説明

鉄または鉄酸化物のナノ粉末粒子の製造方法

【課題】
鉄含有ナノ粉末粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】
鉄含有ナノ粉末粒子の一製造方法は、鉄含有成分と、コロイド安定化剤と、所定量の水とから熱分解法により製造するものである。この方法では、鉄含有成分と、コロイド安定化剤と、所定量の水とからなる混合物を鉄含有ナノ粉末形成に適した温度に加熱した後、鉄含有ナノ粉末を分離する。鉄含有ナノ粉末粒子のもう一つの製造方法は、反復シェル成長法を用いるものであり、第1の量の鉄含有成分とコロイド安定化剤とからなる混合物を作成し、この混合物を鉄含有ナノ粉末形成に適した温度に加熱し、室温まで冷却する。冷却した混合物に別の量の鉄含有成分を添加し、反応温度に再加熱し、分離される鉄含有ナノ粉末粒子の粒径が所望の大きさになるまでこの工程を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は先に2006年12月26日に出願された米国特許出願第11/637、055号の優先権を主張する。本出願は、すべての目的の為にこの先の米国特許出願の内容のすべてを包含する。
【0002】
本発明は鉄または鉄酸化物を含むナノ粉末の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
平均粒径が200ナノメータ未満の粉末、すなわちナノ粉末は、その結晶特性および他のナノスケール特徴により、材料特性が著しく変化するので興味深い。ナノサイズ材料は、そのサイズに起因する機械特性、磁気特性および電気特性が特有のものであるため極めて興味深い。
【0004】
例えば、機械的合金化をした材料を機械的に粉砕して作製した比較的大きな粒径の粉末をボールミルにより所望の結晶領域サイズが得られるまで粉砕することにより、様々な組成のナノ粉末を製造する方法は周知の技術である。このような粉砕工程は時間がかかり、エネルギを多く使用する工程である。また、このような粉砕工程により製造される粉末の結晶領域サイズの分布が広く、そのためナノ粉末から分離される必要のある、含まれて欲しくない大きなサイズの粒子を含むものである。また、粉砕工程により作製した粉末粒子の結晶領域は、不要な物質からなる大きな粒子で取り囲まれてしまう場合がある。さらに、粉砕工程でに用いられる粉砕材料がナノ粉末製品に混入する場合がある。
【0005】
非特許文献1には、様々な鉄ナノ粉末の製造方法および鉄ナノ粉末の特性の分析が紹介されている。
【0006】
そのため、作製される粉末のサイズを調節可能なナノ粉末の製造方法、特に鉄または鉄酸化物を含むナノ粉末の製造方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D,Huber, published at small 2005, 1, No.5, pp.482-501(Willy-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, D-69451 Weinheim)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の教示は、作製されるナノ粉末の粒径を調節可能な、特に鉄または鉄酸化物からなるナノ粉末製造方法の必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の教示による鉄または鉄酸化物を含むナノ粉末を製造する一つの方法は、鉄を含む材料と、コロイド安定化剤と、所定量の水とからなる混合物を鉄含有ナノ粉末粒子生成に適した温度に加熱して、加熱分解させることにより、鉄を含むナノ粉末を生成させるものである。鉄を含むナノ粉末は前記した混合物から分離される。製造される鉄を含むナノ粉末粒子の大きさは、前記混合物中の鉄を含む材料に対する水の量の比により調節できる。
【0010】
本発明の教示による鉄または鉄酸化物を含むナノ粉末を製造するもう一つの方法は、反復シェル成長法を含むものである。この方法では最初に第1の量の鉄含有成分とコロイド安定化剤との混合物を用意し、この混合物に反復シェル成長法によりナノ粉末粒子を製造する。この混合物は次に鉄含有ナノ粉末粒子を形成するのに適した温度に加熱した後、室温まで冷却する。この冷却した混合物に、追加量である第2の量の鉄含有成分を添加する。所定値が得られるまで、前記した加熱、冷却および添加のステップを反復して行い、その後鉄含有ナノ粉末粒子を分離する。この製造方法によれば、鉄含有ナノ粉末粒子の大きさは、前記した加熱、冷却および添加のステップの反復回数により調節される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付した図は、本発明の内容を十分に理解してもらうためのものであり、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の様々な実施形態を示すものであり、以下の発明の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するものである。
【0012】
【図1】図1は本発明の熱分解法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図2】図2は本発明の熱分解法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図3】図3は本発明の熱分解法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図4】図4は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図5】図5は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図6】図6は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末のTEM顕微鏡写真である。
