭である１円玉を含めると過不足のあるものではない。従って、期待した金種による釣銭ではないものの、金銭処理装置の操作者及び商品購入者は、これらの金銭にリジェクト金銭が含まれていることを認識することができない結果となる。
【０００８】
本発明は、上記実情に鑑みて、リジェクト金銭が排出された場合に操作者に対してこれを確実に認識させることのできる金銭処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するため、本発明に係る金銭処理装置は、入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、前記入出金制御手段は、前記出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に前記出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ前記出金金銭検出手段が前記出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で前記出力手段を通じて外部に警告報知を行うことを特徴とする。
【００１０】
また、本発明に係る金銭処理装置は、入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、外部に音を出力する出力手段とを備え、前記入出金制御手段は、前記出金金銭検出手段によって前記出金口にリジェクト金銭が有るか否かを検出し、リジェクト金銭がある場合、前記出力手段を通じて外部に警告報知を行い、かつこの間の出金指令を保留する一方、前記出金金銭検出手段によって前記出金口が空になったことを検出した場合には前記出力手段を通じた警告報知を停止し、かつ保留していた出金動作を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、出金口からリジェクト金銭が排出される場合、正規の金銭が払い出される場合とは異なる出力態様の警告報知が行われるため、操作者に対して確実に認識させることができるようになる。
【００１２】
また、本発明によれば、出金口にリジェクト金銭が存在する場合、これが排除されるまで警告報知が行われるため、操作者に対してリジェクト金銭が払い出されたことを確実に認識させることができるようになる。しかも、出金口にリジェクト金銭が存在する場合には、正規の金銭が払い出されることがないため、正規の金銭とリジェクト金銭とが混合される事態が発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、本発明の実施の形態である金銭処理装置の外観を示す斜視図である。
【図２】図２は、図１に示した金銭処理装置の内部構成を概念的に示す平面図である。
【図３】図３は、図１に示した金銭処理装置の内部構成を概念的に示す側面図である。
【図４】図４は、図１に示した金銭処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図５】図５は、図４に示した金銭処理装置の制御手段が実施する釣銭モード処理の内容を示すフローチャートである。
【図６】図６は、図４に示した金銭処理装置の制御手段が実施する釣銭モード処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る金銭処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【００１５】
（自動釣銭機の構造）
図１〜図３は、本発明の実施の形態である金銭処理装置を示したものである。ここで例示する金銭処理装置は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲに接続される自動釣銭機として用いられるもので、直方体状を成す装置本体１の前端部に硬貨投入口１１、硬貨出金口１２、紙幣投入口２１、紙幣出金口２２を備えている。
【００１６】
硬貨投入口１１は、投入された硬貨を装置本体１の内部に受け入れるための開口であり、装置本体１の上面に形成してある。硬貨投入口１１に投入された硬貨は、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、図２に示すように、硬貨収納部１０の硬貨搬送機構１３によって搬送される。搬送された硬貨は、硬貨鑑別センサ１４によって鑑別された後、一時保留庫１３Ａに一旦収容され、さらにその後、金種に応じて硬貨収納庫１５に収納されることになる。本実施の形態では、装置本体１の内部に１円硬貨収納庫１５ａ、５０円硬貨収納庫１５ｂ、５円硬貨収納庫１５ｃ、１００円硬貨収納庫１５ｄ、１０円硬貨収納庫１５ｅ、５００円硬貨収納庫１５ｆが設けてあり、投入された硬貨を金種ごとに個別に収納するようにしている。硬貨出金口１２は、それぞれの硬貨収納庫１５から搬出された硬貨を装置本体１の前面に設けた受け皿１６Ａに払い出すための開口であり、装置本体１の前面に形成してある。この硬貨出金口１２には、受け皿１６Ａに硬貨があるか否かを検出する出金金銭検出センサ１７が設けてある。尚、硬貨鑑別センサ１４において正規の硬貨でないと判断されたリジェクト硬貨は、図中の破線矢印Ｂで示すように、硬貨出金口１２を介して受け皿１６Ａに排出されることになる。また、硬貨が一時保留庫１３Ａに保留されている状態においてキャンセル操作した場合には、図中の二点鎖線矢印Ｃで示すように、一時保留庫１３Ａから硬貨返却口１６Ｂに払い出されることになる。
