銅エタノールアミン溶液を製造する方法
保存用製剤及び方法、例えば、木材の保存用製剤を提供する。詳細には、金属銅及びモノエタノールアミンから銅モノエタノールアミン水溶液の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示を本明細書に援用する、2003年11月19日に出願した米国仮出願第60/524112号、及び2004年8月13日に出願した米国出願第10/917598号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、保存用製剤及び方法、例えば、木材の保存用製剤の分野のものである。本出願は、特に、金属銅及びエタノールアミンから銅エタノールアミン水溶液を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
防腐剤は、商業用製品及び工業用製品で非常に一般的である。有効で経済的な防腐剤組成物の必要性はよく知られている。微生物の増殖を阻害することが必要な、例えば、シャンプー、コンディショナー、ヘアケア製品、クリーム、ローション、化粧品、石鹸、スキンケア製品などのパーソナルケア製品;洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、及び布柔軟剤などの家庭用品;並びに、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製品などの工業用製品並びに工業用材料、並びに、冷却用潤滑剤としての各種の応用例がある。これらの調製物の貯蔵期間は、微生物による損傷に対する耐性により決まる。さらに、多くの工業用応用例において、抗菌薬は、シーリング材、ロープ、ペーパーポンプ、プラスチック、燃料、油、及びゴム及び金属加工流体中で、並びに木材用防腐剤として有用である。ポンプ及び製紙機及び冷却塔中にて、スライムを発生する細菌及び真菌を抑制することは、商業的に大変、重要な問題である。
【0004】
工業的環境、並びに、工業用材料及び/又は商業用材料において、汚染、分解又は変化を生じ得る微生物の例には、細菌、真菌、酵母、藻類、及びスライム生物体がある。例として以下の属の微生物がある:アルテルナリアテヌイス(Alternaria tenuis)などのアルテルナリア(Alternaria)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)などのコウジカビ(Aspergillus)、カエトミウムグロボスム(Chaetomium globosum)などのケタマカビ(Chaetomium)、カンジダアルビカンス(Candida arbicans)などのカンジダ(Candida)、レンティヌスティグリヌス(Lentinus tigrinus)などのレンティナス(Lentinus)、ペニシリウムグラウクム(Penicillium glaucum)などのアオカビ(Penicillium)、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)などの白癬菌(Trichophyton)、アウレオバシジウムプルルランス(Aureobasidium pullulans)などのアウレオバシジウム(Aureobasidium)、エンテロバクターゲルゴウィアエ(Enterobacter gergoviae)などのエンテロバクター(Enterobacter)、トリコデルマウィリデ(Trichoderma viride)などのトリコデルマ(Trichoderma)、大腸菌(Escherichia coli)などのエスケリキア(Escherichia)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びシュードモナスケパキア(Pseudomonas cepacia)などのシュードモナス(Pseudomonas)、及び黄色ブドウ球菌((Staphylococcus aureus)及びスタフィロコッカスエピデルミダス(Staphylococcus epidermidas、表皮ブドウ球菌)などのブドウ球菌(Staphylococcus)。
【0005】
銅(II)エタノールアミン水溶液又は第二銅エタノールアミン水溶液は、木材の保存、並びに、昆虫及び菌類の攻撃の防止に適用されており、この適用は重要である。この殺生物製剤を用いた製剤は、世界中で使用されている。これらの市販製剤の中には、Copper Azole(タイプA及びB)、Ammonical及び/又はAmine Copper Quat(タイプB、C及びD)、及びCopper HDOがある。銅アミンに加えて通常少なくとも1種の追加の助殺生物剤を含有する木材防腐製剤は、以前に使用された防腐剤系より環境に配慮した、腐朽及び昆虫の攻撃に耐性のある木材用製品を作製することを意図している。
【0006】
木材防腐工業で使用される銅エタノールアミン溶液は、水酸化銅、炭酸銅又は塩基性炭酸銅の何れかの単一成分、又は、これらの混合物を溶解することにより作製される。例えば、米国特許第5527384号及び米国特許第5635217号には、炭酸銅をエタノールアミン水溶液に溶解し、続いて助殺生物剤、テブコナゾール又はプロピコナゾールを添加することが開示されている。しかし、これらの固体を熱乾燥すると、しばしば酸化銅(II)又は酸化第二銅が生成し、これらはエタノールアミン中に不溶性であり、木材防腐製剤において望ましくない。
【0007】
米国特許第6489037号には、銅アミン錯体を含む床被覆の汚染を防止するコーティングが記載されている。木材防腐剤としての銅化合物が、米国特許第6352583号に記載されている。銅化合物及びポリアミンを含有する材木防腐剤が、米国特許第6110263号に記載されている。銅カチオンとアルコキシ化ジアミンの錯体を含む液体木材防腐剤が、米国特許第5426121号に記載されている。銅化合物脂肪族酸及びポリアミンをベースとする木材防腐剤が、米国特許第4857322号に記載されている。水溶性銅塩が米国特許第4808407号に記載されている。
【0008】
油エマルジョン中のクロム酸化ヒ酸銅、アンモニア性ヒ酸銅又はアンモニア性ヒ酸銅亜鉛を含む木材防腐剤が、Hickson Corporationの米国特許第4950329号に記載されている。クロム酸化ヒ酸銅薬を木材中に固定化する方法が、Hickson Corporationの米国特許第4942064号に記載されている。Hickson Corporationの米国特許第5492681号には、銅含有材料及びアンモニアを用いて酸化銅を生成する方法が記載されている。Hickson International Plcの米国特許第5427384号、米国特許第5634967号及びRe.36798には、銅アンモニウム化合物及びテブカノゾールを含む木材防腐剤が記載されている。
【0009】
銅塩は、種々の銅供給源から作製される。例えば、工業的な方法では、スクラップ銅金属、マイクロエレクトロニクス工業からの廃エッチング溶液、又は、その他の銅の高含有の固体若しくは溶液が使用される。銅金属を硫酸に溶解し、続いて炭酸ナトリウムを添加して塩基性炭酸銅(BCC)を生成することができる(H.Remy、Treatise on Inorganic Chemistry、1956、389頁)。同様に、銅金属をアンモニア/炭酸アンモニウム溶液に溶解し、続いてアンモニアを沸騰して除去してBCCを沈殿させることができる。銅塩の水溶液、例えば、塩化銅、硝酸銅等の水溶液に、水酸化ナトリウムを添加することにより、水酸化銅を生成することができる。
【0010】
電解法が記載されている。例えば、J.Errera(Bull.Acad.Belg.、(5)、1、361、1921)には、炭酸水素ナトリウム水溶液に電流を流すことにより、銅アノードにて塩基性炭酸銅を製造する旨が記載されている。
【0011】
PCT WO 01/51683A1には、窒素化合物中への銅の溶解を加速する電気化学的方法が開示されている。この文献には、半透過性膜、及びエタノールアミン溶液により分離された、銅陽極及び銀又は類似物質の陰極の使用が開示されている。系を通して直流電流を流すことにより、銅がエタノールアミン水溶液中に溶解される。エタノールアミン溶液中に銅が得られるが、非常に長時間、例えば45時間かかることが開示されている。この時間の長さは工業的には望ましくなく、工業的には、教示されたものより高い銅濃度が望まれるはずである。
【0012】
銅をアミン溶液中に溶解する旨を上記に記載した。酸素の存在下、アンモニア/アンモニウム塩水溶液と銅金属からアンモニア化銅塩水溶液を生成する反応速度に関して、かなりの研究結果が発表されている。速度論的研究は、Yamasakiにより(E.Yamasaki、Sci.Rep.Tohoku Imp.Univ.Ser.I、9、169(1920))、その後他の人(R.W.Lane及びH.J.McDonald、JACS、68、1699(1946);J.Halpern、J.Electrochem.Soc.、100、421(1953);J.I.Fisher及びJ.Halpern、J.Electrochem.Soc.、103、282(1956);B.C.Y.Lu及びW.F.Gordon、JACS、77、6136(1955);F.Habashi、Ber.Bunsengesellschaft physik.Chem.、67(4)、402(1963);Z.Zembura及びA.Maraszewska、Roczniki Chem.、40、1149(1966);Polish J.of Chem.、59、907(1985);R.D.Williams及びS.D.Light、American Inst.Chem.Eng.、21(1978);及びZ.Zembura、A.Piotrowski、及びZ.Kolenda、J.Applied Electrochem.、20、365(1990))により開始された。
【0013】
Halpern(J.Electrochem.Soc.、100、421(1953))は、アンモニア及びアンモニウム塩濃度、酸素分圧、温度、撹拌速度及び金属銅の幾何学的表面積を変化させる研究を報告した。Halpernは、低酸素濃度では、銅の溶解速度は、酸素の銅表面への移動により決定されると述べた。高酸素濃度では、この溶解速度は、銅表面における化学反応により決定された。
【0014】
発明者がRichardsonらであり、権利者がPhibrotech、Inc.である、2003年11月11日に発行された米国特許第6646147号;2003年8月21日に公開されたPCT WO 03/069025、2003年8月28日に公開された米国特許出願公開2003/0162986、及び、2004年9月30日に公開された米国特許出願公開2004/0191143には、銅含有水性モノエタノールアミン溶液を製造する方法が開示されている。
【0015】
銅エタノールアミン溶液を製造する現在の方法は、長い反応時間及び低い歩留まりを含めた欠点を有している。
【0016】
銅エタノールアミン水溶液を製造する、有用で効率的な方法の必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
金属銅及びエタノールアミンから、銅エタノールアミン水溶液を製造するプロセス、方法及び反応器システムを提供する。また、保存用製剤又は銅エタノールアミン水溶液を提供し、これらは、一実施形態では、木材の保存に使用する。本明細書では、エタノールアミンとモノエタノールアミンとは同じ意味である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
加圧条件下で酸化剤として純粋な酸素を使用することにより、また、この際に、任意選択で銅材料を撹拌することにより、銅が溶解する歩留まりが顕著に増加することを見出した。本出願人らは、いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、加圧された反応条件と反応物を撹拌することとの組合せにより、溶液中に溶解したO2の溶解濃度が上昇し、工業規模で銅を溶解させる能力が大幅に増強したものと考えられる。本明細書で開示される方法を用いて、所望の高濃度の銅モノエタノールアミンを得ることができ、これらの溶液を任意選択で希釈することにより、木材防腐製剤などの種々の防腐製剤を製造することができる。
【0019】
一実施形態では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)酸素、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を反応させ、エタノールアミン塩などのアミン塩を生成することを含む。
【0020】
一実施形態では、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)この混合物中に、酸素、例えば、空気又は純粋な酸素を供給すること、
c)金属銅を溶解するために、この混合物を、例えば、約40〜115℃、40〜100℃、40〜90℃、40〜80℃、60〜90℃、70〜90℃、80〜100℃又は80〜115℃の温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したアルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより生成物が形成されることを含む、容器中で銅エタノールアミン溶液を製造する方法を提供する。
【0021】
ステップa)の成分は、任意の順序で添加することができる。
【0022】
圧力、温度及び反応物濃度を含めた反応条件は、迅速な生成物の生成を促進するように、選択することができる。一実施形態では、空気は、40〜90℃、60〜90℃又は60〜80℃の温度にて、大気圧、又は、50又は75ポンド/平方インチゲージなどの加圧下で、使用される。他の実施形態では、純粋な酸素が、例えば、80〜100℃、若しくは、85〜95℃、若しくは、110℃、若しくは、115℃、又は、これら以上の温度で使用され、この酸素は、例えば1、5、15、20、25、35、45、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で加え得る。
【0023】
また、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)この混合物中に酸素を供給すること、
c)金属銅を溶解するために、この混合物を例えば約40〜115℃、又は、例えば60〜90℃の温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液生成物を形成すること、を含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法を提供する。
【0024】
この二酸化炭素は、例えば、約5〜30重量%、又は例えば約8〜12重量の量で存在する。
【0025】
他の態様では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)空気又は純粋な酸素などの酸化剤、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を反応させることを含み、
この酸化剤を、加圧下で反応に投入し、銅エタノールアミン塩などの銅アミン塩を生成する。特定の一実施形態では、純粋な酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で投入する。
【0026】
他の態様では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)空気又は酸素などの酸化剤、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を水溶液中で反応させることを含み、
酸化剤は加圧条件下で反応に投入され、この銅金属は溶液中で撹拌される。一実施形態では、この酸化剤は純粋な酸素であり、純粋な酸素を1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージにて、反応容器中で起こっている反応に投入する。
【0027】
一実施形態では、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)酸素、例えば、空気又は純粋な酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージなどの加圧条件下で混合物中に供給すること、
c)この混合物を撹拌すること、
d)金属銅を溶解するために、この混合物を、例えば、約40〜115℃、40〜100℃、40〜90℃、40〜80℃、45〜55℃、60〜90℃、70〜90℃、80〜100℃又は80〜115℃の温度に維持すること、並びに
e)銅が溶解したアルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより生成物が形成されることを含む、容器中で銅エタノールアミン溶液の製造方法を提供する。
【0028】
ステップa)の成分は、任意の順序で添加することができる。圧力、温度及び反応物濃度を含めた反応条件は、迅速な生成物の形成を進めるために選択することができる。撹拌レベルは、容器内の液体/ガスの界面がかき乱されて、好ましくは、液体の一部が、容器のガスヘッドスペース中に分散するように調整することができる。一実施形態では、この液体は、撹拌機により引き起こされたはね返りによりガスヘッドスペース中に分散される。或いは、この液体は、液体をヘッドスペース中にスプレーする、又はブロワを用いてガスをヘッドスペースから液体中に循環させることにより、ガスヘッドスペース中に分散させることができる。
【0029】
一実施形態では、モノエタノールアミンの代わりに、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンで代替してもよい。
【0030】
また、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージなどの加圧条件下で混合物中に供給すること、
c)この混合物を撹拌すること、並びに
d)金属銅を溶解するために、この混合物の温度を、例えば約40〜115℃、又は例えば60〜90℃に維持すること、並びに
e)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液生成物が形成されることを含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法を提供する。
【0031】
生成物中に溶解した銅の濃度を所望の濃度にすることができ、且つ、所望の濃度となるのに必要な反応時間を短縮するように、反応条件を設計することができることが利点となる。生成物中に溶解した銅濃度は、例えば5〜15重量パーセントである。
【0032】
二酸化炭素と銅のモル比は、例えば、銅1モル当たり二酸化炭素0.5〜1.5モルの範囲にある。一例示的な範囲は0.7〜0.8である。
【0033】
アルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)と生成物中に溶解した銅のモル比は、例えば、銅1モル当たりアルキルヒドロキシルアミン2.0〜5.0、3.0〜5.0、3.0〜4.0、又は3.5〜4.0モルである。
【0034】
本反応を過剰な銅金属で開始してもよく、且つ、適当な反応条件下で十分な量の銅金属を使用して、生成物中で、所望の比の溶解した銅とアルキルヒドロキシルアミンを得ることができる。
【0035】
この反応は、例えば、約40〜115℃、又は60〜90Cの温度で行われる。温度は、好ましくは良好な反応速度が得られ、且つ、好ましくは酸化されたエタノールアミンの副生成物が無視し得るか又はないように選択される。任意選択で、この温度は、約40〜80℃、40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、65〜80℃、70〜80℃、70〜90℃、80〜100℃又は90〜110℃である。
【0036】
特に、一実施形態では、この温度は、65℃を超える;70℃を超える;75℃を超える;80℃を超える、又は90℃を超える。本明細書に記載された、適当な温度及び他の条件の選択により、反応時間を短縮し、生成物中に溶解した銅濃度を増加させることが可能になる。
【0037】
使用される無水物は、二酸化炭素であり得る。二酸化炭素に加えて、他の酸又は無水物を使用することができる。この酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩は、任意選択で、炭酸、二酸化炭素又はプロトン化エタノールアミンカーボネートである。
【0038】
酸素供給源としては、空気以外に、純粋な酸素を使用することができる。酸素供給源は、任意選択で、溶液中にガスを泡立たせる加圧された供給源であり得る。一実施形態では、酸素は、多孔性金属拡散器などの拡散器を介して溶液に投入される。金属銅含有材料は、例えば、任意選択で塊又は切断された、スクラップ又は純粋な銅或いは、例えば、#1又は#2スクラップを含めた任意の銅含有材料である。
【0039】
使用される反応容器は、ガス又は液体を含む成分を投入又は取出すためのポートに適合された、標準の反応器でもよい。この反応は、任意選択で、大気中に開放されている又は加圧下の撹拌タンクである反応器中で実施される。この反応容器は、好ましくは加圧下で撹拌を継続させることが可能なタンクである。この撹拌機は、パドル又は羽根を含む機械的撹拌機、或いは所望の液体又は固体が撹拌されるのに十分な撹拌をもたらす任意の撹拌デバイスなどの、任意の撹拌手段を含むことができる。この反応容器は、金属銅含有材料を含む、カラム又はチューブなどの固定床でもよく、加熱された溶液反応物及び空気が金属銅含有材料を通過する。例えば、この反応容器は、他の反応物の溶液がそれを通して通過する銅材料で充填されたカラムでもよい。この反応容器は、任意選択で加圧される。この溶液は、容器中を、任意選択で一定の速度で再循環することができる。
【0040】
生成物中に溶解した銅を形成する速度は、本明細書に開示されている方法により促進することができる。生成物中に溶解した銅濃度は、例えば、任意選択で約5〜15、8〜12、又は9〜10重量パーセントの銅である。ある種の応用例では、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、又は、例えば少なくとも15%の溶解した銅濃度を得ることが望ましく、これは、反応物の濃度、圧力及び温度を含めた反応条件の調整により達成される。一実施形態では、短縮された反応時間で10.2〜10.3%の銅を有する生成物が目標濃度である。しばしば濃厚な溶液が得られ、これは所望の製剤を形成する工程中で希釈される。
