説明

釣銭準備金管理システムおよび方法

【課題】釣銭準備金発注に要する手間を軽減することを可能とした釣銭準備金管理システムを提供することである。
【解決手段】提案する釣銭準備金管理システムでは、各出金機および各POS端末は、管理サーバからの金種別残数取得依頼に対応して、自機、あるいは、自端末の金種別残数を有する金種別残数情報を管理サーバに送信し、管理サーバは、各出金機および各POS端末からの金種別残数情報を集計して、金種別に残数の合計値を算出し、算出された合計値と準備金として準備すべき最低金額を示す閾値とを金種別に比較して、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データを作成し、発注先に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗で客に釣銭、釣札として渡すために準備する釣銭準備金の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
百貨店、ショッピングセンター、量販店、等の店舗で商品を購入する際に、客はそこに設置されているPOS(Point of Sale)端末を通して、商品代金の精算(決済)を行なう。決済に際しては、商品の購入代金に一致する、あるいは、商品の購入代金を上回る金額の紙幣、硬貨が客により支払われる。
【0003】
客が支払った金額のうち、商品代金に対する超過分については、釣銭、釣札として客にお釣をその場で返すが、この釣銭、釣札用に店舗毎に準備されているお金が釣銭準備金である。なお、慣習で、釣銭準備金というが、これは、釣銭(500円玉、100円玉、10円玉、5円玉、1円玉)の他に、釣札(5000円札、2000円札、1000円札)も含むものとする。
【0004】
図10は、従来の店舗における釣銭準備金の準備の流れを示す図である。
図10において、(1)で、店舗稼動中に、店舗の担当者(マネージャー)が定期的に(釣銭釣札機に接続された)POS端末51内の釣銭残量(釣銭準備金)を確認する。例えば、そのPOS端末の釣銭残量がマネージャーが経験として知る基準値より少ない場合には、(2)で、店舗のマネージャーは金庫55から(基準値からの)不足分の釣銭準備金を取り出し、そのPOS端末にセットする。
【0005】
金庫55内の釣銭準備金が例えばマネージャーが経験として知る基準値より減った場合、(3)で、釣銭準備金の提供会社(主に、警備輸送会社)に(基準値からの)不足額を記載した依頼書(ここでは紙媒体)56をFAXし発注する。すなわち、ファクシミリ(FAX)57を通してその依頼書の記載内容を画像データ化して、釣銭準備金提供会社のファクシミリ59に公衆回線58を通して送信する。釣銭準備金提供会社では、(4)で、その受信側のファクシミリ59で画像データを印字した依頼書61を受け取ることで、発注を受け、その後、釣銭準備金をその店舗に配達する。
【0006】
(5)で、釣銭準備金を受け取った店舗側では、マネージャーが、その釣銭準備金を金庫55に保管し、POS端末の釣銭不足に備える。
ここで、POS端末(釣銭釣札機)内の釣銭準備金の基準値や、金庫内の釣銭準備金の基準値は例えばマネージャーの経験により決められている。また、以下の2つの問題点がある。
【0007】
第1の問題点は、POS端末内の釣銭準備金が不足しているかどうかの確認(金種毎の残数確認)を、1台1台のPOS端末を回って人手で頻繁に確認しないと、店舗として釣銭準備金が不足する事態が生じ、店舗業務に支障が生じてしまう。この確認作業が手間である。
【0008】
第2の問題点は、金庫内の釣銭準備金が不足した場合などに人が判断して、釣銭準備金の発注を行なっているので手間である。
なお、関連技術として、特許文献1には、百貨店、ショッピングセンターなどの大規模店舗群において、店舗毎の収納部を備えた釣銭ロッカーと、店舗毎のPOS端末とを有する釣銭準備管理システムが示されている。このシステムでは、店舗毎に、釣銭ロッカーの対応する収納部の釣銭残量を検出し、それが基準を下回っていた場合に、釣銭準備催促情報をPOS端末に配信して、店舗側担当者に釣銭準備金関連業務の一部を行なわせることで、経費増大を抑制し、釣銭準備金関連業務を円滑に行なわせている。
【0009】
この特許文献1の技術の場合、釣銭ロッカーの収納部内の釣銭残量が必ずしもその店舗の釣銭準備金の多寡を反映しているとはいえず、判断の精度が十分に高いとはいえない。
また、特許文献2には、周辺技術として、店舗毎の現金有高、その回収タイミング等をネットワークで管理し、この管理情報を別のネットワークで使用して、金融機関からの資金調達を行なう技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−218292号公報
