説明

鉱石の運搬装置、制御方法、プログラム、及びプログラムを記憶した記憶媒体

【課題】鉱石の還元を行うに当たり、CO2排出量を軽減するとともに、鉱石の還元に要するコストの軽減を行うことができるバイオ還元方法を備えた鉱石の運搬装置、制御方法、プログラム、及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
【解決手段】コントロールシステム200は、鉱石のバイオ還元を行う船倉の環境情報を計測装置145で計測し、コントロールサーバ220は、計測した環境情報が、鉱石のバイオ還元を行う上で、適正な環境情報であるか否かを判定するための適正範囲テーブル230を用いて判定を行った後、判定した結果に基づいて、適正な環境情報及び適正でない環境情報に対応させて各設備の制御方法を記憶した制御テーブル225を用いて、計測した環境情報に応じて各設備の実行及び停止を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石の運搬装置に関し、特に鉱石のバイオ還元用の手段を有する鉱石の運搬装置、制御方法、プログラム、及びプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への対応に関して世界的に要請が強まっており、鉱石の還元においても省エネルギーやCO2排出量削減を目的とする還元装置や還元方法が考えられている。
【0003】
その1つとして、天然ガス等の低コストの還元ガスによって鉱石を還元処理する方法が存在するが、特に、遠隔の産地において鉱石を部分還元した後、部分還元された鉱石を輸送船等で運搬するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、炭素源等を付加した培地で、特定の細菌を利用することによって三価の鉄をマグネタイトに変換する方法が知られており、特に、35℃前後で10日前後の時間をかけてバイオ還元する方法である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
バイオ還元は、CO2排出量を削減できるという利点を持つ還元方法であるが、還元細菌の種類としては一般に、やや高めの温度で、有機物を電子供与体として、数日かけて、嫌気性ガスで満たされた環境下で活発に活動する還元細菌が多い。
【0006】
なお、還元される鉄については、水酸化鉄溶液を対象とする方法が存在するが、一般に、鉄還元細菌のGeobacterやShewanellaのように、鉱石のまま固体状の鉄でもバイオ還元する細菌も存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
また、有機化合物を付着させた多孔質鉱石を還元処理する方法が知られており、特に、500℃以上に加熱することで有機化合物中の炭素によって還元する方法である(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−307896号公報
【特許文献2】特開2001−106531号公報
【特許文献3】特開2008−95175号公報
【非特許文献1】池田篤治 著、「バイオ電気化学の実際―バイオセンサ・バイオ電池の実用展開」、シーエムシー出版、2007年3月発行、ISBN 978−4−88231−679−4、p311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の還元処理方法においては、鉱石の予備処理として行う部分還元は、輸送船等で部分還元が施された鉱石の遠距離輸送を行うこととは別に、遠隔の産地にて行なわれるため、遠距離輸送船が備える鉱石を運搬する際の格納手段とは別に、遠隔産地にも還元処理する際の鉱石の格納手段が必要になる。
【0010】
また、遠距離輸送に要するエネルギーとは別に、遠隔産地での予備処理にエネルギーを要するとともに、遠距離の輸送時間とは別に、遠隔産地での予備処理に時間を要する。
【0011】
特許文献2に記載のバイオ還元方法および一般のバイオ還元方法においては、鉄還元細菌の活動しやすい環境を作るための設備と、環境を維持するためのエネルギーと、金属を還元回収できるまでの日数を要する。
【0012】
特許文献3に記載の鉱石処理方法においては、500℃以上もの高温に加熱するための加熱手段とエネルギーを要し、また還元に使った炭素がCO2として排出される。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、鉱石の還元を行うに当たり、CO2排出量を軽減するとともに、鉱石の還元に要するコストの軽減を行うことができるバイオ還元方法を備えた鉱石の運搬装置、制御方法、プログラム、及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための第一の発明は、鉱石を運搬する運搬装置において、鉱石を格納するための格納手段と、前記格納手段に対して前記鉱石を還元するための還元細菌を散布する還元細菌散布手段と、前記格納手段に格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計測する計測手段と、前記還元細菌が前記鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段と、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段と、前記計測手段によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するための第二の発明は、還元細菌が鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段を有する鉱石を運搬する運搬装置を制御する制御方法において、鉱石を格納するための格納工程と、前記格納工程に対して前記鉱石を還元するための前記還元細菌を散布する還元細菌散布工程と、前記格納工程において格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計測する計測工程と、前記計測工程によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、還元細菌散布工程に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段によって前記還元細菌散布工程を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するための第三の発明は、コンピュータで読取り可能なプログラムであると共に実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、還元細菌が鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段を有する鉱石を運搬する運搬装置を制御する制御方法において、鉱石を格納するための格納手段と、前記格納手段に対して前記鉱石を還元するための前記還元細菌を散布する還元細菌散布手段と、前記格納手段において格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、還元細菌散布手段に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段によって前記還元細菌散布工程を制御する制御手段と、として機能することを特徴とする。
【0017】
上記の目的を達成するための第四の発明は、第三の発明で記載されたプログラムを記憶したコンピュータで読取り可能な記憶媒体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉱石に対してバイオ還元を行うことが可能な手段を鉱石の運搬装置に備えることによって、バイオ還元方法を用いた鉱石の還元を行うことが可能となり、CO2排出量を軽減するとともに、鉱石の還元に要するコストの軽減を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置の基本的な作動方法の概略を説明するための説明図である。
【図3】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置において鉱石の還元を行うに当たり最適なバイオ還元環境を作り出すための制御システム全体の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置の酸素濃度と温度、圧力の監視結果と制御を対比させた制御テーブルの構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置の制御におけるバイオ還元環境の適正範囲を示す適正範囲テーブルの構成を示す構成図である。
【図6】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置において最適なバイオ還元環境を作り出すための基本的な制御フローを示す図である。
【図7】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置において最適なバイオ還元環境を作り出すための基本的な制御フローを示す図である。
【図8】本発明の実施形態の鉱石の運搬装置において最適なバイオ還元環境を作り出すための基本的な制御フローを示す図である。
【図9】酸素濃度だけを監視する場合の監視結果と制御を対比させた制御テーブルの構成を示す構成図である。
【図10】酸素濃度と圧力だけを監視する場合の監視結果と制御を対比させた制御テーブルの構成を示す構成図である。
【図11】酸素濃度と温度だけを監視する場合の監視結果と制御を対比させた制御テーブルの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の鉱石の運搬装置の一例である鉱石運搬船の構成を示す図である。尚、図1の各種設備の構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0021】
鉱石運搬船100は、船倉105、排気ガス投入設備110、排気設備115、排気ガス冷却設備120、船倉冷暖房設備125、内燃式エンジン130、還元細菌散布設備135、推進設備140、計測装置145、コントロール装置150、及びハッチ155を含んで構成される。
【0022】
船倉105は、鉱石を格納するための設備であり、排気ガス投入設備110は、船倉105へつながる送風管111、内燃式エンジン130とつながる通風管112、送風管の開閉弁(不図示)、及び送風機(不図示)を含んで構成されており、送風管111の開閉弁を開いて送風機を用いて内燃式エンジン130から通風管112を通じて排出される排気ガスを船倉105に投入する一方、排気ガスの投入を停止する場合には、送風機を止めつつ開閉弁を閉じることによって投入を停止する。送風機、開閉弁を制御することによって、排出された排気ガスの熱で船倉105の内部を暖め、更に船倉105の内部を酸素濃度の低い排気ガスで満たすことで、バイオ還元細菌(以下、還元細菌)が活動する上で、好適な環境を作り出すことが可能となる。
【0023】
排気設備115は、煙突、排気ガスフィルター(何れも不図示)、通風管116、通風管117、通風管116及び通風管117の開閉弁を備えており、船倉105につながる通風管116を通じて流入される空気、または船倉冷暖房設備125につながる通風管117を通じて流入される外気や排気ガスを、通風管116あるいは通風管117の開閉弁を開いて自然排気し、一方、開閉弁を閉じることによって排気を停止する。
【0024】
また、排気設備115は、内燃式エンジン130から通風管118を通じて排出される排気ガスを、排気ガスフィルターへ通じた後、煙突から外部へ排気ガスを排気する機能も備えている。
【0025】
排気ガス冷却設備120は、船倉105に投入する排気ガスを冷却するための設備であり、空冷に適した形状の配管121、送風機、及び排気ガス投入設備110から船倉105へつながる送風管111との経路切替弁(何れも不図示)を備えており、排気ガスの冷却を実行する場合には、経路切替弁を用いて排気経路を排気ガス冷却設備120の配管121側に切替え、排気ガスを排気ガス冷却設備120へバイパスさせて、配管121に通じることにより冷却を行った後、送風機で通風管122を通じて船倉105に送り込む。冷却を停止する場合には、送風機を止めて経路切替弁を切替え、排気ガス投入設備110から船倉105へつながる経路、送風管111を通じて船倉105に投入する。
