説明

釣り用リール

【課題】釣り用リールにおいて、釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握できるようにする。
【解決手段】表示部62のタイマ速度表示領域62cには、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)は、釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を演算して得られた速度単位系の数値を表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リール、特に、釣り糸の巻き取り及び繰り出しを行う釣り用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り用リールは、リール本体と、リール本体に装着されたスプールと、スプールを回転させるハンドルと、リール本体の上面に装着されたカウンタケースとを有している。カウンタケースの上面には、水深表示用の表示部と、各種の入力を行うスイッチ操作部とを有している。表示部は、たとえばセグメント方式やドットマトリックス方式の液晶ディスプレイであり、棚位置や現在の仕掛けの水深等を表示することができる。
【0003】
このような釣り用リールでは、糸巻き上げ時のスプールの回転をモータで行うことのできる電動リールでは、釣り糸が繰り出される糸送りモードであるときに、モータの段数(モータ出力レベル値)を表示部に表示させたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この種の釣り用リールでは、釣り糸が繰り出されているときにモータの段数(モータ出力レベル値)が表示されているので、釣人は釣り糸繰り出し停止後にモータで釣り糸を巻き上げるときの釣り糸巻き上げ速度を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−176702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の釣り用リールは、釣り糸が繰り出されているときにモータの段数が表示されているので、釣人は釣り糸繰り出し停止後にモータで釣り糸を巻き上げるときの釣り糸巻き上げ速度を把握することができるが、釣り糸繰り出しているときには、特に、糸送りをしてさそい動作を繰り返す釣りをしているときには、釣人は魚等がヒットしたときの釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握することができないといった問題がある。
【0006】
本発明の課題は、釣り用リールにおいて、釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る釣り用リールは、釣り糸の巻き取り及び繰り出しを行う釣り用リールであって、リール本体と、スプールと、スプールセンサと、釣り糸繰り出し速度算出手段と、表示部と、釣り糸繰り出し速度表示手段とを備えている。スプールは、リール本体に回転自在に支持された糸巻き用のものである。スプールセンサは、スプールの回転数及び回転方向を検出する。釣り糸繰り出し速度算出手段は、スプールセンサにより検出されたスプールの釣り糸繰り出し方向の回転数を基にして釣り糸繰り出し速度を算出する。表示部は、リール本体に設けられ、各種の情報を表示する。釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸が繰り出されているとき、釣り糸繰り出し速度算出手段により算出された釣り糸繰り出し速度を表示部に表示する。
【0008】
この釣り用リールでは、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度を表示するようになっているので、釣人は魚等がヒットしたときの釣り糸が繰り出されているときの釣り糸繰り出し速度を把握できるので、釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握できる。
【0009】
発明2に係る釣り用リールは、発明1の釣り用リールにおいて、モータと、モータ出力値設定手段と、モータ駆動制御部と、モータ出力値表示手段とをさらに備えている。モータは、スプールを回転させるものである。モータ出力値設定手段は、モータの出力値を設定する。モータ駆動制御部は、モータ出力値設定手段により設定されたモータの出力値に応じてモータを駆動制御する。モータ出力値表示手段は、モータにより釣り糸が巻き上げられているとき、モータ出力設定手段により設定されたモータの出力値を釣り糸繰り出し速度に代えて表示部に表示する。この場合、モータにより釣り糸が巻き上げられているとき、モータ出力設定手段により設定されたモータの出力値を釣り糸繰り出し速度に代えて表示部に表示するようになっているので、表示領域を広げることなく釣人が必要とする情報を表示させることができる。
【0010】
