説明

金銭処理装置

【課題】入出金の時間を短縮することで、レジカウンター等での顧客の清算待ち時間を少なくし、顧客の便利性を向上することができる金銭処理装置を提供する。
【解決手段】販売商品データ処理を実行する上位機90からの入金許可に基づいて、入金された貨幣を鑑別して計数し、金種毎に設けられた収納庫25bもしくは混合金種の収納庫25c等に収納し、上位機90からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、上位機90からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して収納庫25b,25cから釣銭を出金する金銭処理装置において、入金終了指示に基づいて入金動作を停止するとき、釣銭の出金動作である搬送路モータ29bの駆動等を前もって開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店のレジ等に設置され、顧客等から受け取った貨幣を収納庫に収納するとともに、出金指示により収納庫から釣銭等を出金する金銭処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこのような金銭処理装置としては、先に公開された特開2005−27546号公報(特許文献1)に記載されるような貨幣入出金装置が知られている。この特許文献1に記載される貨幣入出金装置は、貨幣が投入される入金口と、該入金口に投入された貨幣を金種判定および計数する貨幣識別計数手段と、該貨幣識別計数手段で金種判定および計数された貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、該収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出手段と、該繰出手段により繰り出された貨幣を機外に導く出金口とを有し、通常は、前記入金口に投入された投入貨幣を前記貨幣識別計数手段で金種判定および計数し、POSレジスタ等から通知される商品買上金額と該入金額との差額の釣銭貨幣を前記収納部から前記出金口に出金させる貨幣入出金機であって、両替モードを指定する指定手段を備え、該指定手段で前記両替モードが指定されたとき、前記入金口に投入された一回分の投入貨幣を前記貨幣識別計数手段で金種判定および計数させて前記収納部に収納させるとともに、前記一回分の投入貨幣に対する同額の両替貨幣を前記繰出手段により前記収納部から前記出金口に出金させ、該両替動作が完了すると前記両替モードを自動的に解除して通常の運用状態に復帰させるものである。そして、このような貨幣入出金装置によれば、一台で釣銭貨幣の払い出しと貨幣の両替とを行うことができることから、両替を行うための両替専用機を導入する必要がなくなる。また、両替動作後は自動的に通常運用モードに戻るため、顧客との取引を円滑に進めることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−275746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来の貨幣入出金装置において、通常運用モードで釣銭を払い出す場合は、入金口に投入された投入貨幣を貨幣計数識別手段で金種判定、計数し、その合計金額が商品販売データ処理を実行する上位機(例えばPOSレジスタ)に通知される。そうすると、上位機は投入貨幣の合計金額から商品等の買上げ金額を減算して釣銭金額を算出し、その釣銭金額を貨幣入出金装置の制御部に出力する。そして、貨幣入出金装置は、その釣銭金額の出力に基づいて、貨幣を釣銭貨幣として出金する出金動作を開始する。
ここで、貨幣入出金装置が例えば釣札を出金口に出金する場合は、上位機から貨幣入出金機の制御部に釣銭金額の出力がされた後、先ず紙幣収納部から出金口に紙幣を搬送する搬送手段の駆動部が駆動され、その駆動部が一定の駆動状態(例えば搬送ベルトの搬送速度が定常状態に到達した状態)に到達した後、紙幣収納部の繰出手段が駆動され、紙幣収納部の紙幣が1枚ずつ繰り出されて、所定枚数の紙幣が出金口に搬送される。したがって、貨幣入出金装置の投入口に商品の買物代金としての貨幣が投入されてから、出金口に釣札が搬送さるまでに多少の時間を要していた。