説明

鉱滓の造粒助剤

【課題】従来のバインダーよりも鉱滓の造粒効率を大幅に向上させることが可能な造粒助剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
(i)一般式(1)で表される単量体と、(ii)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体と、を必須成分として重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴とする造粒助剤である。これにより、従来のバインダーを用いる場合よりも鉱滓の造粒効率を大幅に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状肥料等の製造に用いられる鉱滓を効率的に造粒する造粒助剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄工業や非鉄金属工業の副産物である鉱滓、特に高炉スラグ(高炉滓)、転炉スラグ(転炉滓)等は、植物へのケイ酸カルシウム供給原料として古くより肥料の主原料として使用されている。これらの鉱滓は、省力化、施肥機の普及、取り扱いの容易さなどの理由から、造粒して使用されることが多い。
【0003】
従来の技術では、鉱滓に別途バインダーを添加して鉱滓の造粒効率を向上させることが試みられている。バインダーとしては、例えば、廃糖蜜、CMC、澱粉、石膏、アルギン酸ソーダ、リグニンスルホン酸またはその塩と廃糖蜜または廃糖蜜発酵廃液とを混合した造粒剤(特許文献1)、亜硫酸パルプ蒸解排液の熱アルカリ処理液とクラフトパルプ蒸解排液とを含むリグニン系造粒剤(特許文献2)等が用いられている。
【特許文献1】特開平7−277868号公報
【特許文献2】特開2003−277177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような、鉱滓にバインダーを添加して造粒を行う技術では、造粒されずに粉体のまま残存してしまう鉱滓が多いため、造粒効率が未だ十分ではないという問題がある。したがって、造粒物の収率が低く、それが粒状肥料等の生産コストの上昇を招いているという問題も有する。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のバインダーよりも大幅に鉱滓の造粒効率を向上させることが可能な造粒助剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のように、鉱滓にバインダーを添加する従来の技術では、十分な造粒効率を得ることができない。そこで、本発明者は、バインダーを添加するのではなく、鉱滓の微粉を分散安定化させることにより、造粒時の鉱滓の接触面積を増加させれば、造粒効率を向上させることができるであろうという着想を得るに至った。そして、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す造粒助剤が鉱滓の造粒効率を著しく高めうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、(i)一般式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、または−CHCOOH基、−COOH基もしくはその塩を表し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Xは−CH−基、−CHCH−基、−CH(CH)CH−基、ケトン基、−OCH−基、−OCHCH−基、−OCHCHCH−基または−OCHCHCHCH−基、を表し、Rは水素原子、炭素数1以上30以下のアルキル基、またはアリール基を表し、nは3以上300以下の整数を表す)で表される単量体と、(ii)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体と、を必須成分として重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴とする造粒助剤であることを特徴としている。
【0009】
上記造粒助剤は、後述する実施例に示すように、従来のバインダーよりも非常に少ない量で鉱滓の造粒効率を向上させることができるので、バインダーとして作用するというよりはむしろ、鉱滓の微粉を分散安定化させることにより、造粒時の鉱滓の接触面積を増加させることができるものと推測される。本発明に係る造粒助剤は、係る作用機構により、鉱滓の造粒効率を高めることができるものと考えられる。
【0010】
また、本発明に係る造粒助剤は、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とが合計50質量%以上100質量%以下となるように、上記(i)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下、上記(ii)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下用い、これらの単量体を重合することによって得られる高分子化合物を含有することが好ましい。上記構成によれば、請求項1に係る造粒助剤の原料である高分子化合物が、必須成分である単量体をバランスよく含むものとなる。したがって、高い造粒効率を有する造粒助剤を得ることができる。
【0011】
また、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、高分子化合物の構造を単純化することが可能となるので、造粒効果を有する高分子化合物をより容易に合成することが可能となる。したがって、より安価に造粒助剤を得ることができる。
【0013】
