説明

釣り竿用制御装置

【課題】本発明は、各種釣り竿及び釣り糸のたわみ強度及び引張り強度からなる制御データを用いてリールを制御し、安全に釣りを行うことを目的とする。
【解決手段】本発明による釣り竿用制御装置は、竿本体(1)に設けられた電動リール(3)と制御装置(11)とジャイロ部(10)とを有し、制御装置(11)には各種竿本体(1)と釣り糸(6)のたわみ強度と引張り強度が予め制御データとして記憶されており、竿本体(1)と釣り糸(6)を使用する時に選択した制御データと各ジャイロ部(10)からのレートを用いて電動リール(3)を制御する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り竿用制御装置に関し、特に、市販されている各種の釣り竿及び釣り糸の予め判明している少なくともたわみ強度及び引張り強度等を制御データとして記憶し、当該釣り竿及び釣り糸を用いる場合、この制御データと各ジャイロ部からのレートとを用いて電動リールの制御を行うことにより、釣り糸切れや魚のバラシを防止するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられいたこの種の釣り竿としては種々あるが、その中で一例を挙げると、特許文献1に開示された構成を図3として開示することができる。
すなわち、図3において符号1で示されるものは竿本体であり、この竿本体1の根元部2にはリール3が設けられている。
前記根元部2の先端側には、穂先部4及び先端部5が連続して形成されており、この穂先部4及び先端部5には、リール3からの釣り糸6をガイドするための複数のガイド部7が設けられている。
従って、魚が釣れた場合には、リール3を手で巻きつつ、魚をたぐり寄せて釣り上げていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の釣り竿は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、釣り竿には、リール(電動又は手動)しか設けられていないため、魚が釣れた後の竿さばき及び釣り糸のたぐり動作は、その釣り人自身の感と経験によって釣り糸のテンション及び速度等を合わせていたため、状況によっては釣り糸が切断されたり、魚をばらしたりすることがあった。
特に、プレジャー船に乗って行う大型のカジキマグロ漁等においては、魚の引く力が強いため、釣り人の感に頼ったリールさばきでは、魚を確実に釣り上げることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による釣り竿用制御装置は、長手形状の竿本体の根元部に設けられた電動リールと、前記電動リールを制御するための制御装置と、前記竿本体の長手方向に沿って複数設けられ釣り糸を案内するためのガイド部と、前記竿本体にその長手方向に沿って互いに間隔をおいて設けられた複数のジャイロ部と、前記各ジャイロ部と前記制御装置とを接続するための信号線と、を備え、前記制御装置には、各種の前記竿本体及び釣り糸の予め判明している少なくともたわみ強度及び引張り強度からなる制御データを記憶させ、前記各ジャイロ部及び制御装置を備えた竿本体及び釣り糸を用いる場合、前記竿本体及び釣り糸に対応して選択した前記制御データと各ジャイロ部からのレートとを用いて前記制御装置により前記電動リールの制御を行う構成であり、また、前記ジャイロ部は、前記竿本体の根元部と、先端部と、前記根元部と先端部との間の中間部とに設けられている構成であり、また、前記竿本体の前記ジャイロ部で検出されたたわみ状態に基づいて、前記制御装置と電動リールを介して前記釣り糸に対する少なくともドラグ調整及び巻き上げ速度の調整を行う構成であり、また、前記各ジャイロ部は、シリコン基板を微細加工してなる構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による釣り竿用制御装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、長手形状の竿本体の根元部に設けられた電動リールと、前記電動リールを制御するための制御装置と、前記竿本体の長手方向に沿って複数設けられ釣り糸を案内するためのガイド部と、前記竿本体にその長手方向に沿って互いに間隔をおいて設けられた複数のジャイロ部と、前記各ジャイロ部と前記制御装置とを接続するための信号線と、を備え、前記制御装置には、各種の前記竿本体及び釣り糸の予め判明している少なくともたわみ強度及び引張り強度からなる制御データを記憶させ、前記各ジャイロ部及び制御装置を備えた竿本体及び釣り糸を用いる場合、前記竿本体及び釣り糸に対応して選択した前記制御データと各ジャイロ部からのレートとを用いて前記制御装置により前記電動リールの制御を行うことにより、市販の竿及び釣り糸の強度等と各ジャイロ部からのレートを利用して電動リールの動作を制御し、釣り糸の切れを防止し、確実な釣り上げを行うことができる。
また、前記ジャイロ部は、前記竿本体の根元部と、先端部を、前記根元部と先端部との間の中間部とに設けられていることにより、竿本体の全体のたわみ状態を検出することができる。
また、前記竿本体の前記ジャイロ部で検出されたたわみ状態に基づいて、前記制御装置と電動リールを介して前記釣り糸に対する少なくともドラグ調整及び巻き上げ速度の調整を行うことにより、魚の大小に拘わらず、安定した釣り上げ動作を得ることができる。
また、前記各ジャイロ部は、シリコン基板を微細加工して構成されていることにより、超小型のジャイロ部を得ることができ、竿本体への取付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による釣り竿用制御装置を示す構成図である。
【図2】図1の装置を用いて釣りを行っている状態を示す構成図である。
【図3】従来の釣り竿を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、市販される各種の釣り竿及び釣り糸の予め判明している引張り強度及びたわみ強度等からなる制御データを記憶し、当該釣り竿及び釣り糸を用いる場合、この制御データ及び各ジャイロ部からのレートを用いてリールの制御を行うことにより、釣り糸切れや魚のバラシを防止するようにした釣り竿用制御装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0009】
