釘打機における連結帯残部の切断機構
【課題】 連結釘の連結帯残部2aの切断を容易に行なうことができ、連結帯残部2aの曲がり癖を矯正し、且つその切断時に連結釘の姿勢を正常に保つこと。
【解決手段】 ノーズ部5に隣接した排出口6に隣接して爪8を突設し、その爪先端8aの位置が連結帯の送り孔1の孔縁部にある。それとともに、排出された連結帯残部2aを爪8側に引き寄せたとき、その送り孔1が爪8に嵌入するようにする。
【解決手段】 ノーズ部5に隣接した排出口6に隣接して爪8を突設し、その爪先端8aの位置が連結帯の送り孔1の孔縁部にある。それとともに、排出された連結帯残部2aを爪8側に引き寄せたとき、その送り孔1が爪8に嵌入するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状の連結帯に多数の釘が並列して配置された連結釘を釘打機のマガジン内に装着し、その連結釘を順次ノーズに供給して、最先端の釘を連結帯から離脱させて打ち込み、その連結帯の残部を釘打機から排出する連結帯残部の切断機構に関する。
【背景技術】
【0002】
釘を並列する連結釘は、釘打機のマガジン内に装填するため、コイル状に巻回されている。そのため、釘が打ち込まれた後の連結帯残部は巻き癖が存在し、釘打機のノーズケースの外周に次第に絡み付く。すると釘打作業に支障をきたすため、連結帯残部の長さがある程度以上になると、それを引きちぎって除去する必要がある。その連結帯は駒送り用の多数の送り孔が定間隔に配置されているので、その送り孔の位置で切断される。
次に、下記特許文献に記載の連結帯の切断装置は、何れも排出口に隣接して切断用カッターを配置し、そのカッターに連結されたレバーを回転させることにより、連結帯残部を切断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−019994号広報
【特許文献2】特開2002−127040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連結釘の連結帯残部を引きちぎる場合には、その際の引張力が残存釘部にまで及び、その釘の姿勢を変えるおそれがある。特に残存釘が数本以下の場合には、釘に大きな姿勢変化が生じ、釘打ちの際にその釘がノーズ内に詰まってしまうおそれがある。
また、上記特許文献の釘打機のように、連結帯残部の排出口にカッターを設け、それをレバーによって切断する場合であっても、そのカッターの切断時に、外力が連結帯に影響を及ぼし、釘の姿勢を変えるおそれがある。さらには、カッターおよびそのレバーの存在自体が釘打作業その他に邪魔になるおそれがある。また、連結帯残部にはコイル状の巻き癖が存在するため、頻繁にカッターを動作させる必要がある。
そこで、本発明はかかる問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、駒送り用の多数の送り孔(1)をその長手方向に離間して定間隔に配置した連結帯(2)が使用され、その連結帯(2)に多数の釘(3)が並列して連結され、それがコイル状に巻回されてマガジン(4)内に装填され、その並列された釘(3)が順次ノーズ(5)へ供給され、ノーズ(5)内に供給された釘(3)を連結帯(2)から離脱させて打ち込むと共に、釘(3)が打ち込まれた後の連結帯残部(2a)をノーズ(5)に隣接した排出口(6)から排出するようにした釘打機(7)であって、その釘打機(7)における連結帯残部(2a)の切断機構において、
前記排出口(6)の縁で且つ、前記連結帯残部(2a)の送り孔(1)が通過する位置に隣接して爪(8)が突設され、
その爪(8)は、その爪先端 (8a) の位置が釘打機(7)の使用状態で、排出された連結帯残部(2a)の排出口の出口に隣接した送り孔(1)の下流側孔縁(1a)の少し下流に位置すると共に、排出された連結帯残部(2a)を爪(8)側に引き寄せたとき、その連結帯(2)の弾性変形やその送りの遊びにより、その送り孔(1)がその爪(8)に嵌入するように構成されたことを特徴とする釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の釘打機(7)における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)は排出口の外側に向け且つ、その連結帯残部(2a)の排出口(6)の幅方向の中心側に斜めに配置されると共に、その排出口(6)から排出された連結帯残部(2a)の排出口(6)に隣接する位置で、その爪(8)が連結