また、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
一般式(2)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1以上30以下のアルキル基、又はアリール基を示し、Zは酸素原子、−NHC(=O)−、ケトン基または−C(=O)O−を表し、Yは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、mは3以上300以下の整数を表す)で示される化合物と、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、を含むことを特徴としている。
【0016】
一般式(2)で示される化合物は、分散した粉体を効率よく繋ぎ止める、いわゆるバインダーとしての効果を有する。したがって、上記構成によれば造粒効率をさらに向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、上記アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、従来公知のバインダーとが、質量比で1:1以上1:50以下で混合されていることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、上記高分子化合物と、市販のバインダーとを併用することができ、しかも高い造粒効率を得ることができる。したがって、造粒助剤の製造コストを下げつつ、鉱滓の造粒効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る造粒助剤は、さらに、水を含有することが好ましい。水を含有させることにより、造粒助剤に流動性を持たせることができるので、造粒助剤を鉱滓全体に行き渡りやすくさせることができる。したがって、造粒をより効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る造粒助剤は、以上のように、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
(i)一般式(1)
【0021】
【化3】

【0022】
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、または−CHCOOH基、−COOH基もしくはその塩を表し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Xは−CH−基、−CHCH−基、−CH(CH)CH−基、ケトン基、−OCH−基、−OCHCH−基、−OCHCHCH−基または−OCHCHCHCH−基、を表し、Rは水素原子、炭素数1以上30以下のアルキル基、またはアリール基を表し、nは3以上300以下の整数を表す)で表される単量体と、(ii)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体と、を必須成分として重合することによって得られる高分子化合物を含有する構成であるため、鉱滓の微粉を分散安定化させることにより、造粒時の鉱滓の接触面積を増加させることができるものと推測される。それゆえ、本発明に係る造粒助剤は、従来のバインダーよりも鉱滓の造粒効率を著しく高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得るものである。
【0024】
一実施形態において、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
(i)一般式(1)で表される単量体と、(ii)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体と、を必須成分として重合することによって得られる高分子化合物を含有する。
【0025】
本明細書において、用語「鉱滓」は、スラグと同義であり、乾式製錬工程から排出される酸化物融液またはその凝固体のことである(理化学辞典第4版669頁、岩波書店)。鉱滓は、炉内で目的金属から分離された鉱石中の脈石成分や燃料中の灰分を主体としているが、融点の低下と流動性の改善のために加えられる融材を含んでいてもよい。また、鉱滓には、塩化カルシウム、消石灰、石灰窒素、過燐酸石灰、石灰石、炭酸カルシウム、貝殻等のカルシウム含有化合物、リン安、燐酸等のリン含有化合物、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等のカリウム含有化合物、尿素、硫安、硝安、等を添加しても良い。
【0026】
鉱滓の種類としては、特に限定されるものではない。例えば、高炉スラグ、製鋼スラグのいずれであってもよく、高炉スラグは徐冷スラグであっても水砕スラグであってもよい。また、製鋼スラグとしては、転炉スラグであっても電気炉スラグであってもよく、電気炉スラグとしては、酸化スラグであっても還元スラグであってもよい。なお、これらの鉱滓は、1種類のみ用いてもよいし、複数種の鉱滓を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明では、高炉スラグおよび/または転炉スラグが好ましく用いられる。これらのスラグは、古くから粒状肥料の主原料として使用されているため、造粒効率を向上させる意義が大きい。高炉スラグと転炉スラグとを併用する場合、高炉スラグと転炉スラグの合計の含有量としては、鉱滓を必須成分とする組成物(例えば肥料原料等)の質量に対して30質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
【0028】