【0041】
所望の時間内で所望の歩留まりを得るために、温度及び圧力を含めた適当な条件が選択される。一実施形態では、少なくとも10〜15%の濃度の銅エタノールアミン水溶液を、約12時間未満、約8時間未満、約7時間未満、5時間未満、又は例えば3時間未満で得るために、この方法は、水、モノエタノールアミン、CO2、金属銅、及び酸素を、適当な温度、圧力、及び撹拌レベルで組み合わせることを含む。或いは、選択される温度、圧力及び撹拌レベルに応じて、10〜130g/L−時間の間の銅溶解速度を得ることができる。20g/L−時間を超える銅溶解速度を得ることが好ましい。
【0042】
反応混合物に、ポリアミン、アンモニア酸及び窒素塩基などのアミンを含めた他の成分を添加することができる。
【0043】
電流を流すことなく、又は、膜を使用することなく、この反応を行うことが好ましい。
【0044】
反応容器中の酸素の最適圧力は、選択することができる。例えば、空気又は純粋な酸素の形態の酸素は、例えば、0、1、5、20、35、50、65、75、85、90ポンド/平方インチゲージ又はこれを超える圧力で投入することができる。
【0045】
一実施形態では、反応容器が加圧され、反応容器がさらに撹拌機を備える、水、モノエタノールアミン、二酸化炭素、及び銅材料を含む反応容器が提供される。この撹拌機は、銅を反応混合物中に混合するため、及び/又は反応混合物の表面を撹拌して、反応混合物に隣接する酸素を含むガス相中に混合物を分散させるための、1つ又は複数の羽根を備えた機械的撹拌機であり得る。この容器は、混合物中に酸素を供給するための、チューブなどの導管もさらに備え得る。この導管は、それを介して酸素(純粋な酸素又は空気を含めて)が分散される拡散器を備え得る。本明細書に記載の反応は、この容器中で実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
銅アルキルヒドロキシアミン水溶液を製造するプロセス及び方法を提供する。また、広範囲の応用例で使用することができる、保存用製剤及び方法を提供する。一実施形態では、この製剤は木材の保存に使用される。金属銅及びエタノールアミンから形成することができる、銅アルキルヒドロキシルアミン水溶液を提供する。特に、金属銅及びモノエタノールアミンから、銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法を提供する。
【0047】
第1実施形態では、容器中で、
i)水、
ii)エタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)アルキルヒドロキシルアミンの酸塩を生成するための酸又は酸無水物、或いは
エタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミンの酸塩、及び
iv)金属銅含有材料
を組み合わせることにより、容器中で銅エタノールアミン溶液の製造方法を提供する。
【0048】
本明細書では、アルキルヒドロキシルアミンとは、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミンである。
【0049】
空気又は純粋な酸素などの酸素供給源は、混合物中に供給される。この酸素は、例えば、1、5、10、15、20、25、35、45、50、65、75、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で混合物中に供給することができる。この混合物の温度は、金属銅を溶解するために、適当な温度、例えば、約40℃〜115℃、又は40℃〜90℃に制御され、これによって、銅モノエタノールアミン水溶液が形成される。過剰な金属銅又は他の固体は、例えばろ過により除去することができる。さらに、この混合物は、例えば銅金属を溶液中で撹拌(stir)するために撹拌(agitate)することができる。この反応が、加圧下で加えられる純粋な酸素で加圧された反応器中で実施される諸実施形態では、この場合、より多くの反応性酸素を溶液中に吸収させるために、溶液を撹拌する撹拌機を使用して、溶液上のガス相中に溶液を分散させることが有利である。
【0050】
第2実施形態では、
i)水、
ii)エタノールアミン、
iii)エタノールアミンの一部と反応してエタノールアンモニウムカーボネート塩を生成することができる、酸又はCO2などの酸無水物、及び
iv)金属銅含有材料
を組み合わせることを含む、銅エタノールアミン溶液を製造する方法。
【0051】
空気などの酸素供給源がこの混合物中に供給される。酸素は、例えば、1、5、10、15、20、25、35、45、50、65、75、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で反応容器中の反応溶液に加えられる。この混合物の温度は、金属銅を溶解するために、適当な温度、例えば、約40〜115℃、又は60〜100℃又は90〜110℃に制御され、これによって水溶液銅エタノールアミン溶液が形成される。過剰な金属銅又は他の固体を、例えばろ過により除去することができる。銅金属、及び/又は溶液を撹拌するために、撹拌機を使用することができる。
【0052】
上記のように、この反応成分には、アルキルヒドロキシルアミン及び水が含まれる。この反応混合物は、さらにアルキルヒドロキシルアミンの酸塩を含み、これは任意選択でin situで生成される。この酸塩は、アルキルヒドロキシルアミンの一部と酸又は酸無水物との反応により生成されて、その塩を形成する。
【0053】
例えば、この反応成分は、エタノールアミン及び無水物、CO2を含み、これらが反応してエタノールアンモニウムカーボネート塩を生成し、同時に、銅との反応に利用可能なエタノールアミンの一部が依然として残る。
【0054】
アルキルヒドロキシルアミンと反応してアルキルヒドロキシルアミンの酸塩を形成する酸は、例えば、硫酸、硝酸又は塩酸などの無機酸、又は酢酸、グリコール酸、酒石酸、フマル酸及びマレイン酸などの有機カルボン酸である。例えば、エタノールアミンの酸塩は、エタノールアミンが例えば、硫酸、グリコール酸、硝酸又は塩酸と反応することにより任意選択で生成される。好ましい一実施形態では、エタノールアミンの酸塩は、エタノールアミンとCO2を組み合わせることにより生成される。
【0055】
使用することができる他の酸としては、トリポリリン酸などのポリリン酸;グリシン、グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸及びN−ジヒドロキシエチルグリシンなどのアミノカルボン酸;酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリコール酸、グルコン酸及びグルコヘプトン酸などのヒドロキシカルボン酸;並びに、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸などのホスホン酸がある。
【0056】
一実施形態では、二酸化炭素と銅のモル比は、銅1モル当たり約0.5〜1.5、又は約1.0〜1.3、又は約0.7〜0:8モルの二酸化炭素である。
【0057】
エタノールアミンと生成物中に溶解した銅のモル比は、例えば、銅1モル当たり約2〜5、3〜5、3.5〜4.0、又は約3〜4、又は例えば約3〜3.8モルのエタノールアミンである。
【0058】
この生成物中に溶解した銅の濃度は、反応条件により決まる。例えば、5〜15重量%、7〜15重量%、9.0〜12重量%、9.0〜15重量%、12〜13重量%、又は12〜15重量%の生成物中に溶解した銅濃度を得ることができる。前述のように、反応物の濃度、圧力及び温度を含めた反応条件を調整することにより、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%又は、例えば、少なくとも15%の溶解した銅濃度を得ることができる。一実施形態では、溶解した銅濃度は、希釈してさらなる成分を有する工業用製剤を形成するのに使用できるように、少なくとも約12〜13%又は12〜15%である。
【0059】
一実施形態では、これらの溶液は、固体がなく、銅(I)又は第一銅イオンを含有しないか、無視し得る量、例えば総銅パーセントの1パーセント未満のみを任意選択で含む。溶液に加えて追加の助殺生物剤(単数又は複数)を含む防腐製剤が、商業用途に対して十分安定であるように、これらの溶液は周囲温度で長期間安定であることが好ましい。
【0060】
この反応は、例えば、約40〜110℃、60〜100℃、40〜90℃、又は、例えば60〜70℃の温度で実施される。温度は、好ましくは、良好な反応速度が得られ、副生成物の酸化されたエタノールアミンが無視し得るか又はないように選択される。この温度は、任意選択で、約40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、65〜80℃、70〜80℃又は70〜90℃である。特に、一実施形態では、この温度は、反応速度及び溶解した銅の歩留まりを高めるために、少なくとも60℃、少なくとも80℃、又は少なくとも90℃である。
【0061】
温度の選択は、他の反応条件及び生成物中の所望の溶解した銅濃度に基づいている。より低純度の酸素、例えば空気を使用する場合は、反応時間がより長くなり、すなわち、酸化を回避するために40〜80℃などの低温を使用し得る。しかし、例えばより短い反応時間でより高温も使用し得る。より高純度の酸素が使用される場合は、反応時間が短縮され、より高温、例えば70〜110℃を使用することができる。さらに、反応における酸素の圧力を増加するにつれて、反応時間が短縮され、より高温を使用することができる。
【0062】
反応中、例えば空気又は純粋な酸素の形態の酸素は、歩留まりを高め及び/又は反応時間を短縮させるために、例えば0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、75、80、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で加えることができる。一実施形態では、酸素は、多孔性金属拡散器などの拡散器を介して、加圧下で混合物に加えられる。
【0063】
50psiで空気を加える場合の、任意選択の温度は約60〜85℃である。75psiで空気を用いる任意選択の温度は、約60〜70℃、又は60〜85℃、又は85〜90℃である。純粋な酸素を用いて、50psi又は75psiで純粋な酸素を加える場合は、任意選択の温度は約80〜110℃である。
【0064】
銅エタノールアミン水溶液は、種々の応用例の中でも木材の防腐に対して有用である。銅は、水不溶性化合物の形態で(例えば、炭酸銅、BCC、水酸化銅等)、殺生物剤として作用することができ、一方エタノールアミンは、銅化合物中で可溶化剤として作用することができる。したがって、可溶化剤を減少させると、銅殺生物剤の全体的なコストが低下する。
【0065】
反応条件の最適化
銅モノエタノールアミン水溶液の歩留まりを高めるために、この反応条件を、例えば、濃度、温度、及び圧力を変更することにより最適化することができる。
【0066】
例えば、少なくとも11%、12%又は少なくとも15%の溶解した銅濃度を有する溶液を、12時間、6時間、4時間又は3時間未満で製造するためには、反応は、少なくとも65℃の温度で実施することができる。
【0067】
反応は、反応器中において、酸素供給源として空気を用いて大気圧で実施することができる。この実施形態では、銅、エタノールアミン、酸又はCO2などの無水物及び空気の反応は、例えば、約60〜80℃の温度で約6〜8時間実施されて、少なくとも8重量%又は9重量%、或いは、例えば少なくとも10、11、12、13、14、又は15重量%の溶解した銅を生成する。いくつかの実施形態では、この溶液が、例えば、9.0〜10%の濃度を有する希釈された第2の生成物を形成するために希釈することができるように、10%を超える濃度を製造することが好ましい。
【0068】
一実施形態では、銅の溶解速度は、10〜130g/L−時間の間であり、又は20g/L−時間を超える。
【0069】
他の実施形態では、生成物中に溶解した銅の所望の濃度の形成は、加圧下で反応を実施すること、及び/又は酸素の濃度を高くする(例えば、純粋な酸素を用いて)ことにより加速される。温度を高くすることにより(例えば、少なくとも70℃、80℃、少なくとも90℃又は少なくとも100℃に)、反応時間は、例えば、8時間未満、6時間未満、4時間未満又は3時間未満に短縮することができ、生成物中に溶解した銅は、任意の所望の量、例えば、少なくとも10、11、12、13、14又は15重量%であり得る。この反応は、生成物中に所望の溶解した銅の濃度をもたらすのに十分な時間実施される。さらに、この混合物は、固体銅材料を混合物中に分散させるために撹拌し得る。撹拌はまた、混合物中の溶解酸素の濃度を増加させて、さらに反応時間を短縮させ、銅の溶解を加速させるために使用することができる。例えば、容器の液体/ガスの界面がかき乱され、液体が混合物上の空気又は酸素中に吹きかけられ又は散布されて、混合物がより多くの酸素を吸収することが可能になるように混合物を撹拌する。本出願人らは、いずれかの1つの理論に縛られることは望まないが、容器ヘッドスペース中の液体/ガス界面の撹乱は、この液体の酸素への暴露を増加させて、液体中への酸素の吸収をさらに向上させるものと考えられる。
【0070】
エタノールアミンの濃度は反応に影響し得る。水中のエタノールアミンの例示的な有用な濃度は、約10〜60、25〜50又は30〜45重量%である。
【0071】
二酸化炭素の濃度は反応に影響し得る。一実施形態では、銅、エタノールアミン、CO2及び酸素の反応が実施される。二酸化炭素と銅のモル比は、例えば、0.5〜1.5の範囲にある。例示的な範囲は0.7〜0.8である。或いは、化学量論量のCO2を使用することができる。或いは、二酸化炭素と銅のモル比は約0.7〜0.8である。反応は、例えば、大気圧の条件の空気を用いたこれらの条件下で、少なくとも8、9、10又は11パーセントの溶解した銅を生成するためには、約6〜8時間かかり得る。
【0072】
酸素(例えば空気又は純粋な酸素)の圧力は、反応を最適化するために調整することができる。一実施形態では、歩留まりを高めるか又は反応時間を短縮するために、例えば空気の形態の酸素を、例えば20、50、75又は90ポンド/平方インチゲージの加圧下で加えて、銅、モノエタノールアミン、CO2及び酸素の反応を実施する。この反応は、圧力を維持するためのシステムを通過する流れを用いて、反応器中で実施することができる。この反応は、例えば、これらの条件下で少なくとも8、9、10、12又は15重量%の溶解した銅を生成するために、約5〜8時間8〜10時間又は8〜12時間かかり得る。
【0073】
加圧下の空気を使用することにより、反応時間は例えば30%短縮される。純粋な酸素の使用、圧力の増加、及び撹拌により、さらに反応時間を短縮することができる。一実施形態では、温度及び/又は圧力及び/又は純粋な酸素の使用及び/又は撹拌などの反応条件が、反応時間を例えば2、3、4又は5時間未満に短縮するよう選択される。
【0074】
特定の実施形態の例では、少なくとも10%の溶解した銅を有する生成物を約5時間未満内に得るために、反応を、60℃〜90℃において、空気を用いて、75ポンド/平方インチゲージで実施することを含む。
【0075】
他の実施形態では、少なくとも10%の溶解した銅を有する生成物を少なくとも2.5〜3.0時間内に得るために、反応は、25〜75ポンド/平方インチゲージの純粋な酸素を用いて加圧反応容器中において70〜90℃、又は90〜110℃で実施される。
【0076】
例えば、少なくとも9、10、11、12、13、14又は15重量%の溶解した銅濃度を有する銅エタノールアミン水溶液を、2、3、4、5、6、7、8、9、l0又は12時間未満の反応時間で生成するために、酸素の圧力は、少なくとも5、10、20、25ポンド/平方インチゲージ、30ポンド/平方インチゲージ、40ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、60ポンド/平方インチゲージ、70ポンド/平方インチゲージ、80ポンド/平方インチゲージ、又は90ポンド/平方インチゲージである。
【0077】
一実施形態では、反応は、1〜2%の溶解した銅生成物の、例えば、反応器中の前回の運転からの「ヒール(heel)」と共に実施される。このことは、有利には反応時間を短縮することができる。例えば、1〜2%のヒールを使用して、約65℃〜85℃の間又は少なくとも90、100又は110℃の反応温度で、少なくとも約10%の溶解した銅濃度を有する生成物が、75ポンド/平方インチゲージでは約4〜4.5時間で、又は50ポンド/平方インチゲージでは4〜6時間で得ることができる。反応容器中に残留する少量の生成物銅のヒールが、例えば1〜2%の濃度で存在すると、反応時間を例えば6時間以下に短縮することができる。ヒールを用いて、例えば、85℃、90℃、100℃又は110℃において、8%を超える生成物中に溶解した銅濃度をもたらすために、75ポンド/平方インチゲージでは反応時間は4時間に、或いは50ポンド/平方インチゲージでは5時間に短縮することができる。このことは、反応時間が短縮されるので有利である。空気又は純粋な酸素を使用することができ、純粋な酸素を用いると、反応はより迅速に進行するであろう。
【0078】
一実施形態では、反応は、酸素供給源として空気を使用し、85℃、75ポンド/平方インチゲーで、1%のCuヒールを含み、10.5%銅溶液を5時間で生成する。対照的に、大気圧では反応は8、10又は11時間かかり得る。したがって、より高圧の使用が有利である。
【0079】
特定の実施形態では、ポート(単数又は複数)が大気中に開放され、撹拌されている反応容器中の水に、所望量のエタノールアミンを添加することにより、この方法を開始することができる。エタノールアミン濃度は、例えば、30と60重量パーセントの間、又は40と55重量パーセントの間で変化させることができる。二酸化炭素をエタノールアミン水溶液に、得られる濃度が5〜15重量パーセントの間、例えば、6〜10重量パーセントの間の範囲にあるように添加することができる。銅金属を混合物に投入し、この混合物を、化学的に必要なすべての酸素を6〜24時間、例えば10〜12時間以下でユニットに通すのに十分な速度で空気を吹き込みながら、約40〜110℃、例えば60〜70℃又は80〜100℃に維持する。
【0080】
この反応は、反応物の溶液をフロースルー型容器に通過させることにより、任意で実施され、フロースルー型容器は銅金属を含むチューブ又はカラムであってもよく、銅金属はスクリーン上に支持されていてもよい。この方法は、大型の反応器中で大量の銅金属を撹拌しようとする試みに伴う課題を克服するのに有利であり、大型の反応器では、溶液と銅金属表面の接触が少なくなりうる。この溶液の温度を制御するために、圧力及び温度制御要素を容器に付け加えることができる。例えば、加熱ジャケット又は冷却要素を容器に付け加えて、容器中を通過する溶液を所望の温度に維持することを可能にする。反応混合物は、歩留まりを高め、より効率的に溶液を銅金属に触れさせるために、容器を通して任意選択で一定の速度で、再利用又は再循環することができる。
【0081】
対照的に、反応が撹拌を備えた反応器中で行われる場合は、銅金属を分散するために撹拌機を使用することができる。このことは、撹拌される多量の銅金属がある場合は困難であるが、適当な撹拌機及び銅の量を選択することにより、うまく撹拌することができる。
【0082】
反応の完了に必要な時間は、酸素の圧力、使用される銅小片の寸法、反応温度、撹拌速度又は流量、撹拌レベル、出発材料の純度、及びエタノールアミン濃度並びに二酸化炭素濃度を含めた条件に応じて異なる。選択された条件下で、この反応は、例えば、2時間未満、3時間未満、4時間未満、6時間未満、8時間未満、12時間未満、14時間未満、16時間未満、24時間未満、又は2日未満内に完了する。最適撹拌速度又は流量が、工程設計のために決定される。
【0083】
本明細書に記載された結果は驚くべきことである。なぜなら、エタノールアミン溶液中への銅の溶解速度は、エタノールアミンの2−ヒドロキシエチル基により生じる立体障害のために、アンモニア溶液中より遅いはずであると予測されるからである。及び、なぜなら、エタノールアミンの水酸化物は酸化を受けやすく、エタノールアミン溶液中への銅の溶解速度を高めるために温度を上昇させると、エタノールアミンが酸化することができるので、エタノールアミンは銅(II)又は第二銅部分により容易に酸化されるからである。
【0084】
銅とエタノールアミンの予想外のモル比が、有用であることを見出した。銅はアンモニアと結合する場合、4個の窒素原子と結合する。このことが、銅とエタノールアミンのモル比になるはずであることが予想される。しかし、例えば、2又は3.0、又は、例えば3.5の銅とエタノールアミンのモル比も適している。このことは、殺生物製剤などの銅エタノールアミン製剤のコストを低下させることができるので有用である。
【0085】
この反応のpHは、例えば、8〜11.5、又は8〜11.3、又は8〜11、又は9〜11、又は9〜10である。CO2の濃度は、例えば5〜30重量%である。モノエタノールアミンの濃度は、例えば30〜40重量%である。過剰な銅材料が存在することができる。酸化剤は、反応条件に対して適当な量で存在することができる。
【0086】
銅供給源
この方法には、任意の銅含有材料を使用することができる。一実施形態では、純粋な金属銅が使用される。#l及び#2スクラップ銅金属などの、不純な形態の銅もまた使用することができる。超高純度の陰極グレードの切断された銅、及び他の高度に純粋な形態を使用することができる。#1スクラップ銅金属は、典型的にはほぼ99%の銅を含有し、#2スクラップ金属は、典型的にはほぼ97%の銅を含有するが、これは供給業者の中でいくぶんかは異なり得る。#2スクラップ金属は、しばしば、その絶縁体が取り除かれ、小片に切断された再生銅線である。
【0087】
高純度銅を含めた高純度出発材料を使用することができ、或いは、ある量の不純物が最終生成物中で許容される場合は、金属銅より安価な低グレードの銅を使用することができる。
【0088】
使用される銅金属の形態は、工業用の「微細」で「大型」な銅材料に見られるなどの、大きな幾何学的表面積を持ち得る。これらの銅材料は、主に、切断された銅線、及び種々の粉砕された又は大きさを揃えた銅スクラップを含めた切断された銅材料である。銅の純度は、工業用#1(高純度、99+%)から#2(典型的には>95%銅)又は95パーセント未満の銅を含有する低グレードまで異なり得る。