帯残部(2a)に接触することにより、連結帯(2)の巻き癖を直す方向に、その連結帯残部(2a)が誘導される釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)はその幅方向の側部に刃(8b)が形成されている釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)の爪先端(8a)の幅が、前記送り孔(1)の幅方向長さより小であり、爪(8)の根元の幅が前記送り孔(1)の幅方向長さより大である釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の釘打機における連結帯残部の切断機構は、ノーズ5に隣接した排出口6の縁に隣接して爪8が突設され、その爪先端8aの位置が連結帯残部2aの送り孔1の少し下流側に位置するから、爪8の存在により連結帯残部2aの排出に影響を与えることがない。
それと共に、排出された連結帯残部2aを爪8側に引き寄せたとき、その連結帯2の弾性変形等により送り孔1が爪8に嵌入するように構成したから、連結帯2を強く引張ることにより、排出口の出口に隣接した送り孔1から連結帯残部2aを容易に除去することができる。その爪8の嵌入は、残存する並列した釘3に影響を与えることなく、連結帯残部2aのみを容易に除去することができる。即ち、爪8が送り孔1に嵌入状態で連結帯残部2aがその送り孔1を基準に引きちぎられるものであるから、その時、加えられる外力がその送り孔1より上流側に力を及ぼすことがない。
【0010】
上記構成において、請求項2に記載のように、爪8が連結帯残部2aに接触して、釘3の巻き癖を直す方向にそれを誘導する場合には、連結帯残部2aが釘打機のノーズ5を内装するノーズケース5aに絡みつくことを可及的に防止し、作業性のよい釘打機を提供できる。即ち、従来型の釘打機のように連結帯2の巻き癖のため、その連結帯残部2aがノーズケース5a外周にまとわりつくことを可及的に防止できる。
上記構成において、請求項3に記載のように、爪8の側部に刃8bを形成した場合には、連結帯残部2aの切断をより容易に行ないうる。
上記構成において、請求項4に記載のように、爪8の爪先端8aの幅を送り孔1の幅方向長さより小とし、爪8の根元の幅を送り孔1の幅方向長さより大とした場合には、爪8に連結帯残部2aの送り孔1を嵌入する動作にともなって、送り孔1の孔縁部を容易に切断することができる。それにより、使い勝手のよい連結体の切断機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の切断機構を有する釘打機の正面図。
【図2】同左側面略図。
【図3】同要部正面図。
【図4】同要部左側面図。
【図5】図3におけるA-A矢視断面図。
【図6】同機構における切断用の爪8の平面図。B−B矢視図。C−C矢視図。
【図7】(A)は図5における要部を示し、連結帯2が存在しない状態を示す。(B)は(A)のB−B矢視図。(C)は(A)のC−C矢視図。(D)は連結帯残部2aの平面図。
【図8】同機構の連結帯残部2aを切断するときの説明図。
【図9】(A)は連結帯2の平面図、(B)(C)は釘3を並列した正面図および側面図、(D)(E)は連結帯2の展開図、その側面図。
【図10】他の連結帯2の平面図、側面図、釘3を有する正面図、その連結帯2の側面図。
【図11】本発明の他の例の要部正面図。
【図12】同左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の切断機構を有する釘打機の正面図である。図2はその左側面図である。この釘打機が、従来のものと異なる点は、爪8およびその周縁部のみである。
【0013】
この例の釘打機は、釘打機7の一端部にノーズ5を内装するノーズケース5aが設けられ、それに釘送り装置12およびマガジン4が連結されている。このマガジン4には、連結帯2に多数の釘3が並列して連結された連結釘がコイル状に巻回されて装填される。この連結釘は、一例として図9の(D)(E)あるいは、図10(A)(B)に示すごとく、送込み用の多数の送り孔1をその長手方向に離間して、定間隔に配置すると共に、その両側に折り筋1bを介して舌片部1cが突設され、その先端に釘保持部1aがΩ状に形成されたものである。各舌片部1cは折り筋1bを介してコ字状に折り曲げられ、一対の舌片部1cの各釘保持部1a間に釘3が図9(B)(C)、図10(C)(E)のごとく保持されるものである。
【0014】
