説明

鋼基板上の複合材料表面

式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)のスピネル並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及びSiの酸化物を含み、コーキングし難く、分解用加熱炉チューブなどのヒドロカルビル反応に適した、10から5000ミクロンの厚さを有する複合材料表面。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼基板上、特にステンレス鋼基板上で有用な複合材料表面に関する。本発明は、材料保護が強化された(例えば、鋼基板又はマトリックスを保護する)、鋼上の複合材料表面を提供する。この複合材料表面は、鋼が高温で炭化水素環境に曝される用途におけるコーキングを低減させる。そのようなステンレス鋼は、多くの用途、特に炭化水素の処理、特にアルカンからオレフィン(例えば、エタンからエチレン)への脱水素反応などの熱分解プロセス、炭化水素を分解する反応器チューブ、又は水蒸気分解若しくは改質用の反応器チューブにおいて使用され得る。
【背景技術】
【0002】
合金の表面組成がその有用性に重大な影響を及ぼし得ることは、かなり以前から知られている。また、鋼を処理して、容易に除去することができる酸化鉄層を形成することが知られている。また、鋼を処理して、耐摩耗性を強化することも知られている。これまで、酸化クロム表面によりもたらされる(例えば、腐食及びその他の形態の材料劣化に対する)保護を頼りにして、ステンレス鋼が使用されてきた。本出願人の知る限り、炭化水素処理におけるコーキングを大きく低減させるように、鋼を処理する技術は十分に存在しているわけではない。炭化水素処理におけるコーキングを大きく低減させる類の表面に関する技術はさらに少ない。
【0003】
本発明に類似のスピネルを、ステンレス鋼の外側表面に生成させることができる、原子力産業に関係した実験的研究がある。しかし、これらのスピネルは、熱機械的に不安定であり、層間剥離しやすい。これが、そのような表面を工業的に使用することに対して、よく言われる制約である。これらの表面は、原子力産業に使用するための評価がなされてきたが、出願人の知る限り、工業的に使用されたことはない。
【0004】
石油化学産業では、熱機械的制約のために、本発明において使用されるものと類似のスピネルは、全体として酸化クロムよりも保護性能が劣ると考えられている。また、コークス形成の視点からは、本発明において使用されるものと類似のスピネルは、酸化クロムよりも触媒活性が劣るとは考えられていない。これらの教示のために、出願人の知る限り、そのようなスピネルは、石油化学産業において使用するために製造されたことも、推奨されたこともない。
【0005】
1978年3月28日にBagnoliらに発行され、Exxon Research and Engineering Companyに譲渡された、カナダ特許第1,028,601号には、1.25から2重量%のマンガンを含み、残部は実質的に鉄である、高ニッケル(例えば、36〜38重量%)高クロム(例えば、23〜27重量%)鋼が開示されている。鋼の表面は、500°F(160℃)から約2000°F(1093.3℃)の範囲の温度で、水蒸気中で酸化され得る。この特許では、パイプの内側に形成されたマンガン及びクロム酸化物(酸化クロム又はクロミアCr)の保護被膜が存在していることが教示されている。この文献には、クロム−マンガンスピネル(MnCr)の形成については教示されていない。さらに、この文献には、MnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるマンガン及び/又はシリカの酸化物の形成、並びに複合材料表面の外側の被膜としてそれらを使用することも教示されていない。
【0006】
日本国特許、特公昭57−019179号の要約書には、Crを16〜19重量%、Moを0.75〜1.25重量%、場合により、銅及び炭素≦0.12重量%、Ni≦0.013、Si及びMn≦0.1、S≦0.01重量%を含む第二鉄ステンレス鋼(ferric stainless steel)が、MnCrを含有し、MnSiOを含有しているか又は含有していない、50nm以上の厚さを有するCrの薄膜によって被覆されていることが教示されている。この要約書は、MnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及び/又はSiの酸化物の表面被膜を有する、本発明の複合材料フィルムを教示していない。その結果得られた表面は、耐腐食性を改善する。この文献には、コーキングに対する表面の抵抗力についての言及はない。
【0007】
1997年5月20日にBenumらに発行され、(Novacor Chemicals Ltd.(現在はNOVA Chemicals Corporation)に譲渡された)米国特許第5630887号明細書には、約20から45ミクロンの全厚さを有し、マンガンを15から25重量%、クロムを約60から75重量%含む表面層を作製するためのステンレス鋼の処理が教示されている。明らかに、この特許は、表面層にマンガン及びクロムの両方が存在することを必要としているが、スピネル又はMnの酸化物(例えば、MnO)及び/又はマンガン及びケイ素の酸化物(例えば、MnSiO及びMnSiO)の酸化物は教示していない。
【0008】
