説明

釣り針及び魚釣り装置

【課題】 いったん針に掛かった魚を針から外れないようにするとともに、掛かった魚を取り外しやすくした釣り針と、その釣り針を使用した、魚を自動的に釣り上げて自動的に針から外すことのできる魚釣り装置を提供する。
【解決手段】 釣り針1は、針本体10と、先端部が針本体10の針先部に近接する近接位置と離隔する離隔位置との間で変位可能な外れ止めクロスバー20と、外れ止めクロスバー20を離隔位置に付勢する付勢部材30と、主糸3及び副糸4を備える。主糸3は、針本体10に係合するとともに外れ止めクロスバー20に接続されて、針本体10にかかった魚の力を受けて張力を付与されると、付勢部材30の付勢力に打ち勝って外れ止めクロスバー20を近接位置に変位させるとともに魚を釣り上げる。副糸4は、針本体10の湾曲部と根元部のつなぎ部分に接続されており、別途の手段により張力を付与されると、針先部を下方に向けて魚を外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り針とこの釣り針を使用した魚釣り装置に関する。特には、いったん針に掛かった魚を針から外れないようにするとともに、掛かった魚を取り外しやすくした釣り針に関する。また、そのような釣り針を使用し、魚を自動的に釣り上げ自動的に針から外すことのできる魚釣り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り針には、一般的に、いったん針に掛かった魚が針から外れないように、針の先端部に返し(戻し)が設けられている。しかし、魚が暴れた場合や魚の食い付き状態によっては、海中で魚が針から外れてしまうこともある。これに対して、針本体に、開口部(針の先端と基端との間の空間)を閉じる開閉機構を設けて、魚が針に掛かるとこの開閉機構が開口部を閉じて、魚を針から外れないようにした釣り針が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この釣り針においては、魚が針本体に掛かると、魚が針本体を引っ張る力と釣り人が糸を引く力とにより開閉機構が回転して針本体の開口部を閉じて、魚を針本体から外れないようにしている。
【0003】
ところで、掛かった魚を釣り針から外すには、釣り針の先端が下を向くように回転させると、魚は自重で釣り針から自動的に外れる。ただし、針に返しが設けられているとこのようにして外すことができないので、鰹の一本釣りなどを行うためなどに提案されている自動魚釣り装置では、作業性を考慮して返しのない釣り針が使用される。このような装置では、一本のロープ状あるいはループ状の釣り糸に複数の釣り針を取り付け、釣り糸を海中から引き上げながらあるいは海中で循環させながら魚を釣り、船上で釣り針を先端が下を向くように反転させて魚を自動的に釣り針から外すことが考えられる。
【0004】
しかしながら、このような自動魚釣り装置においては、釣り針に返しが設けられていないので、前述のように、魚が暴れた場合や魚の食い付き状態によっては、海中で魚が針から外れてしまうこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−101358
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、いったん針に掛かった魚を針から外れないようにするとともに、掛かった魚を取り外しやすくした釣り針と、その釣り針を使用した、魚を自動的に釣り上げて自動的に針から外すことのできる魚釣り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の釣り針は、 針先部、該針先部に接続された湾曲部、及び、該湾曲部から延びる根元部を有する針本体と、 その基端部が前記針本体の根元部に回動可能に取り付けられ、その先端部が前記針先部に近接する近接位置と離隔する離隔位置との間で変位可能な外れ止めクロスバーと、 該外れ止めクロスバーを離隔位置に付勢する付勢部材と、 前記針本体に係合するとともに前記外れ止めクロスバーに接続された主糸であって、前記針本体にかかった魚の力を受けて張力を付与されることにより、前記付勢部材の付勢力に打ち勝って前記外れ止めクロスバーを前記近接位置に変位させるとともに前記魚を釣り上げる主糸と、 前記針本体の湾曲部と前記根元部のつなぎ部分に接続された副糸であって、別途の手段により張力を付与されて、前記針先部を下方に向けて前記魚を外す副糸と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、魚が釣り針にかかっていないとき、主糸には針と餌、疑似餌の重力がかかって少し緊張している。そして、この緊張力よりも付勢手段の付勢力が強いので、外れ止めクロスバーは離隔位置にある。魚が釣り針にかかると、魚の引きや魚の自重が主糸にかかるので主糸の張力が増大し、付勢手段に打ち勝って外れ止めクロスバーを針先近接位置に変位させる。これにより、外れ止めクロスバーが針本体湾曲部口を閉じる、あるいは外れ止めクロスバーが針本体と魚の頭を押さえるような姿勢となって、かかった魚の外れを有効に防ぐことができる。
【0009】
このように、針本体に返しを設けなくとも、かかった魚を釣り針から外れないように保持することができる。また、副糸に張力を与えると、針本体を針先が下を向くように回転して魚を釣り針から外すことができるので、自動的に魚を釣り上げて、自動的に魚を釣り針から外すことのできる自動魚釣り装置に適用できる。
ただし、返しの有無は問わない。返しを設けない場合の方が糸の操作によって魚を釣り針から外しやすいが、魚がうまく外れる場合は多少返しがあってもよい。
【0010】
なお、従来技術で説明した釣り針(実開平1−101358号)は、外れ止めクロスバーを元の位置(離隔位置)に戻す手段について記載されていない。一方、本発明においては、主糸を緩めることにより外れ止めクロスバーを離隔位置に戻すことができる。さらに、副糸を備えることにより、針本体を回動させて魚を自動的に釣り針から外すことができる。
つまり、複数の釣り針をエンドレスの循環軌道を走行するように配設した魚釣り装置に適用すると、釣り針から自動的に魚を外すことができるので、魚を人手で外す作業が不要となる、効率よく漁獲量を高めることができる。
【0011】
また、魚を外す際に主糸と副糸とによって釣り針を水平方向に向けるために、副糸をガイドする伸縮性を有するリミット部材を設けることが好ましい。
【0012】
本発明においては、 前記外れ止めクロスバーの先端が、前記離隔位置において針先の上方にあり、前記近接位置に変位する際に、該外れ止めクロスバーの先端が下降することが好ましい。
【0013】
本発明においては、外れ止めクロスバーの先端が近接位置に下降して湾曲部の口を閉じる。この場合、従来技術の例(実開平1−101358号)のような、外れ止めクロスバーが、針本体の湾曲部内で湾曲部の口を閉じるように動くものと比べて、確実に開口を閉じて、魚がより外れにくくなることが期待できる。
【0014】
なお、外れ止めクロスバーの先端に、針先部方向に傾斜するとともに、先端に向かって幅広のへら状の先端部を設けることが好ましい。魚は釣り針にかかると、針から外れようとして強く糸を引っ張り、次に糸を緩めるという動作を繰り返す。外れ止めクロスバーが直線状の場合、糸を緩めた分だけ魚と外れ止めバーとの距離が開く。一方、外れ止めクロスバーの先端が針先方向に傾斜している場合、外れ止めクロスバーの先端と針先との距離が、直線状の外れ止めクロスバーの場合よりも短くなり、魚が外れにくくなる。
また、外れ止めクロスバーの先端部を幅広のへら状とすることにより、幅広い面で針にかかった魚を押さえることができるので、魚の外れ止めに効果がある。
【0015】
さらに、本発明の釣り針においては、 前記針本体根元部に、外れ止めクロスバー回動支点が形成されており、また同部の該支点よりも上側の部位に主糸挿通孔が形成されており、 前記外れ止めクロスバーの基端部が、前記回動支点に連結されており、 前記主糸が、前記主糸挿通孔にスライド可能に通されており、 前記外れ止めクロスバーの基端部の基端側にさらに延長部が延びており、該延長部に前記主糸の先端部が固定されていることが好ましい。
【0016】
魚が掛かっていない状態では、釣り針と疑似餌の自重は主糸にかかっている。主糸は、外れ止めクロスバーの延長部の基端から針本体の根元部の主糸挿通孔に挿通されて、根元部に沿うように延びているので、釣り針は、針本体の根元部がほぼ真っすぐな自然姿勢で主糸に吊り下げられる。
以降の説明において、上下方向とは、釣り針を、針本体の湾曲部を下、根元部を上にして自然に吊下げた姿勢での上下方向を示す。また、魚の種類によっては、疑似餌ではなく本物の餌を付ける場合もある。
【0017】
さらに、本発明の釣り針においては、 前記針本体根元部の、前記外れ止めクロスバー回動支点よりも下側の部位に前記付勢部材の取り付け部が形成されており、 前記付勢部材が、前記針本体の前記付勢部材の取り付け部と前記外れ止めクロスバー延長部との間に掛け渡されていることが好ましい。
【0018】
本発明の他の態様の釣り針は、 前記外れ止めクロスバーが、その先端部が前記針先部に内側から近接する近接位置と、前記根元部に沿った離隔位置との間で変位可能な外れ止めクロスバーであって、 前記付勢部材によって前記根元部に沿った離隔位置に付勢されていることとしてもよい。
【0019】
本発明においては、前述の態様と異なり、魚がかかっていない状態では、外れ止めクロスバーは針本体の根元部に沿っており、湾曲部の開口が開いている。そして、魚が掛かると、外れ止めクロスバーの先端が針先部の内側に移動し、開口を閉じる。この場合、自然姿勢において外れ止めクロスバーが針本体の根元部に沿っているので目立たず、魚の食い付きが良くなることが期待できる。
【0020】
この釣り針においては、 前記付勢部材がねじりコイルばねであり、 前記針本体、外れ止めクロスバー及び付勢部材が一体に形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、釣り針の部品点数を少なく簡単な構造となるため、製造コストが安価となる。
【0022】
さらに、この釣り針においては、 前記針本体の根元部と前記外れ止めクロスバーとの間に、前記外れ止めクロスバーの開き角度を制限する制限部材が設けられていることが好ましい。
【0023】
本発明のさらに他の態様の釣り針は、 前記針本体の根元部にスライド可能に係合するスライド部材をさらに備え、 前記付勢部材が、一端が前記針本体の根元部に接続され、もう一方の端部が前記スライド部材に接続されたコイルばねであって、 前記スライド部材が、前記外れ止めクロスバーの基端に連結されており、 前記主糸が、前記針本体にかかった魚の力を受けて張力を付与されると、前記スライド部材が前記コイルバネの付勢力に打ち勝ってスライドして前記外れ止めクロスバーを前記近接位置に変位させることとしてもよい。
【0024】
この釣り針においては、 前記針本体の根元部に傾動可能かつ前記根元部に沿うように付勢されたアームと、 前記スライド部材と前記アームとを連結するリンク部材と、をさらに備え、 前記副糸が前記アームの先端に接続されており、 前記主糸が緩められ、前記副糸に張力が付与されると、前記アームが傾動して、前記針本体を回転させることが好ましい。
【0025】
本発明の魚釣り装置は、 前記のいずれか1項記載の釣り針を用いて魚を釣る装置であって、 複数の前記釣り針の前記主糸及び副糸が接続された、ループをなす親綱と、 前記親綱を循環駆動させる駆動手段と、 前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段と、 前記親綱を下方へ向かう半円状の経路に案内する手段と、を備える魚釣り装置であって、 前記釣り針が自然姿勢においては、前記主糸が前記親綱の進行方向前方で、かつ、前記副糸が弛むように接続されており、 前記釣り針に魚が掛かった際に、前記主糸に自重が掛かった状態で前記案内手段に案内され、該案内手段を走行中に前記主糸が弛み、張力で魚の自重を支えられなくなるとともに、前記副糸に自重がかかって該副糸が張り、これによって前記釣り針が針先が下を向くように回転することにより魚が前記釣り針から外れることを特徴とする。
【0026】
親綱の進行方向において、釣り針の主糸が前方となるように各糸の接続位置を親綱の長さ方向にずらし、かつ、副糸が弛むように接続すると、魚がかかった釣り針が下方へ向かう半円軌道を走行している間に、両糸の位置関係によって自動的に主糸が弛み副糸に自重がかかる状態が生じる。これにより、副糸が張って釣り針が針先が下を向くように回転するので、魚を釣り針から自動的に外すことができる。
【0027】
本発明においては、 前記釣り針に、該釣り針を左右両側(前記親綱の進行方向と直交する方向での左右両側)から支持するトラス糸を備えることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、釣り針にかかった魚が左右方向に暴れて主糸が一方向に引かれた際に、その反対方向のトラス糸で反対方向に引っ張られるので、釣り針の振れを抑えることができる。
【0029】
本発明においては、 前記親綱が魚釣り作業以外時には、船上に収容されることが好ましい。
【0030】
本発明の他の態様の魚釣り装置は、 前記に記載の釣り針を用いて魚を釣る装置であって、 水上に浮くフロートと、 該フロート上に支持されたフレームと、 該フレームに配設されており、複数の前記釣り針の前記主糸及び副糸が接続された、ループをなす親綱と、 該親綱を循環駆動させる駆動手段と、 前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段と、 前記釣り針から魚を外す手段であって、前記釣り針に魚が掛かった後、前記主糸に魚の自重が掛かった状態で前記魚を外す手段に進み、該手段において前記主糸が弛むとともに前記副糸が張り、これによって前記釣り針が針先を下に向けるように回転して魚が前記釣り針から外れる魚外し手段と、 外した魚を貯めておくタンクと、を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、釣り針が接続されている親綱をフレームに配設し、このフレームをフロートで海面に浮かせて支持している。つまり、波によって海面の高さが変動する状況下においても、フロートによって、フレームは常に海面と同じ高さ位置に維持される。したがって、釣り針を海面下の所定の深さ位置に沈めることができる。
【0032】
