説明

釣銭準備金作成システム

【課題】釣銭準備金作成関連業務の一部を店舗側が自ら行って経費の増大を抑制する上で、釣銭準備金作成関連業務を良好に且つ円滑に行わせることができる釣銭準備金作成システムの提供。
【解決手段】店舗毎に設けられた端末機21を備え、端末機21は、当該端末機21が設けられた店舗内にある現金の金種別の在り高データと、当該店舗の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データとを記憶する記憶手段35と、記憶手段35に記憶されている現金の金種別の在り高データの範囲内で、翌営業日のための釣銭準備金として回金する金種別金額データが入力手段31により入力されると、一日毎の金種別の釣銭準備金データと回金する金種別金額データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを出力する制御手段34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣銭準備金作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
百貨店、ショッピングセンターなどの大規模店舗群の現金廻りの業務効率化のために、警備会社などが、各店舗のための釣銭準備金を作成して供給しつつ、代わりに、売上金の回収と精算・口座への入金を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−353523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術により、各店舗の現金廻りについて効率化を進めることができるようになったが、反面、これらに掛かる経費が増大する結果となっている。このため、釣銭準備金作成関連業務の一部を店舗側が自ら行って経費の増大を抑制することが検討されている。
【0005】
したがって、本発明は、釣銭準備金作成関連業務の一部を店舗側が自ら行って経費の増大を抑制する上で、釣銭準備金作成関連業務を良好に且つ円滑に行わせることができる釣銭準備金作成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、店舗毎に設けられた端末機を備え、前記端末機は、当該端末機が設けられた店舗内にある現金の金種別の在り高データと、当該店舗の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データとを記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている現金の金種別の在り高データの範囲内で、翌営業日のための釣銭準備金として回金する金種別金額データが入力手段により入力されると、前記一日毎の金種別の釣銭準備金データと前記回金する金種別金額データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを出力する制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項2に係る発明において、店舗に設けられた前記端末機は、当該店舗の主たるPOS端末であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、一つの店舗内に複数のPOS端末を有する場合、前記端末機は、それぞれのPOS端末にアクセスして、店舗内にあるすべての現金の金種別の在り高データを記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記一日毎の金種別の釣銭準備金データとして、少なくとも平日用、休祭日用およびイベント開催日用を含む複数のパターンデータが予め前記記憶手段に記憶されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データは、前記端末機の端末機表示手段に表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データは、前記端末機の印字手段で印字されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る発明において、両替手配手段を有し、前記制御手段は、前記金種別の釣銭準備不足金データから釣銭準備不足金の合計金額データを算出するとともに、前記両替手配手段が操作されると、前記端末機またはこれに接続される現金処理機によって、前記合計金額データに基づいた両替元金となる現金を出金させることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記金種別の釣銭準備不足金データの出力時に、両替機室の運用状況を読み出して、併せて出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、現在、記憶手段に記憶されている、端末機が設けられた店舗内にある現金の金種別の在り高データの範囲内で、入力手段により、翌営業日のための釣銭準備金として回金する金種別金額データが入力されると、制御手段が、このデータと、記憶手段に記憶されている、翌営業日の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを出力することになるため、不足分の釣銭準備金を作成する手配を行わせることが可能となる。したがって、釣銭準備金作成関連業務を良好に且つ円滑に行わせることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、店舗に設けられた端末機は、当該店舗の主たるPOS端末であるため、POS端末を利用することになって、専用の端末機を用意する必要がなくなる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、一つの店舗内に複数のPOS端末を有する場合、端末機が、それぞれのPOS端末にアクセスして、店舗内にあるすべての現金の金種別の在り高データを記憶手段に記憶するため、店舗全体の現金の金種別の在り高データを把握できる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、大きく分けて、平日、休祭日、イベント開催日によって、来客数が大きく変わり、それに合わせて、釣銭に必要となる現金の金種別の数量が変わることから、一日毎の金種別の釣銭準備金データとして、少なくとも平日用、休祭日用およびイベント開催日用を含む複数のパターンデータを予め記憶手段に記憶しておくことで、釣銭準備金データを適正化することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データが、端末機表示手段に表示されるため、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを認識させて、不足分の釣銭準備金を作成する手配を行わせることができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データが、端末機の印字手段で印字されるため、不足となる釣銭準備不足金データを手作業で記録する等なく直ちに、不足分の釣銭準備金を作成する手配を行わせることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、制御手段が、金種別の釣銭準備不足金データから釣銭準備不足金の合計金額データを算出するとともに、両替手配手段が操作されると、端末機またはこれに接続される現金処理機によって、両替元金となる現金を出金させるため、この出金された、合計金額データに基づく両替元金を持参させて、両替所または両替機において、不足する金種別の釣銭への両替を行わせることができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、制御手段が、金種別の釣銭準備不足金データの出力時に、両替機室の運用状況、すなわち、混雑しているか否かを読み出して、併せて出力することになるため、釣銭準備の際に、両替機室での待ち時間を減らして効率良く、不足分の釣銭準備金の作成を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る大規模店舗群の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る釣銭ロッカー室および入金機室の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る両替機室および両替管理室の構成を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るPOS端末等の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る入金機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る入金管理機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る両替機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る両替管理機の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態は、例えば百貨店やショッピングセンターなどの大規模店舗群に使用されるものである。この大規模店舗群には、図1に示すように、多数(複数)の店舗11が設けられており、また、店舗11とは別に、図2に示す釣銭ロッカー室12および入金機室13と、図3に示す両替機室14および両替管理室15が設けられている。
【0024】
「店舗」
図1に示すように、同じ大規模店舗群を構成するすべての店舗11には、それぞれに、一台のPOS端末21(端末機)と、このPOS端末21に制御されて代金が入金されると必要に応じて釣銭を出金する釣銭機22(現金処理機)とが設けられている。なお、POS端末21と釣銭機22とは一体型であっても別体型であっても良い。
【0025】
ここで、各店舗11には、少なくとも一台のPOS端末21と一台の釣銭機22とが設けられることになる。つまり、店舗規模によっては、一店舗に対して一台のPOS端末21と一台の釣銭機22とを配置する構成のほか、一店舗に対して複数のPOS端末21と釣銭機22とを組み合わせて配置する構成があり、複数のPOS端末を設ける場合、いずれか一つが主たるPOS端末としての役割を果たし、残りは従たるPOS端末となる。また、主たるPOS端末に代えて、店舗内のすべてのPOS端末を統合管理する端末機を設けても良い。
【0026】
また、店舗11には、店舗11の責任者が所持する携帯電話等の携帯端末25が個別に設けられている。
【0027】
店舗11毎に設けられたPOS端末21は、図4に示すように、店舗担当者等の担当者の操作入力を受け付けるとともに担当者に対して表示を行うタッチパネル式の操作表示部31(端末機表示手段,入力手段)と、担当者に対して音声出力を行う端末機音声発生部32と、紙面に印字を行って担当者に向けて排紙するプリンタ部33(印字手段)と、これらと釣銭機22とを制御する端末機制御部34(制御手段)と、データ等を記憶する端末機記憶部35(記憶手段)と、外部と通信可能な通信部36とを有している。
【0028】
なお、すべての店舗11には、他の店舗11と識別するための個別の番号等からなる店舗識別情報が割り振られている。また、各店舗11の責任者を含む担当者にはIDカード40が付与されることになり、このIDカード40には、担当者を他の担当者と識別するための個別の番号等からなる担当者識別情報が記憶されている。なお、担当者別の担当者識別情報と、当該担当者が属する店舗11の上記した店舗識別情報とは対応しており、この関係がPOS端末21の端末機記憶部35等に記憶されている。また、IDカード40は、例えば、磁気カードやICカード(接触型、非接触型を含む)等である。
【0029】
「釣銭ロッカー室」
図2に示すように、釣銭ロッカー室12には、入退室用のロッカー室出入口41が設けられており、ロッカー室出入口41には開閉扉42が設けられている。また、釣銭ロッカー室12には、店舗11毎に区画された収納部43を備えた釣銭ロッカー44が設置されている。つまり、釣銭ロッカー44は、一つの店舗11につき一つの収納部43が割り当てられており、収納部43は、釣銭準備金、売上金等を収納し、別体のキーで施錠できるように構成されている。
【0030】
すべての収納部43には、釣銭準備金が収納されているか否かを検出可能な収納検出センサ45がそれぞれ設けられている。収納検出センサ45は、収納部43への収納物の重量を検出可能な重量センサであり、重量から収納物の有無およびその量を検出する。
【0031】
釣銭ロッカー室12には、釣銭ロッカー44のすべての収納検出センサ45に通信可能とされ、それぞれの収納検出センサ45の検出結果に基づいて各収納部43に釣銭準備金が収納されているか否かを判断するロッカー制御部46と、データ等を記憶するロッカー記憶部47と、外部と通信可能な通信部48とが別途設けられている。つまり、各店舗11の図4に示すPOS端末21には、自店舗11の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データが端末機記憶部35に記憶されており、ロッカー制御部46は、通信部48を介して各店舗11のPOS端末21と通信可能であって、POS端末21との通信で各店舗11の釣銭準備金データを把握することによって各店舗11の釣銭準備金の基準重量をそれぞれ算出してロッカー記憶部47に記憶するとともに、この基準重量に対して、対応する収納部43の収納物の重量を検出して比較することで、釣銭準備金が収納済みであるか否かを判断する。すべての収納部43には、他の収納部43と識別するための個別の番号等からなる収納部識別情報が設定されており、収納部識別情報は店舗識別情報と一対一で対応してロッカー記憶部47に記憶されている。また、担当者識別情報と店舗識別情報との関係もロッカー記憶部47に記憶されている。
【0032】
釣銭ロッカー室12には、さらに、現金外等ポスト49が設置されている。この現金外等ポスト49には、入金機室13に設置された後述する入金機61での入金取引が不可能な現金外等、すなわち、商品券や、店舗11のPOS端末21に接続された釣銭機22で処理できなかった損貨(入金機61での処理も不可能と充分に予測される現金)等の貨幣的価値を有するものが、当該現金外等が発生した店舗11の店舗識別情報と、当該現金外等の明細を記載した明細票とともに現金外等袋に収納されて投函される。現金外等ポスト49に投函された現金外等は、別途、回収され、手入力処理により、売上計上等に精算処理がなされる。
【0033】
「入金機室」