コイル状の連結釘がマガジン4に収納され、その連結帯2の終端部がノーズ5に導かれる。また、釘打機7には図示しないエアホースの一端が接続され、その他端がエアーコンプレッサ等の圧縮空気源に接続される。そして、釘打機7のトリガ9を引くごとに、釘送り装置12に設けられた送り爪11が送りピストンの往復動で連結帯2を、その送り孔1を介して一つづつノーズ5側に送ると共に、図7のノーズ5にドライバ13を出入させ、釘3の頭部を叩いて、それを木材等に打ち込むものである。
【0015】
その釘3が打ち込まれた後の連結帯残部2aは、ノーズケース5aに形成された排出口6(図2、図4、図5参照)に排出される。この排出口6は図2および図4に示すごとく、平面L字状に形成されている。そして、釘3を保持する状態ではコ字状に形成された連結帯2がそれを打ち込んだ後には、その下方側の舌片部1cが平面的に伸ばされ、逆L字状の排出口6内を通過するものである。
【0016】
ここにおいて本発明の特徴は、排出口6の縁に隣接し、図2、図5に示す爪8がその排出口の外側に向け且つ、斜めに突設されている。この爪8の位置は図1、図3に示すごとく、連結帯残部2aの送り孔1が通過する位置に整合する。それと共にその向きは図5に示すごとく、排出口6の中心側に向け斜めに形成される。爪8の爪先端8aの位置は、出口に隣接した送り孔1の下流側の孔縁部に接するように配置される。
【0017】
すなわち、釘送り装置12の送り爪11によって、送り孔1を介して1ピッチづつ連結帯残部2aが排出されるとき、爪先端8aがその送り孔1のわずか下流側に接触する。それによって、図5に示すごとく、連結帯残部2aをそのコイル状の巻き癖と反対方向に押し付け、ノーズケース5a側にその先端部が巻きつくことを可及的に防止し、釘打作業の邪魔にならないようにする。この爪先端8aと連結帯2の送り孔1との距離は、一例として0.5〜2mm程度が好ましく、より好ましくは0.7〜1.5mm程度である。
【0018】
このように爪先端8aと連結帯2の送り孔1との距離を近接するのは、連結帯残部2aの切断を容易にするためである。すなわち、連結帯残部2aを切断するには図8に示すごとく、それを排出口6の向きと反対側に引き伸ばす。すると、連結帯残部2aの弾性変形あるいは連結帯2の送りの遊び等により引伸ばされて、排出口6に隣接した連結帯残部2aの送り孔1が爪8に容易に嵌着する。そこで、連結帯残部2aを横に引くことにより、それが爪8両側に設けた刃8bによって容易に切断される。
【0019】
この爪8の形状は、図6に示すごとく、平面台形状でその爪先端8aおよび両側に刃8bを有する。その爪8の刃幅は、図7(B)〜(D)に示すごとく、その爪先端8aの幅Nが連結帯残部2aの送り孔1の長さXより小で、爪8の根元の幅Mが送り孔1の幅Xより大である。そのため、送り孔1が爪8に完全に嵌入すると、その両側の刃8bによって送り孔1の長手方向両側が切断され、そこから連結帯残部2aを容易に切り取ることができるようになる。
【0020】
次に、図11、図12は本発明の第2の実施例である。
この例は、釘打機の排出口6が図2の場合と逆向きに形成されたものである。
この場合にも、爪8は排出口6の縁部に突設され、その先端が連結帯残部2aの送り孔1孔縁に接する。他の構成は、前記第1実施例と同様の作用・効果になるように形成されている。
【0021】
いずれの場合にも、連結帯残部2aを切断するとき爪先端8aに送り孔1が嵌着され、連結帯残部2aを引張ることにより、送り孔1から下流側のみにその引張力が加わり、爪8の上流側にはそれが伝わらない。そのため、釘送り装置12に並列された釘3に、連結帯残部2aの切断時に力が加わることがなく、その姿勢を正常に維持し、ノーズ5内での釘詰まりを確実に防止しうる。それと共に、爪8によって連結帯残部2aのコイル状の曲がり癖を矯正することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 送り孔
1a 釘保持部
1b 折り筋
1c 舌片部
2 連結帯
2a 連結帯残部
【0023】
3 釘
4 マガジン
5 ノーズ
5a ノーズケース
6 排出口
7 釘打機
8 爪
【0024】
8a 爪先端
8b 刃
9 トリガ
10 釘ガイド
11 送り爪
12 釘送り装置
13 ドライバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状の連結帯に多数の釘が並列して配置された連結釘を釘打機のマガジン内に装着し、その連結釘を順次ノーズに供給して、最先端の釘を連結帯から離脱させて打ち込み、その連結帯の残部を釘打機から排出する連結帯残部の切断機構に関する。