【００１７】
紙幣投入口２１は、投入された紙幣を装置本体１の内部に受け入れるための開口であり、装置本体１の前面上部に設けてある。紙幣投入口２１に投入された紙幣は、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、図３に示すように、紙幣収納部２０の紙幣搬送機構２３によって搬送される。搬送された紙幣は、紙幣鑑別センサ２４によって鑑別された後、金種に応じて紙幣収納庫２５に収納されることになる。本実施の形態では、装置本体１の内部に予備紙幣収納庫２５ａ、１０００円紙幣収納庫２５ｂ、混合紙幣収納庫２５ｃが設けてあり、投入された紙幣を１０００円札及びその他の紙幣の２種類に分別して収納するようにしている。紙幣出金口２２は、紙幣収納庫２５から搬出された紙幣を装置本体１の外部に払い出すための開口であり、装置本体１の前面下部に設けてある。この紙幣出金口２２には、硬貨出金口１２と同様、紙幣があるか否かを検出する出金金銭検出センサ２６が設けてある。
【００１８】
また、装置本体１の前方部には、表示手段３０及び入力手段４０が設けてある。表示手段３０は、操作者に対して各種表示を行うためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。入力手段４０は、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えば複数の押ボタンスイッチによって構成してある。
【００１９】
（自動釣銭機の制御系）
図４は、上述した自動釣銭機の制御系を示すブロック図である。図４に示す制御手段５０は、入力手段４０を通じて指令が与えられた場合、あるいは硬貨鑑別センサ１４、紙幣鑑別センサ２４、出金金銭検出センサ１７，２６のそれぞれから検出信号が与えられた場合、さらには上位装置であるＰＯＳレジスタ装置ＰＲから各種指令が与えられた場合、メモリ６０に格納したプログラムや初期データに基づいて表示手段３０の表示制御、硬貨搬送機構１３の駆動制御、紙幣搬送機構２３の駆動制御、ブザー等の出力手段７０の駆動制御を行うものである。図からも明らかなように、制御手段５０は、通信制御部５１、表示制御部５２、入力制御部５３、搬送制御部５４、入出金制御部５５、出力制御部５６を有している。
【００２０】
通信制御部５１は、通信インターフェース３を介して接続されたＰＯＳレジスタ装置ＰＲとの間においてデータの送受信制御を行うものである。表示制御部５２は、表示指令を与えることによって表示手段３０に所望の表示を行う等、表示手段３０に対する表示制御を行うものである。入力制御部５３は、入力手段４０が操作された場合にこれに対応する指令を各部に与えるものである。搬送制御部５４は、搬送指令が与えられた場合に、この搬送指令に従って硬貨搬送機構１３、紙幣搬送機構２３の駆動を制御するものである。
【００２１】
入出金制御部５５は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入力許可指令が与えられた後に貨幣が投入された場合に、入金許可指令に従って貨幣の入金処理を行い、かつＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられた場合に、出金指令に従って貨幣の出金処理を行うものである。また、入出金制御部５５は、入金処理の際、投入された貨幣が正規のものでないと判断した場合、これをリジェクト金銭として硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から装置本体１の外部に排出する処理を行う。
【００２２】
出力制御部５６は、入出金制御部５５によって実施される出金処理において硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合に都度出力手段７０を駆動して報知を行うものである。出力手段７０を通じて実施される報知の出力態様は、出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出していない場合と、貨幣を検出している場合とで相互に異なるように設定してある。
【００２３】
具体的には、出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出していない状態で硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合、出力制御部５６は、出力手段７０を駆動して出金報知を行う。出金報知は、例えば「ピッ、ピッ」という比較的短い時間だけ、比較的小さい音量で鳴動するように出力手段７０を駆動制御して行う。これに対して出金金銭検出センサ１７，２６が貨幣を検出している状態で硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から貨幣を出金する場合、出力制御部５６は、出力手段７０を駆動して警告報知を行う。警告報知は、例えば「ピーー！ピーー！」という比較的長い時間、比較的大きな音量で、しかも周囲のものが不快を感じるような音質で鳴動するように出力手段７０を駆動制御して行う。
