説明

鋼帯の誘導加熱方法

【課題】鋼帯の冷間圧延時に破断の発生原因となる耳割れが鋼帯のエッジ部に発生することをエマルジョンの温度をあらかじめ高くしたり誘導加熱装置の加熱量を高めに設定したりすることなく防止することのできる鋼帯の誘導加熱方法を提供する。
【解決手段】鋼帯2を冷間圧延する連続圧延ライン6の入側に配置された誘導加熱装置5により鋼帯2のエッジ部を誘導加熱するに際して、鋼帯2の圧延機入側厚さ、圧延機出側厚さ、圧延機出側速度および圧延機出側温度を測定した後、鋼帯2の圧延機噛み込み直前温度を圧延機入側厚さ、圧延機出側厚さ、圧延機出側速度および圧延機出側温度の各測定値と鋼帯2の冷間圧延条件とから求め、圧延機噛み込み直前温度が鋼帯2の延性/脆性遷移温度以上となるように誘導加熱装置5の出力を制御装置18でフィードバック制御して鋼帯2のエッジ部を誘導加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷延鋼板を製造する場合に用いられる鋼帯の誘導加熱方法に関し、特に、鋼帯のエッジ部を誘導加熱する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷延鋼板はペイオフリールから払い出された鋼帯を連続圧延ラインで冷間圧延して製造されるが、電磁鋼板(珪素鋼板)、ステンレス鋼板、高炭素鋼板などの難延性鋼板を冷間圧延にて製造する場合は、鋼帯素材の変形抵抗が高く、延性が乏しいため、鋼帯のエッジ部に耳割れと称される割れが冷間圧延時に発生し、連続圧延ラインの圧延機間で受ける張力によって鋼帯が耳割れを起点として破断するという問題が生じる。
【0003】
このような耳割れによる鋼帯の破断を防止する技術の1つとして、連続圧延ラインで冷間圧延される鋼帯のエッジ部を圧延機入側で所定温度に誘導加熱して耳割れの発生を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、通常の冷間圧延では、圧延荷重や圧延動力を低減する目的で鉱物油、天然油脂、合成エステルなどの不水溶性油剤(圧延油)を界面活性剤で水に分散させて希釈化(乳化)したエマルジョンが潤滑剤として、また圧延時の加工発熱や摩擦発熱による鋼帯やロールの温度上昇を抑制する目的で平均粒径5〜15μm程度の油滴として圧延油が1〜10mass%程度の濃度で含まれるO/W型(水中油滴型)のエマルジョンが冷却剤として圧延機入側と圧延機出側で鋼帯に吹き付けられる。
【0004】
このようなエマルジョンは油剤である圧延油が固化しない流動点以上の温度で使用されるが、使用温度が高すぎると水分の蒸発や界面活性剤の経時変化などによって乳化状態が不安定になり、水と油が容易に分離しやすい状態になるため、通常は30℃〜90℃程度の温度で鋼帯に吹き付けられる。このため、上述した先行技術のように、圧延機入側で鋼帯のエッジ部を所定温度に誘導加熱してもロールバイト直近では鋼帯がエマルジョンによって冷却されてしまい、耳割れの発生を防止可能な温度に維持した状態で鋼帯を冷間圧延することが困難となる。
【0005】
耳割れの発生を防止可能な温度に維持した状態で冷間圧延を行うためには、エマルジョンによる鋼帯の温度低下を考慮して鋼帯のエッジ部を圧延機の入側で誘導加熱する必要がある。しかし、エマルジョンによる鋼帯の温度低下量は常に一定となっているわけではなく、非特許文献1に記載された下式からも明らかなように、エマルジョンの流量密度や濃度によって大きく変化する。
【0006】
【数1】