発明3に係る釣り用リールは、発明1又は2の釣り用リールにおいて、タイマ手段と、タイマ表示手段とをさらに備えている。タイマ手段は、スプールセンサによりスプールの釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったときに開始され、経過時間を計測する。タイマ表示手段は、タイマ手段により計測された経過時間を釣り糸繰り出し速度に代えて表示部に表示する。この場合、タイマ手段により計測された経過時間を釣り糸繰り出し速度に代えて表示部に表示するようになっているので、表示領域を広げることなく釣人が必要とする情報を表示させることができる。
【0011】
発明4に係る釣り用リールは、発明1から3のいずれかの釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度を速度単位系の数値で表示する。この場合、釣人は実際の釣り糸繰り出し速度を速度単位系の数値で正確に把握できる。
【0012】
発明5に係る釣り用リールは、発明1から3のいずれかの釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度を所定の速度範囲が所定の段数となるように設定した段数で表示する。この場合、釣人は釣り糸繰り出し速度を段数で感覚的に把握できる。
【0013】
発明6に係る釣り用リールは、発明5の釣り用リールにおいて、所定の速度範囲は、モータの出力段階に応じた巻き上げ速度を基準として設定されている。この場合、釣人が釣り糸繰り出し速度の程度を感覚的に把握しやすくなる。特に、速度モードを有する電動リールでは、各段階に速度範囲が設定されているので、そのテーブルを共用することで余分な数値を記憶する必要がなくなる。
【0014】
発明7に係る釣り用リールは、発明2から6のいずれかの釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、モータ出力値表示手段と異なる表示を行う。この場合、モータ出力値の表示と釣り糸繰り出し速度の表示を即座に識別することができる。
【0015】
発明8に係る釣り用リールは、発明7の釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度を点滅表示する。この場合、他の表示部分を点灯表示し、釣り糸繰り出し速度を点滅表示することにより、釣り糸繰り出し速度の視認性を向上できる。
【0016】
発明9に係る釣り用リールは、発明7又は8の釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度をカラー表示する。この場合、釣り糸繰り出し速度を他の表示部分と異なる色でカラー表示することにより、釣り糸繰り出し速度の視認性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、釣り用リールにおいて、釣り糸繰り出し速度表示手段は、釣り糸繰り出し速度を表示するようになっているので、釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態が採用された釣り用リールの斜視図。
【図2】前記釣り用リールの側面断面図。
【図3】前記釣り用リールのカウンタケースの平面図。
【図4】前記カウンタケースの表示部の拡大平面図。
【図5】経過時間を点滅表示しているときの図5に相当する図。
【図6】前記釣り用リールの制御系の構成を示すブロック図。
【図7】前記釣り用リールの表示制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を採用した電動リールは、図1及び図2に示すように、外部電源から供給された電力によりモータ駆動される大型の電動リールであって、糸繰り出し長さ又は糸巻き取り長さに応じて仕掛けの水深を表示する水深表示機能を有する電動リールである。
【0020】
電動リールは、釣竿に装着可能なリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール10の回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3と、本発明の一実施形態による水深表示用のカウンタケース4とを主に備えている。
【0021】
リール本体1は、フレーム7と、フレーム7の左右を覆う第1側カバー8a及び第2側カバー8bと、フレーム7の前部を覆う前カバー9(図2参照)とを有している。フレーム7は、たとえば、ガラス繊維を含浸したポリアミド樹脂等の合成樹脂製であり、第1側板7a及び第2側板7bと、それらを下部、後部及び前上部の3箇所で連結する複数の連結部材7cとを有している。
【0022】
リール本体1の内部には、モータ12及びハンドル2に連結された糸巻き用のスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部に、スプール10を糸巻き取り方向に回転駆動するモータ12が配置されている。また、リール本体1の内部には、スプール10に連動して動作するレベルワインド機構13(図2参照)やハンドル2及びモータ12の回転をスプール10に伝達する図示しない回転伝達機構等が設けられている。回転伝達機構に設けられた図示しない遊星歯車機構にモータ12が連結されている。