【0026】
船倉冷暖房設備125は、船倉105の温度調節のために冷暖房を行うための設備であり、船倉105の内部と熱交換する配管126と外気取入口、開閉弁、送風機(何れも不図示)を備えており、冷房を実行する場合には、外気取入れ口を開いて船倉105よりも温度の低い外気を取入れて送風機で配管126内を通した後、通風管117を通じて排気することで、船倉105の内部の熱を奪う。
【0027】
一方、冷房を停止する場合には、送風機を止めて外気取入れ口を閉じ、暖房を実行する場合には、排気ガス投入設備110とつながる配管127の開閉弁を開いて排気ガスを取入れて送風機で配管126内を通してから通風管116を通じて排気設備115によって排気することで、船倉105の内部に熱を放出する。暖房を停止する場合には、送風機を止めて開閉弁を閉じる。
【0028】
内燃式エンジン130は、船舶用のディーゼルエンジンであり、エンジンの燃焼室内に吹き込む燃料の噴射量を増減して空燃比を調整する機能を有する。不完全燃焼を実行する場合には、通常運転時よりも燃料の噴射量を増やして空燃比を小さくし、不完全燃焼を解除する場合には、燃料の噴射量を元通りにして通常運転時の空燃比に戻す。
【0029】
還元細菌散布設備135は、鉱石を還元することが可能な還元細菌を船倉105の中にばら撒くための設備であり、還元細菌の入ったタンク、散布装置、散布装置から船倉105に対して還元細菌を投入するための投入管136を備えている。還元細菌の散布を実行する場合には、散布装置を稼働させることで、投入管136を通じて、船倉105へ還元細菌を投入し、還元細菌の散布を停止する場合には、散布装置を停止させることで、散布を停止する。
【0030】
推進設備140は、内燃式エンジン130を動力源として駆動することにより鉱石運搬船100に推力を与えるための設備であり、スクリューおよびスクリュー軸を備えており、計測装置145は、船倉105の内部の酸素濃度、温度、圧力等の環境情報を測定するためのセンサーを表している。
【0031】
コントロール装置150は、計測装置145による環境情報の測定結果を受け取り、排気ガス投入設備110による船倉105への排気ガスの投入や、排気設備115による船倉105から外部への排気、排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却、船倉冷暖房設備125による船倉105の冷暖房、内燃式エンジン130の空燃比調整による排気ガス中の残存酸素濃度と煤の量、還元細菌散布設備135による還元細菌の散布量を制御するためのシステムであり、その構成は図3を用いて後述する。
【0032】
ハッチ155は、鉱石を船倉105に出し入れするための船倉105の開口部であり、開閉式の蓋を備えている。次に、本実施形態に係る鉱石運搬船100の基本的な作動方法について、図2を用いて説明する。
【0033】
S110では、鉱石産地の港に鉱石運搬船100を停泊させて、ハッチ155を開けて、船倉105に鉱石を投入する。鉱石の投入中に、還元細菌散布設備135において散布装置を稼働させて、投入管136を通じて還元細菌を船倉105へ投入することで、鉱石に還元細菌を付着させる。
【0034】
S120では、鉱石の投入後に、ハッチ155を密閉し、内燃式エンジン130を不完全燃焼させ、排気ガス投入設備110を稼働させて、内燃式エンジン130で発生した排気ガスを通風管112を通じて取り込んだ後、送風管111を通じて船倉105に送り込むと同時に、排気設備115を稼働させて、船倉105内の空気を通風管116を通じて排気ガスと入れ替える。
S130では、計測装置145によって船倉105内の酸素濃度、温度、圧力を監視する。
【0035】
S140では、コントロール装置150は、S130における計測装置145による監視結果に応じて、排気ガス投入設備110、排気設備115、排気ガス冷却設備120、船倉冷暖房設備125、内燃式エンジン130、及び還元細菌散布設備135を適宜制御して、船倉105内に還元細菌の活動に最適なバイオ還元環境を作り出す。
【0036】
前記の様な作動方法を実施することによって、遠隔の鉱石産地などに鉱石の還元装置を新設するのと比べて、設備コストが少なく、鉱石運搬船100の内燃式エンジン130からの排気ガスを用いることで、還元細菌を活性化させるための嫌気性ガスの発生手段や加熱手段を別途備えることなく、少ないエネルギーで鉱石を還元処理できるという効果がある。
【0037】
特に、本作動方法については、推進設備140によって鉱石運搬船100を航行させている最中に行うことによって、より前記の効果がより一層顕著に表れ、運搬中に鉱石を還元することによって、運搬とは別に鉱石を還元処理する時間、及び遠隔産地での予備処理時間の節約をすることができる。
【0038】
更に、鉱石の還元にバイオ還元方法を用いるので、CO2の排出量を節約できる、という効果を奏するとともに、遠距離の輸送になるため、還元に要する時間的な課題も解決することが可能になる。また、多量なエネルギーを要する製鉄(千数百度に加熱)を行う装置から発生するCO2を軽減することが可能となる。
【0039】
次に、最適なバイオ還元環境を作り出すためのコントロールシステムについて、図3を用いて説明する。図3は、最適なバイオ還元を行う環境を作り出すためのコントロールシステム全体の概略構成を示すブロック図である。
尚、図3のシステムにおける各種装置の構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0040】
コントロールシステム200は、センサー205および信号線210、監視サーバ215、コントロールサーバ220、制御テーブル225、適正範囲テーブル230、信号線235、ネットワーク240、制御ユニット245、制御ユニット250、制御ユニット255、制御ユニット260、制御ユニット265、及び制御ユニット270を備えている。