入金機室13は、釣銭ロッカー室12に隣接して設けられており、釣銭ロッカー室12との境界の壁に入金機室13への入室専用の入金機室入口51が設けられている。この入金機室入口51には開閉扉52が設けられている。また、入金機室入口51の近傍には、入室した店舗担当者等の担当者が持参するIDカード40から担当者識別情報を読み取る入金機室入室カードリーダ53が設けられている。
【0034】
また、入金機室13には、釣銭ロッカー室12とは異なる側に、入金機室13からの退室専用の入金機室出口54が設けられており、この入金機室出口54には開閉扉55が設けられている。入金機室出口54の近傍には、退室する担当者(退室者)が持参するIDカード40から担当者識別情報を読み取る入金機室退室カードリーダ56が設けられている。
【0035】
入金機室13には、同じ大規模店舗群を構成するすべての店舗11からの売上金(現金)を機械入金可能に受け付ける多数(複数)の入金機61が設置されている。入金機61は、硬貨および紙幣を入金可能なもので、入金された貨幣をその真偽を含めて識別して、金種別に計数し、金種別枚数および金額を確定させて収納するものである。
【0036】
入金機61は、それぞれが、図5に示すように、店舗担当者等の担当者の操作入力を受け付けるとともに担当者に対して表示を行うタッチパネル式の操作表示部62と、入金操作を行う担当者が持参するIDカード40から担当者識別情報を読み取る入金機カードリーダ63と、担当者に対して音声出力を行う入金機音声発生部64と、入金機室入口51の近傍に居る担当者に対して呼び出しのための表示を行う入金機呼出表示部65と、投入された貨幣を金種別に計数して収納または返却する入金機貨幣処理部66と、これらを制御する入金機制御部67と、データの記憶等を行う入金機記憶部68と、外部と通信するための通信部69とを有している。入金機記憶部68には、担当者識別情報と店舗識別情報との関係も記憶されている。入金機制御部67は、入金処理時にIDカード40から入金機カードリーダ63で読み取った担当者識別情報から、対応する店舗識別情報を割り出し、この店舗識別情報と、当該入金処理時で入金される金種別の入金データとを関連付けて、当該店舗識別情報を有する店舗11の売上げとして入金機記憶部68に記憶させる。すべての入金機61には、他の入金機61と識別するための個別の番号等からなる入金機識別情報が設定されている。入金機61には、自らの入金機識別情報としての号機番号が目立つ位置に表記されている。なお、入金機制御部67は、入金機61に入金がなされる毎に入金機記憶部68に貨幣の金種別の収納量を更新記憶することになり、この金種別の収納量と入金機61の既定の金種別の入金可能容量とから、入金機61の金種別の入金可能残容量を算出して入金機記憶部68に更新記憶するようになっている。また、各金種の紙幣を共用の収納部に収納する構造、および、各金種の硬貨を共用の収納部に収納する構造の入金機61にあっては、紙幣・硬貨別の収納量と入金機61の紙幣・硬貨別の共用の入金可能容量とから、入金機61の紙幣・硬貨別の入金可能残容量を算出して入金機記憶部68に更新記憶することになる。
【0037】
図2に示すように、入金機室13には、入金機室入口51から入室した担当者に対し正面となる壁面に、入金機室入口51の近傍に居る担当者に対して案内表示を行う入金案内表示部70が設けられている。
【0038】
入金機室13には、すべての入金機61、入金案内表示部70、入金機室入室カードリーダ53および入金機室退室カードリーダ56と通信可能な入金管理機81が入金機室入口51の近傍に設けられている。この入金管理機81は、パーソナルコンピュータからなるもので、図6に示すように、店舗担当者等の担当者の操作入力を受け付ける操作部82と、担当者に対して表示を行う表示部83と、担当者に対して音声出力を行う入金管理機音声発生部84と、これらを制御する入金管理機制御部85と、データの記憶等を行う入金管理機記憶部86と、外部と通信するための通信部87とを有している。この入金管理機81の入金管理機記憶部86にも、担当者識別情報と店舗識別情報との関係が記憶されている。なお、入金管理機81を設けずに、一の入金機61の主たる制御用の入金機制御部67および入金機記憶部68が、すべての入金機61を管理するようにしても良い。つまり、一の入金機61が、残りの入金機61に対してマスタースレイブのマスターとなるように構成しても良く、このように構成すれば、専用の入金管理機81の機能を一の入金機61が果たすことになり、入金管理機81を省略することが可能となる。
【0039】
「両替機室」
図3に示すように、両替機室14には、入退室用の両替機室出入口91が設けられており、この両替機室出入口91には開閉扉92が設けられている。また、両替機室出入口91の近傍には、入室した店舗担当者等の担当者が持参するIDカード40から担当者識別情報を読み取る両替機室入室カードリーダ93が設けられている。
【0040】
両替機室14には、同じ大規模店舗群を構成するすべての店舗11用として設けられて両替を受け付ける多数(複数)の両替機101が設置されている。両替機101は、両替準備金を金種別に収納しており、両替元金である紙幣が一枚または複数投入されるとこれを識別計数し、この両替元金の範囲内で、指定された金種からなる小額紙幣または硬貨の両替準備金を投出する。なお、両替機101は、紙幣の投入に限らず、高額硬貨の投入に対して、低額硬貨への両替が可能であっても良い。また、硬貨への両替は、棒金(バラ硬貨が50枚包装されたもの)への両替が基本であるが、高額硬貨については、バラ硬貨への両替が可能であっても良い。
【0041】
両替機101は、それぞれが、図7に示すように、店舗担当者等の担当者の操作入力を受け付けるとともに担当者に対して表示を行うタッチパネル式の操作表示部102と、両替操作を行う担当者が持参するIDカード40から担当者識別情報を読み取る両替機カードリーダ103と、担当者に対して音声出力を行う両替機音声発生部104と、両替機室出入口91の近傍に居る担当者に対して呼び出しのための表示を行う両替機呼出表示部105と、両替元金として投入された貨幣を金種別に計数して収納し両替準備金を出金する両替機貨幣処理部106と、これらを制御する両替機制御部107と、データの記憶等を行う両替機記憶部108と、外部と通信を行うための通信部109とを有している。この両替機101の両替機記憶部108にも、担当者識別情報と店舗識別情報との関係が記憶されている。すべての両替機101には、他の両替機101と識別するための個別の番号等からなる両替機識別情報が設定されている。
【0042】
図3に示すように、両替機室14には、両替機室出入口91から入室した担当者に対し正面となる壁面に、両替機室出入口91の近傍に居る担当者に対して呼び出しのための表示を行う両替案内表示部110が設けられている。
【0043】
「両替管理室」
両替管理室15は、両替機室14に対しすべての両替機101の後方側に隣接して設けられており、両替機室14にあるすべての両替機101は、両替準備金および両替元金を収納するための現金カセットの出し入れ、つまり両替元金の回収および両替準備金(バラ紙幣、棒金、バラ硬貨)の補充が両替管理室15側から行われるようになっている。これらの回収作業および補充作業は、両替機101を稼動停止状態にして行われる。
【0044】
両替管理室15には、入退室用の両替管理室出入口115が設けられており、両替管理室出入口115には開閉扉116が設けられている。また、両替管理室15には、すべての両替機101、両替案内表示部110および両替機室入室カードリーダ93と通信可能な一台の両替管理機121が設けられている。この両替管理機121は、パーソナルコンピュータからなるもので、図8に示すように、両替管理者の操作入力を受け付ける操作部122(両替手配手段)と、両替管理者に対して表示を行う表示部123と、両替管理者に対して音声出力を行う両替管理機音声発生部124と、紙面に印字を行うプリンタ部125と、これらを制御する両替管理機制御部126と、データの記憶等を行う両替管理機記憶部127と、外部と通信するための通信部128とを有している。この両替管理機121の両替管理機記憶部127にも、担当者識別情報と店舗識別情報との関係が記憶されている。
【0045】
「店舗での処理について」
〔釣銭準備金情報〕
各店舗11に設けられたPOS端末21には、販売が行われる度に、操作表示部31を介して売上品目や売上金の入力が行われることになり、それに対して、代金が現金および商品券等の現金外で釣銭機22に入金されると、端末機制御部34は、必要により差額の釣銭を釣銭機22により出金させることになる。また、端末機制御部34は、売上品目および売上金を含む種々の売上情報を、売上が生じる都度、端末機記憶部35に更新記憶することになり、入金された代金の現金分の金種別データと、入金された代金の現金外分のデータと、釣銭として支払った現金の金種別データと、これらから割り出される釣銭機22内にある現金の在り高データと、現金外等の在り高データとを、売上が生じる都度、端末機記憶部35に更新記憶することになる。このようにして、POS端末21は、店舗11内にあるすべての現金の金種別の在り高データ等を端末機記憶部35に更新記憶することになる。なお、一つの店舗11内に複数のPOS端末21を有する場合、主たるPOS端末21が、それぞれのPOS端末にアクセスして、店舗11内にあるすべての現金の金種別の在り高データ等を端末機記憶部35に記憶することになり、店舗11全体の現金の金種別の在り高データ等を把握することになる。
【0046】
例えば、金銭情報に限定すれば、営業当日の朝一番では、店舗11の在り高データは、現金である釣銭準備金のみの金種別データになっている。
【0047】
また、POS端末21の端末機記憶部35には、経験値情報として、当該店舗11の運営に必要な一日毎の現金の金種別の釣銭準備金データ(5千円券の枚数、千円券の枚数および全金種の硬貨のそれぞれの枚数とからなる)が記憶されている。通常、営業当日の朝一番の店舗11の在り高データである釣銭準備金のみの金種別データは、POS端末21の端末機記憶部35に記憶されている営業当日の釣銭準備金データと一致している。
【0048】
ここで、端末機記憶部35に記憶された、一日毎の金種別の釣銭準備金データは、毎営業日同一となる情報であっても良く、また、複数のパターンを持たせても良く、さらには、一年365日の各一日毎に持たせる等、種々の設定が可能である。なお、ここでは、一日毎の金種別の釣銭準備金データとして、少なくとも平日用、休祭日用、イベント開催日用の三つのパターンデータが予め端末機記憶部35に記憶されているものとする。また、金種別の釣銭準備金データ、つまり釣銭準備金の金種別の枚数は、おおよそとして、平日用<休祭日用<イベント開催日用の関係となっている。なお、一日毎の金種別の釣銭準備金データは、必要に応じて、曜日別、休前日用、イベント開催にあってはイベント規模別に複数、例えば3パターンなどのほか、特異日を定めて、それらに適したパターンデータを記憶させて、釣銭準備金の作成に際して、読み出すことができるようにしても良く、365日分のパターンに、休祭日用、イベント開催日などの係数を掛け合わせても良い。
【0049】
〔釣銭準備金の作成〕
POS端末21には、翌営業日の現金の万円券以外、つまり5千円券、千円券、および全金種の硬貨からなる釣銭準備金を用意するために、釣銭準備金作成ソフトが端末機記憶部35にインストールされている。操作表示部31を介した操作でこの釣銭準備金作成ソフトが起動されると、端末機制御部34は、この起動日の翌営業日を自動的に識別して、一日毎の金種別の釣銭準備金データが記憶された端末機記憶部35から、翌営業日用の現金の万円券以外、つまり5千円券の枚数、千円券の枚数、および全金種の硬貨のそれぞれの枚数からなる金種別の釣銭準備金データを読み出して操作表示部31に表示させる。端末機制御部34は、それとともに、常に更新記憶することで得られる、その時点で店舗11に存在するすべての現金の在り高データのうち、万円券以外、つまり5千円券の枚数、千円券の枚数、および全金種の硬貨のそれぞれの枚数からなる金種別の釣銭使用可能現金在り高データを端末機記憶部35から読み出して操作表示部31に表示させる。
【0050】
上記と併せて、POS端末21の端末機制御部34は、釣銭準備金作成ソフトの起動日である当営業日の起動時点から残りの営業時間中に必要と予測される、万円券以外、つまり5千円券の枚数、千円券の枚数、および全金種の硬貨のそれぞれの枚数からなる金種別の残置釣銭金データを割り出す。この金種別の残置釣銭金データは、店舗11内の金種別の釣銭使用可能現金在り高データの範囲内で設定されるもので、例えば釣銭準備金の作成作業がほぼ一定時刻にルール化されている場合には、予め設定された金種別の所定値とすることができ、あるいは、当営業日の金種別の釣銭準備金データに予め設定された係数を乗算する等して求められる。
【0051】
そして、端末機制御部34は、この金種別の残置釣銭金データを、店舗11の金種別の釣銭使用可能現金在り高データから金種別に減算することで、翌営業日用に回金できる、5千円券の枚数、千円券の枚数、および全金種の硬貨のそれぞれの枚数からなる金種別の回金可能金データを算出する。次に、端末機制御部34は、翌営業日用の金種別の釣銭準備金データから、この金種別の回金可能金データを、釣銭準備金データを越えない範囲で金種別に減算することで、結果として翌営業日用として不足となる、5千円券の枚数、千円券の枚数、および全金種の硬貨のそれぞれの枚数からなる金種別の釣銭準備不足金データを算出する。すなわち、金種別の釣銭使用可能現金在り高データ=金種別の残置釣銭金データ+金種別の回金可能金データであり、金種別の釣銭準備金データ=金種別の釣銭準備金データを越えない範囲での金種別の回金可能金データ+金種別の釣銭準備不足金データとなる。そして、POS端末21の端末機制御部34は、このように、一日毎の金種別の釣銭準備金データと、回金する金種別金額データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを算出し、出力することになる。
【0052】
POS端末21の端末機制御部34は、上記した算出が終わると、金種別の残置釣銭金データ、金種別の回金可能金データ、および金種別の釣銭準備不足金データを、上記した一日毎の金種別の釣銭準備金データの中の翌営業日用の金種別の釣銭準備金データ、金種別の釣銭使用可能現金在り高データ、および万円券を含む店舗内の現金在り高データとともに、操作表示部31に出力して表示させることになる。
【0053】
ここで、店舗11では、POS端末21の操作表示部31への入力で、翌営業日用の金種別の釣銭準備金データを、加減修正することができる。つまり、端末機制御部34は、操作表示部31に釣銭準備金データの加減修正操作が入力されると、その都度、この加減修正がなされた後の金種別の釣銭準備金データを用いて、上記した金種別の釣銭準備不足金データの算出を再度行うことになる。