本発明においては、 該釣り針を左右両側(前記親綱の進行方向と直交する方向での左右両側)から支持するトラス糸を備えることが好ましい。
【0033】
本発明においては、 前記親綱の前記水面近傍の部分を保持案内する親綱フロートをさらに備えることが好ましい。
【0034】
本発明によれば、波によって海面の高さが変動する状況下においても、親綱フロートは常に海面と同じ高さ位置に維持される。フロートに加えて親綱フロートを備えることによって、より確実に釣り針を海面下の所定の深さ位置に沈めることができる。
【0035】
本発明においては、 前記親綱フロートが左右一対設けられており、該一対の左右フロート間に掛け渡された複数の親綱バーを前記親綱が有し、 該親綱バーに、前記主糸、前記副糸及び前記トラス糸が取り付けられていることとできる。
【0036】
本発明においては、 前記親綱フロートが長手方向に複数に分割されたチェーン状であることが好ましい。
【0037】
親綱フロートを、長手方向に分割された複数のフロート片をチェーン状に連結した構成とすることにより、各フロート片は互いに間接運動可能であるので、フロート片の各々が海面の高さに追随する。したがって、親綱フロートに案内される親綱を、親綱フロートの長さ方向においてより細かい距離内で海面の変動に追随させることができ、釣り針の本体の深さ位置をさらに確実に設定できる。
【0038】
本発明においては、 前記親綱にローラが備えられており、 前記親綱フロートに、前記ローラが嵌り込んで走行する溝が形成されていることとできる。
あるいは、 前記親綱フロートに、前記親綱が嵌り込んで走行する溝部又はレール部が形成されていることとしてもよい。
【0039】
さらに、 前記親綱フロートが、チェーン状に連結された複数のフロート片からなり、 隣接する前記フロート片間にローラが取り付けられていることが好ましい。
【0040】
本発明においては、 前記フレームに自動餌捲き機が備えられていることとすれば、捲かれた餌に魚が集まるので、より高い漁獲高を期待できる。
この際、自動餌捲き機の近傍に散水ポンプを設け、散水ポンプで海面を泡立ててしぶきを上げると、魚が集まりやすいので好ましい。
【0041】
本発明においては、 前記フレームに、 前記親綱、前記親綱駆動手段、前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段、前記釣り針から魚を外す手段、前記魚を外す手段、及び、前記タンクと、が配置されており、 前記フレームが、魚釣り作業以外の時には、船上に収容されることが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、いったん針に掛かった魚を針から外れないようにするとともに、掛かった魚を取り外しやすくした釣り針を提供できる。さらに、その釣り針を使用することにより、魚を自動的に釣り上げて自動的に針から外すことのできる魚釣り装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る釣り針を示す分解図である。
【図2】図1の釣り針に疑似餌が取り付けられたものを示す図である。
【図3】図3(A)は、図1の釣り針の基本姿勢を示す図であり、図3(B)は、図1の釣り針に魚が食いついた状態を示す図である。
【図4】図1の釣り針から魚が外れた状態を示す図である。
【図5】図1の釣り針から魚を外す工程を示す図であり、図5(A)は釣り針の各糸の取り付け状態を示す図であり、図5(B)は釣り針に魚が食い付いた状態を示す図である。
【図6】図1の釣り針から魚を外す工程を示す図である。
【図7】図1の釣り針から魚を外す工程を示す図である。
【図8】図1の釣り針から魚を外す工程の他の例を示す図である。
【図9】図8を矢印Aから見た図である。例の本発明の第1の実施の形態に係る釣
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る釣り針を示す図であり、図10(A)は自然姿勢を示す図であり、図10(B)は魚が食いついた状態を示す図である。
【図11】図10の釣り針に疑似餌が取り付けられたものを示す図である。
【図12】図10の釣り針から魚を外れた状態を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る釣り針を示す図であり、図13(A)は自然姿勢を示す図であり、図13(B)は魚が食いついた状態を示す図である。
【図14】図13の釣り針から魚を外れた状態を示す図である。
【図15】図13の釣り針から魚を外す工程を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る魚釣り装置を模式的に示す側面図である。
【図17】図16の魚釣り装置における釣り針の接続方法を示す側面図である。
【図18】図18(A)は図16の魚釣り装置における釣り針の接続方法を示す正面図であり、図18(B)は釣り針の各糸の処理方法を示す正面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る魚釣り装置を模式的に示す側面図である。
【図20】図19の魚釣り装置のチェーン保持構造を示す正面図である。
【図21】図19の魚釣り装置のアームの構造を示す斜視図である。
【図22】図19の魚釣り装置のアームの構造を示す側面図である。
【図23】図19の魚釣り装置のアーム及びケースの構造を示す正面断面図であり、図23(A)は図22のA−A矢視図、図23(B)は図22のB−B矢視図である。
【図24】図19の魚釣り装置の収納状態を示す側面図である。
【図25】図19の魚釣り装置のアームを下方に傾斜させた状態を示す側面図である。
【図26】図19の魚釣り装置のアームを上方に傾斜させた状態を示す側面図である。
【図27】本発明の第3の実施の形態に係る魚釣り装置を模式的に示す側面図である。
【図28】図27の魚釣り装置の正面図である。
【図29】図27の魚釣り装置の収納状態を示す側面図である。
【図30】本発明の第4の実施の形態に係る魚釣り装置を模式的に示す側面図である。
【図31】図30の魚釣り装置の正面図である。
【図32】図30の魚釣り装置における釣り針の接続方法を示す正面図である。
【図33】図30の魚釣り装置のフレームを示す斜視図である。
【図34】図30の魚釣り装置の親綱フロートを示す図であり、図34(A)は斜視図、図34(B)はフロート片の正面断面図である。
【図35】図30の魚釣り装置のチェーンの構造を示す図であり、図30(A)は側面図、図30(B)は正面図である。
【図36】図30の魚釣り装置の収納状態を示す側面図である。
【図37】図30の魚釣り装置の収納状態を示す正面図である。
【図38】図30の魚釣り装置のフレームの変形例である。
【図39】本発明の第5の実施の形態に係る魚釣り装置のフレームを示す斜視図である。
【図40】図39の魚釣り装置のフレームの浮遊状態を示す正面図であり、図40(A)は波が小さい状態、図40(B)は波が荒い状態を示す。
【図41】本発明の第6の実施の形態に係る魚釣り装置のフロート及び親綱フロートを示す斜視図である。
【図42】図41の魚釣り装置のフロート及び親綱フロートを示す図であり、図42(A)は正面図、図42(B)は平面図である。
【図43】本発明の第7の実施の形態に係る魚釣り装置を示す側面図である。
【図44】図43の魚釣り装置のフレームを示す斜視図である。
【図45】図43の魚釣り装置に備えられるタンクを示す図であり、図45(A)は通常状態、図45(B)は魚が受け入れられている状態、図45(C)は魚を回収する状態を示す。
【図46】図43の魚釣り装置に備えられる自動餌捲き機を示す図であり、図46(A)は餌を収容している状態、図46(B)は餌を放出している状態を示す。
【図47】図43の魚釣り装置の収納状態を示す側面図である。
【図48】図43の魚釣り装置の変形例である。
【図49】図43の魚釣り装置の変形例である。
【図50】釣り針の姿勢を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以降の図において、釣り針や魚の寸法、船の寸法は、分かりやすく説明するために誇張されて大きくまたは小さく描かれているものもあり、実際の寸法とは異なる。
【0045】
<第1実施例>
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る釣り針を説明する。
本発明の釣り針1は、図1に示すように、針本体10と、針本体10に回動可能に取り付けられた外れ止めクロスバー20と、外れ止めクロスバー20を付勢する付勢部材30と、外れ止めクロスバー20に接続された主糸3と、針本体10に接続された副糸4と、を備える。
【0046】
針本体10はJ字状の部材であり、針先部11と、針先部11に接続されたU字型に湾曲した湾曲部12と、湾曲部12と連続して直線状に延びる根元部13と、を有する。各部は、ステンレスやチタン合金などの線材から作製された一体物である。なお、針本体10の材質は問わない。針先部11には返しが設けられておらず、先端に向かって先細に尖っている。
以降の説明において、上下方向とは、釣り針1を、針本体10の湾曲部11を下、根元部13を上にして自然に吊下げた姿勢での上下方向を示す。また、先端方向(側)とは、針先部11の方向(側)を示し、基端方向(側)とは根元部13の方向(側)を示す。
【0047】
なお、魚の種類や重量によって、海中での釣り針1の深さを調整したい場合は、根元部13の基端に浮きを取り付けることもできる。
【0048】
外れ止めクロスバー20は棒状の部材であり、比較的長い基端部21と、基端部21の一方の端部から直線状に延びる延長部22と、基端部21のもう一方の端部から斜め方向に延びる、比較的短い先端部23とを有する。基端部21と先端部23との間の角度は、魚の種類に応じて設定する。先端部23は、先端に向かって幅広のへら状である。各部は、ステンレスやチタン合金などの線材から作製された一体物である。なお、外れ止めクロスバー20の材質は問わない。
【0049】
針本体10と外れ止めクロスバー20とは、回動可能に連結されている。具体的には、両者は、針本体10の根元部13のほぼ中央付近に、スポット溶接などによって固定されたリング15と、外れ止めクロスバー20の基端部21と延長部22との間に固定されたリング24とに挿通されたリベット6等で連結されている。外れ止めクロスバー20はこのリベット6を回転支点Rとして、先端部23が針本体10の先端部11に近接する近接位置と、同先端部11から離れた離隔位置とを回動する。外れ止めクロスバー20の先端が近接位置に回動すると、外れ止めクロスバー20によって、針本体10の湾曲部12の開口が閉じられ、離隔位置に回動すると、針本体10の湾曲部12の開口が開く。
【0050】
さらに、外れ止めクロスバー20は、コイルばね30(付勢部材)によって、針本体10に対して離隔位置に付勢されている。具体的には、コイルばね30の一端(上端)は、外れ止めクロスバー20の延長部22の基端に固定されたリング25に保持されており、もう一方の端部(下端)は、針本体10の根元部13と湾曲部12との間に固定されたリング16に保持されている。これらのリング25、16は、例えば溶接などにより外れ止めクロスバー20、針本体10に固定される。ここで、コイルばね30の上端の高さは、針本体10と外れ止めクロスバー20の回動支点Rの高さよりも低い位置にある。このコイルばね30により、外れ止めクロスバー20の延長部22の基端が、針本体10の根元部13と湾曲部12との間に向かって付勢されている。すなわち、外れ止めクロスバー20が離隔位置に付勢されている。
【0051】
主糸3は、先端が、外れ止めクロスバー20の延長部22の基端に固定されたリング25に係止されている。主糸3は、このリング25から、針本体10の根元部13の先端に固定されたリング17を通って上方に延びている。このリング17も、例えば溶接などによって針本体10に固定される。主糸3は、魚の種類によって選択され、例えば、テグスなどの化学繊維で作製される。
【0052】
副糸4は、先端が、針本体10の根元部13と湾曲部12との間に固定されたリング18に係止されている。リング18は、例えば溶接などにより針本体10に固定される。なお、このリング18として、コイルバネ30の端部が保持されるリング16を使用してもよい。副糸4は、このリング16から、針本体10の根元部15の中央付近に取り付けられたループ状弾性部材19を通って上方に延びている。副糸4は魚の種類によって選択され、例えば、テグスなどの化学繊維で作製される。
【0053】
なお、使用時には、図2に示すように、針本体10の根元部13の先端に設けたリング17に疑似餌5が取り付けられる。疑似餌5は、針本体10やコイルばね30、外れ止めクロスバー20の一部を隠すように取り付けられる。なお、疑似餌5は、魚の種類によって異なる。
また、根元部13のリング15のやや下方にもリング41が固定されている。このリング41は、この釣り針1を魚釣り装置に適用した場合に、釣り針1の左右の振れを防止するためのトラス糸を通すためのものである。詳細は後述する。
【0054】
魚が掛かっていない状態では、図3(A)に示すように、釣り針1と疑似餌5(図3(A)には図示されず)の自重は外れ止めクロスバー20に係止された主糸3にかかっており、主糸3は緊張しており、副糸4はやや緩んでいる。各糸3、4の基端は、図示せぬ固定部材に固定されている。主糸3は、針本体10の基端に取り付けられたリング17を挿通しているので、釣り針1は、針本体10の針先部11が下、根元部13が上の自然姿勢で主糸に吊り下げられている。また、副糸4は、針本体10の根元部13に固定されたループ状の弾性部材19に挿通されているので、針本体10に沿うように延びている。そして、外れ止めクロスバー20はコイルばね30により離隔位置に付勢されて、針本体10の開口が開いて先端部11が露出している。
【0055】
次に、魚が食いついた時の釣り針の作用を説明する。
魚が針本体10の先端部11に食いつくと、図3(B)に示すように、針本体10が下方に引っ張られ、まず、針本体10の自重がかかっている主糸3に張力がかかる。さらに針本体10を引っ張る力が、主糸3が係止されている外れ止めクロスバー20を離隔位置に付勢しているコイルばね30の付勢力よりも大きくなると、コイルばね30が伸長し、外れ止めクロスバー20が回動支点R(リベット6)を中心にして、離隔位置から近接位置に回動する。これにより、外れ止めクロスバー20が針本体10の湾曲部12の開口を閉じる、あるいは外れ止めクロスバー20が掛かった魚の頭を押さえるような姿勢となり、掛かった魚を針本体10に外れないように保持できる。
