鉄道車両の衝突エネルギー吸収体
【課題】上下オフセット衝突時において、車体重量を増大させることなく安定した衝突エネルギー吸収を可能とする。
【解決手段】鉄道車両1の車体2の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体10であって、前後方向に延びる主吸収部11と、主吸収部11の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部12,13と、を備え、一対の副吸収部12,13は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部30,40を介して主吸収部11と一体に設けられている。
【解決手段】鉄道車両1の車体2の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体10であって、前後方向に延びる主吸収部11と、主吸収部11の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部12,13と、を備え、一対の副吸収部12,13は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部30,40を介して主吸収部11と一体に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両の車体台枠の前部に取り付けて、障害物が衝突したときの衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなエネルギー吸収部材は、一般的に中空の柱状部材からなり、その軸線方向を車体前後方向に一致させるように配置される。これにより、障害物の衝突時には、エネルギー吸収部材が軸線方向に蛇腹状に塑性変形して衝突エネルギーを吸収し、車体へ伝達される衝撃が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−286066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、同じ線路を走行する各鉄道車両は、その台枠の高さが略同一の高さになるように設計されているが、車体を支持する台車のバネ系の変位により、走行中の各車両の台枠の高さは走行状態等に応じて変わり得る。そうすると、鉄道車両同士が正面衝突する場合には、その車両間で台枠の高さが異なることにより、互いのエネルギー吸収部材の高さが数10mmほど上下にずれる可能性がある。このような衝突が発生すると、互いに衝突したエネルギー吸収部材が変形中にピッチ方向に傾くなどして、エネルギー吸収性能が低下しうることとなる。(なお以下では、上下方向のズレを伴う正面衝突を「上下オフセット衝突」と称することとする。)
エネルギー吸収性能を上げるためには、上下寸法の大きなエネルギー吸収部材を設けることも考えられるが、単にエネルギー吸収部材の上下寸法を大きくしても、上下オフセット衝突時にエネルギー吸収部材に上下方向に偏った荷重が掛かることにより、エネルギー吸収部材が傾斜変形しえるため、安定したエネルギー吸収が行えない。また、上下寸法の大きなエネルギー吸収部材によれば、衝突時の初期荷重が大きくなることで車体に伝達される衝撃が大きくなるため、車体を強固にする必要が生じ、車体重量が増大してしまう。
【0005】
そこで本発明は、上下オフセット衝突時において、車体重量を増大させることなく安定した衝突エネルギー吸収を可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鉄道車両の衝突エネルギー吸収体は、鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体であって、前後方向に延びる主吸収部と、前記主吸収部の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部と、を備え、前記一対の副吸収部は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部を介して前記主吸収部と一体に設けられている。
【0007】
前記構成によれば、障害物が衝突エネルギー吸収体に対して上側にずれた状態で衝突することで、障害物が下側の副吸収部に衝突せずに主吸収部及び上側の副吸収部に衝突した場合、主吸収部と下側の副吸収部との間が破断予定部で破断されながら主吸収部及び上側の副吸収部が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する衝突エネルギー吸収体の高さ方向の中心は、力学的に見て、(下側の副吸収部を除いた)主吸収部及び上側の副吸収部の両者を合わせた部分の高さ方向の中心とみなすことができる。
【0008】
よって、衝突エネルギー吸収体の全体と障害物との上下方向のオフセット量(ずれ量)に比べて力学的な上下オフセット量を低減することができ、上下オフセット衝突時の衝突エネルギー吸収体の傾斜変形などが抑制される。その結果、上下オフセット衝突時であっても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。なお、障害物が衝突エネルギー吸収体に対して下側にずれた状態で衝突した場合は、主吸収部と上側の副吸収部との間が破断予定部で破断されながら主吸収部及び下側の副吸収部が圧壊しえるため、この場合も同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、上下オフセット衝突が発生しても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体が鉄道車両に取り付けられた状態を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体の側面図である。
【図3】図2の衝突エネルギー吸収体の平面図である。
【図4】図2の衝突エネルギー吸収体の正面図である。
【図5】図2の衝突エネルギー吸収体のV−V線断面図である。
【図6】図2の衝突エネルギー吸収体のVI−VI線断面図である。
【図7】図2の衝突エネルギー吸収体同士による上下オフセット衝突を説明する側面図である。
【図8】(a)〜(e)は実施例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図9】図8の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図10】(a)〜(e)は実施例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図11】図10の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図12】(a)〜(e)は比較例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収部材同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図13】図12の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図14】(a)〜(e)は比較例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収部材同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図15】図14の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体10が鉄道車両1に取り付けられた状態を示す概略平面図である。図1に示すように、高速走行する鉄道車両1では、その先頭車両の車体2の台枠3の前部3aに左右一対の衝突エネルギー吸収体10が前方に向けて突出するように固定されている。これにより、同一線路上を走行する車両同士が正面衝突した場合等には、衝突エネルギー吸収体10が前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーが吸収されることとなる。
