説明

鋼板の温度測定装置

【課題】本発明は、被測定鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できる鋼板の温度測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】反射板2、仕切壁4a、4bと背面板5から構成された流路8と、流路8に設けられた電気ヒータ20と、流路8を流れる冷却ガス50と、電気ヒータ20に電流を流す電気ヒータ用電源25と、冷却ガス50を供給するための電磁弁55、レギュレータ56と、これらに指令を送るための制御手段30と、反射板2と鋼板との間で反射する射度から放射温度計3により求められた射度温度Tと熱電対40により測定された反射板温度Tとに基づき鋼板温度とみなす近似値T’を算出する鋼板温度演算回路60とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば連続焼鈍設備や合金化溶融亜鉛メッキ設備に使用され、非接触にて鋼板の温度が測定できる鋼板の温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板を連続熱処理する連続焼鈍設備や溶融メッキの後に合金化処理する合金化溶融亜鉛メッキ設備においては、多品種の鋼板は連続処理される。このため、品種ごとに異なる鋼板の機械的特性(強度や伸びなど)やメッキ特性(合金化度など)を安定化させるためには、加熱・冷却を伴う熱処理プロセス後の鋼板温度を目標温度に精度良く制御することが重要である。
【0003】
これらの設備において連続的に搬送される鋼板の温度測定は、非接触による放射温度計を用いた測定が一般的である。放射温度計を用いる場合、被測定対象物である鋼板の放射率の設定が必要である。ところが、鋼板の放射率は鋼種、表面性状など鋼板自体の物理的性状の他、鋼板温度など種々の要因によって変動するため、実用上、このような変動に対応させて鋼板の放射率を設定することは非常に困難である。その結果、鋼板温度の測定に誤差が生じやすく、鋼板温度を目標温度に精度良く制御できない問題があった。
【0004】
上記のような鋼板の放射率の変動の影響を極力排除し、鋼板温度の測定を高精度に行なうことを目的とする鋼板の温度測定装置として、次のようなものが提案されている。「反射板と鋼板との間で多重反射を行なわせると見かけ上放射率が高くなるという知見」と反射板の裏面に加熱手段を設置して反射板の温度を制御することで反射板の放射率の経時変化にも影響されないようにするという意図」のもとに構成された鋼板の温度測定装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また、万一炉内で鋼板の破断等が発生し、比較板が破損しても炉壁レンガの破損等が起きないようにすることを目的とする鋼板の温度測定装置として、次のようなものが提案されている。「鋼板と近接して設置された、気体によって冷却可能な比較板と、この比較板に設けた表面温度を測定するための温度検出器と、鋼板からの放射と、比較板からの放射とを測定する放射温度計とを備え、放射温度計の測定値から鋼板の温度を求めるように構成された鋼板の温度測定装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
しかし、特許文献1に記載された鋼板の温度測定装置では、原理的に精度の良い温度測定を可能にするためには、多重反射回数が無限大(または、無限大とみなせるよう)にしなければならない。また、このように構成した場合は、鋼板の温度、放射温度計で測定された多重反射温度と反射板の温度との間に四次式が成立する。しかし、この四次式を解いて鋼板の温度を求める場合は、演算に長時間を要してしまう。そこで、一次近似式を用いて演算を行なう。ところが、放射温度計で測定された多重反射温度と反射板の温度との間にずれがあると、鋼板の温度を精度良く求める上では、一次近似式内の微小項も無視できなくなる。しかし、この温度測定装置では、反射板に加熱手段しか備えていないため、放射温度計で測定された多重反射温度と反射板の温度とを迅速に一致させることができない。したがって、鋼板の温度を迅速かつ精度良く求めることはできない。特に、反射板を加熱手段で加熱し過ぎた場合には、冷却手段を備えていないため、目標とする反射板の温度と放射温度計で測定された多重反射温度を一致させるのに極めて長時間を要してしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された鋼板の温度測定装置では、比較板に冷却手段を備えているものの加熱手段を備えていないため、目標とする反射板の温度に迅速に制御できないばかりか、そもそもこの装置では、原理的に鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響に配慮されていない。したがって、鋼板の温度を迅速かつ精度良く測定できないという問題がある。
【特許文献1】特開平5−203497号公報
