説明

錠前装置

【課題】本発明は、煩雑な作業を必要とせず簡単に内締り錠を表示錠に変更することができる錠前を提供し、在庫種類を半減させることを課題とする。
【解決手段】室内側の開閉操作具1には、施解錠具4を上下動可能に設け、室外側の開閉操作具2には、表示窓8を設けその裏面部分に位置するように非常解錠具5を上下動可能に設けてある。非常解錠具5に取り付けられる表示具6は、表面上部に、赤色等で施錠状態を示す表示部13を設けると共に表面下部に、青色等で解錠状態を示す表示部14を設け、裏面側には、非常解錠具5の非常操作部12に係止される一対の脚の係合部18を設けてある。表示具6は、表示窓8から挿入可能な形状・大きさになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部のない内締り錠を表示錠に変更することができる錠前装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内締り錠は、室内側から施錠・解錠することが可能で、室外側に施錠されているか否かの表示はされていないもので、主に寝室や子供部屋等の個室に使用されるものである。この内締り錠には表示窓が存在するものがあるが、この表示窓からは、非常解錠具が露出していて、施錠した内部の人が病気で倒れた場合等の非常事態の時に、外部からドライバー等の道具で解錠できるようになっているもので、この用途では、赤色等に着色した表示部は、外観上好まれないことから設けていないものである。
【0003】
表示錠は、上記の内締り錠の機能に加え、室外側に施錠されているか否かの表示がされるもので、主にトイレに使用されるものである。この表示錠は、上記内締り錠と同様に、表示窓に非常解錠具が露出しており、加えて、この非常解錠具に着色したシールを貼る等して表示具を設け、施錠・解錠の表示が室外側になされるようにして成るものである。
【0004】
内締り錠と表示錠は、上述のように相違しているものであり、また、それぞれには表面処理や色の違う多数の種類があり、これらをドアに取り付けて販売する業者は、極めて多種類の在庫をする必要があるという不都合が生じていた。
【0005】
また、表示部のない内締り錠を表示錠に変更するには、組み立てられている錠前装置を分解して非常解錠具を外してそこに表示シールを貼り、再び組み立て直すという極めて煩雑な作業をしなければならず、現実的に行われているものではない。
【特許文献1】特開2000−8671号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、煩雑な作業を必要とせず簡単に内締り錠を表示錠に変更することができる錠前を提供し、在庫種類を半減させることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、扉の両面に設けられる一対の開閉操作具を有し、一面側には、錠本体を施解錠する施解錠具を備えると共に、他面側には表示窓から露出している非常解錠具を備える錠前装置において、非常解錠具には、表示部を設けた表示具を表示窓から取り付けられるようにして成るものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、組み立てられている錠前装置を分解することなく、非常解錠具に、表示窓から表示部を設けた表示具を取り付けることができるので、内締り錠を表示錠に簡単に変更することができ、内締り錠と表示錠のそれぞれについて、表面処理や色の違う多数の種類を在庫する必要がなく、内締り錠と表示錠の在庫種類を半減させることができるという効果がある。
【0009】
また、一般ユーザーが寝室や子供部屋等の個室に使用されている内締り錠を表示錠に変更したいという場合に、従来は錠前装置全体を取り替えなければならなかったが、錠前装置を取り外すこともなく表示具を取り付けて簡単に変更することができるという効果もある。
【実施例1】
【0010】
扉Dの両面には、一対の開閉操作具(本実施例では引手)1・2を配し、その間に錠本体(本実施例では鎌錠)3を扉Dに埋め込んで設けてある。一方の開閉操作具1は、室内側に配設され、手掛け部15内の上部に施解錠具4を上下動可能に設けてある。この施解錠具4には、上部裏面に略円筒状の連結脚17を設けると共に、下部に表面に突出する操作部9を設けてある。
【0011】
他方の開閉操作具2は、室外側に配設され、手掛け部16の上方に略長方形状の表示窓8を設け、この表示窓8の裏面部分に位置するように非常解錠具5を上下動可能に設けてある。この非常解錠具5には、上部裏面に略円筒状の連結脚10を設けると共に、表面中央に突出する非常操作部12を設けてある。非常操作部12は、開閉操作具2の表示窓8から露出し、外部からボールペン等の道具で解錠できるようになっており、表示窓8を上下に移動するようになっている。
【0012】
施解錠具4の連結脚17と非常解錠具5の連結脚10は、相対向して設けられており連動バー7で連結され、施解錠具4と非常解錠具5は一緒に上下動するようになっている。連動バー7は、錠本体3に回動可能に設けられている回動板20を貫通している。
【0013】
非常解錠具5に取り付けられる表示具6は、表面上部に、赤色等で施錠状態を示す表示部13を設けると共に表面下部に、青色等で解錠状態を示す表示部14を設け、裏面側中央には、非常解錠具5の非常操作部12に係止される一対の脚の係合部18を設けてある。
【0014】
表示具6は、表示窓8から挿入可能な形状・大きさで、これを取り付けるには、非常解錠具5を移動してその非常操作部12を表示窓8の中央に位置させ(図7参照)、表示窓8から表示具6裏面の係合部18を非常操作部12の根元の係止部11に係止させて行なう(図8及び図11参照)。
【0015】
施錠動作について説明する。解錠時は、施解錠具4が上位置にあると共に、非常操作部12も表示窓8の上部にあり、解錠状態を示す表示部14が表示窓8から露出している(図9参照)。この状態から施解錠具4の操作部9を下げると、連結脚17に嵌挿している連動バー7が錠本体3の回動板20を下方に回動する。すると鎌錠片19も下方に回動して錠本体3から突出し施錠状態となる(図2参照)。この時、連動バー7が嵌挿している非常解錠具5も押し下げられ、非常操作部12が表示窓8の下部に下がり、施錠状態を示す表示部13が表示窓8から露出する(図10参照)。
【0016】
次に解錠動作について説明する。上記の施錠状態から施解錠具4の操作部9を上げると、連結脚17に嵌挿している連動バー7が錠本体3の回動板20を上方に回動する。すると鎌錠片19も上方に回動し錠本体3に収納され解錠状態となる。この時、連動バー7が嵌挿している非常解錠具5も押し上げられ、非常操作部12が表示窓8の上部に上がり、解錠状態を示す表示部14が表示窓8から露出する(図9参照)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】施錠状態を示す正面図。
【図2】施錠状態を示す背面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】非常解錠具と表示具の分解斜視図。
【図5】非常解錠具に表示具を取り付けた状態の斜視図。
【図6】表示具を裏から見た斜視図。
【図7】非常操作部が中央にあり、表示板を取り付ける前の状態の表示窓部分の拡大図。
【図8】非常操作部が中央にあり、表示板を取り付けた状態の表示窓部分の拡大図。
【図9】非常操作部が上にある解錠状態の表示窓の拡大図。
【図10】非常操作部が下にある施錠状態の表示窓の拡大図。
【図11】図8の状態の要部の拡大縦断面図。
【符号の説明】
【0018】
1 開閉操作具
2 開閉操作具
3 錠本体
4 施解錠具
5 非常解錠具
6 表示具
8 表示窓
D 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の両面に設けられる一対の開閉操作具を有し、一面側の開閉操作具には、錠本体を施解錠する施解錠具を備えると共に、他面側の開閉操作具には、施解錠具と連動し表示窓から露出している非常解錠具を備える錠前装置において、非常解錠具には、表示部を設けた表示具を表示窓から取り付けられるように構成したことを特徴とする錠前装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−291659(P2007−291659A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118668(P2006−118668)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000148070)株式会社川口技研 (48)