【0089】
一実施形態では、大きな表面積を有する微細に粉砕された銅金属などの、高表面積の銅が使用される。一実施形態では、切断された銅線を使用することができる。
【0090】
酸素
この方法には、空気を含めた任意の酸素供給源を使用することができる。一実施形態では、閉鎖型容器を使用する場合は、純粋な酸素が使用される。開放容器では、より低濃度の酸素が使用することができる。
【0091】
酸素(任意の供給源)は、反応混合物中に任意の適当な方法で、例えば反応混合物の表面の下方に導入することができる。このガスは、混合物がガスパイプ中に逆流するのを防止するために、容器の内部圧力に対して正圧で導入されるべきである。ガス圧の上限は、容器が圧力に耐え得る能力及び生成されるガス混合物の引火性によってのみ制限される。一実施形態では、酸素は、約5及び100ポンド/平方インチゲージ、又は約20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージの圧力で容器中に導入される。この酸素(例えば空気の形態の)の圧力は、反応速度に影響を与える。例えば、圧力は、0ポンド/平方インチゲージ、20ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、75ポンド/平方インチゲージ又は90ポンド/平方インチゲージであり得る。
【0092】
一実施形態では、反応に必要な酸素の化学量論量は、容器に投入された銅の重量及び純度に基づいて計算され、規定量の酸素、又は計算された過剰量が容器中に導入される。代替実施形態では、酸素は、反応混合物がガスの吸収を中止したと決定されるまで導入される。銅イオンと反応した酸素量は、酸素導入の前後に反応混合物を秤量することにより決定される。
【0093】
この酸素は、当技術分野で知られている任意の方法で反応混合物中に導入することができる。単一要素又は複数要素の側面取付拡散器、単一要素のディップレッグ拡散器、単一要素のフランジ付き側面取付拡散器、マニフォールドディップレッグ取付拡散器、クロスタンクフランジ付き側面取付拡散器、サイドストリームスパージャ、イントルーシブタンジェンシャルスパージャ(intrusive tangent sparger)、パイプに取付けられたイントルーシブスパージャ(intrusive sparger)、ダイナミックパイプラインスパージャ、多孔性金属拡散器、粗気泡、高容量の水平様式拡散器、プレナムチャンバ拡散器、メンブランチェックバルブ拡散器、セラミック拡散器、又は当技術分野で知られている任意の他の種類の拡散器などの、液体の界面を通して酸素を吹き込む、バブリングする、又は散布することが可能な任意のデバイスを利用することができる。任意選択で、このデバイスは、多孔性金属拡散器、又は他の適当な散布デバイスなどの微細な気泡を発生させる散布デバイスである。一実施形態では、有利には、酸素は、溶液中に、例えば銅の下に散布することができる。
【0094】
反応温度及び時間
この反応成分は、溶解した銅生成物を形成するのに十分な温度、例えば、40〜115℃、又は60〜90℃に維持される。温度は、好ましくは、良好な反応速度を得て、且つ、副生成物の酸化エタノールアミンが無視し得るか、又はないように選択される。この温度は、任意選択で、約40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、70〜90℃、又は80〜110℃である。特に、一実施形態では、この温度は、溶解した銅の生成を促進するために、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、又は少なくとも80℃である。上記のように、この温度は、圧力及び酸素供給源などの他の反応条件の選択によりまた決まるであろう。反応中は、この反応容器は、温度をこの範囲に維持するための任意の適当な手段、例えば、ウオータージャケットにより加熱又は冷却することができる。
【0095】
反応器の設計
種々の反応器の設計を使用することができる。銅エタノールアミン水溶液を製造する反応器システムは、例えば、反応容器、スターラ、撹拌機、ガス供給源、入口及び出口バルブ、加圧システム、入口及び出口系統、熱電対、加熱器、撹拌機、ガス拡散器、タンク、ポンプ、冷却ジャケット、スクラバ、水蒸気供給源等を備えることができる。本明細書に記載の反応器システムは、本明細書に記載の任意の反応に使用することができ、銅エタノールアミン水溶液の製造用システムの考察は、一例として提供するものである。特定の実施形態を、実施例8に述べ、図6、7及び12に示す。
【0096】
撹拌又はフロースルーを備える任意のサイズの反応器が使用し得る。例えば、この反応器は、1000ガロン、5000ガロン、10000ガロン、15000ガロン又はこれを超えてもよい。
【0097】
例えば、この反応器システムは、大規模の反応器において、大気圧で反応が行われることを可能にし得る。操作中は、反応物を30ガロン反応器に供給し、その重量をはかりを用いて測定することができる。この大規模の反応器に水及びモノエタノールアミン、並びに切断された銅金属などの金属銅含有材料が提供され、次いで、CO2及び例えば空気又は純粋な酸素の形態の酸素を、溶液中に、例えば多孔性金属拡散器により分散させることができる。反応器溶液の温度は、金属銅を溶解し、任意選択でろ過される銅モノエタノールアミン溶液を生成するために、加熱器及び冷却器を含めた必要な要素で、所望の温度、例えば、約60〜115℃、又は70℃〜90℃に制御される。
【0098】
他の実施形態では、反応溶液の加熱された成分が、銅金属を含むカラム又はチューブであり得るフロースルー型容器を通過する。この反応器システムは、反応容器、ガススパージャチューブ又は拡散器、撹拌用撹拌機、加熱器及び冷却要素、ポンプ、空気供給源、入口及び出口、及び切断された銅金属を含むチューブ又はカラムを備えることができる。このシステムは銅金属を、撹拌を必要条件とせずに溶液と金属の接触を促進するために、例えば、チューブ中で銅を支持する金属フィルタメッシュを備えたフロースルー型容器中に供給することを可能にする。
【0099】
一実施形態では、この反応を実施するために、反応容器中に水及びモノエタノールアミンを供給し、空気及びCO2を、例えば拡散器を用いて溶液に供給し、混合物を、任意選択で撹拌機により混合する。この溶液は、加熱器で加熱され、銅が充填されたカラムをポンプにより上方に通過されて、銅と反応する。このことは、効率的方法であり、歩留まり及び反応時間を改善することができる。例えば、反応時間は、5、6、7、8又は9時間未満であり得る。この液体は、カラムを通して、任意選択で一定の速度で再循環される。カラム中を上昇する液体は、オーバーフローにより反応器中に戻り、任意選択でカラムに再循環することができる。
【0100】
他の実施形態では、この反応は、加圧された反応器中で実施される。このシステムの圧力を増加させると、歩留まりが改善され、反応時間が短縮される。例えば、容器中に導入される酸素の圧力は、例えば、5〜100ポンド/平方インチゲージ、20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージである。この酸素(例えば、空気の形態)の圧力は、反応速度に影響を与える。例えば、反応時間を、例えば、5時間未満、6、7、8、9、10又は12時間未満に短縮させるためには、圧力は、0ポンド/平方インチゲージ、20ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、又は90ポンド/平方インチゲージであり得る。
【0101】
一実施形態では、水、CO2及びモノエタノールアミンを、銅金属を含む反応器タンクに投入する。加圧された空気を、銅金属/溶媒ブレンド中にポンプにより供給すると、この銅は溶解する。この反応が完了したとき、この溶液を第2容器にポンプにより供給し、CO2及び水の残りを加える。このシステムは、前述の、この溶液の好ましい温度に維持するために、冷却器及び加熱器をさらに備えてもよい。他の実施形態では、MEA(モノエタノールアミン)、CO2及び水を含む予混合反応器であり、これらは、撹拌されない第2反応器中に含まれる銅金属を通過して、加圧下でポンプにより供給される。
【0102】
一実施形態では、水、モノエタノールアミン、二酸化炭素、及び銅材料を含む反応容器が提供され、この反応容器は加圧され、この反応容器がさらに撹拌機を備えている。この撹拌機は、反応混合物中で銅金属を混合し、及び/又は反応混合物の表面を撹拌して、反応混合物を、それに隣接する酸素を含むガス相中に散布するために、1つ又は複数の羽根を備えた機械的撹拌機であり得る。この容器はまた、混合物中に酸素を供給する、チューブなどの導管を備えることができる。この導管は、酸素(純粋な酸素又は空気を含めた)がそれを介して散布される拡散器を備えてもよい。本明細書に記載の反応は、この容器中で実施し得る。
【0103】
撹拌
本発明では、種々の撹拌レベル及び撹拌機を使用することができる。撹拌機は、銅金属を反応混合物中に分散させるために使用することができる。一実施形態では、この撹拌レベルは、液体/ガス界面で液体の継続的なはね返り、或いは、容器ヘッドスペース中のガス相中に継続的又は断続的な溶液のスプレーを引き起こすのに十分な撹乱を生じさせる。
【0104】
本発明では、液体/ガス界面の相互作用を引き起こすのに十分な、任意の撹拌機を使用することができる。この撹拌機は、例えば、1つ又は複数のバーを備えたスターラ、単一パドル若しくは複数パドル、単一フィン若しくは複数フィン、単一羽根若しくは複数羽根、単一インペラ若しくは複数インペラ、バーチカルミキサ、ボトムエントリーミキサ、又は、サイドエントリーミキサを備えた機械的撹拌機であるか、又はそれを含むことができる。有用な撹拌機は、例えば、単一タービン撹拌機、複数タービン撹拌機、複式逆回転撹拌機、単一逆回転撹拌機、サーキュレータデスペンサ、固定取付型撹拌機、携帯型撹拌機、水平型撹拌機、リボン型撹拌機、又は当技術分野で知られている任意のその他のデバイスを含むことができる。混合物の撹拌を生じさせるための、当技術分野で知られているその他のデバイスも十分であり得る。
【0105】
反応の化学作用
溶解した二酸化炭素を含有するエタノールアミン水溶液中における、銅と酸素との化学反応は、以下の式に分解することができ、ただし、EAはエタノールアミンである。
反応の全体
(I) Cu+1/2O2+CO2+3.5〜4EA→Cu(EA)3.5〜4CO3
酸化/還元反応ステップ
(IIa) Cu+3.5〜4EA→Cu(EA)3.5〜42++2e−
(IIb) 1/2O2+H2O+2e−→2OH− 中和/アニオンの生成
(IIIa) CO2+H2O→H2CO3
(IIIb) H2CO3+2OH−→CO32−+2H2O
この水酸イオンは、この反応の全体的な速度を遅延させることが分かっているので、この反応中で中和しなければならない(Schweizer、J.Prakt.Chem.、76、344(1859))。
【0106】
製剤
銅エタノールアミン水溶液の種々の製剤が提供される。この製剤は、本明細書に記載のように、且つ、当技術分野で利用可能な方法を使用して調製することができる。例えば、この製剤は、木材防腐製剤として使用するのに適した形態であり得る。
【0107】
製剤において、溶解した銅は、例えば、5〜15%、7〜15%、又は例えば9〜12重量%であり得る。溶解した銅濃度は、例えば、少なくとも7%、8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、また例えば、少なくとも12重量%であり得る。
【0108】
この製剤は、さらに、助殺生物剤(単数又は複数)を含めた、1種又は複数の添加剤を含有してもよい。この溶液は、商業用途に対して十分安定であるように配合することができる。例示的な添加剤としては、プロピコナゾール、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド又はジデシルジメチルアンモニウムカーボネート(DDAC)、ベンザルコニウムクロリド(BAC)及びテブコナゾールがある。
【0109】
これらの溶液は、この溶液に加えて助殺生物剤(単数又は複数)を含有する木材防腐製剤が、商業用途に対して十分に安定であるように、周囲の温度で長期間安定であることが好ましい。
【0110】
材料保存に対する応用例
銅エタノールアミン溶液及びその製剤は、広範囲の応用例及び広範囲の材料に防腐剤として使用することができる。これらは、化粧品、パーソナルケア製品、家庭用品、或いは、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製物品、及び冷却用潤滑剤並びに微生物及び/又は真菌により攻撃され又は分解され得るその他の材料などの、工業材料の保存に使用することができる。生産プラントの構成要素、例えば、微生物及び/又は真菌の増殖により損なわれ得る冷却水も処理し得る。また、水泳プール及び温泉などのその他の水含有系の完全性を、防腐剤の使用により維持することができる。さらに、これらは、家庭、公共施設、及び病院などにある表面を消毒及び無菌化により、微生物及び/又は真菌を抑制し、除去するために使用することができる。
【0111】
一実施形態では、防腐剤組成物は、シャンプー、コンディショナー、ヘアケア製品、クリーム、ローション、化粧品、石鹸、スキンケア製品などのパーソナルケア製品;又は洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、及び布の柔軟剤などの家庭用品中に使用される。代替実施形態では、この防腐剤組成物は、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製物品、冷却用潤滑剤などの工業用製品及び材料に使用される。さらに、多くの工業用応用例において、防腐剤組成物は、シーリング材、ロープ、ペーパーポンプ、プラスチック、燃料、油、及びゴム及び金属加工流体中で、並びに木材用防腐剤として使用することができる。したがって、一実施形態では、この防腐剤組成物は、セルロース系材料を含めた、材料の処理に使用することができる。一実施形態では、木材に変色耐性を提供する特性を有する防腐剤組成物が提供される。この防腐剤組成物はまた、ポンプ及び紙製粉機及び冷却塔中で、スライムを生成する細菌及び真菌の抑制に使用することができる。
【0112】
防腐剤組成物は、真菌、細菌、藻類、ウイルス及び酵母菌を含めた、各種のクラスからの微生物から保護する又は抑制する広範な有用性を有する。この組成物の一部の有用性は、金属加工流体、化粧品、コーキング剤、及び工業用冷却水を含めた、木材、塗料、接着剤、にかわ、紙、織物、皮革、プラスチック、ボール紙、潤滑剤を微生物から保護することである。この組成物は、殺真菌剤などのプラント保護剤として使用するのに適当であり得る。プラント保護における殺真菌剤は、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、子嚢菌綱(Ascomycetes)、担子菌綱(Basidiomycetes)及び不完全菌綱(Deuteromycetes)を抑制するために使用することができる。
【0113】
木材が処理される実施形態では、この組成物及び方法は、辺材変色(sapstain)に対する耐性を向上するとともに、カビ、ウドンコ病、軟腐病、赤腐れ病及び白腐れ病、及びシロアリを含めた昆虫の攻撃への有効な耐性を提供する。この防腐剤組成物は、任意の硬材又は軟材などの任意の木材基材に施用し得る。
【0114】
例えば、辺材変色及びカビを予防する又は抑制するために、この木材防腐剤組成物を生木(Green Wood)に施用する。本明細書では、「グリーン」という用語は、新しく切り取った、乾燥していない等と定義される。適当な木材基材の例としては、これらに限定されることなく、カエデ、オーク、カバノキ、サクラ、モミ等がある。この木材防腐剤組成物は、例えば圧縮処理される任意の木材基材に施用し得る。この木材基材は、マツ、モミ、又はツガなどの軟材でもよい。適当なマツ木材基材としては、これに限定されることなく、サザンイエローパイン及びポンデローザパインが含まれる。
【0115】
この組成物は、各種の硬材、軟材及び木材製品との関連で使用し得る。この組成物は、屋外などの潜在的に不利な条件で使用される製品にとって特に有利である。本発明により処理される製品に対する具体的な最終用途の例には、電柱、鉄道の枕木、デッキ、垣根、土台、屋根、ボート甲板、桟橋、壁及び板張りの道に使用される建造物製品がある。
【0116】
この溶液は、サザンイエローパイン、ベイマツ、ヘムモミ、バンクスパイン、ウエスタンパイン、オーク、ヒッコリー、カエデ、パシフィックファー、アカマツ、ツガ及びスプルースパインファーなどの木材に有利には使用される。この組成物は、原材料又は仕上がった木材製品に使用される。
【0117】
木材又は他の材料は、この開示された組成物で処理することができる。処理することができるさらなる材料としては、綿などのセルロース系材料、並びに、皮革、織物材料、合成繊維、ヘッセン、ロープ、及びロープ類がある。
【0118】
この組成物はまた、真菌による劣化を受けやすい、塗料及び類似の材料への添加剤として加えられる。他の材料としては、真菌の侵襲が生じて活性成分の安定性が問題となり得る、金属加工流体が含まれる。
【0119】
他の実施形態は、木材防腐剤組成物の殺生物剤として有効な量を、木材基材に加えることを含む、木材基材上及び/又は中の真菌及び辺材変色生物体などの微生物を抑制する方法である。本明細書に使用される、「抑制する」という用語は、これに限定されることなく、真菌及び辺材変色生物体などの微生物の増殖を抑制することを含む。真菌の非限定的な例には、カワラタケ(Trametes versicolor)(T.versicolor)、キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)(G.trabeum)、ポリアプラケンタ(Poria placenta)(P.placenta)、マツオウジ(Lentinus lepideus)(L.lepideus)、イドタケモドキ(Coniophora puteana)(C.puteana)、及びカエトミウムグロボスム(Chaetomium globsum)(C.globsum)がある。
【実施例】
【0120】
(実施例1)
幾何学的表面の影響
幾何学的表面の影響を例示するために、#1微細及び#1大型を用いて、銅モノエタノールアミン溶液の2つのバッチを調製し、その溶解速度を測定した。2リットルParr反応器に、ダブルブレード撹拌機、空気/ガス入口チューブ、雰囲気へのガス排気口、冷却クール及び加熱ジャケットを取り付けた。マイクロプロセッサ制御のユニットにより、加熱ジャケットを止めて、冷却コイル中に流水を通過させることにより温度を維持した。
【0121】
この反応混合物は、635グラムのモノエタノールアミン、532グラムの水、124グラムの二酸化炭素(1.08:1 CO2:Cu)及び330グラムの金属銅(これは、1:4の銅:エタノールアミン錯体を形成するのに必要な銅の約2倍である)を含んでいた。混合物中に、12時間の空気流後に、銅とエタノールアミンの比が1:4である、エタノールアミン中の銅を生成するのに十分な量の酸素を供給することになるような速度で、空気を通過させた。この反応混合物を65℃に加熱し、銅溶解の間、この温度に維持した。以下の表(表1)は、#1微細及び大型銅試料に対する銅溶解の初期速度への銅の幾何学的表面の影響を例示する。
【表1】
この反応は不均一系であり、この反応条件は、銅表面が銅溶解速度に影響を与えるようなものである。溶液中の銅の総量は、予想外のものであり、改善された結果を示す。
【0122】
(実施例2)
銅の溶解への温度の影響
銅の溶解は、銅(II)又は第二銅イオンによるモノエタノールアミンの酸化が少ないか、又は伴わずに、可能な限り急速に進行することが好ましい。この酸化反応は、時間及び温度に依存する。この条件は、110℃を超えると起こり得るアルキルヒドロキシルアミンの酸化を回避するように最適化することができる。
【0123】
二酸化炭素を含有するエタノールアミン水溶液中の銅の酸素溶解に対する、温度の影響を判定するために、4種の反応を実施した。銅の酸素溶解に対する温度を、観察可能な、エタノールアミンの酸化及び銅(I)又は第一銅の生成を低下させるように選択した。選択された4種の温度は、45、55、65及び75℃であった。使用した反応物及び反応条件は、銅の供給源として#1大型銅金属を使用した以外は、実施例1に記載された通りである。エタノールアミン/水/二酸化炭素混合物中の銅溶解の初期速度への温度の影響を表2に示す。
【表2】
【0124】
(実施例3)
エタノールアミンの濃度
エタノールアミンの濃度は、反応速度又は銅溶解速度に影響を与え得る。このことは、酸素溶解度、溶液粘度、水性混合物中の生成物の溶解度等の種々の要因による可能性がある。この影響を試験するために、反応容器中の利用可能な水量を減少させて実験を実施し、銅溶解の初期速度を調べた。
【0125】
反応器に半分のみの水を加えた以外は、反応混合物は実施例1と同じである。反応器中で同じボリュームエレメントを維持するために、溶液/銅金属含量を適切に増加させた。これによって、この反応混合物は、759グラムのモノエタノールアミン、327グラムの水、126グラムの二酸化炭素及び395グラムの金属銅を含んでいた。この反応器の工程条件は実施例1に記載された通りであった。これらの実験の速度の結果を表3に示す。
【表3】
これらの結果は、反応混合物中のエタノールアミンの濃度は、銅溶解の初期速度に影響を持つことを示している。
【0126】
(実施例4)
反応速度に対する二酸化炭素の影響
特定の実施形態では、二酸化炭素、酸無水物をエタノールアミン/水混合物に添加し、プロトン化されたエタノールアミンカーボネート塩が生成する。空気を、エタノールアミン、水、二酸化炭素及び金属銅が加熱された混合物中に送り込むので、二酸化炭素は、反応混合物から押し出されて、所望の量の銅を溶解するのに不十分な量が残存する。上記実施例は、わずかに過剰の二酸化炭素と銅(モル比1.08:1)及び1:4の銅:エタノールアミンモル比の錯体を形成するのに必要な銅の量の約2倍を含有していた。化学量論量の二酸化炭素及び大過剰の二酸化炭素の影響を求めるために、実験を実施した。これらを、実施例1〜3に記載の対照と比較した。
【0127】