【0041】
センサー205は、船倉105における酸素濃度を検出するための酸素濃度センサー、船倉105における温度を検出するための温度センサー、及び船倉105における圧力を検出するための圧力センサーを備えている。
【0042】
信号線210は、センサー205における測定結果を監視サーバ215に送信するための通信経路であり、監視サーバ215は、センサー205を監視して、センサー205から受信した測定結果を監視結果としてコントロールサーバ220に送信する。
【0043】
コントロールサーバ220は、センサー205の監視結果と適正範囲テーブル230(図5参照、詳細後述)の適正範囲情報を制御テーブル225(図4参照、詳細後述)に登録されている判定条件に照らし合せて判定し、同じく制御テーブル225に登録されている制御内容に基づいて、制御ユニット245、制御ユニット250、制御ユニット255、制御ユニット260、制御ユニット265、及び制御ユニット270をコントロールする。
【0044】
信号線235は、制御テーブル225と適正範囲テーブル230に登録されている判定条件、適正範囲情報をコントロールサーバ220に送信するための通信経路である。
【0045】
ネットワーク240は、監視サーバ215、コントロールサーバ220、制御ユニット245、制御ユニット250、制御ユニット255、制御ユニット260、制御ユニット265、及び制御ユニット270と相互に接続されており、各々の機能間で情報を送受信するための通信経路である。
制御ユニット245は、船倉105への排気ガスの投入を開閉弁の開閉によって調整する機能を有し、排気ガス投入設備110をコントロールする装置である。
【0046】
制御ユニット250は、船倉105からの排気、船倉冷暖房設備125から流入される外気や排気ガス、及び内燃式エンジン130から排出される排気ガスを通風管116、通風管117及び通風管118の開閉弁の開閉等によって調整するため、排気設備115をコントロールする装置である。
【0047】
制御ユニット255は、船倉105に投入する排気ガスの冷却を調整するため、排気ガス冷却設備120に備えられた送風機及び経路切替弁の切替等によって排気ガス冷却設備120をコントロールする装置であり、制御ユニット260は、船倉105の中の温度を調整するため、送風機及び開閉弁の開閉等によって、船倉冷暖房設備125をコントロールする装置である。
【0048】
制御ユニット265は、エンジンの燃焼室内に吹き込む燃料の噴射量の増減等によって不完全燃焼を調整するため、内燃式エンジン130をコントロールする装置であり、制御ユニット270は、還元細菌を船倉105の中に散布するために散布装置の稼働を制御するため、還元細菌散布設備135をコントロールする装置である。
【0049】
次に図4には、本発明の実施形態に係る鉱石運搬船100におけるバイオ還元手段を用いた還元方法を実現する上で、如何なる還元を行うべきかの判定条件と船倉105の監視結果に対応する各設備における制御方法等の制御情報を記憶する制御テーブル225が示されている。
【0050】
制御テーブル225は、船倉105に備えられた計測装置145における監視結果と監視結果に対応させて各設備における制御方法を予め記憶しておき、センサー205によって測定された酸素濃度、温度、及び圧力を、監視サーバ215を介してコントロールサーバ220へ送信し、コントロールサーバ220は、受信した酸素濃度、温度、及び圧力に対応する制御方法を当該記憶された制御情報から取得し、取得した制御情報に基づいて各設備に備えられた制御ユニットへ制御信号を、ネットワーク240を介して送信する。
これらの判定条件と制御方法については、還元細菌の活動に適した環境を構築する際の条件として予め定められている。
【0051】
例えば、計測装置145によって得られた監視結果が、酸素濃度、温度、及び圧力が全て適正である場合、図4に示す制御テーブル225に備えられたデータの上から14行目に示されるように排気ガス投入設備110、排気設備115、排気ガス冷却設備120、及び船倉冷暖房設備125は停止させ、内燃式エンジン130については解除し、還元細菌散布設備135は実行させる、といったように各設備をコントロールサーバ220からの制御信号に基づいて制御する。
【0052】
更に、計測装置145によって得られた監視結果が、酸素濃度が適正であり、温度が高く、圧力が低い場合は、図4に示す制御テーブル225に備えられたデータの上から12行目に示されるように排気ガス投入設備110は実行、排気設備115は停止、排気ガス冷却設備120は実行、船倉冷暖房設備125は冷房、内燃式エンジン130は実行、還元細菌散布設備135は停止させる、といったように各設備をコントロールサーバ220からの制御信号に基づいて制御する。
【0053】
また、図5には、本発明の実施形態に係る鉱石運搬船100におけるバイオ還元手段を用いた還元方法を実現する上で、還元細菌の活動が好適に行われる環境の適正範囲を判定するための適正範囲テーブル230の構成図が示されている。
【0054】
適正範囲テーブル230には、船倉105に備えられた計測装置145によって得られた監視結果に対して閾値を設定することで、還元細菌の活動が好適に行われる酸素濃度、温度、及び圧力等の適正範囲を定めた適正範囲情報が記憶される。
【0055】
例えば、酸素濃度の適正範囲が、0パーセントを最小値として3パーセントを最大値とすることで、監視結果が0パーセント以上3パーセント未満の場合、適正とし、0パーセント未満の場合、低いとし、3パーセント以上の場合、高いとして定められている。温度についても同様に、監視結果が20℃未満であれば低いとし、20℃以上45℃未満の場合、適正とし、45パーセント以上であれば高いとして設定されている。
【0056】
また、圧力も酸素濃度、温度と同様に監視結果が、900hPa以下の場合、低いとし、900hPa以上1050hPa未満の場合、適正とし、900hPa未満の場合、低いとし、1050hPa以上の場合、高いとして定められている。
【0057】