【0013】
図2は本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体10の側面図である。図3は図2の衝突エネルギー吸収体10の平面図である。図4は図2の衝突エネルギー吸収体10の正面図である。図5は図2の衝突エネルギー吸収体10のV−V線断面図である。図6は図2の衝突エネルギー吸収体10のVI−VI線断面図である。なお、各図中では、前後方向(車両走行方向)をX、車幅方向をY、上下方向をZとして記載している。
【0014】
図2乃至6に示すように、衝突エネルギー吸収体10は、上下方向(Z方向)及び車幅方向(Y方向)に対称な形状であり、鋼やアルミニウム合金等の金属材料により形成されている。衝突エネルギー吸収体10は、台枠3への固定用のボルト穴14aが所要箇所に形成された基板部14と、基板部14から前方に延びる主吸収部11と、主吸収部11の上側において基板部14から前方に延びる上側副吸収部12と、主吸収部11の下側において基板部14から前方に延びる下側副吸収部13とを備えている。上側副吸収部12及び下側副吸収部13は、後述する破断予定部30,40を介して主吸収部11と一体に設けられている。
【0015】
主吸収部11は、左側壁部11a、右側壁部11b、上壁部11c及び下壁部11dにより内部空間S1を形成して、前方から見た断面が四角枠形状を呈する筒状であり、その軸線が前後方向に向くように配置される。主吸収部11では、左右の側壁部11a,11bが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、上壁部11c及び下壁部11dが略水平に配置されている。
【0016】
上側副吸収部12は、上壁部12a、左側壁部12b及び右側壁部12cを有し、前方から見て逆凹形状の断面を呈している。上側副吸収部12は、その左右の側壁部12b,12cの下端部を主吸収部11に連結することで、主吸収部11の上壁部11cとの間で内部空間S2を形成している。上側副吸収部12では、左右の側壁部12b,12cが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、上壁部12aが略水平に配置されている。即ち、上側副吸収部12の側壁部12b,12cは主吸収部11の側壁部11a,11bと略面一であり、上側副吸収部12の上壁部12aは主吸収部11の上壁部11cと略平行である。
【0017】
上側副吸収部12の左右の側壁部12b,12cは、その下端部において前後方向に交互に配置された複数の凸部12d,12e及び凹部12f,12gを有している。上側副吸収部12は、その凸部12d,12eを主吸収部11に溶接等で固定し、その凹部12f,12gを主吸収部11に固定していない。即ち、主吸収部11と上側副吸収部12とを部分的に連結する連結部Aは前後方向に互いに間隔を開けて複数配置され、複数の連結部Aに挟まれる部分はスリット状の非連結部Bとなる。このようにして、主吸収部11と上側副吸収部12との間には、複数の連結部A及び非連結部Bからなるミシン目状のラインが前後方向に延びるように形成されており、このラインが他の部位に比べて破断し易い破断予定部30となる。なお、破断予定部30は、主吸収部11及び上側副吸収部12の前後方向の全長にわたって略水平に形成されている。
【0018】
下側副吸収部13は、上側副吸収部12に対して上下対称の形状を有している。詳しくは、下側副吸収部13は、下壁部13a、左側壁部13b及び右側壁部13cを有し、前方から見て凹形状の断面を呈している。下側副吸収部13は、その左右の側壁部13b,13cの上端部を主吸収部11に連結することで、主吸収部11の下壁部11dとの間で内部空間S3を形成している。下側副吸収部13は、その左右の側壁部13b,13cが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、その下壁部13aが略水平に配置されている。即ち、下側副吸収部13の側壁部13b,13cは主吸収部11の側壁部11a,11bと略面一であり、下側副吸収部13の下壁部13aは主吸収部11の下壁部11dと略平行である。
【0019】
下側副吸収部13の左右の側壁部13b,13cは、その上端部において前後方向に交互に配置された複数の凸部13d,13e及び凹部13f,13gを有している。下側副吸収部13は、その凸部13d,13eを主吸収部11に溶接等で固定し、その凹部13f,13gを主吸収部11に固定していない。即ち、主吸収部11と下側副吸収部13とを部分的に連結する連結部Aは前後方向に互いに間隔を開けて複数配置され、複数の連結部Aに挟まれる部分はスリット状の非連結部Bとなる。このようにして、主吸収部11と下側副吸収部13との間には、複数の連結部A及び非連結部Bからなるミシン目状のラインが前後方向に延びるように形成されており、このラインが他の部位に比べて破断し易い破断予定部40となる。なお、破断予定部40は、主吸収部11及び下側副吸収部13の前後方向の全長にわたって略水平に形成されている。
【0020】
上側副吸収部12の左右の破断予定部30は、互いに略同一高さに設けられており、下側副吸収部13の左右の破断予定部40は、互いに略同一高さに設けられている。各副吸収部12,13の上下方向の高さは、主吸収部11の上下方向の高さよりも小さい。具体的には、各副吸収部12,13の上下方向のそれぞれの高さは、主吸収部11の上下方向の高さの0.1〜0.3倍(本例では約0.2倍)としている。
【0021】
主吸収部11には、その前部において内部空間S1の前側開口を塞ぐように主前壁15が設けられている。上側副吸収部12には、その前部において内部空間S2を塞ぐように上側副前壁16が設けられている。下側副吸収部13には、その前部において内部空間S3を塞ぐように下側副前壁17が設けられている。主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は互いに空隙Cをあけた状態で配置されている。そして、各副吸収部12,13の各副前壁16,17に連続する前端部分でも、側壁12b,12c,13b,13cの下端は主吸収部11と空隙Cをあけて連結されていない。即ち、副吸収部12,13の前端部は主吸収部11に対して非連結状態となっている。また、副吸収部12,13の前端部の前後方向位置は主吸収部11の前端部の前後方向位置と略同一であり、副吸収部12,13の前後長さは主吸収部11と略同一となっている。主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は略面一となるように配置されている。なお、主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17の前面には、左右に延びるアンチクライマー18〜21が互いに上下に間隔をあけて突設されている。
【0022】
図7は図2の衝突エネルギー吸収体10同士による上下オフセット衝突を説明する側面図である。図7に示すように、例えば、同一線路上を走行する車両同士が正面衝突し、一方の車両の台枠3に固定された衝突エネルギー吸収体10Aに対して他方の車両の衝突エネルギー吸収体10Bが上側にずれた状態で衝突する場合が考えられる。その場合、他方の衝突エネルギー吸収体10Bが一方の衝突エネルギー吸収体10Aの下側副吸収部13に衝突せずに主吸収部11及び上側副吸収部12にのみ衝突しうる。(換言すれば、一方の衝突エネルギー吸収体10Aが他方の衝突エネルギー吸収体10Bの上側副吸収部12に衝突せずに主吸収部11及び下側副吸収部13にのみ衝突しうる。)
そのような上下オフセット衝突時には、一方の衝突エネルギー吸収体10Aは、主吸収部11と下側副吸収部13との間の破断予定部40で破断されながら主吸収部11及び上側副吸収部12が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する一方の衝突エネルギー吸収体10Aの高さ方向の中心は、力学的に見れば、下側副吸収部13を除いた主吸収部11及び上側副吸収部12の両者を合わせた部分の高さ方向の中心P2とみなすことができる。即ち、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10Aの圧壊する部分の力学的な高さ方向中心P2は、衝突エネルギー吸収体10A全体の高さ方向の中心P1に比べて、上側に位置することとなる。
