説明

銀含有抗菌性布地

局所的に適用された銀系抗菌性仕上げ剤を有する抗菌性布地を提供する。仕上げ剤は、少なくとも1種の銀イオン含有化合物および少なくとも1種のバインダー化合物を含んでなる。抗菌性布地は、皮膚への擦りつけにより生じる皮膚感染の防止を助ける、皮膚に接する基層衣類として着用される衣類に加工され得る。また、この衣類は、例えば運動競技用防護具のような共同使用物品を共用した後の、ヒトからヒトへの病原菌(微生物)の移行の防止を助け得る。抗菌性布地は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、長期間の抗菌効果を発揮し、また、繰り返し洗濯した後でも抗菌効果を発揮する。更に、銀含有抗菌性布地の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所的に適用された銀系抗菌性仕上げ剤を有する抗菌性布地に関する。抗菌性布地は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、長期間の抗菌効果を発揮し、また、繰り返し洗濯した後でも抗菌効果を発揮する。更に、銀含有抗菌性布地の製造方法も提供する。
【0002】
1つの可能性のある好ましい態様において、銀系抗菌性仕上げ剤は、ポリエステル繊維およびスパンデックス繊維からなるワープニット布地に、局所的に適用される。処理された布地は、理想的には、体にぴったり合う基層衣類、例えばシャツに加工され得る。そのような体にぴったり合う衣類は、抗菌性仕上げ剤の医療的性質を容易に皮膚表面に移すことができ、それにより、病原菌(微生物)の擦りつけまたは移行により生じる皮膚感染を防止または抑制する。例えば、抗菌性衣類は、重装備を連続して携行することによる皮膚剥削からしばしば生じる皮膚感染を防止するのに役立つよう、軍人により着用され得る。加えて、そのような衣類は、フットボールのような陸上競技において遭遇する皮膚感染の防止を助けるのに、理想的であり得る。そのような環境では、フットボール選手は、病原菌、例えば、チームのメンバーによって共用される防護具に既に存在する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に曝され得る。或いは、フットボール選手は、重い防護具を装着することから、皮膚剥削を生じることがあり、従って、皮膚感染が起こる。そこで、基層衣類、特に、皮膚に直に接して着用される衣類が、そのような皮膚感染を防止または抑制するのに役立つと考えられる。更に、そのような衣類は、臭い、特に体臭を減少または除去することにより、発見の防止という最終用途を有するであろう。そのような最終用途には、特殊部隊の軍服や狩猟用衣服が含まれる。
【背景技術】
【0003】
銀含有抗菌剤は、従来から繊維基材に組み込まれており、微生物の増殖を制御する安全で有効な手段として、医療産業において、急速に受け入れられている。以前から、銀は、治癒の促進や感染の予防において、重要な役割を果たしていると認識されていた。例えば、米国特許第3,930,000号は、火傷に伴う菌類および真菌類を殺すための、アラントイン銀亜鉛クリームの使用を開示しており、特開平09-078430号公報は、銀を担持したリン酸ジルコニウムを、抗菌性合成繊維を押出紡糸するための熱可塑性オレフィン系ポリマーメルトに配合することを開示している。このように、表面の利用可能な銀を創傷と接触させると、銀が創傷に入り、傷口の温かい湿った環境で増殖し繁殖する望ましくない菌類および真菌類により摂取される。一旦摂取されると、銀は菌類および真菌類を殺し、それにより、創傷からの感染が防止され、治癒過程が促進される。
【0004】
近年、全国の多くの学校における陸上競技選手が遭遇する、病原菌による皮膚感染の発生が注目されている。2003年10月31日、www.msnbc.msn.com/id/3226747に掲載された論文"Warning On Skin Infections in Athletes"は、特にStaphylococcus aureusによる、選手間の皮膚感染発生の増加を認めている。用具を共用したり、同じタオルを使用したり、または同じベンチに座った場合でさえ、選手によって容易に病原菌が拡散されることが見出された。治療しなければ、或いは始めに予防しなければ、皮膚感染は、どんどん深刻になって、血液、骨または心臓の感染症を招き得る。
【0005】
更に、抗菌性布地が衣類に加工され得る場合、繰り返し洗濯した後でも布地が抗菌効果を発揮することが重要であり得る。場合によっては、そのような衣類は、選手が防護具の下に1日着用して洗濯し、そして別の日に着用する、体にぴったり合う基層衣類であり得る。別の態様では、そのような衣類は使い捨てで、前述のような洗濯耐久性を示す必要がないこともある。例えば、交戦中の軍人がそのような衣類を数日間着用し、その後、洗濯して再び着用することが不可能なため廃棄することもある。従って、このような抗菌性布地は、長期間にわたって抗菌効果を発揮すべきである。
【0006】
皮膚感染部位での病原菌増殖に対する能力と共に、抗菌性布地の別の望ましい特性は、皮膚感染部位から生じる臭いを吸収することである。特に、このような皮膚感染の多くは上半身で起こり、ほぼ常に衣類で覆われているので、皮膚への酸素欠乏が更なる菌類および/または真菌類増殖を招き得る。この増殖はしばしば、より重度の皮膚剥削による感染および望ましくない臭いの発生を招き得る。従って、抗菌性布地は、皮膚感染自体または体臭に起因する臭気を制御する能力を有することが望ましい。
【0007】
その物理的特性を変えることなく対象の繊維に広い汎用性を与えるために、織ったり編んだりする前または後に、布地の各繊維の処理が可能であるので、繊維基材、例えば布地の局所処理は望ましい。しかしながら、このような塗布により、臭気を制御し、ある最終用途において機能性仕様と見なされる洗濯耐久性を与える一方で、制御された量の銀を皮膚剥削部位に放出することに成功したことが証明されなければならない。更に、このような金属化処理において、対象である布地、繊維または糸の表面は非導電性であることが望ましい。金属および金属イオンの存在により、これまで、布地基材に使用するためのこのような機能性非導電性塗膜を得ることは困難であった。