一般式(1)で表される単量体としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノメタアクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体;アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体;無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加させたマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル;4−ヒドロキシブチルビニルエーテルや、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のヒドロキシビニルエーテル類にエチレンオキサイドを付加してなる単量体;等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。これらの単量体は、一種類または二種類以上を使用することができる。
【0029】
一般式(1)の化合物が有するポリアルキレングリコール鎖は、分子量440以上6400以下であることが好ましく、880以上4400以下であることが更に好ましい。上記ポリアルキレングリコール鎖は、ポリエチレングリコール鎖であることが好ましい。
【0030】
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体についても、一種類または二種類以上を使用することができる。上記塩としては、特に限定されるものではない。例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ヒドロキシアンモニウム塩、アミン塩、アルキルアミン塩等を用いることができる。
【0031】
本実施形態に係る造粒助剤は、上記(i)で表される単量体(一般式(1)で表される単量体)と、上記(ii)で表される単量体と、を必須成分として重合することによって得られた高分子化合物を含有する。
【0032】
これらの単量体が必須成分として用いられていれば、単量体の使用量としては特に限定されるものではないが、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とが、重合に用いる全単量体中、合計50質量%以上100質量%以下となるように、上記(i)で表される単量体を1質量%以上99質量%以下、上記(ii)で表される単量体を1質量%以上99質量%以下用いることが好ましい。また、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とが、重合に用いる全単量体中、合計50質量%以上100質量%以下となるように、上記(i)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下、上記(ii)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下用いると、得られる造粒助剤の造粒効率を高めることができるため、さらに好ましい。
【0033】
ただし、これに限られるものではなく、本実施形態に係る造粒助剤の原料である上記高分子化合物は、上記(i)で表される単量体および上記(ii)で表される単量体のみを重合させたものであってもよいし、上記(i)および上記(ii)で表される単量体以外の単量体をさらに重合させたものであってもよい。
【0034】
上記(i)および上記(ii)で表される単量体の他に重合可能な単量体(以下便宜上「単量体A」という)としては、例えば、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体などを挙げることができる。
【0035】
上記単量体Aの使用量は、重合に用いる全単量体中50質量%未満であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
単量体を重合する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合法を用いることができる。例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法等を採用することができる。これらの中でも、重合コスト(生産コスト)の低減及び安全性等の観点から、水溶液重合法が好ましい。
【0037】
重合の態様は特に限定されるものではなく、ラジカル重合であってもイオン重合であってもよい。また、重合を開始させるためには、例えば、重合開始剤、あるいは放射線や電子線、紫外線、電磁線などの活性化エネルギー線、熱などを用いることができる。
【0038】
上記ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、熱、光又は酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であればよい。また、水溶液重合法により重合を行う場合には、水溶性を備えた重合開始剤を用いることが好ましい。
【0039】
ラジカル重合の重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等の光分解型開始剤;過酸化水素及びアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びロンガリット、過硫酸カリウム及び金属塩、過硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤が好適である。
【0040】
イオン重合は、カチオン重合であってもアニオン重合であってもよい。特に限定されるものではないが、カチオン重合の開始剤としては、硫酸のようなプロトン酸や、BF、AlCl,TiCl等のルイス酸などを用いることができる。また、アニオン重合の開始剤としては、例えばアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリアルコラート、ピリジン等の塩基性化合物を用いることができる。
