説明

釣り用上着

【課題】帽子用ストラップにて確実に連結することができ、しかも上着に痕が付くようなことがない釣り用上着を提供することを課題とする。
【解決手段】
帽子に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部4,5を挟み込ませて該帽子3を上着本体側に連結可能となる連結体2を、上着本体の表面側に備え、前記連結体2が、帯状で長方形状に構成され、その連結体2の長手方向が左右方向に沿った状態で備えさせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りを行っている最中に使用する場合に、特に有効となる釣り用上着に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば炎天下等の日差しの強い日に釣りを行う場合には、帽子を被っての釣りになることが多い。しかしながら、釣りをしている最中に風に煽られて帽子が頭から外れて海に落ちてしまうことがあり、これを防止することができるように、帽子に帽子用ストラップを連結し、その帽子用ストラップにて帽子を上着の襟等に繋ぐことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−169703号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1では、帽子用ストラップを構成する紐の先端に備えている一対の挟持部を上着の襟等に挟み込む構成であるため、一対の挟持部の開く角度が、上着の襟の厚みよりも大きくなければ、挟むことができず、上着によっては使用できない不都合があった。
又、前記挟持部には、上着に食い込んで上着との連結が容易に解除されないようにするための爪部等を備えている場合が多く、その爪部が襟に食い込んでしまい、襟の材質によっては爪部による痕が残るという問題もあり、改善の余地があった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、帽子用ストラップにて確実に連結することができ、しかも連結解除後において上着に痕が残ることがない釣り用上着を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の釣り用上着は、帽子に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部を挟み込ませて該帽子を上着本体側に連結可能となる連結体を、上着本体の表面側に備えたことを特徴としている。
帽子に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部を、上着本体の表面側に備えた連結体に挟み込ませることによって、帽子を上着に確実に連結することができる。
【0006】
前記連結体が、帯状で長方形状に構成され、その連結体の長手方向が左右方向に沿った状態で備えさせてもよい。
【0007】
前記連結体が上着本体の表面に接する又は近接する状態で、該連結体の両端を前記上着本体に固定してもよい。
【0008】
前記連結体の両端を互いに内側に折り曲げて上下方向で重複した部分を、上着本体の表面に、該連結体の長手方向と直交する方向で縫着してもよい。
【0009】
前記連結体を、前記上着本体の襟の左右方向ほぼ中央に配置することが好ましい。
【0010】
前記連結体の長手方向と直交する幅寸法を、前記一対の挟持部による挟み込み幅以下に構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
帽子に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部を、上着本体の表面側に備えた連結体に挟み込ませることによって、帽子を上着に確実に連結することができ、しかも連結体に挟み込ませることにより、上着に痕が付くようなことがない釣り用上着を提供することができる。又、上着本体の表面側に連結体を備えさせていることから、上着を着た状態において連結体に一対の挟持部を連結することができるとともに、一対の挟持部が上着の外部に位置していることから、身体の一部が連結された一対の挟持部に接触することがない。
【0012】
前記連結体が、帯状で長方形状に構成され、その連結体をそれの長手方向が左右方向に沿った状態で備えさせることによって、上着とのマッチング度を高めることができるだけでなく、連結体を左右方向と交差する斜め方向に配置した場合に比べて、目立ち難くすることができる。又、連結体の長手方向に対して直交する上方から一対の挟持部を下方へ真っ直ぐ移動させるだけで、一対の挟持部を連結体に迅速に連結させることができる利点がある。
