説明

銀鏡塗装用のスプレーガン

【課題】 二頭式のスプレーノズルガンでの銀鏡塗装工程は、工程1、第一活性液を塗布する。工程2、水洗いをする。工程3、第二活性液を塗布する。工程4、銀鏡液塗布する。工程5、水洗いをする。工程6、リンスする。工程7、水洗いをする。工程8、エアーブローする。工程4で二個のノズル孔からA液とB液を同時に噴射する。外部混合のために塗出量バランスが変化し、青スジ、白モヤ、黄変等の如く、製品として不具合とバランスの悪さは同時に被塗物面との密着不良の原因となる。
【解決手段】 本発明は、スプレーガンのガン先端部の混合室に設けた薬液ジョイント部に接続した分岐管にA液とB液の第一、第二配管を接続し、第一配管か第二配管の何れかに純水用の第三配管を接続し、混合室で混合した混合液をガン先端部に開設した噴射口より噴射し、混合室の噴射口周辺に空気孔を複数個開設し、空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀鏡塗装用のスプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の銀鏡塗装用のスプレーガンは、二頭式のスプレーノズルガン(二頭式のスプレーガン)であり、この銀鏡完成までにおける工程は、次の工程が一般的であった。
【0003】
以下、工程の順序を、工程1〜工程8とする。工程1は、第一活性液を塗布する(銀鏡に反応させるための促進剤)。工程2は、水洗いをする(工程1の不要物の洗い流し)。工程3は、第二活性液を塗布する(銀鏡反応を安定させる)。また、工程4は、銀鏡液(A液とB液を同時に噴射)塗布する(クロームメッキ調に仕上る)。工程5は、水洗いをする(余分な液を洗い流す)。工程6は、リンスする(銀鏡液の安定剤としての役割)。また、工程7は、水洗いをする(仕上げ洗い)。最後に、工程8は、エアーブローする(水きり)。そして、前記工程4で一体化した二個のノズル孔からA液とB液を同時に噴射することにより、被塗装物に銀鏡面が形成する(このスプレーノズルガン「スプレーガン」は、外部混合方式でなる二頭式のスプレーガンである。この二頭式のスプレーガンは、被塗装物面において、A液とB液を外部混合することで、この被塗装物に銀鏡反応させるため、次のような難点がある。
[1] 外部混合のためA液と、B液の塗出量バランスがしばしば変化することにより、結果として、例えば、青スジ、白モヤ、黄変等の如く、製品として不具合が生じることがある。
[2] バランスの悪さは同時に被塗物面との密着不良の原因ともなり、やはり製品にならない。
[3] 上記1、2のようなことがしばしば起きるということは薬液剤のロスにも繋がる。
[4] 二頭式のスプレーガンは、その構造上、重量があり、通常のスプレーガンよりも扱いにくい。
[5] 50cm角以上の平板に銀鏡塗装する場合、特にムラが出やすい。
【0004】
上記に鑑み、本発明は、前記二頭式のスプレーガンの問題[1]〜[5]で示した、5項目の難点を解消するために、最大の改良点は、外部混合スプレーノズル方式を内部混合スプレーノズル方式に切換え、A液と、B液を内部混合する構造とすることで、従来の二頭式のスプレーガン方式から一頭式のスプレーノズルガン方式(一頭式のスプレーガン方式)に切換えることを目的とする。
【0005】
そして、この目的を達成するために、次の構造を採用する。[イ] 薬液流路切換え(変換)用のコックの新規開発を図る。[ロ] スプレーガンの内部を銀鏡薬液の混合液が流れるため、このスプレーガン内部(混合室の内壁)に、特殊なメッキ処理、又は各種コーティング処理(ハードクローム、無電解ニッケル、ニッケルボロン、テフロン(テフロンは登録商標)ニッケル、セラミックカニゼンレイデント等)を施すことにより、内部混合を可能にした。[ハ] 銀鏡面形成後において、水洗で、スプレーガンの噴射孔、混合室と、配管を洗浄できるようにするために、開発した薬液流路切換えコックを付け、銀鏡後のスプレーガン等の洗浄を可能にした。[ニ] スプレーガンの混合室内部、又はA液用の第一配管と、B液用の第二配管に電流を流し、混合室内の混合液を陰極とし、このスプレーガンを陽極とすることで、この混合室内の陰極の混合液を強制的に排出することで、この混合液の残留と、内壁への付着を皆無とする。[ホ] 以上の構造を採用することで、過去に開発したものよりも格段に向上した銀鏡塗装用のスプレーガンを提供できる。
【0006】
続いて、二頭式のスプレーガンに関する従来技術を開示する。
【0007】
文献(1)は、特開平9−327640号の「二液混合型塗料用エアースプレーガン」であり、スプレーガンのガン先端部に混合室を形成し、この混合室に塗料と触媒用のホース(流路)を接続し、また、この混合室にプロペラを内設し、この混合室の二液の均一に撹拌、かつ混合すること、そして、このガン先端部の先端部に空気孔と、二液噴射孔を設ける構造である。この発明は、混合室の二液の硬化回避と、二液の均一に撹拌、かつ混合すること、等を意図する。しかし、この発明は、混合室にプロペラを内設することから、構造が複雑となること、残留液の排除と付着に対する手段が十分でないこと、等の改良点が考えられる。
【0008】
また、文献(2)は、特開2000−140717の「二液混合式携帯用スプレーガン」であり、ガン本体に設けたバルブユニットを、レバーで操作することで、二液の同時供給と、その混合を図り、この混合液をノズル孔から噴射することを特徴とする。この発明は、構造の簡略化と、小型化と、小さく力で、二液の供給と混合を図り、かつ使用時の疲労の軽減化、等を図ることを意図する。しかし、この発明は、同時にバルブユニットを開閉することで、簡便性と小さい力での操作と考えられるが、このバルブユニットを内装するに際し、スプレーガンの幅が拡大することが考えられ、このスプレーガン自体の重量が増えることでの把持における疲労が考えられる。また、スプレーガンにバルブユニットを内装するので、構造が複雑化すること、組付けの難易度が高くなること、等の技術的な問題を抱えていると考えられる。