【0041】
これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量としては、単量体成分の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0042】
重合する際には、分子量の調節を目的として、連鎖移動剤を用いることもできる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の連鎖移動係数の高い化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量としては、重合に用いる全単量体成分1molに対し、0.005mol以上とすることが好ましく、また、0.15mol以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.01mol以上であり、また、0.1mol以下である。
【0043】
一実施形態において、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体(以下便宜上「単量体B」という)を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物を含有する。
【0044】
他に重合可能な単量体としては、上記(i)で表される単量体や、上記単量体A等が挙げられ、その使用量としては、全単量体中50質量%未満であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。上記単量体Bは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種の単量体を100質量%含む単量体、すなわち単一成分からなる単量体であってもよい。
【0045】
なお、上記「酸型換算」とは、塩について、対応する酸として質量%を計算することを意味する。例えば、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム等は、酸型のアクリル酸として質量%を計算する。すなわち、−COONa,−COOK,−COONH,−COOH等はすべて−COOHとして計算する。
【0046】
上記重合の結果得られた高分子化合物は、本発明に係る造粒助剤の原料として用いることができる。すなわち、本発明に係る造粒助剤は、上記高分子化合物を必須成分として含んでおり、上記高分子化合物は、(i)で表される単量体および(ii)で表される単量体、または(ii)で表される単量体を構成単位として含んでいる。上記高分子化合物の分子量としては、特に限定されるものではないが、鉱滓の分散安定化に優れるため、重量平均分子量が1000以上100万以下であることが好ましく、1500以上10万以下であることがさらに好ましい。
【0047】
本発明に係る造粒助剤は、上記高分子化合物のみからなるものであってもよいが、さらに水を含有することが好ましい。造粒助剤が水を含有することにより、造粒助剤に流動性を持たせることができるので、造粒助剤を鉱滓全体に行き渡りやすくさせることができる。造粒助剤は、鉱滓全体への行き渡りやすさを考慮すると、水を添加することにより水溶液となっていることが好ましいが、必ずしも水溶液となっている必要はなく、例えばスラリー状であっても構わない。
【0048】
水を含有する上記造粒助剤の固形分濃度は、70質量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%未満であり、最も好ましくは25%未満である。固形分濃度が70質量%を超えると、造粒助剤が鉱滓全体に行き渡りにくくなり、造粒時にムラが生じる可能性がある。
【0049】
水を含有する上記造粒助剤を鉱滓に添加する際の当該造粒助剤の温度は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。また、造粒時の鉱滓の温度も可能な限り上記温度に調整することが好ましい。
【0050】
水を上記造粒助剤に含有させる方法については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、水と上記造粒助剤とを円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機、レディゲミキサーなどで混合する方法や、水を上記造粒助剤にスプレー等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。
【0051】
ただし、本発明に係る造粒助剤が上記高分子化合物以外に含有しうる物質としては、水に限定されるものではなく、当該造粒助剤の造粒効果を阻害しない範囲において適宜他の物質を含むことができる。例えば、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のpHを調整するための無機塩、グリセリン、プロピレングリコール等の溶剤、クエン酸、EDTA等のキレート剤等が挙げられる。また、本発明に係る造粒助剤は、固形状のものであっても液状のものであってもよい。
【0052】
また、本発明に係る造粒助剤は、一実施形態において、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、一般式(2)で示される化合物および、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、を含む。
【0053】
