説明

鋳造部品の製造方法

【課題】本発明は、鋳造方法を用いた鋳造部品の製造、特にガスタービン部品の製造に関する。
【解決手段】鋳造部品、特にガスタービン部品の製造方法であって、(a)溶融るつぼとチタンアルミニウム金属間材料から作られる少なくとも一つの半製品を提供するステップと(b)チタンアルミニウム金属間材料から作られる前記半製品または各前記半製品を溶融るつぼに溶融するステップと(c)少なくとも一つの元素または一つの化合物を溶融塊に追加するステップであって、前記元素または各前記元素および/または前記化合物または各前記化合物がその溶融温度に基づいて前記溶融塊に追加されるステップと(d)鋳造鋳型を提供するステップと(e)前記鋳造鋳型に溶融塊を鋳込むステップと(f)前記溶融塊を前記鋳造鋳型内で硬化させるステップと(g)前記鋳造鋳型から鋳造部品を除去するステップを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載される鋳造部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、鋳造方法を用いた鋳造部品の製造、特にガスタービン部品の製造に関する。鋳造中、鋳型いわゆる鋳造鋳型が使用され、上記鋳造鋳型は製造する部品の外郭に対応する内郭を有する。原理上、消失鋳型を用いた鋳造法と永久鋳型を用いた鋳造法に区別される。消失鋳型を用いた鋳造法の場合、一個の鋳型を用いて一つの部品のみが製造される。永久鋳型を用いた鋳造法の場合、上記鋳型を複数回使用することができる。中でも精密鋳造と呼ばれる鋳造法は消失鋳型を用いた鋳造法に属する。永久鋳型を用いた鋳造法については、重力鋳造法が一例として挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鋳型を用いて部品を製造するため、製造されるべき部品の原料は溶融るつぼで溶融され、溶融された原料は鋳型に注入される。従来技術によると、原料が溶融する際、前記原料の生成にかかわるすべての元素あるいは化合物は同時に溶融する。この際、例えばマンガンまたはアルミニウムなどの揮発性元素は揮発し、その結果これらの元素が損失するという点で問題が生じる。従来技術によると、製造部品が鋳造される原料の好ましい構成は、多くの原料の損失に至るだけである。
【0004】
このようなことから、本発明は、鋳造部品の新しい製造方法を生み出す課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1の特徴部分の特徴を追加し、冒頭に記載の方法をさらに発展させることにより解決される。本発明によって提供される方法は、少なくとも以下のステップを備える。
a)溶融るつぼとチタンアルミニウム金属間材料から作られる少なくとも一つの半製品を提供するステップと、
b)チタンアルミニウム金属間材料から作られる前記半製品または各前記半製品を溶融るつぼに溶融するステップと、
c)少なくとも一つの元素または化合物を溶融塊に追加するステップであって、前記元素もしくは各前記元素および/または前記化合物もしくは各前記化合物がその溶融温度に基づいて前記溶融塊に追加されるステップと、
d)鋳造鋳型を提供するステップと、
e)前記鋳造鋳型に前記溶融塊を鋳込むステップと、
f)前記溶融塊を前記鋳造鋳型内で硬化させるステップと
g)前記鋳造鋳型から鋳造部品を除去するステップ。
【0006】
従属請求項および以下の記述により、本発明のさらなる好ましい発展がもたらされる。以下において、鋳造部品、特にガスタービン鋳造部品の製造に関する本発明の方法をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明により提供される方法の第一ステップでは、溶融るつぼとチタンアルミニウム金属間材料から作られる半製品が提供される。チタンアルミニウム金属間材料から作られる半製品は、製造されるべき鋳造部品向けの原料中における好ましいチタンの割合によって決まり、例えばTi45AI半製品またはTi55AI半製品でもよい。溶融るつぼは、黒鉛るつぼまたはコールドウォールるつぼである。
【0008】
本発明により提供される方法の第二ステップにおいて、半製品または各半製品は溶融るつぼ内で溶融される。溶融るつぼは、半製品またはそれぞれの半製品を溶融するために誘導加熱される。
【0009】
溶融されたチタンアルミニウム半製品から作られる溶融塊が加熱された後、追加元素および/または追加化合物が溶融塊に追加される。この際、難揮発性の元素または化合物が最初に溶融塊に追加され、続いて揮発性の元素または化合物、および必要に応じて精製物質(fine material)が追加される。難揮発性の追加元素または化合物は、タングステン、タンタル、あるいはニオブでもよい。さらにチタンは、難揮発性追加物質として追加してもよく、特に原料中におけるチタンの割合を高める必要がある場合に追加される。溶融塊に難揮発性元素を追加した後、例えばマンガンなどの揮発性元素を溶融塊に追加してもよい。その後、例えばホウ化チタンまたは二ホウ化チタンなどの精製材料(fine material)を溶融塊に追加してもよい。このようにして追加元素および/または化合物は、それらの融点に基づいて溶融塊に追加され、高融点の元素および/または化合物が最初に追加される。低融点の元素および/または化合物は最後に追加される。上記の元素は、純金属または合金として溶融塊に追加される。
【0010】
本発明によれば、元素および/または化合物は、規定の用量および/または量にて溶融塊に追加される。本発明によれば、追加前の溶融塊の温度を推測し(例えば1600℃)、元素および/または化合物が追加された後の溶融塊の温度が常に1550℃を超え、さらに最大15分後に再び追加前の温度に到達するように、追加される元素および/または追加される化合物のそれぞれの用量および/または量が計量される。これにより、溶融塊に追加元素および/または追加化合物が追加された際に、溶融塊にわずかの温度変動が生じるのみであることが保証される。
【0011】
さらに本発明によれば、追加される元素および/または化合物のそれぞれの用量および/または量は、元素密度および/または化合物密度が6g/cm3を超える場合において、追加される用量および/または量が最大250gとなるように計量される。一方、元素密度および/または化合物密度が6g/cm3未満の場合、追加される元素および/または化合物の用量および/または量は最大50gである。また、これにより追加元素および/または化合物を追加した際に溶融塊はわずかな変動にさらされるだけであることが保証される。
【0012】