【0009】
さらに、文献(3)は、特開2000−189850の「2液用スプレーガン」であり、スプレーガンのガン先端部に塗料ジョイントを設け、この硬化剤ジョイントに硬化剤チューブ(ホース)を接続し、この硬化剤を圧縮空気の流路中に噴霧するとともに、圧縮空気がノズルから噴出する際に、塗料ジョイントに接続するチューブ(ホース)からの主剤を霧化し、かつ噴霧した硬化剤に混合する構造である。そこで、さらに詳述すると。引金でレバーを操作し弁棒を押込み弁部のシート部から開離し、硬化剤が硬化剤ジョイントから供給穴を通って空気流路へ供給されるとともに、この空気流路へ供給される霧化空気と混合された状態で空気キャップの空気穴から噴出し、ノズル穴から噴出する主剤を霧化するとともに硬化剤を混入させる構造であるので、二液を、混合室で予め混合した後に、噴霧する構造でない。従って、この二液の確実な混合と、また、品質の安定した塗装は、期待できないものと考えられ、改良の余地があり得る。
【0010】
【特許文献1】特開平9−327640号
【特許文献2】特開2000−140717
【特許文献3】特開2000−189850
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上で説明した、文献(1)〜(3)は、スプレーガンの混合室、又は空気穴(空気噴射口)で混合する構造であるが、この混合室内に残留液付着防止性の構造、例えば、混合室の内壁へのメッキ処理とか、この混合室内への洗浄水の供給手段、或いは混合液への帯電と、スプレーガンへの帯電を図る電極機構等を付設する構造でない。従って、この混合室内に残留液、及び/又は、残留液付着が存在することとなり、この内壁(面)を損傷すること、また、次の塗装時において、トラブルが発生し易いこと、等の問題を抱えている。
【0012】
また、文献(3)の如く、空気穴の近傍で、二液を混合する構造では、十分な混合を図るには、改良の余地が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、前記[イ]と[ハ]の意図を達成することにある。
【0014】
請求項1は、スプレーガン(スプレーノズルガン)のガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、この薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、この第一配管か、第二配管の何れかに、純水用の第三配管を接続する構成とし、また、前記ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液(混合銀鏡液「混合塗装液)を、前記ガン先端部に開設した噴射口(ノズル孔)より噴射するとともに、この混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、この空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0015】
請求項2の発明は、前記[イ]と[ハ]の意図を達成する、具体的な他の構造を提供する。
【0016】
請求項2は、請求項1に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記第一配管と、第二配管、並びに第三配管との間に切換えコックを設け、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を開放した際には、この第三配管を閉塞し、また、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を閉塞した際には、この第三配管を開放する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0017】
請求項3の発明は、前記[イ]と[ハ]の意図を達成することにある。
【0018】
請求項3は、スプレーガンのガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、この薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、この第一、第二配管に、それぞれ純水用の第三、第四配管を接続する構成とし、また、前記ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液(混合銀鏡液「混合塗装液)を、前記ガン先端部に開設した噴射口(ノズル孔)より噴射するとともに、この混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、この空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0019】
請求項4の発明は、前記[イ]と[ハ]の意図を達成する、具体的な他の構造を提供する。
【0020】
請求項4は、請求項3に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記第一配管と、第二配管、並びに第三配管と、第四配管の間に切換えコックを設け、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を開放した際には、この第三配管と第四配管を閉塞し、また、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を閉塞した際には、この第三配管と第四配管を開放する構成としたスプレーガンである。