2002年8月20日にBenumらに発行され、(NOVA Chemicals(International)S.A.に譲渡された)米国特許第6436202号明細書及び国際公開第02/22910号パンフレット、国際公開第02/22908号パンフレット及び国際公開第02/22905号パンフレットには、式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)のスピネルが支配的な表面を作製するための、酸化雰囲気中で処理された高クロム鋼が教示されている。この文献には、MnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn、Siの酸化物をさらに含む表面が教示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、優れた耐コーキング性を有する新規な表面構造物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、鋼基板上に、式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)の化合物を90から10、好ましくは40から60重量%、並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn、Siの酸化物を10から90、好ましくは60から40重量%含む、10から5000ミクロンの厚さを有する表面を提供する。好ましくは、Crは存在せず、存在する場合は、表面の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満の量で存在する。
【0011】
本発明は、式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)の化合物を90から10重量%、並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn、Siの酸化物を10から90重量%含む組成物であって、5重量%未満のCrを含有している組成物を、鋼基板の少なくとも一部に塗布する方法であって、爆発溶射、セメント充填(cement packing)、表面硬化、レーザークラッディング(laser cladding)、プラズマ溶射、物理蒸着法、火炎溶射、及び電子ビーム蒸着からなる群から選択される方法により、前記組成物を、鋼基板の選択された表面の少なくとも70%に塗布し、0.1から5000ミクロンの厚さを与えることを含む方法を、さらに提供する。
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、上記複合材料表面を含む内側表面の少なくとも一部を含むパイプ若しくはチューブ、反応器、又は熱交換器などのステンレス鋼物品を提供する。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、特に炭化水素の分解や水蒸気改質などのコーキングが生じやすい環境において、そのような装置を使用できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
多くの産業界、特に化学産業では、ステンレス鋼表面のコーキングを生じさせることができる厳しい環境で使用される装置(例えば、加熱炉用チューブ、水蒸気改質反応器、熱交換器及び反応器など)を成形するために、ステンレス基板が使用されている。エチレン炉産業においては、炉のチューブは、単一チューブであるか又はコークス蓄積(コーキング)の影響を受けやすいコイルを成形するために、共に溶接された複数のチューブ及び管継ぎ手である。
【0015】
基板は、複合材料被膜が結合する、いかなる材料であってもよい。基板は、鍛造ステンレス、オーステナイト系ステンレス鋼、HP、HT、HU、HW及びHXステンレス鋼、耐熱鋼、ニッケルベースの合金からなる群から選択され得る、炭素鋼又はステンレス鋼であり得る。基板は、高強度低合金鋼(HSLA);高強度構造用鋼又は超高強度鋼であり得る。そのような鋼の分類及び組成は、当業者には公知である。
【0016】
一実施形態においては、ステンレス鋼、好ましくは耐熱ステンレス鋼は、通常、13から15重量%、好ましくは20から50重量%、最も好ましくは20から38重量%のクロムを含む。ステンレス鋼は、さらに、20から50重量%、好ましくは25から50重量%、最も好ましくは25から48重量%、望ましくは約30から45重量%のNiを含む。ステンレス鋼の残部は、実質的に鉄である。
【0017】
本発明は、また、ニッケル及び/又はコバルトベースのオーステナイト系超高温合金(HTAs)と共に使用することができる。通常、合金はニッケル又はコバルトを主要量含む。通常、ニッケルベースの高温合金は、約50から70、好ましくは約55から65重量%のNi、約20から10重量%のCr、約20から10重量%のCo、及び約5から9重量%のFe並びに組成を100重量%にする残部の、1種又は複数種の下記の微量元素を含む。通常、コバルトベースの高温合金は、40から65重量%のCo、15から20重量%のCr、20から13重量%のNi、4重量%未満のFe及び残部の1種又は複数種の下記の微量元素及び20重量%までのWを含む。成分の合計は100重量%になる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、基板は、さらに、少なくとも0.2重量%、3重量%まで、通常1.0重量%、2.5重量%までの、好ましくは2重量%を超えないマンガン、0.3から2重量%、好ましくは0.8から1.6重量%、通常1.9重量%未満のSi、3未満、通常2重量%未満のチタン、ニオブ(通常、2.0重量%未満、好ましくは1.5重量%未満のニオブ)及びすべてのその他の微量金属、及び2.0重量%未満の量の炭素を含むことができる。
【0019】