【図7】図6は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末の電子線回折写真である。
【図8】図6は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末の電子線回折写真である。
【図9】図6は本発明の反復シェル成長法により形成した鉄含有ナノ粉末の電子線回折写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、ナノ粉末、特に鉄を含有するナノ粉末の製造方法を開示するものであり、このナノ粉末の製造方法においては、粉末粒子の大きさがその製造工程中に調節されるものである。
【0014】
本明細書が開示する鉄含有ナノ粉末の製造方法では、まず、鉄含有成分と、コロイド安定化剤と、所定量の水とを用意する。これらの3つの成分を互いに接触させ第1の混合物とし、この第1の混合物を鉄含有ナノ粉末形成に適した温度に加熱した後、鉄含有ナノ粉末をこの第1の混合物から分離する。
【0015】
この鉄含有ナノ粉末の製造方法は、さらに溶媒成分を用意し、鉄含有成分とコロイド安定化剤とを溶媒成分の存在下で接触させるステップを含んでもよい。この製造方法に適した溶媒成分は、大気圧下での沸点が最低でも250℃または最低でも300℃の溶媒を含むものである。ベンジルエーテル、オクチルエーテル、ジグライムおよびトリグライムは、この製造方法に適した溶媒成分の例である。当業者ならば、他の可能な溶媒成分も思いつくはずである。
【0016】
本製造方法では、鉄含有成分として、鉄とカルボニル含有化合物とを有する鉄含有化合物といった、反応配位子を有する鉄含有化合物を利用するものである。本製造方法に適した鉄含有化合物の例には、鉄ペンタカルボニル、ジナトリウムテトラカルボニルフェレート、フェロセンと誘導体、2鉄ノナカルボニル、3鉄ドデカカルボニルおよびプルシャンブルーが含まれる。
【0017】
本製造方法の第1の混合物中のコロイド安定化剤は、オレイン酸、リノレイン酸、カルボン酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、長炭素鎖4級アミン塩、長炭素鎖アミン、長炭素鎖チオール、長炭素鎖アルコール、長炭素鎖ホスフィンおよび長炭素鎖ホスフィン酸化物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むものである。ここで、「長炭素鎖」とは少なくとも約6個、少なくとも約10個または少なくとも約14個の炭素原子を含む炭素鎖を指す。このコロイド安定化剤のコロイド安定化能を本製造方法では用いている。
【0018】
本製造方法における鉄含有ナノ粉末粒子を形成するのに適した温度は、100℃から400℃の間の温度であり、また150℃から250℃の間の温度としてもよい。この鉄含有ナノ粉末粒子を形成するのに適した温度は、鉄含有粉末粒子の形成を促進させるのに十分な高い温度でなければならず、前記した溶媒成分または前記したコロイド安定化剤を劣化または分解させる温度よりも低くなければならない。
【0019】
前記した本発明の製造方法を用いることにより、6ナノメータ未満、4ナノメータ未満または2ナノメータ未満の粒径を有する鉄含有ナノ粉末が得られる。
【0020】
前記した本製造方法で分離される鉄含有ナノ粉末の粒径は、前記した反応混合物中の鉄含有成分の量に対する水の量を変化させることにより調節できる。本発明の製造方法によれば、前記した反応混合物中の鉄含有成分の量に対する水の量を増大させれば、前記した本製造方法で分離される鉄含有ナノ粉末の粒径は小さくなる。後記する実施例1乃至3にはこの調節効果が顕れている。
【0021】
本明細書が開示するもう一つの鉄含有ナノ粉末の製造方法は、第1の量の鉄含有成分とコロイド安定化剤とを用意し、用意した鉄含有成分とコロイド安定化剤とを接触させて混合物を形成させる工程を含む。本製造方法では、この混合物を、鉄含有ナノ粉末を形成させるのに適した温度に加熱した後、室温まで冷却し、さらに別の量の鉄含有成分を冷却した混合物に添加する。これらの加熱、冷却および添加の反復ステップを、所定値になるまで繰り返して行なった後、鉄含有ナノ粉末を分離する。
【0022】
本製造方法では、さらに溶媒成分を用意し、鉄含有成分を用意した溶媒成分の存在下で接触させるステップを含んでもよい。この製造方法に適した溶媒成分は、大気圧下での沸点が最低でも250℃または最低でも300℃の溶媒を含むものである。ベンジルエーテル、オクチルエーテル、ジグライムおよびトリグライムは、この製造方法に適した溶媒成分の例である。
【0023】
本明細書が開示する本製造方法で利用する鉄含有成分は、反応配位子を有する鉄含有化合物を含むものである。この鉄配位子は、約200℃の温度で反応し、または分離して鉄含有ナノ粉末粒子を形成する安定性を有するものである。鉄含有成分の例は、鉄とカルボニル含有化合物とを含む化合物であり、本製造方法に適した一つの具体例は、鉄ペンタカルボニルを含むものである。ジナトリウムテトラカルボニルフェレート、フェロセンと誘導体、2鉄ノナカルボニル、3鉄ドデカカルボニルおよびプルシャンブルーは他の可能な鉄含有成分の例である。
【0024】