この適正範囲テーブル230に記憶された適正範囲情報によって求まる低い、適正、高いといった情報は、図4に示す制御テーブル225の監視結果の項目に対応付けられており、計測装置145によって得られた監視結果が、図5に示す適正範囲テーブル230に記憶された適正範囲に基づいて、適正範囲に含まれる場合、図4に示す制御テーブル225の監視結果に適正が設定されている項目に対応する制御方法に基づいて、各設備の制御を行っている。
【0058】
計測装置145によって得られた監視結果が、図5に示す適正範囲テーブル230に記憶された適正範囲に基づいて、適正範囲に含まれず、低いとなった場合、図4に示す制御テーブル225の監視結果に低いが設定されている項目に対応する制御方法に基づいて、各設備の制御を行い、図5に示す適正範囲テーブル230に記憶された適正範囲に基づいて、適正範囲に含まれず、高いとなった場合、図4に示す制御テーブル225の監視結果に高いが設定されている項目に対応する制御方法に基づいて、各設備の制御を行う。
適正範囲テーブル230に設定された最小値と最大値は、鉱石の還元を行う還元細菌の種類に応じて様々な値を設定することができるのは、言うまでもない。
【0059】
次に、本実施形態に係る鉱石運搬船100において最適なバイオ還元を行う環境を整えるための制御方法について、図6乃至図8に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0060】
まず、ステップS201では、コントロール装置150は、バイオ還元を行う環境の最適化を行うことが許可されているか否かを判定し、環境の最適化を行うことが許可されていなければ、ステップS203、ステップS204、ステップS205、ステップS206、ステップS207、及びステップS208へ処理を進め、環境の最適化制御が許可されていれば、ステップS202へ処理を進める。当判定については、スイッチ(不図示)等の押下を検知した結果をコントロール装置150における記憶領域(不図示)に記憶させておいても良い。
【0061】
ステップS202では、計測装置145に備えられたセンサー205から得られる船倉105の酸素濃度を測定して得られた監視結果情報を、信号線210を通して監視サーバ215、ネットワーク240を介して、コントロールサーバ220が受信した後、記憶領域(不図示)へ監視結果情報を記憶する。
【0062】
ステップS203では、コントロールサーバ220は、排気ガス投入設備110による船倉105への排気ガスの投入を停止するために、制御ユニット245へ停止信号を送信し、制御ユニット245は、排気ガス投入設備110を停止する。
【0063】
ステップS204では、コントロールサーバ220は、排気設備115における排気を停止するために、制御ユニット250へ停止信号を送信し、制御ユニット250は、排気設備115を停止する。
【0064】
ステップS205では、コントロールサーバ220は、排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却を停止するために、制御ユニット255へ停止信号を送信し、制御ユニット255は、排気ガス冷却設備120を停止する。
【0065】
ステップS206では、コントロールサーバ220は、船倉冷暖房設備125による船倉105の冷暖房を停止するために、制御ユニット260へ停止信号を送信し、制御ユニット260は、船倉冷暖房設備125を停止する。
【0066】
ステップS207では、コントロールサーバ220は、内燃式エンジン130の不完全燃焼を解除するために、制御ユニット265へ停止信号を送信し、制御ユニット265は、内燃式エンジン130を停止する。
【0067】
ステップS208では、コントロールサーバ220は、還元細菌散布設備135による還元細菌の散布を停止するために、制御ユニット270へ停止信号を送信し、制御ユニット270は、還元細菌散布設備135を停止する。
【0068】
次のステップS209では、コントロール装置150は、船倉105内の酸素濃度が適正か否かを判定するために、コントロールサーバ220は、ステップS202で記憶領域へ記憶した監視結果情報に含まれる酸素濃度に該当する適正範囲情報を適正範囲テーブル230から取得して、酸素濃度が適正であれば、ステップS210へ処理を進め、酸素濃度が適正でなければ、ステップS211へ処理を進める。
【0069】
ステップS211では、コントロール装置150は、排気ガス投入設備110によって船倉105へ排気ガスの投入を実行し、その後、ステップS213へ処理を進める。
【0070】
ステップS210では、コントロール装置150は、船倉105内の圧力が低過ぎないか否かを判定するために、コントロールサーバ220は、ステップS202で記憶領域へ記憶した監視結果情報に含まれる圧力に該当する適正範囲情報を適正範囲テーブル230から取得して、低すぎないか否かを判定する。圧力が低いと判定した場合は、ステップS216へ処理を進め、圧力が低いと判定されなかった場合、ステップS214へ処理を進める。
【0071】
ステップS212では、排気ガス投入設備110から船倉105への排気ガスの投入を停止するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット245へ排気ガス投入設備110を停止するための制御信号を送信し、制御ユニット240は、排気ガス投入設備110を停止、その後、次のステップS213では、圧力が高いか否かを判定し、高いと判定した場合、ステップS216へ処理を進め、高いと判定しなかった場合、ステップS214へ処理を進める。
【0072】
ステップS214では、圧力が適正であるか否かを判定し、圧力が適正であれば、ステップS215へ処理を進め、圧力が適正でない場合は、ステップS217へ処理を進める。ステップS215では、排気ガス投入設備110が船倉105へ排気ガスの投入が実行中であるか否かを判定するために、制御ユニット245へ問い合わせを行い、実行中である場合は、ステップS216へ処理を進め、実行中でなければ、ステップS217へ処理を進める。
【0073】