【0054】
また、同様に、POS端末21の操作表示部31への入力で、金種別の残置釣銭金データを、端末機記憶部35に記憶されている金種別の釣銭使用可能現金在り高データの範囲内で、別の金額データに修正することができる。つまり、端末機制御部34は、操作表示部31に残置釣銭金データの加減修正操作が入力されると、その都度、この加減修正がなされた後の金種別の残置釣銭金データを用いて上記した金種別の釣銭準備不足金データの算出を再度行うことになる。
【0055】
また、同様に、POS端末21の操作表示部31への入力で、金種別の回金可能金データを、端末機記憶部35に記憶されている金種別の釣銭使用可能現金在り高データの範囲内で、ゼロを含む別の金額データに修正することができる。つまり、端末機制御部34は、操作表示部31に、ゼロへのリセットを含む金種別の回金可能金データの加減修正操作が入力されると、その都度、この加減修正がなされた後の金種別の回金可能金データを用いて上記した金種別の釣銭準備不足金データの算出を再度行うことになる。ここで、回金可能金データはゼロと事前設定することができるものであり、ゼロと事前設定されている場合には、端末機制御部34は、自動的に釣銭準備金データをそのまま釣銭準備不足金データとして設定する。
【0056】
POS端末21の端末機制御部34は、上記した修正の都度、必要な場合に、金種別の残置釣銭金データ、金種別の回金可能金データ、金種別の釣銭準備不足金データおよび翌営業日用の金種別の釣銭準備金データを修正し出力して、操作表示部31に変更して表示させることになる。そして、操作表示部31にこれらのデータの確定操作が入力されると、端末機制御部34は、これらのデータを端末機記憶部35にて更新記憶させる。
【0057】
そして、最終的には、上記した金種別の釣銭準備不足金データ分を補うべく、両替元金を両替して釣銭準備金の不足分を作成する必要があるが、端末機制御部34は、釣銭準備不足金データ分の金額に対して丁度となる両替元金を、最高額紙幣である万円券と、最高額紙幣以外の他の貨幣のうち、金種別の回金可能金データのうちの金種別の釣銭準備金データを越える分との可能な組み合わせで、釣銭機22から出金できるか否かを判定する。釣銭準備不足金データ分の金額に対して丁度となる両替元金を出金できる場合は、そのまま両替元金の出金操作の入力を待機する。
【0058】
他方、釣銭準備不足金データ分の金額に対して丁度となる両替元金を出金できない場合、端末機制御部34は、釣銭機22から、金種別の釣銭準備不足金データに相当する金額以上で最小となる金額を、万円券と、万円券以外の貨幣のうち、金種別の回金可能金データのうちの金種別の釣銭準備金データを越える分との可能な組み合わせによって両替元金として出金させることになる。このため、端末機制御部34は、両替元金の出金前に、予め、この両替元金と合計金額が等しくなるように釣銭準備不足金データを修正し端末機記憶部35にて更新記憶させることになる。つまり、修正前の上記した金種別の釣銭準備不足金データがすべて含まれ、且つ合計金額が両替元金データの合計金額と等しくなるように、金種別の釣銭準備不足金データを修正するとともに、この修正後の金種別の釣銭準備不足金データと上記関係を満足するように金種別の釣銭準備金データを修正して端末機記憶部35に更新記憶させ、両替元金の出金操作の入力を待機する。
【0059】
店舗11側では、釣銭準備不足金データに相当する金種別の釣銭を作成する必要があり、担当者が両替のため両替機室14に出向く必要が生じる。このため、操作表示部31に両替元金の出金操作が入力されると、端末機制御部34は、釣銭準備不足金の合計金額データに相当する両替元金である現金を釣銭機22より出金させることになる。すなわち、POS端末21において、釣銭準備不足金データ等が最終確定された後、操作表示部31に両替元金の出金指示操作が入力されると、端末機制御部34は、釣銭機22から、上記したように、釣銭準備不足金データに相当する金額以上で最小となる金額を、最高額紙幣である万円券と、最高額紙幣以外の他の貨幣のうち、釣銭準備金として使用される金種別の回金可能金データを構成する分を越える分との可能な組み合わせによって両替元金として出金させることになる。
【0060】
また、上記のように操作表示部31に両替元金の出金操作が入力されると、端末機制御部34は、最終的な金種別の釣銭準備不足金データを、この金種別の釣銭準備不足金データを出力するPOS端末21が設けられた店舗11の店舗識別情報と関連付けて両替管理機121に出力するとともに、上記のように両替元金として出金した貨幣の金種別の金額データを金種別の回金データとして端末機記憶部35に記憶する。加えて、操作表示部31にて印字操作が入力されると、端末機制御部34は、この金種別の釣銭準備不足金データをプリンタ部33で紙面に印字する。
【0061】
両替管理機121の両替管理機制御部126は、店舗識別情報と関連付けられた上記の金種別の釣銭準備不足金データを受け付けて、この金種別の釣銭準備不足金データとこれに関連付けられた店舗識別情報(この金種別の釣銭準備不足金データを出力したPOS端末21が設けられた店舗11の店舗識別情報)とを関連付けて両替管理機記憶部127に記憶することになる。
【0062】
また、上記のように操作表示部31に両替元金の出金操作が入力されると、端末機制御部34は、さらに並行して、両替管理機121に照会情報を出力して、両替機室14の混雑状況などの情報収集を行い、その結果を操作表示部31に表示させる。店舗11の担当者は、釣銭機22から出金された両替元金を取り、表示される両替機室14の混雑状況から、直ちに、または、時間を置いて、両替機室14に向かい、両替機101で両替を行う。
【0063】
両替機101での両替処理後、POS端末21の端末機制御部34は、操作表示部31に回金指示操作が入力されると、金種別の回金可能金データがゼロでなければ、この金種別の回金可能金データのうち金種別の釣銭準備金データを構成する分の貨幣を釣銭機22から出金させるとともに、このように釣銭機22内から回金のため出金した金種別の出金データを端末機記憶部35に記憶する。
【0064】
なお、釣銭機22が満杯になると、満杯状態を解除可能な数の貨幣が、釣銭機22による出金処理にて釣銭機22から出金されて、別途店舗11内等に設けられた金庫に収納されることになるが、その際に、出金されて金庫に収納される貨幣の金種別データを、端末機制御部34が端末機記憶部35に記憶することになる。そして、釣銭準備金の作成に際して、回金可能金データのうちの釣銭準備金データを構成する分の貨幣に、この金庫内の貨幣が含まれる場合、端末機制御部34は、金庫内の貨幣のうち、釣銭準備金データを構成する分の貨幣の金種別データを操作表示部31に表示させるとともに、端末機記憶部35に、この金庫内から回金のため取り出されるべき金種別データを記憶する。
【0065】
そして、担当者は、上記した回金指示操作によって釣銭機22から出金された、回金可能金データのうちの釣銭準備金データを構成する分の貨幣と、金庫内から操作表示部31への表示にしたがって取り出した、回金可能金データのうちの釣銭準備金データを構成する分の貨幣と、両替機室14で両替した釣銭準備不足金データ分の貨幣とを合わせて、翌営業日用の釣銭準備金とし、釣銭収納袋などに入れて、釣銭ロッカー44に収納しに出向く。
【0066】
〔入金計データの確定〕
営業終了時、各店舗11のPOS端末21では、少なくとも、営業終了時に店舗11内にある、釣銭準備金(両替元金含む)として持ち出された以外のすべての現金の在り高データを、当営業日の入金計データとして確定可能となっている。すなわち、POS端末21において、端末機制御部34は、操作表示部31へ入金計データ算定の操作入力を受けると、操作表示部31に、現金の在り高データを金種別に表示することになり、これを見た担当者により、操作表示部31へ現金の在り高データの確定操作が入力されると、この現金の在り高データを入金計データとして確定し、端末機記憶部35に記憶する。
【0067】
なお、硬貨の在り高については、翌営業日の釣銭として使用できるため、さらには、紙幣であっても万円券以外の低額紙幣については、同じく、翌営業日の釣銭として使用できるため、その金額または一部を追加の釣銭準備金として追加指定可能であり、確定操作前に、操作表示部31への操作で追加の釣銭準備金データが入力されると、端末機制御部34は、追加の釣銭準備金データ以外の高額紙幣および指定残の現金の在り高データを金種別に表示することになり、これを見た担当者により、操作表示部31へ現金の在り高データの確定操作が入力されると、この現金の在り高データを入金計データとして確定し、端末機記憶部35に記憶する。すなわち、万円券を含む金種別の現金在り高データ−金種別の追加の釣銭準備金データ(ゼロもあり得る)=金種別の入金計データとして確定する。
【0068】
上記のようにして、店舗11のPOS端末21において金種別の入金計データが確定されると、POS端末21の端末機制御部34は、当該金種別の入金計データと当該店舗11の店舗識別情報とを関連付けて入金機室13の入金管理機81に送信する。すると、これを受信した入金管理機81の入金管理機制御部85が、これら金種別の入金計データと店舗識別情報とを関連付けて当営業日の金種別の入金計データとして入金管理機記憶部86に記憶することになる。
【0069】
また、店舗11のPOS端末21において金種別の入金計データが確定された後、操作表示部31に、金種別の入金計データ分の現金を出金させる操作が入力されると、端末機制御部34は、釣銭機22を制御して、当該金種別の入金計データに相当する現金を出金させるとともに当該金種別の入金計データが出金されたことを端末機記憶部35に記憶する。担当者は、このようにして出金された金種別の入金計データ分の現金を、入金用の収納袋に入れることになる。
【0070】
また、上記のように金種別の入金計データが確定された後、操作表示部31に、追加の釣銭準備金データ分の現金を出金させる操作が入力されると、端末機制御部34は、釣銭機22を制御して、当該追加の釣銭準備金データに相当する現金を出金させるとともに当該追加の釣銭準備金データが出金されたことを端末機記憶部35に記憶する。担当者は、このようにして出金された追加の釣銭準備金データ分の現金を、追加の釣銭準備金用の収納袋に入れることになる。そして、担当者は、これらの収納袋を、釣銭ロッカー44の自店舗用の収納部43に追加収納することになる。なお、追加の釣銭準備金用の収納袋は、店舗11の金庫に収納されることもある。
【0071】
なお、上記したように、釣銭機22が満杯になると、満杯を解消する分の貨幣が釣銭機22から出金処理にて出金されて、別途店舗11内等に設けられた金庫に収納されることになるが、その際に、出金されて金庫に収納される貨幣の金種別データを、端末機制御部34が端末機記憶部35に記憶することになる。そして、上記のように金種別の入金計データが確定された後、入金計データ分の現金を出金させる操作が入力されると、端末機制御部34は、入金計データを構成する分の貨幣に、この金庫内の貨幣が含まれる場合、金庫内の貨幣のうち、入金計データを構成する分の貨幣の金種別データを操作表示部31に表示させることになる。すると、担当者は、この表示にしたがって金庫内の現金を取り出して、上記した入金用の収納袋に、釣銭機22から出金された現金と一緒に入れることになる。
【0072】
同様に、上記のように金種別の入金計データが確定された後、操作表示部31に、追加の釣銭準備金データ分の現金を出金させる操作が入力されると、端末機制御部34は、追加の釣銭準備金データを構成する分の貨幣に、店舗11内の金庫の貨幣が含まれる場合、金庫内の貨幣のうち、追加の釣銭準備金データを構成する分の貨幣の金種別データを操作表示部31に表示させることになる。すると、担当者は、この表示にしたがって金庫内の現金を取り出して、上記した追加の釣銭準備金用の収納袋に、釣銭機22から出金された現金と一緒に入れることになる。
【0073】
〔店舗の一日のスケジュール〕
店舗11では、営業日の一日の間に、以下のようなスケジュールで、店舗運営のための必要な業務が行われている。ここで、前提として、店舗11側では、営業日当日の終業時までに、翌営業日のための釣銭準備金(追加の釣銭準備金を含む場合がある)と、営業日当日の売上金(現金+現金外等)とを釣銭ロッカー室12の自店舗用の収納部43に収納するようにルール化されている。
【0074】
{朝}
店舗11の担当者は、前営業日の就業後、当営業日の営業開始時刻前までに釣銭ロッカー室12に出向き、釣銭ロッカー44の自店舗用の収納部43から、釣銭準備金用の収納袋と、場合により追加の釣銭準備金用の収納袋とを取り出して店舗11に戻り、店舗11のPOS端末21に接続された釣銭機22にこれらの収納袋に収納された釣銭準備金を必要量装填する。つまり、POS端末21の操作表示部31に釣銭準備金の装填の指示操作が入力されると、釣銭機22では、貨幣の入金を受け付ける状態となり、この状態で貨幣が釣銭機22に投入されると、POS端末21の端末機制御部34が、釣銭機22を制御して、投入された貨幣を釣銭機22で識別計数しつつ収納させる。なお、装填しない分の釣銭準備金は、予備として、店舗11内等の金庫に保管することになる。
【0075】
上記の装填動作により、POS端末21の端末機制御部34は、釣銭機22内の現金の在り高データを自動的に把握することになる。また、未装填分があるときは、未装填分のデータがPOS端末21の操作表示部31に入力されることになり、これにより、POS端末21の端末機制御部34は、店舗11の営業開始時点での現金の在り高データを自動的に把握することになる。
【0076】
店舗11での当営業日の営業が始まると、釣銭機22内に収納される売上入金が発生し、また、売上入金が発生する都度、必要により釣銭機22内から釣銭が出金される。これに合わせて、POS端末21の端末機制御部34は、釣銭機22(店舗11)の金種別の現金在り高データを自動的に更新して端末機記憶部35に記憶することになる。
【0077】
{午後の両替機稼動終了時刻の所定時間前時刻}
店舗11では、適宜時間を見計らって、翌営業日のための釣銭準備金の用意を始めることになる。その際に、担当者は、自店舗のPOS端末を用いて釣銭機22から釣銭用の貨幣および両替元金を出金させることになり、また、両替機室14に出向き、両替機101を利用して両替元金を両替する。担当者は、このようにして準備した翌営業日のための釣銭準備金を、釣銭準備金用の収納袋に入れ、釣銭ロッカー室12に出向いて、釣銭ロッカー44の自店舗用の収納部43に収納する。
【0078】
{営業終了後、終業前}
