説明

釣合い錘用緩衝器スペーサ装置

【課題】緩衝器スペーサ本体の着脱を容易に行うことができる釣合い錘用緩衝器スペーサ装置を得る。
【解決手段】釣合い錘3の下側に取外し可能に設けられ、釣合い錘3と釣合い錘3の下方にある釣合い錘緩衝器7との距離を調節する釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1において、釣合い錘3の下側に設けられ、上端部および下端部にフランジ部12aを有した緩衝器スペーサ本体12と、フランジ部12aを係止し、緩衝器スペーサ本体12が釣合い錘3に対して水平方向へ移動することで、フランジ部12aへの係止を解除する第1の緩衝器スペーサ係止具14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣合い錘の下側に取外し可能に設けられ、前記釣合い錘と前記釣合い錘の下方にある緩衝器との距離を調節する釣合い錘用緩衝器スペーサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣合い錘の下側に取外し可能に設けられ、前記釣合い錘と前記釣合い錘の下方にある緩衝器との距離を調節する釣合い錘用緩衝器スペーサ装置において、緩衝器スペーサ本体と、この緩衝器スペーサ本体を前記釣合い錘の下面に固定する固定具とを備えた釣合い錘用緩衝器スペーサ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−267537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このものの場合、緩衝器スペーサ本体を着脱する際には、固定具を着脱する者と、緩衝器スペーサ本体を支持する者との少なくとも2人の作業者が必要であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、緩衝器スペーサ本体の着脱を容易に行うことができる釣合い錘用緩衝器スペーサ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置は、釣合い錘の下側に取外し可能に設けられ、前記釣合い錘と前記釣合い錘の下方にある緩衝器との距離を調節する釣合い錘用緩衝器スペーサ装置において、上端部および下端部にフランジ部を有した緩衝器スペーサ本体と、前記フランジ部を係止し、前記緩衝器スペーサ本体が前記釣合い錘に対して水平方向へ移動することで、前記フランジ部への係止を解除する緩衝器スペーサ係止具とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置によれば、緩衝器スペーサ本体の着脱を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1を有したエレベータの部分斜視図、図2は図1の緩衝器スペーサ本体12、13および釣合い錘緩衝器7を示す拡大図、図3(a)は図1の釣合い錘3と釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1とを示す斜視図、図3(b)は図3(a)の第1の緩衝器スペーサ係止具14を示す拡大斜視図、図3(c)は図3(a)の第2の緩衝器スペーサ係止具15を示す拡大斜視図である。
実施の形態1に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1は、昇降路2の内側を昇降する釣合い錘3の下側に設けられている。
釣合い錘3の上側には、滑車3aが回転可能に設けられており、この滑車3aに主索4が巻き掛けされている。この主索4は、両端とも上方へ延び、一端部は昇降路2の図示しない天面に固定され、他端部は天面に回転可能に設けられた図示しない滑車に巻き掛けされて下方に延びており、昇降路2の底面2aに設けられた巻上機5に巻き掛けされている。
巻上機5に巻き掛けされた主索4の他端部は、再度上方へ延び、天面に回転可能に設けられた図示しない滑車に巻き掛けされて再び下方に延びており、昇降路2の内側を昇降するかご室6の下側に固定された滑車6aに巻き掛けされて再度上方へ延び、昇降路2の天面に固定されている。
【0009】
釣合い錘3の鉛直下方向には、釣合い錘3が落下した場合の衝撃を吸収する釣合い錘緩衝器7が設けられており、かご室6の鉛直下方向には、かご室6が落下した場合の衝撃を吸収するかご室緩衝器8が設けられている。
昇降路2の側面には、釣合い錘3を上下方向に案内するレール9と、かご室6を上下方向に案内するレール10とが設けられている。
昇降路2の底面2aには、巻上機5と電気的に接続された制御盤11が設けられており、巻上機5の駆動を制御して、かご室6が昇降する。
【0010】
釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1は、上端部および下端部にフランジ部12aを有した緩衝器スペーサ本体12と、この緩衝器スペーサ本体12の下側に積重され、フランジ部12aと重ねられたフランジ部13aを有した緩衝器スペーサ本体13と、釣合い錘3の下面に固定され、緩衝器スペーサ本体12のフランジ部12aを係止する第1の緩衝器スペーサ係止具14と、重ねられたフランジ部12a、13aを係止する第2の緩衝器スペーサ係止具15とを有している。
【0011】
第1の緩衝器スペーサ係止具14は、板形状の両端部がそれぞれ逆方向に折曲されて形成されており、一端部が釣合い錘3の下面にボルト16によって固定され、他端部が釣合い錘3と接触した緩衝器スペーサ本体12の上側のフランジ部12aを係止している。
上側のフランジ部12aには、第1の緩衝器スペーサ係止具14から離れた位置に、フランジ部12aを貫通した貫通孔12bが四隅に形成されており、この貫通孔12bを下側から貫通したボルト17が、釣合い錘3の下面に螺着されている。このことにより、緩衝器スペーサ本体12は釣合い錘3に固定されている。
【0012】
第2の緩衝器スペーサ係止具15は、板形状の断面がコ字形状に形成されており、重ねられた緩衝器スペーサ本体12の下側のフランジ部12aと緩衝器スペーサ本体13の上側のフランジ部13aとの周縁部が第2の緩衝器スペーサ係止具15のコ字形状の内側によって係止されている。
重ねられたフランジ部12a、13aにも、上述した貫通孔12b、13bが四隅に形成されており、この貫通孔12b、13bを下側から貫通してボルト18が、フランジ部12aの上側に設けられたナット19に螺着している。このことにより、積重された各緩衝器スペーサ本体12、13は互いに固定されている。
第1の緩衝器スペーサ係止具14および第2の緩衝器スペーサ係止具15は、2個対向して設けられており、それぞれがフランジ部12a、13aの側面に配置されている。
【0013】
次に、実施の形態1に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1の緩衝器スペーサ本体12、13の取外し方法について説明する。
図4は図1の釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1を示す正面図、図5は図4のボルト17、18が取り外された釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1を示す正面図である。
まず、積重された緩衝器スペーサ本体13を固定しているボルト18を、ナット19および緩衝器スペーサ本体13から取り出す。
このとき、積重された緩衝器スペーサ本体12および緩衝器スペーサ本体13は切り離された状態になるが、第2の緩衝器スペーサ係止具15によって、緩衝器スペーサ本体13が鉛直下方向へ落下するのを防止されているので、作業者が緩衝器スペーサ本体13を支持する必要がなく、四隅に設けられたボルト18を容易に取り外すことができる。
すべてのボルト18を取り外すと、緩衝器スペーサ本体13を水平方向へ移動させて、第2の緩衝器スペーサ係止具15から緩衝器スペーサ本体13を取り出す。
【0014】
次に、緩衝器スペーサ本体12を固定しているボルト17を、釣合い錘3の下面および緩衝器スペーサ本体12から取り出す。
このとき、緩衝器スペーサ本体12は、釣合い錘3の下面から切り離された状態になるが、第1の緩衝器スペーサ係止具14によって、緩衝器スペーサ本体12が鉛直下方向へ落下するのを防止されているので、作業者が緩衝器スペーサ本体12を支持する必要がなく、四隅に設けられたボルト17を容易に取り外すことができる。
すべてのボルト17を取り外すと、緩衝器スペーサ本体12を水平方向へ移動させて、第1の緩衝器スペーサ係止具14から緩衝器スペーサ本体12を取り出す。
【0015】
緩衝器スペーサ本体12および緩衝器スペーサ本体13を取り付ける場合には、上述した衝器スペーサ本体12および緩衝器スペーサ本体13の取外し方法を逆の手順に従って行えばよい。
つまり、まず、緩衝器スペーサ本体12を水平方向に移動させて、釣合い錘3の下面に固定された第1の緩衝器スペーサ係止具14に係止させる。
第1の緩衝器スペーサ係止具14に係止させた後で、ボルト17を用いて緩衝器スペーサ本体12を釣合い錘3に固定する。
次に、緩衝器スペーサ本体12の下側のフランジ部12aに第2の緩衝器スペーサ係止具15を取付け、その後、緩衝器スペーサ本体13を水平方向に移動させて、第2の緩衝器スペーサ係止具15に係止させる。
緩衝器スペーサ本体13を第2の緩衝器スペーサ係止具15に係止させた後で、ボルト18およびナット19を用いて緩衝器スペーサ本体13を緩衝器スペーサ本体12に固定する。
【0016】
以上説明したように、実施の形態1に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1によると、第1の緩衝器スペーサ係止具14によって緩衝器スペーサ本体12の上側のフランジ部12aを係止し、緩衝器スペーサ本体12が釣合い錘3に対して水平方向へ移動することで、フランジ部12aへの係止を解除するので、緩衝器スペーサ本体12を釣合い錘3に固定するボルト17を着脱する際に、作業者は緩衝器スペーサ本体12を支持する必要がなく、容易にボルト17を着脱することができ、容易に緩衝器スペーサ本体12の着脱を行うことができる。