反応速度への二酸化炭素の影響の試験を、8.9重量%(モル比0.98:1)及び12.0重量%(モル比1.36:1)の水性エタノールアミン中の溶解二酸化炭素を試験し、以前の実施例に使用した9.6%(モル比1.08:1)の対照と比較した。この反応の量及び条件は、実施例1に記載の通りである。これらの実験の結果を図1に示すが、これは、化学量論量の二酸化炭素は、9.6重量%及び12.0重量%の両方の二酸化炭素反応混合物の反応の初期速度より速いものをもたらすことを示している。しかし、この結果はまた、8.9及び9.6は共に、最終的には溶液中に含有される同じ全体的な銅の合計を得ることを示している。この反応時間は、存在するCO2の量に応じて異なる。
【0128】
(実施例5)
銅とエタノールアミンの比
水酸化銅、炭酸銅及び塩基性炭酸銅などの銅の水不溶性塩は、エタノールアミン水溶液中に、4未満のモル比となるよう溶解することができる。銅とエタノールアミンのモル比が低いほど、銅エタノールアミン溶液のコスト、したがって木材防腐剤全体のコストが低下する。典型的には、木材防腐製剤には約1:3.5の銅とエタノールアミンのモル比が理想的である。この値より低くすると、水性工業用木材処理溶液からの沈殿による銅の損失の可能性が生じる。一般に、化学作用は、銅1原子当たり1個の炭酸塩イオン及び4個のエタノールアミン分子が必要であり、これが実際であると仮定して、標準的な実施例1の条件での反応は、11.1パーセントの最終又は予測の溶液の銅濃度を生じるものである。しかし、さらに銅の溶解が起こるかを試験するために、すべての反応は、溶解した銅が11.1パーセントを過ぎるよう続けた。
【0129】
様々な反応物量及び実施例1〜3に記載の工程条件、例えば種々の銅供給源/純度/表面、エタノールアミン濃度及び反応温度を用いて反応を実施した。この反応は、1:4の銅とエタノールアミンのモル比を過ぎても続けた。これらの実験の結果を図2に示す。すべて場合において予想外の結果は、溶解した銅は11.1パーセントアッセイ、又は1:4の銅:エタノールアミン比を過ぎて増加し、12.3パーセントの溶解した銅において1:3.5のモル比に接近するか、又は達することであった。
【0130】
(実施例6)
圧力の影響
空気圧又は酸素分圧の増加が、反応速度に影響するかを調べるために、実験を65及び85℃の両方において高い空気圧を上昇させて実施した。
【0131】
この反応は、663グラムのモノエタノールアミン、555グラムの水及び118グラムの溶解した二酸化炭素を使用した。この反応混合物に330グラムの銅金属(#1大型)を加えた。この空気圧を、各実験に対して20、50及び75ポンド/平方インチゲージに調整した。この結果を、65及び85℃温度での運転に対して図3及び4に示す。酸素の分圧を増加させると、反応速度は大幅に増加し、反応は5時間以下で完了することができ、報告されたエタノールアミン溶液中への銅溶解反応に比較して有意の改善。
【0132】
(実施例7)
装置
種々の反応器の設計を使用することができる。銅エタノールアミン水溶液を製造する反応器システムは、例えば、反応容器、スターラ、ガス供給源、入口及び出口バルブ、加圧システム、入口及び出口系統、熱電対、加熱器、撹拌機、ガス拡散器、タンク、ポンプ、冷却ジャケット、スクラバ、水蒸気供給源等を備えることができる。本明細書に記載の反応器システムは、本明細書に記載の任意の反応に使用することができ、銅エタノールアミン水溶液を製造するシステムの考察は、一例として提供される。
【0133】
反応器システムの一実施形態は、30ガロン反応器であり、例えば、図5に示すように反応は大気圧で実施することができる。図5に示すように、30ガロン反応器システムは、はかり12上の反応器10、撹拌機14及びプレートコイル16を備える。このシステムは、温水加熱器及びブースター加熱器22、ヘッドタンク20、水道入口24、水ロトメータ26、及び下水出口28を備える、水ポンプ18を備えている。このシステムはさらに、入口及び出口熱電対30、ガス拡散器32、プラント空気供給源34、気流導管36、空気圧ゲージ38、及びCO2ガス加熱器40並びにCO2ボトル42、及び反応器熱電対44を備えている。これによって、操作中に反応物が30ガロン反応器に供給され、はかりを用いて秤量することができる。この溶液はプレートコイルを用いて加熱し、撹拌機で撹拌することができる。ガスは、ガス拡散器を用いて溶液に供給することができる。
【0134】
反応器システムの他の実施形態は図6に示され、これは、反応器70、空気/CO2スパージャチューブ72、撹拌機74、加熱プレートコイル78、冷却ジャケット80、ポンプ82、空気供給源84、掃除口86、切断銅金属88、カラム88及びデミスタ90を備えている。このシステムは、例えばチューブ中の銅を支持する金属フィルタメッシュを備える、カラム又はチューブ90中に銅金属を供給することを可能にする。水及びエタノールアミンは、反応器70に供給され、空気及びCO2はスパージャチューブ72を用いて挿入され、撹拌機74で混合される。この溶液は加熱プレートコイルで加熱され、ポンプ82を介して銅が充填されたカラム90中を上方に通過されて、銅と反応する。このことは、効率的な方法であり、歩留まり及び反応時間を改善することができる。例えば、反応時間は5、6、7、8又は9時間未満であり得る。この液体はカラムを通して再循環することができる。
【0135】
加圧反応器の設計レイアウトを図7に示す。このシステムでは、水、CO2及びエタノールアミン(MEA)は予混合タンク及び銅金属を含む反応器110に投入される。加圧空気が銅金属/溶媒ブレンド中にポンプにより供給されて、銅が溶解する。完了すると、この溶液は調整タンク100にポンプにより供給され、CO2及び水の残りが加えられる。このシステムは、空気圧縮機112、冷却器104、加熱器102、スクラバ106、及び冷却器108をさらに備える。
【0136】
図7の装置では、第2の選択は、MEA、CO2及び水を含む予混合反応器を備えることである。この予混合物は加圧下で、撹拌されない第2反応器中に含まれる銅金属を通してポンプにより供給される。
【0137】
他の実施形態が図12に示され、これは、撹拌機120が、固体銅材料を撹拌する羽根124及び液体をタンク100中の液体上の雰囲気中に散布する羽根122を備えていることを示す。
【0138】
(実施例8)
反応のスケールアップ
上記のものと類似の実験を、反応をスケールアップするために30ガロン反応器中で実施した。
【0139】
この方法の間、撹拌機を備えた断熱された30ガロンステンレス鋼反応器を使用した。反応器の加熱及び冷却を、それぞれ、温水加熱器及び水道を用いて行った。加熱及び冷却は、反応器中に配置されたステンレス鋼ホットプレートで供給した。酸素及びCO2ガスは、Mottスパージャを介して加えた。酸素は圧縮プラント空気から、二酸化炭素は工業用ジュアー瓶から供給した。反応中に生成された少しのMEA蒸気も除去するのを促進するために、追加の換気及び排気ファンを使用した。
【0140】
種々の条件の反応速度への影響を決定するために、バッチ全体にわたりこれらを変化させた。これらの実験の結果を図8に示す。10〜10.5%銅溶液に対しては、10〜14時間の反応時間が典型的である。
【0141】
(実施例9)
300ガロン/カラム反応器を用いたスケールアップ
一実施形態では、例えば、大気圧条件、或いは例えば50又は75ポンド/平方インチゲージの加圧下の空気と共に、300ガロンカラム反応器を使用する。この反応は、例えば、1バッチ当たり約I2〜13時間かかり、任意選択でヒールを使用することができる。50ポンド/平方インチゲージ酸素と共に、50ガロン反応器などの、反応器のサイズ及び圧力の他の実施形態が実行可能である。
【0142】
図7に示すように、カラム(90)に、およそ280ポンドの切断された#1スクラップ銅を充填した。およそ670ポンドの水を300ガロン反応器(70)に投入し、続いて465ポンドのモノエタノールアミンを添加した。この溶液に、およそ75ポンドの二酸化炭素を、液体二酸化炭素の市販のジュアー瓶からスパージャチューブ(72)を介して加えた。溶液重量を、300ガロン反応器の下に配置されたはかりによりモニターした。この溶液を、加熱プレートコイル(78)によりほぼ80〜85℃に加熱し、空気を溶液中に吹き込み(反応器中に5.7標準立方フィート/分、カラムのボトムに2標準立方フィート/分)、続いてこの溶液を、銅金属(88)を含むカラムを通して15〜20ガロン/分の流量でポンプ(82)により供給した。カラム(90)を出てくる溶液流は、300ガロン反応器に再循環して戻した。試料を定期的に取り出して溶解した銅を測定した。この装置を使用した2種の実験の結果を図9に示す。これらの2種の実験に使用したパラメータ下で、溶液中10.2〜10.3パーセントの銅を生成するのに必要な反応時間は、12〜14時間の範囲にあることが明らかである。カラムを通過する溶液の流量を増加により、任意選択で、反応器及びカラムの両方での空気の吹き込み速度の増加と相まって、この反応時間をかなり短縮することができた。
【0143】
(実施例10)
酸素との反応
この反応は、酸素供給源として空気又は純粋な酸素を使用することができる。純粋な酸素は、液体及びガスの形態で市販されている。反応器中の空気の圧力を増加させると、銅が溶解して銅エタノールアミンを形成する速度が劇的に改善される。空気圧の上昇は、反応マトリックス中の酸素の溶解度(おそらく窒素も)に影響し、これによって銅溶解の全体的な速度が改善される。酸素の利用能は、空気の代わりに純粋な酸素を用いることによりさらに増大することができる。純粋な酸素は、水溶液中のエタノールアミンとの潜在的な火災/爆発の危険の原因となるはずであるが、酸素/エタノールアミンの反応が起こらないように酸素圧を調整することができる。
【0144】
溶解速度への酸素の影響を決定するために、実施例1記載のParr反応器を用いて反応を行った。この反応器に306グラムの#1大型銅、515グラムのエタノールアミン、709グラムの水及び85グラムの二酸化炭素(0.8:1.00 CO2:Cu)を投入した。この反応器に酸素を加え、反応過程全体に25ポンド/平方インチゲージに維持した。反応器の温度を85℃に維持した。図10は、25ポンド/平方インチゲージの酸素で、85℃のエタノールアミン/二酸化炭素溶液中での銅の溶解への純粋な酸素の影響を示す。図10に示すように、この反応により、10.22パーセントの銅エタノールアミンが約2.75時間で生成された。この劇的な銅溶解速度は、価値があり及び効率的である。
【0145】
(実施例11)
酸素との反応−バッチ式反応
溶解速度への酸素の影響をさらに評価するために、空気の代わりに純粋な酸素が使用された以外は、実施例7に記載のものと類似の配置の50ガロン反応器を用いて、反応を実施した。反応器にほぼ50#の銅金属スクラップ及び約172ポンドのモノエタノールアミン、34ポンドの二酸化炭素、及び224ポンドの水を含む原液を投入した。反応器に酸素を加え、反応の過程全体に25と30ポンド/平方インチゲージの間に維持した。反応器の温度を75℃に維持した。図11は、30ポンド/平方インチゲージの酸素で、75℃のエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響を示す。図11に示すように、この反応は、10.99と11.15パーセントの間の銅エタノールアミンを1.15と1.5時間の間で生成した。反応速度は、リットル・時間当たり94と120グラムの間の銅の範囲にある。この劇的な銅溶解速度は価値があり及び効率的である。
【0146】
上記の本発明の説明から、当業者には修正形態及び変形形態が明らかになるであろう、したがって、こうした変形形態も頭記の特許請求の範囲内に含まれるものとして包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】二酸化炭素含量に対するモノエタノールアミン水溶液中における銅の反応の初期銅溶解速度及び総溶解した銅のグラフである。
【図2】空気を用いた水性モノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解の種々の反応のグラフである。
【図3】65℃におけるモノエタノールアミンの存在下での、銅溶解への上昇した空気圧の影響を示すグラフである。
【図4】85℃におけるモノエタノールアミンの存在下での、銅溶解への上昇した空気圧の影響を示すグラフである。
【図5】大気圧における反応による、銅モノエタノールアミン水溶液の調製のための、30ガロン反応器を含む反応器システムを例示する概略図である。
【図6】銅モノエタノールアミン水溶液を調製するための、ポンプスルーカラム設計を備えた300ガロン反応器システムを例示する概略図である。
【図7】銅モノエタノールアミン水溶液を調製するための、反応器システムに対する加圧反応器設計を例示する概略図である。
【図8】モノエタノールアミン水溶液中の銅の溶解に対する反応時間を示すグラフである。
【図9】300ガロン反応器における、溶解した銅濃度に対する反応時間のグラフである。
【図10】25ポンド/平方インチゲージの酸素による、85℃のモノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響を証明する、溶解した銅濃度に対する反応時間のグラフである。
【図11】75℃で、30ポンド/平方インチゲージの酸素による50ガロン反応器中での、モノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響のグラフである。
【図12】銅エタノールアミン水溶液を調製する反応器システムであって、撹拌機が固体銅材料を撹拌するための羽根、及び液体をタンク中の液体上の雰囲気中に散布するための羽根を共に備えている反応器システムのための加圧反応器の設計を例示する概略図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示を本明細書に援用する、2003年11月19日に出願した米国仮出願第60/524112号、及び2004年8月13日に出願した米国出願第10/917598号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、保存用製剤及び方法、例えば、木材の保存用製剤の分野のものである。本出願は、特に、金属銅及びエタノールアミンから銅エタノールアミン水溶液を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
防腐剤は、商業用製品及び工業用製品で非常に一般的である。有効で経済的な防腐剤組成物の必要性はよく知られている。微生物の増殖を阻害することが必要な、例えば、シャンプー、コンディショナー、ヘアケア製品、クリーム、ローション、化粧品、石鹸、スキンケア製品などのパーソナルケア製品;洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、及び布柔軟剤などの家庭用品;並びに、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製品などの工業用製品並びに工業用材料、並びに、冷却用潤滑剤としての各種の応用例がある。これらの調製物の貯蔵期間は、微生物による損傷に対する耐性により決まる。さらに、多くの工業用応用例において、抗菌薬は、シーリング材、ロープ、ペーパーポンプ、プラスチック、燃料、油、及びゴム及び金属加工流体中で、並びに木材用防腐剤として有用である。ポンプ及び製紙機及び冷却塔中にて、スライムを発生する細菌及び真菌を抑制することは、商業的に大変、重要な問題である。
【0004】
工業的環境、並びに、工業用材料及び/又は商業用材料において、汚染、分解又は変化を生じ得る微生物の例には、細菌、真菌、酵母、藻類、及びスライム生物体がある。例として以下の属の微生物がある:アルテルナリアテヌイス(Alternaria tenuis)などのアルテルナリア(Alternaria)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)などのコウジカビ(Aspergillus)、カエトミウムグロボスム(Chaetomium globosum)などのケタマカビ(Chaetomium)、カンジダアルビカンス(Candida arbicans)などのカンジダ(Candida)、レンティヌスティグリヌス(Lentinus tigrinus)などのレンティナス(Lentinus)、ペニシリウムグラウクム(Penicillium glaucum)などのアオカビ(Penicillium)、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)などの白癬菌(Trichophyton)、アウレオバシジウムプルルランス(Aureobasidium pullulans)などのアウレオバシジウム(Aureobasidium)、エンテロバクターゲルゴウィアエ(Enterobacter gergoviae)などのエンテロバクター(Enterobacter)、トリコデルマウィリデ(Trichoderma viride)などのトリコデルマ(Trichoderma)、大腸菌(Escherichia coli)などのエスケリキア(Escherichia)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びシュードモナスケパキア(Pseudomonas cepacia)などのシュードモナス(Pseudomonas)、及び黄色ブドウ球菌((Staphylococcus aureus)及びスタフィロコッカスエピデルミダス(Staphylococcus epidermidas、表皮ブドウ球菌)などのブドウ球菌(Staphylococcus)。
【0005】
銅(II)エタノールアミン水溶液又は第二銅エタノールアミン水溶液は、木材の保存、並びに、昆虫及び菌類の攻撃の防止に適用されており、この適用は重要である。この殺生物製剤を用いた製剤は、世界中で使用されている。これらの市販製剤の中には、Copper Azole(タイプA及びB)、Ammonical及び/又はAmine Copper Quat(タイプB、C及びD)、及びCopper HDOがある。銅アミンに加えて通常少なくとも1種の追加の助殺生物剤を含有する木材防腐製剤は、以前に使用された防腐剤系より環境に配慮した、腐朽及び昆虫の攻撃に耐性のある木材用製品を作製することを意図している。
【0006】
木材防腐工業で使用される銅エタノールアミン溶液は、水酸化銅、炭酸銅又は塩基性炭酸銅の何れかの単一成分、又は、これらの混合物を溶解することにより作製される。例えば、米国特許第5527384号及び米国特許第5635217号には、炭酸銅をエタノールアミン水溶液に溶解し、続いて助殺生物剤、テブコナゾール又はプロピコナゾールを添加することが開示されている。しかし、これらの固体を熱乾燥すると、しばしば酸化銅(II)又は酸化第二銅が生成し、これらはエタノールアミン中に不溶性であり、木材防腐製剤において望ましくない。
【0007】
米国特許第6489037号には、銅アミン錯体を含む床被覆の汚染を防止するコーティングが記載されている。木材防腐剤としての銅化合物が、米国特許第6352583号に記載されている。銅化合物及びポリアミンを含有する材木防腐剤が、米国特許第6110263号に記載されている。銅カチオンとアルコキシ化ジアミンの錯体を含む液体木材防腐剤が、米国特許第5426121号に記載されている。銅化合物脂肪族酸及びポリアミンをベースとする木材防腐剤が、米国特許第4857322号に記載されている。水溶性銅塩が米国特許第4808407号に記載されている。
【0008】
油エマルジョン中のクロム酸化ヒ酸銅、アンモニア性ヒ酸銅又はアンモニア性ヒ酸銅亜鉛を含む木材防腐剤が、Hickson Corporationの米国特許第4950329号に記載されている。クロム酸化ヒ酸銅薬を木材中に固定化する方法が、Hickson Corporationの米国特許第4942064号に記載されている。Hickson Corporationの米国特許第5492681号には、銅含有材料及びアンモニアを用いて酸化銅を生成する方法が記載されている。Hickson International Plcの米国特許第5427384号、米国特許第5634967号及びRe.36798には、銅アンモニウム化合物及びテブカノゾールを含む木材防腐剤が記載されている。
【0009】
銅塩は、種々の銅供給源から作製される。例えば、工業的な方法では、スクラップ銅金属、マイクロエレクトロニクス工業からの廃エッチング溶液、又は、その他の銅の高含有の固体若しくは溶液が使用される。銅金属を硫酸に溶解し、続いて炭酸ナトリウムを添加して塩基性炭酸銅(BCC)を生成することができる(H.Remy、Treatise on Inorganic Chemistry、1956、389頁)。同様に、銅金属をアンモニア/炭酸アンモニウム溶液に溶解し、続いてアンモニアを沸騰して除去してBCCを沈殿させることができる。銅塩の水溶液、例えば、塩化銅、硝酸銅等の水溶液に、水酸化ナトリウムを添加することにより、水酸化銅を生成することができる。
【0010】
電解法が記載されている。例えば、J.Errera(Bull.Acad.Belg.、(5)、1、361、1921)には、炭酸水素ナトリウム水溶液に電流を流すことにより、銅アノードにて塩基性炭酸銅を製造する旨が記載されている。
【0011】
PCT WO 01/51683A1には、窒素化合物中への銅の溶解を加速する電気化学的方法が開示されている。この文献には、半透過性膜、及びエタノールアミン溶液により分離された、銅陽極及び銀又は類似物質の陰極の使用が開示されている。系を通して直流電流を流すことにより、銅がエタノールアミン水溶液中に溶解される。エタノールアミン溶液中に銅が得られるが、非常に長時間、例えば45時間かかることが開示されている。この時間の長さは工業的には望ましくなく、工業的には、教示されたものより高い銅濃度が望まれるはずである。
【0012】
