鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースおよび鋼製サイロの外壁パネルの接合方法
【課題】容易に溶断できる屈曲線材と、裏当材に用いる鋼板ブロックとからなる簡易な構成で、且つその鋼板ブロックを容易に転用可能な構成とすることにより、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた構成サイロの外壁パネル接合用ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を提供する。
【解決手段】鋼製サイロを構成する外壁パネル10の端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピース1において、前記ガイドピース1は、屈曲線材3と鋼板ブロック4とからなり、前記屈曲線材3は、屈曲部3aと該屈曲部3aから伸びる両腕部3bとからなる楔挿入部2を有し、前記鋼板ブロック4のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部3bが接合されている。
【解決手段】鋼製サイロを構成する外壁パネル10の端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピース1において、前記ガイドピース1は、屈曲線材3と鋼板ブロック4とからなり、前記屈曲線材3は、屈曲部3aと該屈曲部3aから伸びる両腕部3bとからなる楔挿入部2を有し、前記鋼板ブロック4のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部3bが接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いられる外壁パネル接合用ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の技術分野に属する。
前記ガイドピースは、同ガイドピースに形成した楔挿入部内に挿入する楔とで、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合する外壁パネルの面の段違いをなくす案内部材としての役割を果たすものである。
【背景技術】
【0002】
前記ガイドピースは、従来、図12に示したように、両端部異径の長孔bの小径側の端縁部に沿ってほぼ鉛直な棒状部材(ピン)cを一体的に固着した鋼板aが用いられている(例えば、特許文献1の第2図、第4図、特許文献2の第2図、及び特許文献3の第3図の符号12を参照)。
このガイドピースは、隣接する外壁パネル同士の間に150mm〜400mm程度のピッチで多数用いられ、図13に実施例を示したように、長孔b内に挿入する楔dとで、鉛直方向(又は周方向)に突き合わせ溶接接合する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす目的で用いられる。
【0003】
具体的に、従来のガイドピースは、図13に示したように、鋼板aに固着した棒状部材cを鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネル10、10に跨るように当てがい、当該隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から鋼板aを突き出させ、鋼板aの長孔b内に楔dを打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくし、その後に行う突き合わせ溶接接合作業に供される。
【0004】
前記突き合わせ溶接接合作業は、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間の目地に沿って、前記ガイドピース(鋼板a)を除く部位を断続的に溶接し、しかる後、ガイドピース取付部位に生じた隙間を溶接し、もって鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネル10、10を隙間なく溶接接合する手順で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭53−16612号公報
【特許文献2】特公昭59−33478号公報
【特許文献3】特開昭58−153868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記突き合わせ溶接接合作業において、前記ガイドピース取付部位に生じた隙間を溶接する場合、ガイドピース(鋼板a)の両外側部が溶接されて隣接する外壁パネル10、10に固着されているため、楔dを取り外して撤去することはできても、ガイドピース自体を引き抜いて撤去することはできなかった。よって、図14に示したように、両外側部が溶接されたガイドピースを、隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断し、溶断することにより現れた(形成された)隙間e部を溶接し、もって鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネルを突き合わせ溶接接合していた。
【0007】
したがって、溶断されて撤去されたガイドピース片X、Y(図14参照)は、転用することができず、廃材になるほかなかった。鋼製サイロを構築する際に用いるガイドピースは数百個程度用いる場合も少なくなく、数百個ものガイドピースを使い捨てにせざるを得ない現状は、環境問題が重要視される今日においては改善されるべき点である。
特に従来のガイドピースは、図12に示したように、1枚の鋼板aに両端部異径の長孔bを穿設した上で、棒状部材cを裏当に適正な角度を保持しながら長孔bの小径側の端縁部に沿って溶接により一体的に固着して成形している。よって、熟練技術を必要とするなど非常に手間がかかり材料費等を含めた製造コストが嵩む。このような部材単価が嵩むガイドピースをすべて使い捨てにせざるを得ない現状をも考慮すると、不経済に過ぎ、環境保全の面および経済面での負担がすこぶる大きいという問題があった。
【0008】
ところで、特許文献1に係る第2頁第4欄の19〜21行目には、「・・・本付溶接する。そしてテーパーピン23を抜き取り、スペーサー17を外方よりたたいて取り除きその隙間を溶接する。」との記載が認められる。
しかし、両外側部が本付溶接されたスペーサー17(ガイドピース)を取り除く作業は至難である。特に、鉛直方向に隣接する(積み重ねる)外壁パネルの突き合わせ溶接接合においては、当該外壁パネルの自重作用もありガイドピースを取り除くことは不可能に近い。仮に取り除くことができたとしても作業に難渋することは明らかな上に、ガイドピースの取付数に応じて数百回程度行うことを考えると、作業効率があまりにも悪く、作業工程、工期の進捗に大きな障害となるし、労務費の負担も大きいという別の問題が生じることは明らかである。
よって、実際の現場作業においては、図14に示したように、ガイドピースを溶断する手法を採用しているのが実情であり、上記段落[0007]と同様の問題があった。
【0009】
また、特許文献2に係る第1頁第2欄の30〜31行目には、「スペーサ50はこの溶接の際に溶接しながら取り外していく。」との記載が認められる。
しかし、目地部を溶接接合しながらスペーサ50(ガイドピース)を取り外す作業は、熟練技術を必要とする。特に、鉛直方向に隣接する(積み重ねる)外壁パネルの突き合わせ溶接接合においては当該外壁パネルの自重作用もあり、作業に難渋することは明らかな上に、なにより厳密な水平度が要求される鋼製サイロの構築には不適切であった。
よって、実際の現場作業においてはやはり、図14に示したように、ガイドピースを溶断する手法を採用しているのが実情であり、上記段落[0007]と同様の問題があった。
【0010】
本発明の目的は、容易に溶断できる屈曲線材と、裏当材に用いる鋼板ブロックとからなる簡易な構成で、且つその鋼板ブロックを容易に転用可能な構成とすることにより、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた構成サイロの外壁パネル接合用ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースは、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記ガイドピースは、屈曲線材と鋼板ブロックとからなり、前記屈曲線材は、屈曲部と該屈曲部から伸びる両腕部とからなる楔挿入部を有し、前記鋼板ブロックのほぼ中央部の左右両側に前記両腕部が接合されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端に設けた溝へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載した発明は、請求項2又は3に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記抜け止め手段は、屈曲線材の両腕部の先端部をそれぞれ内方へ屈曲させてなることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法は、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、
周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルの内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネルの間から外面側または内面側に突き出させた後、
前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔を挿入し、当該隣接する外壁パネルで挟持させて、隣接する外壁パネルの面の段違いをなくすこと、
次いで、隣接する外壁パネルの突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、
前記楔を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断すること、
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、下位の外壁パネルと、該下位の外壁パネルよりパネル厚が薄い上位の外壁パネルとを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合、前記下位および上位の外壁パネルの内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがうことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載した発明は、請求項5又は6に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、前記楔保持部を溶断した後の前記平面部に新たな楔保持部を取り付けてなる前記ガイドピースを用い、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜請求項4に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース(図1、図7参照)および請求項5〜請求項7に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法(図2〜図6、図8〜図11参照)によれば、従来技術に係る前記ガイドピース(図12参照)、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、以下の作用効果を奏する。