【００２４】
（釣銭モード処理）
図５は、図４に示した制御手段５０が繰り返し実施する釣銭モード処理（入金処理及び出金処理）の内容を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを適宜参照しながら、自動釣銭機の動作について説明する。
【００２５】
図５に示す釣銭モード処理において制御手段５０は、通信制御部５１を通じてＰＯＳレジスタ装置ＰＲからの入金許可指令を監視する（ステップＳ１０１）。ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金許可指令が与えられなかった場合（ステップＳ１０１：ＮＯ）、制御手段５０は、手順を後述のステップＳ１０８に移行させる。
【００２６】
一方、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金許可指令が与えられた場合（ステップＳ１０１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、図示せぬ投入検出センサを通じて硬貨投入口１１及び紙幣投入口２１に対する入金の有無の監視を行う（ステップＳ１０２）。硬貨投入口１１もしくは紙幣投入口２１からの入金を確認した場合（ステップＳ１０２：ＹＥＳ）、制御手段５０は、硬貨鑑別センサ１４もしくは紙幣鑑別センサ２４を介して投入された貨幣の鑑別を行う（ステップＳ１０３）。
【００２７】
鑑別した貨幣が正規のものであったと判断した場合（ステップＳ１０４：ＹＥＳ）、制御手段５０は、これを対応する収納庫１５，２５に搬送する処理を行い（ステップＳ１０５）、その後、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金額要求があったか否かを判断する（ステップＳ１０６）。
【００２８】
これに対して鑑別した貨幣が正規のものでないと判断した場合（ステップＳ１０４：ＮＯ）、制御手段５０は、これをリジェクト金銭として硬貨出金口１２や紙幣出金口２２から装置本体１の外部に排出する処理を行い（ステップＳ１１６）、その際に出力制御部５６を通じて出力手段７０を駆動し、上述した警告報知を行う（ステップＳ１１７）。これにより、操作者及び商品購入者は、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が排出されたことを認識することができるようになる。尚、ステップＳ１０２において入金を検出しなかった場合（ステップＳ１０２：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０３〜ステップＳ１０５及びステップＳ１１６〜ステップＳ１１７の処理を経ることなく手順をステップＳ１０６に進める。
【００２９】
ステップＳ１０６においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金額要求があった場合（ステップＳ１０６：ＹＥＳ）、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲに対し、通信制御部５１を通じて現在の入金額に関する情報をＰＯＳレジスタ装置ＰＲに送信する処理を行い（ステップＳ１０７）、その後、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に貨幣があるか否かを判断する（ステップＳ１０８）。硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方に貨幣がなければ（ステップＳ１０８：ＹＥＳ）、制御手段５０は、出力制御部５６を通じて出力手段７０の駆動を停止し（ステップＳ１０９）、手順を進める。
【００３０】
一方、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２のいずれかに貨幣がある場合（ステップＳ１０８：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０９の処理を経ることなく手順を進める。これにより、ステップＳ１１７において警告報知された場合にも、硬貨出金口１２や紙幣出金口２２からリジェクト金銭を取り除けば、警告報知を直ちに停止させることができる。尚、ステップＳ１０６において入金額要求がなかった場合（ステップＳ１６０：ＮＯ）、制御手段５０は、ステップＳ１０７の処理を行うことなく手順を進める。
【００３１】
ステップＳ１１０において、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金終了指令があったか否かを判断する（ステップＳ１１０）。入金終了指令がなかった場合（ステップＳ１１０：ＮＯ）、制御手段５０は、手順をステップＳ１０２にリターンさせて上述したステップＳ１０２〜ステップＳ１１０の処理を繰り返し実行する。