【特許文献2】特開2009−059294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、釣銭準備金発注に要する手間を軽減することを可能とした釣銭準備金管理システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
提案する釣銭準備金管理システムは、1台以上の出金機と、1台以上のPOS端末と、管理サーバとがネットワークを通して接続されたシステムである。
前記各出金機および前記各POS端末は、前記管理サーバから定期的に受信する金種別残数取得依頼に対応して、自機、あるいは、自端末の金種別残数を有する金種別残数情報を生成し、前記管理サーバに送信する金種別残数情報生成部、を有する。
【0013】
前記管理サーバは、準備金として準備すべき最低金額を示す金種別の閾値を記憶する閾値情報記憶部と、前記各出金機および前記各POS端末からの金種別残数情報を集計して、金種別に残数の合計値を算出する金種別残数合計値算出部と、算出された合計値と前記閾値情報記憶部の閾値とを金種別に比較し、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データに追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを発注先に送信する発注依頼書データ作成部と、を有する。
【0014】
また、前記釣銭準備金管理システムにおいて、前記管理サーバは、準備金を発注したかどうかを示す発注済みフラグ情報を金種別に記憶する発注済みフラグ記憶部、をさらに有してもよい。この場合、前記発注依頼書データ作成部は、全ての金種について下記(1)、(2)の処理を行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを前記発注先に送信する。
(1)算出された合計値が閾値より大きい金種に対しては、発注済みフラグをオフにする。
(2)算出された合計値が閾値より小さい金種に対しては、発注済みフラグがオフであった場合に、発注済みフラグをオンにして、その金種に対し発注依頼書データを追加する。
【発明の効果】
【0015】
提案する釣銭準備金管理システムでは、前記管理サーバから前記各出金機および前記各POS端末に定期的に金種別残数取得依頼が送信され、前記管理サーバの金種別残数合計値算出部により、前記各出金機および前記各POS端末からの前記金種別残数取得依頼に対する応答としての金種別残数情報が金種別に集計され、金種別に残数の合計値が算出される。また、前記管理サーバの発注依頼書データ作成部により、算出された合計値と前記閾値情報記憶部の閾値とが金種別に比較され、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データが発注先に送信される。これにより、各出金機内の釣銭準備金と各POS端末内の釣銭準備金とを定期的にシステム管理し、金種別に、システムが設置された店舗内の釣銭準備金(残数)が予め定められた額(閾値)以下になった時点で自動的に釣銭準備金提供会社等の発注先に必要額の釣銭準備金が通知され配達されるので、釣銭準備金発注に要する手間を軽減することができる。
【0016】
また、提案する釣銭準備金管理システムでは、前記管理サーバが、金種別の発注済みフラグ情報を記憶する発注済みフラグ記憶部を有する場合には、前記発注依頼書データ作成部が、算出された合計値が閾値より大きい金種に対しては、発注済みフラグをオフにすることで、未発注時に合計値が閾値を上回っている金種に対しては未発注の状態が維持され、発注した釣銭準備金を補充後の初回残量チェック時に、発注済みの状態を未発注に戻すことができる。また、前記発注依頼書データ作成部が、算出された合計値が閾値より小さい金種に対しては、発注済みフラグがオフであった場合に、発注済みフラグをオンにして、発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することで、前回未発注であって今回合計値が閾値を下回っている金種に対して発注を行うことができる。また、前記発注依頼書データ作成部が、算出された合計値が閾値より小さい金種に対しては、発注済みフラグがオンであった場合に、その金種に対する処理をバイパスする(何も行なわない)ことで、発注済みで閾値を下回っている金種に対しては重複して発注することを避けることができる。これにより、発注済みかどうかの情報管理も自動で行なうことができ、釣銭準備金発注に要する手間をさらに軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る釣銭準備金管理システムが設置された店舗における釣銭準備金の準備の流れを示す図である。