副糸4は、針本体10が下方に引っ張られて下方への張力がかかるが、やや緩んだ状態を保っている。
【0056】
次に、図4を参照して、釣り針に掛かった魚を外す作用を説明する。
掛かった魚を外すには、主糸3を緩めて、釣り針10と魚Fの自重を副糸4にかける。主糸3を緩めるとコイルばね30が縮むので外れ止めクロスバー20は近接位置から離隔位置に付勢される。これにより、針本体10の開口が開き、魚を針本体10から外しやすくなる。また、副糸4の先端は、針本体10の先端部11寄りに係止されているので、副糸4に自重がかかると、先端部11が上方向に引っ張られ、針先が下方に向くように回転する。これにより、魚は自重で針本体10から落下する。なお、実際には、副糸4は途中が弾性部材19に係合しているので、弾性部材19が伸長し、針先部11には斜め上方向の力がかかる。
【0057】
なお、釣り針1を図50に示す姿勢(針本体10が水平を向く姿勢)に保持し、疑似餌を付けて水中に投入して魚釣り作業を行うこともある。
また、後述するように、実際には釣り針1の各糸をチェーンの接続し、チェーンを搬送しながら魚釣り作業を行うので、釣り針1は、水流によって斜めやほぼ真横に引っ張られて針本体10が水平を向く姿勢をとることもある。
【0058】
以上説明したように、本発明の釣り針は以下の利点を有する。
(1)魚が針本体10に掛かるとその自重により外れ止めクロスバー20が回転して、針本体10の湾曲部12の開口を閉じる、あるいは外れ止めクロスバー20が針本体と魚の頭を押さえるので、かかった魚の外れを有効に防ぐことができる。
(2)針本体10に返しが設けられておらず、副糸4を張ることにより針本体10が先端部11が下を向くように回転して、魚の自重によって魚を簡単に外すことができる。
【0059】
前述のように、釣り針1から魚を外すには、主糸3を緩めて副糸4に自重をかける作業が必要になる。次に、図5〜図7を参照して、この作業を自動的に行うための具体的な方法の第1の例について説明する。なお、実際に船に搭載した例については後述する。
【0060】
まず、図5(A)に示すように、一本のロープ状あるいはループ状のチェーンCを準備し、このチェーンCを上段軌道から下段に向かう半円状の軌道を走行するように設置する(具体的は設置方法は説明を省略する)。そして、釣り針1の主糸3と副糸4の端部をチェーンCに固定する。この際、主糸3の端部が副糸4の端部よりも進行方向前方に位置するようにする。そして、上段軌道上において、主糸3に釣り針1の自重がかかり、副糸4はやや緩むように両糸の長さを調整する。この状態で釣り針1に魚Fが掛かると、図5(B)に示すように、前述のように外れ止めクロスバー20が回転する。そして、魚Fの自重によって針本体10が下方に引っ張られるので、副糸4も下方に引っ張られる。
【0061】
そして、両糸3、4の端部が、上段軌道から下段軌道に向かう半円軌道に進むと、図6(A)に示すように、釣り針1と魚Fの自重がやがて副糸4にかかるようになる。さらに、半円軌道の下部に進むと、図6(B)に示すように、釣り針1と魚Fの自重は主に副糸4にかかり、各糸3、4の位置関係によって主糸3が緩むので、コイルばね30が元の長さに伸縮し、外れ止めクロスバー20が離隔位置に回動する。これにより、魚Fが針本体1から外れやすくなる。
【0062】
両糸3、4の端部がさらに半円軌道の下部を進むと、図7(A)に示すように、主糸3は完全に緩んで、副糸4に全自重が移り、同糸4に上方向の張力がかかる。この張力により、釣り針1は横向き(針本体10の根元部13がほぼ水平で、先端部11が下向き)に回転する。すると、魚Fは自重で先端部11から落下する。その後、図7(B)に示すように、釣り針1は元の基本姿勢で下段軌道を進む。
【0063】
このように、主糸3や副糸4の長さ、両糸3、4の端部間の距離、コイルばね30の強さ、半円軌道の径などを適宜に調整することによって、釣り針1から自動的に魚を外すシステムを構築できる。
【0064】
次に、図8、図9を参照して、釣り針1から魚を外すための、主糸3を緩めて副糸4を引っ張る作業を自動的に行うための具体的な方法の第2の例について説明する。図9は、図8の矢印A方向から見た図である。
【0065】
この例でも、図8に示すように、一本のロープ状あるいはループ状のチェーンCを準備し、このチェーンCを水平な上段軌道から下段に向かう半円状の軌道を走行するように設置する。さらに、上段軌道から半円軌道の上部に渡って、糸ガイドGを配置する。糸ガイドGは、主糸3及び副糸4を、チェーン軌道の外側にガイドするものであって、上流から下流に向けて幅広(軌道とガイド側縁との距離が下流に向かって広く)なっている。
【0066】
そして、前述の例と同様に、釣り針1の主糸3と副糸4の端部をチェーンCに固定する。この際、主糸3の端部が副糸4の端部よりも進行方向前方に位置するようにし、水平な上段軌道上において、主糸3に釣り針1の自重がかかり、副糸4はやや緩むように両糸の長さを調整する。
【0067】
チェーンCが進行し、魚Fがかかった釣り針1の両糸3、4の端部が糸ガイドGにかかると、図8に示すように、釣り針1は軌道から外方向に離れていき、両糸3、4は引っ張られた状態となる。さらにチェーンCが進行すると、図9(A)に示すように、副糸4はガイドGにかかっているが先行する主糸3がガイドGから外れる。すると、主糸3が緩み、釣り針1と魚Fの自重が全て副糸4にかかるようになる。これによりコイルばね30の元の長さに伸縮し、外れ止めクロスバー20が離隔位置に回動する。これにより、魚Fが針本体1から外れやすくなる。
【0068】
図9(B)に示すように、チェーンCがさらに進行すると、副糸4も糸ガイドGから外れて、副糸4に完全に自重がかかる。これより、釣り針1は横向き(針本体1の根元部13がほぼ水平で、先端部11が下向き)に回転する。すると、魚Fは自重で先端部11から落下する。
なお、ガイドGの形状を選択することにより、魚が外れる位置を、チェーンCの軌道から左右方向外側にずらすこともできる。
【0069】
<第2実施例>
次に、釣り針の第2の例を図10〜図12を参照して説明する。
本発明の釣り針1Aも、図10(A)に示すように、針本体10Aと、針本体10Aと回動可能に取り付けられた外れ止めクロスバー20Aと、外れ止めクロスバー20Aを付勢する付勢部材30Aと、外れ止めクロスバー20Aに接続された主糸3Aと、針本体10Aに接続された副糸4Aと、を備える。この例の釣り針1Aは、針本体10A、外れ止めクロスバー20A及び付勢部材30Aが一体に(一体物に)形成されている。
【0070】
針本体10AはJ字状の部材であり、針先部11Aと、針先部11Aに接続された楕円状に湾曲した湾曲部12Aと、湾曲部12Aに接続された直線状の根元部13Aと、を有する。針先部11Aには返しが設けられておらず、先端に向かって先細に尖っている。湾曲部12Aの下部は、下方に向かうほど広くなったポケット部となっている。
外れ止めクロスバー20Aは直線状の部材である。
【0071】
針本体10Aの根元部13Aと外れ止めクロスバー20Aとは、付勢部材30A(ねじりコイルばね)で接続されている。このねじりコイルばね30Aにより、外れ止めクロスバー20Aは、針本体10Aの根元部13Aに沿う姿勢、つまり、外れ止めクロスバー20Aの先端が針本体10Aの先端部11Aから離れた離隔位置に付勢されている。外れ止めクロスバー20Aは、ねじりコイルばね30Aを回転支点として、この離隔位置と、先端部が針本体10Aの先端部11Aに近接する近接位置との間を回動する。外れ止めクロスバー20Aの先端が近接位置に回動すると、外れ止めクロスバー20Aによって、針本体10Aの湾曲部12Aの開口が閉じられ、離隔位置に回動すると、針本体10Aの湾曲部12Aの開口が開く。なお、外れ止めクロスバー20Aの中央部と針本体10Aの根元部12Aの中央部とは、リミット部材43で連結されている。リミット部材43は、一方の端部が外れ止めクロスバー20Aの中央部に固定されたリング25Aに係止され、もう一方の端部が根元部13Aに固定されたリング44に係止されている。このリミット部材43は、外れ止めクロスバー20Aの開きを制限するためのものである。
【0072】
針本体10A、外れ止めクロスバー20A及びねじりコイルばね30Aは、例えば、ステンレスやチタン合金などの線材から曲げ加工などにより一体物として形成されている。
【0073】
主糸3Aは、先端が、外れ止めクロスバー20Aの中央付近固定されたリング25Aに係止されている。主糸3Aは、このリング25Aから、ねじりコイルばね20Aのコイル部に挿通されたリング17Aを通って上方に延びている。なお、主糸3Aを、ねじりコイルばね30Aのコイル部を挿通してもよい。
【0074】
副糸4Aは、先端が、針本体10Aの湾曲部12Aのやや根元部13A寄りの部分に固定されたリング18Aに係止されている。副糸4Aは、このリング18Aから、針本体10Aの根元部12Aの基端付近に取り付けられたループ状弾性部材19Aを通って上方に延びている。
【0075】
なお、使用時には、図11に示すように、ねじりコイルばね30Aに疑似餌5Aが取り付けられる。疑似餌5Aは、釣り針1Aを隠すように取り付けられる。
【0076】
魚が掛かっていない状態では、図10(B)に示すように、釣り針1Aと疑似餌5Aの自重は外れ止めクロスバー20Aに係止された主糸3Aにかかっており、主糸3Aはやや緊張して、副糸4Aはやや緩んでいる。主糸3Aは、針本体10Aのねじりコイルばね30Aに取り付けられたリング17Aを挿通しており、針本体10Aの根元部13Aに沿って延びているので、釣り針1Aは、針本体10Aの根元部13Aがほぼ真っすぐな自然姿勢で主糸3Aに吊り下げられている。副糸4Aは、針本体10Aの根元部13Aに固定されたループ状の弾性部材19Aに挿通されているので、針本体10Aに沿うように延びる。そして、外れ止めクロスバー20Aはねじりコイルばね30Aにより離隔位置に付勢されて、針本体10Aの開口が開いて先端部11Aが露出している。
【0077】
魚Fが針本体10Aの先端部11Aに食いつくと、図10(B)に示すように、針本体1Aは下方に引っ張られ、まず、針本体10Aの自重が掛かっている主糸3Aに張力がかかる。さらに針本体10Aを引っ張る力が、ねじりコイルばね30Aの付勢力よりも大きくなると、ねじりコイルばね30Aが開き、外れ止めクロスバー20Aが回動支点(ねじりコイルばね30A)を中心にして、離隔位置から近接位置に回動する。これにより、外れ止めクロスバー20Aが針本体10Aの湾曲部12Aの開口を閉じるような姿勢となり、掛かった魚を針本体10Aに外れないように保持できる。
【0078】
次に、図12を参照して、この例の釣り針に掛かった魚を外す作用を説明する。
掛かった魚を外すには、まず、主糸3Aを緩める。すると、ねじりコイルばね30Aを回動させていた力がなくなるので、ねじりコイルばね30Aにより外れ止めクロスバー20Aが近接位置から離隔位置に付勢される。これにより、針本体10Aの開口が開き、魚Fを針本体1Aから外しやすくなる。主糸3Aを緩めると、釣り針1Aや魚の自重は副糸4Aにかかり、副糸4Aが上方に引っ張られる。副糸4Aの先端は、針本体10Aの湾曲部12Aに係止されているので、湾曲部12Aが上方向に引っ張られ、針先が下方に向くように回転する。これにより、魚Fは自重で針本体10Aから落下する。なお、実際には、副糸4Aは途中が弾性部材19Aに係合しているので、弾性部材19Aが伸長し、副糸4Aには斜め上方向の力がかかる。
【0079】
以上説明したように、本発明は第1の実施例の利点に加えて以下の利点を有する。
(1)針本体10A、外れ止めクロスバー20A及び付勢部材30Aが一体に形成されており、部品点数が少ないので製造が容易である。
(2)図11に示すように、釣り針1Aのほぼ全体が疑似餌5Aで隠されるので、魚が食いつきやすい。
【0080】
<第3実施例>
次に、釣り針の第3の例を図13〜図14を参照して説明する。
本発明の釣り針1Bは、図13に示すように、針本体10Bや、針本体10Bに回動可能に取り付けられた外れ止めクロスバー20B、外れ止めクロスバー20Bを付勢する付勢部材30B、外れ止めクロスバー20Bに接続された主糸3B、針本体10Bに接続された副糸4B、を備える。また、針本体10Bの上端部にスライド可能に外嵌されたスライド部材46、副糸4Bが接続され、針本体10Bに傾動可能に取り付けられたアーム49、スライド部材46と外れ止めクロスバー20Bとを連結するリンク部材47を備える。この例の釣り針1Bは、第1実施例に対して、外れ止めクロスバー20Bを離隔位置に付勢する方法と、副糸4Bの取り付け方法とが異なる。
【0081】
針本体10Bは第1実施例と同様のJ字状の部材であり、外れ止めクロスバー20Bも第1実施例と同様に棒状の部材である。両部材の詳細な説明は省略する。針本体10Bと外れ止めクロスバー20Bとは、第1実施例と同様の方法で回動可能に連結されている。
【0082】
付勢部材は第1実施例と同様にコイルばね30Bであるが、この例では、コイルばね30Bは、針本体10Bの根元部13Bに外嵌されている。同ばね30Bの上端は根元部13Bの基端に固定され、下端は、根元部13Bにスライド可能に外嵌されたスライド部材46に固定されている。スライド部材46は、コイルばね30Bにより根元部13Bに沿って下方に付勢されている。そして、スライド部材46は、外れ止めクロスバー20Bの基端とリンク部材47により連結されている。コイルばね30Bによってスライド部材46が下方に付勢されると、リンク部材47を介して外れ止めクロスバー20Bが離隔位置に付勢される。
【0083】
主糸3Bは、先端が、スライド部材46に固定されたリング25Bに係止されている。主糸3Bは、このリング25Bから、針本体10Bの根元部13Bの先端に固定されたリング17Bを通って上方に延びている。
【0084】
副糸4Bは、先端が、針本体10Bの根元部13Bと湾曲部12Bとの間にねじりコイルばね48により固定されたアーム49の先端に係止されている。このアーム49は、ねじりコイルばね48によって針本体10Bの根元部13Bに沿うように付勢されており、ねじりコイルばね48を中心として根元部13Bから離れるように傾動可能である。
【0085】