【0013】
前記連結体が上着本体の表面に接する又は近接する状態で、該連結体の両端を前記上着本体に固定することによって、連結体の上着からの突出量をできるだけ抑えることができるから、他物に連結体が引っ掛かり難くなる利点があるだけでなく、一対の挟持部の一方を上着の外面に沿わせながら連結体に片手にて迅速に差し込むことができる。
【0014】
前記連結体の両端を互いに内側に折り曲げて上下方向で重複した部分を、上着本体の表面に、該連結体の長手方向と直交する方向で縫着することによって、連結体の両端を上着に強固に固定することができ、解れ等を確実に回避することができる。
【0015】
前記連結体を、前記上着本体の襟の左右方向ほぼ中央に配置することによって、帽子から連結体までの距離を最短距離にすることができ、その分、帽子用ストラップの紐を必要に応じて短くすることができ、釣り時のときに紐が邪魔になることがなく、釣りに集中することができる。しかも、左右どちらの手からも帽子用ストラップの一対の挟持部を挟み込み易い位置になり、一対の挟持部の連結操作及び連結解除操作においても有利になる。
【0016】
前記連結体の長手方向と直交する幅寸法を、前記一対の挟持部による挟み込み幅以下に構成することによって、連結体への一対の挟持部による挟み込みを確実に行わせることができ、連結体から一対の挟持部が外れることを確実に阻止することができ、信頼性の高い商品にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図3に、釣り用上着の襟1の表面側(外面側)に縫着させた本発明の連結体2を示しているが、この連結体2は、図に示されるものに限定されるものではない。
【0018】
前記連結体2は、図5(a),(b)にも示すように、帯状で薄板状に構成され、かつ、正面視長方形状に構成され、その連結体2の長手方向が左右方向に沿った状態で備えられ、帽子3に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部4,5を該連結体2に挟み込ませて該帽子3を上着本体側に連結することができるようになっている。前記連結体2は、布で構成する他、伸び縮み可能なゴムや合成樹脂等の弾性を有する材料で構成してもよいし、金属や木等で構成することもできる。又、連結体2を帯状でかつ薄板状に構成することによって、一対の挟持部4,5を挟み込み易い利点があるが、多数本の紐を束ねた断面形状が円形又は楕円形の紐体であってもよい。
【0019】
前記連結体2は、前記上着本体の襟1の左右方向ほぼ中央でかつ上下方向ほぼ中央部に配置してあり、図1の状態において一対の挟持部4,5を右手又は左手のいずれの手によってもほぼ同一距離にある連結体2に容易に挟み込むことができる利点があるが、襟1の左右方向一端側に連結体2を配置してもよい。又、襟1に連結体2を取り付けることによって、帽子3からの距離を短くすることができる利点があるが、上着の左右の肩のいずれか一方に連結体2を取り付けて実施してもよい。
【0020】
前記連結体2が、図5(b)に示すように、上着本体の襟1の表面(外面)に近接する状態で(接する状態にしてもよい)、該連結体2の両端を前記上着本体の襟1に固定してあり、一対の挟持部4,5を上着本体の襟1の表面(外面)に沿わせながら下方へ移動させるだけで、一対の挟持部4,5間に連結体2を挟み込ませることができるようになっている。
【0021】
図5(a),(b)に示すように、前記連結体2の長手方向両端2A,2Aを互いに内側に折り曲げて上下方向で重複した部分2B,2Bを、上着本体の襟1の表面に、該連結体2の長手方向と直交する方向で縫着することによって、連結体2の両端を上着本体の襟1に強固に固定することができるようにしているが、折り曲げないでそのままの状態で連結体2の長手方向両端2A,2Aを上着本体の襟1の表面に縫着してもよい。図5(a),(b)に示す6が、縫着部分を示している。前記襟2の表面に取り付けられた連結体2の表面を蛍光物質等を塗布したり、連結体2を蛍光テープ等から構成することによって、夜間での歩行時に連結体2を発光させるようにしてもよい。前記連結体2をループ状(環状)にしたものを上着本体の表面側に固定してもよいし、一端のみが上着本体の表面側に連結された構成でもよく、連結体2の形状及び具体的な取付構造は自由に変更可能である。
【0022】