【0008】
布地基材への銀系抗菌性仕上げ剤の局所塗布の成功した試みは、同一人に譲渡された、米国特許第6,584,668号(Greenら);同第09/586,381号(Greenら);同第09/586,081号(Greenら);同第09/589,179号(Greenら);同第09/585,762号(Van Hyning);同第10/307,027号(Kreiderら);同第10/306,968号(Kreiderら);同第10/640,918号(Canadaら);同第10/640,919号(Canadaら);および同第10/640,837号(Canadaら)に記載されている。これら全ての特許および特許出願を参照してここに組み込む。これらの方法の多くの詳細は、以下に記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、対象基材に局所適用された銀系抗菌性仕上げ剤を含む抗菌性布地を実現する方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
得られた抗菌性布地は、皮膚感染の防止または治療を助けるために皮膚剥削部位へ銀を制御放出し、更に、ヒトからヒトへの病原菌の移行を防止する。抗菌性布地はまた、皮膚剥削部位および/または体から生ずる望ましくない臭いを削除または減少する、臭気制御能を示す。抗菌性布地が臭気抑制を示すようにはなってきたが、皮膚剥削によって生じる皮膚感染の防止、および例えば汚染された防護具を介したヒトからヒトへの病原菌の移行防止に関する問題を解決する方法を示すことは今まで行われてなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
基材
銀系抗菌性仕上げ剤を局所塗布するために適当な基材は、繊維、糸および布地を含むが、これらに限定されない。布地は、合成繊維、天然繊維またはこれらの組合せといった繊維から形成され得る。合成繊維は、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアラミド、ポリウレタン、再生セルロースおよびこれらの混紡物を包含する。より詳細には、ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリフェニレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸およびこれらの組合せを包含する。ポリアミドは、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6およびこれらの組合せを包含する。ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびこれらの組合せを包含する。ポリアラミドは、例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド(即ち、Kevlar(登録商標))、ポリ-m-フェニレンテレフタルアミド(即ち、Nomex(登録商標))およびこれらの組合せを包含する。天然繊維は、例えば、ウール、木綿、亜麻およびこれらの混紡物を包含する。
【0012】
布地は、マイクロデニールの繊維および糸(1デニール/フィラメント未満の繊維または糸)を含む、如何なるサイズの繊維または糸からでも形成され得る。繊維または糸は、約1未満〜約2000デニール/フィラメント、好ましくは約1未満〜約500デニール/フィラメント、より好ましくは約1未満〜約300デニール/フィラメントの範囲のデニールを有し得る。
【0013】
更に、布地は、部分的にまたは全体的に、化学的または物理学的作用によって長さ方向に沿って分離され得る、多成分または二成分の繊維または糸からなり得る。布地は、短繊維、フィラメント繊維、スパン繊維またはこれらの組合せといった繊維からなり得る。
【0014】
布地は、限定するわけではないが、織物、編物、不織布またはこれらの組合せを含み得る。布地は、場合により、分散染料による高温ジェット染色、サーモゾル染色、パッド染色、転写捺染、スクリーン捺染のような様々な染色技術、または匹敵する同等の従来繊維製品のための一般的な技術である他の染色技術のいずれかによって、着色され得る。糸または繊維を本発明の方法によって処理する場合、糸または繊維を、布地形成の前または後に適当な方法(例えば、パッケージ染色または原液着色)によって染色してもよいし、染色しなくてもよい。
【0015】
布地基材は、あらゆる種類の着色剤、例えば、顔料、染料、毛染め料などによって、染色または着色され得る。他の添加剤は、布地基材の表面および/または内部に存在し得、帯電防止剤、蛍光増白剤、核剤、酸化防止剤、UV安定剤、充填材、パーマネントプレス加工剤、柔軟剤、滑剤、硬化促進剤などを含む。
【0016】
本発明の1つの態様では、抗菌性衣類を加工するのにワープニット布地を使用する。より詳細には、トリコットワープニット布地を使用する。ワープニット布地を形成するためには、一般に、糸は布地の縦方向に進む。糸はビーム上に縦糸として用意し、各針に1本以上の糸を通す。トリコットワープニット布地は、ワープニットの耐伝線タイプであり、1セットまたは2セットの糸を使用する。潜在的に好ましいトリコットワープニット布地を記載してきたが、本発明に記載されている銀系抗菌性化合物で処理されるワープニット布地はいずれも、上記布地基材物質の全てと同様に、本発明の開示の範囲内であると考えられる。
【0017】