【００３２】
これに対してＰＯＳレジスタ装置ＰＲから入金終了指令があった場合（ステップＳ１１０：ＹＥＳ）、制御手段５０は、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令があるか否かを監視する（ステップＳ１１１）。ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられなかった場合（ステップＳ１１１：ＮＯ）、制御手段５０は、後述するステップＳ１１２〜ステップＳ１１５の処理を経ることなく今回の釣銭モード処理を終了する。
【００３３】
一方、ＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令が与えられた場合（ステップＳ１１１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、搬送制御部５４を通じて硬貨収納庫１５や紙幣収納庫２５に収納された貨幣を釣銭として硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２から払い出す処理を実施する（ステップＳ１１２）。
【００３４】
ここで、ステップＳ１１６において硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に排出したリジェクト金銭が抜き取られずにそのまま存在していた場合には、ステップＳ１１２において釣銭として貨幣を払い出すと、たとえステップＳ１１７において警告報知をしたとしても、両者が混合することになってリジェクト金銭の存在を認識することが困難となる。
【００３５】
そこで、この自動釣銭機では、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在するか否かを判断し（ステップＳ１１３）、出力制御部５６を通じて出力手段７０を駆動制御することにより、リジェクト金銭が存在する場合と存在しない場合とで出力形態を変更するようにしている。すなわち、リジェクト金銭が存在しない場合には、出力手段７０から出金報知を行い（ステップＳ１１３：ＮＯ→ステップＳ１１５）、一方、リジェクト金銭が存在する場合には、出力手段７０から警告報知を行うようにしている（ステップＳ１１３：ＹＥＳ→ステップＳ１１４）。
【００３６】
これらの結果、操作者及び商品購入者は、ステップＳ１１６で排出されたリジェクト金銭が硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に残っていた場合であっても、釣銭として正規の貨幣が払い出された際に出力手段７０から出力される報知態様の違いによってリジェクト金銭の存在を確実に認識することができるようになる。
【００３７】
以降、上述した釣銭モード処理が繰り返し実施され、金銭処理装置が自動釣銭機として機能することになる。
【００３８】
（変形例）
尚、上述した実施の形態では、出金処理の際に出力手段７０から出力される報知態様の違いによってリジェクト金銭の存在を認識させるようにしているが、図６に示す変形例のように制御することも可能である。尚、図６に示すフローチャートは、ステップＳ１０１〜ステップＳ１１１及びステップＳ１１６〜ステップＳ１１７までの処理が図５に示したフローチャートと共通である。このため、以下においては共通する処理に同一の符号を付し、相違する処理についてのみ新たな符号を付して説明を行う。
【００３９】
すなわち、ステップＳ１１１においてＰＯＳレジスタ装置ＰＲから出金指令があった場合（ステップＳ１１１：ＹＥＳ）、制御手段５０は、出金処理の実行に先立って硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在するか否かを判断するようにしている（ステップＳ２００）。
【００４０】
硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在しない場合（ステップＳ２００：ＮＯ）、制御手段５０は、出金処理を実施し（ステップＳ２０２）、その後、出力手段７０から出金報知を行う（ステップＳ２０３）。この出金報知により、硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２から釣銭となる正規の貨幣が払い出されたことを認識することができる。
【００４１】
これに対して硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２にリジェクト金銭が存在していた場合（ステップＳ２００：ＹＥＳ）、制御手段５０は、硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方が空となるまでの間、出力手段７０からの警告報知を継続する（ステップＳ２０１）。
【００４２】