そのため、レジカウンター等が混雑している場合は、顧客の清算待ち時間が長くなる問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対応するため、このような貨幣入出金装置において買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を短縮することで、レジカウンター等での顧客の清算待ち時間を少なくし、顧客の便利性を向上することができる金銭処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、販売商品データ処理を実行する上位機からの入金許可に基づいて、入金された貨幣を鑑別して計数し、金種毎に設けられた収納庫もしくは混合金種の収納庫に収納し、前記上位機からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、前記上位機からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して前記収納庫から釣銭を出金する金銭処理装置において、前記入金終了指示に基づいて入金動作を停止するとき、前記釣銭の出金動作を前もって開始するものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の金銭処理装置において、前記入金終了指示があるとき、入金終了方法として、釣銭有、釣銭無、返却の何れか一つを設定し、前記入金終了方法として前記釣銭有が設定されるとき、前記釣銭の出金動作を前もって開始するものである。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の金銭処理装置において、前記入金時に千円紙幣の入金が無かった場合のみ、前記釣銭の出金動作を前もって開始するものである。
【0009】
これらによれば、前記上位機からの入金終了指示に基づいて入金動作が停止されるとき、前記釣銭の出金動作が開始されるから、前記出金指示に基づいて釣銭の出金動作が開始される従来機に比べて、買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を短縮することができる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、販売商品データ処理を実行する上位機からの入金許可に基づいて、入金された貨幣を金種毎に鑑別して計数し、前記金種毎に設けられた収納庫もしくは混合金種の収納庫等に収納し、前記上位機からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、前記上位機からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して前記収納庫等から釣銭を出金する金銭処理装置において、入金された貨幣が鑑別、計数され、その貨幣の収納先が判定されるとき、前記上位機に対して前記貨幣の入金データが通知され、前記上位機は前記入金データに基づいて前記入金終了指示を行うものである。
【0011】
これによれば、入金された貨幣の収納先が判定されるとき、前記上位機に対して前記貨幣の入金データが通知され、これに基づいて前記上位機は前記入金終了指示を行うから、入金された貨幣が金種毎に設けられた収納庫もしくは混合金種の収納庫等に収納されてから前記上位機に対して前記貨幣の入金データが通知され、これに基づいて前記入金終了指示を行う従来機に比べて、買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1乃至請求項4の何れかに係る発明によれば、買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を従来機に比べて短縮することができるから、買物代金等を精算するレジカウンター等での顧客の待ち時間を少なくし、顧客の便利性を向上することができる金銭処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の金銭処理装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の金銭処理装置における硬貨入出金部の内部構成を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態の金銭処理装置における紙幣入出金部の内部構成を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態の金銭処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態の金銭処理装置において、制御手段の入出金制御部が実施する紙幣収納部の入出金処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態の金銭処理装置の外観を示す斜視図、図2は、本発明の実施の形態の金銭処理装置における硬貨入出金部の内部構成を模式的に示す平面図、図3は、本発明の実施形態の金銭処理装置における紙幣入出金部の内部構成を模式的に示す側面図である。図に示すように、この貨幣入出金機は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてPOSレジスタ装置(上位機)90(図4参照)に接続される自動釣銭機として用いられるもので、直方体状を成す装置本体1の前端部に硬貨投入口11、硬貨出金口12、紙幣投入口21、紙幣出金口22を備えている。