【0023】
また、前記上下オフセット衝突時には、他方の衝突エネルギー吸収体10Bは、主吸収部11と上側副吸収部12との間の破断予定部30で破断されながら主吸収部11及び下側副吸収部13が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する他方の衝突エネルギー吸収体10Bの高さ方向の中心は、力学的に見れば、上側副吸収部12を除いた主吸収部11及び下側副吸収部13の両者を合わせた部分の高さ方向の中心P3とみなすことができる。即ち、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10Bの圧壊する部分の力学的な高さ方向中心P3は、衝突エネルギー吸収体10B全体の高さ方向の中心P1に比べて、下側に位置することとなる。
【0024】
よって、一方の衝突エネルギー吸収体10Aと他方の衝突エネルギー吸収体10Bとの間の構造的な上下オフセット量L1に比べて力学的な上下オフセット量L2を低減することができ、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10A,10Bがピッチ方向へ傾斜するように変形することが抑制される。その結果、上下オフセット衝突の場合であっても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。
【0025】
また、互いに衝突する衝突エネルギー吸収体10A,10B同士の構造的な中心P1の上下オフセット量L1に比べて、衝突エネルギー吸収体10A,10B同士の力学的な中心P2,P3の上下オフセット量L2が低減することで、上下方向成分の反力の発生が抑制され、一方の衝突エネルギー吸収体10Aに他方の衝突エネルギー吸収体10Bが乗り上がることも防止することができる。
【0026】
また、衝突エネルギー吸収体10Aにおいて圧壊する主吸収部11と上側副吸収部12とは、非連結部Bの存在により互いに異なる力学的挙動を示す部分があり、それらが合わさって平均化されることで、全体として衝突エネルギー吸収体10Aの反力の変動を低減することができる。即ち、主吸収部11と上側副吸収部12とは、連結部Aの断面においては一体であるが、非連結部Bの断面においては別体であり、非連結部Bの断面においては主吸収部11と上側副吸収部12とが互いに独立して変形しうる。よって、それらの変形により個々に生じる反力が合成されることで、衝突エネルギー吸収体10Aの全体としての反力の変動を抑制することができる。
【0027】
また、各副吸収部12,13は主吸収部11の上下に設けられており、主吸収部11の圧壊による上下方向への膨出変形が副吸収部12,13により抑えられるため、衝突時における衝突エネルギー吸収体10の反力の変動が更に抑制されると共に、衝突中の平均反力が増加し、衝突エネルギーの吸収効果を安定して向上させるができる。
【0028】
また、主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は互いに空隙Cをあけた状態で配置され、副吸収部12,13の前端部が主吸収部11に連結されていないため、その空隙Cが破断予定部30,40の破断開始点となり、破断予定部30,40に沿った破断が誘発される。また、上下オフセット衝突の初期には上側副前壁16及び下側副前壁17のうち一方は衝突に関与しないが、主前壁15及び各副前壁16,17は略面一であり、主吸収部11及び各副吸収部12,13の前後方向位置は略同一であるため、衝突初期に衝突エネルギー吸収体10に生じる反力が小さくなることが抑制され、その初期反力により破断予定部30,40における破断が誘発される。よって、破断予定部30,40の破断を安定して発生させることができる。
【0029】
また、各副吸収部12,13の上下方向高さが主吸収部11の上下方向高さよりも小さいため、上下オフセット衝突時には、高さの大きい主吸収部11で安定して衝突エネルギーを吸収することができる。しかも、副吸収部12,13の上下方向の高さが小さいため、上下オフセット衝突時における上下オフセット量L1が小さい場合でも、破断予定部30,40の破断を安定して発生させることができる。
【0030】
また、主吸収部11の上壁部11c及び下壁部11dと、上側副吸収部12の上壁部12aと、下側副吸収部13の下壁部13aと、破断予定部30,40とが略水平であるため、同じ衝突エネルギー吸収体10A,10Bを搭載した鉄道車両同士が正面から上下オフセット衝突した場合に、主吸収部11及び片側の副吸収部12,13の圧壊と破断予定部30,40の破断とを適切に発生させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、衝突エネルギー吸収体10にミシン目のように複数の孔(図2の非連結部B)を前後方向に互いに間隔をあけて設けることで破断予定部30,40を形成したが、孔を設けずに主吸収部と副吸収部との間の複数の連結部を前後方向に互いに間隔をあけて設けるようにして破断予定部を形成してもよい。また、破断予定部は隣接する他の部分よりも薄肉とすることで実現してもよい。また、本実施形態では、副吸収体12,13の前端部は主吸収部11に対して離間した状態としたが、副吸収体の前端部が主吸収部に接触した状態でありながら互いに接合されていない状態としてもよい。また、本実施形態の衝突エネルギー吸収体10では、互いに別体である主吸収部11と副吸収部12,13と互いに溶接等で固定しているが、予め一体である部材を加工して衝突エネルギー吸収体を形成してもよい。
【0032】
(衝突解析)
次に、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションによる上下オフセット衝突の解析結果について図8乃至15を参照して説明する(実施例1,2及び比較例1,2)。
【0033】
【表1】
実施例1及び2は、図2乃至7に示した形状の衝突エネルギー吸収体10をメッシュ化した有限要素モデルを解析モデルとして用いた。比較例1及び2は、実施例1,2と外形は同じだが破断予定部が存在しないものを解析モデルとして用いた。実施例1,2及び比較例1,2の各物性値は表1に示す材質のものとした(SMA570はSS400よりも引張強さが大きく強度が高い。)。また、実施例1,2及び比較例1,2では、一方の衝突エネルギー吸収体と他方の衝突エネルギー吸収体とを互いに上下方向にオフセットさせた。その際の上下オフセット量は、一方の衝突エネルギー吸収体の上面が他方の衝突エネルギー吸収体の上側の破断予定部30と略同一高さとなるように設定した。また、実施例1,2及び比較例1,2では、図8,10,12,14中の左側にある衝突エネルギー吸収体の左端を拘束し、同図中の右側にある衝突エネルギー吸収体を同図中の左側に向けて強制変位させて互いに衝突させた。なお、この衝突解析の解析ソルバーには、LS-DYNA Ver.971(Livermore Software Technology Corporation)を用いた。
【0034】
(実施例1)
図8(a)〜(e)は実施例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体110A,110B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図9は図8の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図8に示すように、実施例1の上下オフセット衝突中には、変位量dが大きくなるにつれて、右側の衝突エネルギー吸収体110Aの上側副吸収部12が破断予定部30で破断し、左側の衝突エネルギー吸収体110Bの下側副吸収部13が破断予定部40で破断した。また、衝突エネルギー吸収体110A,110Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜することなく変形した。図9に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では2000kN以上となり、その後に変位量dが増加していく際には1500kNの前後で大きく変動することなく推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力及び上下方向(Z方向)の反力は、あまり発生しなかった。