以下、図面と共に本発明による釣り竿用制御装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1で示されるものは、竿本体であり、この竿本体1の根元部2には電動のリール3が設けられている。
【0010】
前記電動リール3に巻回された釣り糸6は、前記竿本体1の長手方向Aに沿う根元部2から中間部8を経て先端部5にかけて設けられた複数のガイド部7を介して先端部5の外方へ案内されている。
【0011】
前記竿本体1の長さ方向Aに沿う根元部2、先端部5及びこの根元部2と先端部5との間に位置する中間部8には、各々ジャイロ部10が設けられ、各ジャイロ部10からのレートからなる検出信号は、各ジャイロ部10と制御装置11を接続するための信号線12を介して前記制御装置11に取り込まれるように構成されている。
【0012】
前記各ジャイロ部10は、周知のMEMS加工により構成されたジャイロよりなり、このMEMS加工は、周知のように、シリコン基板をエッチング処理によって微細加工し、静電気検出型の超小型ジャイロで形成され、例えば、特開平5−203449号公報にも開示されている。
【0013】
前記制御装置11は、前記電動リール3内に内蔵又は外付けによって設けられており、前記信号線12を介して各ジャイロ部10が設けられた各部分の変形時のレートを検出し、このレートから各部分のたわみ状態を検出することができるように構成されている。
【0014】
前記制御装置11内のメモリには、一般に市販の各種の竿本体1及び釣り糸6の予め判明している少なくともたわみ強度及び引張り強度を制御データとして事前に記憶させ、竿本体1の場合はたわみ強度等、釣り糸6の場合は引張り強度等の必要な特性を制御データとして記憶させている。
【0015】
次に、前述の構成による本発明の釣り竿用制御装置を用いて釣りをする場合、まず、今回の釣りに使用する竿本体1と釣り糸6の特性である前記制御データを前記制御装置11のパネル(図示せず)を用いて選択して制御装置11のリール3の制御に用いる。
この制御データは、一例として次のような各竿及び釣り糸に数値(図示せず)として設定されている。
イカ釣り用竿 ダイワ1号
シマノ3号
天竜釣り竿10号
小物用竿 ダイワー号
シマノー号
釣り糸 PE1号
PE2号
ナイロン1号
ナイロン2号
【0016】
前述のように、今回使用する竿本体1と釣り糸6の前記制御データの選択と入力設定が完了した後、釣り糸6の先端の釣り針21に餌をとりつけ、海等で釣りをし、魚22が餌に喰いつき、釣り糸6を引き込んだ場合、図2で示されるように、竿本体1が大きく湾曲して変形すると、各ジャイロ部10が設けられた各部分の変形時のレートが各ジャイロ部10によって検出されて制御装置11に取り込まれる。
【0017】
前記各ジャイロ部10からのレートは、制御装置11内でたわみ状態として数値(図示せず)に変換され、予め記憶された前記制御データとの比較において前記竿本体1が折れないように、かつ、釣り糸6が切れることのないように電動リール3の回転動作が自動的(予め設定されたプログラムによる)に制御され、適正な釣り糸6の速度、テンション及びドラグの調整を自動の状態で行うことができ、魚22をバラすことなく、また、釣り糸6を切断することなく、竿本体1を折ることなく、確実に魚22を釣り上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明による釣り竿用制御装置は、海釣りに限らず、川釣り、湖釣り等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 竿本体
2 根元部
3 電動リール
5 先端部
6 釣り糸
7 ガイド部
8 中間部
10 ジャイロ部
11 制御装置
12 信号線
20 釣り竿
21 釣り針
22 魚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手形状の竿本体(1)の根元部(2)に設けられた電動リール(3)と、前記電動リール(3)を制御するための制御装置(11)と、前記竿本体(1)の長手方向(A)に沿って複数設けられ釣り糸(6)を案内するためのガイド部(7)と、前記竿本体(1)にその長手方向(A)に沿って互いに間隔をおいて設けられた複数のジャイロ部(10)と、前記各ジャイロ部(10)と前記制御装置(11)とを接続するための信号線(12)と、を備え、
前記制御装置(11)には、各種の前記竿本体(1)及び釣り糸(6)の予め判明している少なくともたわみ強度及び引張り強度からなる制御データを記憶させ、前記各ジャイロ部(10)及び制御装置(11)を備えた竿本体(1)及び釣り糸(6)を用いる場合、前記竿本体(1)及び釣り糸(6)に対応して選択した前記制御データと各ジャイロ部(10)からのレートとを用いて前記制御装置(11)により前記電動リール(3)の制御を行うことを特徴とする釣り竿用制御装置。
【請求項2】
前記ジャイロ部(10)は、前記竿本体(1)の根元部(2)と、先端部(5)と、前記根元部(2)と先端部(5)との間の中間部(8)とに設けられていることを特徴とする請求項1記載の釣り竿用制御装置。
【請求項3】
前記竿本体(1)の前記ジャイロ部(10)で検出されたたわみ状態に基づいて、前記制御装置(11)と電動リール(3)を介して前記釣り糸(6)に対する少なくともドラグ調整及び巻き上げ速度の調整を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の釣り竿用制御装置。
【請求項4】
前記各ジャイロ部(10)は、シリコン基板を微細加工して構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の釣り竿用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−120551(P2011−120551A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282964(P2009−282964)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】