1)前記ガイドピースを、屈曲線材を鋼板ブロックに取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。
2)溶断する対象は細い屈曲線材のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。
3)前記屈曲線材を溶断した後の鋼板ブロックは、前記ガイドピースの製作に容易に転用できるのでコスト削減に大きく寄与すると共に、環境保全性に優れている。
上記1)〜3)に係る各作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度の前記ガイドピースを用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた前記ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図と6面図である。
【図2】Aは、図1に係るガイドピースを用いて周方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図3】図2に係るガイドピースを周方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図4】Aは、図1に係るガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図5】図4に係るガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図6】A、Bはそれぞれ、請求項6に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の実施例を示した立面図である。
【図7】実施例2に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図と6面図である。
【図8】Aは、図7に係るガイドピースを用いて周方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図9】図8に係るガイドピースを周方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図10】Aは、図7に係るガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図11】図10に係るガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図12】従来技術に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図である。
【図13】図12に係る前記ガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図である。
【図14】図13に係る前記ガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース(以下、単にガイドピースという。)、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係るガイドピース1を示している。このガイドピース1は、鋼製サイロ9を構成する外壁パネル10の端縁同士を、図2A又は図4Aに示したように、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いるガイドピース1であり、屈曲線材3と鋼板ブロック4とからなる。前記屈曲線材3は、屈曲部3aと該屈曲部3aから伸びる両腕部3bとからなる楔挿入部2を有し、前記鋼板ブロック4のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部3bが接合されている。
【0022】
具体的に、前記ガイドピース1は、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間に介在させる金属製の屈曲線材3と、当該外壁パネル10、10に跨る裏当用の金属製の鋼板ブロック4とからなる。
図示例に係る屈曲線材3は、屈曲部3aと両腕部3bとで、テーパー部を有する楔5を打ち込むのに適正な大きさのU字状の楔挿入部2を形成し、その両腕部3bを、鋼板ブロック4の中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔4aへほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロック4に取り付けられている。
なお、図示例に係る屈曲線材3の楔挿入部2はU字状で実施しているがこれに限定されず、楔5を挿入することができれば、V字状でも角形状でも同様に実施することができる。
【0023】
前記抜け止め手段は、屈曲線材3の両腕部3bの先端部をそれぞれ内方へ屈曲させるだけの簡易な構造で実施し、溶接等の接合手段は一切なされていないが、これに限定されない。例えば、鋼板ブロック4の貫通孔4aに通した屈曲線材3の両腕部3bの先端を当該貫通孔4aより太径に加工したり、内方へ屈曲した両腕部3bの先端部同士を点付け溶接する等の工夫は適宜行われる。
【0024】
ちなみに、本実施例で用いるガイドピース1の寸法は、図1について、符号R=27.5mm、S=16mm、T=4.5mm、U=φ2.3mm、V=29.8mm、W=25mm、X=30mm、Y=60mmで実施しているが勿論これに限定されず、作業員の手指で取扱い易い大きさ及び重量であればよい。ただし、前記楔5を打ち込む作業に十分に耐えうる剛性は要求される。
【0025】
上記構成のガイドピース1を用い、周方向に隣接する外壁パネル10、10を接合する方法について説明する。
先ず図2Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように横向きに当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部2を突き出させた屈曲線材3を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース1を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材3の楔挿入部2内に楔5をほぼ水平に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
前記ガイドピース1の位置決めは、その屈曲線材3を、前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図2Bに示したように、いずれか一方の外壁パネル10の周方向端部に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0026】
続いて、前記外壁パネル10、10の周方向端部の対応する位置に予め仮付けされたアングル材(寄せピース)6、6のボルト孔の位置合わせを行い、当該一致したボルト孔にボルト7を通しナット8をねじ込み締結する。かくして、隣接する外壁パネル10、10の目地は厳密に揃えられ、当該外壁パネル10、10のずり動きも確実に防止される。
しかる後、周方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース1を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0027】
続いて、前記楔5を楔挿入部2から取り外し、図3に示したように、前記ガイドピース1の屈曲線材3を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材3における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック4の裏面側の屈曲線材3(両腕部3b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材3(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図3中の符号17は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック4の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部3bの突出部を示している。この突出部17は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0028】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部16を溶接し、もって周方向に隣接する外壁パネル10、10を溶接接合する。
【0029】
以上の手順を周方向に隣接する外壁パネル10、10について繰り返し行うことにより、鋼製サイロの一段部分を担う円筒形リングを構築する。前記円筒形リングは、鋼製サイロの所要高さに応じて複数構築される。
なお、前記屈曲線材3を溶断することにより撤去された鋼板ブロック4は、屈曲線材3を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材3を取り外した鋼板ブロック4を転用し、屈曲部3aと両腕部3bとからなる新たな屈曲線材3を取り付けることにより、ガイドピース1を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース1は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0030】
次に、鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)を接合する方法について説明する。
鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10同士を接合する場合、先ず、周方向に隣接する外壁パネル10、10を繰り返し溶接接合して構築した前記円筒形リングの上に、別異に構築した円筒形リングをクレーン等の重機で吊り支持して一段積み重ねる。
前記別異の円筒形リングを積み重ねる際に、図4Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部2を突き出させた屈曲線材3を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース1を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材3の楔挿入部2内に楔5をほぼ鉛直に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10、ひいては円筒形リングの面の段違いをなくす。
前記ガイドピース1の位置決めは、円筒形リングを構成する外壁パネル10の上端に単に掛け留めたり、その屈曲線材3を前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図4Bに示したように、下位の外壁パネル10の上端に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0031】
なお、図示例に係る鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10は、同厚(同形・同大)で実施している。よって、前記ガイドピース1は、その鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施することも勿論できる。
ちなみに図4Aの符号15は、必要に応じて外壁パネル10の上端部に仮付けされる案内板を示している。当該案内板15は、鉛直方向の外壁パネル10、10の接合作業が終了次第、適宜溶断して撤去される。
【0032】