【0035】
(実施例2)
図10(a)〜(e)は実施例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体210A,210B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図11は図10の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図10に示すように、実施例2では、衝突初期において、右側の衝突エネルギー吸収体210Aの上側副吸収部12の先端側が破断予定部30で破断し、左側の衝突エネルギー吸収体210Bの下側副吸収部13の先端側が破断予定部40で破断した。但し、その後に変位量が増加していく際には、先端側が破断した副吸収部12,13は湾曲して衝突に巻き込まれながら圧壊した。また、衝突エネルギー吸収体210A,210Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜することなく変形した。図11に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では1500kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には1000kNの前後で大きく変動することなく推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力はあまり発生せず、また、衝突中における上下方向(Z方向)の反力は200kNほどをピークに全体的に小さい値となった。
【0036】
(比較例1)
図12(a)〜(e)は比較例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体310A,310B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図13は図12の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図12に示すように、比較例1では、衝突エネルギー吸収体310A,310Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜して変形した。図13に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では2500kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には約500〜2000kNの間で大きく変動しながら推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力はあまり発生しなかったが、衝突中における上下方向(Z方向)の反力は450kNほどになる時もあった。
【0037】
(比較例2)
図14(a)〜(e)は比較例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体410A,410B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図15は図14の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図14に示すように、比較例2では、衝突エネルギー吸収体410A,410Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜しなかったが、上下に急激に隆起する膨出部E1,E2を形成するように変形した。図15に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では1400kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には約300〜1200kNの間で大きく変動しながら推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力及び上下方向(Z方向)の反力は、あまり発生しなかった。
【0038】
(考察)
以上に説明した解析結果から分かるように、比較例1,2のうち強度の高い材料を用いた比較例1では衝突中にピッチ方向に傾斜変形したが、実施例1,2では両者ともピッチ変形することなく、衝突エネルギーが安定して吸収された。また、傾斜変形した比較例1では、衝突中に上下方向(Z方向)の反力が生じていたが、実施例1,2では、衝突中における上下方向(Z方向)の反力が比較例1よりも小さく、互いに衝突したエネルギー吸収体同士の乗り上がりがより好適に防止された。また、比較例1,2では、衝突中の前後方向の反力が大きく変動したが、実施例1,2では、衝突中の前後方向の反力の変動は小さく衝突エネルギーが安定して吸収された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る衝突エネルギー吸収体は、上下オフセット衝突が発生しても車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる鉄道車両に広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0040】
1 鉄道車両
2 車体
10 衝突エネルギー吸収体
11 主吸収部
11c 上壁部
11d 下壁部
12 上側副吸収部
13 下側副吸収部
30,40 破断予定部
A 連結部
B 非連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両の車体台枠の前部に取り付けて、障害物が衝突したときの衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなエネルギー吸収部材は、一般的に中空の柱状部材からなり、その軸線方向を車体前後方向に一致させるように配置される。これにより、障害物の衝突時には、エネルギー吸収部材が軸線方向に蛇腹状に塑性変形して衝突エネルギーを吸収し、車体へ伝達される衝撃が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−286066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、同じ線路を走行する各鉄道車両は、その台枠の高さが略同一の高さになるように設計されているが、車体を支持する台車のバネ系の変位により、走行中の各車両の台枠の高さは走行状態等に応じて変わり得る。そうすると、鉄道車両同士が正面衝突する場合には、その車両間で台枠の高さが異なることにより、互いのエネルギー吸収部材の高さが数10mmほど上下にずれる可能性がある。このような衝突が発生すると、互いに衝突したエネルギー吸収部材が変形中にピッチ方向に傾くなどして、エネルギー吸収性能が低下しうることとなる。(なお以下では、上下方向のズレを伴う正面衝突を「上下オフセット衝突」と称することとする。)
エネルギー吸収性能を上げるためには、上下寸法の大きなエネルギー吸収部材を設けることも考えられるが、単にエネルギー吸収部材の上下寸法を大きくしても、上下オフセット衝突時にエネルギー吸収部材に上下方向に偏った荷重が掛かることにより、エネルギー吸収部材が傾斜変形しえるため、安定したエネルギー吸収が行えない。また、上下寸法の大きなエネルギー吸収部材によれば、衝突時の初期荷重が大きくなることで車体に伝達される衝撃が大きくなるため、車体を強固にする必要が生じ、車体重量が増大してしまう。