【0023】
ハンドル2側の第2側カバー8bの中央下部には、図1に示すように、ハンドル2が回転自在に支持されている。また、ハンドル2の支持部分の上方前部には、モータ12を複数段階に制御するための調整レバー5が揺動自在に支持されている。調整レバー5の後方には、クラッチ操作部材11が揺動自在に配置されている。クラッチ操作部材11は、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオン、オフする図示しないクラッチをオン、オフ操作するための部材である。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。ハンドル2と逆側の第1側カバー8aには、電源ケーブル接続用のコードコネクタ14が下向きに装着されている。
【0024】
前カバー9には、図2に示すように、釣り糸通過用の横長の開口9aが形成されている。下部の連結部材7cには、電動リールを釣竿に装着するための竿装着脚部7dが形成されている。
【0025】
リール本体1の第1側板7a及び第2側板7bの上部に、図1及び図2に示すように、釣り糸の先に装着された仕掛けの水深を表示するカウンタケース4が固定されている。
【0026】
カウンタケース4は、図2及び図3に示すように、リール本体1の前上部に載置されており、リール本体1の第1側板7a及び第2側板7bに固定されている。カウンタケース4の上面部には、液晶ディスプレイを有する表示部62が設けられ、カウンタケース4の内部には、各種の制御を行う制御部63(図6参照)を備えている。
【0027】
また、表示部62の後方には、図3に示すように、寸動巻き上げスイッチSW1、モード切り換えスイッチSW2及び0セットスイッチSW3が配置されている。
【0028】
寸動巻き上げスイッチSW1は、スイッチ操作をしている間だけモータ12を駆動し釣り糸を少しだけ巻き上げるためのスイッチである。この寸動巻き上げスイッチSW1を3秒以上長押しすると、寸動巻き上げ速度を変更するモードに移行し、後述する表示部62のタイマ速度表示領域62cに現在の寸動巻き上げ速度が点滅表示される。そして、調整レバー5の前後方向の揺動操作又はモード切り換えスイッチSW2の押圧操作の回数によって、寸動巻き上げ速度を増減し、0セットスイッチSW3を操作することによって、寸動巻き上げ速度が設定され、タイマ速度表示領域62cが点灯表示になる。なお、この寸動巻き上げスイッチSW1は、調整レバー5の操作によってモータ12がオン状態にされたときや、さそい巻き上げを行っているときや、船縁停止位置まで巻き上げたときには、操作が無効になっている。ここでは、寸動巻き上げスイッチSW1の操作によってモータ12を停止させることがないので、魚等とやりとりしているときに、釣人が不用意に寸動巻き上げスイッチSW1に触れてモータ12を停止させ、魚等がばれてしまうのを防止できる。また、船縁停止位置で寸動巻き上げスイッチSW1の操作が無効になっているので、釣人が不用意に寸動巻き上げスイッチSW1に触れてモータ12を駆動させ、仕掛けを穂先に巻き込んでしまうのを防止できる。
【0029】
モード切り換えスイッチSW2は、モードを切り換えるためのスイッチである。モード切り換えスイッチSW2を操作する毎に上からモード(仕掛けの水深を水面からの深さで表示するモード)と、底からモード(仕掛けの水深を水底からの水深で表示するモード)とに切り換える。また、モード切り換えスイッチSW2を3秒以上長押しすると、長押しの都度、モータ12の制御モードを速度モードと、張力モードとに切り換えできる。ここで、速度モードは、調整レバー5の揺動角度に応じてスプール10の回転速度の上限速度を31段階に多段速度制御可能なモードである。張力モードは、釣り糸に作用する張力の上限張力を31段階に多段張力制御可能なモードである。なお、両モードとも、最高段階の31段階は、100%デューティでモータ12を動作させる速巻速度であり、電流制限は行うが、速度制御は行わない。
【0030】
0セットスイッチSW3は、3秒以上操作すると、カウンタを0にリセットするためのスイッチである。
【0031】
表示部62は、図3及び図4に示すように、上側中央に配置された3桁表示の水深表示領域62aと、その右下方に配置された3桁表示のメモ水深表示領域62bと、水深表示領域62aの左下方に配置された2桁表示のタイマ速度表示領域62cとを有している。表示部62のタイマ速度表示領域62cの上方には「通信中」を表す図形、底からモードを表す「底」の文字、速度モードを表す「速」の文字、「バッテリ状態」を表す図形及びさそいモードを表す「さそい」の文字が表示されている。
【0032】