【図2】本実施形態の釣銭準備金管理システムのブロック図である。
【図3】釣銭釣札機に接続されたPOS端末、あるいは、自動出金機により生成された金種別残数情報のデータ構造を示す図である。
【図4】閾値テーブルおよび自動発注額テーブルのデータ構造を示す図である。
【図5】発注済みフラグテーブルのデータ構造を示す図である。
【図6A】本実施形態の釣銭準備金発注処理のフローチャート(その1)である。
【図6B】本実施形態の釣銭準備金発注処理のフローチャート(その2)である。
【図7】システムへのパラメータの登録および運用開始時の処理を例示するシステムフローである。
【図8】システム運用時の、自動出金機からPOS端末への釣銭準備金補充処理を例示するシステムフローである。
【図9】システム運用時の、店舗内釣銭準備金残高が閾値を下回った場合の処理を例示するシステムフローである。
【図10】従来の店舗における釣銭準備金の準備の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
提案する釣銭準備金管理システムは、店舗内に設置され、管理サーバと1台以上のPOS端末と、1台以上の自動出金機とを有し、それらが有線あるいは無線のネットワーク(LAN(Local Area Network)等)で互いに接続されたシステムである。このシステムでは、運用開始に先立つ準備として、下記準備1〜準備3を行なう。
準備1:POS端末と釣銭釣札機を接続し、釣銭釣札機内の釣銭準備金の残額("残量"ともいう、あるいは、単に"釣銭準備金額"ということもある)をリモート確認できるようにする。
準備2:自動出金機内の釣銭準備金の残額をリモート確認できるようにする。
準備3:1台以上のPOS端末(釣銭釣札機)と1台以上の自動出金機が設置された店舗内の釣銭準備金の(金種毎の)総計がいくら以下になったら自動発注を行なうかを示す(金種毎の)閾値と、その(金種毎の)閾値を下回ったときの(金種毎の)発注量をシステムへ登録する。
【0019】
このような登録作業を経て、システム運用時には、各POS端末(釣銭釣札機)内と各自動出金機内との釣銭準備金の(金種毎の)残額を定期的にオンラインで確認し、その金種毎の合計値が店舗内の釣銭準備金の(金種毎の)閾値をそれぞれ下回っているかどうかを監視する。閾値を下回った金種については、予め発注量として登録しておいた金額相当の釣銭準備金を釣銭準備金提供会社へ自動発注する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る釣銭準備金管理システムが設置された店舗における釣銭準備金の準備の流れを示す図である。
図1において、(1)で、運用開始に先立つ準備として、自動発注を行なう釣銭準備金額の(金種毎の)閾値と、その閾値を下回ったときの(金種毎の)発注量を管理サーバ3へ登録する。
【0021】
そして、システム運用時には、(2)で、各(釣銭釣札機に接続された)POS端末(ここではPOS端末1の1台のみ示されている)内と各自動出金機(ここでは自動出金機5のみ示されている)内との釣銭準備金の(金種毎の)残額(残量)を管理サーバ3は定期的にオンラインで取得し、(3)で、(2)で取得した各(釣銭釣札機に接続された)POS端末および各自動出金機の釣銭準備金残量を(金種毎に)合計して、店舗内の釣銭準備金の残量トータル値(合計値)を金種毎に算出する。
【0022】
そして、(3)で管理サーバ3により算出された金種毎の合計値が店舗内の釣銭準備金の(金種毎の)閾値をそれぞれ下回っているかどうかが判定され、閾値を下回った金種については、(4)で、予め発注量として登録しておいた金額相当の釣銭準備金を釣銭準備金提供会社へ自動発注する。
【0023】
すなわち、FAXモデム7を通して発注内容が画像データ化された依頼書データ6が、釣銭準備金提供会社のファクシミリ(FAX)9あてに送信され、その受信側のファクシミリ9において、画像データを印字した依頼書(紙媒体)11を受け取ることで、釣銭準備金提供会社において発注が受け付けられ、後に、釣銭準備金がその店舗に配達される。
【0024】
図2は、本実施形態の釣銭準備金管理システムのブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の釣銭準備金管理システムは、m台の釣銭釣札機2−1、・・・、2−mにそれぞれ接続されたm台のPOS端末1−1、・・・1−m、n台の自動出金機5−1、・・・、5−n、管理サーバ3、を有し、それらが互いにネットワーク(ここではLAN12)で接続されている。
【0025】