【0021】
請求項5の発明は、前記[ロ]の意図を達成することにある。
【0022】
請求項5は、請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記混合室の内壁、噴射口、ニードル弁を、メッキ処理か、又はコーティング処理し、潤滑性、及び/又は、残留液付着防止性を発揮できる構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0023】
請求項6の発明は、前記[ニ]の意図を達成することにある。
【0024】
請求項6は、請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記スプレーガンの薬液ジョイント部、又は分岐管、配管の何れかに電流を流し、前記混合室内の混合液を陰極とし、このスプレーガンを陽極とすることで、この混合室内の陰極の混合液を強制的に排出し、この混合室内壁への混合液の残留と付着を皆無とする構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明は、前記[イ]と[ハ]の意図を達成することにある。
【0026】
請求項1の発明は、スプレーガンのガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、第一配管か、第二配管の何れかに、純水用の第三配管を接続する構成とし、また、ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液を、ガン先端部に開設した噴射口より噴射するとともに、混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0027】
従って、この請求項1は、下記の特徴を有する。
[イ] 薬液流路切換え(変換)のコックの新規開発に役立つことが考えられる。
[ハ] 銀鏡面形成後において、水洗で、スプレーガンの噴射孔、混合室と、配管を洗浄できるようにするために、開発した薬液流路切換えコックを付け、銀鏡後のスプレーガン等の洗浄が可能となった。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
第一配管と、第二配管、並びに第三配管との間に切換えコックを設け、切換えコックで、第一配管と第二配管を開放した際には、第三配管を閉塞し、また、切換えコックで、第一配管と第二配管を閉塞した際には、第三配管を開放する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0029】
従って、この請求項2は、請求項1の特徴を達成できる具体的な構造を提供できる。
【0030】
請求項3の発明は、スプレーガンのガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、第一、第二配管に、それぞれ純水用の第三、第四配管を接続する構成とし、また、ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液を、ガン先端部に開設した噴射口より噴射するとともに、混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0031】
従って、この請求項3は、下記の特徴を有する。
[イ] 薬液流路切換えのコックの新規開発に役立つことが考えられる。
[ハ] 銀鏡面形成後において、水洗で、スプレーガンの噴射孔、混合室と、配管を洗浄できるようにするために、開発した薬液流路切換えコックを付け、銀鏡後のスプレーガン等の洗浄が可能となった。
【0032】
請求項4の発明は、請求項3に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
第一配管と、第二配管、並びに第三配管と、第四配管の間に切換えコックを設け、切換えコックで、第一配管と第二配管を開放した際には、第三配管と第四配管を閉塞し、また、この切換えコックで、第一配管と第二配管を閉塞した際には、第三配管と第四配管を開放する構成としたスプレーガンである。
【0033】
従って、この請求項4は、請求項3の特徴を達成できる具体的な構造を提供できる。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
混合室の内壁を、メッキ処理か、又はコーティング処理し、潤滑性、及び/又は、残留液付着防止性を発揮できる構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0035】
従って、この請求項5は、下記の特徴を有する。
[ロ] スプレーガンの内部に銀鏡薬液の混合液が流れるため、そのスプレーガン内部(混合室の内壁)に、特殊なメッキ処理、又は各種コーティング処理(ハードクローム、無電解ニッケル、ニッケルボロン、テフロン(テフロンは登録商標)ニッケル、セラミックカニゼンレイデント等)を施すことにより、内部混合が可能となった。
【0036】
請求項6の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
スプレーガンの薬液ジョイント部、又は分岐管、配管の何れかに電流を流し、混合室内の混合液を陰極とし、スプレーガンを陽極とすることで、混合室内の陰極の混合液を強制的に排出し、混合室内壁への混合液の残留と付着を皆無とする構成とした銀鏡塗装用のスプレーガンである。
【0037】
従って、この請求項6は、下記の特徴を有する。