タイマ速度表示領域62cは、図5に示すように、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)は、釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を演算して得られた速度単位系の数値を表示し、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったとき(スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が停止したとき)にモータ12の駆動により釣り糸を巻き上げていないとき(モータ12が停止したときやハンドル2による手巻きをしているとき)は、釣り糸繰り出し速度に代えて経過時間を0、1、2のように1分単位で表示し、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げているときは、釣り糸繰り出し速度や経過時間に代えて経過時間が表示されていた表示領域に、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を、たとえば、31段階で表示する。タイマ速度表示領域62cでは、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げているときは、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を優先して表示させ、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)でも釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を表示させないようになっている。また、タイマ速度表示領域62cでは、釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を優先して表示させ、経過時間を表示させないようになっている。タイマ速度表示領域62cでは、釣り糸繰り出し速度や経過時間を他の表示部分と異なる色で1秒毎に点滅表示し、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を他の表示部分と同様に点灯表示するようになっている。
【0033】
制御部63は、図6に示すように、機能構成としてモータ12を制御するモータ制御部60と、表示部62を制御する表示制御部61とを有している。モータ制御部60は、モータ12をPWM制御する。
【0034】
制御部63には、寸動巻き上げスイッチSW1、モード切り換えスイッチSW2及び0セットスイッチSW3が接続されている。また、制御部63には、表示部62と、スプール10の回転速度及び回転方向を検出するためのスプールセンサ64と、ブザー65と、モータ12をPWM駆動するFETを含むモータ駆動回路66と、タイマ67とが接続されている。
【0035】
モータ駆動回路66は、調整レバー5及び寸動巻き上げスイッチSW1の操作に応じて
モータ12の駆動を制御する。モータ駆動回路66は、予め設定した仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置でモータ12の駆動を停止させる制御を行うようになっている。
【0036】
タイマ67は、経過時間を計測するタイマであって、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったとき、すなわち、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が停止したときにタイマ67が自動的に開始されるようになっている。また、タイマ67は、モータ駆動回路66が予め設定した仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置でモータ12の駆動を停止させる制御を行ったとき、経過時間の計測を停止しかつ経過時間を初期状態にリセットするようになっている。
【0037】
次に、制御部63の表示制御部61によって行われる表示制御処理を図7に示す制御フローチャートに従って説明する。
【0038】
まず、電動リールの電源がオンされ、水深表示を「0」にしたり、各種のフラグをリセットする初期設定が行われた状態で開始される。そして、釣り糸が繰り出しを開始後において、図7に示すステップS1において、糸繰り出し方向の回転停止が検出されたか否かを判断する。具体的には、ステップS1では、スプールセンサ64によって糸操出方向の回転が所定時間以上(たとえば、1秒以上)検出されなかったとき、糸繰り出し方向の回転が停止したと判断する。なお、ステップS1では、糸ふけをとったり、棚位置を調節するために、ハンドル2によってスプール10が糸巻き上げ方向に回転しても、糸操り出し方向の回転は検出されなかったことになる。ステップS1において、糸繰り出し方向の回転が停止していない(釣り糸が繰り出されている)と判断されたとき、ステップS2へ移行し、糸繰り出し方向の回転が停止したと判断されたとき、ステップS5へ移行する。ステップS2では、釣り糸繰り出し速度の算出を行い、ステップS5では、経過時間を計測する。
【0039】