店舗11では、POS端末21により、上記したように、当営業日の営業終了時に店舗11内にあるすべての現金の金種別の現金在り高データを、当営業日の入金計データとして、確定可能となっている。なお、一部の現金については、POS端末21において、追加の釣銭準備金として指定されることになり、端末機制御部34は、このような指定操作が操作表示部31に入力されると、追加の釣銭準備金として指定された以外の高額紙幣および指定残の現金を、入金計データとして確定する。すなわち、万円券を含む金種別の現金在り高データ=金種別の入金計データ+金種別の追加の釣銭準備金データ(ゼロもあり得る)となる。
【0079】
店舗11のPOS端末21において、上記のようにして入金計データが確定されると、この入金計データと店舗識別情報とが関連付けられた情報として入金機室13の入金管理機81に送信される。また、確定された入金計データに相当する現金が釣銭機22から出金されて、入金用の収納袋に入れられ、また、追加の釣銭準備金データに相当する現金が釣銭機22から出金されて、同じく、追加の釣銭準備金用の収納袋に入れられ、これらが釣銭ロッカー44の自店舗11用の収納部43に追加収納される。なお、追加の釣銭準備金用の収納袋は、店舗11の金庫に収納されることもある。
【0080】
「釣銭ロッカー室での処理について」
釣銭ロッカー室12は、百貨店、ショッピングセンターなどの大規模店舗群の業務可能時間帯(例えば、8時〜23時。これに対して、客が来店可能な営業時間帯を、例えば、10時〜22時とする。)の期間、ロッカー室出入口41が解錠されて、店舗11の担当者等が出入り可能となっている。
【0081】
〔釣銭ロッカー室の一日のスケジュール〕
釣銭ロッカー44は、営業日の一日の間に、以下のようなスケジュールで利用される。ここでも、前提として、営業日当日の終業時までに、翌営業日のための釣銭準備金(追加の釣銭準備金を含む場合がある)と、営業日当日の売上金(現金+現金外等)とを釣銭ロッカー室12の自店舗用の収納部43に収納するようにルール化されている。
【0082】
{朝}
店舗11の担当者は、前営業日の就業後、当営業日の営業開始時刻前までに釣銭ロッカー室12に出向き、自店舗用の収納部43から、釣銭準備金を取り出して店舗11に戻り、店舗11のPOS端末21に接続された釣銭機22(複数台の場合もある)に、釣銭準備金を必要量装填する。また、装填しない分は予備として、店舗11内の金庫などに保管する。なお、店舗11の担当者は、釣銭ロッカー44の自店舗11用の収納部43からの釣銭準備金の取り出しと同時、または入金機室13の混雑状況によってはその後の店舗11への来客が少ない時間帯を見計らって、釣銭ロッカー44の自店舗用の収納部43から、前営業日の売上金のうちの現金が入った収納袋を取り出して、入金機室13へ入金取引に向かうことになる。なお、収納部43に、前営業日の売上金のうちの現金外等を収納した収納袋がある場合に、店舗11の担当者は、釣銭ロッカー室12に設置された現金外等ポスト49にこの収納袋を投函する。
【0083】
{午後の両替機稼動終了時刻の所定時間前時刻}
各店舗11では、必要に応じて両替機101を利用するなどして、予め定められた金種別の釣銭準備金データの内容で、翌営業日のための釣銭準備金を用意し、釣銭ロッカー室12に出向いて、釣銭ロッカー44の自店舗用の収納部43に、用意した釣銭準備金を収納する。
【0084】
ここで、予め定められた所定時刻である、両替機稼動終了時刻の所定時間前時刻(両替機101の運用終了時刻の所定時間前(例えば30分前)の時刻)の段階で、ロッカー制御部46は、次のような釣銭準備金有無検出処理を行う。つまり、ロッカー制御部46は、釣銭ロッカー44の各収納部43の収納物の有無をそれぞれに設けられた収納検出センサ45によって確認し、翌営業日の釣銭準備金が収納されていないと判断した収納部43がある場合には、当該収納部43の収納部識別情報から対応する店舗識別情報を割り出し、この店舗識別情報を有する店舗11のPOS端末21に対して、釣銭準備催促情報を配信する。すると、釣銭準備催促情報を受信したPOS端末21は、その端末機制御部34が操作表示部62にその旨のアラーム表示を表示させることになる。また、ロッカー制御部46は、翌営業日の釣銭準備金が収納されていないと判断した収納部43の収納部識別情報に対応する店舗識別情報の携帯端末25に対して、釣銭準備催促情報として、その旨のアラーム文章を電子メールで送信する。つまり、ロッカー制御部46は、収納検出センサ45の検出結果に基づいて予め定められた所定時刻までに釣銭準備金が収納されていない収納部43を検出した際には、当該収納部43に対応する店舗11のPOS端末21および当該店舗11の責任者が所持する携帯端末25に対して、釣銭準備催促情報を配信する。なお、この釣銭準備催促情報の出力を、ロッカー制御部46ではなく、別途設けた管理機の制御部によって行うことも可能である。
【0085】
ロッカー制御部46が行う上記した釣銭準備金有無検出処理およびそれに伴う釣銭準備催促情報の配信処理の時刻は、店舗11毎に設定可能であり、また、異なる複数の時刻での釣銭準備金有無検出処理およびそれに伴う釣銭準備催促情報の配信処理を行うことも設定可能となっている。例えば、異なる複数の時刻での配信が設定されている収納部43がある場合には、当該設定時刻の都度、釣銭ロッカー44の対象となる収納部43内の釣銭準備金の有無を確認して、なければその都度、釣銭準備催促情報を当該収納部43に対応する店舗11のPOS端末21および携帯端末25に配信することになる。
【0086】
ここで、より具体的に、各収納部43に設けられた収納検出センサ45は、対応する収納部43に収納された収納物の重量を検出することができる重量センサであることから、ロッカー制御部46は、次のような制御を行う。
【0087】
ロッカー制御部46は、両替機稼動終了時刻の所定時間前時刻に、釣銭準備金有無検出処理を行う場合に、対象の収納部43の収納部識別情報から対応する店舗識別情報を割り出し、この店舗識別情報を有する店舗11のPOS端末21にアクセスして、POS端末21に記憶されている当該店舗11の翌営業日の金種別の釣銭準備金データを読み出す。つまり、各店舗11のPOS端末21の端末機記憶部35には、当該POS端末21が設けられた店舗11の翌営業日の運営に必要な金種別の釣銭準備金データが記憶されているため、ロッカー制御部46は、この情報を読み出すのである。なお、POS端末21の端末機制御部34からロッカー制御部46に当該店舗11の釣銭準備金情報が出力され、この釣銭準備金情報をロッカー記憶部47に記憶していた場合には、ロッカー記憶部47から読み出すようにしても良い。
【0088】
ロッカー制御部46は、上記のように読み出した金種別の釣銭準備金データから釣銭準備金基準重量データを計算し、ロッカー記憶部47に記憶する。つまり、金種別の釣銭準備金データを構成する各金種別の枚数に、それぞれの金種の基準重量を乗算して、これらを全金種分加算することで釣銭準備金基準重量データを計算し、ロッカー記憶部47に記憶する。なお、この釣銭準備金基準重量データには、誤差範囲が設定されている。
【0089】
そして、ロッカー制御部46は、この記憶した釣銭準備金基準重量データを、当該釣銭準備金有無検出処理の段階で、対応する釣銭ロッカー44の収納部43の収納検出センサ45によって検出される検出重量データと比較し、検出重量データが誤差範囲を含む釣銭準備金基準重量データ以上であるときに、当該収納部43が、釣銭準備金を収納済みであると判断する。つまり、ロッカー制御部46による釣銭準備金の収納部43へ収納済であるか否かの判断は、当該収納部43に対応する店舗11のPOS端末21に記憶された金種別の釣銭準備金データから計算される釣銭準備金基準重量データと、当該収納部43の収納検出センサ45によって実際に検出された検出重量データとを比較して行う。
【0090】
そして、ロッカー制御部46は、検出重量データが誤差範囲を含む釣銭準備金基準重量データ未満であるとき、釣銭準備金は収納されていないと判断し、その場合には、釣銭準備金が収納されていないと判断した収納部43の収納部識別情報に対応する店舗識別情報を有するPOS端末21および携帯端末25に対して、釣銭準備催促情報を配信する。
【0091】
なお、この釣銭準備催促情報を配信するための上記釣銭準備金有無検出処理の実行のタイミングとしては、全店舗11で一律的に固定する場合には、例えば、両替機稼動終了時刻の30分前とする。なお、各店舗11の営業都合を考慮して、店舗11毎に、この時刻を両替機稼動終了時刻前の任意の時刻に設定変更できるようにしても良い。この場合、必要な店舗11のPOS端末21の操作表示部31を介して操作入力がなされることになり、この操作入力を受けてPOS端末21の端末機制御部34が、店舗識別情報と関連付けて時刻情報を出力し、これを受けてロッカー制御部46は、ロッカー記憶部47にこの時刻情報を店舗識別情報と関連付けて記憶する。そして、ロッカー制御部46は、この時刻情報の時刻になると、この時刻情報と関連付けられている店舗識別情報に対応する収納部識別情報を有する収納部43に対して上記釣銭準備金有無検出処理を実行する。
【0092】
そして、ロッカー制御部46は、さらに、両替機101の運用終了時刻に、上記と同様の収納検出センサ45の検出結果に基づく釣銭準備金有無検出処理をすべての収納部43について行い、両替機101の運用終了時刻までに釣銭準備金が収納されていないと判断できる収納部43がある場合には、この収納部43の収納部識別情報に対応する店舗識別情報を有するPOS端末21に対して、両替機運用終了情報を配信する。すると、両替機運用終了情報を受信したPOS端末21は、その端末機制御部34が操作表示部62にその旨のアラーム表示を表示させることになる。また、ロッカー制御部46は、両替機101の運用終了時刻までに釣銭準備金が収納されていないと判断できる収納部43の収納部識別情報に対応する店舗識別情報を有する携帯端末25に対して、両替機運用終了情報として、その旨のアラーム文章を電子メールで送信する。なお、ロッカー制御部46が、両替機101の運用終了時刻に、すべての店舗11のPOS端末21および携帯端末25に対して、両替機運用終了情報を配信するようにしても良い。
【0093】
{夜(営業時間終了後、終業前)}
各店舗11では、入金すべき売上金(現金と現金外等に区分される)を特定して回収し、釣銭ロッカー室12に出向いて、自店舗11用の収納部43に収納する。ここで、上記したように、この時点では、既に翌営業日のための釣銭準備金を用意しているので、店舗11にある現金をすべて売上金として回収することができる。勿論、釣銭準備金の作成後に発生した、あるいは使用しなかった硬貨や低額紙幣は、翌営業日に釣銭として利用可能であるので、例えば、高額金種の紙幣に限るなどして、入金すべき売上金を特定して回収することになり、この場合、売上金と追加の釣銭準備金の扱いとなる。すなわち、上記したように、万円券を含む金種別の現金在り高データ=金種別の入金計データ+金種別の追加の釣銭準備金データ(ゼロもあり得る)となる。このようにして特定された売上金等については、店舗11の担当者等によって、収納袋に入れられて、退社前に釣銭ロッカー44の自店舗11用の収納部43に収納される。
【0094】
{終業時}
釣銭ロッカー室12は、入退室不可となるように、ロッカー室出入口41の開閉扉42が責任者によって施錠されることになり、入金機室13との間の入金機室入口51の開閉扉52も施錠されることになる。
【0095】
「入金機室での処理について」
入金機室13に設けられた入金管理機81は、多数の入金機61に接続されて、その稼動制御を個別に行うようになっている。つまり、すべての入金機61は、それぞれ、入金管理機81からの稼動指示信号を受けることで入金を受け付け可能となり、稼動指示信号を受けない状態では、入金を受け付け不可となっていて、入金管理機81の入金管理機制御部85は、これら入金機61に対して選択的に稼動指示信号を出力する。
【0096】
そして、入金管理機81は、入金管理機記憶部86に、各営業日について、繁忙日および非繁忙日のいずれか一方からなる繁忙日情報が記憶された繁忙日データベースが設けられており、入金管理機制御部85は、第1のモードとして、繁忙日データベースの繁忙日情報から割り出される前営業日(入金対象営業日)が繁忙日であるか非繁忙日であるかの情報に基づいて台数を決定し、この決定した台数(全台数または一部台数)の入金機61へ稼動指示信号を出力する第1のモードを選択設定可能となっている。
【0097】
例えば、前営業日が繁忙日(つまり祝祭日やイベント開催日、特異日等)であった場合、前営業日の売上は多いものと推測されるので、翌営業日において稼動すべき入金機61は、全台数であることが推測されるため、入金管理機制御部85は、すべての入金機61に対して稼動指示信号を出力する。逆に、前営業日が非繁忙日(一般的には平日)であった場合、前営業日の売上はそれほど多くはないと推測されるので、翌営業日において稼動すべき入金機61は、一部で済むことが推測されるため、入金管理機制御部85は、所定の一部台数の入金機61に対してのみ稼動指示信号を出力する。
【0098】
なお、繁忙日情報から、前営業日が繁忙日であって、すべての入金機61に対して稼動指示信号を出力して稼動させる必要があると想定される場合であっても、営業開始当初からすべての入金機61に対して稼動指示信号を出力する必要はなく、入金管理機81の入金管理機制御部85では、入金受付時間帯に応じて、台数を決定し、この決定した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力するようになっている。入金管理機制御部85は、例えば、業務可能時間帯の初期の所定の時間帯は、営業開始に向けた種々の準備業務があることから、入金処理が行われることは少なく、よって、この時間帯に稼動指示信号を出力する入金機61の台数は少なくし、その後の比較的来客が少ない午前中等の所定の時間帯に入金処理が行われることが多いことから、この時間帯からすべての入金機61に稼動指示信号を出力し、その後の比較的来客の多い午後等の所定の時間帯においては、入金処理が行われることが少ないことから、この時間帯の稼動指示信号を出力する入金機61の台数を再び少なくする等である。また、このような台数制御により、大量入金が予想される店舗11に対して、入金が全くなされていない入金機61を用意することも可能となる。
【0099】
また、入金管理機制御部85は、少ない台数の入金機61に稼動指示信号を出力している状態から、すべての入金機61に稼動指示信号を出力する状態に切り替える際に、所定の時間間隔をあけて、徐々に稼動指示信号を出力する台数が増えるようにして、入金機61を順次稼動させるようになっている。逆に、入金管理機制御部85は、すべての入金機61に稼動指示信号を出力する状態から、少ない台数の入金機61に稼動指示信号を出力する状態に切り替える際にも、所定の時間間隔をあけて、徐々に稼動指示信号を出力する台数が減るようにして、入金機61を順次稼動停止させるようになっている。
