説明

錠剤容器

【課題】開蓋が容易で、かつ、錠剤の振り出しも容易な錠剤容器を提供する。
【解決手段】容器本体(1)の周壁(2)上面を閉塞する頂壁(5)に充填口(7)と吐出口(8)とを形成し、前記充填口(7)へ嵌合させた充填口用蓋(20)からヒンジ(24)を介して突設した吐出口用蓋(25)を前記吐出口(8)へ嵌合させ、前記ヒンジ(24)を前記吐出口用蓋(25)を閉蓋方向へ付勢する弾性板(24a)と、前記吐出口用蓋(25)から前記弾性板(24a)の両側へ突設する脚片(29)とで構成し、前記吐出口用蓋(25)は、ヒンジ(24)と対向する吐出口用蓋(25)部分を持ち上げることで開蓋可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠剤等を収納する詰替え可能な錠剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の頂壁に径が異なる充填口と吐出口とを形成すると共に、容器本体の前後両側からヒンジを介して充填口用蓋と吐出口用蓋とを突設した錠剤容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、充填口用蓋と吐出口用蓋とが容器本体の前後両側からヒンジを介して突設されているため、開蓋するためには、ヒンジと対向する蓋部分を持ち上げなければならないため、換言すれば、蓋を内から外方向へ回動させなければならないため、あけ難く、また、錠剤を振り出す際の錠剤の吐出路に吐出口用蓋が位置するため錠剤を振り出し難いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、開蓋が容易で、かつ、錠剤の振り出しも容易な錠剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器本体1の周壁2上面を閉塞する頂壁5に充填口7と吐出口8とを形成し、前記充填口7へ嵌合させた充填口用蓋20からヒンジ24を介して突設した吐出口用蓋25を前記吐出口8へ嵌合させたことを特徴する。
【0007】
また、本発明は、前記ヒンジ24は前記吐出口用蓋25を閉蓋方向へ付勢する弾性板24aと、前記吐出口用蓋25から前記弾性板24aの両側へ突設する脚片29とから構成され、前記吐出口用蓋25は、前記ヒンジ24と対向する吐出口用蓋25部分を持ち上げることで開蓋可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記充填口用蓋20を前記容器本体1からヒンジ31を介して突設したことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記充填口用蓋20および吐出口用蓋25を前記容器本体1と別体に形成したことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記充填口用蓋20と前記吐出口用蓋25との天面からそれぞれ第1嵌合筒と第2嵌合筒を垂下して、該第1嵌合筒21を前記充填口7へ、第2嵌合筒26を前記吐出口8へ、それぞれ嵌合させたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記周壁は、外筒2aの上端からフランジを介して内筒2bを垂下して内外二重筒に形成し、該内外二重筒の前部に凹部3を形成すると共に、該凹部3に嵌合部材4を嵌合させ、前記充填口用蓋20をヒンジ31を介して前記嵌合部材4へ連結させ、さらに、底板9a周縁から起立させた起立筒9bを周壁2下部の内外筒2a、2b間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、周壁2は、外筒2aの上端からフランジを介して内筒2bを垂下して内外二重筒に形成し、前記外筒2aの前部上端から薄肉ヒンジ31を介して充填口用蓋20を突設すると共に、底板9a周縁から起立させた起立筒9bを周壁2上部の内外筒2a、2b間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、充填口用蓋からヒンジを介して吐出口用蓋を突設したので、開蓋するには、蓋を外から内方向へ回動させればよく、したがって、開蓋が容易だけでなく、吐出口用蓋は錠剤の吐出路と対向する側に位置するため、錠剤の振り出しの邪魔になることがない。
【0014】
また、本発明は、ヒンジは吐出口用蓋を閉蓋方向へ付勢する弾性板と、弾性板の両側へ突設する脚片とから構成され、吐出口用蓋は、ヒンジと対向する吐出口用蓋部分を持ち上げることで、脚片が立ち上がって弾性板の両側に位置し、弾性板がほぼ屈曲限度に達した時点で、脚片が反転して吐出口用蓋25を開蓋状態に保持するため、吐出口用蓋の起立が安定して行えると共に、振り出し後は吐出口用蓋は弾性板と脚片とにより閉蓋方向へ付勢されるため吐出口用蓋は自動的に閉蓋される。