【0015】
硬貨投入口11は、投入された硬貨を装置本体1の内部に受け入れるための開口であり、装置本体1の上面に形成されている。硬貨投入口11に投入された硬貨は、図示せぬ投入検出センサによって検出され、図2に示すように、硬貨収納部10の硬貨搬送機構13によって搬送される。ここで搬送される硬貨は、硬貨鑑別センサ14によって鑑別された後、金種に応じて硬貨収納庫(収納庫)15に収納される。本実施の形態では、装置本体1の内部に1円硬貨収納庫15a、50円硬貨収納庫15b、5円硬貨収納庫15c、100円硬貨収納庫15d、10円硬貨収納庫15e、500円硬貨収納庫15fがそれぞれ設けられ、投入された硬貨が金種ごとに個別にこれらに収納される。硬貨出金口12は、それぞれの硬貨収納庫15から搬出された硬貨を装置本体1の外部に払い出すための開口であり、装置本体1の前面に形成されている。尚、図中の符号17は、硬貨出金口12から払い出された硬貨を受入れる受け皿である。
【0016】
紙幣投入口21は、投入された紙幣を装置本体1の内部に受け入れるための開口であり、装置本体1の前面上部に設けてある。紙幣投入口21に投入された紙幣は、図3に示すように投入検知センサ26によって検知された後、紙幣収納部20の紙幣搬送機構23によって搬送される。搬送された紙幣は、紙幣鑑別センサ24によって鑑別された後、金種に応じて紙幣収納庫(収納庫)25b、25cに収納されることになる。本実施の形態では、装置本体1の内部に千円紙幣収納庫25bと、混合紙幣収納庫25cが設けてあり、投入された紙幣を千円札と、その他の紙幣の2種類に分別して収納するようにしている。また、装置本体1の内部には紙幣精査用の精査紙幣収納庫25aが設けられ、必要に応じて千円紙幣収納庫25b及び混合紙幣収納庫25c内の紙幣が精査紙幣収納庫25a内に移送されて紙幣収納部20内に収納される紙幣の精査が実施される。なお、各紙幣収納庫25a,25b,25cには、紙幣の入出を検知する入口センサ27a、27b、27cが設けられるとともに、各紙幣収納庫25a,25b,25cから1枚ずつ紙幣を繰り出すための繰出モータ28a、28b、28cがそれぞれに対応して設けられている。また、紙幣収納部20内には、紙幣投入口21に投入された紙幣を内部に取り込むための取込モータ29a、紙幣搬送機構23を駆動するための搬送路モータ29bが設けられている。紙幣出金口22は、紙幣収納庫25b、25cから搬出された紙幣を装置本体1の外部に払い出すための開口であり、装置本体1の前面に設けてある。
また、装置本体1の前方部には、図1に示すように表示手段30及び入力手段40が設けられている。表示手段30は、操作者に対して各種表示を行うためのもので、例えば液晶表示器によって構成されている。入力手段40は、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えば複数の押ボタンスイッチによって構成されている。
【0017】
図4は、上述した金銭処理装置の制御系を示すブロック図である。図4に示す制御手段50は、入力手段40を通じて指令が与えられた場合、あるいは硬貨鑑別センサ14、紙幣鑑別センサ24から検出信号が与えられた場合、さらには上位装置であるPOSレジスタ装置90から各種指令が与えられた場合に、メモリ60に格納されたプログラムや設定データに基づいて表示手段30の表示制御、硬貨搬送機構13の駆動制御、紙幣搬送機構23の駆動制御を行うものである。図からも明らかなように、制御手段50は、通信制御部51、表示制御部52、入力制御部53、搬送制御部54、入出金制御部55、回収制御部56、精査制御部57、異常監視部58を有している。
【0018】
通信制御部51は、通信インターフェース3を介して接続されたPOSレジスタ装置90との間においてデータの送受信制御を行うものである。表示制御部52は、表示指令を与えることによって表示手段30に所望の表示を行う等、表示手段30に対する表示制御を行うものである。入力制御部53は、入力手段40が操作された場合にこれに対応する指令を各部に与えるものである。搬送制御部54は、搬送指令が与えられた場合に、この搬送指令に従って硬貨搬送機構13、紙幣搬送機構23の駆動を制御するものである。
入出金制御部55は、POSレジスタ装置90から入金許可指示が与えられた後に貨幣が投入された場合に、入金許可指示に従って貨幣の入金処理を行い、かつPOSレジスタ装置90から出金指示が与えられた場合に、出金指示に従って貨幣の出金処理を行うものである。また、入出金制御部55は、これらの入金処理及び出金処理を実行している間、実施した入金処理及び出金処理の内容を入出金情報61として逐次メモリ60に格納する処理も行う。なお、入出金制御部55には、硬貨鑑別センサ14または紙幣鑑別センサ24の鑑別結果と、硬貨収納庫15または紙幣収納庫25の貨幣収納状況に基づいて、入金された貨幣の搬送先を判定する入金搬送先判定部59が設けられている。