【特許文献2】特開昭52−44681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、被測定鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できる鋼板の温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、被測定鋼板に対向して設置され、かつ、流路が設けられた反射板と、前記流路に設けられたヒータまたは前記流路に高温媒体を流すための高温媒体供給手段と、前記流路に低温媒体を流すための低温媒体供給手段と、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と低温媒体供給手段とを制御するための制御手段と、前記反射板の温度(以下、「反射板温度」という。)Tを直接測定する温度検出器と、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で所定の回数反射される角度となるように前記被測定鋼板に向けて設置され、この角度で前記被測定鋼板から放出されるエネルギーが測定され、この測定されたエネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に相当する等価温度Tに換算され出力するための放射温度計と、下記式(1)より前記被測定鋼板の温度(以下、「鋼板温度」という。)の近似値T’を算出する鋼板温度演算回路と、を備え、
前記流路は前記反射板の前記被測定鋼板側とは反対側の面(以下、「裏面」という)に設けられ、前記反射板温度Tが前記近似値T’に一致するように前記制御手段により、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と、前記低温媒体供給手段とが制御され、前記近似値T’が前記鋼板温度とみなされるように構成されたことを特徴とする鋼板の温度測定装置である。
’=T+K(T−T) ――― 式(1)
ここに、Kは、別途の測定または文献値から求めた前記反射板および前記被測定鋼板の各放射率の推定値に基づく補正係数である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記測定されたエネルギーは、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で反射する回数が1または2回である場合の射度であり、前記等価温度Tは、前記射度と等価なエネルギーを放射する黒体の温度に換算して求めた射度温度Tである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記測定されたエネルギーは、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で多重反射する場合の前記被測定鋼板からの放射エネルギーあり、前記等価温度Tは、前記多重反射した場合の放射エネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に換算して求めた多重反射温度Tである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の発明において、前記流路は、前記反射板と、前記反射板の裏面に接するように設けられた複数の仕切壁と、前記反射板の裏面に対向するように設けられた背面板と、この背面板側に前記低温媒体または高温媒体が供給される供給口と排出される排出口とを有した構成よりなり、前記ヒータは、電気ヒータであり、この電気ヒータが前記流路の全域に渡って配設され、前記反射板の厚さtと前記複数の仕切壁間の間隔W、および、前記仕切壁の厚さHと高さLとの関係は、下記式(2)、(3)を満たすように構成されている。
2≦W/t≦10 ――― 式(2)
1≦L/H≦20 ――― 式(3)
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記供給口は前記流路の中央部近傍に設けられ、前記排出口は前記流路の両端側に設けられ、前記低温媒体または高温媒体が前記中央部近傍から前記両端部に向かって流れるように構成されている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記低温媒体は、低温ガスであり、前記制御手段の指令により低温媒体供給手段から前記低温ガスの流量を複数のレベルで供給できるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の鋼板の温度測定装置は、被測定鋼板に対向して設置され、かつ、流路が設けられた反射板と、前記流路に設けられたヒータまたは前記流路に高温媒体を流すための高温媒体供給手段と、前記流路に低温媒体を流すための低温媒体供給手段と、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と低温媒体供給手段とを制御するための制御手段と、前記反射板の温度(以下、「反射板温度」という。)Tを直接測定する温度検出器と、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で所定の回数反射される角度となるように前記被測定鋼板に向けて設置され、この角度で前記被測定鋼板から放出されるエネルギーが測定され、この測定されたエネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に相当する等価温度Tに換算され出力するための放射温度計と、下記式(1)より前記被測定鋼板の温度(以下、「鋼板温度」という。)の近似値T’を算出する鋼板温度演算回路と、を備え、