上記した特定のワープニット布地は、抗菌性布地基材として今まで使用されていた材料よりも多くの利点を与える。第1に、該布地は、その合成物含有量にも拘わらず、意外なことに吸収性である。第2に、該布地は合成物であるので、抗菌性衣類は、非常に耐久性であり、天然の同等物より糸くずの発生が少なく、これは、抗菌性衣類自体からの糸くずおよび繊維によって生じる皮膚剥削部位での更なる感染による合併症の可能性が低下することを意味する。第3に、該布地のワープニット構造によって、布地が伸縮して体型にフィットすることが可能となり、それによって、衣類表面に存在する利用可能な銀が皮膚の剥削部位および/または感染部位に物理的に接触できる。従って、抗菌性衣類の医療的性質を良好に利用できる。加えて、該布地は、従来の綿織物と比較すると、非常に薄くて軽い。本発明の布地が薄いので、例えば、軍装備品または運動競技用防護具の下に快適に着用できる基層衣類として使用できる。従って、該衣類は、該装備により既に生じている嵩および厚さを著しく増加させないので、着用者は、より快適かつ気軽に使用できる。これらの利点は、従来技術と比較して有益な進歩である。
【0018】
抗菌剤および他の添加剤
本発明で用いる特殊な処理剤は、少なくとも1つのタイプの銀イオン含有化合物、またはそれと異なったタイプとの混合物を含む。用語「銀イオン含有化合物」は、イオン交換樹脂、ゼオライト、または場合により、他のアニオン種の存在下で結合していた特定の金属イオンを放出する置換ガラス化合物のいずれかを含む。本発明に好ましい銀イオン含有化合物は、Milliken & CompanyからAlphaSan(登録商標)の商品名で入手可能な抗菌性銀・ナトリウム水素リン酸ジルコニウムである。本発明における他の潜在的に好ましい銀含有抗菌剤は、銀ゼオライト(例えば、SinanenからZeomic(登録商標)AJの商品名で入手可能)、銀交換リン酸カルシウム(SangiからApisciderの商品名で入手可能)および銀ガラス(例えば、石塚硝子からlonopure(登録商標)の商品名で入手可能)を含み、好ましい種に加えてまたは代えて使用することができる。他の銀イオン含有物質も使用し得る。ある時間にわたって銀放出速度を「調節」することが望ましい場合、これらの銀含有物質を多様に組み合わせることもできる。
【0019】
一般に、このような金属化合物は、特定の処理組成物の総重量に基づいて、約0.01〜約60%、より好ましくは約0.05〜約40%、最も好ましくは約0.1〜約30%の量で添加される。好ましくは、金属化合物は、約0.01〜約60%owf、好ましくは約0.05〜約30%owf、より好ましくは約0.1〜約10%owf、最も好ましくは約0.5〜約5.0%owfの量で添加される。
【0020】
バインダー物質は、対象基材に、抗菌性化合物の極めて有益な耐久性を与える。好ましくは、この成分は、ポリウレタン系の結合剤である。他のバインダー、例えば、パーマネントプレスタイプ樹脂またはアクリルタイプ樹脂も、特に、変色減少のためにハロゲン化物イオン添加剤と組み合わせて使用され得る。本質的に、このような樹脂は、最良総合特性を示すポリウレタンを用いて、対象基材(例えば繊維または布地)に銀を付着することによって耐久性を与える。
【0021】
臭気受容剤は、臭気吸収剤および/または臭気吸着剤であり得る。臭気吸収剤は、臭気を受容し、その臭気を製剤内に閉じ込める。臭気吸着剤は、臭気を受容し、その臭気を製剤外面に保持する。臭気受容剤は、粒状の臭気受容剤、例えば活性炭、炭、ゼオライト化合物などであり得る。粒状の臭気受容剤は、臭い物質を受容するための大きい表面積を提供する。本発明の活性炭に転化できる炭素質材料は、例えば、木炭(軟炭)、ヤシガラ炭、コークス、泥炭、石油留分、ウッドチップ(おがくず)などのような材料を含む。あまり一般的ではないが、活性炭を製造するために使用できる他の材料は、自動車タイヤ、ホンビノスガイ、コーヒーかす、トウモロコシの穂軸、プラスチック廃棄物、下水汚泥、藁、スイレンなどを含む。活性炭の特性は、適当な細孔サイズおよび大きい表面積により通常は向上する。一般に、臭気受容剤の粒子サイズが小さい方が、臭気受容能力が優れている。
【0022】
対象基材への銀の総付加濃度は、100ppm以上であり得る。より好ましくは、銀の総付加濃度は、500ppm以上であり得る。対象基材への銀付加濃度の上限が存在することは、見出されていない。しかしながら、皮膚感染自体を考慮し、過剰の銀による炎症部位または抗菌性衣類を着用しているヒトへの刺激を回避すべきである。
【0023】
応用方法
好ましい方法では、銀イオン含有化合物、例えば、好ましい化合物として、AlphaSan(登録商標)、Zeomic(登録商標)またはlonopure(登録商標)を利用し(ただし、銀イオン供給化合物の類似タイプも利用できる。)、バインダーと混合して、後に対象基材を浸す溶液を形成する。
【0024】
適当なバインダー樹脂は、非イオン性パーマネントプレスバインダー(即ち、限定するわけではないが、SequaからPermafresh(登録商標)の商品名で入手可能な架橋イミダゾリジノンを含む架橋接着促進化合物)、または弱アニオン性バインダー(限定するわけではないが、Rohm & HaasからRhoplex(登録商標)TR3082の商品名で入手可能なアクリル樹脂)からなる群から選び得ることが、まず見出された。他の非イオン性および弱アニオン性のバインダーも適当であり、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ユリア樹脂、エトキシル化ポリエステル(例えば、RhodiaからLubril QCX(登録商標)として入手可能)などを含む。しかしながら、このように処理された基材の耐久性および制御された銀の放出は制限されることが見出された。
【0025】
銀放出に関する優れた耐久性および制御が、このタイプの抗菌性衣類用途に望ましいことが見出された。銀イオンが一度に迅速に放出されるのではなく、長期にわたってゆっくりと放出されるように、抗菌性布地が銀イオンの制御放出を示すことが望ましい。従って、これらの従来の比較処理剤を、様々な他のタイプと比較した。最後に、ある種のポリウレタンバインダー(例えば、Crompton Corporation製Witcobond(登録商標))およびアクリルバインダー(例えば、BF Goodrich製Hystretch(登録商標))が、銀イオンの最良総合的な耐久性および制御放出を可能にすることが見出された。