【背景技術】
【0002】
釘を並列する連結釘は、釘打機のマガジン内に装填するため、コイル状に巻回されている。そのため、釘が打ち込まれた後の連結帯残部は巻き癖が存在し、釘打機のノーズケースの外周に次第に絡み付く。すると釘打作業に支障をきたすため、連結帯残部の長さがある程度以上になると、それを引きちぎって除去する必要がある。その連結帯は駒送り用の多数の送り孔が定間隔に配置されているので、その送り孔の位置で切断される。
次に、下記特許文献に記載の連結帯の切断装置は、何れも排出口に隣接して切断用カッターを配置し、そのカッターに連結されたレバーを回転させることにより、連結帯残部を切断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−019994号広報
【特許文献2】特開2002−127040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連結釘の連結帯残部を引きちぎる場合には、その際の引張力が残存釘部にまで及び、その釘の姿勢を変えるおそれがある。特に残存釘が数本以下の場合には、釘に大きな姿勢変化が生じ、釘打ちの際にその釘がノーズ内に詰まってしまうおそれがある。
また、上記特許文献の釘打機のように、連結帯残部の排出口にカッターを設け、それをレバーによって切断する場合であっても、そのカッターの切断時に、外力が連結帯に影響を及ぼし、釘の姿勢を変えるおそれがある。さらには、カッターおよびそのレバーの存在自体が釘打作業その他に邪魔になるおそれがある。また、連結帯残部にはコイル状の巻き癖が存在するため、頻繁にカッターを動作させる必要がある。
そこで、本発明はかかる問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、駒送り用の多数の送り孔(1)をその長手方向に離間して定間隔に配置した連結帯(2)が使用され、その連結帯(2)に多数の釘(3)が並列して連結され、それがコイル状に巻回されてマガジン(4)内に装填され、その並列された釘(3)が順次ノーズ(5)へ供給され、ノーズ(5)内に供給された釘(3)を連結帯(2)から離脱させて打ち込むと共に、釘(3)が打ち込まれた後の連結帯残部(2a)をノーズ(5)に隣接した排出口(6)から排出するようにした釘打機(7)であって、その釘打機(7)における連結帯残部(2a)の切断機構において、
前記排出口(6)の縁で且つ、前記連結帯残部(2a)の送り孔(1)が通過する位置に隣接して爪(8)が突設され、
その爪(8)は、その爪先端 (8a) の位置が釘打機(7)の使用状態で、排出された連結帯残部(2a)の排出口の出口に隣接した送り孔(1)の下流側孔縁(1a)の少し下流に位置すると共に、排出された連結帯残部(2a)を爪(8)側に引き寄せたとき、その連結帯(2)の弾性変形やその送りの遊びにより、その送り孔(1)がその爪(8)に嵌入するように構成されたことを特徴とする釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の釘打機(7)における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)は排出口の外側に向け且つ、その連結帯残部(2a)の排出口(6)の幅方向の中心側に斜めに配置されると共に、その排出口(6)から排出された連結帯残部(2a)の排出口(6)に隣接する位置で、その爪(8)が連結帯残部(2a)に接触することにより、連結帯(2)の巻き癖を直す方向に、その連結帯残部(2a)が誘導される釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)はその幅方向の側部に刃(8b)が形成されている釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)の爪先端(8a)の幅が、前記送り孔(1)の幅方向長さより小であり、爪(8)の根元の幅が前記送り孔(1)の幅方向長さより大である釘打機における連結帯残部の切断機構である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の釘打機における連結帯残部の切断機構は、ノーズ5に隣接した排出口6の縁に隣接して爪8が突設され、その爪先端8aの位置が連結帯残部2aの送り孔1の少し下流側に位置するから、爪8の存在により連結帯残部2aの排出に影響を与えることがない。