前記流路は前記反射板の前記被測定鋼板側とは反対側の面(以下、「裏面」という)に設けられ、前記反射板温度Tが前記近似値T’に一致するように前記制御手段により、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と、前記低温媒体供給手段とが制御され、前記近似値T’が前記鋼板温度とみなされるように構成されているため、被測定鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できる。
’=T+K(T−T) ――― 式(1)
ここに、Kは、別途の測定または文献値から求めた前記反射板および前記被測定鋼板の各放射率の推定値に基づく補正係数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
本発明に係る鋼板の温度測定装置は、被測定鋼板に対向して設置され、かつ、流路が設けられた反射板と、前記流路に設けられたヒータまたは前記流路に高温媒体を流すための高温媒体供給手段と、前記流路に低温媒体を流すための低温媒体供給手段と、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と低温媒体供給手段とを制御するための制御手段と、前記反射板の温度(以下、「反射板温度」という。)Tを直接測定する温度検出器と、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で所定の回数反射される角度となるように前記被測定鋼板に向けて設置され、この角度で前記被測定鋼板から放出されるエネルギーが測定され、この測定されたエネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に相当する等価温度Tに換算され出力するための放射温度計と、下記式(1)より前記被測定鋼板の温度(以下、「鋼板温度」という。)の近似値T’を算出する鋼板温度演算回路と、を備え、
前記流路は前記反射板の前記被測定鋼板側とは反対側の面(以下、「裏面」という)に設けられ、前記反射板温度Tが前記近似値T’に一致するように前記制御手段により、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と、前記低温媒体供給手段とが制御され、前記近似値T’が前記鋼板温度とみなされるように構成されていることを特徴とする。これにより、被測定鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できる。
’=T+K(T−T) ――― 式(1)
ここに、Kは、別途の測定または文献値から求めた前記反射板および前記被測定鋼板の各放射率の推定値に基づく補正係数である。
【0018】
以下に、上記構成に至った理由について詳述する。
【0019】
本発明者らは、反射板の裏面に単に加熱手段または冷却手段を設けて温度制御するだけでは、反射板の温度Tを目標値(すなわち、鋼板温度の上記近似値T’)に迅速に近づけることができず、どうしても上記等価温度Tと反射板の温度Tとの間にずれが発生してしまうことを明らかにした。また、このずれが、一次近似式を用いて鋼板の温度を迅速かつ精度良く求める場合の阻害要因であることも突き止めた。そこで、反射板の裏面に流路を設け、この流路を活用して反射板を応答性良く、かつ、均一に加熱、冷却する構成を採用したならば、反射板の温度Tを目標値(すなわち、鋼板温度の上記近似値T’)に迅速に近づけることができるのではないかと発想した。その結果、一次近似式を用いる場合の演算の高速化の効果と相俟って、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できるようになった。
【0020】
次に、上記本発明に係る鋼板の温度測定装置を用いることで、鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できることの理論的裏づけの説明を行なう。
【0021】
2枚の有限の平板である鋼板および反射板の射度(以下、鋼板と反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが反射板と鋼板との間で反射する回数が1または2回である場合の射度に関して説明する。)は、2枚の有限平板の周囲からの背景放射を無視すると下記式(11)および(12)のように表される。
【数1】

【0022】
ここに、F12およびF21はそれぞれ、鋼板から反射板への形態係数および反射板から鋼板への形態係数で、鋼板および反射板の幾何学的形状および位置関係より決まる値である。
【0023】
上記式(11)および(12)より反射板の射度Gを消去してE(T)を求めると、下記式(13)が得られ、鋼板の黒体放射エネルギーを求める式が得られる。