【0015】
さらに、本発明は、充填口用蓋を容器本体の周壁からヒンジを介して突設したので、充填口用蓋と吐出口用蓋を容器本体と一体に成形することができる。
【0016】
さらに、本発明は、充填口用蓋および吐出口用蓋を容器本体と別体に形成したので、充填口用蓋および吐出口用蓋と容器本体の色彩を異ならせることができてデザイン上の自由度を増大させることができると共に、蓋を透明にすることで容器体内の残量等を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る錠剤容器の斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】吐出時の作用説明図である。
【図5】充填時の作用説明図である。
【図6】他の実施形態を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図面において左右方向を前後方向とする。
【0019】
図1において、1は容器本体で、周壁2と、周壁上面を閉塞する頂壁5と、周壁2下面を閉塞する底蓋9で構成する。
【0020】
周壁2は、外筒2aの上端からフランジを介して内筒2bを垂下して内外二重筒に形成し、該内外二重筒の前部に凹部3を形成すると共に、凹部3の下面を構成するフランジ部分と該フランジ部分から垂下する内筒2b部分との角部に嵌合部材4を嵌合させる。
【0021】
周壁2の上面を閉塞する頂壁5は、内筒2b上面を閉塞する閉塞板5aの前部を下方へ屈曲して嵌合部材4の内面へ当接させると共に、閉塞板5aの上面に凹部6を形成して、凹部6の前部を円形状の円形凹部6aに形成すると共に、後部を円形凹部6aの直径より小さい幅の溝状凹部6bに形成する。そして、円形凹部6a内に充填口7を形成すると共に、溝状凹部6b内に充填口7より小径の吐出口8を形成する。
【0022】
周壁2の下面を閉塞する底蓋9は、底板9a周縁から起立させた起立筒9bを周壁2下部の内外筒2a、2b間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させている。
【0023】
10は上蓋で、充填口用蓋20と吐出口用蓋25とで構成する。充填口用蓋20は、充填口7へ嵌合させた第1嵌合筒21の上面を閉塞する天板22の周縁から覆筒23を垂下して円形凹部6a内へ嵌合させると共に、覆筒23の後部下端からヒンジ24を介して吐出口用蓋25を突設する。
【0024】
吐出口用蓋25は吐出口8へ嵌合させた第2嵌合筒26の上面を閉塞する天板27の周縁から覆筒28を垂下して溝状凹部6b内へ嵌合させる。
【0025】
ヒンジ24は充填口用蓋20の覆筒23の後部下端から後方へ突出して吐出口用蓋25の覆筒28へ一体に連結する弾性板24aと、該覆筒28前部の左右両側から弾性板24a後部の左右両側へ突出する脚片29とで構成する。なお、弾性板24aには、弾性変形を容易にするため左右方向への細溝を形成する。
【0026】
上蓋10は容器本体1と別体に構成することも可能であるが、薄肉ヒンジ31を介して容器本体1の周壁2の凹部6へ嵌合させた嵌合部材4から上蓋10を突設することで上蓋10と容器本体1とを一体に形成することもできる。なお、40は吐出口用蓋25の後端に設けられた摘み部、45は底蓋9の後部から後方へ突設するリング部である。
【0027】
次に作用について説明する。
図1ないし図3は不使用時の閉蓋状態を示す。容器本体1内の錠剤Tを振り出すには、摘み部40を介して吐出口用蓋25を弾性板24aの付勢力に抗して前方へ回動させて開蓋すればよく、すると弾性板24aが屈曲すると共に、左右一対の脚片29が立ち上がる。そして、図4に示すように弾性板24aが屈曲限度に達すると、脚片29が反転により弾性板24aを前方へ変形させると共に、脚片29自体が前方へ傾斜して吐出口用蓋25を開蓋状態に保持する。したがって、弾性板24aが屈曲限度に達した後は、摘み部40から手を離しても吐出口用蓋25は自動的に開蓋される。
【0028】
錠剤Tの振り出し後、閉蓋するには吐出口用蓋25の摘み部40をもって後方へ回動させればよく、すると脚片29が上記と逆方向へ反転して弾性板24aを変形させると共に、脚片29自体が後方へ傾斜することで弾性板24aと共に吐出口用蓋25に閉蓋方向への力を付与するため、吐出口用蓋25は後方へ回動して自動的に閉蓋する。上記のように吐出口用蓋25の開閉時において、脚片29が弾性板24aを変形させるため、開閉時におけるスナップ感が得られる。
【0029】