ステップS216では、排気設備115による排気を停止するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット250へ排気設備115による排気を停止するための制御信号を送信し、制御ユニット250は、排気設備115を停止し、その後、ステップS218へ処理を進める。
【0074】
ステップS217では、排気設備115による排気を実行するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット250へ排気設備115による排気を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット250は、排気設備115によって排気を実行し、その後、ステップS218へ処理を進める。
【0075】
次に、図7に示すステップS218では、コントロール装置150は、船倉105内の温度が低いか否かを判定するために、コントロールサーバ220は、ステップS202で記憶領域へ記憶した監視結果情報に含まれる温度に該当する適正範囲情報を適正範囲テーブル230から取得して、温度が低いと判定すれば、ステップS220へ処理を進め、温度が低いと判定されなければ、ステップS219へ処理を進める。
【0076】
ステップS219では、排気ガス投入設備110が船倉105へ排気ガスの投入が実行中であるか否かを判定するために、制御ユニット245へ問い合わせを行い、実行中である場合は、ステップS221へ処理を進め、実行中でなければ、ステップS220へ処理を進める。
【0077】
ステップS220では、排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却を停止するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット255へ排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却を停止するための制御信号を送信し、制御ユニット255は、排気ガス冷却設備120における冷却を停止する。
【0078】
ステップS221では、排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却を実行するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット255へ排気ガス冷却設備120による排気ガスの冷却を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット255は、排気ガス冷却設備120における冷却を実行し、その後、ステップS222へ処理を進める。
【0079】
ステップS222では、温度が高いか否かを判定し、高いと判定した場合、ステップS225へ処理を進め、高いと判定しなかった場合、ステップS223へ処理を進める。ステップS223では、温度が低いか否かを判定し、低いと判定した場合、ステップS224へ処理を進め、低いと判定しなかった場合、ステップS227へ処理を進める。
【0080】
ステップS224では、排気ガス投入設備110が船倉105へ排気ガスの投入が実行中であるか否かを判定するために、制御ユニット245へ問い合わせを行い、実行中である場合は、ステップS227へ処理を進め、実行中でなければ、ステップS226へ処理を進める。
【0081】
ステップS225では、船倉冷暖房設備125による冷房を実行するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット260へ船倉冷暖房設備125による冷房を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット260は、船倉冷暖房設備125における冷房を実行する。
【0082】
ステップS226では、船倉冷暖房設備125による暖房を実行するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット260へ船倉冷暖房設備125による暖房を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット260は、船倉冷暖房設備125における暖房を実行し、その後、ステップS228へ処理を進める。
【0083】
ステップS227では、船倉冷暖房設備125による冷房を停止するために、コントロールサーバ220は、制御ユニット260へ船倉冷暖房設備125による冷房を停止するための制御信号を送信し、制御ユニット260は、船倉冷暖房設備125における冷房を停止し、その後、ステップS228へ処理を進める。
【0084】
次に、図8に示すステップS228では、コントロール装置150は、船倉105内の酸素濃度が低いか否かを判定するために、コントロールサーバ220は、ステップS202で記憶領域へ記憶した監視結果情報に含まれる酸素濃度に該当する適正範囲情報を適正範囲テーブル230から取得して、酸素濃度が低いと判定すれば、ステップS231へ処理を進め、酸素濃度が低いと判定されなければ、ステップS229へ処理を進める。
【0085】
ステップS229では、排気ガス投入設備110が船倉105へ排気ガスの投入が実行中であるか否かを判定するために、制御ユニット245へ問い合わせを行い、実行中である場合は、ステップS230へ処理を進め、実行中でなければ、ステップS231へ処理を進める。
【0086】
ステップS230では、内燃式エンジン130の不完全燃焼を実行するために、コントロールサーバ220は、内燃式エンジン130の不完全燃焼を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット265は、内燃式エンジン130の不完全燃焼を実行し、その後、ステップS232へ処理を進める。
【0087】
ステップS231では、制御ユニット265へ内燃式エンジン130の不完全燃焼を解除するために、コントロールサーバ220は、内燃式エンジン130の不完全燃焼を解除するための制御信号を送信し、制御ユニット265は、内燃式エンジン130の不完全燃焼を解除する。
【0088】