【数2】

【0024】
ここで、Kは下記式(14)で定義され、鋼板および反射板の放射率から決まる補正係数である。
【数3】

【0025】
ここで、F12およびF21がともに1にほぼ等しい場合は、式(13)は、F12=F21=1とおくことにより下記式(15)に簡略化される。
【数4】

【0026】
また、鋼板の射度Gと、これと等価なエネルギーを放射する黒体の温度(以下、「射度温度」という。)Tとの間には、G=σTの関係があるので、上記式(15)より下記式(16)が導かれ、鋼板温度Tは上記等価温度Tとしての射度温度Tおよび反射板温度Tから算出できることとなる。
【数5】

【0027】
また、上記式(16)より、
=(1+K)T−KT
=T+K(T−T
=T[1+K(1−(T/T)]
となり、さらに、T/T=aとおくと、
=T[1+K(1−a)]
=T[1+K(1−a)(1+a)(1+a)]
となり、a≒1の場合は、
≒T[1+4K(1−a)]
となる。
【0028】
したがって、
≒T[1+4K(1−a)]1/4
となる。
【0029】
ここで、b≒0の場合、(1−b)=(1−4b+6b−4b+b)≒(1−4b)であるから、1−b≒(1−4b)1/4となる。この関係を上式に適用する。
【0030】
したがって、
≒T[1+K(1−a)]
=T[1+K(1−T/T)]
=T+K(T−T
となり、TをT’と置き換えることにより、上記式(1)が導かれる。
【0031】
ここに、Kは、上記式(14)で示したように、鋼板および反射板の放射率ε、εのみの関数からなる補正係数である。このため、補正係数K自体は、鋼板および反射板の放射率変動の影響を受けることになるが、反射板温度Tを射度温度Tに一致するように(すなわち、反射板温度Tを鋼板温度の上記近似値T’に一致するように)制御するので、補正係数Kによる誤差が除外され鋼板温度の高精度な測定が可能となる。
【0032】
したがって、補正係数Kは、厳密な設定を要しないが、測定された鋼板温度が所定の精度に達するのに要する時間には影響があるので、ある程度の精度は必要である。このため、鋼板および反射板の放射率ε、εの推定値として、例えば別途オフラインで測定した値または文献値から想定される変動の範囲における平均的な値を採用し、これらの値を上記式(14)に代入して算出したものを補正係数Kとして用いればよい。
【0033】
また、上記本発明に係る鋼板の温度測定装置では、反射板の裏面に流路が設けられたているため、反射板温度Tが鋼板温度の上記近似値T’に一致するように、この流路を活用して反射板を応答性良く、かつ、均一に加熱、冷却できる。したがって、反射板温度Tと射度温度Tとの差ΔTを短時間で零に近づけることができる。よって、射度温度Tと鋼板温度の上記近似値T’が当然短時間で一致する。すなわち、鋼板温度の上記近似値T’を鋼板温度Tとみなすことができることになる。上述したように、上記本発明に係る鋼板の温度測定装置であれば、鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できる。
【0034】
上記本発明に係る鋼板の温度測定装置において、鋼板、反射板の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度を迅速かつ精度良く測定できることの理論的裏づけに関する説明は、鋼板と反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが反射板と鋼板との間で反射する回数が1または2回である場合の射度を用いて説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、上記射度の代わりに、鋼板と反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが反射板と鋼板との間で多重反射する場合の鋼板からの放射エネルギーを用いることも可能である。この多重反射した場合の放射エネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度である多重反射温度Tを上記等価温度Tに採用すれば、上記式(1)がそのまま適用できる。
【0035】
また、上記反射板の裏面に設けられた流路の形状は、特に限定されるものではないが、反射板の裏面に接するように設けられた複数の仕切壁と、反射板の裏面に対向するように設けられた背面板と、この背面板側に低温媒体または高温媒体が供給される供給口と排出される排出口とを有した構成とするのが好ましい。このようにすることで、反射板を応答性良く、かつ、均一に加熱、冷却できる。また、反射板の厚さTと複数の仕切壁間の間隔W、および、仕切壁の厚さHと高さLとの関係が、下記式(2)、(3)を満たすように構成することで、反射板を応答性良く、かつ、均一に加熱、冷却できるため、反射板内の温度偏差ΔTを所定値以下にすることができ、より好ましい。
2≦W/T≦10 ――― 式(2)
1≦L/H≦20 ――― 式(3)