【0007】
また、連続圧延ラインのライン速度が変化すると、一方向に搬送される鋼帯とエマルジョンの粘性に起因する流体力学的な相互作用によってエマルジョンと接触する鋼帯の冷却域が変化するため、エマルジョンによる鋼帯の温度低下はライン速度が変化した場合も大きく変化する。さらに、エマルジョンの濃度は一定の範囲内で管理されているものの、ある範囲での変動は避けられない。従って、これら圧延条件の変動によっては鋼帯のエッジ部を圧延機入側で高温に誘導加熱した場合においてもロールバイト直近では鋼帯温度が延性/脆性遷移温度以下になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平03−60813号公報
【特許文献2】特開昭61−15919号公報
【特許文献3】特開平11−290931号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「板圧延の理論と実際」 社団法人日本鉄鋼協会 1984 P148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような問題を解決する方法としては、鋼帯に高温のエマルジョンを圧延機入側で吹き付けてロールバイト直近での鋼帯温度を延性/脆性遷移温度以上に保つ方法や、エマルジョンによる鋼帯の冷却を誤差分も考慮して、圧延直前の鋼帯温度を延性/脆性遷移温度以上に確保できるように、誘導加熱装置による加熱温度をあらかじめ高めに設定しておく方法などが考えられる。
【0011】
しかしながら、上述した前者の方法は、エマルジョンを高温化する場合にエマルジョンの乳化安定性に課題が残り、高温でも安定的に乳化状態が維持されるような界面活性剤の選択が必要となる。また、エマルジョンは前述したように圧延時の潤滑性改善以外に、加工発熱や摩擦発熱によるロールや鋼帯の温度上昇抑制にも使用されるため、エマルジョンを高温化することは冷却剤としての性能を低下させることにつながり、ロールの熱膨張よって形成されるサーマルクラウンが大きくなるなどの問題が生じる。
【0012】
一方、後者の方法は鋼帯エッジ部の温度が高くなりすぎると、鋼帯エッジ部と鋼帯中央部との温度差に起因する熱応力によって耳波などの形状不良が鋼板エッジ部に発生し、圧延中に絞り破断などが生じてしまうという問題が生じる。また、鋼帯エッジ部を必要以上に誘導加熱することになり、エネルギー的にも無駄が生じる。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼帯の冷間圧延時に破断の発生原因となる耳割れが鋼帯のエッジ部に発生することをエマルジョンの温度をあらかじめ高くしたり誘導加熱装置の加熱量を高めに設定したりすることなく防止することのできる鋼帯の誘導加熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、圧延機で冷間圧延される鋼帯のエッジ部を前記圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により誘導加熱する方法であって、前記鋼帯の圧延機入側厚さ、圧延機出側厚さ、圧延機出側速度および圧延機出側温度を測定した後、前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を前記圧延機入側厚さ、前記圧延機出側厚さ、前記圧延機出側速度および前記圧延機出側温度の各測定値と前記鋼帯の冷間圧延条件とから求め、前記圧延機噛み込み直前温度が前記鋼帯の延性/脆性遷移温度以上となるように前記誘導加熱装置の出力をフィードバック制御して前記鋼帯のエッジ部を誘導加熱することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鋼帯の誘導加熱方法において、前記鋼帯の冷間圧延時に発生する加工発熱量と摩擦発熱量を下記の式(1)及び式(2)から算出して前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を求めることを特徴とする。
【0014】
【数2】

【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の鋼帯の誘導加熱方法において、前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を下記の式(3)及び式(4)から算出して前記誘導加熱装置の出力をフィードバック制御することを特徴とする。
【0016】
【数3】