【0100】
また、第1のモードにおいて、入金管理機81では、入金機室13への入金対象者の数を監視することによって、混雑状況を把握して、稼動指示信号を出力する入金機61の台数、つまり入金機61の稼動数を制御することも可能となっている。この場合、入金機室13への入金対象者の数を監視する方法として、入金管理機制御部85は、入金機室入口51に設けられた入金機室入室カードリーダ53によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数と、入金機61による入金取引の際に行われる入金機61に設けられた入金機カードリーダ63によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数とから、これらを比較し、これらの差分を検出することで、入金機室13に居るものの入金機61を使用できない入金待機作業者の人数を特定して、特定した人数に応じて台数を決定し、該決定した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力する。これにより、混雑状況に応じて変化する入金待機作業者の人数が所定人数より多ければ、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数よりも多い台数の入金機61へ稼動指示信号を出力することになり、入金待機作業者の人数が所定人数より少なければ、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数よりも少ない台数の入金機61へ稼動指示信号を出力することになる。
【0101】
なお、入金管理機制御部85による混雑状況の把握の方法として、入金機室入口51に設けられた入金機室入室カードリーダ53によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数と、入金機室出口54に設けられた入金機室退室カードリーダ56によるIDカード40の担当者識別情報の読み取り人数とから、これらを比較し、これらの差分を検出することで、入金待機作業者の人数を特定して、特定した人数に応じて上記と同様に台数を決定し、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数にかかわらず、該決定した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力するようにしても良い。
【0102】
また、入金管理機制御部85は、既に稼動指示信号を出力して入金作業が進んでいる入金機61の金種別の入金可能残容量を監視しており、金種別の入金可能残容量のいずれか一金種分が予め定められた所定量以下になった場合に、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数にかかわらず、未だ稼動指示信号を出力していない入金機61に対して稼動指示信号を追加で出力するようになっている。これにより、入金機61の金種別の入金可能残容量を監視することで、前営業日が非繁忙日であるにもかかわらず多くの売上入金が発生している場合等に、まだ稼働していない入金機61を適宜追加で稼働開始させることができる。
【0103】
また、入金管理機制御部85は、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の稼動指示操作を受けると、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数にかかわらず、稼動指示信号を出力していない非稼動の入金機61に対して、稼動指示信号を追加で出力するようになっている。これにより、例えば、大量入金を行う店舗11の担当者がきたときに、この担当者が所定の稼動指示操作を入金管理機81の操作部82を入力することで、入金管理機制御部85が、入金が全くなされていない入金機61に稼動指示信号を追加で出力することになり、この入金機61に現金が入金可能となる。
【0104】
また、入金管理機制御部85は、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の非稼動指示操作を受けると、上記した繁忙日情報および入金受付時間帯情報に基づく台数にかかわらず、稼動指示信号を出力する予定つまり稼動予定の入金機61に対して、稼動指示信号を出力しないように規制することになる。例えば、入金機室管理者の判断により、前営業日が本来繁忙日であった場合であっても、当該前営業日が悪天候等であって来場者が少なかった場合には、稼働予定の入金機61の一部を稼働させないように規制することができる。
【0105】
また、入金管理機制御部85は、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の稼動一時停止操作を受けると、稼動済みの入金機61に対して、稼動指示信号の出力を停止して、一時的に稼動を停止するように規制する。
【0106】
店舗11のPOS端末21より入金機室13の入金管理機81に、前営業日の入金計データが店舗識別情報と関連付けられて出力されており、入金管理機制御部85は、このデータを入金管理機記憶部86に記憶している。よって、入金管理機制御部85は、全店舗11の前営業日の入金計データを把握していることになる。このため、入金管理機制御部85は、この全店舗11の前営業日の入金計データに基づいて、この入金計データを処理可能な入金機61の稼動予定総台数を予測して、この予測した台数の入金機61に稼動指示信号を出力する第2のモードを選択設定することも可能となっている。つまり、入金管理機制御部85は、入金管理機記憶部86に記憶された店舗11毎の入金計データから、金種別の入金総枚数データを把握することで、稼動すべき入金機61の台数を予測して、この予測した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力する。
【0107】
なお、この第2のモードにおいても、金種別の入金総枚数データから、すべての入金機61に稼動指示信号を出力して稼動させる必要がある場合であっても、入金管理機制御部85は、当初からすべての入金機61に対して稼動指示信号を出力することなく、第1のモードと同様に、入金受付時間帯に応じて、台数を決定し、この決定した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力する設定になっており、その場合、台数に増減がある際には、徐々に稼動指示信号を出力する台数を増やしまたは減らすようにして、入金機61を順次稼動または稼動停止させるようになっている。
【0108】
また、第2のモードにおいても、第1のモードと同様、入金機室13への入金対象者の数を監視することにより混雑状況を把握して、稼動指示信号を出力する入金機61の台数、つまり入金機61の稼動数を増減するようになっている。つまり、入金管理機制御部85は、入金機室入口51に設けられた入金機室入室カードリーダ53によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数と、入金機61による入金取引の際に行われる入金機カードリーダ63によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数との差分を検出したり、入金機室入口51に設けられた入金機室入室カードリーダ53によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数と、入金機室出口54に設けられた入金機室退室カードリーダ56によるIDカード40からの担当者識別情報の読み取り人数との差分を検出したりすることで、入金待機作業者の人数を特定して、特定した人数に応じて台数を決定し、金種別の入金総枚数データにかかわらず、この決定した台数の入金機61へ稼動指示信号を出力する。
【0109】
また、この第2のモードにおいても、入金管理機制御部85は、既に稼動指示信号を出力して入金作業が進んでいる入金機61の金種別の入金可能残容量を監視しており、第1のモードと同様、金種別の入金可能残容量のいずれか一金種分が予め定められた所定量以下になった場合に、金種別の入金総枚数データにかかわらず、未だ稼動指示信号を出力していない入金機61に対して稼動指示信号を出力するようになっており、また、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の稼動指示操作を受けると、金種別の入金総枚数データにかかわらず、稼動指示信号を出力していない非稼動の入金機61に対して、稼動指示信号を出力し、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の非稼動指示操作を受けると、金種別の入金総枚数データにかかわらず、稼動指示信号を出力する予定つまり稼動予定の入金機61に対して、稼動指示信号を出力しないように規制し、入金管理機81の操作部82を介して手動による所定の稼動一時停止操作を受けると、稼動済みの入金機61に対して、稼動指示信号の出力を停止して、一時的に稼動を停止するように規制するようになっている。
【0110】
〔入金機案内制御〕
担当者の入金機室13への入室に際して、入金機室入口51に設けられた入金機室入室カードリーダ53が、IDカード40から担当者識別情報を読み取ることになり、また、各店舗11のPOS端末21より前営業日の入金計データが担当者識別情報に関連する店舗識別情報と関連付けられて出力され、これが入金管理機81の入金管理機記憶部86に記憶されている。そして、これらの情報を用いて、入金管理機制御部85は、次のような入金機案内制御を行う。
【0111】
入金管理機制御部85は、入金取引に際して、入金機室入口51において入金機室入室カードリーダ53によりIDカード40から担当者識別情報を読み取ると、入金管理機記憶部86にアクセスして入金管理機記憶部86からこの担当者識別情報に関連付けて記憶されている店舗識別情報、さらにはこの店舗識別情報に関連付けて記憶されている前営業日の金種別の入金計データを読み出す。そして、この金種別の入金計データと、稼動指示信号を出力している複数の入金機61の金種別の入金可能残容量とを比較して、いずれの入金機61にて入金取引を行わせるかを決定する入金取引決定処理を行う。つまり、入金管理機制御部85は、稼動指示信号を出力している入金機61のうち、金種別の入金計データが金種別の入金可能残容量を越える金種がある入金機61は、入金取引を行わせる入金機61として決定せず、金種別の入金計データが全金種について金種別の入金可能残容量以内である入金機61を入金取引を行わせる入金機61として決定する。なお、条件を満足する入金機61が複数ある場合は、例えば予め設定された順番にしたがって、入金取引を行わせる入金機61として決定する。このように、入金可能残容量≧入金計データである入金機61が自動的に決定されるため、当該入金機61において入金取引を行うことで、当該入金処理の途中で入金機61が満杯になることはなく、当該入金処理を確実に完了できることになる。また、金種別の入金可能残容量が少ない入金機61が存在していても、その範囲内の入金計データを有する店舗識別情報に関連する担当者識別情報が入金機室入室カードリーダ53により読み取られると、入金管理機制御部85は、この担当者を当該入金機61に誘導して有効的に活用する。なお、この入金取引決定処理に際しては、前記したように、紙幣・硬貨とも、共用の収納部に収納する構造にあっては、紙幣・硬貨別に、金種別の入金計データの合計枚数と、複数の入金機61の入金可能残容量とを比較して、いずれの入金機61にて入金取引を行わせるかを決定することになる。
【0112】
そして、入金管理機制御部85は、入金取引決定処理で決定した決定情報である、入金取引を行わせる入金機61の入金機識別情報を、入金管理機81の表示部83および入金機室13の入金案内表示部70に出力するとともに、同決定情報である、この入金機識別情報を有する入金機61に対して、当該入金取引決定処理で入金機室入室カードリーダ53で読み取った担当者識別情報およびこの担当者識別情報に関連付けられている店舗識別情報を出力する。
【0113】
すると、入金管理機81の表示部83および入金案内表示部70は、受信した入金機識別情報つまり入金取引を行わせる入金機61の号機番号等を表示することになり、これによって、使用すべき入金機61を担当者に伝達する。また、上記した入金機識別情報を有する、入金取引を行わせる入金機61の入金機制御部67が、担当者識別情報および店舗識別情報をこの入金機61の入金機呼出表示部65に表示するとともに担当者識別情報および店舗識別情報を入金機音声発生部64で音声出力することになり、これらによって、使用すべき入金機61を担当者に伝達する。つまり、責任者を含む担当者は、入金機室13に入室した際、例えば、複数の入金機61のうちの一つの入金機61の入金機呼出表示部65に表示される担当者識別情報および店舗識別情報を見て、当該入金機61に向かうことで、入金機61の入金可能残容量および入金しようとする入金計情報(入金量)を気にせず、入金取引を行うことができ、且つ、当該入金取引は確実に完了する。なお、担当者識別情報および店舗識別情報のいずれか一方のみを、入金取引を行わせる入金機61に出力し、この一方のみの情報を入金機呼出表示部65に表示し入金機音声発生部64で音声出力するようにしても良い。
【0114】
ここで、入金取引決定処理で決定した入金取引を行わせる入金機61が入金作業中の場合もあり、入金機61の入金機制御部67は、この入金機61が他の入金取引動作中にあるときは、入金管理機制御部85から担当者識別情報および店舗識別情報が出力されても、この入金機61の入金機呼出表示部65および入金機音声発生部64に、これらの入金入室者識別情報および店舗識別情報を表示および音声出力せず、担当者の呼び出しを行わない。そして、この入金機61の入金作業が終了すると、次に呼び出すべき入室者識別情報および店舗識別情報を、入金機呼出表示部65での表示および入金機音声発生部64での音声出力によって呼び出すようにする。
【0115】
また、入金取引決定処理で決定した入金取引を行わせる入金機61が、他の入金取引動作中にあって直ちに使用できない場合に、入金管理機制御部85は、入金案内表示部70に、担当者識別情報および店舗識別情報と関連付けて入金機識別情報つまり入金取引を行わせる入金機61の号機番号等を、使用予定の入金機61の情報と明示して、予告表示させることになる(例えば、●号機:○○店さん(◎◎◎号店さん)、■号機:□口店さん(△△△号店さん)などのように表示させる)。これにより、担当者は、入金取引の順番待ち状況と、いずれの入金機61での入金取引になるかを知ることができる。つまり、入金機室13への入室時、例えばすべての入金機61において入金取引がなされている場合、入金管理機81の表示部83で処理すべき入金機61が表示されても、待合い中に失念したりすることがあるため、次に呼び出すべき、または、次に呼び出すことができる担当者識別情報および店舗識別情報を入金機識別情報と関連付けて予告表示する。