表面は、約10から5000ミクロン、通常10から2000ミクロン、好ましくは10から1000ミクロン、望ましくは10から500ミクロンの厚さである。通常、基板表面は、ステンレス鋼基板の表面の、少なくとも約70%、好ましくは85%、最も好ましくは95%以上、望ましくは98.5%以上を覆う。
【0020】
表面及び表面を調製するために用いられる組成物は、90から10重量%、好ましくは60から40重量%、最も好ましくは45から55重量%のスピネル(例えば、MnCr3−x(式中xは0.5から2である))並びに10から90重量%、好ましくは40から60重量%、最も好ましくは55から45重量%の、MnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn、Siの酸化物を含む。
【0021】
酸化物がMnOという名目上の化学量論を有する場合は、Mnは1から50原子%の量で表面に存在し得る。酸化物がMnSiOである場合は、Siは1から50原子%の量で表面に存在し得る。酸化物がMnSiOである場合は、Siは1から50原子%の量で表面に存在し得る。
【0022】
表面及び表面を調製するために用いられる組成物に含まれるCrは、5未満、好ましくは2未満、最も好ましくは0.5重量%未満にしなければならない。最も好ましくは、表面又は表面を調製するために用いられる組成物に、Crは存在しない。
【0023】
表面を調製するために用いられる組成物を、金属基板の表面又は選択された基板の表面の選択された部分(例えば、加熱炉チューブなどの、コーキング条件に曝されやすい内側又は熱交換器などの、コーキング条件に曝されやすい外側)に、従来の堆積プロセスを用いて塗布することができる。基板は、組成物が接着する、好ましくは(化学的に)結合するどの金属であってもよい。基板は、鍛造ステンレス、オーステナイト系ステンレス鋼、HP、HT、HU、HW及びHXステンレス鋼、耐熱鋼、並びにHTAニッケル及びコバルトベースの合金からなる群から選択され得る、炭素鋼又はステンレス鋼であり得る。基板は、高強度低合金鋼(HSLA);高強度構造用鋼又は超高強度鋼であり得る。基板は、また、これに限らないが、超合金及び金属間合金を含む高温材料であり得る。そのような鋼の分類及び組成は、当業者には公知である。
【0024】
粉末形状を取りうる、表面複合材料の成分は、爆発溶射、セメント充填、表面硬化、レーザークラッディング、プラズマ溶射(例えば、低圧プラズマ溶射)、物理蒸着法(陰極アークスパッタリング(cathodic arc sputtering)、DC、RF、マグネトロンを含むPVD)、火炎溶射(例えば、高圧/高速酸素燃料(HP/HVOF))、及び電子ビーム蒸着を含む、従来のコーティング法におけるコーティング組成物として、それ自体で使用され得る。これらの方法を組み合わせて使用してもよい。通常、目標の組成を有する粉末を基板に塗布する。
【0025】
複合材料表面は、また、目標表面組成の層又は合金を形成させる温度で、(堆積プロセスと同時に又はその後で)加熱プロセスに付してもよい。ある場合には、基板から複合材料表面被膜へ元素が拡散する。選択された、釣合のとれた性質を実現するために、引き続いて、仕上げ/加工段階が存在し得る。例えば、機械的堅牢性が目標の性質である場合は、堆積段階(例えば、組成)は、マトリックス中に相互拡散し、熱膨張係数(CTE)と釣り合う材料を含むことができる。鋼からスピネルへの外に向かう拡散に頼ることには限界があり、表面組成物をぬらすことができる材料を供給しないかもしれない。この種の処理を限定し得る1つの要因は、基板が耐えることができ、物理的な完全性を維持することができる温度である。
【0026】
鋼基板を、鍛造し、圧延し、又は鋳造することができる。本発明の一実施形態においては、鋼は、パイプ又はチューブの形態をしている。チューブは、本発明による内側の複合材料表面を有する。これらのチューブは、通常、触媒の存在下で行われる炭化水素の分解、特にエタン、プロパン、ブタン、ナフサ、軽油、又はそれらの混合物の分解或いは通常C3−6、好ましくは、イソブタンからイソブチレンなどのC4−6炭化水素の水蒸気改質などの石油化学プロセスにおいて使用され得る。ステンレス鋼は、本発明による内側の複合材料表面を有する反応器又は容器の形態であり得る。ステンレス鋼は、内側及び/又は外側表面のいずれか又は両方が、本発明による複合材料表面である熱交換器の形態を取り得る。そのような熱交換器を、熱交換器に入る又は通過する流体のエンタルピーを制御するために使用することができる。
【0027】
本発明の複合材料表面の特に有用な用途は、アルカン(例えば、エタン、プロパン、ブタン、ナフサ、及び軽油、又はそれらの混合物)をオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等)に分解するために使用される加熱炉チューブ又はパイプ内にある。一般に、そのような操業においては、供給原料(例えば、エタン)は、通常、1.5から8インチの範囲の外径を有する(例えば、典型的な外径は、2インチ約5cm、3インチ約7.6cm、3.5インチ約8.9cm、6インチ約15.2cm及び7インチ約17.8cm)チューブ、パイプ又はコイルの中へ気体状態で供給される。チューブ又はパイプは、一般に、約900℃から1100℃の温度に維持されている炉内を通っており、出口の気体は、一般に、約800℃から900℃の温度を有する。供給原料が炉を通過する際に、水素(及び他の副生成物)を放出し、不飽和(例えば、エチレン)になる。そのようなプロセスの温度、圧力及び流量などの典型的な操業条件は、当業者には公知である。
【0028】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例1】
【0029】
(被膜のSEM/EDS分析結果)