次に、ステップS232では、酸素濃度が適正か否かを判定し、適正と判定した場合、ステップS233へ処理を進め、適正と判定しなかった場合、ステップS236へ処理を進める。ステップS233では、温度が適正か否かを判定し、適正と判定した場合、ステップS234へ処理を進め、適正と判定しなかった場合、ステップS236へ処理を進める。
【0089】
ステップS234では、圧力が適正か否かを判定し、適正と判定した場合、ステップS235へ処理を進め、適正と判定しなかった場合、ステップS236へ処理を進める。
【0090】
ステップS235では、コントロールサーバ220は、還元細菌散布設備135による還元細菌の散布を実行するために、制御ユニット270へ還元細菌散布設備135を実行するための制御信号を送信し、制御ユニット270は、還元細菌散布設備135を実行し、その後、ステップS201へ処理を進める。
【0091】
ステップS236では、コントロールサーバ220は、還元細菌散布設備135による還元細菌の散布を停止するために、制御ユニット270へ還元細菌散布設備135を停止するための制御信号を送信し、制御ユニット270は、還元細菌散布設備135を停止し、その後、ステップS201へ処理を進める。
【0092】
尚、図4に示される制御テーブル225に記憶される制御方法は、酸素濃度、温度、及び圧力に対応して記憶しているが、船倉105内の監視対象に応じて様々な監視結果と制御内容の対比例があることは言うまでもない。
【0093】
例えば、図9に示すように、船倉105の中の酸素濃度だけを監視対象として監視結果と制御内容を対比することも可能であるし、図10に示すように、船倉105の中の酸素濃度と圧力だけを監視対象として監視結果と制御方法を対比することも可能であるし、更に、図11に示すように、船倉105の中の酸素濃度と温度だけを監視対象として監視結果と制御方法を対比することも可能であり、図9乃至図11の何れかの制御情報に応じて、コントロールシステム200における様々な制御フローがあることは言うまでもない。
【0094】
本発明によれば、鉱石に対してバイオ還元を行うことが可能な手段を鉱石の運搬装置に備えることによって、鉱石の還元を行うに当たり、CO2排出量を軽減するとともに、鉱石の還元に要するコストの軽減を行うことができる。
【0095】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、同様の機能を持つ異なる設備もしくは方法等による実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の設備から構成される装置に適用しても良いし、また、複合機能を持つ一つの設備からなる装置に適用しても良い。
【0096】
また、本発明の実施形態例に他の設備もしくは方法等を組み合わせた実施様態をとることが可能であり、例えば、鉱石を溶液に溶かした水酸化金属イオンを回収するための回収設備や溶液の排水処理設備を追加しても良い。
【0097】
また、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムを読取り実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0098】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0099】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0100】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0101】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
100 鉱石運搬船
105 船倉
110 排気ガス投入設備
115 排気設備
120 排気ガス冷却設備
125 船倉冷暖房設備
130 内燃式エンジン
135 還元細菌散布設備
140 推進設備
145 計測装置
150 コントロール装置
155 ハッチ
200 コントロールシステム
205 センサー
210 信号線
215 監視サーバ
220 コントロールサーバ
225 制御テーブル
230 適正範囲テーブル
235 信号線
240 ネットワーク
245 制御ユニット
250 制御ユニット
255 制御ユニット
260 制御ユニット
265 制御ユニット
270 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱石を運搬する運搬装置において、
鉱石を格納するための格納手段と、
前記格納手段に対して前記鉱石を還元するための還元細菌を散布する還元細
菌散布手段と、
前記格納手段に格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計測する計測手段と、
前記還元細菌が前記鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段と、
前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段と、
前記計測手段によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
前記運搬装置は、
前記運搬装置の推進を行うための推進装置を駆動させるために燃料を燃焼させる燃焼手段と、
前記燃焼手段によって燃焼することによって発生する嫌気性ガスを前記格納手段に投入する投入手段と、
を更に備え、
前記制御記憶手段は、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、及び前記投入手段に対する実行及び停止を制御するための制御情報を記憶し、
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された環境情報に含まれる酸素濃度が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、及び前記投入手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