【0005】
そこで本発明は、上下オフセット衝突時において、車体重量を増大させることなく安定した衝突エネルギー吸収を可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鉄道車両の衝突エネルギー吸収体は、鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体であって、前後方向に延びる主吸収部と、前記主吸収部の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部と、を備え、前記一対の副吸収部は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部を介して前記主吸収部と一体に設けられている。
【0007】
前記構成によれば、障害物が衝突エネルギー吸収体に対して上側にずれた状態で衝突することで、障害物が下側の副吸収部に衝突せずに主吸収部及び上側の副吸収部に衝突した場合、主吸収部と下側の副吸収部との間が破断予定部で破断されながら主吸収部及び上側の副吸収部が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する衝突エネルギー吸収体の高さ方向の中心は、力学的に見て、(下側の副吸収部を除いた)主吸収部及び上側の副吸収部の両者を合わせた部分の高さ方向の中心とみなすことができる。
【0008】
よって、衝突エネルギー吸収体の全体と障害物との上下方向のオフセット量(ずれ量)に比べて力学的な上下オフセット量を低減することができ、上下オフセット衝突時の衝突エネルギー吸収体の傾斜変形などが抑制される。その結果、上下オフセット衝突時であっても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。なお、障害物が衝突エネルギー吸収体に対して下側にずれた状態で衝突した場合は、主吸収部と上側の副吸収部との間が破断予定部で破断されながら主吸収部及び下側の副吸収部が圧壊しえるため、この場合も同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、上下オフセット衝突が発生しても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体が鉄道車両に取り付けられた状態を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体の側面図である。
【図3】図2の衝突エネルギー吸収体の平面図である。
【図4】図2の衝突エネルギー吸収体の正面図である。
【図5】図2の衝突エネルギー吸収体のV−V線断面図である。
【図6】図2の衝突エネルギー吸収体のVI−VI線断面図である。
【図7】図2の衝突エネルギー吸収体同士による上下オフセット衝突を説明する側面図である。
【図8】(a)〜(e)は実施例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図9】図8の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図10】(a)〜(e)は実施例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図11】図10の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図12】(a)〜(e)は比較例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収部材同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図13】図12の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【図14】(a)〜(e)は比較例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収部材同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。
【図15】図14の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体10が鉄道車両1に取り付けられた状態を示す概略平面図である。図1に示すように、高速走行する鉄道車両1では、その先頭車両の車体2の台枠3の前部3aに左右一対の衝突エネルギー吸収体10が前方に向けて突出するように固定されている。これにより、同一線路上を走行する車両同士が正面衝突した場合等には、衝突エネルギー吸収体10が前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーが吸収されることとなる。
【0013】
図2は本発明の実施形態に係る衝突エネルギー吸収体10の側面図である。図3は図2の衝突エネルギー吸収体10の平面図である。図4は図2の衝突エネルギー吸収体10の正面図である。図5は図2の衝突エネルギー吸収体10のV−V線断面図である。図6は図2の衝突エネルギー吸収体10のVI−VI線断面図である。なお、各図中では、前後方向(車両走行方向)をX、車幅方向をY、上下方向をZとして記載している。
【0014】
図2乃至6に示すように、衝突エネルギー吸収体10は、上下方向(Z方向)及び車幅方向(Y方向)に対称な形状であり、鋼やアルミニウム合金等の金属材料により形成されている。衝突エネルギー吸収体10は、台枠3への固定用のボルト穴14aが所要箇所に形成された基板部14と、基板部14から前方に延びる主吸収部11と、主吸収部11の上側において基板部14から前方に延びる上側副吸収部12と、主吸収部11の下側において基板部14から前方に延びる下側副吸収部13とを備えている。上側副吸収部12及び下側副吸収部13は、後述する破断予定部30,40を介して主吸収部11と一体に設けられている。
【0015】
主吸収部11は、左側壁部11a、右側壁部11b、上壁部11c及び下壁部11dにより内部空間S1を形成して、前方から見た断面が四角枠形状を呈する筒状であり、その軸線が前後方向に向くように配置される。主吸収部11では、左右の側壁部11a,11bが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、上壁部11c及び下壁部11dが略水平に配置されている。
【0016】
上側副吸収部12は、上壁部12a、左側壁部12b及び右側壁部12cを有し、前方から見て逆凹形状の断面を呈している。上側副吸収部12は、その左右の側壁部12b,12cの下端部を主吸収部11に連結することで、主吸収部11の上壁部11cとの間で内部空間S2を形成している。上側副吸収部12では、左右の側壁部12b,12cが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、上壁部12aが略水平に配置されている。即ち、上側副吸収部12の側壁部12b,12cは主吸収部11の側壁部11a,11bと略面一であり、上側副吸収部12の上壁部12aは主吸収部11の上壁部11cと略平行である。
【0017】
上側副吸収部12の左右の側壁部12b,12cは、その下端部において前後方向に交互に配置された複数の凸部12d,12e及び凹部12f,12gを有している。上側副吸収部12は、その凸部12d,12eを主吸収部11に溶接等で固定し、その凹部12f,12gを主吸収部11に固定していない。即ち、主吸収部11と上側副吸収部12とを部分的に連結する連結部Aは前後方向に互いに間隔を開けて複数配置され、複数の連結部Aに挟まれる部分はスリット状の非連結部Bとなる。このようにして、主吸収部11と上側副吸収部12との間には、複数の連結部A及び非連結部Bからなるミシン目状のラインが前後方向に延びるように形成されており、このラインが他の部位に比べて破断し易い破断予定部30となる。なお、破断予定部30は、主吸収部11及び上側副吸収部12の前後方向の全長にわたって略水平に形成されている。
【0018】