回収制御部56は、POSレジスタ装置90から回収指示が与えられた場合に、回収指示に従って貨幣の回収処理を行うものである。また、回収制御部56は、回収処理を実施した場合、その処理の内容を回収処理情報62としてメモリ60に格納する処理も行う。
精査制御部57は、POSレジスタ装置90から貨幣精査指示が与えられた場合に、その貨幣精査指示に従って紙幣の精査処理等を行うものである。また、精査制御部57は、貨幣精査処理を実施した場合、その処理の内容を精査処理情報63としてメモリ60に格納する処理も行う。
【0019】
異常監視部58は、入出金制御部55による入金処理及び出金処理に異常が発生したか否かを監視し、その監視結果を異常監視情報64としてメモリ60に格納する処理を行うものである。
図5は、図4に示す制御手段50の入出金制御部55が実施する紙幣収納部20の入出金処理の内容を示すフローチャートである。このフローチャートを参照しながら、この金銭処理機における紙幣の入出金動作について説明する。
図5に示す入出金処理動作において制御手段50の入出金制御部55は、先ず通信制御部51を通じてPOSレジスタ装置90からの入金許可指示を監視する(ステップS101)。POSレジスタ装置90から入金許可があった場合(ステップS101:YES)は、紙幣収納部20の搬送路モータ29bを入金・収納側に向けて駆動し、次いで取込モータ29aを駆動する(ステップS102)。そして、取込モータ29aの駆動により、紙幣投入口21に投入された紙幣を一枚ずつ紙幣搬送路23に取り込んで、紙幣鑑別センサ24により識別する(ステップS103:YES)。紙幣鑑別センサ24により紙幣が識別されると、入金搬送先判定部59によりそれが収納される紙幣収納庫25が判定され、その判定結果に応じて、それぞれ紙幣が千円紙幣収納庫25b,または混合紙幣収納庫25cに収納さる。そうすると、その入金紙幣がカウントアップされ、その入金金額が通信制御部51を通じてPOSレジスタ装置90に通知される(ステップS104)。この動作は、紙幣投入口21に投入された紙幣が紙幣搬送路23に全て取込まれ、投入検知センサ26により検知されなくなるまで繰り返される(ステップS105:YES)。そして、紙幣投入口21の紙幣が投入検知センサ26により検知されなくなる(ステップS105:NO)と、取込モータ29aを停止し、さらに搬送路モータ29bを停止する(ステップS106)。次に、POSレジスタ装置90からの入金終了指示を監視する(ステップS107)。そして、入金終了指示があった場合(ステップS107:YES)は、POSレジスタ装置90の買上金額情報や入金金額情報に基づいて、入金終了方法を設定する(ステップS108)。
【0020】
ここで、釣札の出金が予測される場合は、入金終了方法を「釣あり(釣銭有)」に設定(ステップS108:釣あり)し、次いで搬送路モータ29bを出金・返却側に向けて駆動し、紙幣収納庫25b,25cから搬出された紙幣を紙幣出金口22に向けて搬送する状態にして、紙幣搬送路23の出金搬送設定(フラグ)を「動作中」と記録し、出金指示待ち時間(例えば3秒)をセットする(ステップS109)。そして、POSレジスタ装置90からの出金指示を監視する(ステップS110)。そして、POSレジスタ装置90から出金指示があった場合(ステップS110:YES)は、紙幣搬送路23の出金搬送設定が「動作中」であるかを判定し(ステップS111)、その出金搬送設定が「動作中」に記録にされている場合(ステップS111:YES)は、繰出モータ28bを駆動し(ステップS113)、千円紙幣収納庫25bから千円紙幣を繰り出し、それを釣札として紙幣出金口22に向けて搬送する。この場合に紙幣鑑別センサ24等により千円紙幣の繰り出し枚数が計数され、出金指示された枚数の千円紙幣が繰り出されたか監視される(ステップS114)。そして、出金指示された枚数の千円紙幣が繰り出される(ステップS114:YES)と、繰出モータ28bが停止され、続いて搬送路モータ29bが停止され、その出金搬送設定を「停止中」と記録すること(ステップS115)にて、入出金処理が終了する。なお、POSレジスタ装置90から出金指示があった場合(ステップS110:YES)に、紙幣搬送路23の出金搬送設定が「動作中」の状態にないとき(ステップS111:NO)は、出金指示待ち時間が経過(後述のステップS117:YESを参照)した後、搬送路モータ29bが停止され、紙幣搬送路23の搬送が停止され、その出金搬送設定を「停止中」と記録した(ステップS118参照)状態のため、再び、搬送路モータ29bを出金・返却側に向けて駆動し、紙幣搬送路23の出金搬送設定を“動作中”と記録する(ステップS112)処理を行う。