前記運搬装置は、前記燃焼手段及び前記格納手段に格納されている嫌気性ガスを前記運搬装置の外部へ排気する排気手段を更に備え、
前記制御記憶手段は、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、及び前記排気手段に対する実行及び停止を制御するための制御情報を記憶し、
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された環境情報に含まれる酸素濃度及び圧力が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、及び前記排気手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の運搬装置。
【請求項4】
前記運搬装置は、
前記燃焼手段及び前記格納手段に格納されている嫌気性ガスを前記運搬装置の外部へ排気する排気手段と
前記格納手段内を冷却あるいは加熱する温度調節手段と、
を更に備え、
前記制御記憶手段は、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、前記排気手段、及び温度調節手段に対する実行及び停止を制御するための制御情報を記憶し、
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された環境情報に含まれる酸素濃度及び温度が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、前記排気手段、及び温度調節手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の運搬装置。
【請求項5】
前記運搬装置は、前記投入手段によって前記格納手段に投入される嫌気性ガスを冷却する排気冷却手段を更に備え、
前記制御記憶手段は、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、前記排気手段、温度調節手段、及び排気冷却手段に対する実行及び停止を制御するための制御情報を記憶し、
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された環境情報に含まれる酸素濃度及び温度が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、前記排気手段、温度調節手段、及び排気冷却手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の運搬装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された環境情報に含まれる酸素濃度、圧力及び温度が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記制御記憶手段によって記憶された制御情報を用いて前記還元細菌散布手段、前記燃焼手段、前記投入手段、前記排気手段、温度調節手段、及び排気冷却手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の運搬装置。
【請求項7】
還元細菌が鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段を有する鉱石を運搬する運搬装置を制御する制御方法において、
鉱石を格納するための格納工程と、
前記格納工程に対して前記鉱石を還元するための前記還元細菌を散布する鉄
還元細菌散布工程と、
前記格納工程において格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計
測する計測工程と、
前記計測工程によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、還元細菌散布工程に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段によって前記還元細菌散布工程を制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする運搬装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータで読取り可能なプログラムであると共に実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、
還元細菌が鉱石の還元を行うために適した環境情報に関する適正範囲を示す適正範囲情報を記憶する適正範囲記憶手段を有する鉱石を運搬する運搬装置を制御する制御方法において、
鉱石を格納するための格納手段と、
前記格納手段に対して前記鉱石を還元するための前記還元細菌を散布する
還元細菌散布手段と、
前記格納手段において格納された鉱石の還元を実施するための環境情報を計
測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された環境情報が、前記適正範囲記憶手段に記憶された適正範囲情報に含まれるか否かを判定した後、前記判定結果に基づいて、前記適正範囲記憶手段によって記憶される適正範囲情報及び前記適正範囲情報以外の適正範囲外情報に対応させて、還元細菌散布手段に対する実行及び停止を制御する制御情報を記憶する制御記憶手段によって前記還元細菌散布工程を制御する制御手段と、
として機能することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8で記載されたプログラムを記憶したコンピュータで読取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−122179(P2011−122179A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278430(P2009−278430)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】