【0026】
このような特定のポリウレタン系バインダー材料を利用することによって、処理した基材の抗菌特性は、処理した基材の変色なしに、細菌を殺すために制御して放出され得る表面の利用可能な銀の量に関して、著しい有効性を維持した。しかしながら、ポリウレタン系バインダー樹脂の使用が、その銀放出およびバイオニュートラル特性によって好ましいことが一般に明白であるが、実際には、本質的に皮膚剥削部位および/または皮膚感染部位に有毒ではないバインダー樹脂を使用し得る。
【0027】
耐久性のある抗菌性金属処理を施した布地表面を提供する許容できる方法は、銀イオン含有化合物およびポリウレタン系バインダー樹脂の、これらの混合溶液からの塗布である。実際には、この化合物と樹脂との混合物は、噴霧、浸漬、パディング、フォーミングなどによって塗布され得る。
【0028】
銀イオン局所処理は、大気条件への暴露後の黄色化、茶色化、灰色化、および場合により黒色化を生じ得ることが認められている。銀イオンは、一般に、遊離アニオンとの反応性が高く、銀イオンと反応したほとんどのアニオンは色を生じるので、遊離アニオン種と銀イオンとの相互作用による問題のある色の生成を、特に染浴液中で、完全には防げないとしても、削減する方法が要求された。従って、それ自体が変色せず、バインダーおよび/または銀イオン化合物と直接反応せず、特定の化学的理論に縛られるわけではないが明らかに銀イオンとの無色の塩を与えるよう反応する、添加剤の含有が極めて望ましいことが理論付けられた。しかしながら、ある種の最終用途では、変色防止がそれほど重要ではなく、変色を低減する添加物の必要性がない場合があることに注意すべきである。
【0029】
この結果を実現する種々の方法が、同一人に譲渡された米国特許出願第10/307,027号、同第10/306,968号および同第10/418,019号に記載されており、これら全てを引用してここに組み込む。これらの特許出願は、銀イオン局所処理において、銀イオンと反応して無色の塩を生じるための、例えば塩化マグネシウムのような金属ハロゲン化物由来のハロゲン化物イオンを含む方法を記載している。他の例は、塩化カルシウムおよび塩化アンモニウムを包含する。
【0030】
ナトリウムイオンは、無色のハロゲン化銀の生成を妨げ、遊離銀イオンに、望ましくないアニオンとその後反応できる能力を与えるので、(銀イオンと等価であり、ハロゲン化物イオンとの反応において銀イオンと競争する)ナトリウムイオンの存在は回避されるべきであることを除いては、例えば、金属ハロゲン化物(例えば塩化マグネシウム)またはハロゲン化水素酸(例えば塩化水素)由来のハロゲン化物イオンの含有は、上記のような結果を与える。従って、一価のナトリウムイオン(および、時として他の一価のアルカリ金属イオン、例えば、カリウム、セシウムおよびリチウム)の存在は、必要水準の変色低減をもたらさない。一般に、仕上げ剤組成物中、特に溶媒(例えば水)中の20ppm以上のナトリウムイオン量は、局所的に塗布した抗菌性処理剤の変色防止に有害である。従って、用語「実質上ナトリウムイオン不含有」は、20ppmの閾値未満、より好ましくは5ppm未満の存在を示すのに用いられる。
【0031】
更に、二価または三価(および幾つかの一価)の金属ハロゲン化物は、仕上げ剤組成物中に十分な量で存在する場合、ナトリウムイオン汚染の幾つかの影響を打ち消す。従って、多量のナトリウムイオンまたは同様のアルカリ金属イオンが、仕上げ剤組成物中に存在する場合、多量の金属ハロゲン化物(例えば、塩化マグネシウム)を、例えば、変色が適当に防がれる程度にまで組成物に添加して相殺させ得る。加えて、ハロゲン化物アニオン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物で、塩化物が最も好ましい)およびハロゲン化物酸(例えば、HCl、HBrなど)と組み合わせた、他の金属イオン全て(二価、三価などであって、マグネシウムのような二価が最も好ましい)は、変色防止に可能性のある添加剤である。
【0032】
塩化物イオンの濃度は、銀イオン含有化合物中の利用可能な遊離銀イオンとのモル比に関して調整される。塩化物の銀イオンに対する比の範囲は、適当な変色防止のためには、1:10〜5:1、好ましくは1:2〜約2.5:1である。また、銀イオンに対するモル比においてより高濃度の金属ハロゲン化物を、仕上げ剤組成物自体内で過剰なアルカリ金属イオン量を打ち消すために添加し得る。
【0033】
下記実施例は、本発明の抗菌性布地を更に説明するが、記載した請求項により規定される本発明を制限すると解釈すべきではない。下記実施例における全ての部およびパーセントは、特に記載のない限り重量による。
【実施例】
【0034】
下記実施例で使用した布地は、サウスカロライナ州スパータンバーグ在Milliken & Companyから入手可能なトリコットワープニット布地であり、約8.6オンス/リニアーヤードの布地重量を有する。布地は、連続した40デニール/24フィラメントのカチオン可染ポリエステル繊維および40デニールのスパンデックス繊維からなっていた。ポリエステル繊維はワープニット布地の79%を構成し、スパンデックスはワープニット布地の21%を構成していた。布地は、標準的な技術および当業者に既知の装置を用いてジェット染色された緑色であった。
【0035】
銀系イオン交換化合物AlphaSan(登録商標)(サウスカロライナ州スパータンバーグ在Milliken & Companyから入手可能)を含む抗菌性仕上げ剤を、対象基材の局所塗布のために調製した。その配合を以下に示す。
【表1】

【0036】
実施例1
組成物を、パッドおよびニップロールによってワープニット布地に塗布した。布地の含浸率は約30〜35%であった。以下に示すような様々な特性について、実施例1の試料を試験した。
【0037】
実施例2
組成物を、布地表面へのフォーム塗布によってワープニット布地に塗布した。以下に示すような様々な特性について、実施例2の試料を試験した。
【0038】