【0017】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の鋼帯の誘導加熱方法において、前記平均圧延荷重を前記圧延機に付設されたロードセルの出力から求めることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の鋼帯の誘導加熱方法において、前記ロール周速を前記圧延機に付設されたロール周速計の出力から求めることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の鋼帯の誘導加熱方法において、前記ロール温度を前記圧延機に付設されたロール温度計の出力から求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、連続圧延ラインの入側で誘導加熱された鋼帯のエッジ部が鋼帯に吹き付けられたエマルジョンによって圧延機の入側で延性/脆性遷移温度以下に冷却されてしまうことがない。したがって、鋼帯の冷間圧延時に破断の発生原因となる耳割れが鋼帯のエッジ部に発生することをエマルジョンの温度をあらかじめ高くしたり誘導加熱装置の加熱量を高めに設定したりすることなく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】冷延鋼板を製造する場合に用いられる連続圧延ラインの一例を示す図である。
【図2】図1に示す連続圧延ラインで冷間圧延される鋼帯の温度変化を示す図である。
【図3】鋼帯のエッジ部を誘導加熱する誘導加熱装置の一例を示す図である。
【図4】誘導加熱装置の出力をフィードバック制御する制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
冷延鋼板を製造する場合に用いられる連続圧延ラインの一例を図1に、また、連続圧延ラインで冷間圧延される鋼帯の温度変化を図2に示す。図中符号1はペイオフリールであって、このペイオフリール1から払い出された鋼帯2は先行材の尾端と後行材の先端とを溶接接合する溶接機3、ルーパ4、誘導加熱装置5を経て連続圧延ライン6に供給された後、連続圧延ライン6の出側に設けられたテンションリール7によって巻き取られるようになっている。
誘導加熱装置5は連続圧延ライン6で冷間圧延される鋼帯2のエッジ部を例えば100mmの幅で誘導加熱するものであって、例えば図3に示すように、左右一対のC形誘導加熱子51,52で鋼帯2のエッジ部を誘導加熱するように構成されている。
【0021】
連続圧延ライン6は直列に配列された4台のタンデム圧延機8a,8b,8c,8dを有し、これらのタンデム圧延機8a〜8dで鋼帯2を連続的に冷間圧延するように構成されている。また、連続圧延ライン6は鋼帯2の表面にエマルジョンを吹き付ける複数のエマルジョンスプレイノズル9を有し、これらのエマルジョンスプレイノズル9はタンデム圧延機8a,8b,8c,8dの入側と出側に設けられている。さらに、連続圧延ライン6は圧延機8a,8b,8c,8dの出側にエアワイパー10を有し、エマルジョンスプレイノズル9から鋼帯2の表面に吹き付けられたエマルジョンはエアワイパー10から鋼帯2の表面に噴射される空気によって鋼帯2の表面に滞留することが防止されている。
【0022】
連続圧延ライン6は、また、鋼帯2の圧延機入側厚さhと圧延機出側厚さhを測定する板厚計11a,11b,11c,11d,11eを有し、これらの板厚計11a,11b,11c,11d,11eから出力された信号は、各圧延機8a,8b,8c,8dに付設されたロードセル12a,12b,12c,12dの出力と共に制御装置18に供給されている。
【0023】
また、連続圧延ライン6は鋼帯2の圧延機出側速度Vを測定するレーザードップラー式の板速計13a,13b,13c,13d,13eを有し、これらの板速計13a,13b,13c,13d,13eから出力された信号は、各圧延機8a,8b,8c,8dのロール周速を測定するロール周速計14a,14b,14c,14dの出力と共に制御装置18に供給されている。
また、連続圧延ライン6は圧延機8aと圧延機8bとの間で鋼帯2の圧延機出側温度Toutを測定する鋼帯温度計15を有し、この鋼帯温度計15から出力された信号は、各圧延機8a,8b,8c,8dのロール温度を測定するロール温度計16a,16b,16c,16dの出力と共に制御装置18に供給されている。
【0024】
制御装置18は誘導加熱装置5の出力をフィードバック制御するものであって、例えば図4に示すフローチャートに従って誘導加熱装置5の出力をフィードバック制御するように構成されている。すなわち、図1のように、誘導加熱装置5を1台目の圧延機である8aの入側にのみ設置した場合、ペイオフリール1から払い出された鋼帯2が連続圧延ライン6に供給されると、制御装置18は圧延機8aの入側と出側に配置された板厚計11a,11bの各出力を取り込み、鋼帯2の冷間圧延時に発生する加工発熱量Qpを図4に示すステップS1で下記の式(1)から算出する。
【0025】
【数4】