しかる後、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース1を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0033】
続いて、前記楔5を楔挿入部2から取り外し、図5に示したように、前記ガイドピース1の屈曲線材3を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材3における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック4の裏面側の屈曲線材3(両腕部3b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材3(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図5中の符号17は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック4の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部3bの突出部を示している。この突出部17は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0034】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部16を溶接し、もって鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10、ひいては上下に積み重ねた円筒形リングを溶接接合する。
【0035】
以上の手順を鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10(円筒形リング)について、作業足場を仮設する等して繰り返し行うことにより、所要高さの鋼製サイロを構築する。
なお、前記屈曲線材3を溶断することにより撤去された鋼板ブロック4は、屈曲線材3を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材3を取り外した鋼板ブロック4を転用し、屈曲部3aと両腕部3bとからなる新たな屈曲線材3を取り付けることにより、ガイドピース1を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース1は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0036】
したがって、実施例1に係るガイドピース1(図1参照)、及びガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図2〜図5参照)によれば、従来技術に係るガイドピース(図12参照)、及びガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、前記ガイドピース1を、屈曲線材3を鋼板ブロック4に取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。また、溶断する対象は細い屈曲線材3のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。さらに、屈曲線材3を溶断した後の鋼板ブロック4は、ガイドピース1の製作に容易に転用できるのでコスト削減に大いに寄与すると共に、環境保全性に優れている。
これらの作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度のガイドピース1を用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れたガイドピース1、及び同ガイドピース1を用いた外壁パネル10、10の接合方法を実現することができる。
【0037】
ちなみに鋼製サイロには、上位に積み重ねる外壁パネル(円筒形リング)のパネル厚を下位の外壁パネル(円筒形リング)のパネル厚より薄くして、構造力学上合理的な構造で構築するものがある。このような構造の鋼製サイロは、鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)10、10について、その外面側を面一に揃えて構築する場合(図6A参照)と、内面側を面一に揃えて構築する場合(図6B参照)とがある。
よって、外壁パネル10、10の外面側を面一に揃えて構築する場合は、図6Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施し、外壁パネル10、10の内面側を面一に揃えて構築する場合は、図6Bに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の内面側に当てがって実施する。以下に説明する実施例2についても同様の技術的思想とする。
【実施例2】
【0038】
図7は、実施例2に係るガイドピース11を示している。このガイドピース11は、鋼製サイロ9を構成する外壁パネル10の端縁同士を、図8A又は図10Aに示したように、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いるガイドピース11であり、屈曲線材13と鋼板ブロック14とからなる。前記屈曲線材13は、屈曲部13aと該屈曲部13aから伸びる両腕部13bとからなる楔挿入部12を有し、前記鋼板ブロック14のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部13bが接合されている。
ちなみに、この実施例2に係るガイドピース11は、鋼板ブロック14における屈曲線材13の取付部位に溝14a、14aを形成して実施している点が、貫通孔4a、4aを形成して実施している上記実施例1に係るガイドピース1と相違する。
【0039】
具体的に、前記ガイドピース11は、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間に介在させる金属製の線材13と、当該外壁パネル10、10に跨る裏当用の金属製の鋼板14とからなる。
図示例に係る屈曲線材13は、屈曲部13aと両腕部13bとで、テーパー部を有する楔5を打ち込むのに適正な大きさのU字状の楔挿入部12を形成し、その両腕部13bを、鋼板ブロック14の中央部の幅方向両端近くに設けた溝14aへほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロック14に取り付けられている。
なお、図示例に係る屈曲線材13の楔挿入部12はU字状で実施しているがこれに限定されず、楔5を挿入することができれば、V字状でも角形状でも同様に実施することができる。
【0040】
前記抜け止め手段は、屈曲線材13の両腕部13bの先端部をそれぞれ内方へ屈曲させるだけの簡易な構造で実施し、溶接等の接合手段は一切なされていないが、これに限定されない。例えば、前記内方へ屈曲した屈曲線材13の両腕部13bの先端部同士を点付け溶接する等の工夫は適宜行われる。
【0041】
ちなみに、本実施例で用いるガイドピース11の寸法は、図7について、符号R=27.5mm、S=16mm、T=4.5mm、U=φ2.3mm、V=29.8mm、W=25mm、X=30mm、Y=60mm、Z=4.5mmで実施しているが勿論これに限定されず、作業員の手指で取扱い易い大きさ及び重量であればよい。ただし、前記楔5を打ち込む作業に十分に耐えうる剛性は要求される。
【0042】
上記構成のガイドピース11を用い、周方向に隣接する外壁パネル10、10を接合する方法は、上記実施例1と同様である。
すなわち、先ず図8Aに示したように、前記ガイドピース11の鋼板ブロック14を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように横向きに当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部12を突き出させた屈曲線材13を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース11を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材13の楔挿入部12内に楔5をほぼ水平に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
前記ガイドピース11の位置決めは、その屈曲線材13を、前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図8Bに示したように、いずれか一方の外壁パネル10の周方向端部に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0043】
続いて、前記外壁パネル10、10の周方向端部の対応する位置に予め仮付けされたアングル材(寄せピース)6、6のボルト孔の位置合わせを行い、当該一致したボルト孔にボルト7を通しナット8をねじ込み締結する。かくして、隣接する外壁パネル10、10の目地は厳密に揃えられ、当該外壁パネル10、10のずり動きも確実に防止される。
しかる後、周方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース11を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0044】
続いて、前記楔5を楔挿入部12から取り外し、図9に示したように、前記ガイドピース11の屈曲線材13を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材13における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック14の裏面側の屈曲線材13(両腕部13b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材13(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図9中の符号27は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック14の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部13bの突出部を示している。この突出部27は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0045】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部26を溶接し、もって周方向に隣接する外壁パネル10、10を溶接接合する。
【0046】
以上の手順を周方向に隣接する外壁パネル10、10について繰り返し行うことにより、鋼製サイロの一段部分を担う円筒形リングを構築する。前記円筒形リングは、鋼製サイロの所要高さに応じて複数構築される。
なお、前記屈曲線材13を溶断することにより撤去された鋼板ブロック14は、屈曲線材13を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材13を取り外した鋼板ブロック14を転用し、屈曲部13aと両腕部13bとからなる新たな屈曲線材13を取り付けることにより、ガイドピース11を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース11は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用される。
【0047】
鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)を接合する方法も、上記実施例1と同様に行われる。