【0017】
また、第1の緩衝器スペーサ係止具14は、板形状の両端部が互いに逆方向へ折曲されて形成され、その一端部が釣合い錘3の下面に固定され、他端部が緩衝器スペーサ本体12のフランジ部12aを係止するので、容易に緩衝器スペーサ本体12の着脱を行うことができる。
【0018】
また、第2の緩衝器スペーサ係止具15は、断面がコ字形状に形成され、重ねられたフランジ部12aおよびフランジ部13aの周縁部をコ字形状の内側で係止するので、容易に緩衝器スペーサ本体13の着脱を行うことができる。
【0019】
また、釣合い錘3と緩衝器スペーサ本体12とを繋ぐ第1の緩衝器スペーサ係止具14および積重された緩衝器スペーサ本体12と緩衝器スペーサ本体13とを繋ぐ第2の緩衝器スペーサ係止具15を有しているので、容易に緩衝器スペーサ本体12および緩衝器スペーサ本体13の着脱を行うことができる。
【0020】
また、既存の緩衝器スペーサであっても、固定用ボルトが貫通するためのフランジ部が形成されているものであれば、第1の緩衝器スペーサ係止具14および第2の緩衝器スペーサ係止具15を用いて、釣合い錘3と釣合い錘緩衝器7との距離を容易に調節することができる。
【0021】
なお、上記実施の形態1では、2段に積重された緩衝器スペーサ本体12および緩衝器スペーサ本体13を有した釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1について説明したが、勿論このものに限らず、3段以上に積重された緩衝器スペーサ本体を有した釣合い錘用緩衝器スペーサ装置1であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1に係る釣合い錘用緩衝器スペーサ装置を有したエレベータの部分斜視図である。
【図2】図1の緩衝器スペーサ本体および釣合い錘緩衝器を示す拡大図である。
【図3】図3(a)は図1の釣合い錘と釣合い錘用緩衝器スペーサ装置とを示す斜視図、図3(b)は図3(a)の第1の緩衝器スペーサ係止具を示す拡大斜視図、図3(c)は図3(a)の第2の緩衝器スペーサ係止具を示す拡大斜視図である。
【図4】図1の釣合い錘用緩衝器スペーサ装置を示す正面図である。
【図5】図4のボルトが取り外された釣合い錘用緩衝器スペーサ装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 釣合い錘用緩衝器スペーサ装置、2 昇降路、2a 底面、3 釣合い錘、3a 滑車、4 主索、5 巻上機、6 かご室、6a 滑車、7 釣合い錘緩衝器、8 かご室緩衝器、9 レール、10 レール、11 制御盤、12 緩衝器スペーサ本体、12a フランジ部、12b 貫通孔、13 緩衝器スペーサ本体、13a フランジ部、13b 貫通孔、14 第1の緩衝器スペーサ係止具、15 第2の緩衝器スペーサ係止具、16 ボルト、17 ボルト、18 ボルト、19 ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣合い錘の下側に取外し可能に設けられ、前記釣合い錘と前記釣合い錘の下方にある緩衝器との距離を調節する釣合い錘用緩衝器スペーサ装置において、
上端部および下端部にフランジ部を有した緩衝器スペーサ本体と、
前記フランジ部を係止し、前記緩衝器スペーサ本体が前記釣合い錘に対して水平方向へ移動することで、前記フランジ部への係止を解除する緩衝器スペーサ係止具と、
を備えたことを特徴とする釣合い錘用緩衝器スペーサ装置。
【請求項2】
前記緩衝器スペーサ係止具は、板形状の両端部が互いに逆方向へ折曲されて形成され、その一端部が前記釣合い錘の下側に固定され、他端部が前記フランジ部を係止することを特徴とする請求項1に記載の釣合い錘用緩衝器スペーサ装置。
【請求項3】
前記緩衝器スペーサ本体は、複数段に積重され、
前記緩衝器スペーサ係止具は、断面がコ字形状に形成され、重ねられた前記フランジ部の周縁部を前記コ字形状の内側で係止することを特徴とする請求項1に記載の釣合い錘用緩衝器スペーサ装置。
【請求項4】
前記緩衝器スペーサ本体は、複数段に積重され、
前記緩衝器スペーサ係止具は、
板形状の両端部が互いに逆方向へ折曲されて形成され、その一端部が前記釣合い錘の下側に固定され、他端部が前記フランジ部を係止する第1の緩衝器スペーサ係止具、および断面がコ字形状に形成され、重ねられた前記フランジ部の周縁部を前記コ字形状の内側で係止する第2の緩衝器スペーサ係止具であることを特徴とする請求項1に記載の釣合い錘用緩衝器スペーサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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