ステンレス鋼の基板上に、いくつかの被膜を調製した。OxfordのEDSシステムを装備した日立S−2500SEMを用いて、被膜の走査電子顕微鏡/エネルギー分散分光法(SEM/EDS)分析を実施した。典型的な被膜のEDS分析結果を表1に示す。
【表1】

【実施例2】
【0030】
(スピネルMnCrベースの被膜の金属組織断面(SEM顕微鏡写真、倍率100倍及び300倍)
本発明の複合材料表面を有するオーステナイト系ステンレス鋼の試料を、標準的技法を用いて金属組織学的方法により搭載し、研磨し、炭素をコーティングし、二次電子顕微鏡を用いて図1に示した像を得た。
【0031】
図から明らかに、基板とは異なった表面組成物が存在しており、結合層を介して基板によく結合していることが分かる。
【実施例3】
【0032】
(スピネルMnCrベースの被膜のX線回折分析)
Gobel Mirror及び射入射能力を備えた、CuX線源を有するBruker D8X線回折装置を使用して、ステンレス鋼基板上の本発明の複合材料被膜のX線回折分析を実施した。図2は、40KeV、40ma(ミリアンペア)で得られたX線回折スペクトルであり、被膜の主たるスピネル構造MnCrに適合する構造を示している。
【実施例4】
【0033】
(コーキング実施試験結果)
実験室規模の石英反応器を使用して、被膜系及び参照材料のコーキング速度の性能試験に着手した。この試験により、オレフィン、主としてエチレンの製造を目的とした炭化水素の水蒸気分解条件下における、材料のコーキング傾向の相対的順位が与えられる。炭化水素供給原料としてエタンを使用し、用いた試験条件により、被膜又は表面の、触媒作用によるコークス(線状コークスとしても知られている)形成に対する抵抗力を主として調べる。Fe及びNiなどの表面化学種は、アルミナなどのセラミックス材料が不活性であるのに対して、そのような触媒作用によるコークスを形成しやすい、強い傾向を有することが、文献において十分に認められている。結果を図3に示す。試験条件は、水蒸気:エタンの比が1:3(重量%)、反応温度が800℃、滞留時間が約2秒、全試験時間が1時間であった。表2に示した結果から、高度に不活性なセラミックス材料(アルミナ)、及び高度に触媒活性を有するFe及びNiと比較して、表1に報告した3種類の被膜系の、触媒によるコークス形成に対する抵抗力が優れていることが分かる。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、反応条件下で炭化水素に曝された表面上にコークスが形成するのに必要な時間を延ばすものであり、特に、エチレン炉におけるデコーキングの時間間隔を延ばすものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例2の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図2】実施例3のX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】実施例4の結果をプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)の化合物を90から10重量%、並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及びSiの酸化物を10から90重量%含む、10から5000ミクロンの厚さを有する鋼基板上の表面であって、但し、Crを5重量%未満含有している上記表面。
【請求項2】
基板の表面の85%以上を覆う、請求項1に記載の表面。
【請求項3】
10から1000ミクロンの厚さを有する、請求項2に記載の表面。
【請求項4】
前記スピネルを40から60重量%、並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及びSiの酸化物を60から40重量%含む、請求項3に記載の表面。
【請求項5】
Crが2重量%未満の量で存在する、請求項4に記載の表面。
【請求項6】
基板が、炭素鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、HP、HT、HU、HW及びHXステンレス鋼、並びにニッケル又はコバルトベースのHTA合金からなる群から選択される、請求項5に記載の表面。
【請求項7】
基板が、Crを13から50重量%、Niを20から50重量%含む、請求項6に記載の表面。
【請求項8】
基板が、Niを50から70重量%、Crを20から10重量%、Coを20から10重量%、Feを5から9重量%含む、請求項6に記載の表面。
【請求項9】
基板が、Coを40から65重量%、Crを15から20重量%、Niを20から13重量%、Feを4重量%未満、Wを20重量%まで含む、請求項6に記載の表面。
【請求項10】
酸化物がMnOである、請求項7に記載の表面。
【請求項11】
酸化物がMnSiOである、請求項7に記載の表面。
【請求項12】
酸化物がMnSiOである、請求項7に記載の表面。
【請求項13】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項7に記載の表面。
【請求項14】
酸化物がMnOである、請求項8に記載の表面。
【請求項15】
酸化物がMnSiOである、請求項8に記載の表面。
【請求項16】
酸化物がMnSiOである、請求項8に記載の表面。
【請求項17】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項8に記載の表面。
【請求項18】
酸化物がMnOである、請求項9に記載の表面。
【請求項19】
酸化物がMnSiOである、請求項9に記載の表面。
【請求項20】
酸化物がMnSiOである、請求項9に記載の表面。