ステップS2では、図7に示す釣り糸繰り出し速度算出処理を行う。ステップS2では、制御部63によってスプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)の釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を演算して得られた速度単位系の数値データを図示しない記憶部に記憶し、ステップS3に移行する。ステップS3では、図7に示す釣り糸繰り出し速度読み出し処理を行う。ステップS3では、記憶部に記憶された釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)の数値データを読み出し、ステップS4に移行する。ステップS4では、図7に示す釣り糸繰り出し速度表示処理を行う。ステップS4では、読み出された釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)の数値を表示部62のタイマ速度表示領域62cに表示する。
【0040】
ステップS5では、図7に示す経過時間計測処理を行う。ステップS5では、糸繰り出し方向の回転が停止したと判断されたとき、タイマ67が開始され、ステップS6へ移行する。
【0041】
ステップS6では、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げているか否かを判断する。具体的には、モータ駆動回路66がモータ12を釣り糸巻き上げ方向に駆動しているか否かを判断する。ステップS6において、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げていると判断されたとき、ステップS7へ移行し、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げていないと判断されたとき、ステップS9へ移行する。
【0042】
ステップS7では、図7に示すモータ出力値読み出し処理を行う。ステップS7では、モータ駆動回路66がモータ12を釣り糸巻き上げ方向に駆動しているときのモータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)の数値データを読み出し、ステップS8に移行する。ステップS8では、図7に示すモータ出力値表示処理を行う。ステップS8では、読み出されたモータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を表示部62のタイマ速度表示領域62cに表示する。
【0043】
ステップS9では、図7に示す経過時間読み出し処理を行う。ステップS10では、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったとき(スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が停止したとき)にモータ12の駆動により釣り糸を巻き上げていないとき(モータ12が停止したときやハンドル2による手巻きをしているとき)の経過時間の数値データを読み出し、ステップS10に移行する。ステップS10では、図7に示す経過時間表示処理を行う。ステップS10では、読み出された経過時間を表示部62のタイマ速度表示領域62cに表示する。
【0044】
このような構成の釣り用リールでは、釣り糸を繰り出すときには、クラッチ操作部材11を手前(後方)に操作することによりクラッチをオフする。クラッチオフすると、スプール10が自由回転状態になり、釣り糸に装着された重りの自重により釣り糸がスプール10から繰り出される。釣り糸が繰り出されるとスプール10が糸繰り出し方向に回転し、スプールセンサ64の検出パルスにより液晶ディスプレイ22cの水深表示が繰り出し量に応じて変化する。仕掛けが棚に到達すると、ハンドル2を糸巻き取り方向に回して図示しないクラッチ戻し機構によりクラッチをオンして釣り糸の繰り出しを停止する。
【0045】
魚等の当たりがあると、調整レバー5を操作し釣り糸を巻き上げる。調整レバー5を図1時計回りに揺動させると、その揺動角度に応じてスプール10の回転速度又は釣り糸に作用する張力の最大値を段階的に設定できる。
【0046】
このような釣り用リールでは、表示部62のタイマ速度表示領域62cには、釣り糸繰り出し速度を表示するようになっているので、釣人は魚等がヒットしたときの釣り糸が繰り出されているときの釣り糸繰り出し速度を把握できるので、釣り糸が繰り出されているときの状態を正確に把握できる。
【0047】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、モータ12によりスプール10を回転させる電動リールを例にあげて説明したが、仕掛けの水深を表示する表示部62を有するカウンタリールであってもよい。
【0048】
(b) 前記実施形態では、タイマ速度表示領域62cは、釣り糸繰り出し速度や経過時間を点滅表示させたり、釣り糸繰り出し速度や経過時間をカラー表示させたりしていたが、釣り糸繰り出し速度や経過時間をモータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)と異なる表示を行う構成であれば、このパターンに限定されるものではなく、点滅表示またはカラー表示の一方のみを行うようにしてもよい。ここでは、釣り糸繰り出し速度や経過時間の表示とモータ12の速度の表示を即座に識別することができる。