銅をアミン溶液中に溶解する旨を上記に記載した。酸素の存在下、アンモニア/アンモニウム塩水溶液と銅金属からアンモニア化銅塩水溶液を生成する反応速度に関して、かなりの研究結果が発表されている。速度論的研究は、Yamasakiにより(E.Yamasaki、Sci.Rep.Tohoku Imp.Univ.Ser.I、9、169(1920))、その後他の人(R.W.Lane及びH.J.McDonald、JACS、68、1699(1946);J.Halpern、J.Electrochem.Soc.、100、421(1953);J.I.Fisher及びJ.Halpern、J.Electrochem.Soc.、103、282(1956);B.C.Y.Lu及びW.F.Gordon、JACS、77、6136(1955);F.Habashi、Ber.Bunsengesellschaft physik.Chem.、67(4)、402(1963);Z.Zembura及びA.Maraszewska、Roczniki Chem.、40、1149(1966);Polish J.of Chem.、59、907(1985);R.D.Williams及びS.D.Light、American Inst.Chem.Eng.、21(1978);及びZ.Zembura、A.Piotrowski、及びZ.Kolenda、J.Applied Electrochem.、20、365(1990))により開始された。
【0013】
Halpern(J.Electrochem.Soc.、100、421(1953))は、アンモニア及びアンモニウム塩濃度、酸素分圧、温度、撹拌速度及び金属銅の幾何学的表面積を変化させる研究を報告した。Halpernは、低酸素濃度では、銅の溶解速度は、酸素の銅表面への移動により決定されると述べた。高酸素濃度では、この溶解速度は、銅表面における化学反応により決定された。
【0014】
発明者がRichardsonらであり、権利者がPhibrotech、Inc.である、2003年11月11日に発行された米国特許第6646147号;2003年8月21日に公開されたPCT WO 03/069025、2003年8月28日に公開された米国特許出願公開2003/0162986、及び、2004年9月30日に公開された米国特許出願公開2004/0191143には、銅含有水性モノエタノールアミン溶液を製造する方法が開示されている。
【0015】
銅エタノールアミン溶液を製造する現在の方法は、長い反応時間及び低い歩留まりを含めた欠点を有している。
【0016】
銅エタノールアミン水溶液を製造する、有用で効率的な方法の必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
金属銅及びエタノールアミンから、銅エタノールアミン水溶液を製造するプロセス、方法及び反応器システムを提供する。また、保存用製剤又は銅エタノールアミン水溶液を提供し、これらは、一実施形態では、木材の保存に使用する。本明細書では、エタノールアミンとモノエタノールアミンとは同じ意味である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
加圧条件下で酸化剤として純粋な酸素を使用することにより、また、この際に、任意選択で銅材料を撹拌することにより、銅が溶解する歩留まりが顕著に増加することを見出した。本出願人らは、いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、加圧された反応条件と反応物を撹拌することとの組合せにより、溶液中に溶解したO2の溶解濃度が上昇し、工業規模で銅を溶解させる能力が大幅に増強したものと考えられる。本明細書で開示される方法を用いて、所望の高濃度の銅モノエタノールアミンを得ることができ、これらの溶液を任意選択で希釈することにより、木材防腐製剤などの種々の防腐製剤を製造することができる。
【0019】
一実施形態では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)酸素、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を反応させ、エタノールアミン塩などのアミン塩を生成することを含む。
【0020】
一実施形態では、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)この混合物中に、酸素、例えば、空気又は純粋な酸素を供給すること、
c)金属銅を溶解するために、この混合物を、例えば、約40〜115℃、40〜100℃、40〜90℃、40〜80℃、60〜90℃、70〜90℃、80〜100℃又は80〜115℃の温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したアルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより生成物が形成されることを含む、容器中で銅エタノールアミン溶液を製造する方法を提供する。
【0021】
ステップa)の成分は、任意の順序で添加することができる。
【0022】
圧力、温度及び反応物濃度を含めた反応条件は、迅速な生成物の生成を促進するように、選択することができる。一実施形態では、空気は、40〜90℃、60〜90℃又は60〜80℃の温度にて、大気圧、又は、50又は75ポンド/平方インチゲージなどの加圧下で、使用される。他の実施形態では、純粋な酸素が、例えば、80〜100℃、若しくは、85〜95℃、若しくは、110℃、若しくは、115℃、又は、これら以上の温度で使用され、この酸素は、例えば1、5、15、20、25、35、45、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で加え得る。
【0023】
また、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)この混合物中に酸素を供給すること、
c)金属銅を溶解するために、この混合物を例えば約40〜115℃、又は、例えば60〜90℃の温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液生成物を形成すること、を含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法を提供する。
【0024】
この二酸化炭素は、例えば、約5〜30重量%、又は例えば約8〜12重量の量で存在する。
【0025】
他の態様では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)空気又は純粋な酸素などの酸化剤、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を反応させることを含み、
この酸化剤を、加圧下で反応に投入し、銅エタノールアミン塩などの銅アミン塩を生成する。特定の一実施形態では、純粋な酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で投入する。
【0026】
他の態様では、銅エタノールアミン水溶液を製造する方法が提供され、この方法は、
i)銅金属、
ii)空気又は酸素などの酸化剤、
iii)アルキルヒドロキシルアミン、例えばモノエタノールアミンなどのモノエタノールアミンなどのアミン、及び
iv)酸又は酸無水物
を水溶液中で反応させることを含み、
酸化剤は加圧条件下で反応に投入され、この銅金属は溶液中で撹拌される。一実施形態では、この酸化剤は純粋な酸素であり、純粋な酸素を1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージにて、反応容器中で起こっている反応に投入する。
【0027】
一実施形態では、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)酸素、例えば、空気又は純粋な酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージなどの加圧条件下で混合物中に供給すること、
c)この混合物を撹拌すること、
d)金属銅を溶解するために、この混合物を、例えば、約40〜115℃、40〜100℃、40〜90℃、40〜80℃、45〜55℃、60〜90℃、70〜90℃、80〜100℃又は80〜115℃の温度に維持すること、並びに
e)銅が溶解したアルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより生成物が形成されることを含む、容器中で銅エタノールアミン溶液の製造方法を提供する。
【0028】
ステップa)の成分は、任意の順序で添加することができる。圧力、温度及び反応物濃度を含めた反応条件は、迅速な生成物の形成を進めるために選択することができる。撹拌レベルは、容器内の液体/ガスの界面がかき乱されて、好ましくは、液体の一部が、容器のガスヘッドスペース中に分散するように調整することができる。一実施形態では、この液体は、撹拌機により引き起こされたはね返りによりガスヘッドスペース中に分散される。或いは、この液体は、液体をヘッドスペース中にスプレーする、又はブロワを用いてガスをヘッドスペースから液体中に循環させることにより、ガスヘッドスペース中に分散させることができる。
【0029】
一実施形態では、モノエタノールアミンの代わりに、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンで代替してもよい。
【0030】
また、
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)酸素を、1、5、20、35、50、65、75、80、又は90ポンド/平方インチゲージなどの加圧条件下で混合物中に供給すること、
c)この混合物を撹拌すること、並びに
d)金属銅を溶解するために、この混合物の温度を、例えば約40〜115℃、又は例えば60〜90℃に維持すること、並びに
e)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物の固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液生成物が形成されることを含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法を提供する。
【0031】
生成物中に溶解した銅の濃度を所望の濃度にすることができ、且つ、所望の濃度となるのに必要な反応時間を短縮するように、反応条件を設計することができることが利点となる。生成物中に溶解した銅濃度は、例えば5〜15重量パーセントである。
【0032】
二酸化炭素と銅のモル比は、例えば、銅1モル当たり二酸化炭素0.5〜1.5モルの範囲にある。一例示的な範囲は0.7〜0.8である。
【0033】
アルキルヒドロキシルアミン(モノエタノールアミンなど)と生成物中に溶解した銅のモル比は、例えば、銅1モル当たりアルキルヒドロキシルアミン2.0〜5.0、3.0〜5.0、3.0〜4.0、又は3.5〜4.0モルである。
【0034】
本反応を過剰な銅金属で開始してもよく、且つ、適当な反応条件下で十分な量の銅金属を使用して、生成物中で、所望の比の溶解した銅とアルキルヒドロキシルアミンを得ることができる。
【0035】
この反応は、例えば、約40〜115℃、又は60〜90Cの温度で行われる。温度は、好ましくは良好な反応速度が得られ、且つ、好ましくは酸化されたエタノールアミンの副生成物が無視し得るか又はないように選択される。任意選択で、この温度は、約40〜80℃、40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、65〜80℃、70〜80℃、70〜90℃、80〜100℃又は90〜110℃である。
【0036】
特に、一実施形態では、この温度は、65℃を超える;70℃を超える;75℃を超える;80℃を超える、又は90℃を超える。本明細書に記載された、適当な温度及び他の条件の選択により、反応時間を短縮し、生成物中に溶解した銅濃度を増加させることが可能になる。
【0037】
使用される無水物は、二酸化炭素であり得る。二酸化炭素に加えて、他の酸又は無水物を使用することができる。この酸、酸無水物又はエタノールアミン酸塩は、任意選択で、炭酸、二酸化炭素又はプロトン化エタノールアミンカーボネートである。
【0038】
酸素供給源としては、空気以外に、純粋な酸素を使用することができる。酸素供給源は、任意選択で、溶液中にガスを泡立たせる加圧された供給源であり得る。一実施形態では、酸素は、多孔性金属拡散器などの拡散器を介して溶液に投入される。金属銅含有材料は、例えば、任意選択で塊又は切断された、スクラップ又は純粋な銅或いは、例えば、#1又は#2スクラップを含めた任意の銅含有材料である。
【0039】
使用される反応容器は、ガス又は液体を含む成分を投入又は取出すためのポートに適合された、標準の反応器でもよい。この反応は、任意選択で、大気中に開放されている又は加圧下の撹拌タンクである反応器中で実施される。この反応容器は、好ましくは加圧下で撹拌を継続させることが可能なタンクである。この撹拌機は、パドル又は羽根を含む機械的撹拌機、或いは所望の液体又は固体が撹拌されるのに十分な撹拌をもたらす任意の撹拌デバイスなどの、任意の撹拌手段を含むことができる。この反応容器は、金属銅含有材料を含む、カラム又はチューブなどの固定床でもよく、加熱された溶液反応物及び空気が金属銅含有材料を通過する。例えば、この反応容器は、他の反応物の溶液がそれを通して通過する銅材料で充填されたカラムでもよい。この反応容器は、任意選択で加圧される。この溶液は、容器中を、任意選択で一定の速度で再循環することができる。
【0040】
生成物中に溶解した銅を形成する速度は、本明細書に開示されている方法により促進することができる。生成物中に溶解した銅濃度は、例えば、任意選択で約5〜15、8〜12、又は9〜10重量パーセントの銅である。ある種の応用例では、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、又は、例えば少なくとも15%の溶解した銅濃度を得ることが望ましく、これは、反応物の濃度、圧力及び温度を含めた反応条件の調整により達成される。一実施形態では、短縮された反応時間で10.2〜10.3%の銅を有する生成物が目標濃度である。しばしば濃厚な溶液が得られ、これは所望の製剤を形成する工程中で希釈される。
【0041】
所望の時間内で所望の歩留まりを得るために、温度及び圧力を含めた適当な条件が選択される。一実施形態では、少なくとも10〜15%の濃度の銅エタノールアミン水溶液を、約12時間未満、約8時間未満、約7時間未満、5時間未満、又は例えば3時間未満で得るために、この方法は、水、モノエタノールアミン、CO2、金属銅、及び酸素を、適当な温度、圧力、及び撹拌レベルで組み合わせることを含む。或いは、選択される温度、圧力及び撹拌レベルに応じて、10〜130g/L−時間の間の銅溶解速度を得ることができる。20g/L−時間を超える銅溶解速度を得ることが好ましい。
【0042】
反応混合物に、ポリアミン、アンモニア酸及び窒素塩基などのアミンを含めた他の成分を添加することができる。
【0043】
電流を流すことなく、又は、膜を使用することなく、この反応を行うことが好ましい。
【0044】
反応容器中の酸素の最適圧力は、選択することができる。例えば、空気又は純粋な酸素の形態の酸素は、例えば、0、1、5、20、35、50、65、75、85、90ポンド/平方インチゲージ又はこれを超える圧力で投入することができる。
【0045】
一実施形態では、反応容器が加圧され、反応容器がさらに撹拌機を備える、水、モノエタノールアミン、二酸化炭素、及び銅材料を含む反応容器が提供される。この撹拌機は、銅を反応混合物中に混合するため、及び/又は反応混合物の表面を撹拌して、反応混合物に隣接する酸素を含むガス相中に混合物を分散させるための、1つ又は複数の羽根を備えた機械的撹拌機であり得る。この容器は、混合物中に酸素を供給するための、チューブなどの導管もさらに備え得る。この導管は、それを介して酸素(純粋な酸素又は空気を含めて)が分散される拡散器を備え得る。本明細書に記載の反応は、この容器中で実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
銅アルキルヒドロキシアミン水溶液を製造するプロセス及び方法を提供する。また、広範囲の応用例で使用することができる、保存用製剤及び方法を提供する。一実施形態では、この製剤は木材の保存に使用される。金属銅及びエタノールアミンから形成することができる、銅アルキルヒドロキシルアミン水溶液を提供する。特に、金属銅及びモノエタノールアミンから、銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法を提供する。
【0047】
第1実施形態では、容器中で、
i)水、
ii)エタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミン、
iii)アルキルヒドロキシルアミンの酸塩を生成するための酸又は酸無水物、或いは
エタノールアミンなどのアルキルヒドロキシルアミンの酸塩、及び
iv)金属銅含有材料
を組み合わせることにより、容器中で銅エタノールアミン溶液の製造方法を提供する。
【0048】
本明細書では、アルキルヒドロキシルアミンとは、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミンである。
【0049】
空気又は純粋な酸素などの酸素供給源は、混合物中に供給される。この酸素は、例えば、1、5、10、15、20、25、35、45、50、65、75、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で混合物中に供給することができる。この混合物の温度は、金属銅を溶解するために、適当な温度、例えば、約40℃〜115℃、又は40℃〜90℃に制御され、これによって、銅モノエタノールアミン水溶液が形成される。過剰な金属銅又は他の固体は、例えばろ過により除去することができる。さらに、この混合物は、例えば銅金属を溶液中で撹拌(stir)するために撹拌(agitate)することができる。この反応が、加圧下で加えられる純粋な酸素で加圧された反応器中で実施される諸実施形態では、この場合、より多くの反応性酸素を溶液中に吸収させるために、溶液を撹拌する撹拌機を使用して、溶液上のガス相中に溶液を分散させることが有利である。
【0050】
第2実施形態では、
i)水、
ii)エタノールアミン、
iii)エタノールアミンの一部と反応してエタノールアンモニウムカーボネート塩を生成することができる、酸又はCO2などの酸無水物、及び
iv)金属銅含有材料
を組み合わせることを含む、銅エタノールアミン溶液を製造する方法。
【0051】
空気などの酸素供給源がこの混合物中に供給される。酸素は、例えば、1、5、10、15、20、25、35、45、50、65、75、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で反応容器中の反応溶液に加えられる。この混合物の温度は、金属銅を溶解するために、適当な温度、例えば、約40〜115℃、又は60〜100℃又は90〜110℃に制御され、これによって水溶液銅エタノールアミン溶液が形成される。過剰な金属銅又は他の固体を、例えばろ過により除去することができる。銅金属、及び/又は溶液を撹拌するために、撹拌機を使用することができる。
【0052】
上記のように、この反応成分には、アルキルヒドロキシルアミン及び水が含まれる。この反応混合物は、さらにアルキルヒドロキシルアミンの酸塩を含み、これは任意選択でin situで生成される。この酸塩は、アルキルヒドロキシルアミンの一部と酸又は酸無水物との反応により生成されて、その塩を形成する。
【0053】
例えば、この反応成分は、エタノールアミン及び無水物、CO2を含み、これらが反応してエタノールアンモニウムカーボネート塩を生成し、同時に、銅との反応に利用可能なエタノールアミンの一部が依然として残る。
【0054】
アルキルヒドロキシルアミンと反応してアルキルヒドロキシルアミンの酸塩を形成する酸は、例えば、硫酸、硝酸又は塩酸などの無機酸、又は酢酸、グリコール酸、酒石酸、フマル酸及びマレイン酸などの有機カルボン酸である。例えば、エタノールアミンの酸塩は、エタノールアミンが例えば、硫酸、グリコール酸、硝酸又は塩酸と反応することにより任意選択で生成される。好ましい一実施形態では、エタノールアミンの酸塩は、エタノールアミンとCO2を組み合わせることにより生成される。
【0055】
使用することができる他の酸としては、トリポリリン酸などのポリリン酸;グリシン、グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸及びN−ジヒドロキシエチルグリシンなどのアミノカルボン酸;酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリコール酸、グルコン酸及びグルコヘプトン酸などのヒドロキシカルボン酸;並びに、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸などのホスホン酸がある。
【0056】
一実施形態では、二酸化炭素と銅のモル比は、銅1モル当たり約0.5〜1.5、又は約1.0〜1.3、又は約0.7〜0:8モルの二酸化炭素である。
【0057】
エタノールアミンと生成物中に溶解した銅のモル比は、例えば、銅1モル当たり約2〜5、3〜5、3.5〜4.0、又は約3〜4、又は例えば約3〜3.8モルのエタノールアミンである。
【0058】
この生成物中に溶解した銅の濃度は、反応条件により決まる。例えば、5〜15重量%、7〜15重量%、9.0〜12重量%、9.0〜15重量%、12〜13重量%、又は12〜15重量%の生成物中に溶解した銅濃度を得ることができる。前述のように、反応物の濃度、圧力及び温度を含めた反応条件を調整することにより、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%又は、例えば、少なくとも15%の溶解した銅濃度を得ることができる。一実施形態では、溶解した銅濃度は、希釈してさらなる成分を有する工業用製剤を形成するのに使用できるように、少なくとも約12〜13%又は12〜15%である。
【0059】
一実施形態では、これらの溶液は、固体がなく、銅(I)又は第一銅イオンを含有しないか、無視し得る量、例えば総銅パーセントの1パーセント未満のみを任意選択で含む。溶液に加えて追加の助殺生物剤(単数又は複数)を含む防腐製剤が、商業用途に対して十分安定であるように、これらの溶液は周囲温度で長期間安定であることが好ましい。
【0060】
この反応は、例えば、約40〜110℃、60〜100℃、40〜90℃、又は、例えば60〜70℃の温度で実施される。温度は、好ましくは、良好な反応速度が得られ、副生成物の酸化されたエタノールアミンが無視し得るか又はないように選択される。この温度は、任意選択で、約40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、65〜80℃、70〜80℃又は70〜90℃である。特に、一実施形態では、この温度は、反応速度及び溶解した銅の歩留まりを高めるために、少なくとも60℃、少なくとも80℃、又は少なくとも90℃である。