[ニ] スプレーガンの混合室内部、又はA液用の第一配管と、B液用の第二配管に電流を流し、混合室内の混合液を陰極とし、このスプレーガンを陽極とすることで、この混合室内の陰極の混合液を強制的に排出することで、この混合液の残留と、内壁への付着が皆無となった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】銀鏡塗装装置の一例を示した全体模式図
【図2】銀鏡塗装用のスプレーガンの一例を示した拡大側面図
【図3】図2に示した銀鏡塗装用のスプレーガンのガン先端部を示したさらに拡大した側面模式図
【図4】銀鏡塗装用のスプレーガンの他の一例を示した拡大側面図
【図5】銀鏡塗装装置の他の一例を示した要部の模式図
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1〜図3に示した第一実施例を説明すると、1はスプレーガンで、このスプレーガン1のガン先端部100には、混合室2を内設するとともに、この混合室2には、通路200を介して薬液ジョイント部3が、垂下状に連設される。そして、この混合室2の先端部には噴射口201を有するとともに、この噴射口201はニードル弁5で開閉され、かつこのニードル弁5の開閉は、ハンドル6による。尚、この混合室2は噴射口201に向かって、順次、収れんされた断面構造を示しており、この最終のノズル開口が、噴射口201となり、この噴射口201が、ニードル弁5の先端針部で開閉される。
【0040】
そして、この噴射口201の周辺には、複数の空気孔8が開設、かつ繞設されている。また、この空気孔8は、通路10を介してエアホース11に連通されている。従って、この複数の空気孔8からは、所定の圧力と量の空気が噴射される。
【0041】
前記混合室2の内壁202には、銀鏡薬液用の混合液の流れを確保し、内部混合を可能とすること、又はこの混合液の残留と、残留・流動付着等をなくすために、特殊なメッキ処理か、又はコーティング処理として、例えば、ハードクローム、無電解ニッケル、ニッケルボロン、テフロン(テフロンは登録商標)ニッケル、セラミックカニゼンレイデント等によるメッキ処理か、又はコーティング処理を施す構造とする。
【0042】
また、前記薬液ジョイント部3には、分岐管300(ホース)を介して、A液用の第一配管301(ホース)と、B液用の第二配管302(ホース)が、それぞれ接続されている。そして、このA液用の第一配管301(ホース)には、純水、洗浄水、上水等で望ましくは純水用の第三配管303(ホース)が接続されている。そして、この第一配管301〜第三配管303は、切換えコック13を介して、第一配管301と第二配管302とを同時に開閉するとともに、第三配管303のみを個別に開閉する構造である。即ち、切換えコック13をオンすると、第一配管301と第二配管302とが同時に開放され、かつ第三配管303が閉塞される。また、この切換えコック13をオフすると、第一配管301と第二配管302とが同時に閉塞され、かつ第三配管303が開放される。
【0043】
そして、この切換えコック13と、この第一配管301〜第三配管303、並びに混合室2の噴射口201より混合液の噴霧と、水による混合室2の洗浄とを説明すると、この切換えコック13のオンとハンドル6の引寄せ(緊張)で、混合室2にA液と、B液を供給し、かつこの混合室2において、A液と、B液を混合して、混合液(二液)を生成し、その噴射口201より噴霧するとともに、複数の空気孔8からのエアーの噴射(吐出)と、その陰圧とを介して、ブースA内の塗装物Wに対して、二液を吹付け、銀鏡加工する。また、切換えコック13のオフとハンドル6の引寄せで、混合室2に水を供給し、かつこの混合室2の内壁202を洗浄するとともに、この混合室2に残留、及び/又は、付着する混合液を洗い流し、その噴射口201より吐出するとともに、複数の空気孔8からのエアーの噴射と、その陰圧とを介して、外部に排出する。尚、複数の空気孔8からのエアーの噴射は、ハンドル6か、図示しないスイッチで操作する。
【0044】
また、図2に仮想線で示した一例では、スプレーガン1の薬液ジョイント部3か、又は分岐管300(図示しない)、又はA液用の第一配管301と、B液用の第二配管302(図示しない)に、電極部15を介して、電流を流し、この混合室2内の混合液を陰極(陽極)とし、また、このスプレーガン1に、コード16を介して、電流を流し、陽極(陰極)とすることで、混合室2内の陰極の混合液を強制的に排出し、混合室2内壁への混合液の残留と付着を皆無とする構成は、純水の使用がなく有利性、経済性等があること、また、必要により、第三配管303、切換えコック13を不要とする有益性、経済性等を有する。尚、この図2の一例は、利便性を考えた場合には、第三配管303、切換えコック13との併用もあり得る。
【0045】
そして、図1の如く、ブースAの取付け台A1に設けた塗装物Wを、ポンプA2を介して吸着固止し、銀鏡塗装する一例を説明すると、前記工程1における第一活性液スプレーノズルガンB1を介して、第一活性液を塗布する。続いて、工程2における水洗スプレーノズルガンB2(純水スプレーノズルガン)を介して、水洗いをする。次に、工程3における第二活性液スプレーノズルガンB3を介して、第二活性液を塗布する。その後は、工程4におけるスプレーガン1を介して、例えば、混合銀鏡液(A液とB液を同時に噴射)塗布する(クロームメッキ調に仕上る)。そして、工程5における水洗スプレーノズルガンB2を介して、水洗いをする。また、工程6におけるリンススプレーノズルガンB4を介して、リンスする。また、必要により、工程7における水洗スプレーノズルガンB2を介して、水洗いをする。最後に、工程8におけるエアスプレーノズルガンB5を介して、エアーブローする。尚、排液、排水は、ブースAの底部A3より外部に排出される。この銀鏡処理は、本発明の理解を容易にすることを意図して説明した一例であり、この説明には、何ら、限定されない。