m台のPOS端末1−1、・・・1−mは、図2に示すように、m台の釣銭釣札機2−1、・・・、2−mにそれぞれ接続されている。POS端末1−1、・・・1−mのそれぞれ(図2ではm台を代表してPOS端末1−1についてブロック図が示されている)は、金種別残数情報作成部31および金種別残数情報送信部32を有する。
【0026】
金種別残数情報作成部31は、管理サーバ3から定期的に受信する金種別残数取得依頼に対応して、自端末の金種別残数を有する金種別残数情報を生成する。金種別残数情報送信部32は、生成された金種別残数情報を管理サーバ3に送信する。
【0027】
n台の自動出金機5−1、・・・、5−nのそれぞれ(図2ではn台を代表して自動出金機5−1についてブロック図が示されている)は、金種別残数情報作成部33および金種別残数情報送信部34を有する。
【0028】
金種別残数情報作成部33は、管理サーバ3から定期的に受信する金種別残数取得依頼に対応して、自機の金種別残数を有する金種別残数情報を生成する。金種別残数情報送信部34は、生成された金種別残数情報を管理サーバ3に送信する。
【0029】
図3は、釣銭釣札機に接続されたPOS端末、あるいは、自動出金機により生成された金種別残数情報35のデータ構造を示す図である。
図3に示すように、金種別残数情報35は、POS端末、あるいは、自動出金機のID、5,000円札の残枚数、2,000円札の残枚数、1,000円札の残枚数、500円玉の残個数、100円玉の残個数、50円玉の残個数、10円玉の残個数、5円玉の残個数、1円玉の残個数、の各項目を有する。
【0030】
図2の説明に戻る。図2において、管理サーバ3は、金種別残数取得依頼送信部21、金種別残数合計値算出部22、発注依頼書データ作成部23、発注依頼書データ送信部24、閾値DB25、自動発注額DB26、発注済みフラグ記憶領域27、を有する。
【0031】
金種別残数取得依頼送信部21は、金種別残数取得依頼を管理サーバ3に接続されている全てのPOS端末1−1、・・・1−mおよび自動出金機5−1、・・・、5−nに対して同報通信(ブロードキャスト)する。
【0032】
金種別残数合計値算出部22は、全てのPOS端末1−1、・・・1−mおよび自動出金機5−1、・・・、5−nからの金種別残数情報を金種別に集計して、金種別に残数の合計値を算出する。
【0033】
発注依頼書データ作成部23は、算出された合計値と閾値DB25に記憶される閾値とを金種別に比較し、自動発注額DB26および発注済みフラグ記憶領域27を参照して、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して、発注する該当金種の枚数(硬貨の場合は個数。なお、枚数や個数に注目する代わりに金額に注目すると、これは、「自動発注額」という表現になる)を含む発注内容データを発注依頼書データに追加する、ことを全ての金種について行う。
【0034】
発注依頼書データ送信部24は、発注依頼書データ作成部23の処理結果として作成された発注依頼書データをFAXモデム7、公衆回線8を通して発注先(釣銭準備金提供会社のファクシミリ(FAX)9)に送信する。
【0035】
閾値DB25には、閾値テーブルが記憶される。 自動発注額DB26には、自動発注額テーブルが記憶される。
図4は、閾値テーブル36および自動発注額テーブル37のデータ構造を示す図である。
【0036】
図4に示すように、閾値テーブル36は、金種(5,000円札、2,000円札、1,000円札、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉)別に、その金種の下限を示す閾値を定めたテーブルである。この閾値は、その金種の残枚数(紙幣の場合)、あるいは、残個数(硬貨の場合)が店舗内合計値で何枚(何個)以下になったとき、その金種の紙幣(硬貨)の釣銭準備金を発注するかを定めた値である。
【0037】
また、図4に示すように、自動発注額テーブル37は、 金種別に、その金種が閾値テーブル36の閾値以下になったときの発注数(何枚または何個)を定めたテーブルである。なお、この自動発注額テーブル37は一例であり、他の形態(閾値から減った分量に応じて発注数を決めるなど)も採用可能である。
【0038】
図2の発注済みフラグ記憶領域27には、発注済みフラグテーブルが記憶される。
図5は、発注済みフラグテーブル38のデータ構造を示す図である。
図5に示すように、発注済みフラグテーブル38は、金種別に、その金種の紙幣(硬貨)を発注済みであるかどうか(配達されたかどうかは不明)を示す発注済みフラグ、を有するテーブルである。この発注済みフラグは、オン(値"1")のとき、発注済みであることを示し、オフ(値"0(ゼロ)")のとき、未発注であることを示している。