魚が掛かっていない状態では、図13(A)に示すように、釣り針1Bと疑似餌の自重はスライド部材46に係止された主糸3Bにかかっており、主糸3Bは緊張しており、副糸4Bはやや緩んでいる。そして、外れ止めクロスバー20Bはコイルばね30Bにより離隔位置に付勢されて、針本体1Bの開口が開いて先端部11Bが露出している。
【0086】
魚Fが針本体10Bの先端部11Bに食いつくと、図13(B)に示すように、針本10B体が下方に引っ張られ、まず、針本体10Bの自重がかかっている主糸3Bに張力がかかる。さらに針本体1Bを引っ張る力が、主糸3Bが係止されているスライド部材46を押し下げている(外れ止めクロスバーを離隔位置に付勢している)コイルばね30Bの付勢力よりも大きくなると、コイルばね30Bが縮んで、スライド部材46が根元部13Bに沿って上方に移動する。するとリンク部材47を介して、外れ止めクロスバー20Bが回動支点を中心にして、離隔位置から近接位置に回動する。これにより、外れ止めクロスバー20Bが針本体10Bの湾曲部12Bの開口を閉じる、あるいは外れ止めクロスバー20Bが掛かった魚の頭を押さえるような姿勢となり、掛かった魚を針本体1Bに外れないように保持できる。
【0087】
次に、図15を参照して、釣り針に掛かった魚を外す作用を説明する。
掛かった魚を外すには、主糸3Bを緩めて副糸4Bに自重をかける。主糸3Bを緩めるとコイルばね30Bが伸長するので、スライド部材46が下方に押し下げられ、外れ止めクロスバー20Bはリンク部材46を介して近接位置から離隔位置に回動する。これにより、針本体10Bの開口が開き、魚Fを針本体10Bから外しやすくなる。また、副糸4Bの先端はアーム49の先端に接続されているので、副糸4Bに自重がかかると、アーム49がねじりコイルばね48の付勢力に抗して根元部13Bから離れるように傾動し、このアーム49と副糸4Bとがほぼ直線状となる。すると、針本体10Bがねじりコイルばね48を中心にして回動し、針先が下方に向くように回転する。これにより、魚Fは自重で針本体10Bから落下する。
【0088】
この例の釣り針1Bにおいては、釣り針1Bから魚Fを外す際に、図15に示すシステムを使用することができる。このシステムを使用した場合、アーム49に接続される副糸4Bは不要となり、釣り針1Bは主糸3Bのみで吊り下げられる。ただし、アーム49の先端にアーム49よりも径大のヘッド部49aを設ける。
この例でも、図5等で示した、上段軌道から半円軌道を走行するチェーンCを準備し、同チェーンCに主糸3Bの基端を接続する。そして、半円軌道の上部の下方にガイドGを設置する。このガイドGは、釣り針1Bのアーム49をガイドするものであり、例えば、平板状のガイド板に、軌道に沿ってアーム49が通るスリットSが形成されたものである。スリットSの上流端は、上流に向かって幅広となっている。このガイドGは、スリットSが軌道の真下に位置するとともに、下流に向かって下方に傾斜するように配置される。
【0089】
チェーンCが走行し、魚が掛かった釣り針1BがガイドGに達すると、アーム49はガイドGのスリットSに入り、ヘッド部49aでガイドGに係止される。さらにチェーンCが走行して、チェーンCに接続されている主糸3Bの端部が半円軌道に沿って下方に向かうと、やがて、主糸3Bが緩み、釣り針1Bの自重はガイドGに支持されたアーム49にかかるようになる。すると、前述のように、コイルばね48の付勢力に抗してアーム49が回転し、釣り針1Bが、針先部11Bが下を向くように回転する。これにより、魚Fが自身の自重によって針先部11Bから落下する。
【0090】
次に、第1の実施例で説明した釣り針1を使用した自動魚釣り装置の例を説明する。
<第1実施例>
図16〜図18を参照して、自動魚釣り装置の第1の例を説明する。
図16に示すように、自動魚釣り装置100は、船Sの船腹に設置されており、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)110と、各チェーン110を循環走行させるモータ123と、各チェーン110を保持し、船の側方の海面上と船上との間を移動可能なアーム120と、船上において各アーム120が収納されるケース150と、船上において釣り針1から魚を外す手段と、を備える。
【0091】
図17、図18を参照して、釣り針1をチェーン110に接続する方法を説明する。
釣り針1の主糸3と副糸4の基端は、各々バー111に回転可能に接続され、これらのバー111の両端が各々チェーン110に取り付けられている。図17に示すように、各バー111は、チェーン110の走行方向において、主糸3が接続されたバー111が進行方向前方、副糸4が接続されたバー111が進行方向後方となるように配置されている。さらに、両糸3、4の長さは、魚がかかっていない自然姿勢で各バー111を同じ高さに位置させた状態において、釣り針1の自重が主糸3にかかり、副糸4は緩むように調節されている。
【0092】
主糸3の取り付け状態を図18(B)を参照して説明する。主糸3の基端3aはリング状となっており、このリング状基端3aがリング113に挿通されている。そして、このリング113がバー111に挿通されている。リング113の両側のバー111には、セットカラー114が取り付けられている。副糸4の基端も同様に処理されている。これにより、主糸3及び副糸4は、バー111に回転可能かつ、左右方向に移動不能に接続されている。
このように、各糸の基端をリング113に固定して、このリング113をバー111に挿通させることにより、チェーン110の循環軌道のいずれの箇所においてもリング113がバー111の周囲を回転するので、各糸をバー111に巻きつかずに重力方向に垂れ下がるように支持することができる。
【0093】
さらに、主糸3は、釣り針1にかかった魚が暴れた際の左右への振れを抑えるために、2本のトラス糸116によって支持されている。各トラス糸116の先端は、釣り針1の針本体10に固定されたリングに固定されている。また、各トラス糸116の基端116aはリング状となっており、このリング状基端116aが、前述の主糸3及び副糸4と同様に、各々リング113に挿通されている。これらのリング113は、バー111の主糸3の左右両方向に所定の間隔を開けて挿通されて、各々セットカラー114によって横方向に移動不能に支持されている。主糸3にかかった魚が暴れて主糸3が暴れる方向に引っ張られると、トラス糸116によって同方向と反対方向に引っ張られるので、釣り針1にかかった魚の左右方向への振れをできるだけ抑えることができる。
なお、実際には、図18(A)に示すように、一本のバー111に複数の釣り針1が取り付けられる。また、バー111上のリング113とセットカラー118の取り付け位置を変えることによって、釣り針1の軌道を変えることができる。
【0094】
再度図16を参照して説明する。
各チェーン110は、複数のスプロケット121、122によって、船腹から側方の水面近傍に向かう傾斜経路と、同経路から水面近傍に沿ってさらに側方に向かう下段経路と、同経路から上方に向かう垂直経路と、同経路から船腹へ戻る上段軌道と、からなる循環軌道を描くように配設されている。なお、下段経路は、チェーン111に接続された釣り針1の針本体10が海面下の所定の深さに達するように設定される。そして、船腹に搭載されたモータ123の出力軸に固定された駆動スプロケット122によって、この循環軌道を、図の時計方向に循環走行する。各チェーン110を駆動するモータは、チェーン110を同期で駆動するように制御されている。この例では、チェーン110を船の長さ方向(進行方向)と直交する方向に循環走行させながら魚釣り作業を行う。
【0095】
このような循環軌道においては、船上において、チェーン110が上段軌道から駆動スプロケット122を介して下段軌道へ向かう半円経路が形成される。チェーン110がこの半円軌道に達すると、図5等で前述したように、主糸3が緩み副糸4が引っ張られることによって釣り針1が回転し、魚を外すことができる。駆動スプロケット122の下方には、外れた魚を収容する樋124が配置されている。また、駆動スプロケット122の側方にはサイドガイド板125が取り付けられている。
【0096】
船腹の縁には、スプロケット取付部材127が移動可能に取り付けられており、同部材127に、傾斜経路のチェーン110を案内するスプロケット121が取り付けられている。このスプロケット取付部材127は、魚釣り作業が行われていない間は船上に収容される。
【0097】
アーム130は棒状の部材であり、先端には、下方に延びる筒状部材131が固定されている。筒状部材131には、延長アーム132が下方に突き出すように収容されている。この延長アーム132は、係合部材133によって、筒状部材131内に収容された位置と、先端が水面近傍に達するまで突き出した位置とに保持される。延長アーム132の先端には、チェーン110を水平軌道から垂直軌道に案内するスプロケット121が取り付けられている。また、筒状部材131の基端寄りの位置には、チェーン110を垂直軌道から上段軌道に案内するスプロケット121が取り付けられている。
【0098】
ケース150は、アーム120が収容される筒状の部材であり、船に立設された複数の支柱160(図16には1本のみ図示)に支持されている。ケース150の先端部は、先端側の支柱160に、ケース150の長さ方向と直交する方向に延びる回動軸161を中心として回動可能に支持されている。ケース150の後端部には、ロープ151の一端が固定されている。このロープ151のもう一方の端部は、甲板に設置された巻き取り装置152によって巻き取られる。ロープ151を巻き取り装置152で巻き取ると、ケース150の後端部が下方に引っ張られ、ケース150が回動軸161を中心として回動し、先端部が上を向くように傾斜する。
【0099】
アーム130は、ケース150内に収容された位置と、ケース150の先端から前方に突き出た位置との間をスライドする。アーム130の基端にはロープ135の一端が固定されている。このロープ135のもう一方の端部は、ケース150の後端部に収容された巻き取り装置136に巻き取られる。巻き取り装置136でロープ135を巻き取ると、アーム130はケース150内に引き込まれて収容され、ロープ135を繰り出すと、アーム130は海面上に突き出す。なお、ケース150には、アーム130を出限及び入限で固定する固定機構(図示されず)が備えられている。
【0100】
また、アーム130の長さ方向のほぼ中央部には、ロープ137の一方の端部が固定されている。このロープ137のもう一方の端部は、甲板に設置された巻き取り装置138に接続されている。巻き取り装置138でロープ137を巻き取ってこのロープ137に張力を付与することにより、アーム130の振れを抑えている。
【0101】
また、アーム130の先端に設けた筒状部材131とケース150との間には、ハンガーレール141が架け渡されている。このハンガーレール141には、上段軌道のチェーン110を支持するハンガー142が取り付けられている。上段軌道のチェーン110は、ハンガー142によって下方に傾斜するように支持されている。ハンガーレール141及びハンガー142は、アーム130がケース150に収容される際に、アーム130とともにケース150に収容される。
【0102】
魚釣り時には、アーム130をケース150から前方に引き出して、固定機構でアーム130を出限に固定する。そして、筒状部材131から延長アーム132を引き出して、係合部材133で固定する。各チェーン110は、駆動スプロケット122と、複数のスプロケット121とに緊張状態で巻き回されている。モータを駆動すると、各チェーン110は循環軌道を、図の時計方向に同期で循環走行する。
【0103】
魚は釣り針1が下段経路を進行している間に釣り上げられ、垂直経路へ向かうときに水中から引き上げられて、上段軌道を搬送される。この間、魚や釣り針1の自重は主糸3にかかっている。その後、駆動スプロケット122の外周上において、上段軌道から傾斜軌道に搬送される際に、主糸3が緩んで魚と釣り針の自重が副糸4にかかるようになり、図5等で示した前述の作用によって釣り針1から自動的に外れる。外れた魚は樋124に収容される。
【0104】
アーム130を収容する際は、巻き取り装置136でロープ135を巻き取ってアーム130をケース150内に引き込んで収容し、固定機構で固定する。そして、延長アーム132を筒状部材131内に収容して係合部材133で固定する。
【0105】
<第2実施例>
図19〜図23を参照して、自動魚釣り装置の第2の例を説明する。
この例の自動魚釣り装置200も、図19に示すように、船Sの船腹に設置されており、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)210と、各チェーン210を循環走行させるモータと、各チェーン210を保持し、船腹側方の海面上と船上との間を移動可能なアーム230と、船上において各アーム230が収納されるケース250と、船上において釣り針1から魚を外す手段と、を備える。
【0106】
この例では、チェーン210として、一定の形状以上に弛まないように弛み度合いを規制したチェーン(例えば、N.Tロックチェーン、特許公報3847773号参照)を使用する。前述の例では、このような弛み規制を設けない一般的なチェーンを使用したので、釣り針にかかった魚が暴れた際にチェーンが一方へ引かれたりしないように、各軌道においてチェーンを緊張させていたが、本実施例では、チェーンを緊張させて保持する必要がない。
釣り針1の主糸3と副糸4は、図17、図18で説明した方法と同様にチェーン210に取り付けられる。
【0107】
各チェーン210は、複数のスプロケット221、222によって、船腹から側方の水面近傍に沿って略半円状に大きく弛んだ下段経路と、同経路から船腹へ戻る上段軌道と、からなる循環軌道を描くように配設されている。なお、下段経路は、チェーン210に接続された釣り針1の針本体10が海面下の所定の深さに達するように設定される。そして、アーム230に搭載されたモータ225の出力軸に連結する駆動スプロケット222によって、この循環軌道を、図の時計方向に循環走行する。各チェーン210を駆動するモータ225は、チェーン210を同期で駆動するように制御されている。この例でも、前述の例と同様に、チェーン210を船の長さ方向(進行方向)と直交する方向に循環走行させながら魚釣り作業を行う。
さらに、チェーン210の軌道には、チェーンガイドローラ(図示されず)が設けられている。このチェーンガイドローラは、魚が釣り針から外れて落下する際に、バー111や釣り針1、各糸に接触しないようにチェーン210を押し離している。
【0108】