上述の通り、追加元素および/または化合物が追加されるチタンアルミニウム金属間材料から成る半製品は、溶融るつぼで誘導的にウォームアップおよび/または加熱される。追加元素および/または化合物はin-situで溶融過程中、すなわち誘導加熱中に追加される。誘導加熱体系は、揮発性および/または難揮発性の元素または化合物との部分的な合金化および均質化が実現されるように、溶融塊内にカオス流れの領域を作り出す。
【0013】
誘導体系は乱流を誘発し、溶融塊内に流れを作り出す。本発明によれば、元素もしくは各元素および/または化合物もしくは各化合物は、規定された流れ最適化された形状(flow−optimized geometry)で溶融塊に追加される。流れ最適化された形状(flow−optimized geometry)は、元素もしくは各元素および/または化合物もしくは各化合物を溶融塊中で良好に移動可能とする。このため、追加元素または化合物は、面積が測定された(area−measured)成分および/または円盤状に形成された(disk−shaped)成分として溶融塊に追加される。これにより、溶融塊に追加される追加元素および/または化合物は、溶融塊全体に細かく分散されることが保証される。
【0014】
本発明によって提供される方法は、ガスタービン用鋳造製品を安価に製造することを可能とする。鋳造製品の高度な化学的均質性は、金属間化合物相によって実現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造部品、特にガスタービン部品の製造方法であって、
(a)溶融るつぼとチタンアルミニウム金属間材料から作られる少なくとも一つの半製品を提供するステップと、
(b)チタンアルミニウム金属間材料から作られる前記半製品または各前記半製品を溶融るつぼに溶融するステップと、
(c)少なくとも一つの元素または一つの化合物を溶融塊に追加するステップであって、前記元素または各前記元素および/または前記化合物または各前記化合物がその溶融温度に基づいて前記溶融塊に追加されるステップと、
(d)鋳造鋳型を提供するステップと、
(e)前記鋳造鋳型に溶融塊を鋳込むステップと、
(f)前記溶融塊を前記鋳造鋳型内で硬化させるステップと、
(g)前記鋳造鋳型から鋳造部品を除去するステップ
を備えることを特徴とする鋳造部品の製造方法。
【請求項2】
複数の追加元素または追加化合物は、その溶融温度に応じて連続的に適時に前記溶融塊に追加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
難揮発性の追加元素または化合物が、前記溶融塊に最初に追加され、次に揮発性の追加元素または化合物が追加され、その後必要に応じて精製材料(fine material)を追加されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
タングステン、タンタル、ニオブ、および必要であれば、チタンまたは前記元素の合金が、難揮発性追加元素として前記溶融塊に追加されることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
マンガンあるいは前記元素の合金が、揮発性元素として前記溶融塊に追加されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
ホウ化チタンが、精製材料(fine material)として前記溶融塊に追加されることを特徴とする請求項3〜5の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記元素もしくは各前記元素および/または前記化合物もしくは各前記化合物は、規定の用量および/または量で前記溶融塊に追加され、各前記用量または量は、前記追加前の溶融塊温度を推測して、前記温度が追加後に常に1550℃よりも大きく、かつ最大15分後には追加前の温度に再度到達するように計量されることを特徴とする請求項1〜6の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記追加元素もしくは各前記追加元素および/または前記追加化合物もしくは各前記追加化合物は、規定の用量および/または量で追加され、各前記用量および/または量は、6g/cm3よりも大きい元素密度および/または化合物密度で、最大重量が250gであることを特徴とする請求項1〜7の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記追加元素もしくは各追加元素および/または前記追加化合物もしくは各追加化合物が規定の用量および/または量で追加され各前記用量および/また量は、6g/cm3未満の元素密度および/または化合物密度で、最大重量が50gであることを特徴とする請求項1〜8の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記追加元素もしくは各前記追加元素および/または前記追加化合物または各前記追加化合物は、規定の流れ最適化された形状(flow−optimized geometry)で前記溶融塊に追加されることを特徴とする請求項1〜9の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記流れ最適化された形状(flow−optimized geometry)が、前記元素もしくは各前記元素および/または前記化合物もしくは各前記化合物を溶融塊内で良好に移動可能にすることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記元素もしくは各前記元素および/または前記化合物もしくは各前記化合物は、溶融過程において機能を果たすことを特徴とする請求項1〜11の少なくとも一項に記載の製造方法。
【請求項13】
溶融過程において前記溶融るつぼは、誘導的にウォームアップおよび/または加熱され、またそれと同時に前記半製品または各前記半製品、前記元素または各前記元素、および前記化合物または各前記化合物が前記溶融るつぼで溶融されることを特徴とする請求項1〜11の少なくとも一項に記載の製造方法。

【公表番号】特表2007−518569(P2007−518569A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549851(P2006−549851)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002801
【国際公開番号】WO2005/071128
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506119361)ガーフィーアテー ゲーエムベーハー (3)
【氏名又は名称原語表記】G4T GMBH
【住所又は居所原語表記】ALTREUTHSTR. 18 91362 PRETZFELD GERMANY
【Fターム(参考)】