【0116】
上記した入金機案内制御においては、さらに、次のような制御が可能となっている。
各入金機61は、種々のエラーにより、入金取引が不可能になることがあり、この場合には、入金機61は入金途中の現金を返却処理することになる。このエラー発生に際しては、入金管理機81の入金管理機制御部85が、この取引を優先して、他の入金機61への案内を行う優先呼び出しを行う。
【0117】
つまり、エラー発生に際して返却処理が選択されると、この返却処理を行う入金機61は入金しようとした現金を返却するとともに、入金管理機81の入金管理機制御部85に対して返却処理がなされた旨の返却情報を出力することになる。この返却情報を受けると、入金管理機制御部85は、この返却情報の発信元の入金機61を入金取引を行わせる入金機61として決定した入金取引決定処理にかかわる担当者識別情報、店舗識別情報およびこの店舗識別情報に関連付けられている入金計データを入金管理機記憶部86から読み出すとともに、再度、この入金計データを、このエラー発生にかかわる入金機61を除いた残りの入金機61の入金可能残容量と比較し、いずれの入金機61において入金取引を行わせるかを、上記した入金取引決定処理と同様の判断で決定する再決定処理を行うとともに、この再決定処理にかかわる担当者識別情報および店舗識別情報を、再決定した入金取引を行わせる入金機61に対して、他の担当者識別情報および店舗識別情報よりも優先的に呼び出すようになっている。
【0118】
そのため、この再決定処理で決定された、入金取引を行わせる入金機61に、次に呼び出すべき一以上の担当者識別情報および店舗識別情報が存在する場合には、入金管理機制御部85は、当該一以上の担当者識別情報および店舗識別情報に関連付けられている入金計データを入金管理機記憶部86から再度読み出すとともに、複数の入金機61の入金可能残容量と比較して、いずれの入金機61において入金取引を行わせるかを、上記した入金取引決定処理と同様の判断で再判断して、使用すべき入金機61を再決定する。
【0119】
以上のようにして決定あるいは再決定され、案内された入金機61での入金取引においては、操作者がIDカード40を入金機カードリーダ63で走査させることになり、その結果、入金機カードリーダ63がIDカード40から担当者識別情報を読み取る。すると、この入金機61の入金機制御部67は、入金機記憶部68から、この担当者識別情報に対応する店舗識別情報を読み出し当該入金取引における店舗識別情報として確定させる。入金機制御部67は、この店舗識別情報を、この入金機61の入金機識別情報と関連付けて問い合わせ情報として入金管理機81に出力する。すると、入金管理機81の入金管理機制御部85は、入金管理機記憶部86にこの店舗識別情報と関連付けられて記憶されている入金計データを読み出し、入金機識別情報に基づいて、問い合わせ情報の送信元である入金機61に出力する。すると、この入金機制御部67は、この入金計データを当該入金取引における入金計データとして、操作表示部62に表示させる。
【0120】
そして、操作者は、入金機61の操作表示部62に表示された入金計データで入金する予定であれば、操作表示部62に確定操作を入力することになり、確定操作が入力されると、入金機制御部67は、この入金計データを当該入金取引における入金計データとして確定し、上記の確定された店舗識別情報と関連付けて、入金機記憶部68に記憶する。その後、操作表示部62の入金取引開始操作が入力されると、入金機制御部67は、現金の投入受付状態に移行する。
【0121】
ここで、入金機61は、入金機制御部67が、入金管理機制御部85を介して入金管理機記憶部86から読み出した入金計データを現金計数前に修正可能となっている。つまり、担当者が、入金機61の操作表示部62に表示された入金計データを修正して入金する予定であれば、操作表示部62によって、入金する予定の新たな入金計データの入力を受け付けることになり、この操作表示部62で新たな入金計データが入力された後、確定操作が入力されると、入金機制御部67は、新たな入金計データを、この入金取引における入金計データとして確定し、上記の確定された店舗識別情報と関連付けて入金機記憶部68に記憶するとともに、この店舗識別情報と関連付けて入金管理機81に出力して入金管理機制御部85により入金管理機記憶部86に更新記憶させる。その後、操作表示部62の入金取引開始操作が入力されると、入金機制御部67は、現金の投入受付状態に移行する。
【0122】
また、入金計データの修正時に、入金管理機記憶部86から読み出した入金計データに対し、操作表示部62に入力された差分データから新たな入金計データを算出することも可能になっている。つまり、操作表示部62に追加・減額の種別と、差分データとが入力されると、入金機制御部67は、入力された差分データから新たな入金計データを算出して操作表示部62に表示させることになり、その後、操作表示部62に確定操作が入力されると、新たな入金計データを、この入金取引における入金計データとして確定し、上記の確定された店舗識別情報と関連付けて入金機記憶部68に記憶するとともに、この店舗識別情報と関連付けて入金管理機81に出力して入金管理機制御部85により入金管理機記憶部86に更新記憶させる。その後、操作表示部62の入金取引開始操作が入力されると、入金機制御部67は、現金の投入受付状態に移行する。
【0123】
現金の投入受付状態に移行すると、入金機61の入金機制御部67は、入金機61への貨幣の投入を促す表示を操作表示部62に表示させることになり、入金機61へ貨幣が投入されたことを検出すると、入金機貨幣処理部66を作動させる。つまり、入金機貨幣処理部66は、投入された貨幣を識別して金種別に計数するとともに一時貯留させ、この現金計数結果である実入金データを、この入金取引に際して上記のように入金管理機記憶部86から読み出した入金計データに修正がない場合はこの入金計データと、修正があった場合は修正後の入金計データと比較して、これらが一致しているか否かを判断する。そして、入金機制御部67は、実入金データと、比較対象の入金計データとを、比較可能に、この入金機61の操作表示部62に表示させるとともに、これに併せて、実入金データと入金計データとが一致している場合には、一致している旨を操作表示部62に表示させる一方、実入金データと入金計データとが一致していない場合には、一致していない旨をこの操作表示部62に表示させる。
【0124】
この表示に基づいて、承認操作が操作表示部62に入力されると、入金機制御部67は、入金機貨幣処理部66によって貨幣を収納させるとともに、実入金データと読み出した入金計データとが一致している場合、これらを入金計データとして確定する一方、実入金データと読み出した入金計データとが一致していない場合、実入金データ(=現金計数結果)を入金計データとして確定する。そして、入金機制御部67は、この確定した入金計データを、上記の確定された店舗識別情報と関連付けて入金機記憶部68に記憶するとともに、上記の確定された店舗識別情報と関連付けて入金管理機81に出力する。すると、入金管理機81の入金管理機制御部85は、この店舗識別情報と関連付けて受け付けた入金計データを、すでにこの店舗識別情報と関連付けて入金管理機記憶部86に記憶されている入金計データと比較し、これらに差がない場合は、この入金計データを修正せずに、この入金計データに、入金情報として前営業日用の入金が終了した旨を関連付けて記憶し、これらに差がある場合に、新たに受け付けた入金計データを有効として、この入金計データに、入金管理機記憶部86に記憶されている入金計データを修正するとともに、この入金計データに入金情報として前営業日用の入金が終了した旨を関連付けて記憶する。
【0125】
他方、入金機61の操作表示部62の上記表示を見て、操作表示部62にキャンセル操作が入力されると、入金機制御部67は、入金機貨幣処理部66によって貨幣を返却させる。
【0126】
〔入金機室の一日のスケジュール〕
入金機室13は、営業日の一日の間に、次のスケジュールで使用される。
【0127】
{朝}
入金管理機81の入金管理機制御部85が、第1のモードが選択設定されている場合は繁忙日データベースに基づいて、第2のモードが選択設定されている場合は、すべての店舗11の入金計データに基づいて、一部またはすべての入金機61に対して稼動指示信号を出力する。これにより、稼動指示信号が入力された入金機61が、稼動準備がなされ、入金取引の受付待ち状態で待機する。
【0128】
{入金作業時間帯}
入金機室13に店舗11の担当者が入室すると、この担当者がIDカード40を入金機室入室カードリーダ53で走査することになり、これにより、入金機室入室カードリーダ53が担当者識別情報を読み取ることになる。この入金機室入室カードリーダ53で読み取った担当者識別情報は、入金管理機81に出力されることになり、入金管理機81の入金管理機制御部85が、この担当者識別情報に関連付けられた店舗識別情報と、この店舗識別情報に関連付けられた金種別の入金計データとを入金管理機記憶部86から読み出す。そして、入金管理機制御部85はこの金種別の入金計データと、稼動指示信号を出力している複数の入金機61の入金機記憶部68に記憶されている金種別の入金可能残容量とを比較して、いずれの入金機61にて入金取引を行わせるかを決定する。そして、入金管理機制御部85は、入金すべき入金機61の入金機識別情報である号機番号を入金管理機81の表示部83に表示させることになり、入金すべき入金機61の入金機制御部67に案内すべき担当者識別情報および店舗識別情報を出力する。すると、入金機61の入金機制御部67は、この入金すべき入金機61に入金作業者が存在しない場合には、この入金機61の入金機呼出表示部65で担当者識別情報および店舗識別情報を表示し、且つ、この入金機61の入金機音声発生部64で担当者識別情報および店舗識別情報を音声にて呼び出す。
【0129】
他方、入金すべき入金機61に 既に入金取引する作業者が存在する場合、この入金機61の入金機制御部67は、受信した担当者識別情報および店舗識別情報を、入金取引する順番の最後尾の担当者識別情報および店舗識別情報として決定する一方、この入金機61の入金機呼出表示部65での担当者識別情報および店舗識別情報の表示を行わず、この入金機61の入金機音声発生部64での音声呼び出しもせずに、入金取引中であることを示す入金中情報を入金機識別情報と関連付けて入金管理機制御部85に出力する。すると、入金管理機制御部85は、入金案内表示部70に、これら担当者識別情報および店舗識別情報とともに入金すべき入金機61の入金機識別情報である号機番号を予告表示する。
【0130】
入金すべき入金機61に 既に入金取引する作業者が存在した場合、当該作業者による入金取引が終了すると、当該入金機61は、次に入金取引することが決定されている、入金取引する順番の最初の担当者識別情報および店舗識別情報をその入金機呼出表示部65に表示し、且つその入金機音声発生部64で音声にて呼び出して、入金取引を行わせる。
【0131】
ここで、いずれの入金機61においても、入金取引においてエラーが発生してエラー発生に際して返却処理が選択されると、この入金機61は入金しようとした現金を返却するとともに、入金管理機81に対して返却処理がなされた返却情報を出力し、この返却情報を受けた入金管理機81は、入金管理機記憶部86にアクセスして、この返却処理にかかわる担当者識別情報、店舗識別情報およびこの店舗識別情報に関連付けられている入金計データを読み出すとともに、この入金計データを、再度、エラー発生にかかわる入金機61を除いた残りの入金機61の入金可能残容量と比較し、いずれの入金機61において入金取引を行わせるかを判断して、使用すべき入金機61を決定するとともに、このエラー処理にかかわる担当者識別情報および店舗識別情報を優先的に呼び出す。
【0132】
{午後(入金機稼動終了時刻の所定時間前時刻)}
入金機61の稼動が終了する入金機稼動終了時刻の所定時間前時刻の段階で、入金管理機81は、次のような制御を行う。つまり、入金管理機制御部85は、各店舗11の店舗識別情報に関連付けされて入金管理機記憶部86に記憶された入金情報を確認し、各店舗11の店舗識別情報に関連する前営業日の入金が完了しているか否かを判断して、前営業日の入金が完了していないと判断した店舗11があると判断した場合は、前営業日の入金が完了していない店舗11の店舗識別情報に対応する店舗11のPOS端末21に対して、入金催促情報を配信する。すると、入金催促情報を受信したPOS端末21は、操作表示部62にその旨のアラーム表示を表示させることになる。これと併せて、入金管理機制御部85は、前営業日の入金が完了していない店舗11の店舗識別情報に対応する店舗11の携帯端末25に対して、入金催促情報として、その旨のアラーム文章を電子メールで送信する。
【0133】
前営業日の入金が完了していない店舗11のPOS端末21および携帯端末25への上記入金催促情報の配信処理は、異なる複数の時刻での配信が設定可能であり、このような設定がなされている場合には、入金管理機制御部85が、設定された時刻の都度、入金情報を確認して行う。
【0134】
{午後(入金機稼動終了時刻)}
入金機室13の管理責任者が、入金機室13にあるすべての入金機61について入金取引が行われていないことを確認して、入金機室13の入金機室入口51を施錠する。なお、その後も、入金機室13の管理者は、施錠を解除可能であり、入金機室13は、入金機室13の管理者のみが入退室可能に管理されることになる。
【0135】
{現金カセット交換}
入金機室13において、基本的には、入金機61の稼動時間外に、翌営業日の入金取引に備えて、入金機室13の管理者によって、稼動した入金機61の現金カセットが入金機61より取り出され、代わりに、空の現金カセットが装填されることになる。なお、入金管理機81は、収集し確定して入金管理機記憶部86に記憶した店舗11毎の入金計データを、別途、予め設定された所定時刻に自動的に、または警送会社などの入金管理会社からの要求により、この入金管理会社に出力する。
【0136】
{警送による現金搬出、空カセット補充}
入金機61の稼動時間外の現金カセットの交換後に、警送会社の警備員が来店し、上記のようにして入金機61から取り出されている、入金済みの現金カセットを回収するとともに、翌営業日に装填するための空の現金カセットを補充する。また、これと並行して、警送会社の警備員により、後述する両替元金の回収と、両替準備金の搬入が行われる。
【0137】