前述の例と同様に、このような循環軌道においても、チェーン210が上段軌道から駆動スプロケット222を介して下段軌道へ向かう半円経路が形成される。チェーン210がこの半円軌道に達すると、図5等で前述したように、主糸3が緩み副糸4が引っ張られることによって釣り針1が回転し、魚を外すことができる。
【0109】
船腹の縁には、スプロケット取付部材227が移動可能に取り付けられており、同部材227に、下段軌道を走行するチェーン210を案内する、3個のスプロケット221が取り付けられている。このスプロケット取付部材227は、魚釣り作業が行われていない間は船上に収納される。
【0110】
次に、アーム230とケース250の構造について説明する。
ケース250は、図19に示すように、船の長さ方向と直交する方向に長い筒状の部材である。各ケース250は、図20に示すように、船の進行方向と直交する方向に平行に配置されている。そして、図19に示すように、船の進行方向と直交する方向に並んで立設された複数(この図では2本)の支柱260、263の内側に支持されている。図19に示すように、ケース250は、前方の支柱260に、ケース250の長さ方向に延びる回動軸261を中心として回動可能に支持されており、後方の支柱263には、係止機構264によって任意の高さ位置に係止可能に支持されている。
【0111】
図20に示すように、ケース250の下面には、ケース250の長さ方向に沿って延びる開口251が形成されている。また、ケース250の上面には、アーム230をスライド移動させるピニオン253と、同ピニオン253を駆動するモータ254が取り付けられている。ピニオン253は、ケース250の上面に開けられた開口を通ってケース250内に突き出している。
【0112】
アーム230は、図21、図22に示すように、棒状の部材であり、ケース250の下面開口251からケース250内に突き出す中央部231と、ケース250の両側板の下部を囲む下部232とを有する。中央部231の上面には、アーム230の長さ方向に渡ってラック233が形成されている。このラック233は、ケース250の上面に取り付けられたピニオン253と噛み合う(図23(A)(図22のA−A矢視図)も参照)。下部232の、船の内側を向く側面の前端には、図23(A)にも示すように、下方に延びる延長アーム235が固定されている。延長アーム235には、チェーン210を下段軌道から上段軌道に案内するスプロケット221が取り付けられている。一方、下部232の同側面の後部には、図23(B)(図22のB−B矢視図)にも示すように、ケース250の上面に被さるL字状の固定側板237が固定されている。
【0113】
アーム230は、中央部231がケース250の中空部に入り込み、下部232がケース250の両側板の下部に係合した状態で、固定側板237によってケース250に係合している。アーム230の下部232の、ケース250の側面に面する面と、固定側板237の、ケース250の上面に面する面とには、各々ローラ239が取り付けられている。これらのローラ239によって、アーム230はケース250にスムーズに出し入れされる。
【0114】
さらに、固定側板237には、移動側板241が、アーム230の長さ方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、移動側板241の上部にはローラ242が取り付けられており、このローラ242が固定側板237の側面に形成した溝と噛み合うことによって、移動側板241が固定側板237に移動可能に支持される。この移動側板241には、駆動スプロケット222及びスプロケット221、駆動スプロケット222を駆動するモータ225が取り付けられている。駆動スプロケット222はモータ225の出力軸に連結されている。図23(B)に示すように、固定側板237の下面には、アーム230の長さ方向に延びるラック243が形成されている。一方、移動側板241にはこのラック243と係合するピニオン245と、同ピニオン245を駆動するモータ246が取り付けられている。ピニオン245を駆動することにより、移動側板241は固定側板237に対して前方又は後方に移動する。
【0115】
なお、前述の弛み止めロックチェーン(N.Tロックチェーン)210においては、図19や図23に示すように、駆動スプロケット222の回転軸に固定された小スプロケット223と同スプロケット222の上流に配置されたスプロケット221の回転軸に固定された小スプロケット223とが連動チェーン228で連結されている。また、延長アーム235に取り付けられた2個のスプロケット221の回転軸にも各々小スプロケット223が取り付けられており、これらの小スプロケット223が連動チェーン228で連結されている。
【0116】
一般的なチェーンは、チェーンのプレートとプレートとが円形のピンによって回転自在に連結されており、連結箇所の各々でチェーンが曲がるようになっている。しかし、この弛み止めチェーンにおいては、プレート連結孔が円形部と変形部とを有し、引っ張り力が加わると、円形部にあるピンが変形部に移動してチェーンが曲がり止めされてロックされる。ロックを解除するには、チェーンのピンとピンとの間隔を元の間隔に戻す。このために、隣接するスプロケット221、222の回転軸に小スプロケット223を取り付けて、隣接する小スプロケット223間の距離を通常距離に縮めて連動チェーン228で連結することによってロックを解除している。
【0117】
再度図19を参照して説明する。
駆動スプロケット222の下方の甲板には、外れた魚を収容する樋224が配置されている。チェーン210が上段軌道から駆動スプロケット222を介して下段軌道に向かう半円軌道を走行する際に釣り針1から外れた魚は、この樋224に収容される。
【0118】
また、ケース250とアーム230には、アーム230の出限位置と入限位置とにおいて、ケース250とアーム230とを一時的に固定するストッパ機構280が設けられている。
【0119】
さらに、ケース250の後端部の下面には、引き下げロープ265の一端が固定されている。このロープ265のもう一方の端部は、甲板に設置された巻き取り装置266によって巻き取られる。また、ケース250の後端部の上面には、引き上げロープ267の一端が固定されている。このロープ267は、後方の支柱263に設けられたプーリ269を介して、甲板に設置された巻き取り装置268で巻き取られる。これらのロープ265、267、巻き取り装置266、268は、後述するようにアーム230を傾斜させるためのものである。
【0120】
魚釣り時には、ピニオン253を駆動して、ケース250からアーム230を出限まで繰り出し、ストッパ機構280でアーム230をケース250に固定する(図19参照)。そして、移動側板241を固定側板237に対して最も前方まで移動させる。これにより、チェーン210は前述の形状に弛む。そして、モータ225で駆動スプロケット222を駆動させると、各チェーン210は循環軌道を図の時計方向に走行する。
【0121】
魚は釣り針1が下段経路を進行している間に釣り上げられて水中から引き上げられる。そして、上段軌道を搬送される。この間、魚や釣り針1の自重は主糸にかかっている。その後、駆動スプロケット222の外周上において、上段軌道から下段軌道に搬送される際に、主糸が緩み魚と釣り針1の自重が副糸にかかるようになり、図5等で示した前述の作用によって釣り針1から自動的に外れる。外れた魚は樋224に収容される。
【0122】
アーム230を収容する場合は、ピニオン253を反対方向に駆動して、アーム230をケース250に入限まで収容し、ストッパ機構280でアーム230をケース250に固定する。そして、移動側板241を固定側板237に対して最も後方まで移動させる。これにより、図24に示すように、チェーン210は比較的緊張した状態で船上に収容される。
【0123】
また、図25に示すように、魚釣り時に、海面が低い場合など、アーム230の下方向への傾斜を調整したい場合は、ケース250と後方支柱263との連結を解除し、巻き取り装置268で引き上げロープ267を巻き取る。すると、ケース250の後端が上方向に引かれ、ケース250が回動軸261を中心にして斜め下方に傾斜する。この状態で、ケース250と後方支柱263とを係合機構264で固定する。
一方、図26に示すように、海面が高い場合など、アーム230の上方向への傾斜を調整したい場合は、ケース250と後方支柱263との連結を解除し、巻き取り装置266で引き下げロープ265を巻き取る。すると、ケース250の後端が下方向に引かれ、ケース250が回動軸261を中心にして斜め上方に傾斜する。この状態で、ケース250と後方支柱263とを係合機構264で固定する。
このように、アーム230の傾斜を調整することによって、波の状態(小波(ナギ)、中波(中ナギ)、大波(大シケ))に応じて釣り針1が常時海中に存在するように釣り針1の高さを調整できる。
【0124】
<第3実施例>
図27〜図29を参照して、自動魚釣り装置の第3の例を説明する。
この例の自動魚釣り装置300も、図27や図28に示すように、船の船腹に設置されており、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)310と、各チェーン310を循環走行させるモータ324と、各チェーン310を保持するビーム330、ビーム330を船側方の海面上と船上との間を移動させる手段と、船上において釣り針1から魚を外す手段と、を備える。この例の魚釣り装置300は、前述の例と異なり、チェーン310を船の進行方向に循環走行させながら魚釣り作業を行う。
【0125】
この例でも、第2実施例と同様に、チェーン310として、一定の形状以上に弛まないように弛み度合いを規制したチェーン(N.Tロックチェーン(登録商標))を使用する。釣り針1の主糸3と副糸4は、前述の例と同様にチェーン310に取り付けられる。なお、チェーンのロック解除機構は第2の実施例と同様であり、説明を省略する。
【0126】
各チェーン310は、複数のスプロケット321、322によって、船腹側方の水面近傍に沿って、船の長さ方向(進行方向)に略半円状に深く弛んだ下段経路と、やや弛んだ上段軌道と、からなる循環軌道を描くように配設されている。なお、下段経路は、チェーン310に接続された釣り針1の針本体10が海面下の所定の深さに達するように設定される。
【0127】
このような循環軌道においても、チェーン310が上段軌道からスプロケット322を介して下段軌道へ向かう半円経路が形成される。チェーン310がこの半円軌道に達すると、図5等で前述したように、主糸が緩み副糸が引っ張られることによって釣り針が回転し、魚を外すことができる。
【0128】
ビーム330は棒状の部材であり、先端には、下方に延びる延長ビーム331が固定されている。延長ビーム331には、チェーン310を下段軌道から上段軌道に案内するスプロケット321が取り付けられている。また、ビーム330の後端部の側面には、移動側板333が、ビーム330の長さ方向の所定の範囲を移動可能に取り付けられている。移動手段としては、ビーム330に形成したラックと、移動側板333に取り付けたピニオンとすることができる(図示されず)。移動側板333には、チェーン310を上段軌道から下段軌道に案内するスプロケット321、駆動スプロケット332、駆動スプロケット332を駆動するモータ324が取り付けられている。さらに、図28に示すように、駆動スプロケット322の回動軸には、ギア325が固定されている。
【0129】
駆動スプロケット322の下方には、船上まで下方に傾斜した樋224が設けられている。前述のように、チェーン310が上段軌道から駆動スプロケット322を介して下段軌道に向かう半円軌道を走行する際に釣り針1から外れた魚は、この樋224を滑って船上に収容される。なお、樋224に十分な傾斜がとれない場合は、船外に魚を収容するタンクを設けてもよい。
【0130】
図28に示すように、各ビーム330は船の進行方向に沿って平行に配置されて、先端部と後端部とが各々アーム340に固定されている。各ビーム330は、延長ビーム331及び移動側板333が対向するように配置される。これらのアーム340は、船上に配置されたケース350に出し入れ可能に収納される。各ケース350は、船の進行方向と直交する方向に平行に配置されている。そして、船の進行方向に直交する方向に並んで立設された複数(この図では2本)の支柱360、363に支持されている。図28に示すように、ケース350は、先端側の支柱360に、ケース350の長さ方向と直交する方向に延びる回動軸361を中心として回動可能に支持されており、後方の支柱363には任意の高さ位置に係止可能に支持されている。
【0131】
また、ケース350とアーム340には、アーム340の出限位置と入限位置とにおいて、ケース350とアーム340とを一時的に固定するストッパ機構(図示されず)が設けられている。
さらに、魚釣り時のアーム340の船上からのはね出し距離が長いので、船上には、アーム340を出限位置において支持する折り畳み式の支柱348が設けられている。
【0132】
さらに、ケース350は第2の実施例と同様に、ケース350を上方又は下方に傾斜させるためのロープ及び巻き取り装置が備えられている。
【0133】
図28に示すように、後方のアーム340には、アーム340の長さ方向に延びる中空部が形成されている。この中空部の基端側には、モータ345が収容されている。モータ345の回動軸346は、複数の軸受347で支持されて、アーム340の中空部を先端方向に延びている。回動軸346には、駆動スプロケット322の回動軸に固定されたギア325と噛み合うギア349が固定されている。
【0134】
魚釣り時には、ケース350からアーム340を出限まで繰り出し、ストッパ機構でアーム340をケース350に固定する(図27参照)。そして、移動側板333を最も前方まで移動させる。これにより、チェーン310は前述の形状に弛む。そして、モータ345を駆動すると、ギア349、325を介して駆動スプロケット322が駆動され、各チェーン310は循環軌道を図の時計方向に走行する。
【0135】
魚は釣り針1が下段経路を進行している間に釣り上げられて水中から引き上げられる。そして、上段軌道を搬送される。この間、魚や釣り針の自重は主糸にかかっている。その後、駆動スプロケット322の外周上において、上段軌道から下段軌道に搬送される際に、主糸が緩み魚と釣り針1の自重が副糸にかかるようになり、図5等で示した前述の作用によって釣り針1から自動的に外れる。外れた魚は樋224から船内に収容される。