実施例3
組成物を、布地裏面へのフォーム塗布によってワープニット布地に塗布した。以下に示すような様々な特性について、実施例3の試料を試験した。
【0039】
冷水による家庭での洗濯方法(AATCC Method 130-1995)
Staphylococcus aureusおよびKlebsiella pneumoniaeの両方に対する抗菌効果に関する洗濯耐久性のために、実施例1の試料を試験した。洗濯方法は、約65〜約70°Fの温度の水を用いて、AATCC Method 130-1995に従って行った。
【0040】
テスト微生物
布地に局所塗布された抗菌性仕上げ剤のグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対する有効性を説明するために、グラム陽性菌およびグラム陰性菌を選択した。グラム陽性菌は、限定するわけではないが、Staphylococcus aureus、Clostridium perfringensおよびBacillus cereusを包含する。グラム陰性菌は、限定するわけではないが、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coliおよびPseudomonas aeruginosaを包含する。下記実施例では、抗菌効果試験のために、Staphylococcus aureusおよびKlebsiella pneumoniaeを選択した。しかしながら、他のグラム陽性菌およびグラム陰性菌も、下記実施例によって説明した抗菌効果と同等の抗菌効果を示すであろうということが、本発明の範囲内であることは理解されるべきである。
【0041】
抑制ゾーン試験
Kirby-Bauer Agar-Diffusion Assay(Bauer AW, Kirby WM, Truck M. "Antibiotic susceptibility testing by a standardized single disc method." American Journal of Clinical Pathology 1966;45:493.)に基づいた標準の抑制ゾーン試験を用い、Staphylococcus aureus ATCC #6538およびKlebsiella pneumoniae ATCC #4362に対して、実施例1の試料を試験した。100mMのNa/Kリン酸緩衝液に希釈したテスト微生物約5E5細胞/mlの一晩培養物0.5mlを広げることによって、トリプチケースソイ寒天(TSA)または感受性テスト(DST)用寒天を含むペトリ皿に接種した。次いで、約1インチ四方の実施例1の布地を、各寒天プレートの中央に置いた。寒天プレートを37℃で24時間培養した。ある場合では、抗菌特性は有さないが、実施例1と同じ構造の未処理布地も試験した。
【0042】
トリプチケースソイ寒天に、0.01%のトリフェニルテトラゾニウムクロリド(TTC)を添加した。TTCは、活性代謝微生物によって不溶性の赤色に変換される、無色の化合物である。プレートを24時間培養し、TTCの赤色コロニー形成を観察した。
【0043】
抑制ゾーン試験(ZOI Assay)は、布地に組み込まれた抗菌剤の性能の定性的評価(試料の下での増殖の程度)および定量的評価(mm単位でのゾーンサイズ)の両方を与える。試料の下での増殖の程度は、密集(不活性)、まだらまたは孤立(静菌性)、或いは無し(殺菌性)により評価され得る。未処理の対照布地と比較して、特定の微生物について抑制された増殖が試料の下で観察される場合、該微生物は感受性であるとみなされ、抗菌剤は有効である(静菌性)。観察される場合、抑制ゾーンの大きさは、製剤の本来の効果および寒天培地マトリックスの全体にわたる製剤の拡散の両方を測定したことになる。一般に、抑制ゾーンがより大きければ、微生物殺菌において布地試料がより有効である。抑制ゾーン試験は、7日間にわたって高濃度バクテリアの複合的な攻撃に布地を曝すことによって、模擬的臨床応用における抗菌性布地の効果を測定するために使用され得る(表2Aおよび表2Bに暴露結果を示す)。
【0044】
4回測定(正方形試料の四辺各々から1回測定)した平均により表した以下の表2Aおよび2Bに示した結果並びに図1〜4は、AlphaSan(登録商標)RC 2000を含む本発明の実施例1〜3が、2つの異なった寒天培地において、テスト微生物両方に対して抗菌活性であることを示している。TSA/TTC培地上のZOIは、一般に、DST培地を用いた場合より狭い。この結果は、DST寒天培地の方がより遠くに銀イオンを移動させるという、組成物の相違によると考えられる。布地の表面および裏面の両方が、6〜8mmのZOIという著しい効果を示した。布地の裏面と比較すると、布地の表面において、僅かに広いZOIが測定された。未処理布地を用いた前述の試験では、ZOIが存在しないか、または試料の下での増殖の抑制は観察されなかった(データの記載無し)。
【0045】
【表2A】

【0046】
【表2B】

【0047】
繰り返し抑制ゾーン試験
Kirby-Bauer Agar-Diffusion Assayに基づいた標準の抑制ゾーン試験を用い、Staphylococcus aureus ATCC #6538およびKlebsiella pneumoniae ATCC #4362に対して、実施例1の試料を試験した。テスト微生物の一晩培養物を100mMのNa/Kリン酸緩衝液に希釈して、約5E6細胞/mlの濃度にした。感受性テスト(DST)用寒天を含むペトリ皿に、細胞懸濁物0.1mlを接種し、1時間培養した。次いで、約1インチ四方の実施例1の布地を、各寒天プレートの中央に置いた。寒天プレートを37℃で24時間培養した。ゾーン測定後、布地を新たなDSTプレートに移し、上記と同じ微生物を接種した。布地を10日間にわたって7回、新たな寒天プレートに曝した。従って、抑制ゾーン試験は、長期間にわたって高濃度バクテリアの複合的な攻撃に布地を曝すことによって、模擬的臨床応用における抗菌性布地の効果を測定するために使用され得る。一般に、抑制ゾーンがより大きければ、微生物増殖の抑制において布地試料がより有効である。