すなわち、周方向に隣接する外壁パネル10、10を繰り返し溶接接合して構築した前記円筒形リングの上に、別異に構築した円筒形リングを積み重ねる際に、図10Aに示したように、前記ガイドピース11の鋼板ブロック14を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部12を突き出させた屈曲線材13を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース11を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材13の楔挿入部12内に楔5をほぼ鉛直に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10、ひいては円筒形リングの面の段違いをなくす。
前記ガイドピース11の位置決めは、円筒形リングを構成する外壁パネル10の上端に単に掛け留めたり、その屈曲線材13を前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図10Bに示したように、下位の外壁パネル10の上端に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0048】
なお、図示例に係る鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10は、同厚(同形・同大)で実施している。よって、前記ガイドピース11は、その鋼板ブロック14を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施することも勿論できる。
ちなみに図10Aの符号15は、必要に応じて外壁パネル10の上端部に仮付けされる案内板を示している。当該案内板15は、鉛直方向の外壁パネル10、10の接合作業が終了次第、適宜溶断して撤去される。
【0049】
しかる後、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース11を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0050】
続いて、前記楔5を楔挿入部12から取り外し、図11に示したように、前記ガイドピース11の屈曲線材13を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材13における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック14の裏面側の屈曲線材3(両腕部13b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材13(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図11中の符号27は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック14の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部13bの突出部を示している。この突出部27は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0051】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部26を溶接し、もって鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10、ひいては上下に積み重ねた円筒形リングを溶接接合する。
【0052】
以上の手順を鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10(円筒形リング)について、作業足場を仮設する等して繰り返し行うことにより、所要高さの鋼製サイロを構築する。
なお、前記屈曲線材13を溶断することにより撤去された鋼板ブロック14は、屈曲線材13を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材13を取り外した鋼板ブロック14を転用し、屈曲部13aと両腕部13bとからなる新たな屈曲線材13を取り付けることにより、ガイドピース11を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース11は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0053】
したがって、実施例2に係るガイドピース1(図7参照)、及び前記ガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図8〜図11参照)によれば、上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
すなわち、従来技術に係るガイドピース(図12参照)、及び前記ガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、前記ガイドピース11を、屈曲線材13を鋼板ブロック14に取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。また、溶断する対象は細い屈曲線材13のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。さらに、屈曲線材13を溶断した後の鋼板ブロック14は、ガイドピース11の製作に容易に転用できるのでコスト削減に大いに寄与すると共に、環境保全性に優れている。
これらの作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度のガイドピース11を用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた前記ガイドピース11、及び同ガイドピース11を用いた外壁パネル10、10の接合方法を実現することができる。
【0054】
以上に実施例1、2を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0055】
例えば、本発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法は、図1と図7に示したガイドピースを用いて実施しているがこれに限定されない。
要するに、本発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法に用いるガイドピースは、前記屈曲線材3に相当する楔挿入部を有する楔保持部と、前記鋼板ブロック4に相当する平面部と備えていれば種々のバリエーションのガイドピースを製作することができ、上記実施例1、2で説明したような同様の手順で、鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を実施することができる。
すなわち、前記楔保持部と前記平面部とからなるガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネル10、10の接合方法は、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネル10、10の間から外面側または内面側に突き出させた後、前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔5を挿入し、当該隣接する外壁パネル10、10で挟持させて、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
次いで、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、前記楔5を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断する。
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することができる。
【0056】
前記楔保持部を溶断することにより撤去された平面部は、溶断された楔保持部を楽に取り外すことができる。よって、溶断された楔保持部を取り外した平面部を転用し、新たな楔保持部を取り付けることにより、ガイドピースを簡易に製作(再生)することができる。このガイドピースは、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
なお、下位の外壁パネル10と、該下位の外壁パネル10よりパネル厚が薄い上位の外壁パネル10とを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合には、前記下位および上位の外壁パネル10、10の内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがって実施する。
【符号の説明】
【0057】
1 ガイドピース
2 楔挿入部
3 屈曲線材
3a 屈曲部
3b 両腕部
4 鋼板ブロック
4a 貫通孔
5 楔
6 アングル材
7 ボルト
8 ナット
9 鋼製サイロ
10 外壁パネル
11 ガイドピース
12 楔挿入部
13 屈曲線材
13a 屈曲部
13b 両腕部
14 鋼板ブロック
14a 溝
15 案内材
16 隙間部
17 突出部
26 隙間部
27 突出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いられる外壁パネル接合用ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の技術分野に属する。
前記ガイドピースは、同ガイドピースに形成した楔挿入部内に挿入する楔とで、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合する外壁パネルの面の段違いをなくす案内部材としての役割を果たすものである。
【背景技術】
【0002】
前記ガイドピースは、従来、図12に示したように、両端部異径の長孔bの小径側の端縁部に沿ってほぼ鉛直な棒状部材(ピン)cを一体的に固着した鋼板aが用いられている(例えば、特許文献1の第2図、第4図、特許文献2の第2図、及び特許文献3の第3図の符号12を参照)。
このガイドピースは、隣接する外壁パネル同士の間に150mm〜400mm程度のピッチで多数用いられ、図13に実施例を示したように、長孔b内に挿入する楔dとで、鉛直方向(又は周方向)に突き合わせ溶接接合する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす目的で用いられる。
【0003】
具体的に、従来のガイドピースは、図13に示したように、鋼板aに固着した棒状部材cを鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネル10、10に跨るように当てがい、当該隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から鋼板aを突き出させ、鋼板aの長孔b内に楔dを打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくし、その後に行う突き合わせ溶接接合作業に供される。
【0004】
前記突き合わせ溶接接合作業は、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間の目地に沿って、前記ガイドピース(鋼板a)を除く部位を断続的に溶接し、しかる後、ガイドピース取付部位に生じた隙間を溶接し、もって鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネル10、10を隙間なく溶接接合する手順で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭53−16612号公報