このような構成とする場合は、前記供給口は前記流路の中央部近傍に設けられ、前記排出口は前記流路の両端側に設けられ、前記低温媒体または高温媒体が前記中央部近傍から前記両端部に向かって流れるように構成するのが、好ましい。このようにすることで、低温媒体および高温媒体のそれぞれの冷却能力、加熱能力が維持できるため、反射板内の小さな領域毎に温度制御が可能である。その結果として、上述のように、反射板内の温度偏差ΔTを所定値以下にすることができる。
【0036】
また、上記反射板の形状も特に限定されるものではなく、矩形、円形等さまざまな形状を用いることが可能である。
【0037】
また、上述の説明では、加熱手段として高温媒体を利用する場合について、説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、流路内にヒータを配設しておいても良い。特に、電気ヒータを用いれば、特別な設備も不要になるばかりか、制御性も良い。
【0038】
また、上述の説明では、冷却手段として低温媒体を利用する場合について、説明したが、この低温媒体もさまざまものが使用可能であり、特定のものに限定されない。例えば、低温ガスによる冷却以外にも、空冷、水冷等を用いることも可能である。ただし、低温ガスによる冷却を行なえば、制御性も良いばかりか装置も比較的安価にできるため、何かと好都合である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の鋼板の温度測定装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は本発明の実施例の鋼板の温度測定装置の測定原理を説明するための概念図、図2は図1に示す反射板の裏面に設けられた流路を背面板を取り外した状態で示した平面模式図、図3は本実施例の鋼板の温度測定装置の概略構成を示すブロック図、図4は図3に示す反射板内の位置と冷却ガス温度、反射板温度の関係を示す特性図、図5は図3に示す流路と比較するために設けた別の流路構成とその特性を示す特性図、図6は図3に示す流路の詳細仕様を説明するための模式図、図7は図6に示す流路の詳細仕様と反射板内の温度偏差の関係を示す特性図、図8は本実施例の流路に流す冷却ガスの流量、電気ヒータ出力と鋼板温度、反射板温度の各挙動を示す特性図、図9は本実施例の別の形態の流路を説明するための説明図である。図1に示すように、鋼板1に対向して平行に反射板2が設けられている。反射板2は、上記式(13)中の形態係数F12およびF21をできるだけ大きくして1に近づけることで測定誤差をより小さくできるので、同じ反射板面積で形態係数が最大となるように鋼板1に対して反射板2を平行に、かつ、できるだけ近づけて設置することが望ましい。ただし、鋼板1が上下にうねる(波打つ)ような場合があるので、鋼板1が反射板2に接触しないように、所定の間隔を設けて設置することが必要である。
【0041】
また、鋼板1の射度を受取れるように、放射温度計3を反射板2と鋼板1との隙間から鋼板1の表面に向けて設置し、鋼板1と反射板2のそれぞれから放射される放射エネルギーが反射板2と鋼板1との間で交互に反射する回数がそれぞれで1または2回となるように鋼板1に対する放射温度計3の設置角度θを調整する。反射板2と鋼板1との間での放射エネルギーの反射回数をそれぞれで少なくとも1回とした理由は、放射エネルギーが反射板2で1回も反射することなく放射温度計3で受取られると、炉内壁など背景からの放射エネルギーが直接鋼板1で反射されて鋼板1の射度の一部(反射エネルギー)となるため、測定誤差が大きくなるのに対し、反射板2で少なくとも1回反射させてから鋼板1で反射させることで背景からの放射エネルギーの影響が無視できる程度に小さくなり、測定誤差が十分小さくなるからである。また、反射板2と鋼板1との間での放射エネルギーの反射回数をそれぞれで多くとも2回とした理由は、3回以上反射させても背景からの放射エネルギーの影響はすでに十分小さくなっており、測定誤差の改善効果は少なく、そのわりに反射板2が大きくなるためである。
【0042】
鋼板1に対する放射温度計3の設置角度θは、反射板2と鋼板1との間での放射エネルギーの反射回数をそれぞれで1または2回となるように、反射板2の大きさ、鋼板1と反射板2との距離等に応じて適宜調整すればよいが、鋼板表面の指向放射率を高めて射度を受取りやすくすること、放射温度計3の設置スペースなどの設備制約等を考慮して、5°以上60°未満、さらには10〜50°、特に20〜40°の範囲で適宜調整するとよい。
【0043】
また、放射温度計3で測定される放射エネルギーと鋼板1の射度との関係は、下記式で表される。
【数6】

【0044】
すなわち、F=εとすると、G=Eとなる。したがって、放射温度計3に鋼板1から放射温度計3への形態係数Fに相当する放射率εを設定することにより、鋼板1の射度Gと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に相当する等価温度Tとしての射度温度Tに放射温度計3で換算され出力される。
【0045】
鋼板1から放射温度計3への形態係数Fは、両者の幾何学的形状および位置関係と鋼板1の指向放射率より決定されるため、理論的に求めることも可能であるが、別途、例えばオフラインにて同様な幾何学的形状および位置関係にて実験的に決定することも可能である。