【0048】
正方形試料の四辺から4回測定した平均により表した以下の表3Aおよび3Bに示した結果は、AlphaSan(登録商標)RC 2000を含む本発明の実施例1の試料が、家庭での洗濯後の繰り返し暴露において、各種微生物に対して抗菌活性であることを示している。洗濯前の布地は、5回の暴露にわたって、時間と共にZOIが減少しながらも抗菌効果を示した。洗濯した布地の有効性は1回暴露において良好であったが、続く暴露では比較的迅速に有効性が消滅した。未処理布地を用いた前述の試験では、ZOIが存在しないか、または試料の下での増殖の抑制は観察されなかった(データの記載無し)。
【0049】
実施例1の試料の洗濯耐久性は、少なくとも1回家庭で洗濯した後の、少なくとも1mmのグラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対する抑制ゾーンによって説明された。しかしながら、表3Aおよび3Bは、実施例1の試料がこの最低要求を上回り、少なくとも5回家庭で洗濯した後、少なくとも5mmのZOIを有して、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対する洗濯耐久性を維持したことを示している。「nd」と記載した試験データは、「測定せず」を意味する。
【0050】
以下の表3Aおよび3Bの結果は、抗菌性仕上げ剤が洗濯耐久性である(このことは、ある種の最終用途において重要であり得る。)ことを示す一方で、使い捨て抗菌性衣類が望まれ得ることも考えられる。このような場合、洗濯耐久性は重要ではない。代わりに、そのような衣類は、表3Aおよび3Bに家庭で洗濯する前の実施例1の試料によって示されるように、長期にわたって、かつ微生物への繰り返し暴露において、銀の制御放出を示すことが最も望まれ得る。
【0051】
【表3A】

【0052】
【表3B】

【0053】
銀溶出試験
表面の利用可能な銀の制御可能な放出能力を測定するために、実施例1の試料を試験した。
1リットル容のフラスコ内で、144.46gのリン酸ナトリウムを71.18gのリン酸カルシウムと混合することによって、リン酸緩衝液(PBS)の10倍濃度貯蔵抽出溶液を調製した。次いで、フラスコ内容物が合計容量1000mlになるまで、脱イオン水を1リットル容のフラスコに添加した。全ての塩が完全溶解するまで、フラスコ内容物を撹拌棒で混合した。続いて、100mlの10倍濃度PBSを脱イオン水を用いて1000mlに希釈することによって、10倍濃度PBS貯蔵抽出溶液を1倍濃度に希釈した。
その後、10gの布地を、1倍濃度PBS抽出緩衝液100mlが入った容器に、37℃で24時間浸した。次いで、布地表面から離脱した利用可能な銀を測定するため、抽出溶液を原子吸光分光光度計によって分析した。
【0054】
実施例1の試料は、24時間にわたって布地表面から、布地のcmあたり銀7.3μgを制御放出した。従って、抗菌性布地が24時間にわたって約50μg/cm未満の銀を放出することが望ましい。抗菌性布地が24時間にわたって約25μg/cm未満の銀を放出することがより望ましい。更に、抗菌性布地が24時間にわたって約10μg/cm未満の銀を放出することが最も望ましい。
【0055】
総ALPHASAN(登録商標)含有量試験
塗布処理によって実施例1の布地に移動した活性ALPHASAN(登録商標)化合物の量を、下記の灰化法を用いて測定した。
【0056】
灰化法では、布地試料(重さ約10g、4桁の有効数字で測定)を、清浄な乾燥したるつぼに入れた。布地試料を含むるつぼをマッフル炉に入れ、3℃/分で750℃まで温度を上げた。次いで、温度を750℃で1時間維持した。その後、この系を冷却し、デシケーターにるつぼを移動して平衡温度に到達させた。続いて、るつぼの重さを測定した。
【0057】
灰化法では、その後、布地試料をるつぼ内ですりつぶし、約0.1g重(再び4桁の有効数字で測定)の均一な試料を得た。4mlの50%HNO、続いて10滴の48%HFを試料に添加した。試料を、完全に溶解するまで、プラチナ製るつぼ内でホットプレート上で加熱した。次いで、試料溶液を、100ml容のフラスコに移した。
【0058】
その後、るつぼを5%HNOで濯ぎ、濯いだ溶液をフラスコに添加した。溶液を、5%HNOで100ml標線まで希釈した。希釈した溶液を、ポリエチレン製保管容器に移した。所望の活性成分(この場合は銀)の分析を、誘導結合プラズマ装置(例えば、Perkin Elmer Optima 4300DV)を用いて行った。計算方法は当業者に明らかである。
【0059】
実施例1の試料は、布地重量に基づいて1.57%の活性ALPHASAN(登録商標)化合物(即ち、全ての銀)を示した。
【0060】
試験データは、抗菌性仕上げ剤が局所塗布された本発明の銀含有抗菌性布地が、(a)繰り返し暴露および(b)繰り返し洗濯後に、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方の増殖を有効に抑制することを説明している。また、24時間銀溶出試験の際に、過剰量の銀が即時放出されなかったので、布地は銀の制御放出を示している。従って、以上の説明および実施例は、抗菌効果、銀の制御放出、臭気吸収および不変色の望ましい特性を有する、抗菌的に有効な洗濯耐久性銀含有衣類を実現するためには、局所抗菌性仕上げ剤を布地基材に適用すればよいことを示している。
【0061】
更に、特定の最終用途のための最適な特性を得るために、抗菌性仕上げ剤を調整できることは、本発明の範囲内であると考えられる。例えば、水分は布地表面からの銀の放出を促す傾向があるので、布地からの銀の初期放出を増加させるために、布地の水分保持能を増加させることができる。これは、布地の短期間使用、或いは使い捨て布地において理想的であり得る。別の選択では、抗菌性仕上げ剤中の塩化マグネシウム量の増加を含む。これは、布地表面からの銀放出減少を招き得る。これは、布地の長期間使用用途および色安定性が重要な用途において理想的であり得る。従って、抗菌性仕上げ剤を構成する様々な成分の存在および厳密な量は、特定の最終用途に最適である銀含有抗菌性布地を得るために、必要に応じて変化できる。