【特許文献2】特公昭59−33478号公報
【特許文献3】特開昭58−153868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記突き合わせ溶接接合作業において、前記ガイドピース取付部位に生じた隙間を溶接する場合、ガイドピース(鋼板a)の両外側部が溶接されて隣接する外壁パネル10、10に固着されているため、楔dを取り外して撤去することはできても、ガイドピース自体を引き抜いて撤去することはできなかった。よって、図14に示したように、両外側部が溶接されたガイドピースを、隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断し、溶断することにより現れた(形成された)隙間e部を溶接し、もって鉛直方向(又は周方向)に隣接する外壁パネルを突き合わせ溶接接合していた。
【0007】
したがって、溶断されて撤去されたガイドピース片X、Y(図14参照)は、転用することができず、廃材になるほかなかった。鋼製サイロを構築する際に用いるガイドピースは数百個程度用いる場合も少なくなく、数百個ものガイドピースを使い捨てにせざるを得ない現状は、環境問題が重要視される今日においては改善されるべき点である。
特に従来のガイドピースは、図12に示したように、1枚の鋼板aに両端部異径の長孔bを穿設した上で、棒状部材cを裏当に適正な角度を保持しながら長孔bの小径側の端縁部に沿って溶接により一体的に固着して成形している。よって、熟練技術を必要とするなど非常に手間がかかり材料費等を含めた製造コストが嵩む。このような部材単価が嵩むガイドピースをすべて使い捨てにせざるを得ない現状をも考慮すると、不経済に過ぎ、環境保全の面および経済面での負担がすこぶる大きいという問題があった。
【0008】
ところで、特許文献1に係る第2頁第4欄の19〜21行目には、「・・・本付溶接する。そしてテーパーピン23を抜き取り、スペーサー17を外方よりたたいて取り除きその隙間を溶接する。」との記載が認められる。
しかし、両外側部が本付溶接されたスペーサー17(ガイドピース)を取り除く作業は至難である。特に、鉛直方向に隣接する(積み重ねる)外壁パネルの突き合わせ溶接接合においては、当該外壁パネルの自重作用もありガイドピースを取り除くことは不可能に近い。仮に取り除くことができたとしても作業に難渋することは明らかな上に、ガイドピースの取付数に応じて数百回程度行うことを考えると、作業効率があまりにも悪く、作業工程、工期の進捗に大きな障害となるし、労務費の負担も大きいという別の問題が生じることは明らかである。
よって、実際の現場作業においては、図14に示したように、ガイドピースを溶断する手法を採用しているのが実情であり、上記段落[0007]と同様の問題があった。
【0009】
また、特許文献2に係る第1頁第2欄の30〜31行目には、「スペーサ50はこの溶接の際に溶接しながら取り外していく。」との記載が認められる。
しかし、目地部を溶接接合しながらスペーサ50(ガイドピース)を取り外す作業は、熟練技術を必要とする。特に、鉛直方向に隣接する(積み重ねる)外壁パネルの突き合わせ溶接接合においては当該外壁パネルの自重作用もあり、作業に難渋することは明らかな上に、なにより厳密な水平度が要求される鋼製サイロの構築には不適切であった。
よって、実際の現場作業においてはやはり、図14に示したように、ガイドピースを溶断する手法を採用しているのが実情であり、上記段落[0007]と同様の問題があった。
【0010】
本発明の目的は、容易に溶断できる屈曲線材と、裏当材に用いる鋼板ブロックとからなる簡易な構成で、且つその鋼板ブロックを容易に転用可能な構成とすることにより、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた構成サイロの外壁パネル接合用ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースは、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記ガイドピースは、屈曲線材と鋼板ブロックとからなり、前記屈曲線材は、屈曲部と該屈曲部から伸びる両腕部とからなる楔挿入部を有し、前記鋼板ブロックのほぼ中央部の左右両側に前記両腕部が接合されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端に設けた溝へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載した発明は、請求項2又は3に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、前記抜け止め手段は、屈曲線材の両腕部の先端部をそれぞれ内方へ屈曲させてなることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法は、鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、
周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルの内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネルの間から外面側または内面側に突き出させた後、
前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔を挿入し、当該隣接する外壁パネルで挟持させて、隣接する外壁パネルの面の段違いをなくすこと、
次いで、隣接する外壁パネルの突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、
前記楔を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断すること、
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、下位の外壁パネルと、該下位の外壁パネルよりパネル厚が薄い上位の外壁パネルとを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合、前記下位および上位の外壁パネルの内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがうことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載した発明は、請求項5又は6に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、前記楔保持部を溶断した後の前記平面部に新たな楔保持部を取り付けてなる前記ガイドピースを用い、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜請求項4に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース(図1、図7参照)および請求項5〜請求項7に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法(図2〜図6、図8〜図11参照)によれば、従来技術に係る前記ガイドピース(図12参照)、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、以下の作用効果を奏する。
1)前記ガイドピースを、屈曲線材を鋼板ブロックに取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。
2)溶断する対象は細い屈曲線材のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。
3)前記屈曲線材を溶断した後の鋼板ブロックは、前記ガイドピースの製作に容易に転用できるのでコスト削減に大きく寄与すると共に、環境保全性に優れている。
上記1)〜3)に係る各作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度の前記ガイドピースを用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた前記ガイドピース、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図と6面図である。
【図2】Aは、図1に係るガイドピースを用いて周方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図3】図2に係るガイドピースを周方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図4】Aは、図1に係るガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図5】図4に係るガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図6】A、Bはそれぞれ、請求項6に記載した発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の実施例を示した立面図である。
【図7】実施例2に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図と6面図である。
【図8】Aは、図7に係るガイドピースを用いて周方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図9】図8に係るガイドピースを周方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図10】Aは、図7に係るガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図であり、Bは、前記ガイドピースの取付要領を例示した斜視図である。
【図11】図10に係るガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を拡大して示した斜視図である。
【図12】従来技術に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピースを表した斜視図である。
【図13】図12に係る前記ガイドピースを用いて鉛直方向に隣接する外壁パネルを接合する状態を示した斜視図である。
【図14】図13に係る前記ガイドピースを鉛直方向に隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース(以下、単にガイドピースという。)、および鋼製サイロの外壁パネルの接合方法の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係るガイドピース1を示している。このガイドピース1は、鋼製サイロ9を構成する外壁パネル10の端縁同士を、図2A又は図4Aに示したように、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いるガイドピース1であり、屈曲線材3と鋼板ブロック4とからなる。前記屈曲線材3は、屈曲部3aと該屈曲部3aから伸びる両腕部3bとからなる楔挿入部2を有し、前記鋼板ブロック4のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部3bが接合されている。
【0022】