【0061】
温度の選択は、他の反応条件及び生成物中の所望の溶解した銅濃度に基づいている。より低純度の酸素、例えば空気を使用する場合は、反応時間がより長くなり、すなわち、酸化を回避するために40〜80℃などの低温を使用し得る。しかし、例えばより短い反応時間でより高温も使用し得る。より高純度の酸素が使用される場合は、反応時間が短縮され、より高温、例えば70〜110℃を使用することができる。さらに、反応における酸素の圧力を増加するにつれて、反応時間が短縮され、より高温を使用することができる。
【0062】
反応中、例えば空気又は純粋な酸素の形態の酸素は、歩留まりを高め及び/又は反応時間を短縮させるために、例えば0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、75、80、85、又は90ポンド/平方インチゲージの圧力で加えることができる。一実施形態では、酸素は、多孔性金属拡散器などの拡散器を介して、加圧下で混合物に加えられる。
【0063】
50psiで空気を加える場合の、任意選択の温度は約60〜85℃である。75psiで空気を用いる任意選択の温度は、約60〜70℃、又は60〜85℃、又は85〜90℃である。純粋な酸素を用いて、50psi又は75psiで純粋な酸素を加える場合は、任意選択の温度は約80〜110℃である。
【0064】
銅エタノールアミン水溶液は、種々の応用例の中でも木材の防腐に対して有用である。銅は、水不溶性化合物の形態で(例えば、炭酸銅、BCC、水酸化銅等)、殺生物剤として作用することができ、一方エタノールアミンは、銅化合物中で可溶化剤として作用することができる。したがって、可溶化剤を減少させると、銅殺生物剤の全体的なコストが低下する。
【0065】
反応条件の最適化
銅モノエタノールアミン水溶液の歩留まりを高めるために、この反応条件を、例えば、濃度、温度、及び圧力を変更することにより最適化することができる。
【0066】
例えば、少なくとも11%、12%又は少なくとも15%の溶解した銅濃度を有する溶液を、12時間、6時間、4時間又は3時間未満で製造するためには、反応は、少なくとも65℃の温度で実施することができる。
【0067】
反応は、反応器中において、酸素供給源として空気を用いて大気圧で実施することができる。この実施形態では、銅、エタノールアミン、酸又はCO2などの無水物及び空気の反応は、例えば、約60〜80℃の温度で約6〜8時間実施されて、少なくとも8重量%又は9重量%、或いは、例えば少なくとも10、11、12、13、14、又は15重量%の溶解した銅を生成する。いくつかの実施形態では、この溶液が、例えば、9.0〜10%の濃度を有する希釈された第2の生成物を形成するために希釈することができるように、10%を超える濃度を製造することが好ましい。
【0068】
一実施形態では、銅の溶解速度は、10〜130g/L−時間の間であり、又は20g/L−時間を超える。
【0069】
他の実施形態では、生成物中に溶解した銅の所望の濃度の形成は、加圧下で反応を実施すること、及び/又は酸素の濃度を高くする(例えば、純粋な酸素を用いて)ことにより加速される。温度を高くすることにより(例えば、少なくとも70℃、80℃、少なくとも90℃又は少なくとも100℃に)、反応時間は、例えば、8時間未満、6時間未満、4時間未満又は3時間未満に短縮することができ、生成物中に溶解した銅は、任意の所望の量、例えば、少なくとも10、11、12、13、14又は15重量%であり得る。この反応は、生成物中に所望の溶解した銅の濃度をもたらすのに十分な時間実施される。さらに、この混合物は、固体銅材料を混合物中に分散させるために撹拌し得る。撹拌はまた、混合物中の溶解酸素の濃度を増加させて、さらに反応時間を短縮させ、銅の溶解を加速させるために使用することができる。例えば、容器の液体/ガスの界面がかき乱され、液体が混合物上の空気又は酸素中に吹きかけられ又は散布されて、混合物がより多くの酸素を吸収することが可能になるように混合物を撹拌する。本出願人らは、いずれかの1つの理論に縛られることは望まないが、容器ヘッドスペース中の液体/ガス界面の撹乱は、この液体の酸素への暴露を増加させて、液体中への酸素の吸収をさらに向上させるものと考えられる。
【0070】
エタノールアミンの濃度は反応に影響し得る。水中のエタノールアミンの例示的な有用な濃度は、約10〜60、25〜50又は30〜45重量%である。
【0071】
二酸化炭素の濃度は反応に影響し得る。一実施形態では、銅、エタノールアミン、CO2及び酸素の反応が実施される。二酸化炭素と銅のモル比は、例えば、0.5〜1.5の範囲にある。例示的な範囲は0.7〜0.8である。或いは、化学量論量のCO2を使用することができる。或いは、二酸化炭素と銅のモル比は約0.7〜0.8である。反応は、例えば、大気圧の条件の空気を用いたこれらの条件下で、少なくとも8、9、10又は11パーセントの溶解した銅を生成するためには、約6〜8時間かかり得る。
【0072】
酸素(例えば空気又は純粋な酸素)の圧力は、反応を最適化するために調整することができる。一実施形態では、歩留まりを高めるか又は反応時間を短縮するために、例えば空気の形態の酸素を、例えば20、50、75又は90ポンド/平方インチゲージの加圧下で加えて、銅、モノエタノールアミン、CO2及び酸素の反応を実施する。この反応は、圧力を維持するためのシステムを通過する流れを用いて、反応器中で実施することができる。この反応は、例えば、これらの条件下で少なくとも8、9、10、12又は15重量%の溶解した銅を生成するために、約5〜8時間8〜10時間又は8〜12時間かかり得る。
【0073】
加圧下の空気を使用することにより、反応時間は例えば30%短縮される。純粋な酸素の使用、圧力の増加、及び撹拌により、さらに反応時間を短縮することができる。一実施形態では、温度及び/又は圧力及び/又は純粋な酸素の使用及び/又は撹拌などの反応条件が、反応時間を例えば2、3、4又は5時間未満に短縮するよう選択される。
【0074】
特定の実施形態の例では、少なくとも10%の溶解した銅を有する生成物を約5時間未満内に得るために、反応を、60℃〜90℃において、空気を用いて、75ポンド/平方インチゲージで実施することを含む。
【0075】
他の実施形態では、少なくとも10%の溶解した銅を有する生成物を少なくとも2.5〜3.0時間内に得るために、反応は、25〜75ポンド/平方インチゲージの純粋な酸素を用いて加圧反応容器中において70〜90℃、又は90〜110℃で実施される。
【0076】
例えば、少なくとも9、10、11、12、13、14又は15重量%の溶解した銅濃度を有する銅エタノールアミン水溶液を、2、3、4、5、6、7、8、9、l0又は12時間未満の反応時間で生成するために、酸素の圧力は、少なくとも5、10、20、25ポンド/平方インチゲージ、30ポンド/平方インチゲージ、40ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、60ポンド/平方インチゲージ、70ポンド/平方インチゲージ、80ポンド/平方インチゲージ、又は90ポンド/平方インチゲージである。
【0077】
一実施形態では、反応は、1〜2%の溶解した銅生成物の、例えば、反応器中の前回の運転からの「ヒール(heel)」と共に実施される。このことは、有利には反応時間を短縮することができる。例えば、1〜2%のヒールを使用して、約65℃〜85℃の間又は少なくとも90、100又は110℃の反応温度で、少なくとも約10%の溶解した銅濃度を有する生成物が、75ポンド/平方インチゲージでは約4〜4.5時間で、又は50ポンド/平方インチゲージでは4〜6時間で得ることができる。反応容器中に残留する少量の生成物銅のヒールが、例えば1〜2%の濃度で存在すると、反応時間を例えば6時間以下に短縮することができる。ヒールを用いて、例えば、85℃、90℃、100℃又は110℃において、8%を超える生成物中に溶解した銅濃度をもたらすために、75ポンド/平方インチゲージでは反応時間は4時間に、或いは50ポンド/平方インチゲージでは5時間に短縮することができる。このことは、反応時間が短縮されるので有利である。空気又は純粋な酸素を使用することができ、純粋な酸素を用いると、反応はより迅速に進行するであろう。
【0078】
一実施形態では、反応は、酸素供給源として空気を使用し、85℃、75ポンド/平方インチゲーで、1%のCuヒールを含み、10.5%銅溶液を5時間で生成する。対照的に、大気圧では反応は8、10又は11時間かかり得る。したがって、より高圧の使用が有利である。
【0079】
特定の実施形態では、ポート(単数又は複数)が大気中に開放され、撹拌されている反応容器中の水に、所望量のエタノールアミンを添加することにより、この方法を開始することができる。エタノールアミン濃度は、例えば、30と60重量パーセントの間、又は40と55重量パーセントの間で変化させることができる。二酸化炭素をエタノールアミン水溶液に、得られる濃度が5〜15重量パーセントの間、例えば、6〜10重量パーセントの間の範囲にあるように添加することができる。銅金属を混合物に投入し、この混合物を、化学的に必要なすべての酸素を6〜24時間、例えば10〜12時間以下でユニットに通すのに十分な速度で空気を吹き込みながら、約40〜110℃、例えば60〜70℃又は80〜100℃に維持する。
【0080】
この反応は、反応物の溶液をフロースルー型容器に通過させることにより、任意で実施され、フロースルー型容器は銅金属を含むチューブ又はカラムであってもよく、銅金属はスクリーン上に支持されていてもよい。この方法は、大型の反応器中で大量の銅金属を撹拌しようとする試みに伴う課題を克服するのに有利であり、大型の反応器では、溶液と銅金属表面の接触が少なくなりうる。この溶液の温度を制御するために、圧力及び温度制御要素を容器に付け加えることができる。例えば、加熱ジャケット又は冷却要素を容器に付け加えて、容器中を通過する溶液を所望の温度に維持することを可能にする。反応混合物は、歩留まりを高め、より効率的に溶液を銅金属に触れさせるために、容器を通して任意選択で一定の速度で、再利用又は再循環することができる。
【0081】
対照的に、反応が撹拌を備えた反応器中で行われる場合は、銅金属を分散するために撹拌機を使用することができる。このことは、撹拌される多量の銅金属がある場合は困難であるが、適当な撹拌機及び銅の量を選択することにより、うまく撹拌することができる。
【0082】
反応の完了に必要な時間は、酸素の圧力、使用される銅小片の寸法、反応温度、撹拌速度又は流量、撹拌レベル、出発材料の純度、及びエタノールアミン濃度並びに二酸化炭素濃度を含めた条件に応じて異なる。選択された条件下で、この反応は、例えば、2時間未満、3時間未満、4時間未満、6時間未満、8時間未満、12時間未満、14時間未満、16時間未満、24時間未満、又は2日未満内に完了する。最適撹拌速度又は流量が、工程設計のために決定される。
【0083】
本明細書に記載された結果は驚くべきことである。なぜなら、エタノールアミン溶液中への銅の溶解速度は、エタノールアミンの2−ヒドロキシエチル基により生じる立体障害のために、アンモニア溶液中より遅いはずであると予測されるからである。及び、なぜなら、エタノールアミンの水酸化物は酸化を受けやすく、エタノールアミン溶液中への銅の溶解速度を高めるために温度を上昇させると、エタノールアミンが酸化することができるので、エタノールアミンは銅(II)又は第二銅部分により容易に酸化されるからである。
【0084】
銅とエタノールアミンの予想外のモル比が、有用であることを見出した。銅はアンモニアと結合する場合、4個の窒素原子と結合する。このことが、銅とエタノールアミンのモル比になるはずであることが予想される。しかし、例えば、2又は3.0、又は、例えば3.5の銅とエタノールアミンのモル比も適している。このことは、殺生物製剤などの銅エタノールアミン製剤のコストを低下させることができるので有用である。
【0085】
この反応のpHは、例えば、8〜11.5、又は8〜11.3、又は8〜11、又は9〜11、又は9〜10である。CO2の濃度は、例えば5〜30重量%である。モノエタノールアミンの濃度は、例えば30〜40重量%である。過剰な銅材料が存在することができる。酸化剤は、反応条件に対して適当な量で存在することができる。
【0086】
銅供給源
この方法には、任意の銅含有材料を使用することができる。一実施形態では、純粋な金属銅が使用される。#l及び#2スクラップ銅金属などの、不純な形態の銅もまた使用することができる。超高純度の陰極グレードの切断された銅、及び他の高度に純粋な形態を使用することができる。#1スクラップ銅金属は、典型的にはほぼ99%の銅を含有し、#2スクラップ金属は、典型的にはほぼ97%の銅を含有するが、これは供給業者の中でいくぶんかは異なり得る。#2スクラップ金属は、しばしば、その絶縁体が取り除かれ、小片に切断された再生銅線である。
【0087】
高純度銅を含めた高純度出発材料を使用することができ、或いは、ある量の不純物が最終生成物中で許容される場合は、金属銅より安価な低グレードの銅を使用することができる。
【0088】
使用される銅金属の形態は、工業用の「微細」で「大型」な銅材料に見られるなどの、大きな幾何学的表面積を持ち得る。これらの銅材料は、主に、切断された銅線、及び種々の粉砕された又は大きさを揃えた銅スクラップを含めた切断された銅材料である。銅の純度は、工業用#1(高純度、99+%)から#2(典型的には>95%銅)又は95パーセント未満の銅を含有する低グレードまで異なり得る。
【0089】
一実施形態では、大きな表面積を有する微細に粉砕された銅金属などの、高表面積の銅が使用される。一実施形態では、切断された銅線を使用することができる。
【0090】
酸素
この方法には、空気を含めた任意の酸素供給源を使用することができる。一実施形態では、閉鎖型容器を使用する場合は、純粋な酸素が使用される。開放容器では、より低濃度の酸素が使用することができる。
【0091】
酸素(任意の供給源)は、反応混合物中に任意の適当な方法で、例えば反応混合物の表面の下方に導入することができる。このガスは、混合物がガスパイプ中に逆流するのを防止するために、容器の内部圧力に対して正圧で導入されるべきである。ガス圧の上限は、容器が圧力に耐え得る能力及び生成されるガス混合物の引火性によってのみ制限される。一実施形態では、酸素は、約5及び100ポンド/平方インチゲージ、又は約20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージの圧力で容器中に導入される。この酸素(例えば空気の形態の)の圧力は、反応速度に影響を与える。例えば、圧力は、0ポンド/平方インチゲージ、20ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、75ポンド/平方インチゲージ又は90ポンド/平方インチゲージであり得る。
【0092】
一実施形態では、反応に必要な酸素の化学量論量は、容器に投入された銅の重量及び純度に基づいて計算され、規定量の酸素、又は計算された過剰量が容器中に導入される。代替実施形態では、酸素は、反応混合物がガスの吸収を中止したと決定されるまで導入される。銅イオンと反応した酸素量は、酸素導入の前後に反応混合物を秤量することにより決定される。
【0093】
この酸素は、当技術分野で知られている任意の方法で反応混合物中に導入することができる。単一要素又は複数要素の側面取付拡散器、単一要素のディップレッグ拡散器、単一要素のフランジ付き側面取付拡散器、マニフォールドディップレッグ取付拡散器、クロスタンクフランジ付き側面取付拡散器、サイドストリームスパージャ、イントルーシブタンジェンシャルスパージャ(intrusive tangent sparger)、パイプに取付けられたイントルーシブスパージャ(intrusive sparger)、ダイナミックパイプラインスパージャ、多孔性金属拡散器、粗気泡、高容量の水平様式拡散器、プレナムチャンバ拡散器、メンブランチェックバルブ拡散器、セラミック拡散器、又は当技術分野で知られている任意の他の種類の拡散器などの、液体の界面を通して酸素を吹き込む、バブリングする、又は散布することが可能な任意のデバイスを利用することができる。任意選択で、このデバイスは、多孔性金属拡散器、又は他の適当な散布デバイスなどの微細な気泡を発生させる散布デバイスである。一実施形態では、有利には、酸素は、溶液中に、例えば銅の下に散布することができる。
【0094】
反応温度及び時間
この反応成分は、溶解した銅生成物を形成するのに十分な温度、例えば、40〜115℃、又は60〜90℃に維持される。温度は、好ましくは、良好な反応速度を得て、且つ、副生成物の酸化エタノールアミンが無視し得るか、又はないように選択される。この温度は、任意選択で、約40〜60℃、50〜60℃、60〜80℃、70〜90℃、又は80〜110℃である。特に、一実施形態では、この温度は、溶解した銅の生成を促進するために、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、又は少なくとも80℃である。上記のように、この温度は、圧力及び酸素供給源などの他の反応条件の選択によりまた決まるであろう。反応中は、この反応容器は、温度をこの範囲に維持するための任意の適当な手段、例えば、ウオータージャケットにより加熱又は冷却することができる。
【0095】
反応器の設計
種々の反応器の設計を使用することができる。銅エタノールアミン水溶液を製造する反応器システムは、例えば、反応容器、スターラ、撹拌機、ガス供給源、入口及び出口バルブ、加圧システム、入口及び出口系統、熱電対、加熱器、撹拌機、ガス拡散器、タンク、ポンプ、冷却ジャケット、スクラバ、水蒸気供給源等を備えることができる。本明細書に記載の反応器システムは、本明細書に記載の任意の反応に使用することができ、銅エタノールアミン水溶液の製造用システムの考察は、一例として提供するものである。特定の実施形態を、実施例8に述べ、図6、7及び12に示す。
【0096】
撹拌又はフロースルーを備える任意のサイズの反応器が使用し得る。例えば、この反応器は、1000ガロン、5000ガロン、10000ガロン、15000ガロン又はこれを超えてもよい。
【0097】
例えば、この反応器システムは、大規模の反応器において、大気圧で反応が行われることを可能にし得る。操作中は、反応物を30ガロン反応器に供給し、その重量をはかりを用いて測定することができる。この大規模の反応器に水及びモノエタノールアミン、並びに切断された銅金属などの金属銅含有材料が提供され、次いで、CO2及び例えば空気又は純粋な酸素の形態の酸素を、溶液中に、例えば多孔性金属拡散器により分散させることができる。反応器溶液の温度は、金属銅を溶解し、任意選択でろ過される銅モノエタノールアミン溶液を生成するために、加熱器及び冷却器を含めた必要な要素で、所望の温度、例えば、約60〜115℃、又は70℃〜90℃に制御される。
【0098】
他の実施形態では、反応溶液の加熱された成分が、銅金属を含むカラム又はチューブであり得るフロースルー型容器を通過する。この反応器システムは、反応容器、ガススパージャチューブ又は拡散器、撹拌用撹拌機、加熱器及び冷却要素、ポンプ、空気供給源、入口及び出口、及び切断された銅金属を含むチューブ又はカラムを備えることができる。このシステムは銅金属を、撹拌を必要条件とせずに溶液と金属の接触を促進するために、例えば、チューブ中で銅を支持する金属フィルタメッシュを備えたフロースルー型容器中に供給することを可能にする。
【0099】
一実施形態では、この反応を実施するために、反応容器中に水及びモノエタノールアミンを供給し、空気及びCO2を、例えば拡散器を用いて溶液に供給し、混合物を、任意選択で撹拌機により混合する。この溶液は、加熱器で加熱され、銅が充填されたカラムをポンプにより上方に通過されて、銅と反応する。このことは、効率的方法であり、歩留まり及び反応時間を改善することができる。例えば、反応時間は、5、6、7、8又は9時間未満であり得る。この液体は、カラムを通して、任意選択で一定の速度で再循環される。カラム中を上昇する液体は、オーバーフローにより反応器中に戻り、任意選択でカラムに再循環することができる。
【0100】
他の実施形態では、この反応は、加圧された反応器中で実施される。このシステムの圧力を増加させると、歩留まりが改善され、反応時間が短縮される。例えば、容器中に導入される酸素の圧力は、例えば、5〜100ポンド/平方インチゲージ、20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージである。この酸素(例えば、空気の形態)の圧力は、反応速度に影響を与える。例えば、反応時間を、例えば、5時間未満、6、7、8、9、10又は12時間未満に短縮させるためには、圧力は、0ポンド/平方インチゲージ、20ポンド/平方インチゲージ、50ポンド/平方インチゲージ、又は90ポンド/平方インチゲージであり得る。
【0101】
一実施形態では、水、CO2及びモノエタノールアミンを、銅金属を含む反応器タンクに投入する。加圧された空気を、銅金属/溶媒ブレンド中にポンプにより供給すると、この銅は溶解する。この反応が完了したとき、この溶液を第2容器にポンプにより供給し、CO2及び水の残りを加える。このシステムは、前述の、この溶液の好ましい温度に維持するために、冷却器及び加熱器をさらに備えてもよい。他の実施形態では、MEA(モノエタノールアミン)、CO2及び水を含む予混合反応器であり、これらは、撹拌されない第2反応器中に含まれる銅金属を通過して、加圧下でポンプにより供給される。
【0102】
一実施形態では、水、モノエタノールアミン、二酸化炭素、及び銅材料を含む反応容器が提供され、この反応容器は加圧され、この反応容器がさらに撹拌機を備えている。この撹拌機は、反応混合物中で銅金属を混合し、及び/又は反応混合物の表面を撹拌して、反応混合物を、それに隣接する酸素を含むガス相中に散布するために、1つ又は複数の羽根を備えた機械的撹拌機であり得る。この容器はまた、混合物中に酸素を供給する、チューブなどの導管を備えることができる。この導管は、酸素(純粋な酸素又は空気を含めた)がそれを介して散布される拡散器を備えてもよい。本明細書に記載の反応は、この容器中で実施し得る。
【0103】
撹拌
本発明では、種々の撹拌レベル及び撹拌機を使用することができる。撹拌機は、銅金属を反応混合物中に分散させるために使用することができる。一実施形態では、この撹拌レベルは、液体/ガス界面で液体の継続的なはね返り、或いは、容器ヘッドスペース中のガス相中に継続的又は断続的な溶液のスプレーを引き起こすのに十分な撹乱を生じさせる。