【0039】
なお、閾値テーブル36、自動発注額テーブル37、および、発注済みフラグテーブル38を用いた発注依頼書データ作成部23の処理内容については、図6A、図6Bのフローチャートで後述する。
【0040】
図6Aおよび図6Bは、本実施形態の釣銭準備金発注処理のフローチャートである。このフローチャートの処理は、図2の管理サーバ3の各部により定期的に(一定時間が経過する度に)実行される。
【0041】
前回起動時から一定時間が経過したことをトリガとして一連の処理が起動する。
図6AのステップS1で、金種別残数取得依頼送信部21により、金種別残数取得依頼が管理サーバ3に接続されている全てのPOS端末1−1、・・・1−mおよび自動出金機5−1、・・・、5−nに対して同報通信(ブロードキャスト)される。
【0042】
上述したように、この金種別残数取得依頼を受信したPOS端末あるいは自動出金機側では、自端末あるいは自機の金種別残数を有する金種別残数情報を生成し、その生成された金種別残数情報を管理サーバ3に送信する。
【0043】
図6AのステップS2では、金種別残数合計値算出部22により、金種別残数情報をPOS端末または自動出金機から受信したかどうかが判定される。
金種別残数情報を受信しない限り(ステップS2の判定結果がNOである間は)、ステップS2の判定処理が繰り返される。
【0044】
ステップS2で金種別残数情報が受信されたと判定された場合(ステップS2の判定結果がYESである場合)、続くステップS3で、金種別残数合計値算出部22により、全ての自動出金機およびPOS端末から金種別残数情報を受信済みかどうかが判定される。
【0045】
ステップS3で全ての自動出金機およびPOS端末から受信済みでないと判定された場合(ステップS3の判定結果がNOの場合)、ステップS2の金種別残数情報受信待ち状態に戻る。
【0046】
ステップS3で全ての自動出金機およびPOS端末から受信済みであると判定された場合(ステップS3の判定結果がYESの場合)、ステップS4で、金種別残数合計値算出部22により、全てのPOS端末1−1、・・・1−mおよび自動出金機5−1、・・・、5−nからの金種別残数情報が金種別に集計されて、金種別に残数の合計値が算出される。そして、制御が、金種別残数合計値算出部22から発注依頼書データ作成部23に移り、この発注依頼書データ作成部23により、後続のステップS5〜ステップS11が実行される。
【0047】
ステップS5〜ステップS11のうちの、ステップS6〜ステップS9の処理は、所定の金種に対して行なわれるものである。このため、ステップS5で現在の金種を設定する。設定方法は全ての金種を1度ずつ実行する任意の方法でよいが、一例としては、5,000円札、2,000円札、1,000円札、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉、の順に実行すること(金種の金額の降順に実行すること)が考えられる。この場合、初回にステップS5が実行されるときは、現在の金種に"5,000円札"が設定され、2回目にステップS5が実行されるときは、現在の金種に"1,000円札"が設定される、等する。
【0048】
図6AのステップS5に続く図6BのステップS6では、発注依頼書データ作成部23により、現在の金種において、ステップS4で算出された合計値と閾値DB25に記憶される閾値とが比較される。
【0049】
ステップS6で現在の金種において合計値が閾値より大きいと判定された場合(ステップS6の判定結果がYESの場合)、ステップS7で、発注済みフラグテーブル38上の現在の金種に対する発注済みフラグの値がオフに設定され、ステップS10に進む。
【0050】
ステップS6で現在の金種において合計値が閾値以下であると判定された場合(ステップS6の判定結果がNOの場合)、ステップS8で、現在の金種における発注済みフラグの値がオンであるかどうかが判定される。
【0051】
ステップS8で現在の金種における発注済みフラグの値がオンであると判定された場合(ステップS8の判定結果がYESの場合)、ステップS10に進む。
ステップS8で現在の金種における発注済みフラグの値がオフであると判定された場合(ステップS8の判定結果がNOの場合)、ステップS9で、現在の金種における発注済みフラグの値をオンにし、自動発注額テーブル37上の現在の金種に対する発注数を発注依頼書データに追加(発注依頼書データがまだこの時点で存在しない場合は、発注依頼書データを生成後に追加)する。そして、ステップS10に進む。
【0052】