本明細書が開示する本製造方法は、オレイン酸、リノレイン酸、カルボン酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、長炭素鎖4級アミン塩、長炭素鎖アミン、長炭素鎖チオール、長炭素鎖アルコール、長炭素鎖ホスフィンおよび長炭素鎖ホスフィン酸化物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物といったコロイド安定化剤を含むものである。本明細書が開示する本製造方法に適したこのコロイド安定化剤の作用により、鉄含有成分のコロイドは所定温度に加熱すると鉄含有ナノ粉末粒子を形成する。
【0025】
本明細書が開示する本製造方法における前記した加熱工程は、100℃から400℃の間の温度で行なうものであるが、また150℃から250℃の間の温度でおこなってもよい。この加熱温度は、溶媒成分を用いる場合は前記した溶媒成分の分解温度より低くなければならず、また前記したコロイド安定化剤の分解温度よりも低くなければならない。
【0026】
前記した加熱、冷却および添加ステップは、所定値になるまで繰り返して行なう。この所定値は、本製造方法で製造されるすべての鉄含有ナノ粉末粒子、少なくとも過半数の鉄含有ナノ粉末粒子の値であり、所定値になるとは、所望の大きさに到達する、または製造される鉄含有ナノ粉末粒子が所望の結晶構造になることである。後記する実施例4乃至6で述べるように、本製造方法で製造される鉄含有ナノ粉末粒子は、例えばマグネタイトFe相またはβ−Fe相である。
【0027】
前記した加熱、冷却および添加のステップを繰り返した回数を含む様々な要因次第で、本製造方法により製造される分離された鉄含有ナノ粉末の粒径は、8ナノメータより小さくなるし、6ナノメータより小さくもなるし、4ナノメータよりも小さくもなるし、また2ナノメータよりも小さくもなる。
【0028】
本製造方法によれば、前記した工程の加熱、冷却および添加のステップの繰り返し回数を調節することにより、分離された鉄含有ナノ粉末粒子の大きさを調節することができる。
【0029】
すべての公開された文献、記事、論文、特許、公開特許および他の参照文献はあらゆる目的のために、本明細書中にそのすべてが取り込まれる。
【0030】
前記した説明は、本発明の好ましい実施形態を述べたものであるが、当業者ならば本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲で他の実施形態や変形例が可能であることは明らかである。
【0031】
以下に述べる実施例は、本発明をより完全に理解してもらうためのものである。本発明の原理を説明するために実施例中に挙げられた具体的な方法、条件、材料および報告データは、例示的なものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0032】
(分析方法)
TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、収集した物質の粒子径を決定し、電子線回折を用いて同収集した物質の結晶構造を決定した。
【0033】
<実施例1乃至3>
ベンジルエーテル(10ml)とオレイン酸(2ml)を加熱還流装置に加え、この混合液体にアルゴンガスを1時間バブリングして流した。この混合液体に鉄ペンタカルボニル(0.3ml)と水(実施例ごとに量は異なる。実施例1、2および3ではそれぞれ0.25μl、0.50μlおよび1.00μlとした)とを加えてできた試料液体を200℃で10時間加熱した。この熱処理の間に試料液体は黒くなった。この試料液体を試験管に入れ、セプタムを管口に嵌め、中の試料液体にアルゴンガスを流した。この試料液体に無水メタノール(15ml)を加えて標準的なベンチトップ型遠心分離機により3分間遠心分離することにより、黒色沈殿物を沈殿させた。上澄みを除去した後、この沈殿物を無水ジエチルエーテル(3ml)中で再び懸濁させた。この無水メタノールと無水ジエチルエーテルとを用いる懸濁と沈殿処理との処理を3回連続で行なって得られた沈殿物を真空乾燥した。
【0034】
前記した処理によれば水の濃度を変化させることにより、粉末粒子径を調節することができた。非化学量論量である、0.25μl、0.50μlおよび1.00μlの水を前記した反応混合物に加えることにより、それぞれ、4.14±0.48ナノメータ(実施例1)、4.09±0.47ナノメータ(実施例2)および3.05±0.41ナノメータ(実施例3)の粒子径の粉末を得た。
【0035】
<実施例4乃至6>
ベンジルエーテル(10ml)とオレイン酸(2ml)とを加熱還流装置に加え、この混合液体にアルゴンガスを1時間バブリングして流した。この混合液体に鉄ペンタカルボニル(0.3ml)を加えてできた試料液体を200℃で20時間加熱した。この試料液体は黒くなった。この反応混合物を室温まで冷却した。この反応混合物の一部を採り、その採取した反応混合物に無水メタノールを加えて標準的なベンチトップ型遠心分離機により3分間遠心分離することにより、黒色沈殿物を試料液体から沈殿させた。上澄みを除去した後、この沈殿物を無水ジエチルエーテル(3ml)中で再び懸濁させた。この無水メタノールと無水ジエチルエーテルとを用いる懸濁と沈殿処理との処理を3回連続で行なって得られた沈殿物(実施例4)を真空乾燥した。
【0036】
前記した途中で採取した残りの反応混合物に、脱ガスしたベンジルエーテル(20ml)と第2の量の鉄ペンタカルボニル(0.3ml)を添加した。この反応混合物を再び200℃で20時間加熱し、その後室温まで冷却した。このようにして得られた反応混合物から、さらにその一部を採り、この採取した反応混合物から粉末粒子(実施例5)を前記した方法と同じ方法により分離した。
【0037】