下側副吸収部13は、上側副吸収部12に対して上下対称の形状を有している。詳しくは、下側副吸収部13は、下壁部13a、左側壁部13b及び右側壁部13cを有し、前方から見て凹形状の断面を呈している。下側副吸収部13は、その左右の側壁部13b,13cの上端部を主吸収部11に連結することで、主吸収部11の下壁部11dとの間で内部空間S3を形成している。下側副吸収部13は、その左右の側壁部13b,13cが基板部14から前方にいくにつれて互いに近づくように傾斜配置されており、その下壁部13aが略水平に配置されている。即ち、下側副吸収部13の側壁部13b,13cは主吸収部11の側壁部11a,11bと略面一であり、下側副吸収部13の下壁部13aは主吸収部11の下壁部11dと略平行である。
【0019】
下側副吸収部13の左右の側壁部13b,13cは、その上端部において前後方向に交互に配置された複数の凸部13d,13e及び凹部13f,13gを有している。下側副吸収部13は、その凸部13d,13eを主吸収部11に溶接等で固定し、その凹部13f,13gを主吸収部11に固定していない。即ち、主吸収部11と下側副吸収部13とを部分的に連結する連結部Aは前後方向に互いに間隔を開けて複数配置され、複数の連結部Aに挟まれる部分はスリット状の非連結部Bとなる。このようにして、主吸収部11と下側副吸収部13との間には、複数の連結部A及び非連結部Bからなるミシン目状のラインが前後方向に延びるように形成されており、このラインが他の部位に比べて破断し易い破断予定部40となる。なお、破断予定部40は、主吸収部11及び下側副吸収部13の前後方向の全長にわたって略水平に形成されている。
【0020】
上側副吸収部12の左右の破断予定部30は、互いに略同一高さに設けられており、下側副吸収部13の左右の破断予定部40は、互いに略同一高さに設けられている。各副吸収部12,13の上下方向の高さは、主吸収部11の上下方向の高さよりも小さい。具体的には、各副吸収部12,13の上下方向のそれぞれの高さは、主吸収部11の上下方向の高さの0.1〜0.3倍(本例では約0.2倍)としている。
【0021】
主吸収部11には、その前部において内部空間S1の前側開口を塞ぐように主前壁15が設けられている。上側副吸収部12には、その前部において内部空間S2を塞ぐように上側副前壁16が設けられている。下側副吸収部13には、その前部において内部空間S3を塞ぐように下側副前壁17が設けられている。主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は互いに空隙Cをあけた状態で配置されている。そして、各副吸収部12,13の各副前壁16,17に連続する前端部分でも、側壁12b,12c,13b,13cの下端は主吸収部11と空隙Cをあけて連結されていない。即ち、副吸収部12,13の前端部は主吸収部11に対して非連結状態となっている。また、副吸収部12,13の前端部の前後方向位置は主吸収部11の前端部の前後方向位置と略同一であり、副吸収部12,13の前後長さは主吸収部11と略同一となっている。主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は略面一となるように配置されている。なお、主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17の前面には、左右に延びるアンチクライマー18〜21が互いに上下に間隔をあけて突設されている。
【0022】
図7は図2の衝突エネルギー吸収体10同士による上下オフセット衝突を説明する側面図である。図7に示すように、例えば、同一線路上を走行する車両同士が正面衝突し、一方の車両の台枠3に固定された衝突エネルギー吸収体10Aに対して他方の車両の衝突エネルギー吸収体10Bが上側にずれた状態で衝突する場合が考えられる。その場合、他方の衝突エネルギー吸収体10Bが一方の衝突エネルギー吸収体10Aの下側副吸収部13に衝突せずに主吸収部11及び上側副吸収部12にのみ衝突しうる。(換言すれば、一方の衝突エネルギー吸収体10Aが他方の衝突エネルギー吸収体10Bの上側副吸収部12に衝突せずに主吸収部11及び下側副吸収部13にのみ衝突しうる。)
そのような上下オフセット衝突時には、一方の衝突エネルギー吸収体10Aは、主吸収部11と下側副吸収部13との間の破断予定部40で破断されながら主吸収部11及び上側副吸収部12が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する一方の衝突エネルギー吸収体10Aの高さ方向の中心は、力学的に見れば、下側副吸収部13を除いた主吸収部11及び上側副吸収部12の両者を合わせた部分の高さ方向の中心P2とみなすことができる。即ち、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10Aの圧壊する部分の力学的な高さ方向中心P2は、衝突エネルギー吸収体10A全体の高さ方向の中心P1に比べて、上側に位置することとなる。
【0023】
また、前記上下オフセット衝突時には、他方の衝突エネルギー吸収体10Bは、主吸収部11と上側副吸収部12との間の破断予定部30で破断されながら主吸収部11及び下側副吸収部13が圧壊しうる。そうすると、この衝突現象において圧壊する他方の衝突エネルギー吸収体10Bの高さ方向の中心は、力学的に見れば、上側副吸収部12を除いた主吸収部11及び下側副吸収部13の両者を合わせた部分の高さ方向の中心P3とみなすことができる。即ち、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10Bの圧壊する部分の力学的な高さ方向中心P3は、衝突エネルギー吸収体10B全体の高さ方向の中心P1に比べて、下側に位置することとなる。
【0024】
よって、一方の衝突エネルギー吸収体10Aと他方の衝突エネルギー吸収体10Bとの間の構造的な上下オフセット量L1に比べて力学的な上下オフセット量L2を低減することができ、上下オフセット衝突時において衝突エネルギー吸収体10A,10Bがピッチ方向へ傾斜するように変形することが抑制される。その結果、上下オフセット衝突の場合であっても、車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる。
【0025】
また、互いに衝突する衝突エネルギー吸収体10A,10B同士の構造的な中心P1の上下オフセット量L1に比べて、衝突エネルギー吸収体10A,10B同士の力学的な中心P2,P3の上下オフセット量L2が低減することで、上下方向成分の反力の発生が抑制され、一方の衝突エネルギー吸収体10Aに他方の衝突エネルギー吸収体10Bが乗り上がることも防止することができる。
【0026】
また、衝突エネルギー吸収体10Aにおいて圧壊する主吸収部11と上側副吸収部12とは、非連結部Bの存在により互いに異なる力学的挙動を示す部分があり、それらが合わさって平均化されることで、全体として衝突エネルギー吸収体10Aの反力の変動を低減することができる。即ち、主吸収部11と上側副吸収部12とは、連結部Aの断面においては一体であるが、非連結部Bの断面においては別体であり、非連結部Bの断面においては主吸収部11と上側副吸収部12とが互いに独立して変形しうる。よって、それらの変形により個々に生じる反力が合成されることで、衝突エネルギー吸収体10Aの全体としての反力の変動を抑制することができる。
【0027】
また、各副吸収部12,13は主吸収部11の上下に設けられており、主吸収部11の圧壊による上下方向への膨出変形が副吸収部12,13により抑えられるため、衝突時における衝突エネルギー吸収体10の反力の変動が更に抑制されると共に、衝突中の平均反力が増加し、衝突エネルギーの吸収効果を安定して向上させるができる。
【0028】