【0062】
本発明のために、これらおよび他の修正および変更が、本発明の意図および範囲から外れることなく、当業者によって行われ得る。また、当業者は、上記詳細が、例示のみの目的であり、請求項に記載した本発明の範囲を制限するために示すのではないことを、正しく認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】TTC含有TSAプレート上で、Staphylococcus aureus ATCC #6538に対する試験を行った場合の、本発明の実施例1の抑制ゾーンの結果を示す。
【図2】DST寒天プレート上で、Staphylococcus aureus ATCC #6538に対する試験を行った場合の、本発明の実施例1の抑制ゾーンの結果を示す。
【図3】TTC含有TSAプレート上で、Klebsiella pneumoniae ATCC #4362に対する試験を行った場合の、本発明の実施例1の抑制ゾーンの結果を示す。
【図4】DST寒天プレート上で、Klebsiella pneumoniae ATCC #4362に対する試験を行った場合の、本発明の実施例1の抑制ゾーンの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する洗濯耐久性銀含有抗菌性布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示し、仕上げ剤は抗菌特性を示す、布地。
【請求項2】
布地は、24時間で約25μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項3】
布地は、24時間で約10μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項4】
布地は、グラム陽性菌に対して、約1mm〜約10mmの抑制ゾーンを示す請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項5】
布地は、グラム陰性菌に対して、約1mm〜約10mmの抑制ゾーンを示す請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項6】
仕上げ剤は非導電性である請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項7】
銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物は、イオン交換物質、例えばリン酸銀ジルコニウム、リン酸銀カルシウム、銀ゼオライト、銀ガラスおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項8】
銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物はリン酸銀ジルコニウムである請求項7に記載の抗菌性布地。
【請求項9】
少なくとも1種のバインダー物質は、ポリウレタン系バインダー、アクリル系バインダーおよびパーマネントプレス系バインダーからなる群から選択される請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項10】
少なくとも1種のバインダー物質はポリウレタン系バインダーである請求項9に記載の抗菌性布地。
【請求項11】
布地は、仕上げ剤の化学的不安定性に起因する変色を受けない請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項12】
布地は、臭気吸収剤を含む請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項13】
臭気吸収剤は、活性炭、炭およびゼオライトからなる群から選択される請求項12に記載の抗菌性布地。
【請求項14】
布地は、織物、不織布および編物からなる群から選択される請求項1に記載の抗菌性布地。
【請求項15】
布地は編物である請求項14に記載の抗菌性布地。
【請求項16】
編物はワープニット布地である請求項15に記載の抗菌性布地。
【請求項17】
ワープニット布地はトリコットワープニット布地である請求項16に記載の抗菌性布地。
【請求項18】
ワープニット布地はポリエステル繊維およびスパンデックス繊維の混紡物からなる請求項16に記載の抗菌性布地。
【請求項19】
表面を有する洗濯耐久性銀含有抗菌性ワープニット布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示し、仕上げ剤は抗菌特性を示す、ワープニット布地。
【請求項20】
表面を有する銀含有抗菌性ワープニット布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、
仕上げ剤は抗菌特性を示し、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示し、
被覆抗菌性布地は、家庭で1回洗濯した後、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、少なくとも1mmの抑制ゾーンを示す、ワープニット布地。
【請求項21】
被覆抗菌性布地は、家庭で3回洗濯した後、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、少なくとも1mmの抑制ゾーンを示す、請求項20に記載の抗菌性布地。
【請求項22】
被覆抗菌性布地は、家庭で5回洗濯した後、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、少なくとも1mmの抑制ゾーンを示す、請求項20に記載の抗菌性布地。
【請求項23】