【0049】
(c) 前記実施形態では、タイマ速度表示領域62cは、モータ12の速度を段数で表示していたが、モータ12の実際の速度を演算して得られた速度単位系の数値で表示する構成にしてもよい。また、タイマ速度表示領域62cは、釣り糸繰り出し速度を演算して得られた速度単位系の数値で表示していたが、釣り糸繰り出し速度をモータ12の出力段階に応じた巻き上げ速度を基準とした所定の速度範囲が所定の段数となるように設定した段数で表示する構成にしてもよい。ここでは、各段階に速度範囲が設定されているので、そのテーブルを共用することで余分な数値を記憶する必要がなくなる。
【0050】
(d) 前記実施形態では、ステップS5では、糸繰り出し方向の回転が停止した時点から、タイマ67が開始されていたが、糸繰り出し方向の回転が停止してから所定時間以内に糸巻き上げ方向の回転が検出された場合には、糸巻き上げ方向の回転が検出された時点からタイマ67を開始する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 リール本体
2 ハンドル
3 スタードラグ
4 カウンタケース
5 調整レバー
7 フレーム
7a 第1側板
7b 第2側板
7c 連結部材
7d 竿装着脚部
8a 第1側カバー
8b 第2側カバー
9 前カバー
9a 開口
10 スプール
11 クラッチ操作部材
12 モータ
13 レベルワインド機構
14 コードコネクタ
60 モータ制御部
61 表示制御部
62 表示部
62a 水深表示領域
62b メモ水深表示領域
62c タイマ速度表示領域
63 制御部
64 スプールセンサ
65 ブザー
66 モータ駆動回路
67 タイマ
SW1 寸動巻き上げスイッチ
SW2 モード切り換えスイッチ
SW3 0セットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸の巻き取り及び繰り出しを行う釣り用リールであって、
リール本体と、
前記リール本体に回転自在に支持された糸巻き用のスプールと、
前記スプールの回転数及び回転方向を検出するスプールセンサと、
前記スプールセンサにより検出された前記スプールの前記釣り糸繰り出し方向の回転数を基にして釣り糸繰り出し速度を算出する釣り糸繰り出し速度算出手段と、
前記リール本体に設けられ各種の情報を表示する表示部と、
前記釣り糸が繰り出されているとき、前記釣り糸繰り出し速度算出手段により算出された前記釣り糸繰り出し速度を前記表示部に表示する釣り糸繰り出し速度表示手段と、
を備えた釣り用リール。
【請求項2】
前記スプールを回転させるモータと、
前記モータの出力値を設定するモータ出力値設定手段と、
前記モータ出力値設定手段により設定された前記モータの出力値に応じて前記モータを駆動制御するモータ駆動制御部と、
前記モータにより前記釣り糸が巻き上げられているとき、前記モータ出力設定手段により設定された前記モータの出力値を前記釣り糸繰り出し速度に代えて前記表示部に表示するモータ出力値表示手段と、
をさらに備えている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項3】
前記スプールセンサにより前記スプールの前記釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったときに開始され、経過時間を計測するタイマ手段と、
前記タイマ手段により計測された前記経過時間を前記釣り糸繰り出し速度に代えて前記表示部に表示するタイマ表示手段とをさらに備えている、請求項1又は2に記載の釣り用リール。
【請求項4】
前記釣り糸繰り出し速度表示手段は、前記釣り糸繰り出し速度を速度単位系の数値で表示する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リール。
【請求項5】
前記釣り糸繰り出し速度表示手段は、前記釣り糸繰り出し速度を所定の速度範囲が所定の段数となるように設定した段数で表示する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リール。
【請求項6】
前記所定の速度範囲は、前記モータの出力段階に応じた巻き上げ速度を基準として設定されている、請求項5に記載の釣り用リール。
【請求項7】
前記釣り糸繰り出し速度表示手段は、前記モータ出力値表示手段と異なる表示を行う、請求項2から6のいずれか1項に記載の釣り用リール。
【請求項8】
前記釣り糸繰り出し速度表示手段は、前記釣り糸繰り出し速度を点滅表示する、請求項7に記載の釣り用リール。
【請求項9】
前記釣り糸繰り出し速度表示手段は、前記釣り糸繰り出し速度をカラー表示する、請求項7又は8に記載の釣り用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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