【0046】
図2において、4aは矩形状の反射板2の裏面に反射板2の長手方向に略平行で、かつ、略垂直な状態で設けられた仕切壁、4bは仕切壁4aと略直交するように、かつ、反射板2の端部側に設けられた仕切壁である。また、流路8は、反射板2、仕切壁4a、4b、背面板5(後記図3を参照)から複数構成されている。また、図2に示すように、流路8内には流路8の長手方向に向かって、反射板2の裏面の端から端まで電気ヒータ20(破線で示す)が配設されている。また、流路8内には電気ヒータ20に平行し、かつ、流路8の中央部(正確には、後記図3に示す供給口6側:○印で示す)から両端部(正確には、後記図3に示す排出口7側:●印で示す)に向かって、低温媒体としての冷却用ガス50(実線で示す。詳細は後記図3を参照)が流れる様子を模式的に示す。
【0047】
図3のブロック図内に描かれた流路8の模式断面のように、断面コ字状の背面板5が反射板2の裏面に対向するように配設されている。これにより、反射板2の裏面側に接近した短く、かつ、体積の小さな流路8が多数形成可能になる。また、反射板2の裏面の見かけ上の面積が増加したことにもなるので、実質的に加熱及び冷却能力が向上したことにもなる。また、この流路8には、反射板2の裏面の中央部近傍に対応する位置に冷却用ガスの供給口6、両端部近傍に対応する位置に冷却用ガスの排出兼電気ヒータ20の接続スペースを兼ねた排出口7を備えることも可能となる。
【0048】
図3において、25は電気ヒータ用電源、30は制御手段、40は反射板2の温度を直接測定するための温度検出器としての熱電対、50は冷却ガス、55は電磁弁、56はレギュレータ、60は鋼板温度演算回路である。電気ヒータ20は、電気ヒータ用電源25に接続され、制御手段50からの指令により流路8内が加熱され、反射板2の温度が上昇する。また、制御手段50からの指令により低温媒体供給手段としての電磁弁55が開かれ冷却ガス50が中央部近傍の供給口6から供給され流路8内を流れ、両端部近傍の排出口7から排出される。これにより、流路8内が冷却され、反射板2の温度が降下する。さらに、電磁弁55にはレギュレータ56が併設されているため、冷却ガス50の流量を常に一定に保つこともできる。
【0049】
次に、本実施例の鋼板の温度測定装置の動作について、以下に説明する。本装置の動作初期においては、例えば、反射板2の初期設定温度を、例えば鋼板1の目標温度Tにすればよい。この場合、初期設定温度(鋼板1の目標温度T)と熱電対40で実測された反射板温度Tとの間には大きな温度差があるため、制御手段50から電気ヒータ用電源25に指令が送られ、電気ヒータ20により流路8内が急速に加熱される。その後、熱電対40で実測された温度上昇した反射板温度Tと放射温度計3から出力された射度温度Tが鋼板温度演算回路60内に入力され、上記式(1)に基づき演算され、鋼板温度Tの近似値T’が算出される。この近似値T’が以降、反射板2の目標の設定温度として制御手段50内で用いられる。その後、近似値T’と反射板温度Tが一致するまで、電気ヒータ20により、加熱し続ける。その結果、反射板温度Tと射度温度Tとの差ΔTが次第に小さくなり0に近づき、反射板温度Tと近似値T’とが一致した場合は、この近似値T’を鋼板温度Tとみなす。ただし、反射板温度Tが射度温度Tを超えてしまった場合は、鋼板温度演算回路60内で算出された近似値T’が、反射板2の目標の設定温度として新たに制御手段30内に設定される。これにより、制御手段30から電磁弁55を開く指令が送られ、直ちに冷却ガス50が中央部近傍の供給口6から流路8内に流され、冷却を開始する。したがって、反射板温度Tと射度温度Tとの差ΔTが速やかに0に近づき、反射板温度Tと近似値T’とが一致する。以上により、鋼板1、反射板2の各放射率の変動および経時変化の影響を受けることなく、鋼板温度Tを迅速かつ精度良く測定できるようになる。
【0050】
図4の場合は、冷却ガス50が中央部近傍の供給口6から流路8内に供給され、両端部近傍の排出口7から排出される構成であるため、個々の流路8の長さが短く、かつ、体積も小さく、流路8内での冷却ガス50の温度上昇が少ないことがわかる。したがって、反射板2内の温度分布も小さくなり、後記図5に示す流路100の構成に比べて、好ましいことがわかる。
【0051】
図5(a)に示す流路100は、図3に示す背面板5に代えて断面コ字状の背面板90を用いるだけで構成できるものである。この構成では、反射板2の裏面の一端側から冷却ガス50が供給され、他端側から排出されるため、流路100の長さが流路8の長さの約2倍となり、流路100内での冷却ガス50の温度上昇が流路8の場合に比べて、多少大きくなる。したがって、反射板2を冷却する効果は十分あるものの、図3に示すような流路構成を有する反射板2内の温度分布(図4参照)に比べると多少大きくなる。
【0052】