すなわち、本発明に係る造粒助剤は、既に説示した上記高分子化合物と、一般式(2)で示される化合物とを含む混合物であってもよい。その他に含有可能な物質としては、既に説示した水、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のpHを調整するための無機塩、グリセリン、プロピレングリコール等の溶剤、クエン酸、EDTA等のキレート剤等等が挙げられる。
【0054】
一般式(2)で示される化合物としては、具体的には、ブタノール、ドデカノール、フェノール、ナフトール、ソルビトール等の炭素数1以上30以下の水酸基含有化合物に、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した構造の化合物;ブチルアミンや、ラウリルアミン、ココナッツアミン等の炭素数1以上30以下のアミノ基含有化合物に、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した構造の化合物;ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、アジピン酸ポリエチレングリコール等のエステル類;ポリエチレングリコールモノステアレルアミド等のアミド類が挙げられる。
【0055】
上記高分子化合物と、一般式(2)で示される化合物とを混合する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上述の種々の混合機を用いて混合することができる。上記高分子化合物と、一般式(2)で示される化合物は、造粒時に別々に添加してもよい。
【0056】
一般式(2)で示される化合物は、高分子化合物による分散性を損なわない範囲で多く添加することが好ましいが、多く添加するにつれてその効果の向上度合いは鈍化することから、上記高分子化合物と、一般式(2)で示される化合物との混合比は、質量比で1:0.5以上1:10以下であることが好ましい。
【0057】
また、一実施形態において、本発明に係る造粒助剤は、鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、上記アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、従来公知のバインダーとが、所定の質量比で混合されている。
【0058】
すなわち、本発明に係る造粒助剤は、既に説示した上記高分子化合物と、従来公知のバインダーとが所定の質量比で混合されたものであってもよい。本発明に係る造粒助剤を市販のバインダーと併用することにより、造粒助剤の製造コストを下げつつ、鉱滓の造粒効率を向上させることができる。また、上述のように従来のバインダーのみでは造粒効率が不十分であるが、本発明の造粒助剤と併用することにより、造粒効率を向上させることができる。上記バインダーとしては、廃糖蜜、CMC、澱粉、石膏、アルギン酸ソーダ、リグニンスルホン酸またはその塩等、従来公知のバインダーを用いることができる。
【0059】
上記高分子化合物と、従来公知のバインダーとの混合比は、上記高分子化合物は、従来公知のバインダーと比較して、低添加量でも高い造粒効率の向上効果が得られることから、質量比で1:1以上1:50以下であることが好ましく、1:2以上1:30以下であることがより好ましく、1:5以上1:20以下であることがさらに好ましい。
【0060】
上記高分子化合物と、従来公知のバインダーとの混合は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上述の種々の混合機を用いて混合することができる。上記高分子化合物と、従来公知のバインダーは、造粒時に別々に添加してもよい。
【0061】
本発明に係る造粒助剤は、鉱滓と混合することにより、鉱滓の造粒効率を向上させることができる。すなわち、後述する実施例に示すように、従来公知のバインダーのみを用いる場合と比較して、効率的な造粒が可能となり、造粒物の収率を著しく向上させることができる。
【0062】
また、本発明に係る造粒助剤は、後述する実施例に示すように、従来のバインダーと比較して非常に少ない添加量で十分に鉱滓の造粒効率を向上させることができる。したがって、鉱滓を造粒することによって製造される可能性のある製品、例えば肥料用原料、コンクリート用材、舗装用材、地盤改良材、裏込材等の製造の効率化に寄与することができる。中でも肥料用原料は製造工程における造粒の重要性が高いため、本発明の造粒助剤は、肥料用原料の造粒助剤として特に好適に用いることができる。
【0063】
本発明に係る造粒助剤は、従来のバインダーよりも非常に少ない量で鉱滓の造粒効率を著しく向上させたことから、それ自体がバインダーとして働くというよりは、鉱滓の微粉を分散安定化させることにより、造粒時の鉱滓の接触面積を増加させ、その結果造粒効率を向上させているものと考えられる。
【0064】
鉱滓に対する本発明の造粒助剤の使用割合は、高分子化合物の固形分として0.01%以上1%以下が好ましく、0.05%以上0.8%以下がより好ましく、0.08%以上0.5%以下であることがさらに好ましい。従来のバインダーを添加する場合は、従来のバインダーを除いた量を上記のように設定することが好ましい。
【0065】
上記造粒助剤と鉱滓との混合方法は特に限定されるものではない。例えば、造粒機に鉱滓を仕込み、そこに造粒助剤を添加すればよい。造粒助剤が水溶液等の液体状の場合は、造粒助剤をスプレー等で噴霧して添加することもできる。鉱滓は、造粒前に予め粉砕等を行い粒度調整しておくことが好ましい。好ましい粒度は、造粒機の種類や造粒条件に依存するが、一般的に細かい粒度、例えば235メッシュ通過の割合を30%以上にすることが好ましい。さらに好ましくは、235メッシュ通過の割合が40%以上である。
【0066】