【0136】
アーム340を収容する場合は、アーム340をケース350に入限まで収容し、ストッパ機構でアーム340をケース350に固定する。そして、移動側板333を最も後方まで移動させる。これにより、図29に示すように、チェーン310は比較的緊張した状態で船上に収容される。
【0137】
<第4実施例>
図30〜図37を参照して、自動魚釣り装置の第4の例を説明する。
この例の自動魚釣り装置400は、図30、図31、図33に示すように、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)410が循環走行するように配設されたフレーム430と、フレーム430を水上に浮かせるフロート450と、チェーン410の水面近傍の部分を保持案内する親綱フロート460と、を備える。
【0138】
図33を参照してフレーム430を説明する。
フレーム430は、略直方体状の枠組みを構成しており、四隅に配置された支柱431と、前後の支柱431の上端を接続する平行な縦梁433と、左右の支柱431の上端を接続する平行な横梁435と、両縦梁433の中央部を接続する中央横梁437と、を有する。各支柱431は、前後に平行に配列された一対の柱部材432からなる。縦梁433は、後側の支柱431よりも後方に延びている。
【0139】
中央横梁437の中央部の上面には、フック部439が立設している。フック部439には、進行方向と直交する方向に開口する縦長の開口441が形成されている。この開口441内に、船上から進行方向と直交する方向に延び出すビーム480が挿通される(詳細後述)。ビーム480の先端には抜け止めのプレート481が取り付けられている。
【0140】
チェーン410は前述の例と同様のチェーンを使用することができる。チェーン410は、図30に示すように、左右に配置された前後の支柱431間に、駆動スプロケット421と複数のスプロケット423によって循環軌道を描くように配設されている。循環軌道は、船腹側方の水面近傍に沿って、船の長さ方向(進行方向)に略半円状に深く弛んだ下段経路と、後方に向かってやや上方に傾斜した上段軌道と、からなる。
【0141】
図32に示すように、釣り針1の主糸3と副糸4は、図18等で示した前述の例と同様に、左右のチェーン410間に架け渡されたバー111に取り付けられる。バー111の両端は、各々左右のチェーン410のリンクプレートに取り付けられている。なお、主糸3に取り付けられるトラス糸116の各々を、バネ部材を介してバー111に取り付けてもよい。この場合、バネ部材により釣り針1が左右方向に振れるので、釣り針1を左右方向に振れながら進行させることができ、魚の食い付きが良くなることが期待される。
【0142】
図30に示すように、縦梁433の後ろ寄りの位置には、移動側板425がスライド可能に取り付けられている。この移動側板425に、モータ413、駆動スプロケット421及び同スプロケット421の上流に配置されたスプロケット423が取り付けられている。駆動スプロケット421の回転軸と、スプロケット423の回転軸とは、連動チェーンで連結されている。また、前支柱431の前側の柱部材432には、2個のスプロケット423が縦方向に並んで取り付けられている。これらのスプロケット423の回転軸も連動チェーンで連結されている。
【0143】
このような循環軌道においても、チェーン410が上段軌道から駆動スプロケット413を介して下段軌道へ向かう半円経路が形成される。チェーン410がこの半円軌道に達すると、図5等で前述したように、主糸3が緩み副糸4が引っ張られることによって釣り針1が回転し、魚を外すことができる。
【0144】
図33に示すように、フロート450は略直方体状の形状であり、硬質樹脂製の外殻部材内に、発泡樹脂を充填したものである。フロート450は、各支柱431の柱部材432の下端に取り付けられている。これらのフロート450によって、フレーム430は水面上に浮いた状態で支持される。また、フレーム430は、フック部439の開口441に挿通されたビーム480で船に支持されている。開口441は縦長の形状であるので、フレーム430はビームが開口441の上端に当接する高さと、開口441の下端に当接する高さの間を移動可能である。したがって、波によって海面の高さが変わってもフレーム430は波の高さに応じて上下に移動するので、下段軌道を走行するチェーン410は、常に水面下のほぼ同じ深さ位置を走行することができる。
【0145】
親綱フロート460は、下段軌道のチェーン410の水面近傍の部分を保持案内するものであり、図33に示すように、前後の各フロート450間に配設されている。親綱フロート460は、図34(A)に示すように、長手方向に複数に分割されたフロート片461をチェーン状に連結したものである。各フロート片461は略直方体形状であり、硬質樹脂製の外殻部材内に、発泡樹脂を充填したものである。図34(B)に示すように、フロート片461の上面には、長手方向に延びる溝465が形成されている。
【0146】
各フロート片461は側面でリンクプレート467で互いに間接運動するように連結されている。また、図33に示すように、先端と後端のフロート片461の端面は、各々前後のフロート450の端面にタイプレート468で間接運動可能に連結されている。なお、各タイプレート468を取り付けるピンの各々は、リンクプレート467の長手方向(横方向)に長い長孔と、フロート片461及びフロート450の高さ方向(縦方向)に長い長孔に挿通されている。これにより、フロート片461は、フロート450に対して高さ方向及び横方向に所定の距離だけ移動可能となる。
このような構造により、波などの影響で親綱フロート460の長手方向において海面の高さが変わった場合には、親綱フロート460のフロート片461は個々に間接運動して海面の高さに追随する。
【0147】
図35に示すように、この例においても、前述の例と同様に、釣り針1の主糸3と副糸4の基端は、各々左右方向に延びるバー111に回転可能に接続され、これらのバー111の両端が各々チェーン410に取り付けられている。さらにこの例では、チェーン410のリンクプレートに、所定の間隔でローラ470が取り付けられている。ローラ470は、チェーン410のリンクプレートから同リンクプレートから外方向に直角に延びる支持部材471の先端に回転可能に取り付けられている。チェーン410が下段軌道を走行する際、このローラ470は、親綱フロート460の各フロート片461の溝465内に嵌り、同溝465内を走行する。
【0148】
チェーン410のローラ470が親綱フロート460の各フロート片461の溝465に挿通している状態において、各釣り針1の糸3、4は、釣り針1の本体10がチェーン410から所定の高さ位置に保持されるように調整されている。前述のように、波によって海面の高さが変動しても、親綱フロート460の各々のフロート片461は海面に追随するので、チェーン410に接続された釣り針1の針本体10を常に海面下の所定の深さに保持することができる。
【0149】
次に、フレーム430が支持されるビーム480の支持方法を説明する。
図31に示すように、ビーム480は、船上に配置されたケース485に出し入れ可能に収納される。ビーム480の出し入れ作業は、図示せぬモータ及びギアで行われる。モータ又はギアが故障した際は、手動にても行うことができる。ケース485は、船の進行方向と直交する方向に配置された2本の支柱487に支持されている。ケース485は、先端側の支柱487に、ケース485の長さ方向と直交する方向に延びる回動軸489を中心として回動可能に支持されており、後方の支柱487には任意の高さ位置に係止可能に支持されている。
【0150】
また、ケース485とビーム480には、ビーム480の出限位置と入限位置とにおいて、ケース485とビーム480とを一時的に固定するストッパ機構(図示されず)が設けられている。
さらに、魚釣り時のビーム480の船上からのはね出し距離が長いので、船上には、ビーム480を出限位置において支持する折り畳み式の支柱491が設けられている。
【0151】
また、ケース485の後端には、前述の例と同様に、ケース485を上方に傾斜させるためのロープ493及び同ロープの巻き取り装置494と、下方に傾斜させるためのロープ495及び同ロープの巻き取り装置496が備えられている。
【0152】
魚釣り作業時の状態を図30、図31を参照して説明する。
魚釣り時には、図31に示すように、フレーム430はビーム480のほぼ先端までスライドしており、ビーム480がケース485からほぼ水平に繰り出されてフレーム430が海面上に達している。この状態で、フレーム430はフロート450によって水面上に浮いた姿勢で保持される。なお、この状態でフロート450の高さ位置と海面の高さ位置とが合わない場合は、巻き取り装置494又は496でロープ493又は495を巻き取ってケース485を上方又は下方に傾斜させて、フロート450が海面に浮くように調整する。
【0153】
この際、図30に示すように、移動側板425は最も前方まで移動しており、チェーン410は前述の形状に弛むように配設される。そして、下段軌道においては、各チェーン410のローラ470が、親綱フロート460の各フロート片461の溝465に収容されている。そして、モータ413を駆動すると、駆動スプロケット421が駆動され、各チェーン410は循環軌道を図30の時計方向に走行する。下段軌道においては、チェーン410に設けたローラ470が親綱フロート460の溝465内を進行する。
【0154】
魚は釣り針1が下段経路を進行している間に釣り上げられる。この際、前述のようにチェーン410は親綱フロート460に支持されて水面上の所定の高さ位置に支持されているので、釣り針1の針本体10は海面下の所定の深さ位置を進行する。つまり、波によって海面高さが変動しても、釣り針1の針本体10は海面下の所定の深さ位置を進行するので、魚の食い付きが良くなる。
【0155】
魚が掛かった釣り針1は水中から引き上げられて、上段軌道を搬送される。その後、駆動スプロケット421の外周上において、上段軌道から下段軌道に搬送される際に、主糸3が緩み魚と釣り針1の自重が副糸4にかかるようになり、図5等で示した前述の作用によって釣り針1から自動的に外れる。外れた魚は樋446から船内に収容される。なお、樋の勾配が十分にとれない場合は、駆動スプロケット421の下方にタンクを設置してもよい。
【0156】
図36、図37を参照して魚釣り装置の収容状態を説明する。
魚釣り装置400を船上へ収容する場合は、まず、図36に示すように、移動側板425をフレーム430の縦梁433に沿って後方まで移動させる。これにより、チェーン410は比較的緊張した状態に配設される。そして、図37に示すように、ケース480と後方支柱487との連結を解除し、巻き取り装置494で引き下げロープ493を巻き取り、ケース485を斜め上方に傾斜させる。ケース485とともにビーム480も斜め上方に傾斜し、ビーム480に挿通されているフレーム430が、海面上から持ち上げられる。その後、フレーム430を、ビーム480に沿って船上までスライドさせて船上に収容し、ビーム480をケース485内に回収する。
【0157】
図38は第4実施例の変形例である。
この例の魚釣り装置は、第4実施例の魚釣り装置のフレームを変形した例である。この例のフレーム430Aにおいては、前後のフロート450間に梁部材445が架け渡されている。このような梁部材445を設けることによって、親綱フロート460が進行方向に対して横方向(外方向)にずれることを防止している。波が荒い場合は、親綱フロート460が進行方向に対して横方向に振れて、チェーン410のローラ470(図35参照)が親綱フロート460の溝465から脱するおそれがある。そこで、梁部材445を設けて、親綱フロート460の外方向への振れを抑えることもできる。
【0158】
<第5実施例>
図39、図40を参照して第5実施例を説明する。
この例の魚釣り装置も、第4実施例と同様に、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)510が循環走行するように配設されたフレーム530と、フレーム530の各支柱531の下端が取り付けられたフロート550と、チェーン510の水面近傍の部分を保持案内する親綱フロート560と、を備える。この例においては、チェーン510にローラを設けておらず、チェーン510を直接親綱フロート560に支持している。
【0159】
親綱フロート560は、図39に示すように、長手方向に複数に分割されたフロート片561をチェーン状に連結したものである。各フロート片561は、略直方体形状であり、硬質樹脂製の外殻部材内に、発泡樹脂を充填したものである。図40に示すように、フロート片561の上面の高さはフロート550の上面よりも高くなっている。そして、フロート片561の上面には、長手方向に延びる溝565が形成されている。溝565の断面形状はほぼ長方形状であり、チェーン510の断面形状よりも一回り大きい寸法である。この溝565にチェーン510が受け入れられて進行する。
【0160】
各フロート片561は両側面でリンクプレート567で互いに間接運動するように連結されている。また、先端と後端のフロート片561の端面は、各々前後のフロート550の端面にタイプレート568で間接運動可能に連結されている。この例においても、各タイプレート567を取り付けるピンの各々は、タイプレート568の長手方向(横方向)に長い長孔と、フロート片561及びフロート550の高さ方向(縦方向)に長い長孔に挿通されている。これにより、フロート片561は、フロート550に対して高さ方向及び横方向に所定の距離だけ移動可能である。
【0161】
したがって、この例においても、波によって海面の高さが変わった場合も、親綱フロート560のフロート片561は個々に間接運動するので、フロート片561は海面の高さの変動に追随する。これにより、親綱フロート560に案内されるチェーン510は、親綱フロート560の長さ方向においてより細かい範囲内で海面の高さ変動に追随することができ、チェーン510に接続された釣り針1の本体10を海面下の所定の深さ位置に設定できる。
さらに、チェーン510が走行する溝565は、チェーン510の断面形状と同形状で、この断面形状よりも一回り大きい寸法であるので、チェーン510が溝565から脱しにくく、チェーン510を親綱フロート560に沿って確実に案内できる。
【0162】