次に、図3に示す本実施例の流路8の詳細仕様と反射板2内の温度偏差ΔT(℃)の詳細な関係について、検討した結果を図6、図7に示す。図6は流路8を反射板2の長手方向から見た、仕切壁4bを取り除いた側面断面模式図である。図7(a)において、横軸は仕切壁4aの間隔(W)/反射板2の厚さ(t)、縦軸の左側は反射板2内の温度偏差ΔT(℃)、縦軸の右側は電気ヒータ用電源25の容量指数(−)である。また、図7(b)において、横軸は仕切壁4aにおける実質的に流路8を構成するのに寄与している高さ(L)/仕切壁4aの厚さ(H)、縦軸の左側は反射板2内の温度偏差ΔT(℃)、縦軸の右側は電気ヒータ用電源25の容量指数(−)である。
【0053】
図7(a)において、仕切壁4aの間隔(W)を小さくすれば、反射板2内の温度偏差ΔTは小さくなることがわかる。しかし、仕切壁4aの間隔(W)の大きさには、実用上限界がある。また、反射板2の厚さ(t)を厚くすると反射板2内の温度偏差ΔTは小さくなることがわかる。しかし、反射板2の厚さ(t)を厚くすると、反射板2を加熱するために必要な電気ヒータ用電源25の容量が大きくなってしまい、装置費用が高くなってしまう。本願発明の目的を達成する上では、図7(a)に示す反射板2内の温度偏差ΔTが1℃以上10℃以下であることが好ましい。これを実現するのは、図7(a)からW/tが2以上10以下であることが好ましいことがわかる。図7(b)において、仕切壁4aの実質的高さ(L)を小さくすれば、反射板2内の温度偏差ΔTは小さくなることがわかる。しかし、仕切壁4aの実質的高さ(L)を小さくするのも実用上限界がある。また、仕切壁4aの厚さ(H)を厚くすると反射板2内の温度偏差ΔTは小さくなることがわかる。しかし、反射板2の厚さ(t)の場合と同様に、仕切壁4aの厚さ(H)を厚くすると、加熱するために必要な電気ヒータ用電源25の容量が大きくなってしまい、装置費用が高くなってしまう。図7(b)に示す反射板2内の温度偏差ΔTが1℃以上10℃以下を実現するためには、L/Hが1以上20以下であることが好ましいことがわかる。
【0054】
図8(a)は、鋼板温度Tが一時的に高くなった場合に、如何にして反射板2を任意の一定温度に保つかを説明するために、流路8に流す冷却ガス50の流量、電気ヒータ20の出力、鋼板温度Tと反射板温度Tの各挙動を示したものである。このように鋼板温度Tが一時的に高くなった場合に、単純に電気ヒータ20の出力を下げる、または、ゼロにするだけでは、反射板2は鋼板1からの輻射熱を受けているため、反射板2を任意の一定温度に保つことができない。しかし、レギュレータ56を用いて、鋼板1からの輻射熱量の大きさに対応するだけの微量の冷却ガス50を常時流しておき、残りは電気ヒータ20の出力を調整する(図8(a)参照)ようにすれば、鋼板温度Tが一時的に高くなっても、反射板2を任意の一定温度に保つことが可能になる。これにより、鋼板温度Tをさらに迅速かつ精度良く測定できるようになる。
【0055】
図8(b)は、鋼板温度Tがある一定の高い温度から低下した場合に、如何にして反射板温度Tを鋼板温度Tに追従して下げるかを説明するために、流路8に流す冷却ガス50の流量、電気ヒータ20の出力、鋼板温度Tと反射板温度Tの各挙動を示したものである。このように鋼板温度Tがある一定の高い温度から低下した場合に、単純に電気ヒータ20の出力を下げる、または、ゼロにするだけでは、反射板2は鋼板1からの輻射熱および反射板2自体の蓄熱量があるため、反射板温度Tを急速に下げることができない。しかし、このような場合に、鋼板1からの輻射熱量の大きさに対応するだけの微量の冷却ガス50を常時流しておくだけでなく、反射板2自体の蓄熱量の大きさ、かつ、鋼板温度Tまで急速に下げれるだけの大きさに相当する冷却ガス50をさらに増加させるようにすれば、反射板温度Tを鋼板温度Tに追従して下げることが可能になる。このためには、制御手段30の指令により電磁弁55を開け、冷却ガス50の流量を複数のレベルで供給できるように構成しておけばよい。
【0056】
なお、本実施例においては、図2に示すような、矩形状の反射板2、仕切壁4a、4bと背面板5から構成された流路8、図5に示すような、矩形状の反射板2、仕切壁4a、4bと背面板90から構成された流路100を用いた例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、円板状の反射板200と、この反射板200の外周に略垂直な状態で設けられた円筒形の仕切壁210aと、この仕切壁210aに接し、反射板200の直径上に略垂直な状態で設けられた仕切壁210bと、この仕切壁210bと直交するような仕切壁210cと、この仕切壁210cに略平行で仕切壁210aから延出するように設けられた仕切壁210dと、反射板200の裏面に対向するように配設された背面板(図示せず)とから構成された流路300など様々な形態が考えられる。また、本実施例においては、ヒータとして電気ヒータ20を用いた例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例の鋼板の温度測定装置の測定原理を説明するための概念図である。
【図2】図1に示す反射板の裏面に設けられた流路を背面板を取り外した状態で示した平面模式図である。