また、主前壁15、上側副前壁16及び下側副前壁17は互いに空隙Cをあけた状態で配置され、副吸収部12,13の前端部が主吸収部11に連結されていないため、その空隙Cが破断予定部30,40の破断開始点となり、破断予定部30,40に沿った破断が誘発される。また、上下オフセット衝突の初期には上側副前壁16及び下側副前壁17のうち一方は衝突に関与しないが、主前壁15及び各副前壁16,17は略面一であり、主吸収部11及び各副吸収部12,13の前後方向位置は略同一であるため、衝突初期に衝突エネルギー吸収体10に生じる反力が小さくなることが抑制され、その初期反力により破断予定部30,40における破断が誘発される。よって、破断予定部30,40の破断を安定して発生させることができる。
【0029】
また、各副吸収部12,13の上下方向高さが主吸収部11の上下方向高さよりも小さいため、上下オフセット衝突時には、高さの大きい主吸収部11で安定して衝突エネルギーを吸収することができる。しかも、副吸収部12,13の上下方向の高さが小さいため、上下オフセット衝突時における上下オフセット量L1が小さい場合でも、破断予定部30,40の破断を安定して発生させることができる。
【0030】
また、主吸収部11の上壁部11c及び下壁部11dと、上側副吸収部12の上壁部12aと、下側副吸収部13の下壁部13aと、破断予定部30,40とが略水平であるため、同じ衝突エネルギー吸収体10A,10Bを搭載した鉄道車両同士が正面から上下オフセット衝突した場合に、主吸収部11及び片側の副吸収部12,13の圧壊と破断予定部30,40の破断とを適切に発生させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、衝突エネルギー吸収体10にミシン目のように複数の孔(図2の非連結部B)を前後方向に互いに間隔をあけて設けることで破断予定部30,40を形成したが、孔を設けずに主吸収部と副吸収部との間の複数の連結部を前後方向に互いに間隔をあけて設けるようにして破断予定部を形成してもよい。また、破断予定部は隣接する他の部分よりも薄肉とすることで実現してもよい。また、本実施形態では、副吸収体12,13の前端部は主吸収部11に対して離間した状態としたが、副吸収体の前端部が主吸収部に接触した状態でありながら互いに接合されていない状態としてもよい。また、本実施形態の衝突エネルギー吸収体10では、互いに別体である主吸収部11と副吸収部12,13と互いに溶接等で固定しているが、予め一体である部材を加工して衝突エネルギー吸収体を形成してもよい。
【0032】
(衝突解析)
次に、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションによる上下オフセット衝突の解析結果について図8乃至15を参照して説明する(実施例1,2及び比較例1,2)。
【0033】
【表1】
実施例1及び2は、図2乃至7に示した形状の衝突エネルギー吸収体10をメッシュ化した有限要素モデルを解析モデルとして用いた。比較例1及び2は、実施例1,2と外形は同じだが破断予定部が存在しないものを解析モデルとして用いた。実施例1,2及び比較例1,2の各物性値は表1に示す材質のものとした(SMA570はSS400よりも引張強さが大きく強度が高い。)。また、実施例1,2及び比較例1,2では、一方の衝突エネルギー吸収体と他方の衝突エネルギー吸収体とを互いに上下方向にオフセットさせた。その際の上下オフセット量は、一方の衝突エネルギー吸収体の上面が他方の衝突エネルギー吸収体の上側の破断予定部30と略同一高さとなるように設定した。また、実施例1,2及び比較例1,2では、図8,10,12,14中の左側にある衝突エネルギー吸収体の左端を拘束し、同図中の右側にある衝突エネルギー吸収体を同図中の左側に向けて強制変位させて互いに衝突させた。なお、この衝突解析の解析ソルバーには、LS-DYNA Ver.971(Livermore Software Technology Corporation)を用いた。
【0034】
(実施例1)
図8(a)〜(e)は実施例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体110A,110B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図9は図8の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図8に示すように、実施例1の上下オフセット衝突中には、変位量dが大きくなるにつれて、右側の衝突エネルギー吸収体110Aの上側副吸収部12が破断予定部30で破断し、左側の衝突エネルギー吸収体110Bの下側副吸収部13が破断予定部40で破断した。また、衝突エネルギー吸収体110A,110Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜することなく変形した。図9に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では2000kN以上となり、その後に変位量dが増加していく際には1500kNの前後で大きく変動することなく推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力及び上下方向(Z方向)の反力は、あまり発生しなかった。
【0035】
(実施例2)
図10(a)〜(e)は実施例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体210A,210B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図11は図10の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図10に示すように、実施例2では、衝突初期において、右側の衝突エネルギー吸収体210Aの上側副吸収部12の先端側が破断予定部30で破断し、左側の衝突エネルギー吸収体210Bの下側副吸収部13の先端側が破断予定部40で破断した。但し、その後に変位量が増加していく際には、先端側が破断した副吸収部12,13は湾曲して衝突に巻き込まれながら圧壊した。また、衝突エネルギー吸収体210A,210Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜することなく変形した。図11に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では1500kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には1000kNの前後で大きく変動することなく推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力はあまり発生せず、また、衝突中における上下方向(Z方向)の反力は200kNほどをピークに全体的に小さい値となった。
【0036】
(比較例1)
図12(a)〜(e)は比較例1において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体310A,310B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図13は図12の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図12に示すように、比較例1では、衝突エネルギー吸収体310A,310Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜して変形した。図13に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では2500kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には約500〜2000kNの間で大きく変動しながら推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力はあまり発生しなかったが、衝突中における上下方向(Z方向)の反力は450kNほどになる時もあった。
【0037】
(比較例2)