ステップS7、ステップS8(判定結果がYESの場合)、ステップS9から制御を渡されたステップS10では、発注依頼書データ作成部23により、全ての金種(5,000円札、2,000円札、1,000円札、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉)について処理済みかどうかが判定される。
【0053】
ステップS10で全ての金種について処理済みでないと判定された場合(ステップS10の判定結果がNOの場合)、ステップS5に戻り、次の金種を現在の金種に設定し、ステップS6以降の処理を続行する。
【0054】
ステップS10で全ての金種について処理済みであると判定された場合(ステップS10の判定結果がYESの場合)、ステップS11で、発注依頼書データ作成部23により、ステップS5〜ステップS10の処理結果としての発注依頼書データが存在するかどうかが判定される。
【0055】
ステップS11で発注依頼書データが存在しないと判定された場合(ステップS11の判定結果がNOの場合)、一連の処理を終了する。
ステップS11で発注依頼書データが存在すると判定された場合(ステップS11の判定結果がYESの場合)、制御が、発注依頼書データ作成部23から発注依頼書データ送信部24に移り、ステップS12で、発注依頼書データ送信部24により、処理結果としての発注依頼書データがFAXモデム7、公衆回線8、を通して釣銭準備金提供会社のファクシミリ9あてに送信される。
【0056】
以上説明したように、提案する釣銭準備金管理システムでは、管理サーバ3から各自動出金機および各POS端末に定期的に金種別残数取得依頼が送信され、管理サーバ3の金種別残数合計値算出部22により、各自動出金機および各POS端末からの金種別残数取得依頼に対する応答としての金種別残数情報が金種別に集計され、金種別に残数の合計値が算出される。また、管理サーバ3の発注依頼書データ作成部23により、算出された合計値と閾値DB25内の閾値テーブル36の閾値とが金種別に比較され、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、公衆回線8を介して、その処理結果として作成された発注依頼書データが釣銭準備金提供会社のファクシミリ9あてに送信される。これにより、各自動出金機内の釣銭準備金と各POS端末(に接続された釣銭釣札機)内の釣銭準備金とを定期的にシステム管理し、金種別に、システムが設置された店舗内の釣銭準備金(残数)が予め定められた額(閾値)以下になった時点で自動的に釣銭準備金提供会社等の発注先に必要額の釣銭準備金が通知され、釣銭準備金が配達されるので、釣銭準備金発注に要する手間を軽減することができる。
【0057】
また、提案する釣銭準備金管理システムでは、管理サーバ3の発注依頼書データ作成部23が、算出された合計値が閾値より大きい金種に対しては、発注済みフラグをオフにする(図6BのステップS7)ことで、未発注時に合計値が閾値を上回っている金種に対しては未発注の状態が維持され、発注した釣銭準備金を補充後の初回残量チェック時に、発注済みの状態を未発注に戻すことができる。
【0058】
また、発注依頼書データ作成部23が、算出された合計値が閾値より小さい金種に対しては、発注済みフラグがオフであった場合に、発注済みフラグをオンにして、発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加する(図6BのステップS8の判定結果がNO、および、ステップS9)ことで、前回未発注であって今回合計値が閾値を下回っている金種に対して発注を行うことができる。
【0059】
また、発注依頼書データ作成部23が、算出された合計値が閾値より小さい金種に対しては、発注済みフラグがオンであった場合に、その金種に対する処理をバイパスする(何も行なわない、図6BのステップS8の判定結果がYESの場合)ことで、発注済みで閾値を下回っている金種に対しては重複して発注することを避けることができる。これにより、発注済みかどうかの情報管理も自動で行なうことができ、釣銭準備金発注に要する手間をさらに軽減できる。なお、全金種に対して行われる残数チェックの周期は充分短く、配達後の次回チェック時に閾値以下と判定されることはないものとする。
【0060】
続いて、図7〜図9を参照して、具体的なデータ例を示しつつ、本システムの動作例を説明する。実際のシステムでは、釣銭釣札機に接続されたPOS端末や自動出金機はともに1台以上の任意の台数店舗に設置されていてもよいが、この図7〜図9に示す例では、POS端末、自動出金機はともに1台ずつ(1号機のみ)存在する。また、金種も、5,000円札、2,000円札、1,000円札、500円玉、100円玉、・・・と複数種類あるが、この図7〜図9に示す例では、主に1,000円札を扱う。