【0026】
なお、鋼帯2を圧延する条件の1つである式(1)の平均圧延荷重Pmは、ロードセル12aの出力から求めることができる。
加工発熱量Qpを算出したならば、制御装置18は板速計13bの出力(出側速度V)を取り込み、鋼帯2の冷間圧延時に発生する摩擦発熱量Qfを図4に示すステップS2で下記の式(2)から算出する。
【0027】
【数5】

【0028】
なお、鋼帯2を圧延する条件の1つである式(2)の摩擦係数μは鋼帯2の変形抵抗を事前に調査しておくことで求めることができ、式(2)のロール周速Vは圧延条件の1つとしてロール周速計14aの出力から求めることができる。
摩擦発熱量Qfを算出したならば、制御装置18は鋼帯温度計15の出力を取り込み、鋼帯2を冷間圧延しているときに鋼帯2から圧延機8aのロールに伝わる伝熱量(以下「ロール抜熱量」という。)Qrを図4に示すステップS3で下記の式(3)から算出し、さらに図4に示すステップS4で鋼帯の圧延機噛み込み直前温度Tinを下記の式(4)から算出する。
【0029】
【数6】

【0030】
なお、鋼帯2を圧延する条件の1つである式(3)の等価熱伝達係数heqはあらかじめ実験などで求めた値を用いることができる。また、鋼帯2を圧延する条件の1つであるロール温度Trはロール温度計16aの出力から求めることができるが、別途熱伝導計算からも求めることができる。
鋼帯2の圧延機噛み込み直前温度Tinを算出したならば、制御装置18は図4に示すステップS4で圧延機噛み込み直前温度Tinを図2に示す鋼帯2の延性/脆性遷移温度と比較する。ここで、圧延機噛み込み直前温度Tinが延性/脆性遷移温度より高い場合には、制御装置18は図4に示すステップS5で圧延機噛み込み直前温度Tinを上限設定温度と比較する。そして、圧延機噛み込み直前温度Tinが上限設定温度より高い場合には、誘導加熱装置5の出力を下げて圧延機噛み込み直前温度Tinを上限設定温度以下とするためのフィードバック制御信号を図4に示すステップS6で誘導加熱装置5に送出する。
【0031】
一方、圧延機噛み込み直前温度Tinが延性/脆性遷移温度より高い場合には、制御装置18は誘導加熱装置5の出力を上げて圧延機噛み込み直前温度Tinが延性/脆性遷移温度以上とするためのフィードバック制御信号を図4に示すステップS7で誘導加熱装置5に送出する。そして、図4に示すステップS8で鋼帯2の冷間圧延が終了するまで上述したステップS1〜S7を繰り返す。
【0032】
上述した本発明の一実施形態のように、鋼帯2の圧延機入側厚さh、圧延機出側厚さh、圧延機出側速度Vおよび圧延機出側温度Toutを測定した後、鋼帯2の圧延機噛み込み直前温度Tinを圧延機入側厚さh、圧延機出側厚さh、圧延機出側速度Vおよび圧延機出側温度Toutの各測定値と鋼帯2の冷間圧延条件とから求め、圧延機噛み込み直前温度Tinが鋼帯2の延性/脆性遷移温度以上となるように誘導加熱装置5の出力をフィードバック制御することで、連続圧延ライン6の入側で誘導加熱された鋼帯2のエッジ部がエマルジョンスプレイノズル9から鋼帯2に吹き付けられたエマルジョンによって圧延機8a,8b,8c,8dの入側で延性/脆性遷移温度以下に冷却されてしまうことがない。したがって、鋼帯の冷間圧延時に破断の発生原因となる耳割れが鋼帯のエッジ部に発生することをエマルジョンの温度をあらかじめ高くしたり誘導加熱装置の加熱量を高めに設定したりすることなく防止することができる。
【0033】
なお、図2に示したように、連続圧延ラインでは、1台目の圧延機の入側で特に延性/脆性遷移温度を下回りやすいので、1台目の圧延機入側に誘導加熱装置5を、1台目の圧延機出側に鋼帯温度計15を設けたが、1台目に限らず目的に応じて2台目以降の圧延機入側と圧延機出側に誘導加熱装置と鋼帯温度計を設置してもよい。
また、上述した本発明の一実施形態のように、圧延機8a,8b,8c,8dの出側にエアワイパー10を設けたことで、エマルジョンスプレイノズル9から鋼帯2に吹き付けられたエマルジョンによって鋼帯2が過度に冷却されることを防止することができる。