前記した2回目に採取した残りの反応混合物に脱ガスしたベンジルエーテル(20ml)と第3の量の鉄ペンタカルボニル(0.3ml)を添加した。この反応混合物を再び200℃で20時間加熱した。粉末粒子(実施例6)を前記した方法と同じ方法により分離した。
【0038】
前記した処理方法を用いることにより、粉末粒子径を調節することができた。前記した第1、第2および第3のFe(CO)により生成した粉末の粒子径は、それぞれ4.5±1.3ナノメータ、5.7±1.2ナノメータおよび7.5±4.5ナノメータであった。
【0039】
さらに、これら3種類の試料間の結晶構造変化を観察した。実施例4乃至6により得られた粉末粒子は室温空気中で酸化し、鉄酸化物ナノ粉末粒子を形成した。実施例4乃至6の3種類の鉄酸化物の結晶構造は、それぞれマグネタイトFe、β―Feおよびβ―Feであった。生成した鉄酸化物ナノ粉末粒子の結晶構造は、粒子径の増大につれて変化した。
【0040】
前記した本発明の様々な実施形態についての詳細な説明は例示の目的でなされたものであり、包括的なものでも、本発明を開示する実施形態に限定するものでもない。当業者ならば、多くの変化させた実施形態や実施形態の変形例が可能であることが明らかである。開示した実施形態を選択して説明したのは、本発明の原理とその応用を説明し、それによって他の当業者に本発明が様々な実施形態を有するとともに意図された特定の用途に適した変形例を有することを理解してもらうのに最適であるためである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲とその均等な発明により定義される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
鉄含有成分を用意する工程と、
コロイド安定化剤を用意する工程と、
前記鉄含有成分と前記コロイド安定化剤とを所定量の水の存在下で接触させて第1の混合物を生成させる工程と、
前記第1の混合物を鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度に加熱する工程と、
前記鉄含有ナノ粉末粒子を前記第1混合物から分離する工程と
を有することを特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、さらに
溶媒成分を用意する工程と、
前記鉄含有成分と前記コロイド安定化成分とを前記溶媒成分の存在下で接触させる工程と
を有することを特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記溶媒成分はベンジルエーテルと、オクチルエーテルと、ジグライムと、トリグライムとからなるグループから選ばれる少なくとも1つの溶媒を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は反応配位子を有する鉄含有化合物を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は鉄とカルボニルを含む化合物とを含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は鉄ペンタカルボニル、ジナトリウムテトラカルボニルフェレート、フェロセンと誘導体、2鉄ノナカルボニル、3鉄ドデカカルボニルおよびプルシャンブルーからなるグループから選ばれる化合物を少なくとも一つ含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記コロイド安定化剤はオレイン酸、リノレイン酸、カルボン酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、長炭素鎖4級アミン塩、長炭素鎖アミン、長炭素鎖チオール、長炭素鎖アルコール、長炭素鎖ホスフィンおよび長炭素鎖ホスフィン酸化物からなるグループから選ばれる化合物を少なくとも一つ含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度は、100℃と400℃との間の温度を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度は、150℃と250℃との間の温度を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が6ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が4ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が2ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分の量に対する用意する水の前記所定量の比率を変化させることにより、前記鉄含有ナノ粉末粒子の粒径を変化させること
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分の量に対する用意する水の前記所定量の比率を増大させることにより、前記鉄含有ナノ粉末粒子の粒径を小さくすること
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項15】
鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
第1の量の鉄含有成分を用意する工程(a)と、
コロイド安定化剤を用意する工程(b)と、
前記鉄含有成分と前記コロイド安定化剤とを接触させて混合物を生成させる工程(c)と、
前記混合物を鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度に加熱する工程(d)と、
前記混合物を室温まで冷却させる工程(e)と、
前記混合物に追加量の鉄含有成分を添加する工程(f)と、