図4(b)に示すように、前記連結体2の長手方向と直交する幅寸法W1を、前記一対の挟持部4,5による挟み込み幅W2よりも小さく構成して、一対の挟持部4,5による連結体2の確実な挟み込みが行えるようにしているが、幅寸法W1を挟み込み幅W2と同等の大きさ又は幅寸法W1を挟み込み幅W2よりも少し大きくして実施することもできる。前記挟み込み幅W2は、挟持部4,5の基端部(紐側端)から先端までの間であるが、実際には、両挟持部4,5に挟持用の爪4A,4B、5Aを備えているため、挟持部4,5の基端部(紐側端)から該爪4A,4B、5Aのうちの最も先端側に位置する爪4Bまでの位置までとなる。
【0023】
前記帽子用ストラップは、一端が帽子3に縫着された帯状で布製の紐7(チェーン等でもよい)の他端に、前記一対の挟持部4,5を紐7連結用の貫通孔8Aを備えた操作部8を介して連結されているが、前記帽子用ストラップを帽子3に対して取り外し自在に連結してもよい。前記操作部8を、図4(a)に示すように一方の挟持部4から離間する側に倒伏操作することによって、該挟持部4に対して他方の挟持部5を離間操作することができるように、操作部8と他方の挟持部5とを連係しており、片手で一対の挟持部4,5を容易に開閉操作することができるように構成されているが、図に示す構成に限定されるものではない。
そして、前記操作部8を一方の挟持部4から離間する側に倒伏操作して、図4(a)に示すように、一対の挟持部4,5の挟持を解除する挟持解除状態にしたときに、一対の挟持部4,5同士がなす角度αが鋭角、実際には20度以下になっていることから、襟の厚い上着には、一対の挟持部4,5にて挟み込むことができない場合が多いが、本発明のような薄板状で帯状の連結体2であれば、容易かつ迅速に挟み込むことができるようになっている。図2及び図3に一対の挟持部4,5にて挟み込んだ後の状態を示し、紐7を介して帽子3が連結されているため、風により帽子3が頭から外れたとしても、帽子3が連結体2に連結されていることから、手の届く範囲にある帽子3を直ちに回収することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】帽子用ストラップを省略した帽子を被った釣り人の首から上を示す背面図である。
【図2】連結体に一対の挟持部を挟み込んで釣り人の帽子を釣り用上着に連結した状態を示す側面図である。
【図3】連結体に一対の挟持部を挟み込んで釣り人の帽子を釣り用上着に連結した状態を示す背面図である。
【図4】(a)は連結体に一対の挟持部を挟み込む直前の状態を示す要部の側面図、(b)は連結体に一対の挟持部を挟み込んだ状態を示す要部の側面図である。
【図5】(a)は連結体を襟に縫い付けている状態を示す斜視図、(b)は襟に連結体を縫い付けた要部の平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…襟、2…連結体、2A…両端、2B…重複部分、3…帽子、4,5…挟持部、4A,4B…爪、6…縫着部、7…紐、8…操作部、8A…貫通孔、W1,W2幅、α…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽子に連結された帽子用ストラップに備えている一対の挟持部を挟み込ませて該帽子を上着本体側に連結可能となる連結体を、上着本体の表面側に備えたことを特徴とする釣り用上着。
【請求項2】
前記連結体が、帯状で長方形状に構成され、その連結体の長手方向が左右方向に沿った状態で備えさせている請求項1に記載の釣り用上着。
【請求項3】
前記連結体が上着本体の表面に接する又は近接する状態で、該連結体の両端を前記上着本体に固定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の釣り用上着。
【請求項4】
前記連結体の両端を互いに内側に折り曲げて上下方向で重複した部分を、上着本体の表面に、該連結体の長手方向と直交する方向で縫着したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の釣り用上着。
【請求項5】
前記連結体を、前記上着本体の襟の左右方向ほぼ中央に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の釣り用上着。
【請求項6】
前記連結体の長手方向と直交する幅寸法を、前記一対の挟持部による挟み込み幅以下に構成したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の釣り用上着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−19314(P2009−19314A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184833(P2007−184833)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】