こうした変形例によれば、リジェクト金銭が排除されるまでの間、警告報知が行われるため、操作者に対してリジェクト金銭が硬貨出金口１２もしくは紙幣出金口２２に払い出されたことを確実に認識させることができるようになる。しかも、リジェクト金銭が硬貨出金口１２及び紙幣出金口２２の双方から排除されない限り釣銭が払い出されることがないため、正規の金銭にリジェクト金銭が混入する事態を未然に防止することができるようになる。
【００４３】
尚、上述した実施の形態及び変形例では、硬貨及び紙幣を取り扱う金銭処理装置を例示しているが、硬貨及び紙幣のいずれか一方を取り扱うものにももちろん適用することは可能である。
【符号の説明】
【００４４】
１ 装置本体
１０ 硬貨収納部
１１ 硬貨投入口
１２ 硬貨出金口
１３ 硬貨搬送機構
１４ 硬貨鑑別センサ
１５ 硬貨収納庫
１７，２６ 出金金銭検出センサ
２０ 紙幣収納部
２１ 紙幣投入口
２２ 紙幣出金口
２３ 紙幣搬送機構
２４ 紙幣鑑別センサ
２５ 紙幣収納庫
５０ 制御手段
５１ 通信制御部
５２ 表示制御部
５３ 入力制御部
５４ 搬送制御部
５５ 入出金制御部
５６ 出力制御部
６０ メモリ
７０ 出力手段
ＰＲ ＰＯＳレジスタ装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、
前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、
外部に音を出力する出力手段と
を備え、前記入出金制御手段は、前記出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に前記出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ前記出金金銭検出手段が前記出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で前記出力手段を通じて外部に警告報知を行うことを特徴とする金銭処理装置。
【請求項２】
入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、
前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、
外部に音を出力する出力手段と
を備え、前記入出金制御手段は、前記出金金銭検出手段によって前記出金口にリジェクト金銭が有るか否かを検出し、リジェクト金銭がある場合、前記出力手段を通じて外部に警告報知を行い、かつこの間の出金指令を保留する一方、前記出金金銭検出手段によって前記出金口が空になったことを検出した場合には前記出力手段を通じた警告報知を停止し、かつ保留していた出金動作を開始することを特徴とする金銭処理装置。
【請求項１】
入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、
前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、
外部に音を出力する出力手段と
を備え、前記入出金制御手段は、前記出金口が空の状態にある間に出金処理を行う場合に前記出力手段を通じて外部に出金報知を行い、かつ前記出金金銭検出手段が前記出金口にリジェクト金銭を検出している間に出金処理を行う場合には、出金報知とは異なる出力態様で前記出力手段を通じて外部に警告報知を行うことを特徴とする金銭処理装置。
【請求項２】
入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に鑑別部によってこれを鑑別し、正規の金銭を収納庫に収納する一方、正規でないと判断した金銭をリジェクト金銭として出金口から外部に排出する入金処理と、出金指令が与えられた場合には前記出金口を介して該当する金額の金銭を収納庫から外部に払い出す出金処理とを行う入出金制御手段を備えた金銭処理装置において、
前記出金口に金銭が有るか否かを検出する出金金銭検出手段と、
外部に音を出力する出力手段と
を備え、前記入出金制御手段は、前記出金金銭検出手段によって前記出金口にリジェクト金銭が有るか否かを検出し、リジェクト金銭がある場合、前記出力手段を通じて外部に警告報知を行い、かつこの間の出金指令を保留する一方、前記出金金銭検出手段によって前記出金口が空になったことを検出した場合には前記出力手段を通じた警告報知を停止し、かつ保留していた出金動作を開始することを特徴とする金銭処理装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−６５４１８（Ｐ２０１１−６５４１８Ａ）
【公開日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２１５４７３（Ｐ２００９−２１５４７３）
【出願日】平成２１年９月１７日（２００９．９．１７）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月１７日（２００９．９．１７）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
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