【0021】
また、POSレジスタからの出金指示を監視する(ステップS110)場合において、POSレジスタ装置90からの出金指示がない場合は、紙幣搬送路23の出金搬送設定が「動作中」に記録されているかを判定し(ステップS116)、その出金搬送設定が「動作中」にされている場合(ステップS116:YES)は、出金指示待ち時間が経過したか判定(ステップS117)し、出金指示待ち時間が経過していれば(ステップS117:YES)、搬送路モータ29bが停止され、紙幣搬送路23の出金搬送設定を「停止中」に記録し(ステップS118)て、再びPOSレジスタからの出金指示を監視する。なお、この場合に紙幣搬送路23の出金搬送設定が「動作中」とされていない場合(ステップS116:NO)、及び出金指示待ち時間が経過していない場合(ステップS117:NO)も同様に、再びPOSレジスタ装置90からの出金指示を監視する。
また、入金終了指示があった場合(ステップS107:YES)に、入金紙幣を返却する場合(入金が取り消された場合等)は、入金終了方法を「返却」に設定(ステップS108:返却)し、次いで搬送路モータ29bを出金・返却側に向けて駆動し、紙幣搬送路23の出金搬送設定を「動作中」と記録し、さらに繰出モータ28b、28cを駆動し(ステップS119)、紙幣収納庫25b、25cから入金された紙幣を繰り出し、紙幣出金口22に向けて返却、搬送する。この場合に紙幣鑑別センサ24等により返却紙幣の枚数が計数され、入金された紙幣が全て返却されたか監視される(ステップS120)。そして、入金された紙幣がすべて返却(ステップS120:YES)されると、繰出モータ28b、28cが停止され、続いて搬送路モータ29bが停止され、その出金搬送設定を「停止中」と記録すること(ステップS121)にて、入出金処理が終了する。
また、入金終了指示があった場合(ステップS107:YES)に、釣札の出金等の他の動作を行わずに入金処理を終了する場合は、入金終了方法を「釣なし(釣銭無)」に設定(ステップS108:釣なし)することで、入金処理がそのまま終了する。
【0022】
ところで、入金終了方法を「釣あり」に設定(ステップS108:釣あり)する場合に、「千円紙幣の入金がなかったとき」を条件としても良い。すなわち、千円紙幣を入金して、釣札として千円紙幣を出金することは稀であるため、入金終了方法を「釣あり」に設定(ステップS108:釣あり)した場合に、出金指示なしの場合(ステップS110:NO)が生じる頻度を少なくし、装置の無駄な動作を少なくすることができる。
また、本実施の形態においては、POSレジスタ装置90から入金許可があった場合(ステップS101:YES)に、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣搬送路23に取り込んで識別(ステップS103:YES)し、その紙幣が紙幣収納庫25b,25cに収納さると、その入金金額が通信制御部51を通じてPOSレジスタ装置90に通知される(ステップS104)態様であるが、入金金額をPOSレジスタ装置90に通知するタイミングを、入金紙幣が識別され、その収納先が入金搬送先判定部59により判定されたときとしても良い。このようにすることで、入金金額をPOSレジスタ装置90に通知するタイミングを早め、これによるPOSレジスタ装置90の入金終了指示を早め行うことができるから、入金処理時間を短縮することが可能である。なお、入金金額をPOSレジスタ装置90に通知するタイミングは、入金紙幣の収納先が判定されてから行われるから、紙幣収納庫25b,25cが満杯等により紙幣が収納されない場合は、入金金額がカウントアップされず、入金金額の通知を精度の良く行うことができる。
【0023】
以上のように、本発明の金銭処理装置は、POSレジスタ装置90からの入金許可指示に基づいて、入金された貨幣を鑑別して計数し、金種毎に設けられた収納庫25bもしくは混合金種の収納庫25cに収納し、POSレジスタ装置90からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、POSレジスタ装置90からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して収納庫25b,25cから釣銭を出金する金銭処理装置において、前記入金終了指示に基づいて入金動作を停止するとき、釣銭の出金動作である搬送路モータ29bの駆動等を前もって開始するものである。
【0024】
また、本発明の金銭処理装置は、POSレジスタ装置90からの前記入金終了指示があるとき、入金終了方法として、釣銭有、釣銭無、返却の何れか一つを設定し、前記入金終了方法として前記釣銭有が設定されるとき、釣銭の出金動作である搬送路モータ29bの駆動等を前もって開始するものである。