【0061】
図7は、システムへのパラメータの登録および運用開始時の処理を例示するシステムフローである。
図7のフェーズ1では、閾値設定が行なわれる。図7の(1)で、管理サーバに接続されたシステムパラメータ入力用端末(不図示)などから店舗の管理者等によって、閾値DB25の閾値テーブル36に対し、5,000円札に対し、300枚以下で発注となるように、300(枚)が閾値として入力される。また、1,000円札に対し、300枚以下で発注となるように、300(枚)が閾値として入力される。また、100円玉に対し、300個以下で発注となるように、300(個)が閾値として入力される。
【0062】
図7のフェーズ2では、自動発注額設定が行なわれる。図7の(2)で、管理サーバに接続されたシステムパラメータ入力用端末(不図示)などから店舗の管理者等によって、自動発注額DB26の自動発注額テーブル37に対し、5,000円札に対し、店舗内合計残枚数が閾値以下の枚数となったときに500枚発注するように、500(枚)が自動発注額(枚数)として入力される。また、1,000円札に対し、店舗内合計残枚数が閾値以下の枚数となったときに500枚発注するように、500(枚)が自動発注額(枚数)として入力される。また、100円玉に対し、店舗内合計残個数が閾値以下の個数となったときに500個発注するように、500(個)が自動発注額(枚数)として入力される。
【0063】
図7のフェーズ3では、管理サーバ3により、(3)で、運用開始時に各機器(釣銭釣札機に接続されたPOS端末および自動出金機)に対し、所定のタイミングで(一定時間が経過する度に)各金種につき残数を取得すべく金種別残数取得依頼が送信される。なお、ここでは、単純化して1,000円札の残枚数のみ対象とする(実際はすべての金種が取得処理の対象である)。図7の(4)で、自動出金機1号機から1,000円札400枚、POS端末1号機から1,000円札50枚、を上記依頼に対する応答として取得し、店舗内1,000円札合計を450枚として算出する。続く(5)で、この450枚が1,000円札に対して自動発注を行なう場合の閾値300枚と比較される。この場合、450枚>300枚であり、1,000円札に対する自動発注はない。
【0064】
図8は、システム運用時の、自動出金機からPOS端末への釣銭準備金補充処理を例示するシステムフローである。
図8のフェーズ4では、レジでのお客様への精算に対応して、POS端末1号機で1,000円札50枚を使用し、POS端末1号機で1,000円札の残枚数が50枚から0枚に減ってしまったとする。これに対応して、自動出金機1号機内の1,000円札400枚のうちの200枚が自動出金機1号機からPOS端末1号機に人手により移される(POS端末1号機に対し1,000円札200枚を補充した)。その後、管理サーバ3により、図8の(1)で、各機器(釣銭釣札機に接続されたPOS端末および自動出金機)に対し、所定のタイミングで各金種につき残数を取得すべく金種別残数取得依頼が送信される。 なお、ここでは、単純化して1,000円札の残枚数のみ対象とする。図8の(2)で、自動出金機1号機から1,000円札200枚、POS端末1号機から1,000円札200枚、を上記依頼に対する応答として取得し、店舗内1,000円札合計を400枚として算出する。続く(3)で、この400枚が1,000円札に対して自動発注を行なう場合の閾値300枚と比較される。この場合、400枚>300枚であり、1,000円札に対する自動発注はない。
【0065】
図9は、システム運用時の、店舗内釣銭準備金残高が閾値を下回った場合の処理を例示するシステムフローである。
図9のフェーズ5では、レジでのお客様への精算に対応して、POS端末1号機で1,000円札110枚を使用し、POS端末1号機で1,000円札の残枚数が200枚から90枚に減ってしまったとする。自動出金機1号機内の1,000円札の残数は200枚のままである。その後、管理サーバ3により、図9の(1)で、各機器(釣銭釣札機に接続されたPOS端末および自動出金機)に対し、所定のタイミングで各金種につき残数を取得すべく金種別残数取得依頼が送信される。 なお、ここでは、単純化して1,000円札の残枚数のみ対象とする。図9の(2)で、自動出金機1号機から1,000円札200枚、POS端末1号機から1,000円札90枚、を上記依頼に対する応答として取得し、店舗内1,000円札合計を290枚として算出する。続く(3)で、この290枚が1,000円札に対して自動発注を行なう場合の閾値300枚と比較される。この場合、290枚<300枚であり、(4)で、自動発注額DB26により、1,000円札に対し、500枚発注することが確定し、(5)で、「1,000円札500枚を明日届けてください」と記載された発注依頼書データが作成され、(6)で、作成された発注依頼書データがFAXモデムを通して釣銭準備金提供会社のファクシミリあてに送信される。