図40(A)に示すように、波が比較的小さく、左右の親綱フロート561がほぼ同じ海面高さに位置している場合は、チェーン510(バー110)はほぼ水平姿勢をとり、釣り針1の本体10は海面下の所定の深さ位置に保持される。
一方、図40(B)に示すように、波が荒く、海面高さが左右方向に傾斜した場合は、親綱フロート561は海面高さに追随して、バー111が海面の傾斜とほぼ同じ斜めの姿勢となる。これにより、各釣り針1の本体10は海面下のほぼ同じ深さ位置に保持される。
【0163】
<第6実施例>
図41、図42を参照して第6実施例を説明する。
この例の魚釣り装置も、第4実施例と同様に、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)610が循環走行するように配設されたフレーム630と、フレーム630の各支柱631の下端が取り付けられたフロート650と、チェーン610の水面近傍の部分を保持案内する親綱フロート660と、を備える。この例においても、チェーン610を直接親綱フロート660に支持している。
【0164】
親綱フロート660は、図41に示すように、長手方向に複数に分割されたフロート片661をリンクプレートでチェーン状に連結したものである。各フロート片661は、略直方体形状であり、図42(A)に示すように、下部のフロート部663と上部のレール部662とを有する。レール部662は硬質樹脂で作製される。なお、レール部662の下面は潤滑性の高いレール面となっている。フロート部663は硬質樹脂製の外殻部材内に、発泡樹脂を充填したものである。レール部662は正面形状がコの字型であり、左右のフロート片661はレール部662の開口が内側を向くように配置されている。このレール部661に、下段軌道を走行するチェーン610が案内される。この際、レール部662が、開口部が内側を向いたコの字状であって、チェーン610の上方向及び外方向の動きが抑えられるので、チェーン610を親綱フロート560からの逸脱をより防止でき、親綱フロート560に沿って確実に案内できる。
【0165】
また、図42(B)に示すように、各フロート片661間にはローラ665が介されている。このローラ665と前後のフロート片661の両側面は、リンクプレート667で互いに間接運動するように連結されている。先端と後端のフロート片661の端面にも、各々前後のローラ665が回転可能に取り付けられている。これらローラ665によって、チェーン610はレール部662を滑らかに摺動できる。
【0166】
また、先端と後端のフロート片661の端面は、各々前後のフロート650の端面にタイプレート668で間接運動可能に連結されている。この例においても、各タイプレート668を取り付けるピンの各々は、タイプレート668の長手方向(横方向)に長い長孔と、フロート片661及びフロート650の高さ方向(縦方向)に長い長孔に挿通されている。これにより、フロート片661は、フロート650に対して高さ方向及び横方向に所定の距離だけ移動可能である。
【0167】
なお、ローラ665は、チェーン610との摺動面が、フロート片661のレール部662の下面と同じ高さ位置となるように位置させてもよく、レール部662の下面よりも高い位置となるように位置させてもよい。後者の場合、チェーン610がレール部662内を案内される際、ローラ665の部分でレール部662の下面よりも高い位置を通ることとなり、チェーン610は上下方向に波状に移動しながら進行する。これにより、釣り針1の本体10も海面下で上下方向に波状に移動しながら進行するので、さらに魚の食い付きが良くなることが期待される。
【0168】
また、フロート片661やローラ665、リンクプレートを樹脂製とすると、これらの部品が互いに接触する際に発する騒音を低くできる。接触音などを嫌うタイプの魚の場合は、これらの部品を樹脂製とすることが好ましい。
【0169】
<第7実施例>
図43から図47を参照して第7実施例を説明する。
この例の自動魚釣り装置700は、トローリング釣り漁法に適用した例であり、第7実施例と同様に、複数の釣り針1が接続された一対のループ状チェーン(親綱)710が循環走行するように配設されたフレーム730と、フレーム730を水上に浮かせるフロート750と、チェーン710の水面近傍の部分を保持案内する親綱フロート760と、を備える。
【0170】
この例のフレーム730は、図44に示すように、平面形状が船の進行方向に長い長方形の枠状の部材731と、枠部材731の四隅に立設した支柱732とからなる。図43に示すように、チェーン710は、左右に配置された前後の支柱732間に、駆動スプロケット721と複数のスプロケット723によって循環軌道を描くように配設されている。駆動スプロケット721は、前方の支柱732の上方に取り付けられており、モータ723で駆動される。他のスプロケット723は同支柱732の下方及び後方の支柱732に取り付けられている。この例では、チェーン710は図43の反時計方向に循環走行する。そして、チェーン710が、上段軌道から駆動スプロケット721を介して下段軌道へ向かう半円経路に達すると、図5等で前述したように、釣り針1の主糸3が緩み副糸4が引っ張られることによって釣り針1が回転し、魚を外すことができる。この駆動スプロケット721の下方には、後述するように、魚を収容するタンク800が配置されている。
【0171】
フレーム730の枠部材731の前側の辺には、デッキ735が折り畳み可能に接続されている。このデッキ735は、作業員が種々の作業を行うためのものである。
【0172】
図44に示すように、フロート750は、フレーム43の枠部材731の両長辺の下面に、同辺に沿って延びるように取り付けられている。フロート750は、枠部材731の長辺とほぼ同じ幅及び長さを有する。そして、このフロート750の内側に、親綱フロート760が取り付けられている。親綱フロート760としては、図34に示したもの等を使用できる。
【0173】
枠部材731の四隅と前辺には、リング部737が取り付けられている。これらのリング部737にロープ770(又はワイヤー、チェーンなど)が引っ掛けられる。図43に示すように、これらのロープ770は、船尾の甲板に設置された巻き取り装置771で巻き取られる。これらのロープ770によって、フレーム730は、船尾から引かれるように支持されている。なお、魚釣り作業時には、ロープ770の長さを調整して、本船が魚の進路を遮らないように、魚釣り装置700と船との間に適宜な間隔を開ける。
さらに、図43に示すように、各支柱732の上端にもリング部737が取り付けられている。これらのリング部737は後述するように、魚釣り装置700を船上に収容する際に使用される。
また、支柱732には、モータ724等を制御する制御盤781が設けられている。この制御盤781には船上から延びる給電ケーブル782が接続している。
【0174】
フレーム730の枠部材731の空間内の前縁付近には、釣り上げた魚を収納するタンク800が備えられている。タンク800は、図45(A)に示すように二重の構造であり、外タンク810と、外タンク810内に収容された内タンク820とを有する。外タンク810は、本体811と、外方向及び内方向に開閉可能な蓋812を備える。内タンク820は外タンク810より一回り小さく、本体821と、内方向のみ開き外方向には開かない蓋822を備える。蓋822にはリング部823が設けられている。内タンク820は、例えば、金網などで作製され、水をきることのできる構造であることが好ましい。
【0175】
前述のように、チェーン710が駆動スプロケット721を通過した後、釣り針1の主糸3が緩み副糸4が引っ張られることによって釣り針1が回転し、魚が釣り針1から外れる。外れた魚は、駆動スプロケット721の下方に配置されたタンク800に落下し、外タンク810の蓋812に当たる。この際、図45(B)に示すように、蓋812は内方向に回動して開く。そして、内タンク820の蓋822に当たって、同蓋822が回動して開き、魚は内タンク820の本体821に収容される。
【0176】
魚が収容された内タンク820を船上に搬送する際は、まず、図45(C)に示すように、外タンク810の蓋812を外方向に開く。そして、内タンク820の蓋821に設けたリング823に、チェーンブロックなどのフックHを引っ掛け、内タンク820を引き上げる。この際、内タンク820の蓋822は外方向には回動不能であるので、搬送中に蓋822が開くおそれはない。
【0177】
さらに、この魚釣り装置700には、自動餌捲き機850が備えられている。自動餌捲き機850は、図44に示すように、フレーム730の枠部材731の後側の短辺に配置されている。自動餌捲き機850は、図46に示すように、餌が収容されている容器851と、容器851内の餌を掬い上げるカゴ部材860と、カゴ部材860を容器外位置から容器内外位置へ回動させる回動機構と、カゴ部材860を容器外位置へ一気に付勢するねじりコイルばね875と、を有する。
【0178】
容器851には水がはられており、餌となる小魚が収容されている。カゴ部材860は、本体部861と、本体部861から延びる軸部862とを有する。回動機構は、第1ギア871と、同ギア871に噛み合う第2ギア872と、第2ギア872を駆動するモータ873と、を有する。第2ギア872は、第1ギア871と噛み合う歯の形成されていない外周部を有する。この例では、第2ギア872の外周の半分の部分が歯が形成されていない外周部となっている。モータ873は、第2ギア872を図の反時計方向に回転させ、これに伴い同ギア872に噛み合う第1ギアは図の時計方向に回転する。
【0179】
第1ギア871は、容器851の縁に、回転軸871aが縁に沿う姿勢で取り付けられている。この回転軸871aには、カゴ部材860の軸部862の先端が固定されている。第1ギア871の回転に伴って軸部861が回転軸871aの周りを回動し、カゴ部材860の本体部861は容器外位置から、容器内位置へ回動する。また、第1ギア871の回転軸871aには、ねじりコイルばね875のコイル部が挿通されている。ねじりコイルばね875の一端はカゴ部材860の軸部862に係止されており、もう一方の端部は、容器851の縁の外面に係止されている。このねじりコイルばね875は、カゴ部材860を外位置(図46(B)の位置)に付勢している。
【0180】
図46(A)に示す初期状態においては、カゴ部材860は、ねじりコイルばね875の付勢力に抗して容器内位置に回動させられており、第1ギア871と第2ギア872が噛み合っている。この状態からモータ873を駆動して第2ギア872を図の反時計方向に回転させると、第2ギア872の歯の形成されていない外周部が第1ギア871と対向するようになる。すると、図46(B)に示すように、第1ギア871はフリーの状態となって空回りし、ねじりコイルばね875の力によってカゴ部材860が一気に容器外位置へ回動する。この回動によって、カゴ部材860の本体部861に容器851内の子魚が掬われて海中に放り出される。
【0181】
さらにモータ873を駆動して第2ギア872を図の反時計方向に回転させると、やがて、第2ギア872の歯が第1ギア871と対向するようになり、第1ギア871と噛み合い始める。すると、第1ギア871は図の時計方向に回転し、カゴ部材860がタンク内位置に戻される。その後、再度第2ギア872の歯のない部分が第1ギア871に対向するようになると、前述と同様にカゴ部材860がねじりコイルばね875によって一気に容器外位置へ回動し、小魚を掬って海中に放出する。
このようにモータ873を駆動することで、自動的に容器851内の小魚を海中に捲くことができる。餌を捲くタイミングは適宜調整することができる。
【0182】
本例の魚釣り装置においては、海中の魚は図44の一点鎖線の矢印に示すように、左右のフロート750の周囲を回遊すると思われる。つまり、フロート750の後辺から捲かれた餌に魚が集まり、そのままフロート750間を通って前方へ向かう。このフロート750間を通る際に、釣り針1で釣られることになる。
【0183】
さらに、自動餌捲き機850の側方にはポンプ890が取り付けられている。このポンプ890は、吸水パイプ891で吸水した海水を、枠部材731の空間内に伸びる吐出パイプ892から吐出する。
一般に、カツオの餌となるしこいわしは、海面近くに小魚を追い食いするので、海水面にしぶきがあがる。カツオはそのしぶきに反応して集まり、しこいわしを食べる。この現象を再現するため、ポンプ890で海水をくみ上げて吐出パイプ892から吐出して海面にしぶきを発生させることによりカツオが集まりやすくなる。
【0184】
図47を参照して、魚釣り装置700の船上への収納状態を説明する。
魚釣り装置700を収容する際は、フレーム730の各支柱732の上端のリング部739に、ロープ775(又はワイヤーやチェーン)を引っ掛ける。各ロープ775は、船上から繰り出されるビーム780の先端に係止されている。ビーム780は、船上に配置されたケース785に出し入れ可能に収納される。ケース785は、船の進行方向に並んで立設された2本の支柱787に支持されている。ケース785は、後側の支柱787に、ケース785の長さ方向と直交する方向に延びる回動軸789を中心として回動可能に支持されており、前方の支柱787には任意の高さ位置に係止可能に支持されている。
【0185】
なお、ケース785とビーム780には、ビーム780の出限位置と入限位置とにおいて、ケース785とビーム780とを一時的に固定するストッパ機構(図示されず)が設けられている。
さらに、ケース785の後端には、前述の例と同様に、ケース785を上方に傾斜させるためのロープ793及び同ロープの巻き取り装置794と、下方に傾斜させるためのロープ795及び同ロープの巻き取り装置796が備えられている。
【0186】
魚釣り時には、ケース785からビーム780を繰り出し、フレーム730を、船の後方の海面の上方に位置させる。その後、巻き取り装置796でロープ795を巻き取ってケース785を後方に向かって下方に傾斜するように回動させ、フレーム730を海面に浮かせる。
一方、魚釣り装置700を船上へ収容する場合は、この逆に、巻き取り装置794でロープ793を巻き取ってケース785をほぼ水平となるまで回動させた後、ビーム780をケース785に収容する。これにより、図47に示すように、魚釣り装置700は甲板上に収容される。デッキ735は折り畳まれる。
【0187】