造粒の方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の造粒機を用いて、従来公知の方法によって造粒することができる。造粒機としては例えば、ドラム型、パン型、パッグミル型、流動層型、噴霧型、ピン型、アイリッヒ型、押し出し型等の造粒機を用いることができる。好ましくはドラム型、パン型、アイリッヒ型である。鉱滓と造粒助剤とを造粒機に仕込んだ後、これらを混合することによって造粒することができる。好適な混合時間については、使用する造粒機、攪拌条件によって異なるので一概には言えないが、一般的にバッチ式で造粒する場合は30秒以上10分以下であることが好ましい。連続式で造粒する場合には、滞留時間を30秒以上10分以下に設定すればよい。
【0067】
造粒後は、造粒物を必要に応じて乾燥させ、従来公知の篩を用いて分級することにより、篩上に所望の粒径以上の造粒物を得ることができる。
【0068】
なお、本発明は以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0069】
〔実施例1〕
直径300mmのパン型造粒機(株式会社井内盛栄堂製)を用い、回転数を29rpm、パンの角度を水平に対して30度に設定して、高炉スラグ100部を当該造粒機で混合しながら、重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部を1分間かけて霧吹きを用いて噴霧した。噴霧終了後、さらに10分間混合することにより造粒処理を行った。得られた造粒物は、120℃で1時間乾燥後、8.6メッシュの篩で篩い分けを行った。以下の式から造粒物の収率を求め、造粒効率の評価とした。
造粒物の収率=篩上の造粒物の質量/(篩上の造粒物の質量+篩下の造粒物の質量)×100
なお、本実施例で用いた上記高炉スラグの成分は、CaO 45.9質量%、SiO 31.4質量%、Al 12.9質量%、MgO 6.0質量%、Fe 0.4質量%、平均粒径は246μmであった。
【0070】
〔実施例2〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、重量平均分子量8000のアクリル酸ソーダと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダとのコポリマー(モル比85:15)の2.6質量%水溶液19.5部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0071】
〔実施例3〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、重量平均分子量30000のマレイン酸ソーダと、イソプレノールにエチレンオキサイドを50mol付加した単量体とのコポリマー(質量比13:87)の2.6質量%水溶液19.5部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0072】
〔実施例4〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダ0.9%と、廃糖蜜9.4%とを含有する水溶液を21.2部用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0073】
〔実施例5〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、重量平均分子量30000のマレイン酸ソーダと、イソプレノールにエチレンオキサイドを50mol付加した単量体とのコポリマー(質量比13:87)を1.0%と、リグニンスルホン酸ソーダ5.0%を含有する水溶液20.2部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0074】
〔実施例6〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、重量平均分子量30000のマレイン酸ソーダと、イソプレノールにエチレンオキサイドを50mol付加した単量体とのコポリマー(質量比13:87)を1.0%と、2−ナフトールにエチレンオキサイドを30mol付加した化合物を2.5%含有する水溶液19.7部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0075】
〔比較例1〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、水道水19.5部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。
【0076】
〔比較例2〕
重量平均分子量3500のポリアクリル酸ソーダの2.6質量%水溶液19.5部に代えて、リグニンスルホン酸ソーダを20.4%含有する水溶液24.5部を用いる他は、実施例1と同様にして造粒処理を試みたところ、原料がべとべとになり、造粒機に付着して造粒できなかった。
【0077】
〔比較例3〕
実施例1で用いたのと同様の高炉スラグ100部と、リグニンスルホン酸ソーダを20.4%含有する水溶液24.5部とを混合した後、原料のべとべと感がなくなるまで窒素を吹き付けて乾燥した。該原料を、実施例1で用いたパン型造粒機で実施例1と同様の条件で混合しながら、可能な限り水道水を噴霧した。更に10分間混合することにより造粒処理を行った。得られた造粒物は、乾燥後、8.6メッシュの篩で篩い分けを行った後、実施例1と同様にして造粒物の収率を求めた。乾燥前後の質量変化から、造粒物の水分を算出したところ、9.6%(対高炉スラグ)であった。
【0078】
表1は、実施例1〜6と比較例1,3において求めた造粒物の収率をまとめたものである。なお、比較例2の結果は、造粒自体が不可能であったため示していない。