具体的に、前記ガイドピース1は、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間に介在させる金属製の屈曲線材3と、当該外壁パネル10、10に跨る裏当用の金属製の鋼板ブロック4とからなる。
図示例に係る屈曲線材3は、屈曲部3aと両腕部3bとで、テーパー部を有する楔5を打ち込むのに適正な大きさのU字状の楔挿入部2を形成し、その両腕部3bを、鋼板ブロック4の中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔4aへほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロック4に取り付けられている。
なお、図示例に係る屈曲線材3の楔挿入部2はU字状で実施しているがこれに限定されず、楔5を挿入することができれば、V字状でも角形状でも同様に実施することができる。
【0023】
前記抜け止め手段は、屈曲線材3の両腕部3bの先端部をそれぞれ内方へ屈曲させるだけの簡易な構造で実施し、溶接等の接合手段は一切なされていないが、これに限定されない。例えば、鋼板ブロック4の貫通孔4aに通した屈曲線材3の両腕部3bの先端を当該貫通孔4aより太径に加工したり、内方へ屈曲した両腕部3bの先端部同士を点付け溶接する等の工夫は適宜行われる。
【0024】
ちなみに、本実施例で用いるガイドピース1の寸法は、図1について、符号R=27.5mm、S=16mm、T=4.5mm、U=φ2.3mm、V=29.8mm、W=25mm、X=30mm、Y=60mmで実施しているが勿論これに限定されず、作業員の手指で取扱い易い大きさ及び重量であればよい。ただし、前記楔5を打ち込む作業に十分に耐えうる剛性は要求される。
【0025】
上記構成のガイドピース1を用い、周方向に隣接する外壁パネル10、10を接合する方法について説明する。
先ず図2Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように横向きに当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部2を突き出させた屈曲線材3を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース1を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材3の楔挿入部2内に楔5をほぼ水平に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
前記ガイドピース1の位置決めは、その屈曲線材3を、前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図2Bに示したように、いずれか一方の外壁パネル10の周方向端部に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0026】
続いて、前記外壁パネル10、10の周方向端部の対応する位置に予め仮付けされたアングル材(寄せピース)6、6のボルト孔の位置合わせを行い、当該一致したボルト孔にボルト7を通しナット8をねじ込み締結する。かくして、隣接する外壁パネル10、10の目地は厳密に揃えられ、当該外壁パネル10、10のずり動きも確実に防止される。
しかる後、周方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース1を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0027】
続いて、前記楔5を楔挿入部2から取り外し、図3に示したように、前記ガイドピース1の屈曲線材3を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材3における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック4の裏面側の屈曲線材3(両腕部3b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材3(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図3中の符号17は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック4の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部3bの突出部を示している。この突出部17は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0028】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部16を溶接し、もって周方向に隣接する外壁パネル10、10を溶接接合する。
【0029】
以上の手順を周方向に隣接する外壁パネル10、10について繰り返し行うことにより、鋼製サイロの一段部分を担う円筒形リングを構築する。前記円筒形リングは、鋼製サイロの所要高さに応じて複数構築される。
なお、前記屈曲線材3を溶断することにより撤去された鋼板ブロック4は、屈曲線材3を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材3を取り外した鋼板ブロック4を転用し、屈曲部3aと両腕部3bとからなる新たな屈曲線材3を取り付けることにより、ガイドピース1を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース1は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0030】
次に、鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)を接合する方法について説明する。
鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10同士を接合する場合、先ず、周方向に隣接する外壁パネル10、10を繰り返し溶接接合して構築した前記円筒形リングの上に、別異に構築した円筒形リングをクレーン等の重機で吊り支持して一段積み重ねる。
前記別異の円筒形リングを積み重ねる際に、図4Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部2を突き出させた屈曲線材3を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース1を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材3の楔挿入部2内に楔5をほぼ鉛直に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10、ひいては円筒形リングの面の段違いをなくす。
前記ガイドピース1の位置決めは、円筒形リングを構成する外壁パネル10の上端に単に掛け留めたり、その屈曲線材3を前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図4Bに示したように、下位の外壁パネル10の上端に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0031】
なお、図示例に係る鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10は、同厚(同形・同大)で実施している。よって、前記ガイドピース1は、その鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施することも勿論できる。
ちなみに図4Aの符号15は、必要に応じて外壁パネル10の上端部に仮付けされる案内板を示している。当該案内板15は、鉛直方向の外壁パネル10、10の接合作業が終了次第、適宜溶断して撤去される。
【0032】
しかる後、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース1を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0033】
続いて、前記楔5を楔挿入部2から取り外し、図5に示したように、前記ガイドピース1の屈曲線材3を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材3における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック4の裏面側の屈曲線材3(両腕部3b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材3(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図5中の符号17は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック4の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部3bの突出部を示している。この突出部17は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0034】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部16を溶接し、もって鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10、ひいては上下に積み重ねた円筒形リングを溶接接合する。
【0035】
以上の手順を鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10(円筒形リング)について、作業足場を仮設する等して繰り返し行うことにより、所要高さの鋼製サイロを構築する。
なお、前記屈曲線材3を溶断することにより撤去された鋼板ブロック4は、屈曲線材3を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材3を取り外した鋼板ブロック4を転用し、屈曲部3aと両腕部3bとからなる新たな屈曲線材3を取り付けることにより、ガイドピース1を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース1は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0036】
したがって、実施例1に係るガイドピース1(図1参照)、及びガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図2〜図5参照)によれば、従来技術に係るガイドピース(図12参照)、及びガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、前記ガイドピース1を、屈曲線材3を鋼板ブロック4に取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。また、溶断する対象は細い屈曲線材3のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。さらに、屈曲線材3を溶断した後の鋼板ブロック4は、ガイドピース1の製作に容易に転用できるのでコスト削減に大いに寄与すると共に、環境保全性に優れている。
これらの作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度のガイドピース1を用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れたガイドピース1、及び同ガイドピース1を用いた外壁パネル10、10の接合方法を実現することができる。
【0037】