表面を有する洗濯耐久性銀含有抗菌性布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、仕上げ剤は抗菌特性を示し、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す、布地の製造方法であって、
(a)布地基材を供給する工程、
(b)少なくとも1種のバインダー物質を含む仕上げ剤を供給する工程、
(c)仕上げ剤の化学的不安定性に起因する布地基材の変色を起こさないように、仕上げ剤を布地基材の少なくとも一部に適用する工程
を含んでなる方法。
【請求項24】
被覆抗菌性布地は、24時間で約25μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す請求項23に記載の方法。
【請求項25】
被覆抗菌性布地は、24時間で約10μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す請求項23に記載の方法。
【請求項26】
仕上げ剤は非導電性である請求項23に記載の方法。
【請求項27】
銀イオンを放出する化合物は、リン酸銀ジルコニウム、リン酸銀カルシウム、銀ゼオライト、銀ガラスおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項28】
銀イオンを放出する化合物はリン酸銀ジルコニウムである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種のバインダー物質は、ポリウレタン系バインダー、アクリル系バインダーおよびパーマネントプレス系バインダーからなる群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1種のバインダー物質はポリウレタン系バインダーである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
被覆抗菌性布地は、グラム陽性菌に対して、約1mm〜約10mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項32】
被覆抗菌性布地は、家庭で1回洗濯した後、グラム陽性菌に対して、約1mm〜約7mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項33】
被覆抗菌性布地は、家庭で3回洗濯した後、グラム陽性菌に対して、約1mm〜約6mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項34】
被覆抗菌性布地は、家庭で5回洗濯した後、グラム陽性菌に対して、約1mm〜約5mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項35】
被覆抗菌性布地は、グラム陰性菌に対して、約1mm〜約10mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項36】
被覆抗菌性布地は、家庭で1回洗濯した後、グラム陰性菌に対して、約1mm〜約8mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項37】
被覆抗菌性布地は、家庭で3回洗濯した後、グラム陰性菌に対して、約1mm〜約6mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項38】
被覆抗菌性布地は、家庭で5回洗濯した後、グラム陰性菌に対して、約1mm〜約6mmの抑制ゾーンを示す請求項23に記載の方法。
【請求項39】
表面を有する洗濯耐久性銀含有ワープニット抗菌性布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、仕上げ剤は抗菌特性を示し、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示す、布地の製造方法であって、
(a)ワープニット布地を供給する工程、
(b)少なくとも1種のバインダー物質を含む仕上げ剤を供給する工程、
(c)仕上げ剤の化学的不安定性に起因するワープニット布地の変色を起こさないように、仕上げ剤をワープニット布地の少なくとも一部に適用する工程
を含んでなる方法。
【請求項40】
表面を有する銀含有ワープニット抗菌性布地であって、その表面の少なくとも一部は仕上げ剤により被覆されており、
仕上げ剤は、銀イオンを放出する少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のバインダー物質を含んでなり、仕上げ剤は抗菌特性を示し、
被覆抗菌性布地は、24時間で約50μg/cm未満の制御された銀イオン放出速度を示し、
被覆抗菌性布地は、家庭で1回洗濯した後、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して、少なくとも1mmの抑制ゾーンを示す、布地の製造方法であって、
(a)ワープニット布地を供給する工程、
(b)少なくとも1種のバインダー物質を含む仕上げ剤を供給する工程、
(c)仕上げ剤の化学的不安定性に起因するワープニット布地の変色を起こさないように、仕上げ剤をワープニット布地の少なくとも一部に適用する工程
を含んでなる方法。
【請求項41】
請求項23に記載の方法の製品。
【請求項42】
請求項39に記載の方法の製品。
【請求項43】
請求項40に記載の方法の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−514827(P2008−514827A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533548(P2007−533548)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/033009
【国際公開番号】WO2006/036581
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】