{夕方}
入金機室13の管理者によって操作部82に所定の稼動終了操作が入力されると、入金管理機81の入金管理機制御部85は、すべての入金機61に対して稼動終了信号を出力して、すべての入金機61による入金取引の受付を含む稼動を終了させる。
【0138】
「両替機室および両替機管理室について」
両替機室14に設けられたすべての両替機101においては、それぞれの両替機制御部107が、両替処理が行われる都度、投入された両替元金の金種別投入金額データ、両替元金の投入に対して投出した両替準備金の金種別投出金額データおよび両替機101内に残存する両替準備金の金種別残存金額データをそれぞれの両替機記憶部108に更新記憶することになる。
【0139】
両替管理機121の両替管理機制御部126は、すべての両替機101の在り高データを収集可能となっている。つまり、両替管理機制御部126は、すべての両替機101から、それぞれの、投入された両替元金の金種別投入金額データと、この投入に対して投出した両替準備金の金種別投出金額データと、機内に残存する両替準備金の金種別残存金額データとを収集して両替管理機記憶部127に記憶する。また、両替管理機制御部126は、すべての両替機101の両替元金の金種別投入金額データを合計した金種別投入金額合計データと、すべての両替機101の両替準備金の金種別投出金額データを合計した金種別投出金額合計データと、すべての両替機101の残存する両替準備金の金種別残存金額データを合計した金種別残存金額合計データとを算出して、両替管理機記憶部127に記憶する。
【0140】
また、両替管理機記憶部127には、両替用に準備されているものの、いずれの両替機101へも未装填の両替準備金についての金種別未装填金額データが記憶されており、さらには、大規模店舗群を構成する多数の店舗11の全体の運営に必要な一日毎の金種別の両替準備金全体データが記憶されている。
【0141】
すなわち、両替機101の稼動前においては、各データは、次のようになっている。
両替室在り高データ=金種別残存金額合計データ+金種別未装填金額データ
金種別投入金額合計データ=0
金種別投出金額合計データ=0
【0142】
両替取引が順次行われることで、これらのデータは、次のように変化する。
金種別投入金額合計データの合計金額データ=金種別投出金額合計データの合計金額データ
金種別残存金額合計データは、両替取引の進行により減少し、両替準備金の補充により増加する。
また、金種別未装填金額データは、両替機101への両替準備金の補充により減少する。
【0143】
「大規模店舗群の多数店舗の全体の両替準備金の手配について」
両替管理機121の両替管理機制御部126は、適宜の時間帯(両替取引終了時刻後が好ましい)において行われる、操作部122へ両替準備金の手配作業の操作入力によって、所定の日数後の営業日用の両替準備金の手配を行う。ここで、所定の日数後の営業日用とは、不足する両替準備金の補充には、外部の両替準備金供給センターヘの依頼が必要であることから、依頼を受けた両替準備金供給センターでの手配および供給に必要な日数によって取り決められるもので、本実施形態においては、両替管理機121を介して行われる依頼日の翌日に両替準備金の補充供給が大規模店舗群に対してなされるものとして説明する。よって、両替管理機121を介して行われる依頼日を第一日目とすると、大規模店舗群に両替準備金が補充供給されるのが第二日目となり、補充供給された両替準備金をこの大規模店舗群にて両替機101に装填して利用できるのは、第三日目となる。
【0144】
両替管理責任者によって、両替管理機121の操作部122へ両替準備金の手配作業の操作入力が行われると、両替管理機制御部126は、両替管理機記憶部127に記憶されている、所定の日数後の営業日(具体的には翌々営業日)用の金種別の両替準備金全体データと、金種別残存金額合計データと、金種別未装填金額データとを読み出し、これらを比較して、不足となる金種別の両替準備金不足データを算出して出力する。つまり、金種別の両替準備金全体データから、金種別残存金額合計データおよび金種別未装填金額データをそれぞれ金種別に減算することで、金種別の両替準備金不足データを算出して出力する。
【0145】
ここで、両替管理機記憶部127に記憶される大規模店舗群の多数店舗11の全体の運営に必要な一日毎の金種別の両替準備金全体データとして、少なくとも、平日用、休祭日用、イベント開催日用を含む複数のパターンデータが予め設定されて記憶されている。そして、両替管理機制御部126は、所定の日数後の営業日(具体的には翌々営業日)が、平日であるか、休祭日であるか、イベント開催が予定されているイベント開催日であるかを判断して、その種別に応じた適切なパターンの金種別の両替準備金全体データを選択して、この金種別の両替準備金全体データから、金種別残存金額合計データおよび金種別未装填金額データをそれぞれ金種別に減算することで、金種別の両替準備金不足データを算出して出力し、両替管理機記憶部127に記憶させるとともに表示部123に表示させる。また、操作部122への印字指定操作により、両替管理機制御部126は、この金種別の両替準備金不足データを両替管理機121のプリンタ部125で紙面に印字することも可能となっている。
【0146】
また、このとき、両替管理機121の両替管理機制御部126は、算出した金種別の両替準備金不足データに基づいて、金種別の両替準備金不足データの合計金額データである、回収すべき両替元金の回収金データを決定して出力し、両替管理機記憶部127に記憶させるとともに表示部123に表示させる。これにより、不足となる金種別の両替準備金不足データと、この両替準備金不足データの金額の釣銭準備金を準備するために必要な両替元金の合計金額である回収金データとを、両替管理責任者に認識させることができる。また、操作部122への印字指定操作により、両替管理機制御部126は、この金種別の両替準備金不足データと両替元金の回収金データを両替管理機121のプリンタ部125で紙面に印字することも可能となっている。
【0147】
また、両替管理機121の両替管理機制御部126は、両替機101の運用を終了する両替機運用終了時刻後、両替機室14のすべての両替機101の稼動を終了する両替締め処理後に、当営業日に上記のように算出した金種別投出金額合計データに基づいて、両替管理機記憶部127に記憶されている大規模店舗群の多数店舗11の全体の運営に必要な一日毎の金種別の両替準備金全体データを更新記憶する。この更新記憶に際しては、両替管理機制御部126は、種々の計算方法により、適切な金種別投出金額合計データを決定することになり、これにより、例えば、平日用、休祭日用、イベント開催日用の複数のパターンデータに特徴が表れ、それに合わせた両替機101用の釣銭準備金の手配を行うことができることになる。
【0148】
例えば、当営業日が平日であれば、当営業日の金種別投出金額合計データをそれまでの平日の金種別投出金額合計データの累計値に加算し平均して、その値を平日用の金種別の両替準備金全体データとして更新記憶し、当営業日が休祭日であれば、当営業日の金種別投出金額合計データをそれまでの休祭日の金種別投出金額合計データの累計値に加算し平均して、その値を休祭日用の金種別の両替準備金全体データとして更新記憶し、当営業日がイベント開催日であれば、当営業日の金種別投出金額合計データをそれまでのイベント開催日の金種別投出金額合計データの累計値に加算し平均して、その値をイベント開催日用の金種別の両替準備金全体データとして更新記憶する。
【0149】
以上の金種別の両替準備金不足データを、両替管理機制御部126は、上記のように両替管理機121の表示部123に出力して表示させることになり、また、操作部122に印字指示操作が入力されると、プリンタ部125に出力して紙面に印字することになって、さらには、算出後、自動的に外部の両替準備金供給センターに出力することになる。
【0150】
なお、両替管理機121の両替管理機制御部126は、操作部122に修正操作が入力されると、算出した金種別の両替準備金不足データを修正操作に応じて修正するようになっている。そして、このようにして金種別の両替準備金不足データを修正すると、両替管理機制御部126は、修正後の金種別の両替準備金不足データを両替管理機記憶部127に更新記憶させるとともに表示部123に表示させ、さらに、修正後の金種別の両替準備金不足データに基づいて金種別の両替準備金不足データの合計金額データである、回収すべき両替元金の回収金データを決定して表示部123に出力して表示させる。また、操作部122に印字指示操作が入力されると、これらのデータをプリンタ部125に出力して紙面に印字する。
【0151】
「両替機室の運用状況」
両替管理機121は、その両替管理機制御部126が、複数の両替機101の運用状況を読み出すようになっており、これにより、両替機室14の運用状況、すなわち、混雑しているか否かを割り出して、照会を受けた店舗11のPOS端末21に対して出力可能になっている。両替管理機制御部126は、例えば、両替機101の全台数で両替処理実行中の両替機101の台数を除算した割合が、所定値よりも高ければ両替機室14が混雑していると判断し、この割合が同じ所定値以下であれば両替機室14が混雑していないと判断する。
【0152】
よって、例えば、POS端末21から両替管理機121の両替管理機制御部126に運用状況照会情報が出力されると、両替管理機制御部126は、運用状況照会情報の出力元のPOS端末21に対して、その時点の両替機室14の混雑状況を出力することになり、この出力を受けたPOS端末21では、この混雑状況を情報を操作表示部31に表示する。つまり、POS端末21の端末機制御部34は、金種別の釣銭準備不足金データの出力時に、両替機室14の運用状況を読み出して、併せて出力する。
【0153】
あるいは、両替管理機制御部126は、所定の時間間隔ですべての店舗11のPOS端末21に対して両替機室14の運用状況を出力し、この出力を受けたPOS端末21では、この混雑状況を情報を常に操作表示部31に表示する。
これらの制御により、上記したように、担当者は、店舗11での釣銭準備金の作成時に、両替機室14の混雑状況を考慮して、両替取引に移ることができる。
【0154】
「各店舗の両替準備金の準備状況」
両替機101には、上記したように、担当者が所持するIDカード40から担当者識別情報を読み取る両替機カードリーダ103がそれぞれ設けられており、両替機101の両替機制御部107は、両替機カードリーダ103で読み取った担当者識別情報を両替管理機121に出力する。すると、両替管理機121は、両替管理機制御部126が、この担当者識別情報から両替管理機記憶部127に対応して記憶された店舗識別情報を把握する。つまり、両替管理機制御部126は、両替者である担当者の属する店舗11の店舗識別情報を識別可能となっている。そして、両替管理機制御部126は、識別した店舗識別情報のそれぞれについて両替機101で行った両替処理の内容を両替管理機記憶部127に記憶する。
【0155】
そして、両替管理機制御部126は、両替管理機記憶部127の記憶内容から、両替機室14に設けられた両替機101により、予め定められた所定時刻において、この時刻までに翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されていない店舗11の有無を判断し、この所定時刻までに翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されていない店舗11の店舗識別情報を検出した際には、この店舗識別情報に対応する店舗11のPOS端末21に対して、両替処理催促情報を配信する。すると、両替処理催促情報を受信したPOS端末21は、操作表示部31にその旨のアラーム表示を表示させることになる。これと併せて、両替管理機制御部126は、両替処理が実行されていない店舗11の店舗識別情報に対応する店舗11の携帯端末25に対して、両替処理催促情報として、その旨のアラーム文章を電子メールで送信する。また、上記の所定時刻までに翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されていない店舗11の店舗識別情報を検出しない場合には、両替処理催促情報は配信しない。なお、上記の所定時刻は、店舗11毎に設定可能となっており、両替管理機制御部126は、それぞれの店舗11で設定された時刻に、翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されているか否かの上記した判断を行う。勿論、すべての店舗11に対して同じ時刻としても良く、その場合、両替機101の運用終了までに両替処理を間に合わせることができる、両替機101の運用終了時刻の所定時間前に設定することができる。
【0156】
ここで、両替管理機制御部126が行う、両替機101により翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されているか否かの判断を、両替管理機記憶部127の記憶内容から両替機101により両替処理が既になされているか否かの判断に基づいて行うとともに、既に両替処理がなされている場合には、さらにこの両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当するか否かの判断に基づいて行う。つまり、両替機101により両替処理が既になされていない場合と、既に両替処理がなされていてもこの両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当していない場合とについては、翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されていないと判断し、既に両替処理がなされていてこの両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当している場合は、翌営業日の釣銭準備のための両替処理が実行されていると判断する。
【0157】
なお、両替管理機制御部126による、当営業日に行った両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当しているか否かの判断は、店舗11のPOS端末21において上記のように翌営業日の釣銭準備のために不足となる金種別の釣銭準備不足金データが作成され、かつ、この金種別の釣銭準備不足金データに対応した両替処理が両替機101にて行われた場合に、両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当していると判断し、それ以外は、両替処理の内容が翌営業日の釣銭準備に相当していないと判断する。
【0158】