図14(a)〜(e)は比較例2において有限要素解析により衝突エネルギー吸収体410A,410B同士を上下オフセット衝突させたときの変形挙動を示す側面図である。図15は図14の衝突時における反力の変位量に応じた変化を示すグラフである。図14に示すように、比較例2では、衝突エネルギー吸収体410A,410Bは、衝突中にピッチ方向に傾斜しなかったが、上下に急激に隆起する膨出部E1,E2を形成するように変形した。図15に示すように、衝突中における前後方向(X方向)の反力は、衝突初期では1400kN程となり、その後に変位量dが増加していく際には約300〜1200kNの間で大きく変動しながら推移した。衝突中における車幅方向(Y方向)の反力及び上下方向(Z方向)の反力は、あまり発生しなかった。
【0038】
(考察)
以上に説明した解析結果から分かるように、比較例1,2のうち強度の高い材料を用いた比較例1では衝突中にピッチ方向に傾斜変形したが、実施例1,2では両者ともピッチ変形することなく、衝突エネルギーが安定して吸収された。また、傾斜変形した比較例1では、衝突中に上下方向(Z方向)の反力が生じていたが、実施例1,2では、衝突中における上下方向(Z方向)の反力が比較例1よりも小さく、互いに衝突したエネルギー吸収体同士の乗り上がりがより好適に防止された。また、比較例1,2では、衝突中の前後方向の反力が大きく変動したが、実施例1,2では、衝突中の前後方向の反力の変動は小さく衝突エネルギーが安定して吸収された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る衝突エネルギー吸収体は、上下オフセット衝突が発生しても車体重量を増大させることなく安定したエネルギー吸収が可能となる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる鉄道車両に広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0040】
1 鉄道車両
2 車体
10 衝突エネルギー吸収体
11 主吸収部
11c 上壁部
11d 下壁部
12 上側副吸収部
13 下側副吸収部
30,40 破断予定部
A 連結部
B 非連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体であって、
前後方向に延びる主吸収部と、
前記主吸収部の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部と、を備え、
前記一対の副吸収部は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部を介して前記主吸収部と一体に設けられている、鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項2】
前記破断予定部は、前記副吸収部と前記主吸収部とを部分的に連結する連結部を前後方向に互いに間隔を開けて複数配置することで形成されている、請求項1に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項3】
前記主吸収部は、前後方向に延びる筒状部を有し、
上側の前記副吸収部は、前記筒状部の上壁部との間で空間を形成するように前記筒状部に連結され、
下側の前記副吸収部は、前記筒状部の下壁部との間で空間を形成するように前記筒状部に連結されている、請求項1又は2に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項4】
上側の前記副吸収部は、前方から見て逆凹形状の断面を有し、
下側の前記副吸収部は、前方から見て凹形状の断面を有し、
前記破断予定部は、前記副吸収部のうち前記主吸収体に対向する左右の端部をそれぞれ前記主吸収体に対して、前後方向に互いに間隔を開けて複数箇所を固定することで形成されている、請求項3に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項5】
前記副吸収部の前端部は、前記主吸収部に対して非連結状態で設けられている、請求項1乃至4のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項6】
前記副吸収部の前端部の前後方向位置は、前記主吸収部の前端部の前後方向位置と略同一である、請求項1乃至5のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項7】
前記副吸収部の上下方向の高さは、前記主吸収部の上下方向の高さよりも小さい、請求項1乃至6のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項8】
前記衝突エネルギー吸収体の上壁部及び下壁部は略水平に形成され、かつ、前記破断予定部は略水平に形成されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項1】
鉄道車両の車体の前部に設けられ、前方からの荷重で圧壊して衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収体であって、
前後方向に延びる主吸収部と、
前記主吸収部の上下にそれぞれ設けられた一対の副吸収部と、を備え、
前記一対の副吸収部は、それぞれ前後方向に延びる破断予定部を介して前記主吸収部と一体に設けられている、鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項2】
前記破断予定部は、前記副吸収部と前記主吸収部とを部分的に連結する連結部を前後方向に互いに間隔を開けて複数配置することで形成されている、請求項1に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項3】
前記主吸収部は、前後方向に延びる筒状部を有し、
上側の前記副吸収部は、前記筒状部の上壁部との間で空間を形成するように前記筒状部に連結され、
下側の前記副吸収部は、前記筒状部の下壁部との間で空間を形成するように前記筒状部に連結されている、請求項1又は2に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項4】
上側の前記副吸収部は、前方から見て逆凹形状の断面を有し、
下側の前記副吸収部は、前方から見て凹形状の断面を有し、
前記破断予定部は、前記副吸収部のうち前記主吸収体に対向する左右の端部をそれぞれ前記主吸収体に対して、前後方向に互いに間隔を開けて複数箇所を固定することで形成されている、請求項3に記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項5】
前記副吸収部の前端部は、前記主吸収部に対して非連結状態で設けられている、請求項1乃至4のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項6】
前記副吸収部の前端部の前後方向位置は、前記主吸収部の前端部の前後方向位置と略同一である、請求項1乃至5のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項7】
前記副吸収部の上下方向の高さは、前記主吸収部の上下方向の高さよりも小さい、請求項1乃至6のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【請求項8】
前記衝突エネルギー吸収体の上壁部及び下壁部は略水平に形成され、かつ、前記破断予定部は略水平に形成されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の鉄道車両の衝突エネルギー吸収体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【公開番号】特開2012−106685(P2012−106685A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258536(P2010−258536)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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