【0079】
【表1】

【0080】
表1に示したように、実施例1〜6では、比較例1,3よりも造粒物の収率が大幅に向上した。すなわち、本発明に係る造粒助剤を用いて高炉スラグを造粒すると、粉末状態の高炉スラグを非常に効率よく、かつ迅速に造粒でき、高炉スラグの概ね80%以上を造粒物として回収できることが明らかとなった。
【0081】
また、実施例1〜6で用いた造粒助剤に含有されている高分子化合物の質量の、高炉スラグの質量に対する割合は約0.5%であるのに対し、比較例3で用いたリグニンスルホン酸ソーダの質量の、高炉スラグの質量に対する割合は約5%である。すなわち、本発明に係る造粒助剤は、従来公知のバインダーであるリグニンスルホン酸ソーダよりも非常に少ない量で、リグニンスルホン酸ソーダを用いる場合よりも大幅に造粒物の収率を向上させることができることがわかった。したがって、本発明に係る造粒助剤を用いることにより、非常に効率よく鉱滓を造粒することができるといえる。
【0082】
また、特許文献1,2では、バインダーの鉱滓に対する添加量はそれぞれ20〜40重量%、15重量%であることが開示されている。このことと、比較例3の結果に鑑みると、従来のバインダーよりも非常に少ない量でバインダーを上回る造粒効果を持つことから、本発明の造粒助剤は、バインダーとして作用するというよりはむしろ、上述の高分子化合物を必須成分として含有することにより、従来のバインダーとは別の作用機構、例えば鉱滓の微粉を分散安定化させることにより、造粒時の鉱滓の接触面積を増加させるという作用機構を有するものと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る造粒助剤は、所定の高分子化合物を必須成分として含有するため、本発明に係る造粒助剤を用いると、高炉スラグ等の鉱滓を、従来のバインダーを用いる場合よりも非常に効率的に造粒することができる。そのため、本発明は、鉱滓を造粒することによって製造される可能性のある製品、例えば肥料用原料、コンクリート用材、舗装用材、地盤改良材、裏込材等の製造に広く利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
(i)一般式(1)
【化1】

(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、または−CHCOOH基、−COOH基もしくはその塩を表し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、Xは−CH−基、−CHCH−基、−CH(CH)CH−基、ケトン基、−OCH−基、−OCHCH−基、−OCHCHCH−基または−OCHCHCHCH−基、を表し、Rは水素原子、炭素数1以上30以下のアルキル基、またはアリール基を表し、nは3以上300以下の整数を表す)で表される単量体と、
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩なる群から選ばれる単量体と、を必須成分として重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴とする造粒助剤。
【請求項2】
上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とが合計50質量%以上100質量%以下となるように、上記(i)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下、上記(ii)で表される単量体を5質量%以上95質量%以下用い、これらの単量体を重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の造粒助剤。
【請求項3】
鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物を含有することを特徴とする造粒助剤。
【請求項4】
鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
一般式(2)
【化2】

(式中R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1以上30以下のアルキル基、又はアリール基を示し、Zは酸素原子、−NHC(=O)−、ケトン基または−C(=O)O−を表し、Yは炭素数2以上4以下のアルキレン基を表し、mは3以上300以下の整数を表す)
で示される化合物と、
上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、を含むことを特徴とする造粒助剤。
【請求項5】
鉱滓を造粒するための造粒助剤であって、
上記(i)で表される単量体と上記(ii)で表される単量体とを必須成分として重合することによって得られる高分子化合物もしくは、上記アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる一種以上の単量体を酸型換算で50質量%以上100質量%以下含む単量体を重合することによって得られる高分子化合物と、従来公知のバインダーとが、質量比で1:1以上1:50以下で混合されていることを特徴とする造粒助剤。
【請求項6】
さらに、水を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の造粒助剤。

【公開番号】特開2007−217247(P2007−217247A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41623(P2006−41623)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】