【実施例】
【0034】
図1に示した連続圧延ラインにおいて延性/脆性遷移温度70℃の珪素鋼板(3.0%Si)を冷間圧延するにあたり、圧延機8aの入側に配置された誘導加熱装置5で鋼帯2のエッジ部を誘導加熱する方法を次の2つの方法で行った。すなわち、第1の方法は上述した本発明の一実施形態に係る方法で鋼帯のエッジ部を誘導加熱する方法であり、第2の方法はエマルジョンの冷却作用による鋼帯の圧延機入側での温度降下量をあらかじめ伝熱シュミレーションで計算し、圧延機噛み込み時の鋼帯温度をエッジ部から25mmの位置で80℃とするために必要な誘導加熱量を求め、それを誘導加熱装置のセットアップ値として鋼帯のエッジ部を誘導加熱する方法である。
【0035】
上記2つの方法でそれぞれ300本の鋼帯に対して圧延を行い、圧延時の破断発生率を比較した。第1の制御法での破断発生率は0.3%であるのに対し、第2の方法での破断発生率は3.0%であった。これにより、第1の方法を適用することで破断発生率を1/10に低減でき、本発明の有効性を確認することができた。
【符号の説明】
【0036】
1…ペイオフリール
2…鋼帯
3…溶接機
4…ルーパ
5…誘導加熱装置
6…連続圧延ライン
7…テンションリール
8a,8b,8c,8d…タンデム圧延機
9…エマルジョンスプレイノズル
10…エアワイパー
11a,11b,11c,11d,11e…板厚計
12a,12b,12c,12d…ロードセル
13a,13b,13c,13d,13e…板速計
14a,14b,14c,14d…ロール周速計
15…鋼帯温度計
16a,16b,16c,16d…ロール温度計
18…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機で冷間圧延される鋼帯のエッジ部を前記圧延機の入側に配置された誘導加熱装置により誘導加熱する方法であって、
前記鋼帯の圧延機入側厚さ、圧延機出側厚さ、圧延機出側速度および圧延機出側温度を測定した後、前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を前記圧延機入側厚さ、前記圧延機出側厚さ、前記圧延機出側速度および前記圧延機出側温度の各測定値と前記鋼帯の冷間圧延条件とから求め、前記圧延機噛み込み直前温度が前記鋼帯の延性/脆性遷移温度以上となるように前記誘導加熱装置の出力をフィードバック制御して前記鋼帯のエッジ部を誘導加熱することを特徴とする鋼帯の誘導加熱方法。
【請求項2】
前記鋼帯の冷間圧延時に発生する加工発熱量と摩擦発熱量を下記の式(1)及び式(2)から算出して前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を求めることを特徴とする請求項1に記載の鋼帯の誘導加熱方法。
【数7】

【請求項3】
前記鋼帯の圧延機噛み込み直前温度を下記の式(3)及び式(4)から算出して前記誘導加熱装置の出力をフィードバック制御することを特徴とする請求項2に記載の鋼帯の誘導加熱方法。
【数8】

【請求項4】
前記平均圧延荷重を前記圧延機に付設されたロードセルの出力から求めることを特徴とする請求項2または3に記載の鋼帯の誘導加熱方法。
【請求項5】
前記ロール周速を前記圧延機に付設されたロール周速計の出力から求めることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の鋼帯の誘導加熱方法。
【請求項6】
前記ロール温度を前記圧延機に付設されたロール温度計の出力から求めることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の鋼帯の誘導加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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