【符号の説明】
【0066】
1、1−1、・・・、1−m、51 POS端末
2−1、・・・、1−m 釣銭釣札機
3 管理サーバ
5、5−1、・・・、5−n 自動出金機
6 依頼書データ
7 FAXモデム
8、58 公衆回線
9、57、59 ファクシミリ(FAX)
11、56、61 依頼書(紙媒体)
21 金種別残数取得依頼送信部
22 金種別残数合計値算出部
23 発注依頼書データ作成部
24 発注依頼書データ送信部
25 閾値DB
26 自動発注額DB
27 発注済みフラグ記憶領域
31、33 金種別残数情報作成部
32、34 金種別残数情報送信部
35 金種別残数情報
36 閾値テーブル
37 自動発注額テーブル
38 発注済みフラグテーブル
55 金庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台以上の出金機と、1台以上のPOS端末と、管理サーバとがネットワークを通して接続された釣銭準備金自動発注システムにおいて、
前記各出金機および前記各POS端末は、前記管理サーバから定期的に受信する金種別残数取得依頼に対応して、自機、あるいは、自端末の金種別残数を有する金種別残数情報を生成し、前記管理サーバに送信する金種別残数情報生成部、を有し、
前記管理サーバは、準備金として準備すべき最低金額を示す金種別の閾値を記憶する閾値情報記憶部と、
前記各出金機および前記各POS端末からの金種別残数情報を集計して、金種別に残数の合計値を算出する金種別残数合計値算出部と、
算出された合計値と前記閾値情報記憶部の閾値とを金種別に比較し、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを発注先に送信する発注依頼書データ作成部と、を有することを特徴とする釣銭準備金管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、準備すべき最低金額を示す閾値を下回った場合の発注数を金種別に記憶する発注情報記憶部、をさらに有し、
前記発注依頼書データ作成部は、算出された合計値が閾値より小さい金種に対する発注数を、前記発注情報記憶部の記憶内容を基に決定し、発注依頼書データに、前記決定した発注数を含むその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを前記発注先に送信する、ことを特徴とする請求項1記載の釣銭準備金管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、準備金を発注したかどうかを示す発注済みフラグ情報を金種別に記憶する発注済みフラグ記憶部、をさらに有し、
前記発注依頼書データ作成部は、算出された合計値が閾値より大きい金種に対して、発注済みフラグをオフにするとともに、
算出された合計値が閾値より小さい金種に対して、発注済みフラグがオフであった場合に、発注済みフラグをオンにして、発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを前記発注先に送信する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の釣銭準備金管理システム。
【請求項4】
1台以上の出金機と、1台以上のPOS端末と、準備金として準備すべき最低金額を示す金種別の閾値を記憶する閾値情報記憶部を有する管理サーバとがネットワークを通して接続されたシステムが実行する釣銭準備金管理方法において、
前記各出金機および前記各POS端末が、前記管理サーバからの金種別残数取得依頼に対応して、自機、あるいは、自端末の金種別残数を有する金種別残数情報を生成し、前記管理サーバに送信するステップと、
前記管理サーバが、前記各出金機および前記各POS端末からの金種別残数情報を集計して、金種別に残数の合計値を算出するステップと、
前記管理サーバが、算出された合計値と前記閾値情報記憶部の閾値とを金種別に比較し、算出された合計値が閾値より小さい金種に対して発注依頼書データにその金種の発注内容データを追加することを全ての金種について行い、その処理結果として作成された発注依頼書データを発注先に送信するステップと、を有することを特徴とする釣銭準備金管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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