前記工程(d)乃至(f)を所定値が得られるまで、反復して行なう工程(g)と、
鉄含有ナノ粉末粒子を分離する工程(h)と
を有することを特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、さらに
溶媒成分を用意する工程と、
前記鉄含有成分と前記コロイド安定化成分とを前記溶媒成分の存在下で接触させる工程と
を有することを特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記溶媒成分はベンジルエーテルと、オクチルエーテルと、ジグライムと、トリグライムとからなるグループから選ばれる少なくとも1つの溶媒を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項18】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は反応配位子を有する鉄含有化合物を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項19】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は鉄とカルボニルを含む化合物とを含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項20】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有成分は鉄ペンタカルボニル、ジナトリウムテトラカルボニルフェレート、フェロセンと誘導体、2鉄ノナカルボニル、3鉄ドデカカルボニルおよびプルシャンブルーからなるグループから選ばれる化合物を少なくとも一つ含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項21】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記コロイド安定化剤はオレイン酸、リノレイン酸、カルボン酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、長炭素鎖4級アミン塩、長炭素鎖アミン、長炭素鎖チオール、長炭素鎖アルコール、長炭素鎖ホスフィンおよび長炭素鎖ホスフィン酸化物からなるグループから選ばれる化合物を少なくとも一つ含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項22】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度は、100℃と400℃との間の温度を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子の形成に適する温度は、150℃と250℃との間の温度を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項24】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記所定値は、前記鉄含有ナノ粉末粒子が所望の粒径に到達することであること
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項25】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記所定値は、前記鉄含有ナノ粉末粒子の結晶構造が所望の結晶構造になること
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項26】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が8ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項27】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が6ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項28】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記鉄含有ナノ粉末粒子は、粒径が4ナノメータより小さい鉄ナノ粉末粒子を含むこと
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。
【請求項29】
請求項15に記載の鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法であって、
前記工程(d)乃至(f)を反復して行なう回数を調節することにより、前記分離された鉄含有ナノ粉末粒子の粒径を調節すること
を特徴とする鉄含有ナノ粉末粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−512463(P2010−512463A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541509(P2009−541509)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/087045
【国際公開番号】WO2008/073925
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(507388960)ザ・ガバナーズ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・アルバータ (9)
【Fターム(参考)】