ちなみに鋼製サイロには、上位に積み重ねる外壁パネル(円筒形リング)のパネル厚を下位の外壁パネル(円筒形リング)のパネル厚より薄くして、構造力学上合理的な構造で構築するものがある。このような構造の鋼製サイロは、鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)10、10について、その外面側を面一に揃えて構築する場合(図6A参照)と、内面側を面一に揃えて構築する場合(図6B参照)とがある。
よって、外壁パネル10、10の外面側を面一に揃えて構築する場合は、図6Aに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施し、外壁パネル10、10の内面側を面一に揃えて構築する場合は、図6Bに示したように、前記ガイドピース1の鋼板ブロック4を外壁パネル10、10の内面側に当てがって実施する。以下に説明する実施例2についても同様の技術的思想とする。
【実施例2】
【0038】
図7は、実施例2に係るガイドピース11を示している。このガイドピース11は、鋼製サイロ9を構成する外壁パネル10の端縁同士を、図8A又は図10Aに示したように、周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するために用いるガイドピース11であり、屈曲線材13と鋼板ブロック14とからなる。前記屈曲線材13は、屈曲部13aと該屈曲部13aから伸びる両腕部13bとからなる楔挿入部12を有し、前記鋼板ブロック14のほぼ中央部の左右両側に前記両腕部13bが接合されている。
ちなみに、この実施例2に係るガイドピース11は、鋼板ブロック14における屈曲線材13の取付部位に溝14a、14aを形成して実施している点が、貫通孔4a、4aを形成して実施している上記実施例1に係るガイドピース1と相違する。
【0039】
具体的に、前記ガイドピース11は、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間に介在させる金属製の線材13と、当該外壁パネル10、10に跨る裏当用の金属製の鋼板14とからなる。
図示例に係る屈曲線材13は、屈曲部13aと両腕部13bとで、テーパー部を有する楔5を打ち込むのに適正な大きさのU字状の楔挿入部12を形成し、その両腕部13bを、鋼板ブロック14の中央部の幅方向両端近くに設けた溝14aへほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロック14に取り付けられている。
なお、図示例に係る屈曲線材13の楔挿入部12はU字状で実施しているがこれに限定されず、楔5を挿入することができれば、V字状でも角形状でも同様に実施することができる。
【0040】
前記抜け止め手段は、屈曲線材13の両腕部13bの先端部をそれぞれ内方へ屈曲させるだけの簡易な構造で実施し、溶接等の接合手段は一切なされていないが、これに限定されない。例えば、前記内方へ屈曲した屈曲線材13の両腕部13bの先端部同士を点付け溶接する等の工夫は適宜行われる。
【0041】
ちなみに、本実施例で用いるガイドピース11の寸法は、図7について、符号R=27.5mm、S=16mm、T=4.5mm、U=φ2.3mm、V=29.8mm、W=25mm、X=30mm、Y=60mm、Z=4.5mmで実施しているが勿論これに限定されず、作業員の手指で取扱い易い大きさ及び重量であればよい。ただし、前記楔5を打ち込む作業に十分に耐えうる剛性は要求される。
【0042】
上記構成のガイドピース11を用い、周方向に隣接する外壁パネル10、10を接合する方法は、上記実施例1と同様である。
すなわち、先ず図8Aに示したように、前記ガイドピース11の鋼板ブロック14を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように横向きに当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部12を突き出させた屈曲線材13を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース11を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材13の楔挿入部12内に楔5をほぼ水平に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
前記ガイドピース11の位置決めは、その屈曲線材13を、前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図8Bに示したように、いずれか一方の外壁パネル10の周方向端部に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0043】
続いて、前記外壁パネル10、10の周方向端部の対応する位置に予め仮付けされたアングル材(寄せピース)6、6のボルト孔の位置合わせを行い、当該一致したボルト孔にボルト7を通しナット8をねじ込み締結する。かくして、隣接する外壁パネル10、10の目地は厳密に揃えられ、当該外壁パネル10、10のずり動きも確実に防止される。
しかる後、周方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース11を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0044】
続いて、前記楔5を楔挿入部12から取り外し、図9に示したように、前記ガイドピース11の屈曲線材13を、周方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材13における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック14の裏面側の屈曲線材13(両腕部13b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材13(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図9中の符号27は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック14の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部13bの突出部を示している。この突出部27は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0045】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部26を溶接し、もって周方向に隣接する外壁パネル10、10を溶接接合する。
【0046】
以上の手順を周方向に隣接する外壁パネル10、10について繰り返し行うことにより、鋼製サイロの一段部分を担う円筒形リングを構築する。前記円筒形リングは、鋼製サイロの所要高さに応じて複数構築される。
なお、前記屈曲線材13を溶断することにより撤去された鋼板ブロック14は、屈曲線材13を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材13を取り外した鋼板ブロック14を転用し、屈曲部13aと両腕部13bとからなる新たな屈曲線材13を取り付けることにより、ガイドピース11を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース11は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用される。
【0047】
鉛直方向に隣接する外壁パネル(円筒形リング)を接合する方法も、上記実施例1と同様に行われる。
すなわち、周方向に隣接する外壁パネル10、10を繰り返し溶接接合して構築した前記円筒形リングの上に、別異に構築した円筒形リングを積み重ねる際に、図10Aに示したように、前記ガイドピース11の鋼板ブロック14を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側(又は外面側)にほぼ均等に跨るように当てがい、前記外壁パネル10、10の突き合わせ縁間から外面側(又は内面側)へ楔挿入部12を突き出させた屈曲線材13を当該外壁パネル10、10で挟持させる構成で、複数のガイドピース11を150mm〜400mm程度のピッチで位置決めして目地を揃える。
次に、前記屈曲線材13の楔挿入部12内に楔5をほぼ鉛直に打ち込み、隣接する外壁パネル10、10、ひいては円筒形リングの面の段違いをなくす。
前記ガイドピース11の位置決めは、円筒形リングを構成する外壁パネル10の上端に単に掛け留めたり、その屈曲線材13を前記外壁パネル10、10で挟持させるまで、或いは楔5を打ち込むまで作業員が手指で押さえたり、図10Bに示したように、下位の外壁パネル10の上端に点付け溶接する等の手法が、作業員の員数等に応じて適宜採用される。
【0048】
なお、図示例に係る鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10は、同厚(同形・同大)で実施している。よって、前記ガイドピース11は、その鋼板ブロック14を外壁パネル10、10の外面側に当てがって実施することも勿論できる。
ちなみに図10Aの符号15は、必要に応じて外壁パネル10の上端部に仮付けされる案内板を示している。当該案内板15は、鉛直方向の外壁パネル10、10の接合作業が終了次第、適宜溶断して撤去される。
【0049】
しかる後、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピース11を除く部位に、当該外壁パネル10、10の外面側及び内面側から両面溶接を行う。
【0050】
続いて、前記楔5を楔挿入部12から取り外し、図11に示したように、前記ガイドピース11の屈曲線材13を、鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の外面側および内面側で溶断する。屈曲線材13における前記外壁パネル10、10の外面側の溶断作業は、当該外壁パネル10、10の外側面に沿って溶断し、内面側の溶断作業は、鋼板ブロック14の裏面側の屈曲線材3(両腕部13b)の屈曲部で溶断して行う。この溶断作業は、細い屈曲線材13(φ2.3mm)を溶断するだけなので、容易にスムーズに行うことができる。
ちなみに、図11中の符号27は、前記内面側の溶断作業により鋼板ブロック14の厚み分だけ外壁パネル10、10の内側面から突き出した両腕部13bの突出部を示している。この突出部27は、前記内面側の溶断作業後、速やかに溶断して撤去される。
【0051】
しかる後、溶断することにより形成された隙間部26を溶接し、もって鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10、ひいては上下に積み重ねた円筒形リングを溶接接合する。
【0052】
以上の手順を鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10(円筒形リング)について、作業足場を仮設する等して繰り返し行うことにより、所要高さの鋼製サイロを構築する。
なお、前記屈曲線材13を溶断することにより撤去された鋼板ブロック14は、屈曲線材13を楽に取り外すことができる。よって、溶断された屈曲線材13を取り外した鋼板ブロック14を転用し、屈曲部13aと両腕部13bとからなる新たな屈曲線材13を取り付けることにより、ガイドピース11を簡易に製作(再生)することができる。再生したガイドピース11は、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
【0053】