それと共に、排出された連結帯残部2aを爪8側に引き寄せたとき、その連結帯2の弾性変形等により送り孔1が爪8に嵌入するように構成したから、連結帯2を強く引張ることにより、排出口の出口に隣接した送り孔1から連結帯残部2aを容易に除去することができる。その爪8の嵌入は、残存する並列した釘3に影響を与えることなく、連結帯残部2aのみを容易に除去することができる。即ち、爪8が送り孔1に嵌入状態で連結帯残部2aがその送り孔1を基準に引きちぎられるものであるから、その時、加えられる外力がその送り孔1より上流側に力を及ぼすことがない。
【0010】
上記構成において、請求項2に記載のように、爪8が連結帯残部2aに接触して、釘3の巻き癖を直す方向にそれを誘導する場合には、連結帯残部2aが釘打機のノーズ5を内装するノーズケース5aに絡みつくことを可及的に防止し、作業性のよい釘打機を提供できる。即ち、従来型の釘打機のように連結帯2の巻き癖のため、その連結帯残部2aがノーズケース5a外周にまとわりつくことを可及的に防止できる。
上記構成において、請求項3に記載のように、爪8の側部に刃8bを形成した場合には、連結帯残部2aの切断をより容易に行ないうる。
上記構成において、請求項4に記載のように、爪8の爪先端8aの幅を送り孔1の幅方向長さより小とし、爪8の根元の幅を送り孔1の幅方向長さより大とした場合には、爪8に連結帯残部2aの送り孔1を嵌入する動作にともなって、送り孔1の孔縁部を容易に切断することができる。それにより、使い勝手のよい連結体の切断機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の切断機構を有する釘打機の正面図。
【図2】同左側面略図。
【図3】同要部正面図。
【図4】同要部左側面図。
【図5】図3におけるA-A矢視断面図。
【図6】同機構における切断用の爪8の平面図。B−B矢視図。C−C矢視図。
【図7】(A)は図5における要部を示し、連結帯2が存在しない状態を示す。(B)は(A)のB−B矢視図。(C)は(A)のC−C矢視図。(D)は連結帯残部2aの平面図。
【図8】同機構の連結帯残部2aを切断するときの説明図。
【図9】(A)は連結帯2の平面図、(B)(C)は釘3を並列した正面図および側面図、(D)(E)は連結帯2の展開図、その側面図。
【図10】他の連結帯2の平面図、側面図、釘3を有する正面図、その連結帯2の側面図。
【図11】本発明の他の例の要部正面図。
【図12】同左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の切断機構を有する釘打機の正面図である。図2はその左側面図である。この釘打機が、従来のものと異なる点は、爪8およびその周縁部のみである。
【0013】
この例の釘打機は、釘打機7の一端部にノーズ5を内装するノーズケース5aが設けられ、それに釘送り装置12およびマガジン4が連結されている。このマガジン4には、連結帯2に多数の釘3が並列して連結された連結釘がコイル状に巻回されて装填される。この連結釘は、一例として図9の(D)(E)あるいは、図10(A)(B)に示すごとく、送込み用の多数の送り孔1をその長手方向に離間して、定間隔に配置すると共に、その両側に折り筋1bを介して舌片部1cが突設され、その先端に釘保持部1aがΩ状に形成されたものである。各舌片部1cは折り筋1bを介してコ字状に折り曲げられ、一対の舌片部1cの各釘保持部1a間に釘3が図9(B)(C)、図10(C)(E)のごとく保持されるものである。
【0014】
コイル状の連結釘がマガジン4に収納され、その連結帯2の終端部がノーズ5に導かれる。また、釘打機7には図示しないエアホースの一端が接続され、その他端がエアーコンプレッサ等の圧縮空気源に接続される。そして、釘打機7のトリガ9を引くごとに、釘送り装置12に設けられた送り爪11が送りピストンの往復動で連結帯2を、その送り孔1を介して一つづつノーズ5側に送ると共に、図7のノーズ5にドライバ13を出入させ、釘3の頭部を叩いて、それを木材等に打ち込むものである。
【0015】
その釘3が打ち込まれた後の連結帯残部2aは、ノーズケース5aに形成された排出口6(図2、図4、図5参照)に排出される。この排出口6は図2および図4に示すごとく、平面L字状に形成されている。そして、釘3を保持する状態ではコ字状に形成された連結帯2がそれを打ち込んだ後には、その下方側の舌片部1cが平面的に伸ばされ、逆L字状の排出口6内を通過するものである。
【0016】