加えて、両替管理機制御部126は、両替機101の運用終了時刻には、すべてのPOS端末21に対して、両替機運用終了情報を配信する。すると、この両替機運用終了情報を受信したPOS端末21は、その端末機制御部34が、その旨を操作表示部31に表示させて担当者に認識させることになる。
【0159】
さらに、両替管理機制御部126は、釣銭ロッカー44の各収納部43に設けられた収納検出センサ45と通信可能となっており、両替管理機記憶部127の記憶内容から、予め定められた所定時刻までに釣銭準備のための両替処理が実行されていない店舗識別情報を検出し、かつ、この店舗識別情報に対応する釣銭ロッカー44の収納部43に釣銭準備金が収納されていないことを上記と同様の収納検出センサ45の検出結果に基づく基準重量と実重量との比較で検出した際には、この店舗識別情報に対応する店舗11のPOS端末21に対して、両替処理催促情報を配信する。すると、この両替処理催促情報を受信したPOS端末21は、その端末機制御部34が、その旨を操作表示部31にアラーム表示を表示させて担当者に認識させることになる。これと併せて、両替管理機制御部126は、両替処理が実行されていない店舗11の店舗識別情報に対応する店舗11の携帯端末25に対して、両替処理催促情報として、その旨のアラーム文章を電子メールで送信する。
【0160】
「両替取引の補助機能」
両替機101の両替機カードリーダ103で担当者のIDカード40が走査されると、両替機制御部107が、両替機カードリーダ103でIDカード40から読み取った担当者識別情報を両替管理機121の両替管理機制御部126に出力する。すると、両替管理機制御部126は、両替管理機記憶部127から、この担当者識別情報に対応する店舗識別情報を読み出し、さらに、この店舗識別情報に関連付けて記憶されている金種別の釣銭準備不足金データを読み出して、出力元の両替機101に送信する。すると、この両替機101の両替機制御部107が、両替パターンであるこの金種別の釣銭準備不足金データと、その合計金額となる両替元金データとを、ともに出力し、この両替機101の操作表示部102に表示させる。
【0161】
この状態で、両替機制御部107は、操作表示部102への訂正操作入力によって、表示している金種別の釣銭準備不足金データを訂正可能となっており、読み出した金種別の釣銭準備不足金データが操作表示部102への訂正操作入力によって訂正されると、両替機制御部107は、訂正された両替パターンである金種別の釣銭準備不足金データに基づいて、両替元金データをも訂正し、訂正後のデータを出力して、操作表示部102に表示させる。。
【0162】
そして、無訂正の状態あるいは訂正した状態で、操作表示部102への確定操作入力がなされると、両替機制御部107は、確定された金種別の釣銭準備不足金データおよび両替元金データを両替機記憶部108に記憶するとともに、操作表示部102に、表示された金額の両替元金の投入を促す表示を行う。これを見た操作者によって、両替機101の操作表示部102に表示された両替元金が投入されると、両替機101は、両替パターン通りの両替取引を実行する。
【0163】
つまり、両替機101は、両替元金としての現金が投入されると、これを識別し計数することで、投入された現金の投入金額データを計数する。そして、この投入金額データと両替元金データとの一致を確認することになり、これらのデータが一致していると、金種別の釣銭準備不足金データに基づいて両替処理を実行し、金種別の釣銭準備不足金データの両替パターンで現金を出金する。投入金額データと両替元金データとが不一致の場合は、操作表示部102にその旨を表示するとともに、投入された現金を返却し、現金の再投入を待機する。
【0164】
〔両替機案内制御〕
両替管理機制御部126は、すべての両替機101の両替機記憶部108にアクセスして、それぞれの両替機101における投出可能な金種別の在り高データである金種別残存金額データを把握するとともに、POS端末21から出力される店舗11毎の金種別の釣銭準備不足金データを発信元の店舗識別情報と関連づけて両替管理機記憶部127に記憶しており、両替機室出入口91に設けられた両替機室入室カードリーダ93によりIDカード40から担当者識別情報を読み取ると、次のような両替機案内制御を行う。
【0165】
つまり、両替取引に際して、両替機室出入口91において両替機室入室カードリーダ93によりIDカード40から担当者識別情報を読み取ると、両替管理機制御部126は、両替管理機記憶部127にアクセスして両替管理機記憶部127からこの担当者識別情報に関連付けて記憶されている店舗識別情報、さらにはこの店舗識別情報に関連付けて記憶されている金種別の釣銭準備不足金データを読み出す。そして、この金種別の釣銭準備不足金データと、各両替機101における投出可能な金種別の在り高データとを比較して、いずれの両替機101にて両替取引を行わせるかを決定する両替取引決定処理を行う。つまり、両替管理機制御部126は、両替機101のうち、金種別の釣銭準備不足金データが金種別の投出可能残量である両替準備金の金種別残存金額データを上回る金種がある両替機101は両替取引を行わせる両替機101として決定せず、金種別の釣銭準備不足金データが全金種について金種別残存金額データ以内である両替機101を両替取引を行わせる両替機101として決定する。なお、条件を満足する両替機101が複数台ある場合は、予め設定された順番にしたがって、両替取引を行わせる両替機101として決定する。
【0166】
そして、両替管理機制御部126は、両替取引決定処理で決定した決定情報である、両替取引を行わせる両替機101の両替機識別情報を、両替機室14の両替案内表示部110に出力するとともに、同決定情報である、この両替機識別情報を有する両替機101に対して、当該両替取引決定処理で両替機室入室カードリーダ93で読み取った担当者識別情報およびこの担当者識別情報に関連付けられている店舗識別情報を出力する。すると、両替案内表示部110は、受信した両替機識別情報つまり両替取引を行わせる両替機101の号機番号等を表示することになり、これらによって、使用すべき両替機101を担当者に伝達する。また、上記した両替機識別情報を有する、両替取引を行わせる両替機101の両替機制御部107が、担当者識別情報および店舗識別情報をこの両替機101の両替機呼出表示部105に表示するとともに担当者識別情報および店舗識別情報を両替機音声発生部104で音声出力することになり、これらによって、使用すべき両替機101を担当者に伝達する。なお、担当者識別情報および店舗識別情報のいずれか一方のみを、両替取引を行わせる両替機101に出力し、この一方のみの情報を両替機呼出表示部105に表示し両替機音声発生部104で音声出力するようにしても良い。
【0167】
なお、両替取引決定処理で決定した両替取引を行わせる両替機101が両替作業中の場合もあり、両替機101の両替機制御部107は、両替取引決定処理で決定した両替機101が他の両替取引動作中にあるときは、両替管理機制御部126から担当者識別情報および店舗識別情報が出力されても、この両替機101の両替機呼出表示部105に、これらの両替入室者識別情報および店舗識別情報を表示せず両替機音声発生部104でも呼び出しを行わない。そして、この両替機101の両替作業が終了すると、その両替機制御部107が、次に呼び出すべき入室者識別情報および店舗識別情報を両替機呼出表示部105への表示および両替機音声発生部104への音声出力で呼び出すようにする。
【0168】
また、両替取引決定処理で決定した両替取引を行わせる両替機101が、他の両替取引動作中にあって直ちに使用できない場合に、両替管理機制御部126は、両替案内表示部110に、担当者識別情報および店舗識別情報と関連付けて、両替機識別情報つまり両替取引を行わせる予定の両替機101の号機番号等を、使用予定の両替機101の情報として明示して、予告表示させることになる(例えば、●号機:○○店さん(◎◎◎号店さん)、■号機:□口店さん(△△△号店さん)などのように複数表示させる)。これにより、一の入室者は、両替取引の順番待ち状況と、いずれの両替機101での両替取引になるかを知ることができる。
【0169】
以上に述べたように、本実施形態の釣銭準備金作成システムによれば、現在、POS端末21の端末機記憶部35に記憶されている、当該POS端末21が設けられた店舗11内にある現金の金種別の在り高データの範囲内で、当該POS端末21の操作表示部31により、翌営業日のための釣銭準備金として回金する金種別金額データが入力されると、当該POS端末21の端末機制御部34が、このデータと、当該POS端末21の端末機記憶部35に記憶されている、翌営業日の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを出力することになるため、不足分の釣銭準備金を作成する手配を行わせることが可能となる。したがって、釣銭準備金作成関連業務を良好に且つ円滑に行わせることができる。
【0170】
また、店舗11に設けられた端末機は、当該店舗11の主たるPOS端末21であるため、POS端末21を利用することになって、専用の端末機を用意する必要がなくなる。
【0171】
また、大きく分けて、平日、休祭日、イベント開催日によって、来客数が大きく変わり、それに合わせて、釣銭に必要となる現金の金種別の数量が変わることから、一日毎の金種別の釣銭準備金データとして、少なくとも平日用、休祭日用およびイベント開催日用を含む複数のパターンデータを予めPOS端末21の端末機記憶部35に記憶しておくことで、釣銭準備金データを適正化することができる。
【0172】
また、POS端末21の端末機制御部34により出力された金種別の釣銭準備不足金データを当該POS端末21の操作表示部31に表示させるため、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを認識させて、不足分の釣銭準備金を作成する手配を行わせることになる。
【0173】
また、POS端末21の端末機制御部34により出力された金種別の釣銭準備不足金データが、POS端末21のプリンタ部33で紙面に印字されるため、不足となる釣銭準備不足金データを手作業で記録する等なく直ちに、釣銭準備金を作成する手配を行わせることができる。
【0174】
また、POS端末21の端末機制御部34が、金種別の釣銭準備不足金データから釣銭準備不足金の合計金額データを算出するとともに、操作表示部31が操作されると、POS端末21に接続される釣銭機22によって、両替元金となる現金を出金させるため、この出金された、合計金額データに基づく両替元金を持参させて、両替所または両替機101において、不足する金種別の釣銭への両替を行わせることができる。
【0175】
また、POS端末21の端末機制御部34が、金種別の釣銭準備不足金データの出力時に、両替機室14の運用状況、すなわち、混雑しているか否かを、これを監視している両替管理機121から読み出して、併せて操作表示部31に出力することになるため、釣銭準備の際に、両替機室14での待ち時間を減らして効率良く、不足分の釣銭準備金の作成を行わせることができる。
【符号の説明】
【0176】
11 店舗
21 POS端末(端末機)
22 釣銭機(現金処理機)
31 操作表示部(端末機表示手段,入力手段)
33 プリンタ部(印字手段)
34 端末機制御部(制御手段)
35 端末機記憶部(記憶手段)
122 操作部(両替手配手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗毎に設けられた端末機を備え、
前記端末機は、当該端末機が設けられた店舗内にある現金の金種別の在り高データと、当該店舗の運営に必要な一日毎の金種別の釣銭準備金データとを記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されている現金の金種別の在り高データの範囲内で、翌営業日のための釣銭準備金として回金する金種別金額データが入力手段により入力されると、前記一日毎の金種別の釣銭準備金データと前記回金する金種別金額データとを比較して、不足となる金種別の釣銭準備不足金データを出力する制御手段とを有することを特徴とする釣銭準備金作成システム。
【請求項2】
店舗に設けられた前記端末機は、当該店舗の主たるPOS端末であることを特徴とする請求項1記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項3】
一つの店舗内に複数のPOS端末を有する場合、前記端末機は、それぞれのPOS端末にアクセスして、店舗内にあるすべての現金の金種別の在り高データを記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1または2記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項4】
前記一日毎の金種別の釣銭準備金データとして、少なくとも平日用、休祭日用およびイベント開催日用を含む複数のパターンデータが予め前記記憶手段に記憶されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項5】
前記制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データは、前記端末機の端末機表示手段に表示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項6】
前記制御手段により出力された金種別の釣銭準備不足金データは、前記端末機の印字手段で印字されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項7】
両替手配手段を有し、
前記制御手段は、前記金種別の釣銭準備不足金データから釣銭準備不足金の合計金額データを算出するとともに、前記両替手配手段が操作されると、前記端末機またはこれに接続される現金処理機によって、前記合計金額データに基づいた両替元金となる現金を出金させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の釣銭準備金作成システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記金種別の釣銭準備不足金データの出力時に、両替機室の運用状況を読み出して、併せて出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の釣銭準備金作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218294(P2010−218294A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65184(P2009−65184)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】