【0025】
また、本発明の金銭処理装置は、前記入金時に千円紙幣の入金が無かった場合のみ、釣銭の出金動作である搬送路モータ29bの駆動等を前もって開始することができるものである。
【0026】
これらによれば、POSレジスタ装置90からの入金終了指示に基づいて入金動作が停止されるとき、釣銭の出金動作である搬送路モータ29bの駆動等が開始されるから、前記出金指示に基づいて釣銭の出金動作が開始される従来機に比べて、買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を短縮することができる。
また、本発明の金銭処理装置は、入金された貨幣が鑑別、計数され、その貨幣の収納先が判定されるとき、POSレジスタ装置90に対して前記貨幣の入金データが通知され、POSレジスタ装置90は前記入金データに基づいて前記入金終了指示を行うものである。
これによれば、入金された貨幣の収納先が判定されるとき、POSレジスタ装置90に対して前記貨幣の入金データが通知され、これに基づいてPOSレジスタ装置90は前記入金終了指示を行うから、入金された貨幣が金種毎に設けられた収納庫等に収納されてからPOSレジスタ装置等に対して貨幣の入金データが通知され、これに基づいて入金終了指示を行う従来機に比べて、買物代金等としての預り金が投入口に入金されてから、出金口に釣貨幣が出金されるまでの時間を短縮することができる。
これらにより、買物代金等を精算するレジカウンター等での顧客の待ち時間を少なくし、顧客の便利性を向上することができる金銭処理装置を提供することができる。
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、この金銭処理装置を構成する硬貨収納部10や紙幣収納部20の構成、形状や、表示手段30、或は入力手段40の表示形態及び構成等は、この実施形態に示すものに限定されるものではない。また、この金銭処理機の入出金動作として、紙幣収納部20の入出金処理の内容をフローチャートにて例示したが、硬貨収納部10についてもこれに順ずる入出金処理を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 硬貨収納部
11 硬貨投入口
12 硬貨出金口
20 紙幣収納部
21 紙幣投入口
22 紙幣出金口
23 紙幣搬送機構
24 紙幣鑑別センサ
25b 千円紙幣収納庫(収納庫)
25c 混合紙幣収納庫(収納庫)
26 投入検知センサ
28b 繰出モータ(千円紙幣収納庫用)
28c 繰出モータ(混合紙幣収納庫用)
29a 取込モータ
29b 搬送路モータ
51 通信制御部
55 入出金制御部
59 入金搬送先判定部
90 POSレジスタ装置(上位機)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売商品データ処理を実行する上位機からの入金許可に基づいて、入金された貨幣を鑑別して計数し、金種毎に設けられた収納庫もしくは混合金種の収納庫に収納し、前記上位機からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、前記上位機からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して前記収納庫から釣銭を出金する金銭処理装置において、前記入金終了指示に基づいて入金動作を停止するとき、前記釣銭の出金動作を前もって開始することを特徴とする金銭処理装置。
【請求項2】
前記入金終了指示があるとき、入金終了方法として、釣銭有、釣銭無、返却の何れか一つを設定し、前記入金終了方法として前記釣銭有が設定されるとき、前記釣銭の出金動作を前もって開始することを特徴とする請求項1に記載の金銭処理装置。
【請求項3】
前記入金時に千円紙幣の入金が無かった場合のみ、前記釣銭の出金動作を前もって開始することを特徴とする請求項2に記載の金銭処理装置。
【請求項4】
販売商品データ処理を実行する上位機からの入金許可に基づいて、入金された貨幣を金種毎に鑑別して計数し、前記金種毎に設けられた収納庫もしくは混合金種の収納庫等に収納し、前記上位機からの入金終了指示に基づいて入金動作を停止し、前記上位機からの出金指示に基づいて金種及び枚数を決定して前記収納庫等から釣銭を出金する金銭処理装置において、入金された貨幣が鑑別、計数され、その貨幣の収納先が判定されるとき、前記上位機に対して前記貨幣の入金データが通知され、前記上位機は前記入金データに基づいて前記入金終了指示を行うことを特徴とする金銭処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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