【請求項21】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項9に記載の表面。
【請求項22】
式MnCr3−x(式中xは0.5から2である)の化合物を90から10重量%、並びにMnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及びSiの酸化物を10から90重量%含む組成物であって、5重量%未満のCrを含有している組成物を、鋼基板の少なくとも一部に塗布する方法であって、爆発溶射、セメント充填、表面硬化、レーザークラッディング、プラズマ溶射、物理蒸着法、火炎溶射、及び電子ビーム蒸着からなる群から選択される方法により、前記組成物を鋼基板の選択された表面の少なくとも70%に塗布し、0.1から5000ミクロンの厚さを与えることを含む、上記方法。
【請求項23】
組成物が基板の選択された表面の85%以上を覆う、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
表面が10から1000ミクロンの厚さを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スピネルを40から60重量%、MnO、MnSiO、MnSiO及びそれらの混合物からなる群から選択されるMn及びSiの酸化物を60から40重量%含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Crが2重量%未満の量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
基板が、炭素鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、HP、HT、HU、HW及びHXステンレス鋼、並びにニッケル又はコバルトベースのHTA合金からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基板がCrを13から50重量%、Niを20から50重量%含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
基板がNiを50から70重量%、Crを20から10重量%、Coを20から10重量%、Feを5から9重量%含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
基板がCoを40から65重量%、Crを15から20重量%、Niを20から13重量%、Feを4重量%未満、Wを20重量%まで含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
酸化物がMnOである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
酸化物がMnSiOである、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
酸化物がMnSiOである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
酸化物がMnOである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
酸化物がMnSiOである、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
酸化物がMnSiOである、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
酸化物がMnOである、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
酸化物がMnSiOである、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
酸化物がMnSiOである、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
酸化物がMnO、MnSiO及びMnSiOの混合物である、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
内側表面の少なくとも一部が請求項1に記載の複合材料表面を含むステンレス鋼パイプ又はチューブ。
【請求項44】
内側表面の少なくとも一部が請求項1に記載の複合材料表面を含むステンレス鋼反応器。
【請求項45】
内側表面の少なくとも一部が請求項1に記載の複合材料表面を含むステンレス鋼熱交換。
【請求項46】
炭化水素を高温で請求項43に記載のステンレス鋼チューブ、パイプ、又はコイルの中に通すことを含む、炭化水素を熱分解するための方法。
【請求項47】
流体を請求項45に記載の熱交換器の中に通すことを含む、流体のエンタルピーを変化させるための方法。
【請求項48】
請求項44に記載のステンレス鋼反応器の中で化学反応を実行するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505210(P2007−505210A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515585(P2006−515585)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000852
【国際公開番号】WO2004/113588
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505382548)ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】