魚釣り装置を船上へ収容する方法としては、他に、船に出し入れ可能なスロープを設ける方法もある。魚釣り作業時にはスロープを繰り出し、魚釣り装置をスロープを滑らせて海上へ移動させる。収容時にもスロープを繰り出して、魚釣り装置をスロープに沿って引き上げる。他に、フレームをクレーンで吊り上げて船上へ収容することもできる。
【0188】
図48は、第7実施例の変形例であり、魚釣り装置700を船尾ではなく、船腹に位置させる例を示す。この場合、フレーム730のリング部737に引っ掛けられたロープ770の巻き取り装置771を甲板の船腹寄りの位置に取り付ける。
【0189】
図49は、第7実施例と同様であるが、魚を回収するタンクの代わりにバケットコンベア880を備えた例を示す。バケットコンベア880は、魚釣り装置700のフレーム730の前辺付近の、駆動スプロケット721の下方で魚を回収し、船上に備えたタンク881に搬送する。
【符号の説明】
【0190】
1 釣り針 3 主糸
4 副糸 5 疑似餌
6 リベット
10 針本体 11 針先部
12 湾曲部 13 根元部
15、16、17、18 リング 19 伸縮部材
20 外れ止めクロスバー 21 基端部
22 延長部 23 先端部
24、25 リング
30 付勢部材
43 リミット部材 44 リング
46 スライド部材 47 リンク部材
48 ねじりコイルばね 49 アーム
100 魚釣り装置 110 チェーン
111 バー
113 リング 114 セットカラー
116 トラス糸 121 スプロケット
122 駆動スプロケット 123 モータ
124 樋
125 サイドガイド板 127 スプロケット取付部材
130 アーム 131 筒状部材
132 延長アーム 133 係合部材
135 ロープ 136 巻き取り装置
137 ロープ 138 巻き取り装置
141 ハンガーレール 142 ハンガー
150 ケース 151 ロープ
152 巻き取り装置 160 支柱
161 回動軸
200 魚釣り装置 210 N.Tロックチェーン(登録商標)
221 スプロケット 222 駆動スプロケット
223 小スプロケット
224 樋 225 モータ
227 スプロケット取付部材 228 連動チェーン
230 アーム 231 中央部
232 下部 233 ラック
235 延長部材 237 固定側板
239 ローラ 241 移動側板
242 ローラ 243 ラック
245 ピニオン 246 モータ
250 ケース 251 開口
253 ピニオン 254 モータ
260 前方支柱 261 回動軸
263 後方支柱 264 係合機構
265 ロープ 266 巻き取り装置
267 ロープ 268 巻き取り装置
269 プーリ 280 ストッパ機構
300 魚釣り装置 310 チェーン
321 スプロケット 322 駆動スプロケット
324 モータ
325 ギア 330 ビーム
331 延長部材 333 移動側板
340 アーム 345 モータ
346 回動軸 347 軸受
348 折り畳み式支柱 349 ギア
350 ケース 360 支柱
361 回動軸 363 支柱
400 魚釣り装置 410 ループ状チェーン(親綱)
413 モータ 421 駆動スプロケット
423 スプロケット 425 移動側板
430 フレーム 431 支柱
432 柱部材 433 縦梁
435 横梁 437 中央横梁
439 フック部 441 開口
445 梁部材 446 樋
450 フロート
460 親綱フロート 461 フロート片
465 溝 467 リンクプレート
468 タイプレート 470 ローラ
471 支持部材 480 ビーム
481 プレート 485 ケース
487 支柱 489 回動軸
491 支柱 493、495 ロープ
494、456 巻き取り装置
510 チェーン 530 フレーム
531 支柱 550 フロート
560 親綱フロート 561 フロート片
565 溝 567 リンクプレート
568 タイプレート
610 チェーン 630 フレーム
631 支柱 650 フロート
660 親綱フロート 661 フロート片
662 レール部 663 フロート部
665 ローラ 667 リンクプレート
668 タイプレート
700 自動魚釣り装置 710 チェーン
721 駆動スプロケット 723 スプロケット
730 フレーム 731 枠部材
732 支柱 735 デッキ
737、739 リング部 750 フロート
760 親綱フロート
761 制御盤 762 給電ケーブル
770 ロープ
771 巻き取り装置 775 ロープ
780 ビーム 785 ケース
787 支柱 789 回動軸
793、795 ロープ 794、796 巻き取り装置
800 タンク 810 外タンク
811 本体 812 蓋
820 内タンク 821 本体
822 蓋 823 リング部
850 自動餌捲き機 851 容器
860 カゴ部材 861 本体部
862 軸部 871 第1ギア
872 第2ギア 873 モータ
875 ねじりコイルばね 880 バケットコンベア
881 タンク
890 ポンプ 891 吸水パイプ
892 吐出パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針先部、該針先部に接続された湾曲部、及び、該湾曲部から延びる根元部を有する針本体と、
その基端部が前記針本体の根元部に回動可能に取り付けられ、その先端部が前記針先部に近接する近接位置と離隔する離隔位置との間で変位可能な外れ止めクロスバーと、
該外れ止めクロスバーを離隔位置に付勢する付勢部材と、
前記針本体に係合するとともに前記外れ止めクロスバーに接続された主糸であって、前記針本体にかかった魚の力を受けて張力を付与されることにより、前記付勢部材の付勢力に打ち勝って前記外れ止めクロスバーを前記近接位置に変位させるとともに前記魚を釣り上げる主糸と、
前記針本体の湾曲部と前記根元部のつなぎ部分に接続された副糸であって、別途の手段により張力を付与されて、前記針先部を下方に向けて前記魚を外す副糸と、
を具備することを特徴とする釣り針。
【請求項2】
前記外れ止めクロスバーの先端が、前記離隔位置において針先の上方にあり、前記近接位置に変位する際に、該外れ止めクロスバーの先端が下降することを特徴とする請求項1記載の釣り針。
【請求項3】
前記針本体根元部に、外れ止めクロスバー回動支点が形成されており、また同部の該支点よりも上側の部位に主糸挿通孔が形成されており、
前記外れ止めクロスバーの基端部が、前記回動支点に連結されており、
前記主糸が、前記主糸挿通孔にスライド可能に通されており、
前記外れ止めクロスバーの基端部の基端側にさらに延長部が延びており、該延長部に前記主糸の先端部が固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の釣り針。
【請求項4】
前記針本体根元部の、前記外れ止めクロスバー回動支点よりも下側の部位に前記付勢部材の取り付け部が形成されており、
前記付勢部材が、前記針本体の前記付勢部材の取り付け部と前記外れ止めクロスバー延長部との間に掛け渡されていることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の釣り針。
【請求項5】
前記外れ止めクロスバーが、その先端部が前記針先部に内側から近接する近接位置と、前記根元部に沿った離隔位置との間で変位可能な外れ止めクロスバーであって、
前記付勢部材によって前記根元部に沿った離隔位置に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の釣り針。
【請求項6】
前記付勢部材がねじりコイルばねであり、
前記針本体、外れ止めクロスバー及び付勢部材が一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の釣り針。
【請求項7】
前記針本体の根元部と前記外れ止めクロスバーとの間に、前記外れ止めクロスバーの開き角度を制限する制限部材が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の釣り針。
【請求項8】
前記針本体の根元部にスライド可能に係合するスライド部材をさらに備え、
前記付勢部材が、一端が前記針本体の根元部に接続され、もう一方の端部が前記スライド部材に接続されたコイルばねであって、
前記スライド部材が、前記外れ止めクロスバーの基端に連結されており、
前記主糸が、前記針本体にかかった魚の力を受けて張力を付与されると、前記スライド部材が前記コイルバネの付勢力に打ち勝ってスライドして前記外れ止めクロスバーを前記近接位置に変位させることを特徴とする請求項7に記載の釣り針。
【請求項9】
前記針本体の根元部に傾動可能かつ前記根元部に沿うように付勢されたアームと、
前記スライド部材と前記アームとを連結するリンク部材と、をさらに備え、
前記副糸が前記アームの先端に接続されており、
前記主糸が緩められ、前記副糸に張力が付与されると、前記アームが傾動して、前記針本体を回転させることを特徴とする請求項8に記載の釣り針。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の釣り針を用いて魚を釣る装置であって、
複数の前記釣り針の前記主糸及び副糸が接続された、ループをなす親綱と、
前記親綱を循環駆動させる駆動手段と、
前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段と、
前記釣り針から魚を外す手段と、
を備える魚釣り装置であって、
前記釣り針に魚が掛かった後、前記主糸に魚の自重が掛かった状態で前記魚を外す手段に進み、該手段において前記主糸が弛むとともに前記副糸が張り、これによって前記釣り針が針先を下を向けるように回転して魚が前記釣り針から外れることを特徴とする魚釣り装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項記載の釣り針を用いて魚を釣る装置であって、
複数の前記釣り針の前記主糸及び副糸が接続された、ループをなす親綱と、
前記親綱を循環駆動させる駆動手段と、
前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段と、
前記親綱を下方へ向かう半円状の経路に案内する手段と、
を備える魚釣り装置であって、
前記釣り針が自然姿勢においては、前記主糸が前記親綱の進行方向前方で、かつ、前記副糸が弛むように接続されており、
前記釣り針に魚が掛かった際に、前記主糸に魚の自重が掛かった状態で前記案内手段に案内され、該案内手段を走行中に前記主糸が弛み、張力で魚の自重を支えられなくなるとともに、前記副糸に魚の自重がかかって該副糸が張り、これによって前記釣り針が針先を下を向けるように回転することにより魚が前記釣り針から外れることを特徴とする魚釣り装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項記載の釣り針を用いて魚を釣る装置であって、
水上に浮くフロートと、
該フロート上に支持されたフレームと、
該フレームに配設されており、複数の前記釣り針の前記主糸及び副糸が接続された、ループをなす親綱と、
該親綱を循環駆動させる駆動手段と、
前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段と、
前記釣り針から魚を外す手段であって、前記釣り針に魚が掛かった後、前記主糸に魚の自重が掛かった状態で前記魚を外す手段に進み、該手段において前記主糸が弛むとともに前記副糸が張り、これによって前記釣り針が針先を下に向けるように回転して魚が前記釣り針から外れる魚外し手段と、
外した魚を貯めておくタンクと、
を備えることを特徴とする魚釣り装置。
【請求項13】
該釣り針を左右両側(前記親綱の進行方向と直交する方向での左右両側)から支持するトラス糸を備えることを特徴とする請求項10、11又は12に記載の魚釣り装置。
【請求項14】
前記装置が、魚釣り作業以外の時には、船上に収容されることを特徴とする請求項10〜13いずれか1項記載の魚釣り装置。
【請求項15】
前記親綱の前記水面近傍の部分を保持案内する親綱フロートをさらに備えることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項記載の魚釣り装置。
【請求項16】
前記親綱フロートが左右一対設けられており、該一対の左右フロート間に掛け渡された複数の親綱バーを前記親綱が有し、
該親綱バーに、前記主糸、前記副糸及び前記トラス糸が取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載の魚釣り装置。
【請求項17】
前記親綱フロートが長手方向に複数に分割されたチェーン状であることを特徴とする請求項15又は16に記載の魚釣り装置。
【請求項18】
前記親綱にローラが備えられており、
前記親綱フロートに、前記ローラが嵌り込んで走行する溝が形成されていることを特徴とする請求項15、16又は17に記載の魚釣り装置。
【請求項19】
前記親綱フロートに、前記親綱が嵌り込んで走行する溝部又はレール部が形成されていることを特徴とする請求項15、16又は17に記載の魚釣り装置。
【請求項20】
前記親綱フロートが、チェーン状に連結された複数のフロート片からなり、
隣接する前記フロート片間にローラが取り付けられていることを特徴とする請求項15〜19のいずれか1項に記載の魚釣り装置。
【請求項21】
前記フレームに自動餌捲き機が備えられていることを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の魚釣り装置。
【請求項22】
前記フレームに、
前記親綱、前記親綱駆動手段、前記親綱のループの一部を水面近傍に配置する手段、前記釣り針から魚を外す手段、前記魚を外す手段、及び、前記タンクと、が配置されており、
前記フレームが、魚釣り作業以外の時には、船上に収容されることを特徴とする請求項12に記載の魚釣り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2012−10599(P2012−10599A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147385(P2010−147385)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(509319649)ミツユキ産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】