【0046】
図4の第二実施例は、分岐管300に、第一配管301と第二配管302とを、それぞれ接続し、この第一配管301と第二配管302に、第三配管303と第四配管304(望ましくは、純水用の第四配管304)をそれぞれ接続する構造である。そして、この第一配管301と第二配管302に、切換えコック13、13をそれぞれ設ける構造である。この第二実施例は、第一実施例に対して、やや複雑となるが、その特徴と操作は、基本的には、同じである。従って、前述した第一実施例の付帯構造は、この第二実施例にも採用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 スプレーガン
100 ガン先端部
2 混合室
200 通路
201 噴射口
202 内壁
3 薬液ジョイント部
300 分岐管
301 第一配管
302 第二配管
303 第三配管
304 第四配管
5 ニードル弁
6 ハンドル
8 空気孔
10 通路
11 エアホース
13 切換えコック
15 電極部
16 コード
A ブース
A1 取付け台
A2 ポンプ
A3 底部
B1 第一活性液スプレーノズルガン
B2 水洗スプレーノズルガン
B3 第二活性液スプレーノズルガン
B4 リンススプレーノズルガン
B5 エアスプレーノズルガン
W 塗装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーガンのガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、この薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、この第一配管か、第二配管の何れかに、純水用の第三配管を接続する構成とし、また、前記ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液を、前記ガン先端部に開設した噴射口より噴射するとともに、この混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、この空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。
【請求項2】
請求項1に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記第一配管と、第二配管、並びに第三配管との間に切換えコックを設け、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を開放した際には、この第三配管を閉塞し、また、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を閉塞した際には、この第三配管を開放する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。
【請求項3】
スプレーガンのガン先端部に内設した混合室に、薬液ジョイント部を垂下し、この薬液ジョイント部に接続した分岐管に、A液とB液の第一、第二配管をそれぞれ接続するとともに、この第一、第二配管に、それぞれ純水用の第三、第四配管を接続する構成とし、また、前記ガン先端部に内設した混合室で、混合した混合液を、前記ガン先端部に開設した噴射口より噴射するとともに、この混合室の噴射口の周辺に空気孔を複数個開設し、この空気孔より空気を噴射する構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。
【請求項4】
請求項3に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記第一配管と、第二配管、並びに第三配管と、第四配管の間に切換えコックを設け、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を開放した際には、この第三配管と第四配管を閉塞し、また、この切換えコックで、この第一配管と第二配管を閉塞した際には、この第三配管と第四配管を開放する構成としたスプレーガン。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記混合室の内壁を、メッキ処理か、又はコーティング処理し、潤滑性、及び/又は、残留液付着防止性を発揮できる構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。
【請求項6】
請求項1、又は請求項2に記載の銀鏡塗装用のスプレーガンであって、
前記スプレーガンの薬液ジョイント部、又は分岐管、配管の何れかに電流を流し、前記混合室内の混合液を陰極とし、このスプレーガンを陽極とすることで、この混合室内の陰極の混合液を強制的に排出し、この混合室内壁への混合液の残留と付着を皆無とする構成とした銀鏡塗装用のスプレーガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104557(P2011−104557A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264703(P2009−264703)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(509322395)株式会社 ダイテック (3)
【出願人】(509322513)
【Fターム(参考)】