【0104】
本発明では、液体/ガス界面の相互作用を引き起こすのに十分な、任意の撹拌機を使用することができる。この撹拌機は、例えば、1つ又は複数のバーを備えたスターラ、単一パドル若しくは複数パドル、単一フィン若しくは複数フィン、単一羽根若しくは複数羽根、単一インペラ若しくは複数インペラ、バーチカルミキサ、ボトムエントリーミキサ、又は、サイドエントリーミキサを備えた機械的撹拌機であるか、又はそれを含むことができる。有用な撹拌機は、例えば、単一タービン撹拌機、複数タービン撹拌機、複式逆回転撹拌機、単一逆回転撹拌機、サーキュレータデスペンサ、固定取付型撹拌機、携帯型撹拌機、水平型撹拌機、リボン型撹拌機、又は当技術分野で知られている任意のその他のデバイスを含むことができる。混合物の撹拌を生じさせるための、当技術分野で知られているその他のデバイスも十分であり得る。
【0105】
反応の化学作用
溶解した二酸化炭素を含有するエタノールアミン水溶液中における、銅と酸素との化学反応は、以下の式に分解することができ、ただし、EAはエタノールアミンである。
反応の全体
(I) Cu+1/2O2+CO2+3.5〜4EA→Cu(EA)3.5〜4CO3
酸化/還元反応ステップ
(IIa) Cu+3.5〜4EA→Cu(EA)3.5〜42++2e−
(IIb) 1/2O2+H2O+2e−→2OH− 中和/アニオンの生成
(IIIa) CO2+H2O→H2CO3
(IIIb) H2CO3+2OH−→CO32−+2H2O
この水酸イオンは、この反応の全体的な速度を遅延させることが分かっているので、この反応中で中和しなければならない(Schweizer、J.Prakt.Chem.、76、344(1859))。
【0106】
製剤
銅エタノールアミン水溶液の種々の製剤が提供される。この製剤は、本明細書に記載のように、且つ、当技術分野で利用可能な方法を使用して調製することができる。例えば、この製剤は、木材防腐製剤として使用するのに適した形態であり得る。
【0107】
製剤において、溶解した銅は、例えば、5〜15%、7〜15%、又は例えば9〜12重量%であり得る。溶解した銅濃度は、例えば、少なくとも7%、8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、また例えば、少なくとも12重量%であり得る。
【0108】
この製剤は、さらに、助殺生物剤(単数又は複数)を含めた、1種又は複数の添加剤を含有してもよい。この溶液は、商業用途に対して十分安定であるように配合することができる。例示的な添加剤としては、プロピコナゾール、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド又はジデシルジメチルアンモニウムカーボネート(DDAC)、ベンザルコニウムクロリド(BAC)及びテブコナゾールがある。
【0109】
これらの溶液は、この溶液に加えて助殺生物剤(単数又は複数)を含有する木材防腐製剤が、商業用途に対して十分に安定であるように、周囲の温度で長期間安定であることが好ましい。
【0110】
材料保存に対する応用例
銅エタノールアミン溶液及びその製剤は、広範囲の応用例及び広範囲の材料に防腐剤として使用することができる。これらは、化粧品、パーソナルケア製品、家庭用品、或いは、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製物品、及び冷却用潤滑剤並びに微生物及び/又は真菌により攻撃され又は分解され得るその他の材料などの、工業材料の保存に使用することができる。生産プラントの構成要素、例えば、微生物及び/又は真菌の増殖により損なわれ得る冷却水も処理し得る。また、水泳プール及び温泉などのその他の水含有系の完全性を、防腐剤の使用により維持することができる。さらに、これらは、家庭、公共施設、及び病院などにある表面を消毒及び無菌化により、微生物及び/又は真菌を抑制し、除去するために使用することができる。
【0111】
一実施形態では、防腐剤組成物は、シャンプー、コンディショナー、ヘアケア製品、クリーム、ローション、化粧品、石鹸、スキンケア製品などのパーソナルケア製品;又は洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、及び布の柔軟剤などの家庭用品中に使用される。代替実施形態では、この防腐剤組成物は、接着剤、サイズ剤、紙及びボール紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製物品、冷却用潤滑剤などの工業用製品及び材料に使用される。さらに、多くの工業用応用例において、防腐剤組成物は、シーリング材、ロープ、ペーパーポンプ、プラスチック、燃料、油、及びゴム及び金属加工流体中で、並びに木材用防腐剤として使用することができる。したがって、一実施形態では、この防腐剤組成物は、セルロース系材料を含めた、材料の処理に使用することができる。一実施形態では、木材に変色耐性を提供する特性を有する防腐剤組成物が提供される。この防腐剤組成物はまた、ポンプ及び紙製粉機及び冷却塔中で、スライムを生成する細菌及び真菌の抑制に使用することができる。
【0112】
防腐剤組成物は、真菌、細菌、藻類、ウイルス及び酵母菌を含めた、各種のクラスからの微生物から保護する又は抑制する広範な有用性を有する。この組成物の一部の有用性は、金属加工流体、化粧品、コーキング剤、及び工業用冷却水を含めた、木材、塗料、接着剤、にかわ、紙、織物、皮革、プラスチック、ボール紙、潤滑剤を微生物から保護することである。この組成物は、殺真菌剤などのプラント保護剤として使用するのに適当であり得る。プラント保護における殺真菌剤は、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、子嚢菌綱(Ascomycetes)、担子菌綱(Basidiomycetes)及び不完全菌綱(Deuteromycetes)を抑制するために使用することができる。
【0113】
木材が処理される実施形態では、この組成物及び方法は、辺材変色(sapstain)に対する耐性を向上するとともに、カビ、ウドンコ病、軟腐病、赤腐れ病及び白腐れ病、及びシロアリを含めた昆虫の攻撃への有効な耐性を提供する。この防腐剤組成物は、任意の硬材又は軟材などの任意の木材基材に施用し得る。
【0114】
例えば、辺材変色及びカビを予防する又は抑制するために、この木材防腐剤組成物を生木(Green Wood)に施用する。本明細書では、「グリーン」という用語は、新しく切り取った、乾燥していない等と定義される。適当な木材基材の例としては、これらに限定されることなく、カエデ、オーク、カバノキ、サクラ、モミ等がある。この木材防腐剤組成物は、例えば圧縮処理される任意の木材基材に施用し得る。この木材基材は、マツ、モミ、又はツガなどの軟材でもよい。適当なマツ木材基材としては、これに限定されることなく、サザンイエローパイン及びポンデローザパインが含まれる。
【0115】
この組成物は、各種の硬材、軟材及び木材製品との関連で使用し得る。この組成物は、屋外などの潜在的に不利な条件で使用される製品にとって特に有利である。本発明により処理される製品に対する具体的な最終用途の例には、電柱、鉄道の枕木、デッキ、垣根、土台、屋根、ボート甲板、桟橋、壁及び板張りの道に使用される建造物製品がある。
【0116】
この溶液は、サザンイエローパイン、ベイマツ、ヘムモミ、バンクスパイン、ウエスタンパイン、オーク、ヒッコリー、カエデ、パシフィックファー、アカマツ、ツガ及びスプルースパインファーなどの木材に有利には使用される。この組成物は、原材料又は仕上がった木材製品に使用される。
【0117】
木材又は他の材料は、この開示された組成物で処理することができる。処理することができるさらなる材料としては、綿などのセルロース系材料、並びに、皮革、織物材料、合成繊維、ヘッセン、ロープ、及びロープ類がある。
【0118】
この組成物はまた、真菌による劣化を受けやすい、塗料及び類似の材料への添加剤として加えられる。他の材料としては、真菌の侵襲が生じて活性成分の安定性が問題となり得る、金属加工流体が含まれる。
【0119】
他の実施形態は、木材防腐剤組成物の殺生物剤として有効な量を、木材基材に加えることを含む、木材基材上及び/又は中の真菌及び辺材変色生物体などの微生物を抑制する方法である。本明細書に使用される、「抑制する」という用語は、これに限定されることなく、真菌及び辺材変色生物体などの微生物の増殖を抑制することを含む。真菌の非限定的な例には、カワラタケ(Trametes versicolor)(T.versicolor)、キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)(G.trabeum)、ポリアプラケンタ(Poria placenta)(P.placenta)、マツオウジ(Lentinus lepideus)(L.lepideus)、イドタケモドキ(Coniophora puteana)(C.puteana)、及びカエトミウムグロボスム(Chaetomium globsum)(C.globsum)がある。
【実施例】
【0120】
(実施例1)
幾何学的表面の影響
幾何学的表面の影響を例示するために、#1微細及び#1大型を用いて、銅モノエタノールアミン溶液の2つのバッチを調製し、その溶解速度を測定した。2リットルParr反応器に、ダブルブレード撹拌機、空気/ガス入口チューブ、雰囲気へのガス排気口、冷却クール及び加熱ジャケットを取り付けた。マイクロプロセッサ制御のユニットにより、加熱ジャケットを止めて、冷却コイル中に流水を通過させることにより温度を維持した。
【0121】
この反応混合物は、635グラムのモノエタノールアミン、532グラムの水、124グラムの二酸化炭素(1.08:1 CO2:Cu)及び330グラムの金属銅(これは、1:4の銅:エタノールアミン錯体を形成するのに必要な銅の約2倍である)を含んでいた。混合物中に、12時間の空気流後に、銅とエタノールアミンの比が1:4である、エタノールアミン中の銅を生成するのに十分な量の酸素を供給することになるような速度で、空気を通過させた。この反応混合物を65℃に加熱し、銅溶解の間、この温度に維持した。以下の表(表1)は、#1微細及び大型銅試料に対する銅溶解の初期速度への銅の幾何学的表面の影響を例示する。
【表1】
この反応は不均一系であり、この反応条件は、銅表面が銅溶解速度に影響を与えるようなものである。溶液中の銅の総量は、予想外のものであり、改善された結果を示す。
【0122】
(実施例2)
銅の溶解への温度の影響
銅の溶解は、銅(II)又は第二銅イオンによるモノエタノールアミンの酸化が少ないか、又は伴わずに、可能な限り急速に進行することが好ましい。この酸化反応は、時間及び温度に依存する。この条件は、110℃を超えると起こり得るアルキルヒドロキシルアミンの酸化を回避するように最適化することができる。
【0123】
二酸化炭素を含有するエタノールアミン水溶液中の銅の酸素溶解に対する、温度の影響を判定するために、4種の反応を実施した。銅の酸素溶解に対する温度を、観察可能な、エタノールアミンの酸化及び銅(I)又は第一銅の生成を低下させるように選択した。選択された4種の温度は、45、55、65及び75℃であった。使用した反応物及び反応条件は、銅の供給源として#1大型銅金属を使用した以外は、実施例1に記載された通りである。エタノールアミン/水/二酸化炭素混合物中の銅溶解の初期速度への温度の影響を表2に示す。
【表2】
【0124】
(実施例3)
エタノールアミンの濃度
エタノールアミンの濃度は、反応速度又は銅溶解速度に影響を与え得る。このことは、酸素溶解度、溶液粘度、水性混合物中の生成物の溶解度等の種々の要因による可能性がある。この影響を試験するために、反応容器中の利用可能な水量を減少させて実験を実施し、銅溶解の初期速度を調べた。
【0125】
反応器に半分のみの水を加えた以外は、反応混合物は実施例1と同じである。反応器中で同じボリュームエレメントを維持するために、溶液/銅金属含量を適切に増加させた。これによって、この反応混合物は、759グラムのモノエタノールアミン、327グラムの水、126グラムの二酸化炭素及び395グラムの金属銅を含んでいた。この反応器の工程条件は実施例1に記載された通りであった。これらの実験の速度の結果を表3に示す。
【表3】
これらの結果は、反応混合物中のエタノールアミンの濃度は、銅溶解の初期速度に影響を持つことを示している。
【0126】
(実施例4)
反応速度に対する二酸化炭素の影響
特定の実施形態では、二酸化炭素、酸無水物をエタノールアミン/水混合物に添加し、プロトン化されたエタノールアミンカーボネート塩が生成する。空気を、エタノールアミン、水、二酸化炭素及び金属銅が加熱された混合物中に送り込むので、二酸化炭素は、反応混合物から押し出されて、所望の量の銅を溶解するのに不十分な量が残存する。上記実施例は、わずかに過剰の二酸化炭素と銅(モル比1.08:1)及び1:4の銅:エタノールアミンモル比の錯体を形成するのに必要な銅の量の約2倍を含有していた。化学量論量の二酸化炭素及び大過剰の二酸化炭素の影響を求めるために、実験を実施した。これらを、実施例1〜3に記載の対照と比較した。
【0127】
反応速度への二酸化炭素の影響の試験を、8.9重量%(モル比0.98:1)及び12.0重量%(モル比1.36:1)の水性エタノールアミン中の溶解二酸化炭素を試験し、以前の実施例に使用した9.6%(モル比1.08:1)の対照と比較した。この反応の量及び条件は、実施例1に記載の通りである。これらの実験の結果を図1に示すが、これは、化学量論量の二酸化炭素は、9.6重量%及び12.0重量%の両方の二酸化炭素反応混合物の反応の初期速度より速いものをもたらすことを示している。しかし、この結果はまた、8.9及び9.6は共に、最終的には溶液中に含有される同じ全体的な銅の合計を得ることを示している。この反応時間は、存在するCO2の量に応じて異なる。
【0128】
(実施例5)
銅とエタノールアミンの比
水酸化銅、炭酸銅及び塩基性炭酸銅などの銅の水不溶性塩は、エタノールアミン水溶液中に、4未満のモル比となるよう溶解することができる。銅とエタノールアミンのモル比が低いほど、銅エタノールアミン溶液のコスト、したがって木材防腐剤全体のコストが低下する。典型的には、木材防腐製剤には約1:3.5の銅とエタノールアミンのモル比が理想的である。この値より低くすると、水性工業用木材処理溶液からの沈殿による銅の損失の可能性が生じる。一般に、化学作用は、銅1原子当たり1個の炭酸塩イオン及び4個のエタノールアミン分子が必要であり、これが実際であると仮定して、標準的な実施例1の条件での反応は、11.1パーセントの最終又は予測の溶液の銅濃度を生じるものである。しかし、さらに銅の溶解が起こるかを試験するために、すべての反応は、溶解した銅が11.1パーセントを過ぎるよう続けた。
【0129】
様々な反応物量及び実施例1〜3に記載の工程条件、例えば種々の銅供給源/純度/表面、エタノールアミン濃度及び反応温度を用いて反応を実施した。この反応は、1:4の銅とエタノールアミンのモル比を過ぎても続けた。これらの実験の結果を図2に示す。すべて場合において予想外の結果は、溶解した銅は11.1パーセントアッセイ、又は1:4の銅:エタノールアミン比を過ぎて増加し、12.3パーセントの溶解した銅において1:3.5のモル比に接近するか、又は達することであった。
【0130】
(実施例6)
圧力の影響
空気圧又は酸素分圧の増加が、反応速度に影響するかを調べるために、実験を65及び85℃の両方において高い空気圧を上昇させて実施した。
【0131】
この反応は、663グラムのモノエタノールアミン、555グラムの水及び118グラムの溶解した二酸化炭素を使用した。この反応混合物に330グラムの銅金属(#1大型)を加えた。この空気圧を、各実験に対して20、50及び75ポンド/平方インチゲージに調整した。この結果を、65及び85℃温度での運転に対して図3及び4に示す。酸素の分圧を増加させると、反応速度は大幅に増加し、反応は5時間以下で完了することができ、報告されたエタノールアミン溶液中への銅溶解反応に比較して有意の改善。
【0132】
(実施例7)
装置
種々の反応器の設計を使用することができる。銅エタノールアミン水溶液を製造する反応器システムは、例えば、反応容器、スターラ、ガス供給源、入口及び出口バルブ、加圧システム、入口及び出口系統、熱電対、加熱器、撹拌機、ガス拡散器、タンク、ポンプ、冷却ジャケット、スクラバ、水蒸気供給源等を備えることができる。本明細書に記載の反応器システムは、本明細書に記載の任意の反応に使用することができ、銅エタノールアミン水溶液を製造するシステムの考察は、一例として提供される。
【0133】
反応器システムの一実施形態は、30ガロン反応器であり、例えば、図5に示すように反応は大気圧で実施することができる。図5に示すように、30ガロン反応器システムは、はかり12上の反応器10、撹拌機14及びプレートコイル16を備える。このシステムは、温水加熱器及びブースター加熱器22、ヘッドタンク20、水道入口24、水ロトメータ26、及び下水出口28を備える、水ポンプ18を備えている。このシステムはさらに、入口及び出口熱電対30、ガス拡散器32、プラント空気供給源34、気流導管36、空気圧ゲージ38、及びCO2ガス加熱器40並びにCO2ボトル42、及び反応器熱電対44を備えている。これによって、操作中に反応物が30ガロン反応器に供給され、はかりを用いて秤量することができる。この溶液はプレートコイルを用いて加熱し、撹拌機で撹拌することができる。ガスは、ガス拡散器を用いて溶液に供給することができる。
【0134】
反応器システムの他の実施形態は図6に示され、これは、反応器70、空気/CO2スパージャチューブ72、撹拌機74、加熱プレートコイル78、冷却ジャケット80、ポンプ82、空気供給源84、掃除口86、切断銅金属88、カラム88及びデミスタ90を備えている。このシステムは、例えばチューブ中の銅を支持する金属フィルタメッシュを備える、カラム又はチューブ90中に銅金属を供給することを可能にする。水及びエタノールアミンは、反応器70に供給され、空気及びCO2はスパージャチューブ72を用いて挿入され、撹拌機74で混合される。この溶液は加熱プレートコイルで加熱され、ポンプ82を介して銅が充填されたカラム90中を上方に通過されて、銅と反応する。このことは、効率的な方法であり、歩留まり及び反応時間を改善することができる。例えば、反応時間は5、6、7、8又は9時間未満であり得る。この液体はカラムを通して再循環することができる。
【0135】
加圧反応器の設計レイアウトを図7に示す。このシステムでは、水、CO2及びエタノールアミン(MEA)は予混合タンク及び銅金属を含む反応器110に投入される。加圧空気が銅金属/溶媒ブレンド中にポンプにより供給されて、銅が溶解する。完了すると、この溶液は調整タンク100にポンプにより供給され、CO2及び水の残りが加えられる。このシステムは、空気圧縮機112、冷却器104、加熱器102、スクラバ106、及び冷却器108をさらに備える。
【0136】
図7の装置では、第2の選択は、MEA、CO2及び水を含む予混合反応器を備えることである。この予混合物は加圧下で、撹拌されない第2反応器中に含まれる銅金属を通してポンプにより供給される。
【0137】
他の実施形態が図12に示され、これは、撹拌機120が、固体銅材料を撹拌する羽根124及び液体をタンク100中の液体上の雰囲気中に散布する羽根122を備えていることを示す。
【0138】
(実施例8)
反応のスケールアップ
上記のものと類似の実験を、反応をスケールアップするために30ガロン反応器中で実施した。
【0139】
この方法の間、撹拌機を備えた断熱された30ガロンステンレス鋼反応器を使用した。反応器の加熱及び冷却を、それぞれ、温水加熱器及び水道を用いて行った。加熱及び冷却は、反応器中に配置されたステンレス鋼ホットプレートで供給した。酸素及びCO2ガスは、Mottスパージャを介して加えた。酸素は圧縮プラント空気から、二酸化炭素は工業用ジュアー瓶から供給した。反応中に生成された少しのMEA蒸気も除去するのを促進するために、追加の換気及び排気ファンを使用した。
【0140】
種々の条件の反応速度への影響を決定するために、バッチ全体にわたりこれらを変化させた。これらの実験の結果を図8に示す。10〜10.5%銅溶液に対しては、10〜14時間の反応時間が典型的である。
【0141】
(実施例9)
300ガロン/カラム反応器を用いたスケールアップ
一実施形態では、例えば、大気圧条件、或いは例えば50又は75ポンド/平方インチゲージの加圧下の空気と共に、300ガロンカラム反応器を使用する。この反応は、例えば、1バッチ当たり約I2〜13時間かかり、任意選択でヒールを使用することができる。50ポンド/平方インチゲージ酸素と共に、50ガロン反応器などの、反応器のサイズ及び圧力の他の実施形態が実行可能である。
【0142】
図7に示すように、カラム(90)に、およそ280ポンドの切断された#1スクラップ銅を充填した。およそ670ポンドの水を300ガロン反応器(70)に投入し、続いて465ポンドのモノエタノールアミンを添加した。この溶液に、およそ75ポンドの二酸化炭素を、液体二酸化炭素の市販のジュアー瓶からスパージャチューブ(72)を介して加えた。溶液重量を、300ガロン反応器の下に配置されたはかりによりモニターした。この溶液を、加熱プレートコイル(78)によりほぼ80〜85℃に加熱し、空気を溶液中に吹き込み(反応器中に5.7標準立方フィート/分、カラムのボトムに2標準立方フィート/分)、続いてこの溶液を、銅金属(88)を含むカラムを通して15〜20ガロン/分の流量でポンプ(82)により供給した。カラム(90)を出てくる溶液流は、300ガロン反応器に再循環して戻した。試料を定期的に取り出して溶解した銅を測定した。この装置を使用した2種の実験の結果を図9に示す。これらの2種の実験に使用したパラメータ下で、溶液中10.2〜10.3パーセントの銅を生成するのに必要な反応時間は、12〜14時間の範囲にあることが明らかである。カラムを通過する溶液の流量を増加により、任意選択で、反応器及びカラムの両方での空気の吹き込み速度の増加と相まって、この反応時間をかなり短縮することができた。
【0143】
(実施例10)
酸素との反応