【図3】本実施例の鋼板の温度測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す反射板内の位置と冷却ガス温度、反射板温度の関係を示す特性図である。
【図5】図3に示す流路と比較するために設けた別の流路構成とその特性を示す特性図である。
【図6】図3に示す流路の詳細仕様を説明するための模式図である。
【図7】図6に示す流路の詳細仕様と反射板内の温度偏差の関係を示す特性図である。
【図8】本実施例の流路に流す冷却ガスの流量、電気ヒータ出力と鋼板温度、反射板温度の各挙動を示す特性図である。
【図9】本実施例の別の形態の流路を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1:鋼板
2、200:反射板
3:放射温度計
4a、4b、210a、210b、210c、210d:仕切壁
5、90:背面板
6:供給口
7:排出口
8、100、300:流路
20:電気ヒータ
25:電気ヒータ用電源
30:制御手段
40:熱電対
50:冷却ガス
55:電磁弁
56:レギュレータ
60:鋼板温度演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定鋼板に対向して設置され、かつ、流路が設けられた反射板と、前記流路に設けられたヒータまたは前記流路に高温媒体を流すための高温媒体供給手段と、前記流路に低温媒体を流すための低温媒体供給手段と、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と低温媒体供給手段とを制御するための制御手段と、前記反射板の温度(以下、「反射板温度」という。)Tを直接測定する温度検出器と、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で所定の回数反射される角度となるように前記被測定鋼板に向けて設置され、この角度で前記被測定鋼板から放出されるエネルギーが測定され、この測定されたエネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に相当する等価温度Tに換算され出力するための放射温度計と、下記式(1)より前記被測定鋼板の温度(以下、「鋼板温度」という。)の近似値T’を算出する鋼板温度演算回路と、を備え、
前記流路は前記反射板の前記被測定鋼板側とは反対側の面(以下、「裏面」という)に設けられ、前記反射板温度Tが前記近似値T’に一致するように前記制御手段により、前記ヒータまたは高温媒体供給手段と、前記低温媒体供給手段とが制御され、前記近似値T’が前記鋼板温度とみなされるように構成されたことを特徴とする鋼板の温度測定装置。
’=T+K(T−T) ――― 式(1)
ここに、Kは、別途の測定または文献値から求めた前記反射板および前記被測定鋼板の各放射率の推定値に基づく補正係数である。
【請求項2】
前記測定されたエネルギーは、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で反射する回数が1または2回である場合の射度であり、前記等価温度Tは、前記射度と等価なエネルギーを放射する黒体の温度に換算して求めた射度温度Tである請求項1に記載の鋼板の温度測定装置。
【請求項3】
前記測定されたエネルギーは、前記被測定鋼板と前記反射板のそれぞれから放射される放射エネルギーが前記反射板と前記被測定鋼板との間で多重反射する場合の前記被測定鋼板からの放射エネルギーあり、前記等価温度Tは、前記多重反射した場合の放射エネルギーと等価なエネルギーを放射する黒体の温度に換算して求めた多重反射温度Tである請求項1に記載の鋼板の温度測定装置。
【請求項4】
前記流路は、前記反射板と、前記反射板の裏面に接するように設けられた複数の仕切壁と、前記反射板の裏面に対向するように設けられた背面板と、この背面板側に前記低温媒体または高温媒体が供給される供給口と排出される排出口とを有した構成よりなり、前記ヒータは、電気ヒータであり、この電気ヒータが前記流路の全域に渡って配設され、前記反射板の厚さtと前記複数の仕切壁間の間隔W、および、前記仕切壁の厚さHと高さLとの関係は、下記式(2)、(3)を満たすように構成された請求項1乃至3に記載の鋼板の温度測定装置。
2≦W/t≦10 ――― 式(2)
1≦L/H≦20 ――― 式(3)
【請求項5】
前記供給口は前記流路の中央部近傍に設けられ、前記排出口は前記流路の両端側に設けられ、前記低温媒体または高温媒体が前記中央部近傍から前記両端部に向かって流れるように構成された請求項4に記載の鋼板の温度測定装置。
【請求項6】
前記低温媒体は、低温ガスであり、前記制御手段の指令により低温媒体供給手段から前記低温ガスの流量を複数のレベルで供給できるように構成された請求項5に記載の鋼板の温度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−174958(P2009−174958A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12894(P2008−12894)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】