ここにおいて本発明の特徴は、排出口6の縁に隣接し、図2、図5に示す爪8がその排出口の外側に向け且つ、斜めに突設されている。この爪8の位置は図1、図3に示すごとく、連結帯残部2aの送り孔1が通過する位置に整合する。それと共にその向きは図5に示すごとく、排出口6の中心側に向け斜めに形成される。爪8の爪先端8aの位置は、出口に隣接した送り孔1の下流側の孔縁部に接するように配置される。
【0017】
すなわち、釘送り装置12の送り爪11によって、送り孔1を介して1ピッチづつ連結帯残部2aが排出されるとき、爪先端8aがその送り孔1のわずか下流側に接触する。それによって、図5に示すごとく、連結帯残部2aをそのコイル状の巻き癖と反対方向に押し付け、ノーズケース5a側にその先端部が巻きつくことを可及的に防止し、釘打作業の邪魔にならないようにする。この爪先端8aと連結帯2の送り孔1との距離は、一例として0.5〜2mm程度が好ましく、より好ましくは0.7〜1.5mm程度である。
【0018】
このように爪先端8aと連結帯2の送り孔1との距離を近接するのは、連結帯残部2aの切断を容易にするためである。すなわち、連結帯残部2aを切断するには図8に示すごとく、それを排出口6の向きと反対側に引き伸ばす。すると、連結帯残部2aの弾性変形あるいは連結帯2の送りの遊び等により引伸ばされて、排出口6に隣接した連結帯残部2aの送り孔1が爪8に容易に嵌着する。そこで、連結帯残部2aを横に引くことにより、それが爪8両側に設けた刃8bによって容易に切断される。
【0019】
この爪8の形状は、図6に示すごとく、平面台形状でその爪先端8aおよび両側に刃8bを有する。その爪8の刃幅は、図7(B)〜(D)に示すごとく、その爪先端8aの幅Nが連結帯残部2aの送り孔1の長さXより小で、爪8の根元の幅Mが送り孔1の幅Xより大である。そのため、送り孔1が爪8に完全に嵌入すると、その両側の刃8bによって送り孔1の長手方向両側が切断され、そこから連結帯残部2aを容易に切り取ることができるようになる。
【0020】
次に、図11、図12は本発明の第2の実施例である。
この例は、釘打機の排出口6が図2の場合と逆向きに形成されたものである。
この場合にも、爪8は排出口6の縁部に突設され、その先端が連結帯残部2aの送り孔1孔縁に接する。他の構成は、前記第1実施例と同様の作用・効果になるように形成されている。
【0021】
いずれの場合にも、連結帯残部2aを切断するとき爪先端8aに送り孔1が嵌着され、連結帯残部2aを引張ることにより、送り孔1から下流側のみにその引張力が加わり、爪8の上流側にはそれが伝わらない。そのため、釘送り装置12に並列された釘3に、連結帯残部2aの切断時に力が加わることがなく、その姿勢を正常に維持し、ノーズ5内での釘詰まりを確実に防止しうる。それと共に、爪8によって連結帯残部2aのコイル状の曲がり癖を矯正することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 送り孔
1a 釘保持部
1b 折り筋
1c 舌片部
2 連結帯
2a 連結帯残部
【0023】
3 釘
4 マガジン
5 ノーズ
5a ノーズケース
6 排出口
7 釘打機
8 爪
【0024】
8a 爪先端
8b 刃
9 トリガ
10 釘ガイド
11 送り爪
12 釘送り装置
13 ドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駒送り用の多数の送り孔(1)をその長手方向に離間して定間隔に配置した連結帯(2)が使用され、その連結帯(2)に多数の釘(3)が並列して連結され、それがコイル状に巻回されてマガジン(4)内に装填され、その並列された釘(3)が順次ノーズ(5)へ供給され、ノーズ(5)内に供給された釘(3)を連結帯(2)から離脱させて打ち込むとともに、釘(3)が打ち込まれた後の連結帯残部(2a)をノーズ(5)に隣接した排出口(6)から排出するようにした釘打機(7)であって、その釘打機(7)における連結帯残部(2a)の切断機構において、
前記排出口(6)の縁で且つ、前記連結帯残部(2a)の送り孔(1)が通過する位置に隣接して爪(8)が突設され、
その爪(8)は、その爪先端 (8a) の位置が釘打機(7)の使用状態で、排出された連結帯残部(2a)の排出口の出口に隣接した送り孔(1)の下流側孔縁(1a)の少し下流に位置すると共に、排出された連結帯残部(2a)を爪(8)側に引き寄せたとき、その連結帯(2)の弾性変形やその送りの遊びにより、その送り孔(1)がその爪(8)に嵌入するように構成されたことを特徴とする釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項2】