この反応は、酸素供給源として空気又は純粋な酸素を使用することができる。純粋な酸素は、液体及びガスの形態で市販されている。反応器中の空気の圧力を増加させると、銅が溶解して銅エタノールアミンを形成する速度が劇的に改善される。空気圧の上昇は、反応マトリックス中の酸素の溶解度(おそらく窒素も)に影響し、これによって銅溶解の全体的な速度が改善される。酸素の利用能は、空気の代わりに純粋な酸素を用いることによりさらに増大することができる。純粋な酸素は、水溶液中のエタノールアミンとの潜在的な火災/爆発の危険の原因となるはずであるが、酸素/エタノールアミンの反応が起こらないように酸素圧を調整することができる。
【0144】
溶解速度への酸素の影響を決定するために、実施例1記載のParr反応器を用いて反応を行った。この反応器に306グラムの#1大型銅、515グラムのエタノールアミン、709グラムの水及び85グラムの二酸化炭素(0.8:1.00 CO2:Cu)を投入した。この反応器に酸素を加え、反応過程全体に25ポンド/平方インチゲージに維持した。反応器の温度を85℃に維持した。図10は、25ポンド/平方インチゲージの酸素で、85℃のエタノールアミン/二酸化炭素溶液中での銅の溶解への純粋な酸素の影響を示す。図10に示すように、この反応により、10.22パーセントの銅エタノールアミンが約2.75時間で生成された。この劇的な銅溶解速度は、価値があり及び効率的である。
【0145】
(実施例11)
酸素との反応−バッチ式反応
溶解速度への酸素の影響をさらに評価するために、空気の代わりに純粋な酸素が使用された以外は、実施例7に記載のものと類似の配置の50ガロン反応器を用いて、反応を実施した。反応器にほぼ50#の銅金属スクラップ及び約172ポンドのモノエタノールアミン、34ポンドの二酸化炭素、及び224ポンドの水を含む原液を投入した。反応器に酸素を加え、反応の過程全体に25と30ポンド/平方インチゲージの間に維持した。反応器の温度を75℃に維持した。図11は、30ポンド/平方インチゲージの酸素で、75℃のエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響を示す。図11に示すように、この反応は、10.99と11.15パーセントの間の銅エタノールアミンを1.15と1.5時間の間で生成した。反応速度は、リットル・時間当たり94と120グラムの間の銅の範囲にある。この劇的な銅溶解速度は価値があり及び効率的である。
【0146】
上記の本発明の説明から、当業者には修正形態及び変形形態が明らかになるであろう、したがって、こうした変形形態も頭記の特許請求の範囲内に含まれるものとして包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】二酸化炭素含量に対するモノエタノールアミン水溶液中における銅の反応の初期銅溶解速度及び総溶解した銅のグラフである。
【図2】空気を用いた水性モノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解の種々の反応のグラフである。
【図3】65℃におけるモノエタノールアミンの存在下での、銅溶解への上昇した空気圧の影響を示すグラフである。
【図4】85℃におけるモノエタノールアミンの存在下での、銅溶解への上昇した空気圧の影響を示すグラフである。
【図5】大気圧における反応による、銅モノエタノールアミン水溶液の調製のための、30ガロン反応器を含む反応器システムを例示する概略図である。
【図6】銅モノエタノールアミン水溶液を調製するための、ポンプスルーカラム設計を備えた300ガロン反応器システムを例示する概略図である。
【図7】銅モノエタノールアミン水溶液を調製するための、反応器システムに対する加圧反応器設計を例示する概略図である。
【図8】モノエタノールアミン水溶液中の銅の溶解に対する反応時間を示すグラフである。
【図9】300ガロン反応器における、溶解した銅濃度に対する反応時間のグラフである。
【図10】25ポンド/平方インチゲージの酸素による、85℃のモノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響を証明する、溶解した銅濃度に対する反応時間のグラフである。
【図11】75℃で、30ポンド/平方インチゲージの酸素による50ガロン反応器中での、モノエタノールアミン/二酸化炭素溶液中の銅溶解への純粋な酸素の影響のグラフである。
【図12】銅エタノールアミン水溶液を調製する反応器システムであって、撹拌機が固体銅材料を撹拌するための羽根、及び液体をタンク中の液体上の雰囲気中に散布するための羽根を共に備えている反応器システムのための加圧反応器の設計を例示する概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)容器中に、
i)水、
ii)アルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物、又は、エタノールアミン酸塩などのアルキルヒドロキシルアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)前記混合物中に、酸素を供給すること、
c)前記混合物を、金属銅を溶解する温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液が形成されること、
を含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法。
【請求項2】
前記アルキルヒドロキシルアミンがモノエタノールアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキルヒドロキシルアミン塩がエタノールアミン塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物中に供給される酸素が空気又は純粋な酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)において、前記混合物の温度が約40〜115℃に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)前記混合物中に酸素を供給すること、
c)前記混合物を、金属銅を溶解する温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したモノエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物固体を任意選択で除去し、これにより銅モノエタノールアミン溶液生成物が形成されることを含む、銅モノエタノールアミン水溶液の製造方法。
【請求項7】
ステップc)において、前記混合物が約40〜115℃の温度に維持される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記温度が約65〜85℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度が約70〜115℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
二酸化炭素と前記生成物中に溶解した銅のモル比が約0.5から1.5である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
二酸化炭素と前記生成物中に溶解した銅のモル比が約0.7〜0.8である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
モノエタノールアミンと前記生成物中に溶解した銅のモル比が約2.5から4である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
モノエタノールアミンと前記生成物中に溶解した銅のモル比が3.5〜4.0である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記生成物中に溶解した銅濃度がほぼ8〜15重量パーセントである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記生成物中に溶解した銅濃度がほぼ10〜15重量パーセントである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
金属銅含有材料が、超高純度、#1スクラップ又は#2スクラップであり、任意選択で、塊又は切断されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
反応容器が、雰囲気に開放されている撹拌タンクである、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
ステップa)、b)及びc)の少なくとも1つにおける反応容器が加圧下にある、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法であって、前記方法が
a)銅含有材料を含むフロースルー型容器を備える反応器システムを備えること、
b)
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)二酸化炭素、及び
iv)酸素
を含む溶液を、金属銅含有材料を含むフロースルー型容器に供給すること、並びに
c)前記溶液を約40から115℃の温度に維持し、
これにより、銅モノエタノールアミン水溶液が形成されることを含む方法。
【請求項20】
ステップc)において、前記混合物が約90〜115℃の温度に維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物を、フロースルー型容器を通して繰り返して循環することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記システムが、さらに、加熱器又は冷却ユニットを含み、前記溶液の温度が、カラムに供給される前に制御される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記フロースルー型容器が加圧される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
フロースルー型容器に供給する前に、前記システムが、水、モノエタノールアミン、酸素及び二酸化炭素を混合するための第2混合容器をさらに備え、前記システムが、前記混合容器の成分を撹拌するための撹拌機をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記フロースルー型容器が、液体がその中を流れることを可能にする、銅を支持するメッシュフィルタを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記システムがポンプを備え、
前記混合物が、フロースルー型容器のボトムにポンプにより供給され、そして、前記容器を通過して、そして、トップからオーバーフローを通して出てゆき、
前記混合物が、任意選択で前記容器中に再循環される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも10〜15%の溶解した銅を含む生成物が、2、3、4、5、6、7、又は8時間未満の前記溶液とフロースルー型容器との接触で得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法であって、この方法が、
a)加圧反応容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、
iv)金属銅含有材料、及び
v)酸素
の混合物を供給すること;
b)前記混合物の温度を、約40〜115℃の温度に維持して、金属銅を溶解すること;
c)銅が溶解したモノエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又は異物固体を任意選択で除去し、
これにより、銅モノエタノールアミン溶液生成物を形成すること;
を含み、
酸素を、20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージの圧力で前記容器中に導入する、方法。
【請求項29】
前記反応が、7〜15重量%の溶解した銅濃度を有する、銅モノエタノールアミン水溶液を製造する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記酸素が純粋な酸素である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
ステップa)が、前記銅材料を含む前記反応容器に、水及びエタノールアミンを投入すること、
前記容器中に加圧空気をポンプにより供給すること、
前記混合物を第2容器にポンプにより供給し、そこで、CO2及び水の残りを添加すること、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ステップa)が、前記銅材料を含む前記反応容器に、水及びモノエタノールアミンを投入すること、
前記容器に加圧された純粋な酸素をポンプにより供給すること、
前記混合物を第2容器にポンプにより供給し、そこでCO2及び水の残りを添加すること、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項1】
a)容器中に、
i)水、
ii)アルキルヒドロキシルアミン、
iii)酸、酸無水物、又は、エタノールアミン酸塩などのアルキルヒドロキシルアミン酸塩;及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)前記混合物中に、酸素を供給すること、
c)前記混合物を、金属銅を溶解する温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物固体を任意選択で除去し、これにより銅エタノールアミン溶液が形成されること、
を含む、銅エタノールアミン水溶液の製造方法。
【請求項2】
前記アルキルヒドロキシルアミンがモノエタノールアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキルヒドロキシルアミン塩がエタノールアミン塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物中に供給される酸素が空気又は純粋な酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)において、前記混合物の温度が約40〜115℃に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a)容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、及び
iv)金属銅含有材料
の混合物を供給すること、
b)前記混合物中に酸素を供給すること、
c)前記混合物を、金属銅を溶解する温度に維持すること、並びに
d)銅が溶解したモノエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又はその他の異物固体を任意選択で除去し、これにより銅モノエタノールアミン溶液生成物が形成されることを含む、銅モノエタノールアミン水溶液の製造方法。
【請求項7】
ステップc)において、前記混合物が約40〜115℃の温度に維持される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記温度が約65〜85℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度が約70〜115℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
二酸化炭素と前記生成物中に溶解した銅のモル比が約0.5から1.5である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
二酸化炭素と前記生成物中に溶解した銅のモル比が約0.7〜0.8である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
モノエタノールアミンと前記生成物中に溶解した銅のモル比が約2.5から4である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
モノエタノールアミンと前記生成物中に溶解した銅のモル比が3.5〜4.0である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記生成物中に溶解した銅濃度がほぼ8〜15重量パーセントである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記生成物中に溶解した銅濃度がほぼ10〜15重量パーセントである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
金属銅含有材料が、超高純度、#1スクラップ又は#2スクラップであり、任意選択で、塊又は切断されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
反応容器が、雰囲気に開放されている撹拌タンクである、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
ステップa)、b)及びc)の少なくとも1つにおける反応容器が加圧下にある、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法であって、前記方法が
a)銅含有材料を含むフロースルー型容器を備える反応器システムを備えること、
b)
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)二酸化炭素、及び
iv)酸素
を含む溶液を、金属銅含有材料を含むフロースルー型容器に供給すること、並びに
c)前記溶液を約40から115℃の温度に維持し、
これにより、銅モノエタノールアミン水溶液が形成されることを含む方法。
【請求項20】
ステップc)において、前記混合物が約90〜115℃の温度に維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物を、フロースルー型容器を通して繰り返して循環することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記システムが、さらに、加熱器又は冷却ユニットを含み、前記溶液の温度が、カラムに供給される前に制御される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記フロースルー型容器が加圧される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
フロースルー型容器に供給する前に、前記システムが、水、モノエタノールアミン、酸素及び二酸化炭素を混合するための第2混合容器をさらに備え、前記システムが、前記混合容器の成分を撹拌するための撹拌機をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記フロースルー型容器が、液体がその中を流れることを可能にする、銅を支持するメッシュフィルタを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記システムがポンプを備え、
前記混合物が、フロースルー型容器のボトムにポンプにより供給され、そして、前記容器を通過して、そして、トップからオーバーフローを通して出てゆき、
前記混合物が、任意選択で前記容器中に再循環される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも10〜15%の溶解した銅を含む生成物が、2、3、4、5、6、7、又は8時間未満の前記溶液とフロースルー型容器との接触で得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
銅モノエタノールアミン水溶液を製造する方法であって、この方法が、
a)加圧反応容器中に、
i)水、
ii)モノエタノールアミン、
iii)CO2、
iv)金属銅含有材料、及び
v)酸素
の混合物を供給すること;
b)前記混合物の温度を、約40〜115℃の温度に維持して、金属銅を溶解すること;
c)銅が溶解したモノエタノールアミン溶液から、過剰な金属銅又は異物固体を任意選択で除去し、
これにより、銅モノエタノールアミン溶液生成物を形成すること;
を含み、
酸素を、20〜40ポンド/平方インチゲージ、30〜50ポンド/平方インチゲージ、50〜60ポンド/平方インチゲージ、60〜70ポンド/平方インチゲージ、70〜80ポンド/平方インチゲージ、又は80〜90ポンド/平方インチゲージの圧力で前記容器中に導入する、方法。
【請求項29】
前記反応が、7〜15重量%の溶解した銅濃度を有する、銅モノエタノールアミン水溶液を製造する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記酸素が純粋な酸素である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
ステップa)が、前記銅材料を含む前記反応容器に、水及びエタノールアミンを投入すること、
前記容器中に加圧空気をポンプにより供給すること、
前記混合物を第2容器にポンプにより供給し、そこで、CO2及び水の残りを添加すること、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ステップa)が、前記銅材料を含む前記反応容器に、水及びモノエタノールアミンを投入すること、
前記容器に加圧された純粋な酸素をポンプにより供給すること、
前記混合物を第2容器にポンプにより供給し、そこでCO2及び水の残りを添加すること、
を含む、請求項28に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−521330(P2007−521330A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541586(P2006−541586)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/039069
【国際公開番号】WO2005/051961
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/039069
【国際公開番号】WO2005/051961
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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