容器本体1内へ錠剤Tを充填するには、吐出口用蓋25の摘み部40をもって吐出口用蓋25を図4に示すように開蓋させ、ここからさらに吐出口用蓋25の摘み部40を介して吐出口用蓋25を持ち上げればよく、すると図5に示すように充填口用蓋20が前方へ回動して開蓋する。
【0030】
図6は他の実施形態を示すもので、本実施形態では嵌合部材4を省略する点で第1の実施形態と相違する。すなわち、周壁2は、外筒2aの上端からフランジを介して内筒2bを垂下して内外二重筒に形成する点では第1実施形態と同一であるが、本実施形態では、該内外二重筒の前部に凹部3を形成して該凹部3内へ嵌合部材4を嵌合させることなく、外筒2aの前部上端から薄肉ヒンジ31を介して充填口用蓋20を突設する。
【0031】
周壁2の下面を閉塞する底蓋9は、底板9a周縁から起立させた起立筒9bを周壁2上部の内外筒2a、2b間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させる。その他の構成は第1実施形態と同一であるから説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、錠剤等を収納する詰替え可能な錠剤容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 容器本体
2 周壁
7 充填口
8 吐出口
20 充填口用蓋
21 第1嵌合筒
24 ヒンジ
24a 弾性板
25 吐出口用蓋
26 第2嵌合筒
29 脚片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)の周壁(2)上面を閉塞する頂壁(5)に充填口(7)と吐出口(8)とを形成し、前記充填口(7)へ嵌合させた充填口用蓋(20)からヒンジ(24)を介して突設した吐出口用蓋(25)を前記吐出口(8)へ嵌合させたことを特徴する錠剤容器。
【請求項2】
前記ヒンジ(24)は前記吐出口用蓋(25)を閉蓋方向へ付勢する弾性板(24a)と、前記吐出口用蓋(25)から前記弾性板(24a)の両側へ突設する脚片(29)とから構成され、前記吐出口用蓋(25)は、前記ヒンジ(24)と対向する吐出口用蓋(25)部分を持ち上げることで開蓋可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の錠剤容器。
【請求項3】
前記充填口用蓋(20)を前記容器本体(1)からヒンジ(31)を介して突設したことを特徴とする請求項1又は2記載の錠剤容器。
【請求項4】
前記充填口用蓋(20)および吐出口用蓋(25)を前記容器本体(1)と別体に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の錠剤容器。
【請求項5】
前記充填口用蓋(20)と前記吐出口用蓋(25)との天面からそれぞれ第1嵌合筒(21)と第2嵌合筒(26)を垂下して、該第1嵌合筒(21)を前記充填口(7)へ、第2嵌合筒(26)を前記吐出口(8)へ、それぞれ嵌合させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の錠剤容器。
【請求項6】
前記周壁(2)は、外筒(2a)の上端からフランジを介して内筒(2b)を垂下して内外二重筒に形成し、該内外二重筒の前部に凹部(3)を形成すると共に、該凹部(3)に嵌合部材(4)を嵌合させ、前記充填口用蓋(20)をヒンジ(31)を介して前記嵌合部材(4)へ連結させ、さらに、底板(9a)周縁から起立させた起立筒(9b)を周壁(2)下部の内外筒(2a、2b)間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の錠剤容器。
【請求項7】
前記周壁(2)は、外筒(2a)の上端からフランジを介して内筒(2b)を垂下して内外二重筒に形成し、前記外筒(2a)の前部上端から薄肉ヒンジ(31)を介して充填口用蓋(20)を突設すると共に、底板(9a)周縁から起立させた起立筒(9b)を周壁(2)上部の内外筒(2a、2b)間内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に嵌合させたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の錠剤容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−140137(P2012−140137A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292295(P2010−292295)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】