したがって、実施例2に係るガイドピース1(図7参照)、及び前記ガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図8〜図11参照)によれば、上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
すなわち、従来技術に係るガイドピース(図12参照)、及び前記ガイドピースを用いた外壁パネルの接合方法(図13、図14参照)と比して、前記ガイドピース11を、屈曲線材13を鋼板ブロック14に取り付けるだけの簡易な構成で実施できるので、熟練技術も無用となり、部材単価の削減に寄与する。また、溶断する対象は細い屈曲線材13のみであるから、簡易でスムーズな溶断作業を行うことができ、施工性も向上する。さらに、屈曲線材13を溶断した後の鋼板ブロック14は、ガイドピース11の製作に容易に転用できるのでコスト削減に大いに寄与すると共に、環境保全性に優れている。
これらの作用効果は、鋼製サイロを構築するにあたり、通常、数百個程度のガイドピース11を用いることを考慮すると顕著にあらわれる。よって、経済性、施工性、及び環境保全性に非常に優れた前記ガイドピース11、及び同ガイドピース11を用いた外壁パネル10、10の接合方法を実現することができる。
【0054】
以上に実施例1、2を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0055】
例えば、本発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法は、図1と図7に示したガイドピースを用いて実施しているがこれに限定されない。
要するに、本発明に係る鋼製サイロの外壁パネルの接合方法に用いるガイドピースは、前記屈曲線材3に相当する楔挿入部を有する楔保持部と、前記鋼板ブロック4に相当する平面部と備えていれば種々のバリエーションのガイドピースを製作することができ、上記実施例1、2で説明したような同様の手順で、鋼製サイロの外壁パネルの接合方法を実施することができる。
すなわち、前記楔保持部と前記平面部とからなるガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネル10、10の接合方法は、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネル10、10の内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネル10、10の間から外面側または内面側に突き出させた後、前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔5を挿入し、当該隣接する外壁パネル10、10で挟持させて、隣接する外壁パネル10、10の面の段違いをなくす。
次いで、隣接する外壁パネル10、10の突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、前記楔5を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断する。
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することができる。
【0056】
前記楔保持部を溶断することにより撤去された平面部は、溶断された楔保持部を楽に取り外すことができる。よって、溶断された楔保持部を取り外した平面部を転用し、新たな楔保持部を取り付けることにより、ガイドピースを簡易に製作(再生)することができる。このガイドピースは、事後に行う外壁パネル10、10の溶接接合作業に使用することができる。
なお、下位の外壁パネル10と、該下位の外壁パネル10よりパネル厚が薄い上位の外壁パネル10とを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合には、前記下位および上位の外壁パネル10、10の内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがって実施する。
【符号の説明】
【0057】
1 ガイドピース
2 楔挿入部
3 屈曲線材
3a 屈曲部
3b 両腕部
4 鋼板ブロック
4a 貫通孔
5 楔
6 アングル材
7 ボルト
8 ナット
9 鋼製サイロ
10 外壁パネル
11 ガイドピース
12 楔挿入部
13 屈曲線材
13a 屈曲部
13b 両腕部
14 鋼板ブロック
14a 溝
15 案内材
16 隙間部
17 突出部
26 隙間部
27 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、
前記ガイドピースは、屈曲線材と鋼板ブロックとからなり、
前記屈曲線材は、屈曲部と該屈曲部から伸びる両腕部とからなる楔挿入部を有し、前記鋼板ブロックのほぼ中央部の左右両側に前記両腕部が接合されていることを特徴とする、鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項2】
前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項3】
前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端に設けた溝へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項4】
前記抜け止め手段は、屈曲線材の両腕部の先端部をそれぞれ内方へ屈曲させてなることを特徴とする、請求項2又は3に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項5】
鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、
周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルの内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネルの間から外面側または内面側に突き出させた後、
前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔を挿入し、当該隣接する外壁パネルで挟持させて、隣接する外壁パネルの面の段違いをなくすこと、
次いで、隣接する外壁パネルの突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、
前記楔を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断すること、
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする、鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【請求項6】
下位の外壁パネルと、該下位の外壁パネルよりパネル厚が薄い上位の外壁パネルとを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合、前記下位および上位の外壁パネルの内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがうことを特徴とする、請求項5に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【請求項7】
前記楔保持部を溶断した後の前記平面部に新たな楔保持部を取り付けてなる前記ガイドピースを用い、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする、請求項5又は6に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【請求項1】
鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースにおいて、
前記ガイドピースは、屈曲線材と鋼板ブロックとからなり、
前記屈曲線材は、屈曲部と該屈曲部から伸びる両腕部とからなる楔挿入部を有し、前記鋼板ブロックのほぼ中央部の左右両側に前記両腕部が接合されていることを特徴とする、鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項2】
前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端近くに設けた貫通孔へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項3】
前記屈曲線材は、その両腕部を、鋼板ブロックの中央部の幅方向両端に設けた溝へほぼ直角方向に通し、抜け止め手段を施して鋼板ブロックに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項4】
前記抜け止め手段は、屈曲線材の両腕部の先端部をそれぞれ内方へ屈曲させてなることを特徴とする、請求項2又は3に記載した鋼製サイロの外壁パネル接合用ガイドピース。
【請求項5】
鋼製サイロを構成する外壁パネルの端縁同士を周方向又は鉛直方向に突き合わせ溶接接合するための外壁パネル接合用ガイドピースを用いた鋼製サイロの外壁パネルの接合方法において、
周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルの内面側または外面側に跨るように前記ガイドピースの平面部を当てがい、該ガイドピースから突出した楔挿入部を有する楔保持部を前記隣接する外壁パネルの間から外面側または内面側に突き出させた後、
前記突き出た楔保持部の楔挿入部内に楔を挿入し、当該隣接する外壁パネルで挟持させて、隣接する外壁パネルの面の段違いをなくすこと、
次いで、隣接する外壁パネルの突き合わせ縁間における前記ガイドピースを除く部位を溶接した後、
前記楔を取り外し、前記突き出た楔保持部を当該隣接する外壁パネルの外面側および内面側で溶断すること、
前記溶断することにより形成された隙間を溶接し、もって周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする、鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【請求項6】
下位の外壁パネルと、該下位の外壁パネルよりパネル厚が薄い上位の外壁パネルとを鉛直方向に突き合わせ溶接する場合、前記下位および上位の外壁パネルの内面側又は外面側を面一に揃え、該面一に揃えた側に前記ガイドピースの平面部を当てがうことを特徴とする、請求項5に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【請求項7】
前記楔保持部を溶断した後の前記平面部に新たな楔保持部を取り付けてなる前記ガイドピースを用い、周方向又は鉛直方向に隣接する外壁パネルを溶接接合することを特徴とする、請求項5又は6に記載した鋼製サイロの外壁パネルの接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−1917(P2012−1917A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135863(P2010−135863)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(595027099)株式会社ニッケンビルド (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(595027099)株式会社ニッケンビルド (22)
【Fターム(参考)】
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