請求項1に記載の釘打機(7)における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)は排出口の外側に向け且つ、その連結帯残部(2a)の排出口(6)の幅方向の中心側に斜めに配置されると共に、その排出口(6)から排出された連結帯残部(2a)の排出口(6)に隣接する位置で、その爪(8)が連結帯残部(2a)に接触することにより、連結帯(2)の巻き癖を直す方向に、その連結帯残部(2a)が誘導される釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)はその幅方向の側部に刃(8b)が形成されている釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項4】
請求項3に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)の爪先端(8a)の幅が、前記送り孔(1)の幅方向長さより小であり、爪(8)の根元の幅が前記送り孔(1)の幅方向長さより大である釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項1】
駒送り用の多数の送り孔(1)をその長手方向に離間して定間隔に配置した連結帯(2)が使用され、その連結帯(2)に多数の釘(3)が並列して連結され、それがコイル状に巻回されてマガジン(4)内に装填され、その並列された釘(3)が順次ノーズ(5)へ供給され、ノーズ(5)内に供給された釘(3)を連結帯(2)から離脱させて打ち込むとともに、釘(3)が打ち込まれた後の連結帯残部(2a)をノーズ(5)に隣接した排出口(6)から排出するようにした釘打機(7)であって、その釘打機(7)における連結帯残部(2a)の切断機構において、
前記排出口(6)の縁で且つ、前記連結帯残部(2a)の送り孔(1)が通過する位置に隣接して爪(8)が突設され、
その爪(8)は、その爪先端 (8a) の位置が釘打機(7)の使用状態で、排出された連結帯残部(2a)の排出口の出口に隣接した送り孔(1)の下流側孔縁(1a)の少し下流に位置すると共に、排出された連結帯残部(2a)を爪(8)側に引き寄せたとき、その連結帯(2)の弾性変形やその送りの遊びにより、その送り孔(1)がその爪(8)に嵌入するように構成されたことを特徴とする釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項2】
請求項1に記載の釘打機(7)における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)は排出口の外側に向け且つ、その連結帯残部(2a)の排出口(6)の幅方向の中心側に斜めに配置されると共に、その排出口(6)から排出された連結帯残部(2a)の排出口(6)に隣接する位置で、その爪(8)が連結帯残部(2a)に接触することにより、連結帯(2)の巻き癖を直す方向に、その連結帯残部(2a)が誘導される釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)はその幅方向の側部に刃(8b)が形成されている釘打機における連結帯残部の切断機構。
【請求項4】
請求項3に記載の釘打機における連結帯残部の切断機構において、
前記爪(8)の爪先端(8a)の幅が、前記送り孔(1)の幅方向長さより小であり、爪(8)の根元の幅が前記送り孔(1)の幅方向長さより大である釘打機における連結帯残部の切断機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−171030(P2012−171030A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33292(P2011−33292)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(390018658)郡山チップ工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(390018658)郡山チップ工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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